December 10, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 11月編

前回の更新で年内の大河レビューは最後にしようと思っていたのですが、先のラス前回でなんか熱くなってしまったのでもう一回行きます。そんなわけで11月編。

☆第41回「歌麿筆美人大首絵」

歌麿と共に新たなプロジェクトに取り組み、活気を取り戻す蔦屋。そんな中、重三郎の母つよが病の床に臥せるようになり…

この回からしばらく「歌麿愛憎編」が続きます。歌麿というひとも写楽に負けず劣らずわからない点が多いそうで、作家さんからしたら創作のしがいがある人物ですよね。で、今回は昔から蔦重へ秘めた思いを持っていた青年として描かれております。それにしても「二刀流」っていうとかっこいいのに「両刀」っていうとポッとしちゃうのはなんでなんでしょう。

さびしげに蝉の抜け殻を見つめる歌麿。『鎌倉殿』でこれが好きなキャラがいたよな…とか思ってたらあのドラマの小道具をそのまま使ってたそうで。物持ちがいいですね。

蔦重の母つよはここで退場。彼のためを思ってわざと憎まれるよう仕向けた…というのはいかにも江戸っ子ですね。しかし実の父は毛ほども出てこないがどうなったんだ。なんか言及されてたかもしれないけど記憶なし。

この回の『風雲児たち』ポイント:『海国兵談』と林子平(名前だけ…)

 

☆第42回「招かれざる客」

おていが懐妊し、うかれる蔦重はさらに儲けるべく歌麿への無茶ぶりを繰り返す。彼の心が自分から離れつつあることも知らずに…

史実でも蔦重と歌麿は途中で疎遠になってしまったそうで。このドラマできっかけのひとつとなるのが西村屋親子。鱗形屋に鶴屋に忘八の面々と、どんな難物も落としてきた(言い方)蔦重が、唯一味方に出来なかったのがこの西村屋さん。よほど蔦重がタイプではなかったのか。

難色を示す歌麿に「ガキが生まれるんだ」と泣き落としで説得する蔦重。先月あたりから徐々に下がって来た彼の好感度が、とうとうどん底に落ちた瞬間でした。最終回も間近なのに大丈夫か主人公。

この回の『風雲児たち』ポイント:ラックスマンと大黒屋光太夫。またしても名前だけ… まあこの辺じっくりやってたら完全に横道にそれますしね。

 

☆第43回「裏切りの恋歌」

ついに決裂の時を迎えてしまう蔦重と歌麿。追い打ちをかけるようにおていは予定よりも早く産気づき、母子ともに命の危機に…

先回「バチが当たればいい」とか言われまくった蔦重ですが、この回ではあまりの不幸ぶりにネットでは「そこまでしろとは言ってない」と手の平を返したような同情ぶりでした。

そしてひとまずの決着を見た歌麿の恋心。同性の親しい人に恋心を抱いても、絶対にそれを打ち明けなかったり(『詩歌川百景』)手紙で相手を想いやりながら別れを告げたり(『BANANA FISH』)と、なぜか吉田秋生オマージュ(なのかどうか知らんけど)が随所に光っておりました。

果たしておていさんと赤ちゃんはどうなったのか。それは明かされぬまま仏壇に手を合わせる蔦重の姿で次回に。ひどい。

 

☆第44回「空飛ぶ源内」

子どもを失い悲嘆に暮れる蔦重夫妻の元に、1人の奇矯な男がやってくる。後の十返舎一九であるその男は、なんと源内が生きているという噂を話すのだった。

人はどうしようもなく悲しい時に「さすがにそれはないやろー」みたいな話に希望を見出すことがあります。蔦重にとってのそれが源内生存説だったというわけ。『風雲児たち』でもちらっとそれを匂わせていたので、もしかするともしかして…と思いましたが真相は別の方向で意外でした。果たして越中様はどんな顔してあの戯作を書いてたのでしょう。きっとニッコニコでやってたと思います。期待外れだった蔦重は「お前かよー」という失望を隠せていませんでしたが。

物をたべられなかったおていさんがふじさんが持ってきてくれたお菓子をようやっと頬張るシーンにはホロリと来ました。

この回の『風雲児たち』ポイント:源内先生が描いたという蘭画。玄白だか良沢だかに「へたくそ」とか言われてました

 

というわけで今度こそ年内最後の大河レビュー。最終回まであと5日…

 

 

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December 07, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 10月編

脚本家の森下先生がここに来て4話ごとの振り返りを始められたので、わたしも負けずに頑張ろうと思います。そんなわけで10月編。

 

☆第37回「地獄に京伝」

春町と喜三二が去り、蔦重の手元に残った強力なカードはいまや歌麿と京伝のみに。だが京伝はご政道を批判する蔦重の方針に尻込みしてしまう。

ここから数回にわたりスポットが当てられる山東京伝。いかにもナンパそうな名前の恋川春町が堅物で、剣豪みたいな名前の山東京伝がお調子者というのは面白いですね。

このエピソードで興味深かったのは「面白けりゃいい」という京伝と「風刺がなきゃダメ」という蔦重の対立。最近ネットでもこういう論争ありましたが、自分は「どっちもそれなりにないとダメ」派です(ぬるい)。ジャンル・メディアってのはいろんなものがあってこそ栄えるものだと思うので。

蔦重も定信も「春町の死を無駄にしたくない」という気持ちは一緒なのに、思い切り正反対の方向に向かってしまう。この辺のすれ違いも歯がゆうございました。

この回の『風雲児たち』ポイント:尊号問題一件。これ図にでも書かないとわかりづらいのでは…

この回の使える故事:「韓信のまたくぐり」

 

☆第38回「地本問屋仲間事之始」

京伝と蔦重は見事に決裂。それでも周囲の言葉に耳を貸さず、定信への反抗を試み続ける蔦重。一方そのころ歌麿の妻おきよは病魔に侵されつつあった。

先回あたりから権威があるのをいいことに威張り散らかす蔦重。少し前まで誰にも優しい好人物だったのに、どうしてこう感じ悪くなっちゃったのか。まあ面白い大河ってのは、主人公のダメな面・ダークサイドも巧みに描くものが多いですんけどね(その最たる例が『鎌倉殿の13人』)。もっともそれを強調しすぎるとさすがに観ていて辛くなることも。

しかしこれまでの人徳もあり、本屋仲間たちは京伝も含めて次々と彼の計画に賛同してくれることに。これで上り調子になるかと思いきや…

そしてあまりにも凄惨なおきよの最期。天(森下)はどこまで歌麿を苛むのか。喋れなかったおきよさんの唯一セリフあるシーンには胸がズキュンとしました。

 

☆第39回「白河の清きに住みかね身上半減」

蔦屋の出版物はとうとう定信の逆鱗に触れ、重三郎と仲間たちは投獄されることに。おていは彼を救うために定信付の儒者に嘆願を試みる。

というわけで歴史の年表の中では蔦重が最もしんどかったであろう「身上半減」のエピソード。これ実際はどういう刑罰だかよくわからないそうで、スタッフの皆さんが知恵を絞った結果ああいうユニークなものになったそうです。

今までさんざんボコられてきた蔦重も、伝馬町のプロの仕置きはこたえた様子。さらにおていさんに突き飛ばされ、鶴屋さんにこっぴどく叱られ… 自業自得なところもありますが、さすがに気の毒になりました。とばっちりでやはり牢屋でしばかれ、「蔦重が書けっていったんです!」と音を上げる京伝。先回の心意気はどこへやらですが、ネットでは「その通りだよね」とみんな彼に同情的でした。

ただ大衆から「身上半減」をからかわれても逆上したりせず、次のアイデアを思いついちゃうところは蔦重ならでは。彼の再起を予感させます。

この回の『鬼平犯科帳』ポイント:葵小僧の一件。池波版で珍しく史実に材を取った一編がありました。えぐい話でした。

 

☆第40回「尽きせぬは欲の泉」

お上からの処罰に大打撃を受けた蔦屋。だが彼の元に次々と新たなる才能があつまり始める。そして歌麿も蔦重の説得に心を動かされ…

「これまでありがとう蔦重! 化政文化は俺たちに任せろ!」的な次世代スター、曲亭馬琴や葛飾北斎が本格的に登場。いよいよお話も終盤にさしかかってきたな…としんみりしてきたり(写楽はこの時点で気配すらありませんが)。馬琴はとても面倒くさそう、北斎は全然遠慮なさそう。そんな二人が激突しないはずはなく… まあなんか楽しそうな喧嘩ではありましたが。「手をケガしないように気をつけろよ」とこれまた「そういうところですよ!」とツッコみたくなる蔦重の注意。

失意の歌麿も創作意欲を取りもどし、こりごりだった京伝もおだてにのせられて復帰することに。絵も描けて文才もあって色男で歌もうまい京伝先生。普通なら嫌味になりそうなのに、この性格がなんともにくめません。

 

放送の方はいよいよ今日を含めてあと2回。どんなクライマックスが待っているのでしょう。

 

 

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November 23, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 9月編

いつの間にやら2か月遅れ… がんばります、

☆第33回「打壊演太女功徳」

江戸の民の不満は最高潮に達し、とうとう打ちこわしが始まってしまう。無政府状態にならないように知恵を絞って奮戦する蔦重。そんな彼を陰から狙う者がいた。

「打ちこわし編」完結編。そして新さんの退場回でもありました。登場時はかっこ悪い場面が多かった新さん。ですがこの打ちこわし編では別人のようなかっこよさを見せます。でもそうならなくても良かった。かっこ悪いまま長生きしてほしかった。

歌麿がその生きざまを「すげえいい人生だった」と評します。悲しい出来事や結末もあったけど、それだけで人が不幸せとは限らない。そんな風に慰めてもらった気がします。

最後まで名前が明らかにならなかった「丈右衛門だった男」もこれにて退場。何も明らかにせぬまま歴史の闇に埋もれて死んでいく。非道の限りを尽くした男でありましたが、白土三平漫画の忍者のようでその最期には憐みの情を感じました。

この回の『風雲児たち』ポイント:打ちこわしの描写。江戸っ子らしく徹底して秩序だったものだった、と描かれていました。

 

☆第34回「ありがた山とかたじけ茄子」

田沼意次の政権はいよいよ幕を閉じ、その座は若き老中松平定信へと受け継がれる。打ちこわしを治めた功績を横取りしたように見えた蔦重は戯作者仲間を集めて定信への反抗を試みる。

この回で1話から重要な存在であった渡辺謙演じる田沼意次はクランクアップ。『風雲児たち』では失意のうちに退場という感じでしたが、こちらはさわやかな笑顔と共に去って行かれました。謙さんはインタビューで「彼は最後の最後まで希望を捨てていなかったと感じて演じた」みたいなことを語っておられました。謙さんと流星君はこのドラマに先立って『国宝』でも親子役で共演されてたせいか、二人の会話には全体的にあたたかいムードを感じました。

この回の『風雲児たち』ポイント:世の中に かほどうるさきものはなし ぶんぶぶんぶと夜も寝られず

あと土山様の凄惨な最期とか。

 

☆第35回「間違凧文武二道」

蔦重一同は定信の政治を批判するが、本意が伝わらず次なる策を講じることに。そんな折歌麿はおきよという女性と出会い愛を育んでいた。

凝った皮肉がそのまま受け止められてしまう…という流れ、『スターシップ・トゥルーパーズ』公開時、バーホ-ベン監督が右翼を風刺したら「この映画は右翼的だ!」と言われた話を思い出しました。そこでもっとわかりやすい過激な批判に方針転換…となるわけですが、ラストシーンの空中分解した凧が不吉な未来を予感させます。

一方で妻となる人を見つけ幸せ絶頂の歌麿くん。いまから思えば「ちゃんとしたい」というのは蔦重への思いをすっぱり断ち切って、それとは別に自分の幸せを見つけていこう…ということだったのかな。

片岡鶴太郎演じる石燕先生は今回でお亡くなりに。なかなかにホラーな退場でした。

 

☆第36回「鸚鵡のけりは鴨」

おちょくられたと知った定信は怒り心頭。蔦重とその仲間たちへの糾弾を始める。根が真面目な恋川春町は思い詰めてしまい…

大河ドラマの醍醐味のひとつはこれまで名前もしらなかった人物がこんなにも面白く、身近に感じられるようになること。恋川春町もまたそういう人物の一人となりました。「お前のためなら頭などいくらでもさげように」という殿の思いに涙し、「豆腐の角であたまをぶつけた」ように見せて最後の最後までネタを放っていく姿にクスリと笑い。ちょうど先日「ぐえー 死んだンゴ」という言葉を残し亡くなり、話題となった若者のことが思い浮かびます。この超堅物の春町と、いい加減そうなまあさんのコンビが絶妙でこれがまた好きでした。

自分が締め上げたにも関わらず訃報を聞きショックを受ける定信。この描写を見るにこの子も根は悪い子じゃないんだな…と。思いのかけちがえが多くの人を泣かせることになっていく。これが鬼の森下脚本なのでしょうか。

 

全48回だそうなので残りはあと1/4。放送の方は今日の回を含めてあと4回。いよいよクライマックスというところでしょうか。

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September 21, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 8月編

☆第29回「江戸生蔦屋仇討

意次を失い恨みの権化となってしまった誰袖。蔦重はそんな彼女を救うため、意次の敵討ちとして「江戸生浮気樺焼」という黄表紙を上梓する。

意次レクイエム編完結編。重苦しいムードが続いていましたが、1作の黄表紙を丸々劇中劇として再現するという大胆な構成。そのとんでもな内容に凍りついていた誰袖の心もようやく人間らしい感情を取り戻します。

佐野善左衛門の刃傷はどうして『忠臣蔵』ほどの伝説にはならなかったのか? 諸説あると思いますが、やっぱり「松の廊下」によく似てて二番煎じっぽかったことと、『忠臣蔵』でいえば内匠頭が切腹したところで終わってしまうので盛り上がりに欠けるためかな…と。当時はそりゃ大変な事件だったでしょうけどね。

「江戸生浮気樺焼」の挿絵のキャラが矢本悠馬に似てるから佐野役に彼が起用されたのでは…なんて説がXでは噂されてましたが、本当だったら面白い。

 

☆第30回「人まね歌麿」

新作の売れ行きも好調な中、蔦重はここらで本格的に歌麿を売り出そうと策を巡らす。だが歌麿は見捨てた母親のことがトラウマで未だに夢でうなされ続けていた。

夏らしい怪談調のお話。昔は特撮でも夏になると無駄に怪談的なエピソードやってたような。

これもXの受け売り(…)なんですけど、なるほどと思ったのは蔦重は人を集めたりとか宣伝の才は抜きんでているものの、創作の方は自分でも認めてたようにいまいちなところがる、ということ。だから創作の苦しみにウンウン苦しんでる歌麿の問題を解決してあげることは出来ない。それが出来るのは同じ絵描きである石燕先生だった…という流れ。

かくして無事蔦重の元に戻って来た歌麿ですが、一皮むけるために彼の元を離れることに。なんだか『北の国から』みたい。歌麿が去って寂しそうな蔦重を寂しそうに見るおていさんがちょっとかわいかったです。

 

☆第31回「我が名は天」

度重なる異常気象のため、江戸では米不足が深刻な問題に。めぐりめぐってそれがささやかな幸せを育んでいた新之助一家に悲劇をもたらしてしまう。

打ちこわし編前編。これまでで一番辛い回でした。善意で蔦重が与えていた米が遠因で、ふくさんと赤ちゃんが犠牲になってしまう。こんなことなら吉原足抜けのところでそのままフェードアウトしちゃえばよかったのに… 「鬼の森下脚本」の噂は度々聞いていましたが、その真骨頂を見せていただきました。鬼!! そして普通なら復讐の鬼と化しそうなところで、下手人と自分を重ねてしまう新さんがまた悲しい。

十代将軍徳川家治さんもこの回がクランクアップ。悪の首領である一橋治済に詰め寄るシーンは鬼気迫るものがありました。それでも悪の方がだいぶ長生きしてしまうのが史実の悲しいところ。アホと思われてた将軍が新解釈で描かれていたのは『篤姫』の堺雅人を思い出したり。

 

☆第32回「新之助の義」

さらに加速していく米不足。しかし幕府の政争や米問屋たちの企みのために問題は一向に収束の兆しを見せない。貧しい人たちの怒りはついに頂点に達する。

打ちこわし編中編。恐らく2,3年前から書かれているであろう本作ですが、令和7年のあれやこれやとシンクロすることがあまりにも多く、今回の米問題にいたっては「森下先生って予言者?」とささやかれるほど。

町人の身でありながらなんとかことを穏便に運ぼうとする蔦重。しかしお上の怠慢のせいで空回りして長屋のみんなからボコボコにされてしまいます。それでも全くめげずにまた長屋に来るあたりすげえと思いました。そういやこの人ボコボコにされるの割と得意?だったわ… そんな彼の打たれ強さに改めて感心。

本格登場となった松平定信(ウルトラマンタイガ)、長屋の感じ悪いヤンキー(仮面ライダーパラド)と、特撮出身者の活躍が目立った回。『キングオージャー』でブレイクした「丈右衛門だった男」矢野聖人氏の暗躍ぶりもヒートアップ。コンビで芝居してる妙に顔のいいホームレスは誰だ?…と思ったら悪の首領・一橋治定でした。ヒマなのか趣味なのか…

 

残りもいよいよ3分の1となりました。なのに写楽が一向に出る気配がない(笑) 終盤駆け足になりませんように。

 

 

 

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August 31, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 7月編

☆第25回「灰の雨降る日本橋」

あきらめかけた日本橋の店が、ひょんなことから蔦重の手に入ることに。そんな折浅間山が噴火。江戸の町に灰が振り始める。

前回から続く蔦重結婚編の中編。これまでのベストエピソードのひとつでした。

日本橋に異様な風体でやってきた蔦重が、次から次へとアイデアを繰り出して、カチコチ頭だった人たちを次々と虜にしていくあたりがめちゃくちゃ痛快。その活躍ぶりにまずメガネ女子のおていさんが落ち、ついで難攻不落だった鶴屋さんがついに陥落。蔦重の婚宴にお祝いの品を持ってきて「歓迎します」とおっしゃってたくだりには劇中の面々同様こちらもアホみたいに泣いてました。

この回の『風雲児たち』ポイント:浅間山噴火の様子。天明年間は災害が多かったようで。

この回の使える中国史ポイント: は確か呉越の興亡に出てくる人物。『キングダム』のもっと前の時代ですね

 

☆第26回「三人の女」

晴れて夫婦となった蔦重とてい。だが二人はまだ色々とぎこちなく… そこへ蔦重を捨てた実の母がひょっこりと飯をあてに戻って来る

蔦重結婚編完結編。自分に価値がないと思ってた人が「そんなことはない!!」と力説される話に弱いものでこの回も号泣でございました。おていさんが蔦重をどんどん見直していく過程が小説版ではもう少し詳しく描かれています。

蔦重の実母役を演じるは高岡早紀さん。昔はそれなりに憧れたことがあったような… 「ババアババア」と連呼されるのがちょっと悲しい。いまやすっかり貫禄ある名女優となりました。

この回の使える江戸知識:江戸時代の人々はお数が少ないせいで米ばっかり食ってたとか。鬼平犯科帳とはちょっと違うイメージ

 

☆第27回「願わくば花の下にて春死なん」

互いの仲を深めていく誰袖と意知。蝦夷地への方針も進み順風満帆だった意知に、突然の凶刃が迫る。

意知レクイエム編前編。田沼意知殺害に向けてばらまかれていた伏線が、この回のクライマックスで一気に結実していきます(しなくていいのに)。

その下手人となる佐野善左衛門、『風雲児たち』ではひたすら身勝手で勘違いなアホ野郎として描かれていましたが、『べらぼう』では不器用で父親思いだったところを一橋側に上手に利用されて…という風になってました。この辺に森下先生の優しさが感じられます。お互いを想う二組の父子の対照的な様子が印象深い回でした。

意知に刃が降りかかる直前で「次回」のテロップ。そして次週は参院選のためこの状態で2週待たねばならなかったという…

 

☆第28回「佐野世直大明神」

田沼意知、江戸城内にて切り付けられ、ほどなくして死去。若すぎる死を悼む人々をよそに、田沼をさらに追い詰める陰謀が進んでいた。

この回はやはり大切な人を失って慟哭する意知と誰袖の姿が辛すぎました。前回があまりにもハッピームードだったゆえに…

善左衛門の凶行の流れは『風雲児たち』とほぼ一緒。江戸城内では刃傷沙汰が幕政が続いた期間7回もあったそうです(城外付近を含めればもっと)。これを「あり過ぎ」と考えるべきか、「2百数十年も続いたんだからこれくらいは」ととらえるべきか。

意知の葬列に石が投げられるくだりも『風雲児たち』にありました。政治は庶民が中心でなければなりませんが、とかく庶民というものは扇動に操られやすい。自分も庶民の一員として気をつけていきたいです。

陰で暗躍する「丈衛門だった男」。『鎌倉殿』の善児を彷彿とさせます。演じるは『キングオージャー』で目的のため悪者のふりをしていた「ラクレス様」こと矢野聖人氏。こちらでの結末は果たして

 

 

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June 29, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る⑥ 6月編

☆第21回「蝦夷桜上野屁音」

蝦夷へと関心を向ける田沼親子。その密談が吉原で行われたことから、誰袖は意知に急接近していく。一方後輩の政演にお株を奪われた春町は酒席で不満を爆発。きまずい場面で窮地を救ったのはなんと…

おなら編前編。この回から蝦夷を治める松前藩がクローズアップされていきます。凶悪な藩主を演じるのは元名子役のえなりかずき氏ですが、悪代官的な役がとてもはまっておりました。

誰袖は蔦重に熱を上げていたのにあっさりと意知にシフト。この辺の移り気なところは瀬川との差別化でしょうか。

もしかすると次郎兵衛兄さんが最も役に立ったかもしれない回。おならをネタに歌いながら踊る当時の文化人たち。その中に人気声優水樹奈々さんまで混じっているのがなんとも豪華?

この回の『風雲児たち』ポイント:松前藩と『赤蝦夷風説考』。あと島津重豪

 

☆第22回「小生、酒上不埒にて」

とことんまで機嫌を悪くしてしまった春町は絶筆を宣言。撤回してもらうべく蔦重たちは心を砕くが…

おなら編後編。このドラマを観るまで恋川春町という人のことを知らなかったのですが、すっかり「面倒くさい人」としてインプットされました。まあ愛すべき面倒くささではあります。演じる岡山天音君は『キングダム』の尾平が印象的でしたけど、この不器用な作家を見事に熱演というか怪演しておられました。

おならの借りをおならで返すのはミが出そうでヒヤヒヤしましたw でも作家同士の嫉妬とかリスペクトで春町と政演が和解するのはなんだかとても微笑ましくてちょっと泣きそうになっちゃいました。日本漫画では絵も話も作家がやるのが普通ですが、当時の戯作者たちではこの二人くらいだったんですね。

悩みもそれなりにありつつ、この頃が蔦重にとって最も幸せな時代だったのかも。この後のバックラッシュがちょっと怖い。

 

☆第23回「我こそは江戸一利者なり」

太田南畝と共にブレイクした蔦重は一躍江戸の有名人となり、耕書堂は大繁盛。周囲の人からも進められて、彼は日本橋への進出を決意。だがそれが養父の駿河屋との対立を招くことに。

いままで殴られっぱなしだった蔦重が、とうとうコワモテのおとっつあんに正面切って立ち向かうことに。遅すぎた反抗期とも言うべきか。しかし彼の「吉原者のステータスを上げるため」という目的が、差別されてきた駿河屋の心を動かします。それを転げ落とされた階段を登りながら言うシーンが象徴的でした。流星君の気迫もあってこのドラマ有数の名場面になったと思います。

高橋克実氏演じる駿河屋はいつも怒るか怒鳴るか、という描かれ方ですがウィキを見ると文芸系の著作もあり、なかなかの文化人の一面もあったようです。

この回の『風雲児たち』ポイント:蔦重が「風雲児、風雲児」と連呼されているのはやっぱり『風雲児たち』を参考にされているからですか!? 森下先生!?

 

☆第24回「げにつれなきは日本橋」

吉原の後ろ盾を得て、本格的に日本橋へ店を探すことになった蔦重。だが吉原者への差別、鶴屋の妨害、そして候補の店の主人・ていが筋金入りの堅物であることなどから計画は難航する。

後に蔦重の夫人となるおていさんが本格的に登場した回。綺麗系の橋本愛さんが特長的なごつい眼鏡を装着したビジュアルがインパクト大ございます。残念な(笑)行き違いもあって蔦重の渾身のプロポーズは大決裂してしまうわけですが、ここからどうやって結婚までもっていくのか森下先生の描く大逆転劇に期待です。

しかしこの蔦重の顔も頭もいいし、その上色里の育ちなのに自分の色恋はからっきし…というキャラクター本当にいいですね。でもちょっと腹立つ。

この回の『キングダム』ポイント:韓非子、こないだ出てきてすぐ亡くなりましたね…

 

話数的にはこの辺がちょうど半分かと。ただお話し全体のターニングポイントは次回あたりのような気がします。

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June 08, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 5月編

☆第17回「乱れ咲往来の桜」

瀬川や源内への恩に報いるため、「日本一の本屋」を目指すことを決意した蔦重。そんな彼のところへ久しぶりにうつせみと共に姿を消した新之助が訪ねて来る。

まだ吉原限定でしか本を出せない蔦重が、販路拡大のため見出したジャンルが江戸の外での学習本。地方の庄屋さんに関わらせることで「これ、俺がスタッフだったんだよ!」と自慢させてあげることが出来るという… 庄屋さんの気持ちわかるなあ。ダチョウ倶楽部の人も版木を抱きしめながら「俺の娘」と言ってたし、本って作った人にとっては本当に宝物なんですね。そういう感覚、いっぺんくらい味わってみたいものです。

この回で特に和んだのはもう何回目かの次郎兵衛兄さんが蔦重をわしゃわしゃするシーン。戦国か源平大河だったら次郎兵衛は追い込まれて蔦重と戦になって敗死しそう。江戸時代でよかった。

この回の『風雲児たち』ポイント:田沼様は地元の領民に大層慕われてたというエピソード。吉良上野介とちょっと似てます。

 

☆第18回「歌麿よ、見徳一炊夢」

耕書堂に持ち込まれたある本の絵を見て、蔦重はそこに自分の元から消えた唐丸のタッチを思い出す。この作者はもしや唐丸では…と絵師を探す蔦重。一方そのころ朋誠堂喜三二に最大のピンチが迫っていた。

というわけで唐丸=歌麿が確定した回。てっきり彼は写楽になるものとばかり… ただ歌麿は歌麿で出自とかほとんどわかってない謎の人だったようですね。そんな「べらぼう」版歌麿の地獄のような生い立ちが語られます。まるで『ベルセルク』のガッツみたい… NHKでここまでよくやりましたね… そんな歌麿の兄貴となり光となる蔦重。調べたら弟分のはずの染谷君の方が流星君より4つ上(32)でしたがヨシとしましょう。

地獄話と並行してまあさんのアホらしいエピソードが進行していきます。この落差がすごすぎた… 夢で×××が断ち切られるシーンは一瞬「ファンタジー要素も取り入れちゃうのか?」と焦りました。

 

☆第19回「の置き土産 」

唐丸と念願の再会をはたし、ますます上り調子となる蔦重。そんな彼の耳に因縁浅からぬ鱗形屋の苦境の知らせが入って来る。煮え湯を飲まされた相手ではあるが、負い目もある蔦重はなんとか力になろうと動くが…

というわけで意外にもしぶとかった鱗形屋さん、とうとう今度こその退場回。蔦重がどうしても彼を憎めなかったのは、やはり「本」への愛情がある人だったからでは…と思います。「最初に小遣いで買った本」を前に二人が和解するシーンは本ドラマ中屈指の名シーンでした。

恋川春町先生が「あんたは古い」と鶴屋からいろいろ注文されるくだりは、『ブラックジャック』を書き始めたころの手塚治虫先生を思い出したり。あと家治様が田沼様をめちゃ高く評価するシーンもよかったですね。家治様は『風雲児たち』ではアレな描かれ方でしたが、将棋は上手かったそうです。

  

☆第20回「寝けて候」

耕書堂の評判は江戸市中でもうなぎ上りに。ついには鶴屋に従っていた本屋仲間からも、耕書堂から本を仕入れたいという声が上がり始める。

このころを代表する文化人たちが一挙にドバっと登場する回。ただ当時の文化人というはちょっとかわってて、くだらないことをいかにも高尚に言うのが「粋」だったようで…(そこがいいんじゃない!)

クライマックスは鶴屋さんのところに自ら乗り込んでいく蔦重。口喧嘩ってのは怒った方が負けなんですよね。そういう意味ではいい勝負でしたが、蔦重の方がやや優勢でした。

この回の『風雲児たち』ポイント:大田南畝とか土山宗次郎とか工藤平助とか… 南畝初登場シーンはいかにもで笑いました

しかし特に意味なく声優さんたちを多く起用するのは何か狙いでもあるのかな?にぎやかでいいけど

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May 01, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 4月編

☆第13回「お江戸揺るがす座頭金」

鳥山検校に身請けされた瀬川だったが、蔦重への思いを見抜かれ、次第に二人の関係はぎくしゃくしていく。その一方で盲人たちの組織による無法な高利貸しが問題となり、ついには幕府中枢にまでその影響が及ぶことに。

「べらぼう・闇金ウシジマくん編」。今回は蔦重の影が薄く、江戸時代における借金蟻地獄のえぐい様子が丹念に描かれます。別に贅沢してるわけでもないのにちょっとしたことがきっかけでいつの間にか膨大な返済を抱えてしまう… この辺この時代も現代もあまり変わりありませんね。あーやだやだ

「検校」という言葉、ちらちら時代もので耳にしてましたが、このドラマでやっと正確な意味を知りました。勝海舟の何代か前の人もそうだったとか。あと幕府が盲人を保護するようになったのは『どうする家康』の於愛の方につながると聞いて目が鱗。

 

☆第14回「蔦重瀬川夫婦道中」

座頭金が問題となり捕えられた鳥山検校と瀬川。だが瀬川はあっさりと釈放される。これで離縁がかなえば誰はばかることなく夫婦になれる。そんな夢を描く蔦重と瀬川だったが…

1回目から正ヒロインであった瀬川さん退場の回。借金が生んだ負の連鎖が語られる一方で、人を想う心の連鎖も描かれます。一億数千万払って身請けした女を、その幸せのためにあえて手放す検校。そして蔦重の夢のためにそっと姿を消す瀬川。ふううう… なんでこうなるの!!

何気にゲストのお奉行にベテラン声優井上和彦さんが登場。目をつぶってセリフを聞くと確かにSFヒーローの声でした。

 

☆第15回「死を呼ぶ手袋」

次代将軍と目されていた西の方・家基が狩りの最中突然の死を遂げる。田沼は陰謀の匂いを感じ源内にその真相を探らせるが…

タイトルからして横溝正史っぽい回。さすがは元金田一耕助だけあって源内より先に真相を見抜いた白眉毛様でしたが、まさか第二の被害者となってしまうとは… 反目してた田沼様とようやく和解できたかと思ったらこの展開。史実は非情です。

この回から名前だけは知ってた山東京伝が登場。こんなに軽い人だったの??

この回の『風雲児たち』ポイント:やっと出ましたの杉田玄白。前野良沢は出ないっぽい

 

☆第16回「さらば源内、見立は蓬莱」

田沼より捜査の打ち切りを命じられ、怒りをあらわにする源内。かねてより精神的に参っていたこともあり、源内はさらに常軌を逸した行動を取るようになる。それを陰謀の黒幕が見逃すはずはなかった。

唐丸の退場以来ベロベロ泣かされた回でございました。蔦重もこれまでにないくらい泣いてましたが、本当に彼は源内先生が大好きだったんですね… 先生の方は蔦重に対してはけっこう適当でしたが。須原屋市兵衛さんの「語り継いでいく。どこにも収まらねえ男がいたってことを」のセリフが胸を打ちます。源内先生こと安田顕さん、熱演お疲れ様でした。

この回の『風雲児たち』ポイント:源内が凶宅に移り住み、図面の件で腹を立て…というとこまでは一緒。その先が自分の罪ではなくハメられて、というのはドラマオリジナル。こんなドラマをつむげる森下先生はすごい。でも憎い。好き

 

ここで1週お休みを挟んで、「第1部完」的なムードが漂っておりました。全体の1/3が終わったわけで。第二部は田沼の没落に伴い寛政の改革に苦闘していく蔦重の姿が描かれていくと予想。引き続き期待しております。

 

 

 

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March 30, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 3月編

☆第9回 「玉菊燈籠恋の地獄」

瀬川の身請けが決まりそう、という話を聞いてようやく彼女への恋心を意識する蔦重(おせーよ)。年季明けまでお互いを待とう…と秘かに約束を交わすが、やり手の松葉屋夫妻がそれを見逃すはずがなかった。

『べらぼう』ロマンス編の前編と言うか吉原地獄変。第1回以来がっつりと吉原がいかに「苦界」であるかか描かれており、五社英雄とか宮尾登美子が関わってそうなエピソードでありました。そんなきっつ~い地獄の後だからか、夢をあきらめた二人が本の感想に紛らせて別れを語るシーンがとてもさわやか。

モニターチェックの時?に「誰この妖怪ババアと思ったら自分だった」とコメントしてた水野美紀さんがおちゃめ

・足抜け失敗した新さんが切腹しかけて「あっ いて」とつぶやくのは、今までにない切腹描写でした。

この回の『機動戦士ガンダムジークアクス』ポイント:「間違いない… ありゃマブだよ!」

 

☆第10回 「『青楼美人』の見る夢は」

瀬川の身請けが確定。その卒業パレードの際に蔦重は豪華な錦絵本を作って彼女の旅立ちに花を添えようと決意する。

『べらぼう』ロマンス編の後編というか吉原夢幻編。史実によりますとこの時代鳥山検校という人がいて、瀬川という花魁を1億4千万相当の金で身請けしたことは確かなようで。その瀬川が錦絵本では書物を読んでる姿で載っている…この要素だけでこれだけのドラマをつむげる脚本家森下先生の才能に脱帽です。三谷幸喜先生が「大河ドラマは史実の間に『ドラマ』を作らなきゃいけない」みたいなことをおっしゃってましたが、まさにその言葉の通りだなあと。

先回鬼のようだった松葉屋主人が「本なら自分で渡せよ」と粋なところを見せます。人間ってやつは奥が深いですね。ラスト付近、朝焼けの吉原大通りをバックに、豪勢な衣装と華麗な足取りで行進していく瀬川=小芝風花さんがファンタジックで美しゅうございました。ただ彼女の物語はまだ終わらないようで。

 

☆第11回 「富本、仁義の馬面」

せっかく気合を入れて作った『青楼美人』ではあったが、高額のため売れ行きは伸びず。次の一手として蔦重は親方衆の意見も取り入れ、浄瑠璃のスター馬面太夫を吉原の「俄祭り」に招くことを企画する

今回のメインゲストは『鎌倉殿』の公暁こと寛一郎君が演じる馬面太夫。浄瑠璃の名手と言うのはこの時代の歌謡スターみたいなものだったようで。でも吉原の女郎たちはそれらのスターたちを噂でしか知ることができない。彼女たちに実際にその姿を拝ませてやろう、そんで吉原嫌いの馬面太夫の心もゲットしちゃおう…という蔦重の情と策士ぶりがみごとにフュージョンしておりました。

「男なら」「男ってもんだ」「男のすることか」と男の意義が問われた『魁‼男塾』的な回でありました。メイン忘八衆に反旗を翻す「若木屋」を演じる本宮泰風氏と山路和弘氏がにらみ合ってる図を観て特撮オタクとしては「ピーコックアンデッドと烏丸所長の再戦だ…!」と一人盛り上がってました。

この回の『風雲児たち』ポイント(久々):やっと出ましたのエレキテル

 

☆第12回 「俄(にわか)なる『明月余情』

俄祭り開催に向けて盛り上がる吉原。蔦重はその準備に奔走する間に朋誠堂喜三二という戯作者と出会い、彼に自分のところでも本を書いてくれるよう頼み込む。

第2回から画面の端々をうろちょろしてた尾美としのり。その正体がようやく明かされます。「吉原あげて…」の言葉に目を輝かせるも、義理人情のためその誘いをあきらめる姿が笑えて泣けました。

この回のクライマックスはピーコックアンデッド若木屋対チビノリダー大文字屋の100日耐久ダンスバトル。最後の最後にエールを交換して仲良くなるあたりは激闘の果てに友情が芽生える少年漫画みたいでした。そのさなかにそっと二人で姿を消すうつせみと新さん。「祭りは神隠しにつきもの」とうつせみを送り出す松ノ井ねえさんにホロリとさせられました。

ちょうど一昨日「100カメ」でこちらのメイキングが放映。いつになくかっこいい次郎兵衛兄さんを盛り立てようと演出を提案する流星君や、カムロ役の女の子がメイクされながら小芝風花への熱い推し愛を語る映像にほっこりしまくりでした。

この回の『風雲児たち』にはなかったポイント:『金金先生』を楽し気に読む定信君。この人はカチコチ真面目な印象がありますが意外にエンタメ好きな一面もあったそうで

 

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March 01, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 2月編

☆第5回「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」

本屋たちへの仲間入りを拒否された蔦重は、なんとかして版元になる道をみつけようと奔走する。その裏で唐丸に近づく怪しい浪人の影があった。

蔦重のサイドキック…かと思われた唐丸が5話にしていったん退場。「何か隠してるだろ?」という蔦重の問いに何とも言えない表情をして「何もない」と答える唐丸。それを観ながら轟々と泣くワシ。なんだか大河ドラマというより山本周五郎の人情時代劇を観ているような気分でした。落ち込む蔦重を「楽しい想像をしようよ」と励ます花の井がまたよい。明らかに自分のせいじゃないのに「自分で高いもの買ったんでしょ」と言われて「うーん、オレなのかなあ」とつぶやいてる次郎兵衛兄さんがさらにまたよいです。

この回の『風雲児たち』ポイント:須原屋市兵衛来ました。『風雲児たち』ではぐるぐるメガネでしたが… 林子平も出るか?

 

☆第6回「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」

癪には触るが鱗形屋に頭を下げ、のれん分けをしてもらおうと企む蔦重。だが彼の下で働いているうちに犯罪の証拠を見つけてしまい…

この回は当時本の種類に「赤本」「青本」なるものがあったことを学びました。赤本は子供向けの絵本、青本は字主体だけど絵も入ってる物語。当時青本は人気がなく、面白いものをこさえようとストーリーを練る蔦重と鱗形屋のやり取りが、漫画雑誌の編集会議のようで本当に楽しそう。しかし鱗形屋は蔦重を食い物にすることしか考えてなく、因果応報的な顛末が彼を待っています。いやあ、この頃から海賊版ってあったんですね。

意外に早く再登場を果たした長谷川平蔵。カモ平から少しずつ鬼平にシフトしている様子がうかがえます。自分にとって良い結果になったにも関わらず、罪の意識を感じて浮かない蔦重。こういうこずるいところもあるけれど、人並みの良心も持ってる人物造形が身近で好感が持てます。

この回の『風雲児たち』ポイント:池に捨てられた佐野善左衛門の家系図。ああ…

 

☆第7回「好機到来『籬(まがき)の花』」

鱗形屋不在を幸いとばかりに、本屋連中に自分の仲間入りを認めさせようとする蔦重。その条件として、「倍売れる売れる細見を作る」と大見得を切るが、果たしてその勝算やいかに。

前回は面白い娯楽本を考える話でしたが、今回は使いやすいガイドブックを作ろうとする話。それには持ちやすく、薄い本を…をとアイデアを絞る様子が面白い。それに付き合わされるのが源内先生のお弟子さんの新之助さん。何度も作り直しをお願いされてしまいにゃ相当キレてましたが、恋人に会うお金を工面するために耐えておられました。

あとこの回で爆笑したのは最初断ってたのに吉原への宴会をエサにされたらパタッと手の平を返すダチョウ俱楽部肥後さんとか、『鎌倉殿』でもジェラシーに身を焦がしてた芹澤興人さんとか。いつもよりお笑い要素50%増し、みたいな回でした。

そして怖かったのが鶴屋喜右衛門を演じる風間俊介君。顔は笑ってるんだけど目が笑ってない。失礼ながらサイコパス役とかけっこうはまりそうな気がします。

 

☆第8回「逆襲の『金々先生』」

軽装版細見の評判は上々で、蔦重にもいよいよ本屋の仲間入りの道が開けてくる。だがその道の前に本屋のリーダーである鶴屋喜右衛門と、意外とあっさり帰ってきた鱗形屋がたちはだかる。

最初「絆の強い兄妹」みたいな関係なのかな…と思っていた蔦重と花の井(瀬川)ですけど、花の井の方はガッツリ蔦重のことが好きだったようで。そんな思いも知らずに「金持ちに身請けされるといいな」とのたまう蔦重に綾瀬はるかはじめ全国の視聴者が「馬鹿! ニブチン!!」とつっこんだ回でした。ただ花の井は蔦重のああいう博愛主義的なところに惹かれたんじゃないかな…とも。

1話では親方衆から階段落としを喰らっていた蔦重。ところがこの回では蔦重との約束を反故にした鶴屋が階段落としを喰らいます。いつの間にか忘八たちから一目置かれていた重三郎。そんな立場の変転が印象に残りました。もうひとつ印象深かったのは金貸しなのに気配だけで相手の感情を察する武闘家のような検校(演:市原隼人)。『鎌倉殿』からの共通キャストもこれで4人目くらいかな

鱗形屋が出した青本の進化系「金々先生」は、後に「黄表紙」と呼ばれるものの先駆けだそうで。「金八先生」ってここから名前取ったのかな?とも考えたのですが、さすがに関係ないようです。

 

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