January 11, 2006

正月ドラマ『新選組!!』を振り返ってみようのコーナー おちゃらけ編

「すいません…… どうしてもお笑いに走ってしまうんです……」(『笑いの大学』より)

それでは予告どおり『新選組!! 土方歳三 最後の一時間半・おちゃらけ編』お送りいたします。冗談は嫌いだ、という方。思いでは大切に取っておきたい、という方。できれば見ないでください。

でははりきってまいりましょう。まずは冒頭から
・「またせたな!」 そうですね。一年ぶりですから。
 「俺だって色々忙しいんだよ!」 そうですね。なんかの司会とかね。

・生き残り組で目立った島田と尾関。島田くんは今回「前はいっつも一緒に戦ってくれたじゃないですか!」とか「土方さんと一緒じゃなきゃいやだい!」と、甘えん坊将軍状態でした。いい年した男が情けないわねえ。駄々をこねる島田を、「土方さんのため」とばかりに懸命に諭す尾関。この二人は確か容保公への建白書を出した時、離反組にいたはずだが… ま、昔のことは水に流しますか

・いやあ、しかし今回ほんっとオトコしか出てきませんでしたねえ。そんな中一服の清涼剤となってくれた南野陽子。役名は忘れました。

・「一番強いのは何だと思う?」
中高生男子にとって永遠の問題ですね。今なら吉田と朝青龍どっちが強いかとか、ゴジラとガメラどっちが強いかとか…… わたしは地上最強はボツリヌス菌だと思います。

・「いいか、島田と尾関には気づかれるな」「はいっ!!」
と言ってるそばから気づかれてる市村君。
「いいか、薩長のやつらには絶対に捕まるな」「はいっ!!」
先行きが非常に不安です。

・斎藤再登ジョー。建前「おれが容保公を守る」 本音「もう、これ以上寒いところに行きたくないッス」

・「わたしはそれもアリだと思う」 幕府の重鎮・永井さん。今風の表現ですね。せっかく永井さんなんだからついでに「間違いない!」と言ってくれたらもっと良かったです。

・ちまちまと模型でシミュレーションしている大鳥氏。土方がちょっかいだしたあとで、すぐに修正する。オタクですねえ。それだけに最後ひっくらかえした時はちょっとびっくりしました。

・「そのチーズが何から出来ているか知っているかね?」 これはみなもと太郎先生の漫画、『風雲児たち』へのオマージュであるかと思われます。漂流民大黒屋光太夫はロシアに流れ着いた折、出されたシチューをうまいうまいと平らげるのですが、原料を知ったとたん一同オゲーとなるという。当時は牛を食すという習慣がなかったので。ましてその乳なんてゲテモノの極みだったことでしょう。

・「織田信長の桶狭間戦法だ」 さすが三谷さん、来週の大河へのフォローも忘れません。
 「これじゃあ一の谷の逆落としだ!」 さすが三谷さん、去年の大河へのエールも(略)
それともスペシャルドラマ『風林火山』を意識してたのでしょうか

・「かっちゃん…」「南…」「そのネタは前にもやったろ…」
 土方の最後のセリフ、予想的中でした。誰か何か…いや、いいです。

・ラスト、包み紙の中身を知った市村君
 「どんな重要文書かと思えば… 記  念  写  真  かよ」
悔しさのあまりさらに加速するPEACE MAKERクロガネ。そのまま地平線に向かってダッシュだ!

ちなみに視聴率は『古畑』の方が良かったみたいです。無念・・・
近々『組!』『組!!』に多大な影響を与えた上記にもある『風雲児たち』に関して本腰を入れて紹介したいと思います。見捨てちゃイヤーン

(この項に限って、なぜか謎の英文コメントがくるので、しばらくコメント不可にいたします。ご意見おありのかたは「マジメ編」か「適当掲示板」に送っていただければ幸いです)

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January 10, 2006

正月ドラマ『新選組!!』を振り返ってみようのコーナー マジメ編

地上波放送からかれこれ一週間経ってしまいましたが、正月ドラマ『新選組!! 土方歳三最期の一日』のレビューをお届けします。

今回の『組!!』おおまかにわけて三つのパートに分けられると思います。勝手に章題を付けるとするなら
第一幕:北の戦場
第二幕:総本部
第三幕:最期の戦い
こんな感じでしょうか。

まずは第一幕。本シリーズとはうって変わって人格のまろやかになった歳三が登場します。「人は変わらなきゃ」と言っていたトシ。「あの人は変わった」と言う島田。もともと土方は一部の者たちには非常に冷たい反面、情の濃い一面も持っていたと思います(試衛館メンバーや、栗塚兄に対してなど)。カイくんの言うとおり「副長」の重責から解放され、本来の優しい部分が表に出てきたということでしょう。みんなにお酒を振舞うエピソードは実際にあった話だそうです。
しかしその変化が親友の死によりもたらされたものだというのは、悲しいことでもありますね。「みんないなくなっちまった・・・」 山南さんに対しても泣かせるセリフを言っていましたが、あれは土方とのと言うより、三谷さんが自分の思いを土方に語らせた、という気がしました。

続いて第二幕。今回の一番のキモは、この部分ではないでしょうか。
新顔の重要人物が二人登場しました。一人は榎本武揚。この人はまあ、変人ですね。ナルシストでロマンチストで江戸っ子気質。「おれだって自分が何なのかよくわからん」 こんな人に率いられてきた幕府軍が哀れ(笑)。でもまあ、やはりそれなりのカリスマと才能を持った御仁だったようですね。
もう一人は何を読んでもかっこ悪く書かれている大鳥圭介。今回も期待に違わぬへたれっぷりでした。けれども、あの観柳斎の死をも叙情豊かに歌い上げた三谷節、「へたれ」に対する愛情は誰にも負けません。今回も炸裂してました。愛すべきヘタレ、愛すべき小人として描かれていましたね。
そんなわけで武闘派の土方が変人と小人に挟まれてイライラを募らせるものの、思いをぶつけあっているうちに、いつしかひとつの目標に向かって結束しているという、気がつけば三谷作品の黄金パターン。当然場面転換は無しです。

さて、これまでの「組」系作品において、お決まりのようになっているのが「この時もう土方は死ぬ気だった」という考え(そこまでたどり着かないものも多いですが)。けれども本人がその時どういう考えだったかなんて、当人以外にはわからないものですよね。この作品でも中盤までは土方は「ここが死に時」と思い定めていたようです。実際この後すぐ死んじゃうわけですし。でも三谷さんは、夢を失ったまま土方に死んで欲しくなかったんじゃないかなあ、と。『竜馬が行く』(あるいは『巨人の星』)じゃないですけど、「男なら死ぬ時は前のめり」こそが土方にふさわしい。それが三谷さんなりの土方に対するケリの着け方であり、『燃えよ剣』への挑戦だったと思っています。山本君も完全に土方と同化しているように見えました。お若いファンにはもう「土方」といえば山本くんの顔しか浮かばないのでは、というくらい。ともあれ、彼もこれで思い残すことはなくなったんじゃないでしょうか。
「最後まで夢をあきらない」 この精神が、また残った者たちに受け継がれていくわけですよね。島田、尾関、市村、(一応)大鳥、そして榎本。榎本も直前までは死ぬ気だったようですが、土方に諭されて夢を思い出した。そしてそれが北海道の発展へとつながっていった・・・・・・ そう信じたいです。

ラストシーン、わたしはあれは『シェーン』(古いなあ)に対するオマージュではないかと思っています。一人の男の生き様を見届けた少年は、それを胸に抱いて成長する・・・・・・ ただ『シェーン』では男が遠ざかっていくのに対し、こちらでは少年の方が遠ざかって行くわけですが。

次項では続けて「おちゃらけ編」をお送りします。感動を冷ましたくない、と言う方はスルーしてください。

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December 26, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑬ 土方歳三の巻

さあて、いよいよ『新選組!!』(!が二つ!)の放映も押し迫ってまいりました。いよいよ「鬼の副長」に出張ってもらうことにします。

個性派ぞろいの新選組の面々の中でも、一番人気のあるやつって誰でしょうね。少し前では沖田だったと思うのですが、今ではたぶん土方の方が上じゃないかと。いろいろサイトを見回ってみて、そんな風に感じました。
でもね、土方ってどちらかと言えば「やな奴」ですよね(怒らないで!)。何が何でも自分の意思を通そうとするし、邪魔なやつ・いらない奴はどんどん切り捨てるし、口も悪いし、手も早いし、おまけに女癖も・・・・・・ すいません、この辺にしときます。
そんな彼がなぜ主役を押しのけるほどに皆の支持を得たのか。それは一番組を愛し、誰よりも純粋だったからではないでしょうか。近藤も山南も一時は組を捨てようと思ったことがありました。しかし副長がその類のことを口にしたことはいっぺんもありません(よね?)。
「法度に背いたら、お前も腹を切るのか」「切る」一寸の迷いも無く言い放つ彼に、いったいどれほどの婦女子がハートを射抜かれたことでしょう(男も?)。その愛情は、ともに旅立った面々がいなくなったあとも変わることなく、彼を飽くなき戦いへと駆り立ててゆきます。欠点がどれほど山盛りでも、このひたむきさが全て覆ってしまう・・・・・・というか、絶妙なアクセントになってしまってますね。強烈な毒気と混じりけの無い純粋さ。この二つを兼備えた人間と言うのは、我々の目に時としてどうしようもなくまぶしく映るものです。

欠点で思い出しました。「俳句がヘタ」というの、期待に違わずやってくれました。情け無用の人斬り鬼でありながら、こんな人間くさい一面も持っているところも、土方の魅力のひとつです。生前(たぶん)ひた隠しにしていた秀作群が、司馬先生や三谷さんのせいで衆目にさらされることになろうとは、彼自身思いもよらなかったことでしょう。というか、きっと穴があったら入りたい衝動に駆られると思います。
というわけで土方のミリキについて色々考えてみましたが、大事なポイントをひとつ忘れてました。それは「二枚目」であるということ。チクショー! 二枚目がなんだーっ! 男は顔じゃない! 男は顔じゃ・・・・・・

(見苦しい状態が続いています。そのままの姿勢でお待ちください)

は。えーと、キャストについて。今回はMr.赤ヘルと同音異字名の山本耕史くんが土方を演じました。Kakakaiさまと同じく、わたしも『ひとつ屋根の下』の「薄幸少年」のイメージが強かったので、配役が発表された時「なんで?」と思いました。しかし三谷さんには最初から勝算があったみたいです。なんでもミュージカル『オケピ!』で使っている時に気づいたそうですが、「あいつは腹の底にマグマみたいな怒りを抱えているんだよ!」とのこと。それを押し隠してあの車椅子の少年を演じていたとすれば、こりゃあ大した役者さんだわ。結果的に大ハマリだったわけで、「三谷さん、お見事」としか言いようがありません。
あと先代土方?の栗塚旭もおしゃってましたが、実際の土方の写真と、なかなか良く似ているんですよね。以前は風間杜夫が一番近いかなーと思ってたのですけど。
もはや山本くんの土方はドラマの枠を超えて一人歩きを始めた感があります。堺氏の山南とならんで、末永く語り継がれることでしょう。

名・迷場面です
・第1話 橋の上から色目使うわ、振った女子の後始末を近藤にやらせるわ・・・・・・ やっぱこいつキライだ! この時はまだやんちゃ坊主ですね。
・第3話 インチキがばれてぼこぼこにされた後、勇に「武士になりてえ」。男なら誰しも思うことです(え? 違う?)
・第4話 訪ねてきた山南をひっかけようとあれこれ策をめぐらす。超感じわるいっす。
・第12話 近藤をポストにつけようとあっちへこっちへ大忙し。「銭を大切にしねえやつは・・・・・・」そうそう、お金は大事です。このあたりからワルの風格が増してきました。
・そしていよいよ化け物じみてきたのが第24話。言葉巧みに知性派の新見を陥れる。「ところでもう一人、武士の風上にも置けないやつがいるんだ」と決めのセリフを吐く所では背筋がゾワゾワっとしました。
・第27話 陰謀を食い止めるべくまたしても大忙し。そして禁断の「一番痛い」アレにも手を染めてしまう
・第28話 池田屋で一番いいところで駆けつける。「またせたな!」物陰でタイミングを見計らっていた疑いあり。
・第30話 恩賞その他のことで悶着を起こす。「おれたちゃ仲良しごっこしてるわけじゃねえんだ!」と嫌味をばら撒いたあとで、総司に「体の具合はどうだ?」。うーん、アンバランス。この回では例のゴーモンのことを思い出してブルーになっている場面もありました。
・第31話 誰を犠牲にするか迷う場面。「源さんにはわかっていてほしいんだ。甘いな、俺も」 やつも人の子です。
・第33話 山南を失い近藤と号泣。これが別れの始まりでした。
・第40話 平助を気遣い斎藤にスパイを頼む。「あいつだけは死なせたくねえんだ」 でもね~
・第46話 江戸へ帰る船で田中邦衛のモノマネ。インパクト大でした。
・第48話 最後に今一度コルク栓を見せあう二人。「必ず帰って来い!」 しかし約束は果たされません。

セリフが細部違うやもしれません。お許しを。去年の今頃はまさか続編ができるなんて思いもよりませんでした。ギャグでは書いたけど(笑)。
誠の旗に託された夢の、その行き着く先は? 『新選組!! 土方歳三・最後の一日』は(年末ではなく)正月三日放映です。『古畑』を録るか、こっちを録るか・・・・・・

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December 07, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑫ 滝本捨助の巻

今回は本作品きってのダークホース?滝本捨助くんについて語りますです。

ドラマが始まる前に出された新装版『冗談新撰組』(マンガ)の中で、三谷さんは「近藤勇と一緒に処刑された隊士がいるのだが、名前も素性もわかっていない。今回はこの人物に重要な役を割り振りたい」ということをおっしゃってました。わたしは捨助が登場したとき、すぐに「こいつがそうに違いない」と思いました。あまり聞かない名だったので(笑)。
ところが組関係の本を漁っていると、そこかしこに「松本捨助」という名が出てくる。少なからず混乱しましたが、早い話が「無名隊士」+「松本捨助」=「滝本捨助」だったということですね。ちなみに松本さんの方はなかなか気骨のある人物で、明治に入っても末永く生き続けられたそうです。

そんなわけで半ば架空の人間であるがゆえに、最後以外まったく予想がつかない、ある意味大変恐ろしいキャラでやんした。裏切られて復讐の鬼と化すのかと思えば、すぐに忘れるし(笑)、植木等のごとく持ち上げられて時の人になってしまったり。ずいぶん話をにぎやかにしてもらいました。
わたしが連想したのは名作『宮本武蔵』における「又八」ですね。主人公よりちょっと恵まれた環境にいながら、努力が大嫌いで一発あてることばかり考えているために、どんどん差をつけられてしまう。いわゆる「へなちょこ」くんですが、でも不思議と憎めない、そんな奴でした。たぶん幕末に自分が生きていたら、こいつと似たり寄ったりのポジションになるような気がします。
できればどこまでもしぶとく生き延びて、「へなちょこ」の本分をまっとうしてほしかったんですがね……

演じるのはやはり最近躍進の著しい、中村獅童くん。彼を最初に意識したのは映画『ピンポン』における“ドラゴン”役。眉毛をそり落とし野太い声で「笑止!」と叫ぶその姿は、主役以上にインパクト大でした。
三谷作品ではシットコム『ER』に出演していました。最初はコワモテの不良なんだけど、段々メッキが剥がれていく(笑)、そんな役でした。
代表作は嫁をゲットした(ケッ)『いま、会いに行きます』でしょうか。年末の話題作『男たちの大和』にも準主役級で登場するそうです。そうそう、夏にやっていた小野田寛朗氏を題材にしたスペシャルドラマも良かったです。これまた重厚な演技を見せてくれました。一人になり、悲壮な覚悟を決めていた小野田さん。そんな彼に手を差し伸べたのが、山南敬助こと堺雅人氏で、微妙に笑えました。
歌舞伎方面でもなんか言っとかなきゃならないんでしょうけど、わたし何も知らないもので。すいません。

名・迷場面です。
・第2話 土方曰く「滝本のせがれでいけすかねえ奴がいたろ」。そんなことはありませんでしたが、さっそく見事なヘタレっぷりでした。
・第5話 窮地に追いやられた近藤を救う大殊勲。たまたまいた場所が良かったのか、悪かったのか。
・第12話 さんざん土方に利用されたあげく置いてけぼり。「おまえら絶対にゆるさねえ!」この回は彼があまりに可哀相で辛かったです。
・第22話 金を返せと詰め寄る捨助に、「ちょっとこっち来い!」と土方。「いやだよ~ また殴るんだろう?」学習能力はあるようです。
・同じく第22話 それと知らずに松平さまに無礼千万。自業自得ですが、これもちょっと可哀相でした。
・このあと茶屋に行ったり旅館に行ったりするわけですが、どこへ行っても「この人役に立ちません」と言われてました。佐久間先生に「般若」とか呼ばれてたのもこのころでした。
・第29話 覚悟を決めた久坂らに対し「命は大事にした方がいいですよ~」。オマエもな。
・このあと桂さんの誤解を利用して威張りたい放題。しまいにゃ正義の天狗にまで成りあがる。かれにとって最も輝かしい時代ですね(笑)。
・第38話 振られた腹いせに竜馬を陥れる。竜馬、おりょう、捨助…… 一番悪いのは誰でしょう。
・第46話 「一緒に帰ろう」「うん!」 お前にプライドは無いのか。
・最終話 「かっちゃーん! 今行くぜー!」 鎖帷子着てけば良かったのに…… 局長はあの世でも「こんなやつ知りません」とか言いそうですね。

年末の続編での大活躍に期待しましょう(←ナイナイ)。
さて、次回はいよいよ鬼の副長に登板願います。

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November 20, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑪ 桂小五郎の巻

ピッチャー、ここで一球外しました。取り上げるライバルが竜馬一人では少々さびしいので、桂さんにもご登場願います。

桂小五郎というと、ドラマ・映画では決まって新選組に追いまわされる人、というイメージがあります。けれど本作では「京に上がる前はそれなりに仲良しだった」という設定になっていました。たぶんこれ、『燃えよ剣』あたりからの影響ではないでしょうか。実際、試衛館がたまに近所の道場から助っ人を呼んでいたというのは本当らしく、お互いの顔くらいは前々から知っていたかもしれませんね。
明治の元勲というのは、それはもう軒並みド貧乏な人たちばかりだったようですが、そのなかにあって桂さんは中々に羽振りのいいお家で育たれたようです。さらに桂さんは学問・剣術においても並々ならぬ才能をお持ちでした。そういう背景を意識したのか、本作でも最初は自信満々の、ちょっと嫌味な感じで登場されます。しかしやはりいま一人のイヤミ・インテリである伊東甲子太郎と比べると、彼にはなにかしら男気というか、温かみを感じられます(本当にチラッチラッとですがね)。
それぞれに運命の変転があった『新選組!』ですが、桂さんも例外ではなく、一時はホームレスに身をやっすほどにおちぶれることになります。確か司馬先生がこんなことをおっしゃっていました。「この男は神道無念流の塾頭を務めるほどの剣の才能を持ちながら、ただひたすら逃げることに徹した」。本来の武士ならそんなことをするくらいなら、と腹を切ったことでしょう。けれど桂さんはそれまでとは180度違うような境遇にじっと耐え、ついには奇跡の大逆転をも成功させます。維新の三傑と言われるだけあって、やはり、そんじょそこらのボンボンとは違っていたのでしょうね。

演じるは、いまはすっかり中堅どころの石黒賢氏。後半西郷・大久保に出番を食われてしまったのは残念ですが、奇をてらうことなく、自然に桂小五郎を自分のものにしてたあたり、高ポイントでした。
この人も色々出演作ありすぎてどれが代表作やら・・・・・ 一番息が長かったのは、『ショムニ』のエリートサラリーマンの役ですかね。考えてみたらこの役、桂さんとけっこうかぶってるなあ(笑)
三谷作品では医療サスペンス『振り返れば奴がいる』で、『白い巨塔』のサトミ先生みたいな役をやっておられました。『古畑任三郎』第1シーズンでも、インチキエスパーの犯人で登場してます。なにかにつけ真面目ぶるキャラクターが似合う方でありますね。

名・迷シーンです。
・1話 「こっちのソバは食えたもんじゃない」と食い物にケチをつける。しかもそのソバを残す。「桂=悪」の構図が頭に浮かんでしまうシーン
・同じく1話 ラストで怒り、おびえる近藤。はしゃぐ竜馬。そして静かに将来を憂う桂。興味深い対比図です。
・5話 勇の結婚式で「ついにわれら長州も立つ日がやってきましたあ!」と吼える。珍しくホットな桂さん。よほど興奮してたのでしょう。
・11話 勇が京に向かうと聞き、「死にに行くようなものだ」と危惧する。遠からぬ対立を予期して、ということもあったかもしれない。
・20話 前日久坂を言い負かして調子に乗る芹沢を、舌戦で完膚なきまでに叩き潰すくだり。そこまで言うことないんじゃない? と思いつつ、扇子一本で芹沢を受け流すところにみとれる。
・28話 池田屋事件に際し、助けを求めにきた亀さんを黙殺。桂さん、苦渋の決断。
・29話 久坂の遺品を届けに来た捨助を、切れ者と勝手に勘違い。生涯で最大の失態では。
・34話 「桂さんでしょ?」とおみつさんに聞かれて「知りません」と焦る。正体がばれた腹いせに最後っ屁を残していくあたりが彼らしい。
・37話 薩長同盟締結。宇梶剛史との頬擦りを強要されて、石黒氏の脳裏に「三谷殺す」の思いが走ったかどうかは定かではない。
・最終話くらい しみじみと近藤について「わたしはあの男が好きでね」と語るシーン。桂さんは、やはりどこまでもまっすぐで、若くして散った師と近藤を重ね合わせていたのでしょうか。

徳川幕府を打ち倒し、この世の栄華を味わったのかと思いきや、その後も苦労を重ねた末、病気で死んでしまいます。ついでに言うなら同じ年に西郷は自決,大久保は翌年暗殺。そのことを考えると、彼らも新選組と同様、見えざる手によって躍らされた者たちだったのかもしれません。

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November 02, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑩ 井上源三郎の巻

だらだら続いている当コーナーも、気がつけばリニューアルして10回目。
今回は新選組のおやっさん、井上源三郎氏に思いを馳せてみます。

序盤は庭師というか、寺男というか、使用人みたいなイメージで登場した源さん。その姿はまるで、いかにも我々の身近にいそうな、「普通のおじさん」。ま、この方だって幼い頃から修行に明け暮れてたり、鳥羽伏見で戦果を挙げてたりと、なみなみならぬ剣客だったことは確かです。でも、わたしとしてはこの「どこにでもいるおじさん」みたいなところが親しみやすくて良かった。他の面々も親しみやすいことには変わりないですけど、身近にいるかといえば・・・・?というタイプがほとんどですから。そのひょうひょうとした立ち振る舞いは、暗殺やら討ち入りといった暗い場面でも、なにかしらほっとさせてくれるものがありました。
みな若い新選組にあって源さんの経験と人徳は、大いに頼りにされたに違いありません。逆に言うと、そういうポジションの人が源さんくらいしかいなかったことが、新選組の限界だったのかも。
鳥羽伏見以降、新選組は急速に結束力を失います。一番の原因は「時勢が変わった」からでしょうけど、源さんという影のまとめ役がいなくなってしまったことも、大きな要因のひとつではないでしょうか。

演じるのは、三谷さんの古くからの朋友、小林隆さん。お二人とも、やはり大河ドラマである『黄金の日々』の大ファンだそうです。わたしは見たことないんですけど。
今回大河という大仕事をやるにあたり、三谷さんかなり頼りにしてたんじゃ・・・・と思いますけど、小林さんはよくテンパッて洒落にならない失敗もするとのこと(『ありふれた生活』より)なので、信頼半分、心配半分というとこでしょうか。
みなさんは『古畑任三郎』で第二シーズンあたりから目立ちはじめた“向島巡査”がなじみ深いのでは。わたしは教育テレビで放送してくれた舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン』の「佐渡島くんのお父さん」役が記憶に強く残っています。具合の悪い息子の代わりに、喪服を来て舞台の裏方を手伝うおやっさんの役で、気を利かせてパタパタ走るものの、かえってとてもうざったいという、これまたいかにも周りにいそうなキャラ。
『竜馬におまかせ』ではゲストで吉田松陰(ゾンビ)もやってました。

名場面集です。
・第1話 沖田に墨を塗りたくられるシーン。いきなりこれですからw
・第5話 婚姻の宴に忍びこんできた斉藤をかる~く取り押さえるシーン。「下男だとばかり」と山南さん。無理もありません。
・第7話 襲名披露パーティから帰ってきたところ、野際に白粉の匂いをかぎつけられてどつかれるシーン。“やることはやってるんだな”と思わせます。
・第11話 旅立ちを前に親戚の子供たちが訪ねてきて、いっしょに遊びに出かける場面。源さんの人柄がしのばれます。
・第12話 「わたしの名前がないんです~」と組み分け表の前でウロウロ。グループわけの時、よくこういう人いますよね。・・・・おれだよ。
・第27話 平助を問い詰める局長の隣りで、「言いなさい」とピシャリ。あなたはおかあさんですか。
・第34話 愛人を隠そうとする近藤につきあって、下手な芝居をしたり、まんじゅうをたらふく食べさせられたり。まあ優香とくっつけたんだから、いいんじゃないの。
・何話か忘れましたが、嫁を娶った永倉が「おまえらも身を固めたらどうだ。源さんは別として」という言葉にしょげる。永倉め、イヤなやつだ。
・第39話 切腹に追い込まれそうになった周平のために、渾身の土下座を見せる。何度でも言いますけど、いい話です。
・第45話 またも周平をかばい、鉄砲の前に仁王立ち。そして壮絶な最後。
 その後局長にあいさつにきて、照れくさげに笑い、「できればみんなと一緒に帰りたかった」というところは、涙、涙でございました。

こうしてみると、かっこいいシーンは片手で数えられるくらいですね。そんなところがまた親近感です。

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October 14, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑨ 斉藤一の巻

今回は組随一のヒットマン、斉藤一さんに御登板ねがいます。
ブーム以前にも斉藤さんは色々な作品に顔を出していまして、味のある名脇役として活躍されていました。例を挙げるなら『るろうに剣心』『警視庁草子』『壬生義士伝』など。この中で特に強い印象を残すのが『壬生義士伝』。聞き手の学生に「いい? 人を斬るのって、それはそれはキモチいいんだよん。ぐふふ、ぐふぐふ」と語る。 ・・・・ってこれじゃあモロ変態じゃねえか(汗)。
まあ多少の差こそあれ、斉藤さんはこんな風に斬殺愛好家、みたいに書かれることが多かったようです。土方の命のもと、幾つもの汚れ仕事を行ってきた経歴がそんなイメージを抱かせるのでしょうね。
今回はこの斉藤像を幾らか踏まえつつ、ごく普通の若者としての彼も描写されていました。
最初彼はヤクザとほとんど変りのないような男として、我々の前に登場します。腕に覚えはあるものの、どう用いたらいいかわからず、鬱屈した日々を送っていたのでは。おまけに人斬りという危険な快楽にちょっと目覚めちゃったりもしています。
そんな彼を変えたのは、近藤勇から受けた恩であり、組の仲間たちからの友情と信頼でした。「彼らのために」と思う心が、斉藤さんの剣にポリシーを与えたのです。まあやってることは同じ人斬りなわけですけど、当初観られた危険な光は、もうその目にはやどっていません。これは「成長」とよんでいい・・・・んだろうか。

ご存知の方も多かろうと思われますが、この方、斉藤の前は山口二郎を、後は藤田五郎を名乗っておられました。どれも「その場で適当に思いつきました」みたいな名前ですよね。時代の影に生きた彼らしいネーミングセンスです。

演じるは若手人気俳優でもトップの位置にいるオダギリ・ジョー。いうまでもなくデビュー作は『仮面ライダークウガ』です。その後ドラマに映画にと引っ張りだことなりました。現在も『SHINOBI』『メゾン・ド・ヒミコ』が公開中です。なんだか年中暗い顔してる役ばっかり回ってきてるようで。ただ、『パッチギ!』では久々ににこやかなヒッピー学生を好演しておられました。
これから公開される三谷さんの映画『THE 有頂天ホテル』にも出演されるようです。三谷さんは初代ライダーが大好きなようですが、やっぱり『クウガ』も観てたんだろうか?

名シーンを
・第1話序章。作戦の説明がなされてる側で後ろを向いていて、土方に「聞いてんのか!」と言われる。明らかに聞いてません。
・第5話。あつかましい債務者にキレて、彼を斬ってしまう。瞳孔がおっぴろがっていてキモチよさそうです。
・第16話。無礼な久坂玄随にキレて、「こいつ、斬っていいですよね」 ♪ナイフみたいに尖っては
・第17話か18話。近藤さんを侮辱した平山に「こんどやったらゆるさん」と鼻筋をピッ(イタソー)。このころはまだ狂犬ですね。
・第18話。親睦相撲でみんなから応援されて、初めてニンマリ笑う。「頼られるっていいなあ」と感じた瞬間。
・第19話。前にも書いたお線香のエピソード。悪い友達との付き合いがやめられず、悩むハジメちゃん。
・第25話。芹沢粛清に向かう面々を、体を張って止めようとする。わずかでも、受けた恩は忘れないというあたり、「本当はいい子なのね」と思わせるシーン。
・第30話。土方に頼まれて潜入したはいいけど、それがもとで謹慎させられるハメに。それでも誰にもぶーたれないのは偉い。
・第33話。実はもともとのホンには、斉藤が沖田に介錯を教授するシーンがあったとか。「山南さんのためだ」
・第34話。やっとこ近藤夫人に借りを返しはいいものの、うっかりいらんことまで言ってしまい、落ち込むシーン。ここだけキャラが違う。
・第39話。結婚を決めた原田に、「やる!」と謎の木彫りを進呈。「なんか知らんが、もらったぞ」
・第45話。源さんの死に怒り心頭。官軍をバッサバッサと斬りまくる。錦の御旗も眼中に無し。
・第47話。「この旗が、オレを救ってくれた!」 斉藤くん、渾身のシャウト。翌週えらく照れていました。

新選組には生き残りもちょこちょこいますが、その後も一番激動の人生を送ったのは、たぶん彼でしょう。女子校に勤務したこともあったとか・・・・・ 永倉さんや島田くんと違ってなんの覚書ものこしていないところも、また彼らしいですね。

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September 25, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑧ 藤堂平助の巻

今回は「試衛館マスコットボーイズ」の片割れ、藤堂平助くんについて。

ブーム以前、近藤・土方・沖田以外にスポットがあたることはめずらしいことでした。そんな「その他大勢」の中でも、平ちゃんはさらに影が薄い存在だったような気がします。それでもごくたまにある、物語における平ちゃんの描写を拾って行きますと
・育ちがいい ・冗談好き ・学がある ・伊東に心酔していた
こんな感じでしょうか。
しかしの三谷さんが目をつけたのは上のどれでもない、「意外に若かった」という要素。そこから「同年代の沖田に憧れと嫉妬をいだく、心優しい青年」のスケッチが出来上がったようです。

さて、平ちゃんはわたしの予想を二度にわたって裏切ってくれた、にくいあんちくしょう、でもございます。
一度目は前述したように、沖田との関係において。前半ひでちゃんに懸想しているような描写がいくつかあったので、もしかして新選組を離れる原因は嫉妬が高じて・・・・・となるのかな、と。しかし平助はねたみに駆られて嫌なキャラになるということはなく、最後までいいヤツのままでした。これはまあ、裏切られてよかったです。
二度目は第40話に関して。実はわたし、たまたま早い段階で、第40回のサブタイが「平助の旅立ち」となることを知ってしまったのです。それで「40回っていやあ、たぶん油小路のあたりだよな。ひょっとすると平チャンはなんとか生きのびて、どこかへひっそり旅立つのかな」と。しかし結果はみなさんご存知の通りです。無論そんな風に史実をねじまげた話にしたら、さらに多くの抗議が殺到したことでしょう。でもできることならわたしはそうして欲しかった。それくらい、彼の最後は痛ましいものだったので。

演じるは歌舞伎出身の中村勘太郎くん。そちら方面ではいまも熱心に活躍されているのでしょうけど、いまだに『組!』以外で彼を観たことがありません。
で、彼の家系をたどるとこれがすごい。まずお父さんが元勘九朗の現勘三郎。おじさんが孝明陛下の中村福助。さらには弟が『ラスト・サムライ』の明治陛下・・・・ とまるで擬似天皇家といった感じであります。彼が平助に選ばれた理由のひとつは、こういう「生まれの良さ」にあるような気がします。

恒例の名場面集です。
・「すいません~」と謝るシーン。特に前半は彼が謝るシーンがやたらと多く、「腰の低いやつ」というイメージが定着してしまった。
・前にも書いたけど第5話。「わたしの名前を覚えていてくれた!」哀しいよな・・・・
・第7話。夜の宿場町を沖田と二人語らいながら歩いている場面。お互いの悩みを打ち明けあうボーイズ。これが青春です。
・第18話。嬉々として親睦相撲を仕切る平ちゃん。野口くんと仲良くなったりとか、「わたしには命を投げ出してもいい方が二人いて・・・・」のセリフとか、けっこう重要なエピソード。
・第24話。ひでちゃんをデートに誘い、珍しくいい目みてるなあ、と思ったら、帰った途端彼女は沖田の方に。あんまりです。
・第26話。沖田のホッペについた米粒をとってあげるひでちゃんを見て、真似してみたが・・・・ だから哀しいんだよ、チミは。
・第27話。京都が火の海になるかどうかという時に、沖田の名を騙って芸者遊び。しかも局長にばれてしまう。でも局長はこのとき「お前はに比べればあいつはまだまだ子供だ」と、なかなかいいことを言っている。
・第28話。池田屋突入。ちょっと一息♪、と額当てを取った瞬間、背後からガスッと斬り付けられるシーン。痛そうなんだけど、やけにさわやか表情でした。
・第40話。別れを前に沖田と語り会うシーン。「今度は負けません」「せめて。相打ちに」後のことを思うと辛いです。例の隊服を贈られるところも印象深いです。
・第43話。「またひとり、逝ってしまった・・・・・」

地味、低姿勢、もてない、不器用というあたり、平ちゃんは試衛館でもっともわたしに近い人物でありました。そんな彼から学んだ事は「命をあげてもいい人は、せいぜい一人にしておこう」ということ。だって命はひとつしかないわけですから。

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September 03, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑦ 原田左之助の巻

ま、今回は順当に。

「時代に早すぎた男」ってのはよく聞くフレーズです。しかし原田左之助は、逆に「時代を間違えてきた男」とでもいうべきでしょうか。気性とかいでたちとか、なんか戦国時代の野武士みたいですよね。個性派ぞろいの新選組の中にあって、なお異彩を放っておりました。
今回原田くんに割り当てられたのは、「場を明るくする」という役割。名作『七人の侍』に、「うではイマイチなんだけど、明るい空気を持っていて、苦しい時には重宝な」キャラがいました。『新選組!』にあって、原田くんはまさにそんな存在でした。三谷さんは年末SPの座談会で「(セリフを)書いてて楽だったのは左之助」とおっしゃってました。執筆中、内容が内容だけに気の滅入る部分もあったでしょう。そんな三谷さんの「癒し」になっていたのは左之助のギャグだったかもしれません。えらいぞ! 左之助!
さて、今回有名になってしまったトリビアのひとつに、「原田左之助は切腹して失敗したことがあった」というものがあります。あの・・・・・ 普通、腹を切ったら死ぬんじゃないでしょうか? 人体にはまだ我々の知らない神秘が隠されているようです。

腹だ、じゃなくて原田くんを演じたのは、「ダンス甲子園」出身の山本太郎さん。実はわたし「元気が出るテレビ」ってみたことありませんでした。だもんで、初めて知ったのはNHK朝ドラ(またかい)『ふたりっこ』。片方のヒロインと恋仲になる、金持ちの御曹司の役(笑)。ちなみにその恋敵が伊原剛史さんで、こちらは平凡な床屋のせがれ・・・・ 普通逆だろ。
藤原くんと共演した『バトル・ロワイアル』は川田役でも知られているようです。最近はトップランナーの司会役も務めています。わたしが好きなのは『GO』のタワケ先輩役。あまり出番はありませんが、強烈な印象を残します。

では名(迷)場面を
・初登場の第2回。盗みに入ったところを見つかったのに、全然悪びれない。「生まれは伊予、好物は○○、好きな女は○○・・・・」 でかい・・・・
・再登場の第7回。関係ない宴席にちゃっかりとあがりこみ、あげくの果てに「あんたについていく!」 やはりでかい・・・・
・運命の第9回。「つねさーん。大福どこかなー。大福って・・・・素晴らしい・・・・」この盗み食いが歴史を動かした。
・とんで第22回。相撲大会にて高見盛のパフォーマンスを披露。三谷さんと「責任問題になったら、一緒に罪をかぶろう」と申し合わせていたそうです。
・第25回。平山を逃そうとしたら、逆にピンチに陥ってしまった山南さん。それを助けたあとで「戦場でためらったヤツはしぬんだよ」。あまり彼らしくないセリフではありますが、過去の苦労を想像させるシーンです。
・第27回。恋に燃えて大根を振り回すシーン。目がいっちゃってます。そしてこのあとえんえんとフラレ続けることに・・・・ 史実の彼は男前だったらしいですけど。
・第30回。作戦中おまさちゃんを助けに行ったことが問題になり謹慎。でも「むしろ楽」とか言っている。このあと造反組が全員おしかけることになり、状況は一変するが。
・第37回(だと思った)。「退屈だから」と沖田、藤堂を誘い、本願寺を探検。案の定お宝の巻物を「ビリッ」とやってしまう。わざとやってるとしか思えん。
・第38回。河合を助けようとバクチですってスッテンテンに。ただ、最後ハラハラと泣いているところはこちらも涙を誘われた。
・第40回。永倉・斎藤を勧誘する伊藤の前にしゃしゃり出て、「なんで俺は誘わないんだよ」と逆ギレ。で、みんあいなくなったあと、残ったご馳走をせしめる。
・第47回。別れの場面。「そう、おれ、アンタに感謝してる・・・・ でも・・・・」 ショパンをおかけください。

原田くんはこの後彰義隊に加わり華々しく散った、と言われていますが、それほど確証があるわけではないようです。また、大陸に渡り馬賊になった、なんて伝説もあります。ホント、漫画みたいなひとですね。「おれの人生もこれからだーッ」と叫んでいたように、その後も永く生き続けたと信じたいところです。

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August 15, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑥ 坂本竜馬の巻

おしらせ
大河ドラマ『新選組!』に関しては記事が多くなったので、最新記事以外は「映画・テレビ」から専用カテゴリへと移しました。ご興味おありの方は右サイドバーのカテゴリ欄「新選組!」をどうぞクリックしてくださいませ。

というわけで「違うだろ!」と突っ込まれたみなさま、そういうことです(なにがよ)。
確かに坂本竜馬が新選組に入隊していたことなど、あるはずもございません。が、大河ドラマ『新選組!』において坂本さんは、隊の中心メンバーと同じくらいの比重でもって描かれていたのではないでしょうか。
少年マンガはライバルが大事。力石あってのジョー、流川あっての花道。当ドラマが少年マンガを意識していたとすれば、やはりライバルに関して一遍語っとかんといかんでしょう。
もっとも、坂本さんはなかなか、というかとうとう近藤氏と真っ向から対決することはございませんでした。一応、国を思う心は二人とも同じだからです。二人が違っていたのは人命と忠義、どちらを優先すべきか、という点。坂本さんの考え方はどちらかといえば今のわたしたちに近い。けれど「武士」にこだわる近藤さんにとって、「忠義」はどれほどの血を流しても守らねばならないものだったのです。そんなふたりの対比が興味深いところでありました。

ご存知の方も多いかと思われますが、実は三谷さん、今から十年ほど前に『竜馬におまかせ』というドラマを書いておられました。こちらはシリアスな場面がたまにしかない、それは「く~だらない」ドラマでありました(あ、わたし「くだらない」話、大好きですけど)。ダウンタウンの浜ちゃんが演じていたため、ルックス的にはかなりの開きがありますが、基本的に竜馬のキャラはこのドラマのそれと一緒です。つまり「アホウ」ということ。場の空気が読めない。むずかしいことは考えない。突然「あれやろう!」と言ってみんなをふりまわす。ただ、こうした「アホウ」というのは行動力がハンパじゃありません。薩長同盟にしろ大政奉還にしろ、なまじ知識のある人間は「そんなの無理無理」とすぐ諦めちゃいますが、彼らにそんな常識は通じません。並みのアホウなら「やっぱりダメだった」で終ってしまうわけですが、竜馬が違うのは、「実際にやってみて」実現させてしまったところです。そのスケールのデカさゆえ、普通のドラマではもっとかっこよく描かれるものですが、当作品ではかなり「アホウ」部分の目立つ坂本さんとなりました。恐らくみなもと先生のマンガ『風雲児たち』の影響かと思われます。

演じるはいまやすっかり中堅どころの俳優さんとなった江口洋介氏。自分が高校・大学時代、ドラマ界はこの人の天下でした。『東京ラブストーリー』『101回目のプロポ―ズ』『愛という名のもとに』・・・・ しかし代表作はなんといっても山本耕史くんの“あんちゃん”を演じた『ひとつ屋根の下』でしょうな。アホウだけどひたむきな“あんちゃん”像は今回の竜馬にも通ずるものがあります。近年は『救命病棟24時』『逃亡者』での活躍が記憶に新しいところ。そうそう、『戦国自衛隊』も。三谷作品では映画『竜馬の妻と、その夫と愛人』(笑)や、『古畑任三郎』第三シリーズの最終エピソードに出ておられました。

印象に残ったシーン
・第1話 ソバ代でもめる近藤と桂さんを、強引な三方一両損でおさめるシーン。および黒船を見て無邪気にはしゃぐシーン。
・第7話 土佐勤皇党に勢いで入ってしまったことをトシにズバッと指摘され、しょげるところ。
・第24話 禁門の政変に怒って、「腹踊りでもせにゃやってられん!」と荒れるシーン。前にも書いたけど、土佐勤皇党壊滅の報を聞いたせいもあるかもしれない。
・第26話 アイヌのコスプレで「蝦夷行く!」と息巻くシーン。が、おりょうさんを見つけた途端その話は明後日の方に。
・第28話 望月亀弥太の死を聞き、近藤・桂に怒りをぶちまける場面。めずらしくシリアスな竜馬はん。
・第34話(だと思った) 山南さんの死を知り、「日本を洗濯してやる!」と燃えるシーン。ギャグかと思ったら、これ実際に言った(書いた?)言葉だそうです。
・第37話 薩長同盟に際し、西郷・桂にほお擦りを強要するところ。明らかに嫌がらせだーな-。
・第?話 おりょうさんと逃亡先でいちゃつくシーン。その後のことを考えると可哀相なところです。
・第42話 「わしゃあ、こんなバカな話ばかりして暮らしたいぜよ」 しかし時代はそれを許さず・・・・

男は皆、竜馬を目指す、と言います。一方で「実は薩摩の走狗にすぎなかった」みたいなことも言われている坂本さん。みなもと先生の言をお借りするなら、彼は「自分の評判なんてどうでもええちゃ」と言われることでしょう。あ、わたし鳥の皮大好きです。  

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July 25, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑤ 永倉新八の巻

今回は女性陣の反響がいまひとつのような予感もしますが、新選組の「アニキ」、こと永倉新八つぁんについて語ってみたいと思います。
永倉さんという方は資料がたくさん残っているわりには、作り手によってけっこうアレンジの異なる方でございます。パッと見ですが、漫画『PEACE MAKER鐵』では短髪のやんちゃ坊主のように書かれていました。単に気のいいあんちゃんみたいに書かれているものもあります。そのどれもに概ね共通しているのは、裏表のない真っ正直な性格であるということ。時代劇でいうなら、遠山の金さんか一心太助といったところでしょうか。実際、三谷さんが今回永倉に託したイメージは「子供が憧れるようなヒーロー」というものだったそうです。確かに若いに似合わず、度胸と実力を兼ね備えた永倉像は、まさしく“正義の用心棒”と言った風でございました。
で、彼のまっつぐな性格がはっきり表れたのが、第30回「永倉新八、反乱」。自分は人より多く分け前をもらっているのに、「公平でない!」と怒る。野球に例えるなら攻撃側なのに、「いまのはアウトだろ!」と審判に喰ってかかるようなもんです。まっこと男子の鏡といえるのではないでしょうか。
前述のエピソードもそうですが、その気性ゆえに新八つぁんは組の拡大化のため「変わらざるをえない」局長&副長とたびたび対立することになります。この辺、第1部の家族的な雰囲気を思い出すと、なかなかに辛いものがあります。結局最後は喧嘩別れのように組を飛び出してしまうわけですが。
しかし新八さんは後年、新選組のイメージアップに務め、JR板橋駅にあるでっかい墓碑の設立などにも尽力したといいます。ぶつかりあうことはあったけれど、ココロの底では深くつながりあってたのね・・・・ うふ。

今回永倉を演じたのはお笑いコンビDonDocoDonの山口智充さん。わたしが彼を知ったのはクドカンのドラマ『木更津キャッツアイ』の山口さん(まんま)役。ヤクザという設定だったのでちょっと強面だな~、というのが第一印象でしたが、その後『ワンナイ』などで本当に芸達者なかたであることを知り、イメージが変わりました。歌もうまいし。で、今回はまたガラッと変って重厚な演技を披露。ただただ感心するばかりです。だけど最近ちょっとCMで荒稼ぎしすぎですよね(笑)。相方のことも考えたって!

印象深いシーンを。
・第2話。近藤・土方と初めて対面する場面。歴戦の兵と思いきや実は・・・・「年下かよ!」
・第6話。「あなたにこんなことはしてほしくない!」と訴える近藤の心に打たれ、仲間たちを敵に回すシーン。うーん、青春ですな~!
・何話か忘れましたけど、親友宇八郎のために、隠れて大工のバイトをしてるシーン。その格好が似合ってしまうところがまたなんとも。
・第12話。根岸友山に声をかけられたあと、手元を見ずにパチン、と刀を鞘に納めるところ。これ、けっこう難しいらしいです。
・これも何話か忘れましたけど、お梅さんに「永倉さん、好きかもしれん」と言われ、つい胸筋が反応してしまうシーン。ムッツリスケベの疑惑浮上。
・第22話。嬉々として原田と相撲大会のチラシを配る場面。「おれたちは別に(プライドとか)気にしないもんね~」。こういうこだわりのなさが、彼を明治まで生きながらえさせたひとつの原因だったかもしれません。
・第32話。原田と(またか)山南さんを逃がすためにわざとらしく芝居をするところ。なんか楽しそうでした。
・第39話。皆を家に呼んで、新妻とのおノロケをえんえんと見せつけるシーン。少々腹が立たないでもないが、この時彼が「おれは副長とじっくり飲みたいんだ~」と、土方を引き止め続けたおかげで、周平ちゃんは命を永らえることに。よしとしましょう。
・第43話。何度も立ち向ってくる平助に対し、悲しげに首を横に振るシーン。
・第47話。「もう我慢ならん!」とばかりに組から離脱する場面。やや唐突に感じられたが、この直前に奥さんを亡くしたり、本命が自分でなかったことがわかったりで、彼もいっぱいいっぱいだったのかも。
・最終話。「あの人を悪く言っていいのは・・・・ 俺だけだ!」

近藤と共に試衛館を発った八人の中でも、池田屋に最初に斬り込んだ四人の中でも、維新の嵐をくぐり抜けて天寿を全うしたのは彼だけです。多少のラッキーはあったでしょうが、これってかなりスゴイことなんじゃないでしょうか。そして彼が多くの記録を残してくれたおかげで、わたしたちは新選組について詳しく知ることができるのです。折りよく『歴史読本』最新号の特集は「永倉新八と『新撰組顛末記』の謎」となっております。ご興味おありの方はどうぞ。


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July 10, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー④ 山南敬助の巻

今回は試衛館の癒し系NO.1、山南敬助さんについて語ってみましょう。
彼の名を初めて知ったのは、童門冬二氏の小説『新選組が行く』。温厚で面倒見がよく、皆から「サンナンさん」と呼ばれて慕われていた、と書かれていました。『燃えよ剣』では、思想のいらない新選組にあって、思想にこだわっていたために浮いてしまった男として書かれています。
今回の大河ドラマでは、やはり穏やかでいつも笑顔を絶やさない、けれどその裏で色々と苦悩している山南さんが描かれました。三谷さんが言っていたこのドラマ最大のヤマ場とは、恐らく第33回「友の死」における、彼の脱走→切腹のくだりだと思われます。都合上手を組んだ芹沢とは違い、山南さんは近藤たちにとって正真正銘、身内に他ならなかったはず。その身内を自分たちの手で粛清しなければならない(本人が望んだこととはいえ)。組をより一層強固なものにするために・・・・・ しかしそれほどの犠牲を払ってまで、守るべきものは果たしてあったのか? その答えは、観た者一人一人が出さねばならないものでしょう。
組のために身を投げ打って奔走してきた。けれど気がつけば、組からは必要とされなくなっていた。それに気づいたときの彼の心情を思うと、本当に切なくなります。しかし彼は怒りも嘆きもせず、いつものあの笑顔でこっそりと組を離れます。一時は可愛いひとと新たな人生を歩むことも考えたことでしょう。けれどやはり彼は、最後まで組のために尽くす道を選びます。そこまで身を捧げられるものを見つけることのできた山南さんは、確かに幸福だったと、自分は思いたいです。
「鉄の規律」で知られる新選組ですが、自ら望んで腹を切った者は稀です。幹部連に至ってはなおさらそう言えます。切腹が倫理上責められるべき行為なのかどうかはさておき、そういう意味では彼こそはまさしく真の武士であったと言えるのではないでしょうか。

今回山南を演じたのは若手俳優、堺雅人氏。あの特徴的な笑顔・・・・どんな感情も包含してしまう・・・・はアクの強い試衛館のメンバーの中にあっても、ひときわ強く印象に残っています。
もともと舞台で長く活躍されていたとのこと。わたしが初めて名を覚えたのは、朝の連続テレビ小説『オードリー』。番組つくりに情熱を燃やすプロデューサーを好演されてました。他には特に見てないんですけど、映画『壬生義士伝』では沖田総司を演じていたそうで。最近では小説原作のSPドラマ『空中ブランコ』で、なぜかサーカスの花形を演じておられました。この作品、友人に録画したものを借りたんですけど、まだ見てません(ごめん。ゼンザイ!)。

印象に残ったシーンを
・第4回。桜田門外の変に居合わせて「すごいっすよ! ぼくらみたいなペーペーでも時代を動かせるんすよ!」と、落ち込む近藤などおかまいなしにはしゃぐシーン。
・第7回。奉納試合の再、デコのお皿を割られ、負けたのに「よく出来た!」と微笑むシーン。難しい撮影だったので、素で「よかった♪」と思っていたらしい。
・第13回。横柄な組頭に「水を汲め」と言われて、例の笑顔でつっぱねるシーン。ただニコニコしてるだけの人じゃない、ということがよくわかる場面。土方が助け舟を出してくれるところもいい。
・第15回。珍しいチャンバラのシーン。清河と切り結びながら、気迫とは裏腹に「死んではなりません」とつぶやくシーン。
・第17回。芹沢と土方がヒートしてる横で、「こういうのはどうでしょう♪」とのんきに役職のネーミング案を出しているシーン。この回はゲストが帰った後で、「そういえばあれはああでした」と言って、土方につっこまれるところも笑えた。
・第24回。芹沢暗殺を討議してた場面で、「できれば穏便にいきたい」と言っていたのに、永倉が帰った途端「斬るべきです」。意外にワルなところもあるのね。
・第31回。明里と逢引のあとルンルン気分(死語)で帰ってきたら、葛山の死体を目にして愕然。怒りにふるふると震えるシーン。土方曰く「そいつを殺したのは、お前とオレだ」
・第32回。明里に物覚えが悪すぎると、八つ当たりするシーン。この人は第7回でもこむずかしい話題をふってコンパに敬遠されていた。お水系の店では迷惑がられるタイプと見た。
・同じく第32回。黙って出てきゃいいのに、ついつい沖田に「剣先がさがっているね」とアドバイスしてしまうところ。
・第33回。形だけ探しに来た沖田の前に、自分から出てきてしまう山南さん。わかっちゃいるけど「なんであんたはそこで出てきちゃうんだよ、バカ!」とがなりたくなるシーン。
・同じく第33回。料理を出されて「目で楽しませていただきます」と悟りきった表情で言うシーン。そして明里との別れ。悲しいのを懸命にこらえる明里ちゃんに、涙、涙でございます。

この人放映中、女性人気第1位だったそうですね。年末には第33回がアンコールで放映されたりもしました。ここまで惜しまれる山南像を作り上げたことに、三谷さんも満足しておられるのではないでしょうか。

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June 24, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー③ 芹沢鴨の巻

久しぶりのこのコーナーです。今日は壬生浪士組きっての暴れん坊にして筆頭局長の、この方について語ってみましょう。
第二部である13話~25話は「鴨編」と作者が呼ぶほどに、芹沢氏がメインのパートでした。才覚はあるのだけれど、感情を御しきれない一人の男が、運命の女と出会い、徐々に破滅へと向かっていく・・・・ 他作品ではひたすら可哀相な人として描かれることの多いお梅さんが、本作ではむしろ芹沢をけしかけていた点が独特でした。
弟分だった近藤がめきめきと頭角を表して来たのも、彼の暴走をあおったようです。人を疑う事をしらない一途な青年と、何度か挫折を経験してるがゆえにひねくれてしまった中年。この対比は三谷さんがしばしば用いるモチーフの一つです。だからでしょうか。この第二部が、全体の中でもっとも完成度が高いと感じるのは。
「あの人は天狗党のことを持ち出されると途端にダメになる」ということを、相棒新見錦が語っていました。水戸のころなにがあったのかは、ついぞはっきりとは語られませんでした。しかし、おおよその予想はつきます。家柄のいい粕谷粧五郎になにやらコンプレックスを抱いていたこと。そして解説で触れられていた、突然部下三名を斬り捨てたという事件。牢内で自分の小指を噛み切ったってえくらいですから、よほど腹にすえかねることでもあったのでしょう(それとも自分自身が歯がゆかったのか?)。
いよいよ追い詰められてきた時、逃げ出して命を永らえることもできたと思います。しかし彼はあえてとどまり、近藤たちの踏み台になることを選びました。それはひねくれまくってしまったオヤジが最後にみせた純情だったのかもしれません。

今回鴨ちゃんを演じたのはベテラン佐藤浩市氏。彼が演じたことにより、ギラギラした野性味を残しつつも、これまででもっともかっこいい鴨ちゃんになったのでは。漫画作品なんかだと、どれもこれもすげえ顔に描いてありますから。芹沢氏は。わたしが佐藤さんを最初に認識したのは現代版仕置き人の『新・ハングマン』というドラマです。その他出演作をあげればキリがありません。新選組系では斎藤一を、大河では源義家をやっていたこともありました。でも結局一番馴染み深いのはリゲインの「喝!」というあのCMだったりして。

印象に残ったシーンです。
・第5話の初登場シーン。自分が裁いた鯉を近藤に「食えよォ」と迫る。この言葉がこんなにあとあと引っ張るとは・・・・
・12話、浪士組出発のミーティングにさいし、でかい鐘をどんつくどんつく突きまくるシーン。あれ、一回やってみたいですねえ。
・13話。タイトルにも付いてるけど、宿で鳥小屋が割り当てられてしまい、大爆発してしまうくだり。「俺、気にしてないから」みたいなことを言っておいて、当てつけのようにでかい焚き火をたく。タチ悪い。
・お梅さんとの出会いのシーン。無言で(デコに醤油ついてるよ)と教える。こっちはなかなかイキです。
・沖田との絡み。「こいつに汚いもんたくさん見せてやりてえんだ」。悪い大人です。
・子供に竹とんぼを作ってやっていたのに、「いい人ですね」と言われた途端、へし折ってしまう。また、桂さんにコテンパンにやられて、近藤さんが慰めに来ると、泣いてたくせに強がってしまう。・・・・すげーわかりやすい(笑)。
・殿内を切り捨てたことをなじる近藤に、「お前が騙されてると思ったんだよ!」と叫ぶシーン。幾分か真実味が感じられるだけに、ちょっとカワイソ、と思いました(殿内は気の毒ですが)。
・ぶつかっただけの又三郎を切り捨てる場面。こっちは同情の余地無し。もう壊れてます。
・最後近く、お梅さんに「田舎で寺子屋でも・・・・」と言われて、なんとも言えない表情をするところ。バックの紅葉が美しゅうございました。
・「新選組」の名を見せられた時、「いい名前じゃねえか」と微笑む。すでに覚悟をきめておられることがうかがえます。男子たるもの、引き際はこうありたいものですが。
本ッ当に回りにいたら大変だよなあ、こんな人。でもどこか憎めない。そんな鴨ちゃんに胸がキュンキュンさせられました。洗面器は、はい、ここ。

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June 05, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー② 沖田総司の巻

Kakakaiさまより教えていただきましたが、なんとびっくり、年末に新作SPが放映されることとあいなりました。
「いまだに」というより「いまこそ」という感じになってきて、めでたいことこの上ありません。
でははりきって参りましょう。幕末アイドルNO.1沖田総司くんの出番です。

沖田総司というと、普通はみなさん「薄幸の美青年」を思い浮かべるようですね。ところが実際の資料によると、「男前だった」と書いてあるものはどこにもない。むしろ色黒でヒラメ顔だったなんて、イメージぶちこわしの証言すらあります。子供に優しく、気さくな人柄だったというのは本当だったようですが。
「美形」というイメージが一般に広まっていったのは、やはり司馬先生の『燃えよ剣』からではないでしょうか。なんせ地の文にくどいくらい「可愛い」「可愛い」と書いてあります。もっとも司馬先生も、このイメージは沖田研究家の森満喜子という方から受け継いだもののようです。ともあれ、幕末のスターは数あれど、勝手に美形にされてしまったのはこの方くらいでしょう。

さて、『新選組!』における沖田くんですが、メンバーの中で最もいじめられたキャラでしたねえ。もちろん「いじめた」のは某シナリオライターです。最初は半人前扱いで、中盤は悪党と悪女に翻弄され、やっと一人前になったと思ったら不治の病に犯されてしまう。不治の病は史実だから仕方ないとしても、ラストの扱いなども含めて、「三谷さん沖田のこと嫌いなんだろうか?」と思わずにはいられません。
「わたしの好きな人はみなわたしの刀にかかって死んでしまう」というのも哀しいセリフでした。あるいはこうやっていじめぬくことが三谷さんなりの愛情の表れだったのか。だとすればかなり歪んだ愛情かと思われます。
「あいつはまだまだ子供だ」と近藤さんは言います。子供であるがゆえに、天才であるがゆえに、人の感情が理解できない。こういうキャラは普通にくまれ役になりそうなものですけど、あんまりそういう感じはしませんでした。子供特有の無邪気さが、母性愛を刺激するからでしょうか。うふ。

演じるは若手の藤原竜也くん。あんまり知らないんですけど、蜷川幸雄先生の秘蔵っ子だとか。やはり未見ですが、『バトル・ロワイアル』映画版で主役を務めたのも記憶に新しいところ。
三谷さんは座談会で「ハンパなセリフ書いたら藤原くんに怒られそうで」と言ってました。芸には厳しい方なんですかね。オフではW山本に色々小突かれていたようですが。
ファンのみなさんには申し訳ないんですけど、このひともあんまり美青年って感じじゃないんですよね。わたしのイメージは「子犬」(これ誰か言ってたっけ?)。あの目をウルウルさせてジーッと見られたら、「そうかそうか、さみしかったんかー!」と拾って帰ってしまうかもしれません。
あの妙チクリンなヘアスタイルをずっと続けたのはえらい。しまいにゃこっちも見慣れました。

印象に残っている場面を。
・序盤あたり 墨の付いた筆を持って源さんを「罰ゲームだぞー!」と追いかけるシーン。やはりガキだ。
・4話。山南さんに負けて果てしなく落ち込むシーン。打たれ弱いタイプ?
・10話。松平さまのとこから帰ってきたみんなを、ほっかむりして待っているシーン。「つれてってやりましょうよ!」というみんなの友情にホロリ。
・第2部でいろいろお梅に弄ばれるくだり。斎藤曰く「舞い上がっている」。まあ気持ちはわかるよ。
・吐血IN池田屋。先に演じた堺氏が「いい吐きっぷり」と太鼓判。蝶も舞います。
・32話。先の短いことを知り、懸命に竹刀を振るうシーン。「もっともっと強くなりたいし、もっともっと近藤さんや土方さんの役に立ちたい」。何もいえましぇん。
・38話。のっぴきならない状況に追い込まれた河合に関して、「命を大切にしないやつは嫌い」と言い放つシーン。及びその流れで39話でうどん、じゃなくて周平を「なんでもっと一生懸命やらない! ウラア!!」とタコ殴りにするシーン。もどかしさが半分、やつあたりが半分というところか。
・43話。「平助が逃げるわけないでしょう!」と叫ぶシーン。もう大人です。
・江戸に戻って。「病になったことさえわたしには得る物が大きかった」とお光さんに言うところ。もはや悟りの境地です。「あなたはおじいさんまで生きるの!」というお光さんが泣けます。

決めセリフは「わかんないな~」。果たして新作に出番はあるのか? 回想でちょこっとくらいは・・・・あるかな。

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May 22, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー① 近藤勇の巻

いささか開き直りのはいったタイトルに変更してリニューアル1回目です。
1回目はやはりこの人、鬼の局長近藤勇です。
戦前新選組は悪者だったという話は番外編でしました。そうした中にあっても近藤さんだけは、人格者っぽく描かれることもあったようです。鞍馬天狗が「立場は違えどあなたのことは尊敬していた」とか、言ってなかったかな?
けれど最近は、どちらかというと土方・沖田の引き立て役になることの方が多い近藤さん。風貌も性格もオヤジ臭さ丸出し、というイメージが一般的です。今作では久々にかっこいい?局長が描かれました。ま、主役美化は大河ドラマ&少年マンガのお約束ということで。ただ、美化してるんだけど、フォローしきれない、情けない部分も残っているあたり、三国志の劉備を彷彿とさせました。
「武士よりも武士らしく」これが今回彼をつき動かしたエネルギーの源でした。そう思わせた発端が、姑のイビリというのが少々情けないですけど。しかし、彼は最初武士にとって不可欠な「主君」というものを持っていませんでした。上様は主君と呼ぶにはあまりにも遠すぎる存在でした。その彼が松平容保という理想の主君を得た時、近藤さんは変ります。誰の命をも尊ぶヒューマニストから、尽忠報国の人斬り鬼へ。そのために敵味方多くの血が流れ、何度も悲劇が繰りかえされます。流された血に対する自責の念は、さらに彼を修羅へと駆り立てます。その行き着いた先は、板橋における斬首、そしてさらし首というあまりに酸鼻な結末でした。でも彼は己の生涯を悔いていなかっただろうし、満足して逝った・・・・・そう信じたいですね。

演じたのは国民的アイドルSMAPのメンバー、香取慎吾くん。もともと三谷さんと仲が良かったようですが、「口にコブシが入る」ということが主役抜擢の決定打となったようです。この人が今まで演じた役を振り返ると、これがすごい。サイコ・キラー、ベトナム人、知的障害者、透明人間、蘇る金狼、金髪先生、主婦・・・・ ははは。今回は不器用そうに、朴訥に演じていました。序盤の純真な近藤と、後半の鬼としての近藤をそれなりに演じ分けていたのは見事です。この途中で『ハットリくん』もやってたのだから(二重の意味で)すごい。

印象に残った場面を
・繰り返しますが、第3話。薄くらい道場の中で、トシに「武士よりも武士らしく」なることを誓うシーン
・第13話、でっかい焚き火の前で芹沢に頭を下げるシーン。土下座しているのになぜかかっこいい。
・26話、与力内山彦次郎にさんざ失礼なことを言った後、怒る内山に「だから失礼ながらと言った!」というシーン。ことわりゃいいってもんでもないと思うが・・・・ まあ土下座ばっかしのころと比べて成長したか。
・同様に28話池田屋で、「己の行いに一点の曇りもない!」(ちょっとちがう?)と見えを斬るシーン。たぶん近藤さんが一番かっこよかったシーン。
・34話、正妻と愛人が鉢合わせしてしまい、顔が固まってしまうシーン。口をへの字に曲げて失語症に陥ってしまった近藤さんに笑いが止まりません。
・ラス前、一生懸命ねばっていたのに、加納さんをまえにした途端、あっさりゲロしてしまうシーン。もうちょっとねばらんかい! と思いつつ、潔さにこころ打たれる。
・そしてラストカット「トシ・・・・・ (今度は何をしようか?)」

それなりにバッシングもあった『新選組!』。当然主役も色々叩かれましたが、わたしはこの近藤だからこそ、最後までつきあうことができたと思っています。

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April 30, 2005

今ごろ『新選組!』番外編② 司馬遼太郎 『新選組血風録』

というわけで『血風録』です。もう一つの“司馬版新選組”ですね。
長編小説だった『燃えよ剣』とは異なり、こちらは様々な隊士の列伝というか、短編集です。時系列がまるでバラバラに収められているので、新選組の歴史をおおまかに振り返ってみてからトライされるのがよろしいでしょう。
他にも違う点をあげるとするなら、登場人物に対する距離感でしょうか。『燃えよ剣』では読んでいて土方に対する愛情がひしひしと感じられるのですが、こちらでは各編の主人公に対して「ちょっと冷たいんじゃ」と思ったとが何度かありました。あんまし言うとネタバレになりますが、「・・・・・は死んだ」とあって、余韻をもたせることもなくすぐ終ってしまう。読者の感傷を拒絶しているような感さえあります。やはり司馬氏の手による短編集『幕末』もそんなテイストでした。
新選組の特長の一つにいわゆる「血の粛清」があります。退けば切腹、進めば斬り死にというあまりにも過酷な環境。本書では「血風録」とあるように、新選組の持つ、そんな血生臭い一面がよく現れています。また、どこに裏切り者がわからないという緊迫感も常にあります。ハンパな私立探偵が裸足で逃げ出すくらい、ハードボイルドな世界なんですね。
例えば「弥兵衛奮迅」というエピソードに出てくる富山弥兵衛の生涯は、固ゆで卵どころか、重金属なみにハードです。事実は時として、フィクションを軽く越えてしまうということを実感させられます。本当にこんな人がいたんだなあ、と。
そんな中にあっても、たまにひょうひょうとしたユーモアが漂っているのが多少救いになっています。やけに念入りにモチを焼いている土方とかね(笑)。くれるのかと思って手を差し出す山崎にむかって、「あげない」と言うとこがまた笑えます。
本書で目立っているのは、この二人の他にやはりというか、沖田総司。だけどこの沖田が、かなりヘンな奴なんです。芹沢排除決定のしらせを聞いたとき、「えー。芹沢さんかわいそう」と言ったすぐあとで、「でも最初の一撃はぼくがやりたい!」とぬかす。後半に入るとやや持ち直しますが、こんな変人に、よくあれだけ熱心なファンが付いたなあ、と思わずにはいられません。初期のドラマで沖田を演じた島田順司さんの功績でしょうか。
他にも近藤はもちろん、原田、永倉、斎藤、源さんがメインのエピソードもあります。観柳斎の話もありました。司馬先生と三谷さんでは、「へタレ」の扱いに大きな差があることがよくわかりました。
個人的には先にあげた「弥兵衛奮迅」と、山崎の皮肉な出自が描かれた「池田屋異聞」、近藤と沖田、それぞれの佩刀にまつわる物語「虎徹」「菊一文字」の4編が、とくに印象に残りました。
仮に幕末に生まれたとしても、絶対に新選組だけには入るまい・・・・そんな思いをいっそう強くさせられました。別項でも書きましたけど、夢を追うということは、本当に狂気と紙一重なんですねえ。

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April 27, 2005

今ごろ『新選組!』番外編① 司馬遼太郎 『燃えよ剣』

というわけで予告どおり番外編。子母澤寛の『新撰組始末記』とならび、その後の“新選組もの”全てに影響を与えたこの作品について語ります。
昨年は大河の影響か、わたしのまわりでちょっとした『燃えよ剣』ブームが起きました。みんな面白いと大評判。今さらながら司馬先生の筆力に感服致しました。
この作品が後の“新選組もの”に特に影響を与えた点を二つ。戦前・戦中は新選組は物語においてバリバリの悪役でした。政府の基礎を据えた方たちと真っ向から対立してたわけですから、当然と言えば当然です。けれどこの『燃えよ剣』が書かれたことにより、新選組も血に飢えた悪鬼の集団ではなく、それなりに夢を追う若者たちであったことが知られるようになりました。冒険小説でいうと『鷲は舞い降りた』と似た位置付けです。
もう一点。それまでは新選組といえば「近藤勇とその他大勢」というイメージでした。ところが本書により土方歳三の数奇な人生にスポットが当てられると、この後はどちらかというと土方・沖田を中心に据えた作品の方が多くなってきます。大河は一応近藤勇が主人公でしたが、この作品からも大きな影響を受けているとみて間違いないでしょう。

改めて読み返して印象的だったのは、上巻の土方の非情ぶり。姉夫婦から名刀を買ってもらった嬉しさのあまり、ついつい辻切りまがいのことまでやっちゃったりします。おいおい、トシさん、さすがにそりゃやばいよ。
その一方で沖田や近藤にはいたわりを見せ、下手な俳句なんかひねっていたりする。こういうアンバランスでクールな二枚目に、時代を越えて婦女子達はキューンと来ちゃうのでしょうね。ああ、腹立つ。
その土方も、下巻に入るとそれまでにはなかった、情にもろいような一面ものぞかせるようになります。「芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎・・・・・・それらをなんのために斬ったのかということになる。かれらまたおれの誅に伏するとき、男子としてりっぱに死んだ。そのおれがここでぐらついては、地下でやつらに合わせる顔があるか」
上巻の土方であれば、まず口にしないようなセリフです。遠からぬ挫折を予期してか、あるいはお雪という生涯の伴侶を得たことが彼を変えたのでしょうか。

土方という男には、どことなく優れた芸術家のようなところがあります。恋もするし趣味もある。でもなにより優先すべきは新選組という、優れた作品を描きあげること。そのためならいくらでも非情になるし、どんな犠牲をもいといません。けれども彼は製作の途中で、どうあがいても頭の中のイメージどおりには完成できない、という現実をつきつけられます。そこで彼は理想像を忠実に再現するやり方から、筆の走るままに自由に描くスタイルに切り替えます。だからでしょうか。北へ、北へと負け戦を続けていく中にあっても、彼にはあまり暗さがありません。むしろ意気揚揚と旅をつづけます。「新選組」の代わりに、今度はあたかも「自分の人生」という作品をえがくかのように。
長年倉庫に埋もれていたその作品は、司馬遼太郎という鑑定家に見出され、今では名画として、多くの人に親しまれているというわけです。

ガラにもなくマジメなことを書くと指がつる(笑)。次回は続けて『新選組血風録』について語ります。
補足トリビア:ブルース・リーの代表作『ENTER THE DRAGON』の邦題はこの『燃えよ剣』から取られたそうです。覚えて友達に自慢しましょう!

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April 22, 2005

いまごろ大河ドラマ『新選組!』を振り返ってみようのコーナー⑫

総集編 友情・努力・敗北

今回はくだらない小理屈などをあれこれ。
昨年暮れ、総集編を観ていて改めて思ったのは、「そういやこのドラマはナレーションがほとんどなかったなあ」ということ。大体アヴァン・タイトルでどこぞのお兄さんが背景を簡単に説明するくらい。また、既に他のところでも指摘されている点でもありますが、一話がおおむね一日くらいの長さに相当しているところも史劇としては独特でした。これは三谷さんの舞台時代からの一つのスタイルなんですが、こうした形式をとることで、我々としては、あたかも実況中継を見ているような臨場感がありました。こう考えてみると『新選組!』という作品は、これまでの大河ドラマをリスペクトしつつも、様々な点で異例な作品であったと言えます。

そもそも毎年それほど熱心な大河ファンでもないわたし(『炎立つ』などは好きでしたけど)が、なぜこの作品に限っては一話も欠かさず視聴していたのか。それは三谷さんのエッセイ『ありふれた生活』で、「今回はマンガ『風雲児たち』にどれだけ近付けるかが目標」とあったからです。『風雲児たち』の大ファンで、三谷さんの中ファンであったわたしは、これはもう「観なければ」と心に堅く誓いました。
『風雲児たち』の作者、みなもと太郎先生は、「今の若者も幕末の若者も基本的には同じ。しかし今の若者が幕末にそのまま行って、幕末の偉人たちと同じ働きができるわけではない」というようなことをおっしゃっていました。『新選組!』はこの言葉を忠実に反映していたと思います。ギャグや食事のシーンをふんだんに盛り込んで、歴史上の人物を身近な存在にする一方で、あの激動の時代のただ中で、若者たちが一生懸命努力し、苦しみ、歓喜するさまが丁寧に描かれていました。
「子供たちにもわかりやすく」「史実を忠実に追うよりも、ことの本質を伝える」「娯楽精神を忘れない」「登場人物が“なぜそうしたのか”、を丁寧に描く」・・・・・・こうしたスピリットにも『風雲児たち』の影響が強く現れています。

このドラマは史劇とであると同時に、若者達の青春群像でもありました。実際三谷さんはみなもと先生との対談で、「新選組の軌跡と、劇団での若いころの経験がすごくかぶるんです」と言っていました。仲間同士でのぶつかり合い、志をともにしていながら袂を分かたざるを得なかった友・・・・ そんなことが東京サンシャインボーイズでも色々あったんでしょうね。そんなわけでわたしは最初から「史実性」とかは期待せず、一風変った青春ドラマ+少年マンガのノリで楽しんでいました。ただ、幕末というのは史劇の中でもかなり現代に近いところであり、資料もゴロゴロ残っています。加えて、新選組にはもともと熱