風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい 雲竜奔馬編④
あれ? 今回はそんなに間空いてないよな?
『風雲児たち』のあとを受けて始まった『雲竜奔馬』。今回は主に最終五巻のストーリーを紹介します。
父を弔った後、再び江戸へ出てきた坂本竜馬。さな子さんのアプローチを何とかかわしたり、ジョン・万次郎と友好を深めたり、忙しい日々が続く。そんな中、同郷の武市半平太が土佐藩邸で行われる御前試合への参加を勧めてきた。なんとなく出場した竜馬だったが、並みいる強豪たちを次々に倒し、あれよあれよという間に決勝戦へ。決勝の相手は斎藤道場の天才とほまれ高い桂小五郎。果たして「江戸最強」の称号は、どちらの剣士に与えられるのか・・・・
この御前試合でのエピソードは、いろいろな「竜馬もの」で特に盛り上がる箇所のひとつですね。トーナメント方式で行われる激戦を潜り抜け、最後に最強のライバルと合間見える。少年漫画ファンとしては燃えずにはいられません。
ただ細かいコマ割りで緻密なドラマを語り続けてきた『風雲児たち』とはかなり違うムードとなったため、ファンの間ではこの辺が特に評判の悪い部分だったりします。
わたくし考えますに、恐らくこの時点で先生はもう「『トムプラス』&『雲竜奔馬』にはもうあんまり先がない」ということをご存知だったのでは。それで一応ラスト近くに大きな盛り上がりをもってくるべく、この御前試合のエピソードを描く事にされたのではないでしょうか。
しかし残念ながらこの「御前試合」、現在では「後世の創作」であることがほぼ明らかになっています(笑) そうだよなー。なんか「できすぎてる」とは思ってたんだよなー。そこで浮かび上がるのがこんな疑問。
「竜馬は果たして剣客としてはどの程度の腕前だったのか?」
これに関しても疑いの目で見る方は多いようです。竜馬の遺族にしてからが、「剣の腕は大したことない」などと証言しているようですし。それに竜馬といえば、剣というよりピストルのイメージの方がみなさん強いのでは。
ですが、「大したことない」腕の人間が、果たして当時人気ナンバーワンだった千葉道場において塾頭を勤め、さらには「免許皆伝」を与えられることなどあるでしょうか?
そんなわけで、わたしはトップテンに入るまではいかずとも、トップ50くらいの範囲には含まれていたのでは?と考えております。
あとこの御前試合、創作にすぎないとしても、このとき決勝を争った二人が後年片やピストルを愛用し、片や逃げに徹したというのはなんとも面白いものですね。
来るべき暗黒時代を予感させて、『雲竜奔馬』はとりあえず幕となります。復活したかと思ったら二年ちょいでまた終了。このころが『風雲児』ファンにとっては最大の暗黒時代だったかもしれません(笑)
ですが皆さんご承知の通り、『風雲児たち』はそのさらに一年後、時代コミック専門誌『コミック乱』において二度目の復活を実現。青年竜馬のわやくちゃな青春は、そちらにて熱烈継続中であります。
というわけで次からは『幕末編』編になるのかな? 乞えないご期待。
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