April 25, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る④4月編

第13回「幼なじみの絆」

痴話げんかもひと段落ついた時、鎌倉に不穏な知らせが入る。いま一人の源氏の棟梁・木曾義仲が平家と手を組んだ疑いがあるというのだ。頼朝はその真意を探るべく、義仲のもとに範頼と義時を向かわせる。それと並行しながら義時は諦めずに八重のもとに通い、けったいな土産を送り続けていた。

前回「亀の前事件」が1182年末。この回より1183年に突入です。第一話ラストで顔を見せたきりの義仲公が満を持しての登場となりました。「野蛮な田舎侍」と描かれがちな彼ですが、このドラマでは義を重んじるひとかどの英傑となっております。演じるは『西郷どん』で島津久光公をやってらした青木崇高氏。この方、中島哲也作品に出てくる時はすごい怖いんですよね… 余談ですが『武蔵坊弁慶』では佐藤浩市氏が義仲を、『義経』では巴御前を小池栄子さんが演じてました。

迷惑がっていたのにいつのまにか一途な思いに打たれて、とうとう八重さんは義時の思いを受け入れます。ちと強引な気もしましたが13回続いた八重さんのツンがようやくデレに転じて感激もひとしおでした。

その他、文覚と全成の呪術合戦、二人の元愛人を尋ねて散々な目にあう頼朝公など、前回に続きお笑いにおいても傑出した回でありました。

この回の重要でもないアイテム:範頼公のお腹を一発でクラッシュさせた川魚

この回の重要なアイテム:八重さんの氷の心を打ち砕いた義時の旬の贈り物一式

 

第14回「都の義仲」

子供同士の婚約を交わし友好ムードとなった頼朝と義仲だが、義仲がいち早く都を制圧し、平家を追放したことにより両者の間には再び緊張が走る。また鎌倉の御家人たちの間でも、先の不倫騒動や身内の争いなどで評判が落ちた頼朝を見限ろうとする動きが出始めていた。この危機を治めるべく義時は頭を悩ませる。

鎌倉への人質である源義高を演じるは現松本染五郎君17歳。前松本染五郎氏のお子さんで前松本幸四郎氏のお孫さんです。真に絵物語から出てきたような美少年で、鬼の政子さんも一発でメロメロになってしまいました。お父さんの義仲公とこれっぽっちも似てないんですけど、お母さん似だったのでしょうか。非の打ちどころのない御曹司でありながら「セミの抜け殻を集めるのが趣味」というところだけがちょっとひきます。

怒涛の勢いで時の権力者となったものの、京での作法まで学ぶ暇がなかったため、義仲はあっという間に立場が危うくなっていきます。前回での潔さなどからすっかり義仲びいきとなってる視聴者としては、意地悪そうな都の公家さんたちがどうにも頭に来ます。そもそもその統領である後白河陛下、生霊とはいえ「お前(頼朝)だけが頼りなの」とか言ってませんでしたっけ。それなのにあっちを頼ったりこっちを頼ったり、二股はよくないと思います。

そして裏で動き始める御家人たちの陰謀。歴史ドラマでは平家滅亡まで一枚岩のように描かれてる頼朝&坂東武者ですが、そうでもなかったのね…と思ったらこの謀反のくだりは三谷さんの創作なんだそうで。でもいかにもこんな話あったように思えます。次回の大いなる悲劇に向けての伏線なのでありますね。

この回の重要でもないアイテム:義高君が集めた200個以上のセミの抜け殻(うわあ)

この回の使える都作法:牛車(馬車だっけ?)に乗るのは後ろから・降りるのは前から

 

第15回「足固めの儀式」

一触即発の事態となってしまった頼朝と御家人たち。仲間同士で血が流れるのを防ぐため、義時は御家人の間で最も力を持つ上総広常に助力を仰ぐ。ひと騒動こそあったもののそれが功を奏し、無事事件は解決と思われた。だがそれは頼朝の参謀・大江広元が描いた策略の第一幕にすぎなかった。

放映されるやネットを阿鼻叫喚の地獄に叩き落した、本ドラマ始まって以来の衝撃回。わたしは上総さんが登場してすぐ検索してしまったので彼がどういう末路をたどるのか知ってましたが、それだけにクライマックスのシーンは胃がキリキリしました。まるでこの回だけ『鎌倉殿』というより『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいでした…というか、これからそうなっていくのかな?

上総殿も「老けたな」と言われただけで説得するはずの相手を切り殺してしまう凶状持ちではありましたが、三谷さんの脚本力と佐藤浩市氏の演技力で、すっかり「コワモテだけどかわいいところもあって憎めないおっさん」として認知されてしまいました。だから最後のあの「信じられない」という表情が本当に気の毒で。せめてもの救いはこれでマイナー人物だった上総広常の知名度がグーンとあがったことでしょうか。

で、これが数回前の義時だったら身を挺しても彼をかばったかもしれないのですよね。でももう彼にはやっとのことで結ばれた妻と、その妻の間に授かった子供もいる。だから心を鬼にしてでも広常を見捨てなければいけない。「お前はもうわかっている」「だんだん頼朝に似てきた」という義村のセリフがグサグサと突き刺さります。

この回の重要なアイテム:すごろくのサイコロと死後出てきた上総殿の計画表

 

第16回「伝説の幕開け」

明けて1984年。先に都に到着していた義経は、援軍が来るや否や破竹の勢いで義仲軍を撃退。その勢いを駆って休む間もなく一の谷に逃れていた平家追討に向かう。誰もが不可能と考えていた断崖絶壁からの奇襲を決行する義経。現代まで語り継がれる武神の伝説が始まろうとしていた。

先回に続いてお葬式ムードとなってしまった前半。これほど木曾義仲を清廉な人物として描いたのはこのドラマが初めてでは。そんな健気な義仲を「タイプじゃないし」と一蹴する後白河陛下。そんで代わりに来た義経がはかりごとをもちかけると「もうこの子めっちゃタイプ♪」とウキウキしてしまう。本当に困った法皇様でございます…

義経が駆け下ったと言われる鵯越は傾斜30度ほどで、たしかに騎乗したままでも走れないことはないんです。ですがこのドラマではさらなる急斜面から「馬を先に駆け下らせた」としていました。なるほど、こういう解釈もありかと。そのあまりの才能を嫉妬3割、感動7割で見つめてしまう梶原景時。これには『アマデウス』におけるサリエリを連想した人も多かったようです。

戦と次なる悲劇で息つく間もない中、わずかにほっとさせられたのが諸将の書いた報告書。和田義盛さんはさすがにかわいさアピールがくどくなってきました。

この回のそれなりに重要なアイテム:鹿のウンコ

 

気が付けば『鎌倉殿』も1/3。三谷さんに言わせると「頼朝が生きてる間はプロローグにすぎない」とのこと。プロローグ長くない??

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April 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る③3月編

第9回「決戦前夜」

味方を増やし、石橋山の雪辱を晴らそうと盛り上がる頼朝軍。負けじと西からは清盛の孫・維盛を総大将に平家の軍が攻め上る。両者は駿河にて相対し、ここに世に名高い「富士川の戦い」が始まろうとしていた。

「決戦前夜」というタイトルでしたが、普通に戦の後までやり切った第9回。前半は頼朝を出し抜こうとする武田信義のこすからい策略が色々描かれてました。演じるは『新選組!』で武田観柳斎を演じた八島智仁人氏。今回もなかなかのうさん臭さです(失礼)。一説によるとこの戦い、頼朝が到着する前にほぼほぼ武田勢がカタをつけてしまった、なんて話もあるそうで。もしそうだとしたら武勲が現代にこれっぽっちも伝わってないのがいささか気の毒であります。

クライマックスにおける水鳥のはばたきの原因は、北条と三浦のおっさん同士のしょうもないケンカとアレンジされてました。このアホらしさに呆れた人が半分、大うけした人が半分というとこでしょうか。『修羅の刻』では陸奥鬼一が謎の拳法でもって驚かせた、ということになっています。

戦いに勝ったけど周りがついて来ず、落ち込む頼朝の前にやっとこ義経が到着。すぐさま感動の対面といかないのが三谷節。「顔そっくり!」のくだりは全国のお茶の間でツッコミの嵐が吹き荒れたことと思います。

この回の重要アイテム:平家を敗走に追いやった北条時政渾身のパンチと、安眠を妨げられた水鳥の皆さん

 

第10回「根拠なき自信」

平家の本軍を打ち破った鎌倉軍の前に、さらに多くの人材が集まってくる。切れ者、そうでもない者、うさん臭い者… そんな中義時は晴れてフリーとなった八重に果敢にアタックを試みるのだが。

ここにきてこの時点で生きていた頼朝の弟たちが勢ぞろい。少年漫画ならもうちょっとかっこいい絵面になるんでしょうけど、なんか当惑してる義経・怪しげな法力僧の全成・迷子でおろおろしてた範頼…といまひとつ締まりがありません。範頼さんはよく義経の話で引き立て役にさせられてますね。さらにいつに間にかいて勝手に場を取り仕切ってる足立遠元も登場。「一番得体が知れない」とか言われてましたが、一応十三人の一人で、平治の乱の頃からの歴戦の武将なんだそうです。

後半の山場は上総広常がメインとなった金砂城の戦い。直前に義経を「一人の勝手な振る舞いが」と諫めていたのにカっとなって話し合いを台無しにしちゃったのはわかりやすい特大ブーメランでした。このピンチを義経が解決する…のかと思いきやあっさり内通とかで勝ってしまう(笑) この辺の意表の突き具合というか予想を裏切るあたりが見事でした。

この回で激動の1180年が終了。第3回から8回もかけて扱ってたのですね。この次からもう少しまいていくペースとなります。

この回の重要でもないアイテム:三浦義村の腹をクラッシュさせた草餅と、和田義盛が捕まえてきた小鳥。なんつったっけアレ

 

第11回「許されざる嘘」

頼朝の今一人の弟である義円が鎌倉に到着。利発そうな義円がちはやほやされるのを見て、義経はどうも面白くない。一方京では巨星・平清盛が熱病により突然この世を去る。政子も再び懐妊し、いいことずくめの源さんご一家。しかしその裏で恐怖のアサシン・善児の影が再びちらつき始めていた。

『鎌倉殿』が始まって以来最もブラックな回。前半では義経が義円をだまくらかし、後半では頼朝がいったん許した伊東祐親親子を秘密裏に葬り去るという… このドラマの義経は天が二物(軍才・顔)を与えてしまったがゆえに、他が歪みまくりという大変困ったキャラになっております。ただ義円に関しては実際に頼朝と再会したという記録がなく、たぶん鎌倉には来てないんじゃないか…という説の方が有力のようです。それを思えばドラマに出られただけよかったのかもしれません。それくらい史劇で見かけない人物ですから。

そしてまたしても現れた『鎌倉殿』の死神・善児。彼が出てくる回は決まって誰かが血祭りにあげられるゆえ、オープニングでその名前が出てくるとTwitter上で悲鳴が沸き起こるようになってしまいました。鬼の監査役・梶原景時に拾われてしまったので、これからもいっぱい出番がありそうです(怖いなあ)。演じる梶原(笑)善さんは三谷さんの劇団時代からの盟友。『王様のレストラン』のひねたパティシエとか良かったんですが。

伊東の爺様が亡くなったのが1982年の初めとのこと。というわけで1981年はこの回だけで終わりとなりました。

この回のそこそこ重要なアイテム:梶原さんがセロテープで張り合わせた義円の別れのお手紙。

 

第12回「亀の前事件」

頼朝に待望の男児が誕生。政子がそちらにかかりきりなのをいいことに、鎌倉殿は愛妾・亀の前とますます懇ろになってしまう。このことを知った時政の妻・牧の方は、最近政子ばかりが目立っていることにいら立ちを覚えていたため、ストレス解消のため亀の前の「後妻打ち(うわなりうち=前妻が後妻の家を壊してもいいという京都の風習)」を決行しようとする。事態を収拾しようとするも右往左往するだけの義時は各方面にひたすら頭を下げ続ける。

ギャグ回(笑) 史実には確かに残ってる話ですが、要は頼朝の浮気がばれて政子が激怒した、という内容なので。その史実の合間を縫ってテンポのいい素っ頓狂なセリフの応酬が続きます。まさに三谷さんの脚本家としての真骨頂。これがあまりにも楽しかったせいか、ネット上では現時点の「ファンが選ぶベストエピソード」なんではないかという疑いすらあります。

で、台風の目たる亀さんが実にひょうひょうとしていて、自分を中心に周りがこじれまくっているのに、どこ吹く風とばかりにマイペースを貫く姿が痛快でした。家を燃やされて憔悴しちゃうのかと思いきや、意外と元気そうに上総殿の屋敷をふらついてたのでなんか安心いたしました。なんのかんの言いながら人死にの出ない回は平和でいいものです。

京都からさらにアドバイザーとして中原親能と大江広元が着任。苗字が違いますがこの二人はご兄弟で後の13人のメンバーであります。この回では大江さんが割と目立ってたのに対し、お兄さんの方は「いたの?」という感じでした。

この回のそこそこ重要なアイテム

見事に切断された牧宗親のモトドリ。この時代の社会人にとって髪を結ってる部分を切られるのは、公衆の面前でパンツを脱がされるようなものだったらしいですが… ホントか!?

 

次回からは木曾義仲が本格登場。いよいよ群雄割拠時代的に入り、平家との戦いも激化して参ります。がんばれ鎌倉殿とその一党。

 

 

 

 

 

 

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March 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る②2月編

『鎌倉殿の13人』も本格的に戦が始まり、だいぶ大河ドラマらしくなってきました。そんな5~8話を振り返ってみます。

 

第5回「兄との約束」

平家方の代官・山木兼隆の襲撃に成功し、初戦を勝利で飾った頼朝軍。だが次なる相手・相模の大庭景親は数で勝る上に挑発合戦でも上を行き、源氏勢は敗走を強いられる。そしてふてくされた頼朝の命で単独行動を取っていた義時の兄・宗時に、不気味な影が迫っていた。

頼朝軍が最大のピンチを迎える「どん底編」の前編。お話が深刻になっていく中、源氏方には申し訳なかったのですが、この回はわたしのご近所の出番が多く大変はしゃいでおりました。特に政子たちが避難する「伊豆山権現(現・伊豆山神社)」は本当に家から近くで、そういえばむかーしの大河ドラマ『草燃える』でもロケに使われてたことを思い出したり。明治までは寺も兼ねてたそうで今は神社なんですけど、ドラマではお坊さんがちょろちょろうろついてましたね。

そして先週予告から死亡フラグを立てまくっていた片岡愛之助氏演じる北条宗時。頼朝とは別の方向で「調子のいいやつだなあ」と思っていましたが、胸の底では熱い思いを抱いていた人だったのですね… そして図らずも最後に交わした言葉が以後の義時のモチベーションになっていきます。

この回のそこそこ重要なアイテム。佐殿が髪飾りに使っていたミニチュア観音

 

第6回「悪い知らせ」

敵のはずの梶原景時に見逃してもらったりして平家の追撃を振り切り、なんとか安房までたどりついた頼朝たち。生き残っていた郎党たちも三々五々、その地に集まってくる。だがいつまで経っても宗時は姿を現さない。そして散々な目にあった頼朝はすっかり戦へのやる気を失っていた。

引き続き地元にスポットがあたっていた「どん底編」後編。佐殿たちがたどり着いた海岸もよく知ってるとこなんですが、あそこから千葉県まで小舟で渡っていくなんて到底無理な話です。それでも必死にこぎまくって渡り切ってしまう坂東武者たち。昔の武士の体力がすごいのか、命がかかっているから超人的な力をひねり出せたのか…

そんなドタバタ劇の最中描かれる、二組の子を失った親の姿に胸が締め付けられました。自分も今度千鶴丸のお墓探して弔ってきますかね…、いや、たぶんもうないか、「伊豆山神社に作った」というのはこのドラマの創作なんでしょうけど。

義時の説得に胸打たれ、思い直して再起を誓う佐殿。それを晴れやかに見つめる法皇様の生霊w 成仏したのか(生きてる)生霊コーナーはこの回でひとまずおしまいとなりました。

この回の重要でないアイテム:政子さんが八つ当たりに蹴っ飛ばしたバケツ

 

第7回「敵か、あるいは」

この辺からアニメ『平家物語』にどんどん追い抜かれていきます。まあちらは全11話なので… 巻き返しを図るには安房の豪族・上総広常を味方に引き入れることが必須と考えた頼朝は、義時と脳筋の和田義盛を使者に使わす。しかし大庭景親もそのことには気づいていて、一足先に梶原景時を広常のもとに送っていた。屋敷で鉢合わせした二組の使者は広常を自分の側につけるため知恵をめぐらす。

傲岸不遜そのものの上総広常を演じるは、三谷ドラマの常連佐藤浩市さん。まんま『新選組!』の芹沢鴨でございました。結局策をめぐらすのではなく、真正面から「面白いこと一緒にやりましょうよ!」と説き伏せる義時君。お兄ちゃんもあの世から喝采を送っていたことでしょう。

そしてこの回から変に神がかってくる佐殿。刺客の襲来を間男してたことで切り抜けたのには爆笑ものでした。そしてキャバクラ戦法では不興を被ることに気づいたのか、逆に一喝することで広常を感服させます。やはりこの男、「何か持ってる」と言わざるを得ません。

平行して登場する佐殿の二人の弟。一人は怪しげな妖術が不発に終わった全成(今若)。そのうち成功してくれることを願います。もう一人の弟はご存じ日本史きっての大スター・源義経。ちなみにこの時点で頼朝(三男)の兄弟は長男・次男・四男・五男が死んでいて、六~九男が反平家軍に加わることになります。

この回の重要でもないアイテム:和田義盛が剃ろうとした眉毛

 

第9回「いざ、鎌倉」

急激に膨れ上がった軍勢をひきつれ、本拠地と定めた鎌倉に乗り込んだ頼朝軍。すっかりいい気になった佐殿は前回知り合った亀の前といちゃつきまくり、郎党から「調子にのってね?」と心配される。そのころ兄の軍に加わろうと南下していた義経とその一党は、ついつい観光地に立ち寄ったりでなかなか合流できないでいた。

「なんかもってるわ」ということで勢いを増していく源氏側。梶原さんやイケメンの畠山重忠、これまでごねてた武田信義までその傘下に加わります。わずか一回でガラッと形勢が逆転してしまうのですから、現実というか歴史は怖いですね… 敵ながら大庭景親や伊東のじさまが気の毒になります。

これまでと違った視点で、しかも説得力ある人物像を描くのがテーマ(のような気がする)の三谷歴史劇。梶原景時などは義経を陥れた卑怯者…というイメージでしたが演じる中村獅童の迫力もあり、なかなか風格あるキャラクターになってます。『新選組!』の時はえらいかっこ悪かったので、その点佐藤さんとは対照的ですね。

そしていよいよ本格登場の九郎君は良くも悪くも空気を読まない衝動的な青年として描かれております。ウサギ一匹のために猟師をコロッとだまし討ちにしたり… Twitterでは「『火の鳥 乱世編』の義経を思い出す」と評判?でした。一方でその天真爛漫さが憎めなかったりもします。源氏と平家、政子と亀の前の激突を予感させてお話は次回へ。

この回の重要のような気がするアイテム:かの山で追われていたウサギと里芋の煮っころがし

 

そういえば平家の面々まだほとんど出てきませんね。3月はその辺を期待してます。

 

 

 

 

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February 06, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る①1月編

今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』があまりに楽しいので、実に『天地人』以来13年ぶりとなる大河レビューを書いてみます。途中で挫折する可能性大ですが… 

 

第1回「大いなる小競り合い」

時は西暦1175年。伊豆の豪族・北条時政が都での勤めを追え、数年ぶりに領地に戻ってくるところから話は始まります。その祝賀会の最中、伊東祐親の屋敷で養われていた流人・源頼朝が北条の屋敷を来訪。伊東の娘・八重に手を出して祐親の逆鱗に触れた頼朝は、北条にかくまってほしいと頼みこむのだが…

冒頭で義時が馬に誰かを乗せて走っている場面、妙に作り物っぽかったので頼朝に似せたダミー人形なのでは?と思っていましたが普通に本物でした。一話で一番印象に残ったシーンと言えばやはりこの大泉洋氏演じる頼朝が「姫」に扮して逃亡しようとするところ。コメディ作家三谷幸喜氏の本領とも言えるくだりであります。一方頼朝と八重の子どもである千鶴丸はあっさり…となってしまい、時代性とはいえその無情さに戦慄いたしました。題材が題材なのでこれからいくらでもえぐいエピソードが出てくると思うのですが、それにいかに調和よくユーモアをまぶしていくかがこのドラマの課題のひとつでしょう。北条氏・伊東氏・三浦氏の関係は全然わかっていなかったので勉強になりました。あとラストで各地の群雄が順々に紹介されてくところはテンションあがりました。

この回の重要でもないアイテム:時政が都から持ってきた定員割れのお土産

 

第2回「佐殿の腹」

北条と伊東の衝突は突如として現れた相模の豪族・大庭景親の仲裁により回避される。これにより頼朝は正式に北条の客人となることが決定。時政の娘・政子は雅な頼朝にすっかりぞっこんになってしまい、波乱を予感した弟の義時は頭を悩ませる。

このドラマでまず上手いな~と感じたのが、どこまで本気でどこまでノリで言ってんだかわからない、頼朝の実に適当な人物造形。これまで頼朝といえばくそ真面目で陰気そうに描かれるのが定番でしたが、斬新なうえにやけに説得力があります。で、風貌も性格もすっとぼけた感じなのになぜかよくもてる。こんな大泉さんかつてあったかしら?と思いましたが大河『真田丸』でも三角関係の一点にありました。

さんざんぶーたれてたのに「お前が頼りだ」と力強く言われるところっと心酔しちゃう義時君。この時まだ15歳なので純真なんでしょうね。近所の湯河原での入浴シーン(男のみ)、薄衣羽織って温泉につかるところが面白かったです。「13人」の一人である比企能員が初登場。この名前読めね~

この回の重要でもないアイテム:政子さんが丁寧に小骨をのぞいて作ったアジ料理。伊豆のアジの干物はおすすめです。

 

 

第3回「挙兵は慎重に」

あっというまに5年の月日が経ち(飛ばされた部分はアニメ『平家物語』でどうぞ)、頼朝は政子との間に一子をもうけ、すっかりマイホームパパとして落ち着いてしまっていた。ところが平清盛を苦々しく思う後白河法皇の息子・以仁王が打倒平家を掲げて挙兵。全国の反平家勢力にむけて参戦するよう文を送る。頼朝と北条は戦いに加わるべきか判断を迫られる。

この回も珍エピソードが色々ありました。まず『ステキな金縛り』よろしく頼朝の夢枕に立つ法皇様。このドラマは法皇様を超能力者か陰陽師とでも思っているのでしょうか。次いでうさんくさい山師丸出しの文覚上人。演じるは大河『風林火山』で武田信玄だった市川猿之助氏。だいぶ雰囲気が違います。この文覚さんも良く知らなかったんですが、調べたらかなり波乱の人生だったようですね。

そして頼朝に決起を促した一通の文。「慌て者の早とちりが歴史を動かすこともある」ということで。以仁王を演じたのは現ジャイアン木村昴君。「大河に出るのが夢だった」とのことですがその出番はあまりにも…

この回の重要でもないアイテム:文覚さんがもってた限りなく信頼性の薄い義朝公のしゃれこうべ。「他にもある」そうなので。あと堤さんが踏みにじった北条家自慢の夏野菜

 

 

第4回「矢のゆくえ」

ついに挙兵を決意した頼朝。だが集まるはずの兵は予想より大幅に少なく、不安は増すばかり。とりあえず初戦に勝てばおいおい人も増えるだろうということで、第1戦のターゲットを代官・山木兼隆に定める。討ち漏らさないよう山木が確実に屋敷にいる日を義時はなんとか探ろうとする。

最初はごねてたくせに、やってきた坂東武者たちに「あなただけが頼りなの」とハグしまくる佐殿。某所で「キャバクラ幕府」と揶揄されておりましたが、これ『吾妻鏡』にも記されてるれっきとした史実なんだそうです。それはともかく続々と味方に加わる陽気なヘンテコキャラたちがなかなか楽しい。三谷さんはこういうの得意ですよね。ただ数も質も頼りないことこの上なく、こんなんで天下の平家に勝てるとはとても思えず。わたしらは歴史知ってるからいいけれど、佐殿や義時の心細さが痛いほどに察せられました。

男たちが戦の準備の盛り上がっている裏で、頼朝のことを忘れられずなんとか助け出そうと苦慮する八重さん。地元紙では彼女を主人公にした小説が連載されてたこともありますが、ドラマでスポットがあたることは大変珍しいのでは。ガッキーこと新垣結衣さんがキツめの性格の役をふられるのもちょっと珍しいですね。

戦の前にびびる義時に声をかける父さん・兄さんのシーンが微笑ましくてようございました。これから首チョンパしにいくわけですけど。

この回の重要なアイテム:源平の戦の端緒となった二本の矢

 

…こんな感じで。根性が続けばまた来月。

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