June 24, 2020

4月前半に観た映画の振り返り 『AKIRA』『新喜劇王』『レ・ミゼラブル(2019)』『ピーナッツバター・ファルコン』

それではコロナでバタバタ映画館が休業していった4月前半に観た映画を振り返ってみます。

 

☆『AKIRA』

21世紀の預言書とまで噂されている大友克洋氏の超名作アニメ(コミック)。映画も漫画も断片的にしか観てなかったので、この度ようやくきちんとした形で鑑賞いたしました。ネットなどでみんなの印象に残っているのはどちらかというとこの映画版のような気がします。

舞台や設定はやたらスケールがでかいですが、核となっているのは金田と鉄雄の関係なんだろうなあと。危険を冒して鉄雄を助けにきたのに、「お前なんかいらない」と言われた途端躊躇なく彼を殺そうとする金やん。かと思えばパニックに陥った友達が頼ってきたらすぐにまたお助けモードに切り替わるという… そんな金田君の割り切りの良さがかえって小気味良かったです。

ムードが全然異なる『天空の城ラピュタ』『天気の子』『羅小黒戦記』にも重なるところが色々あって楽しかったです。オタクはそういうリンクを見つけると勝手にウヒウヒ喜ぶのです。

 

☆『新喜劇王』

『少林サッカー』のチャウ・シンチーが自身の作品『喜劇王』をリメイクした映画。エキストラでさんざんな扱いを受けながらもいつかは大女優に…と夢見るヒロインの奮闘が描かれます。まあとにかく主人公の忍耐するパートというか我慢タイムがとっても長い。その中でシンチーお得意のギャグも色々盛り込まれるんですが、とにかく彼女がかわいそうで笑えない。シンチー作品なのでかわいそうなまま終わらないであろうことは予想つくのですが… 主演女優さんが本当に無名に近かったのにこの映画で一躍脚光を浴びたというエピソードには心温まりましたけど。

 

☆『レ・ミゼラブル(2019)』

このタイトルなのですが、ビクトル・ユーゴーの名作とは全然違うお話。では完全に無関係かというと微妙にオマージュを捧げているという… ああ! まぎわらしい! アフリカ系の住民が多く住む現代フランスの団地を舞台に、そこに赴任した刑事が「悲惨な人々」との関わりの中でキリキリ舞いするというストーリー。フランス・団地・犯罪社会という三要素は少し前の『ディーパンの戦い』を彷彿とさせます。

ネタバレになっちゃうかもしれませんが

 

 

 

 

まるでこちらに真の結末を放りつけてくるような、それでいて弾丸さながらに心を打ちぬいてくる実に衝撃的な幕切れでありました。精一杯の善意も、人種間の軋轢や皮肉な運命の前には何の力もないのだなあ…と深く打ちのめされます。それだけにズシンと心に残る映画。

 

 

☆『ピーナッツバター・ファルコン』

レスラーを夢見る障害者の青年と、おいたをやらかして故郷を飛び出してきたおっさんが、二人で南部アメリカを旅していくロードムービー。『レインマン』やマキャモンの小説『遥か南へ』なども思い出させますが、わたしが特にツボだったのは(たぶん)ミシシッピ川をゆるゆると川下りしていくというマーク・トウェイン的な世界。実際はいろいろ大変なこともあるでしょうけど、毎日ちまちまと世知辛い仕事をしている身としては二人の「冒険」がとってもまぶしく見えまして。

先の「レ・ミゼ」じゃない『レ・ミゼ』とは対照的に「嘘とも思えるような夢も、願い続ければもしかしたら…」というファンタジックなお話がコロナ疲れでまいっているハートに沁みました。

 

 

次回は映画館再開後に観た『スピリッツ・オブ・ジ・エア』『シュヴァㇽの理想宮』『盲目のメロディ』『デッド・ドント・ダイ』について書く予定です。

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June 18, 2020

3月後半に観た映画を振り返る 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』『サーホー』『彼らは生きていた』『スウィング・キッズ』

いよいよコロナ禍が迫ってきた3月後半に観た映画についてダラダラと書きます

 

☆『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

あれこれまだ上映してるんじゃないの… コロナが押し寄せる前に公開された最後の洋画大作。DCユニバースで近年人気が急上昇してるヴィラン「ハーレイ・クイン」(ずっと俺、「ハーレクイン」だと思ってたよ…)を中心に、ゴッサムシティの女傑たちが事件に巻き込まれた少女を守って戦うストーリー。バーズ・オブ・プレイというのは確かバットガールとブラック・キャナリーが中心のヒーロー色の濃いチームだと思ったのですが、この度はハーレイを目立たせるためかバットガールは不在で、どっちかというとアウトロー寄りのグループとして描かれてます。

ので、ハーレイは基本的に正義の味方ではなく、自分の欲望の赴くままに行動してるだけなのですが、「ま、子供くらいは守ってあげないと」というなけなしの倫理観でもってさらに悪どいやつらと対決することになります。この子悪党と悪ガキのコンビの奇妙なパートナーシップがなんだかツボにはまりました。

ポリコレ的な観点で絶賛される本作ですが、それを抜きにしても「ひねりまくった構成」「立ち位置の違うメンバーたち」「決戦の舞台」などなど十分面白い映画だと思いました。あと死んだと思ってたアレが生きていたのが大変高ポイントです。

 

☆『サーホー』

『バーフバリ』でインドの映画記録を塗り替えたプラバースが、今度は現代の暗黒街で大暴れするお話。

得体の知れない風来坊が実は…という遠山の金さん的なキャラは今回も健在であります。まあこの無邪気で親しみやすい青年と、周囲を圧倒するカリスマの両方を自然に表現できるところがプラバースさんのスターたるゆえんなのでしょう。

わたしがこの映画を観ようと思った動機のひとつは、プラさんがジェットパックでビル街をギュイーンと飛んでく姿を予告で観てテンションが上がったからです。その辺は決して長くはありませんでしたが期待通りの映像でした。

あとインド映画で度々みられるように、この映画もお父さんを慕うお話なんですね。日本ではいい年こいた男が「やっと離れ離れのおとうさんと一緒に住める」とかあまりないと思うのですが(母親だったらありそう)、インドではそういう父孝行がむしろ普通なようですね。

 

☆『彼らは生きていた』

『ロード・オブ・ザ・リング』などで知られるピーター・ジャクソンが第一次世界大戦の記録映像をカラー化し編集したもの。約100年前の実際に存在していた人々が色彩を伴って蘇ってくるというだけでも価値ある作品。戦争なんでもちろん色々シビアだし人もいっぱい死んでるんですけど、現代のそれと比べると少々のんきな部分もあり。逆にたった100年で殺し合いはここまで進化してしまったのか…と考えると空恐ろしいものがあります。

とりわけきついな~と思ったのが衛生面に関することですね。しょっちゅう涌くシラミに悩まされたとか、紙がないから手で拭いた、とかね。あとなんか面白かったのが捕虜にした兵士が虐待されることもなく、すぐ仲良くなっちゃったとか。これも第一次大戦のちょっと独特なとこだと思いました。

 

☆『スウィングキッズ』

朝鮮戦争終結後の韓国側の捕虜収容所という変わったところが舞台の作品。北の思想に心酔し反抗を繰り返す青年ロ・ギスが、米軍の兵士から教わったタップダンスにひかれていき、チームを組んで公演するまでになるのですが

まず主人公たちの躍動する姿がまことに力強く、美しく、こぎみよい。加えてダンスチームのメンバーが最初こそ珍妙に見えるのですが、彼らの事情を知るにつれどんどん愛おしくなっていきます。

ただねー 楽しいのは本当に前半までなのですよ。後半はダンスを楽しみたい思いと、北側の仲間の圧力とで板挟みになるギスが見ていてつろうてつろうてつろうて… こんだけ前半と後半のトーンが切り替わる映画は『ライフ・イズ・ビューティフル』以来のような気がします。

最強の人間兵器みたいに噂されてたギスの兄が、どんなモンスターかと思いきやいざ登場したら… この辺も微笑ましい反面なんとも痛切なエピソードでした。やっぱイデオロギーが全部悪いね…

 

 

次回は『AKIRA』、『新・喜劇王』、『レ・ミゼラブル』(2019)、『ピーナッツバター・ファルコン』について書く予定。

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June 15, 2020

3月前半に観た映画 『音楽』『ミッドサマー』『地獄の黙示録』『初恋』

今年もぼちぼち半分が消化されようとしています。そんな中三ヶ月前の記憶をたどりながら例によって雑な感想を書いてみるといたします。

 

☆『音楽』

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このタイトルで映画でいうと、三島由紀夫原作のエッチなやつがありますが、それとはもちろん関係ありません。とある町のゆるい不良(でもそれなりに強い)が突然バンドに目覚め、また突然飽きるという画風(上画像参照)もストーリーもゆる~いアニメーション。ただそんなゆるさとは裏腹に、ごくごく少数のスタッフが7年かけて4万枚の動画を描いたという、恐ろしいほどの情熱がこめられた作品でもあります。

その甲斐あってか第43回オタワ国際アニメーション映画祭では長編コンペティション部門グランプリを見事受賞。おめでとうございます。演奏されるナンバーも「それ、曲なのか?」と初めこそ当惑させられますが、聞いているうちに原始人が太古に奏でたであろうサウンド・リズムを彷彿とさせて心地よくなってきました。あと彼らの盟友となるフォークソングバンド「古美術」のリーダー、森田君もハラハラさせられるいいキャラでありました。

 

☆『ミッドサマー』

『ヘレディタリー』で世界の映画ファンを恐怖のどん底に叩き落したアリ・アスター監督の最新作。心に傷を持つ女子大生が、恋人とともにフィールドワークに向かった北欧の村であんな目やこんな目にあうというお話。ポスターでは緑豊かな農村をバックに、花冠をかぶったヒロインが号泣しております。いったいどんな責め苦にあわされるんだろう…と超おっかなびっくりで臨みましたが、意外とそこそこ笑えました。よかった! とはいえやっぱりエグめのお話が苦手という方にはおすすめできません。

平和な田舎のお祭りになんとなく参加したら、どんどんのっぴきならぬ状況に…という流れは筒井康隆氏のブラックユーモア作品とちょっと似ておりました。みなさんの感想読むと、悲惨な結末を迎える某キャラが「当然の報い」というものが多くいですね。自分はどっちかというと気の毒になってしまった方なのですが人間が甘いのでしょうか。

 

☆『地獄の黙示録』(ファイナルカット)

言わずと知れたのフランシス・フォード・コッポラの名作。昨秋沼津にできたIMAXでリバイバルされていたのでこの機会に…と思って観て来ました。元ネタとされる『闇の奥』については以前こんな恥ずかしい感想  を書いてました。この小説、シュールで難解なのですが、映画の方はそれなりにメッセージが伝わったような。つまりいかに大義名分があろうと戦争というのは巨大な狂気であり、そこに参加するものは皆狂気に侵されていく…ということでしょうか。問題は一番インパクトがあるのが前半に出てくるキルゴア大佐だということですね。その後もいろいろあるんですけど結局彼が一番印象に残ってしまうので。ともあれ噂に名高い『アポカリプス・ナウ』を初めてちゃんと観賞できてようございました。子供のころにTVでオヤジの脇からプレイメイトのシーンだけ観たことはあったんですが

 

☆『初恋』

リリカルなタイトルとは想像もつかないくらいぶっ飛ばした、三池崇史監督のクライム・サスペンス(なのか?)。そりゃまあ初恋の話なのかもしれないけれど、なぜそれを題にしたのかが謎です。余命わずかと診断されたボクサーが、麻薬中毒の少女を守るためにヤクザやチャイニーズマフィアを敵に回して暴れ周り、逃げ回るというストーリー。朝ドラの顔である窪田正孝君と大河のキーマンである染谷将介君が、公共放送では見せられないようなギラギラした姿で圧倒してくれます。あと風格ありすぎて最初誰だかわからなかったのが内田聖陽氏。どう見てもモノホンの武闘派ヤクザでした。さらに徹頭徹尾かっこ悪い悪徳刑事の大森南朋氏や、ネットで鬼気迫る表情が話題になったベッキー嬢など、出演者全員キャラ立ちまくりでした。いわゆる「余命もの」であり人がバタバタ死んでいく話なのに、全編がほどよいユーモアに包まれてるのも好みでした。

 

次回は『ハーレクインの華麗なる覚醒』『サーホー』『彼らは生きていた』『スウィング・キッズ』などについて書く予定です。

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June 09, 2020

2020年2月後半に観た映画 『この世界の(さらに幾つもの)片隅に』『エクストリーム・ジョブ』『1917』『野性の呼び声』『ドン・キホーテ』

いやはやお恥ずかしい… かれこれ二ヵ月半ぶりのブログ更新でございます。このままフェイドアウトかな?とも思ったのですが。

ともかくまだ書いてなかった二月後半の鑑賞作品について雑な印象を。このころはまだコロナとか対岸の火事でしたな…

 

☆『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

四年前クラウドファンディングによって製作され、大好評をもって迎えられたアニメ映画 の長尺版。今回主に付加えられたのはオリジナルで脇役の一人に過ぎなかったリンさんのパート。わたし原作も2,3度読み込んでるんですが、この度の長尺番で初めてすずさん、周作さん、そしてりんさんの複雑ながらも優しい相関図を ようやく理解できた気がします(オマエハイッタイナニヲヨンデタノダ)。

そこがどういう場所なのか、どこまでわかってるのか不明なんですけど、廓のお嬢さんたちにわけへだてなく親切に接するすずさんに、またしても鼻水を搾り取られました。長い時間をかけてこの作品に取り組み続けた片渕監督に心から感謝です。そろそろ次の作品が観たいですねえ

 

☆『エクストリーム・ジョブ』

ドジばかり踏んでる韓国警察のお荷物チームが、潜入捜査のためにチキン屋さんを開きます。ところがこれが予想外に繁盛してしまい… こう言っては失礼ですが、歯車がうまく回ったときの三谷幸喜みたいな快作。『パラサイト』みたいな文芸作品を世界に送り出す一方で、こんなアホアホしい映画が国内トップを取ったとは韓国映画まことに恐るべしです。自分はどっちかというとこういう映画の方が好み。

それにしても韓国=焼肉みたいなイメージありましたけど、貧しい庶民はチキンが主流になってしまったとか、なにやら悲しいものがあります。ちなみに劇中で大変おいしそうだった「カルビ風チキン」はスタッフが実際に作ったら「味が濃かった」とのこと。

 

☆『1917 命をかけた伝令』

今年のアカデミー作品部門大本命! …とにらんでいたら見事にはずしてしまいました。あはは。120分ひたすらワンカット(風)で撮影された第一次大戦の観客なりきりムービーであります。冒頭では2名で出発するのですが、予告では一人で突っ走ってる場面が多く、「ああ、きっと途中で…」というのが察せられてつろうございました。

腐っても戦場なのでそりゃおっかないのは当たり前なのですが、基本的に塹壕越しにドンパチやってるWW1は後の戦争に比べるとまだ少しのどかなイメージがあったりして。ドキュメンタリーである『彼らは生きていた』を観るとなおさらそう感じるのですが、この映画についてはまた次回。

 

☆『野性の呼び声』

個人的に2月一番楽しみだった映画。十年以上前にこんな原作の感想 を書いたこともありましたなあ…

ウド鈴木みたいだった大型犬が、極寒のシベリアで鍛え上げられて、ドウェイン・ジョンソンになるまでのストーリー。基本的に原作は「生きるか死ぬか、食うか食われるか」的なサバイバル要素が強いお話なのですが、映画版はディズニーに食われたFOXが製作してたため、子供でも楽しめるようなソフト風味が濃い仕上がりとなってました。あとキャラの一人をハリソン・フォードが演じたために、そのキャラの設定やら出番がだいぶ増えたり。が、これはこれでアリです。自分、ゴールドラッシュに沸く西部劇的世界のヴィジュアルがとても好きなので。このころプレイしてたゲーム『レッド・デッド・リデンプションⅡ』といろいろシンクロしてしまったのも印象を深めました。

 

☆『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』

「欧州絶賛、米国激怒」というコピーがふるってます。巨匠ギリアムが19年の間に9回実現を試み、その都度失敗したという伝説の企画がとうとう成就。その割りにあんまり盛り上がらなかったのがちょっとつろうございますね…

セルバンテスの『ドン・キホーテ』そのままの映画化ではなく、現代においてドン・キホーテ役に選ばれたおじいちゃんが自分をドン・キホーテだと思い込んでしまって…というちょっとややこしいコンセプトです。そして彼をそんな風にしてしまった青年監督との珍道中が描かれます。

わたしあんまりギリアムと相性いいほうではなくて。例外的に『バロン』が大好きなくらいです。それでも今作は若き日への感傷とか、お馬鹿な老人への優しい視線が心地よくて好印象でした。

やはり20年頓挫し続けたと言われる『ウォッチメン』もだいぶ前に映画化が実現しましたし、スコセッシの『沈黙』も少し前に成就しちゃいましたし、これであと残っている「見果てぬ企画」はデルトロの『狂気の山脈にて』くらいですかね。夢は信じればいつかかなうのです。

 

次回がまたあれば『音楽』『ミッドサマー』『地獄の黙示録』『初恋』などについて語ろうかと思います。では。

 

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March 26, 2020

2020年2月前半に観た映画(ミステリー特集) 『ナイブズ・アウト』『9人の翻訳家』『カイジFG』『バッドボーイズFL』

いやはや大変な状況になってきました。こんな時に映画の話でもないだろうとも思いますけど、書き残しておかないと忘れそうなので…

2月前半はたまたまミステリー映画が重なりました。まずはアメリカ代表から

 

☆『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

世界的ミステリー作家が突然の死を遂げた。「自殺」で落ち着きそうなところへ、謎の依頼人から呼ばれたという探偵が現れ、さらなる波乱が巻き起こる。

ニブチンのわたしでも早々に事件の真相が読めてしまったのですが、キャラの設定とか、ストーリーの見せ方とか、クライマックスの展開などがうまかったと思います。

特に印象に残ったのは作家の看護師のお嬢さん。正直者過ぎて嘘をつくとゲロを吐いてしまう特殊な性分。監督自ら「アガサ・クリスティーのオマージュ」というようにダニエル・クレイグがポアロでも全く違和感ありませんでしたが、このゲロ要素だけはアガサさんにない部分でした。

この映画を皮切りになぜか映画で女の子が吐く描写が流行りました。ミステリーですね。

 

☆『9人の翻訳家/囚われたベストセラー』

フランス代表。多言語同時出版を目指すべく、各国の翻訳家たちを缶詰にして同時進行で作業に当たらせたという、実際にあった話に着想を得た作品。その小説というのはダン・ブラウンの『インフェルノ』だったそうですけど、劇中で「金儲けのために人を人とも思わぬ所業」とめちゃくちゃDisられてました。

こちらは殺人事件より「誰が密封状態の施設から作品の内容を他所にもらしたか」というのがメインの謎となっています。監禁状態とはいえいろんな国の人たちがわちゃわちゃ共同作業してるのは楽しそうだな~~~と思いながら観ていました。それだけに裏切り者?のせいでだんだんムードがギスギスしていくのが辛うございました。

最大の悪役である出版社社長がもういいおじいさんなのに、無駄にキラキラしたイケメンなのが印象に残りました。調べたら『神々と男たち』では実在の高潔な神父さんを演じてましたね。

 

☆『カイジ/ファイナルゲーム』

日本代表。これはミステリーというよりサスペンスかな… ツイッターでの評判が最悪だったのでおっかなびっくりでの鑑賞でございました。ところが意外と普通に楽しめました。そりゃ「勝利を自慢したいあまり、イカサマのネタを大声で喧伝してしまう」とか、目が点になってしまうところも色々ありましたけど、それなりに逆転への伏線などは上手に張り巡らしてあったと思います。そしてなにより藤原カイジが十年経っても変わらずそのまんまだったのが大変うれしゅうございました。

 

で(こっからは重要なネタバレを含みます)、この3作、

 

 

 

どれも若者と老人の友情物語でもあるんですよね。この辺が和むところでありました。「老害が」「若造が」とかく異なる世代いうのは対立しがちなものですが、やっぱりそういうのよくないと思うのですよ。年が離れていてもお互い大事な存在になれるって素敵なことであります。うんうん。

 

そしてもう一本。これはミステリーというよりアク・ションですけど

☆『バッドボーイズ/フォー・ライフ』

マイケル・ベイ印の火薬てんこもり刑事ドラマシリーズ。実は1・2を観てないのにトマトの数字が良かったからという軽薄な理由で鑑賞にのぞみました。今回はベイが監督じゃなかったせいかけっこうしんみりする要素もあり。あとこれにも高齢者と若者たちの心温まるお話や、主人公を狙う暗殺者の正体は?という謎要素があったりしました。

一点だけ気になったのはウィル・スミスが一介の刑事なのに、やけに高級そうなマンションに住んでたことですね。決してうらやましいわけではあります。

 

 

次回は『この世界の さらにいくつもの 片隅に』『エクストリーム・ジョブ』『1917』『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』『野性の呼び声』などについて(気力が沸いた時に)書きます。

 

 

 

 

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March 06, 2020

2020年1月後半に観た映画 『人間失格(アニメ版)』『フォードvSフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』『ゴッホが見た未来』『キャッツ』

☆『HUMAN LOST 人間失格』

『蒼穹のファフナー』や『天地明察』で知られる冲方丁氏が、太宰治の名作を大胆に翻案したSFアニメ映画。どのくらい原典が活かされてるのか気になって鑑賞して来ました。まあぶっちゃけちゃうとやっぱり『人間失格』というより原作版『デビルマン』に近い作品でありました。

とりあえず主人公の大場葉蔵氏は「ダメ人間なのに女性に好かれる」「関わる女性がみな不幸になる」という点は共通しておりましたが、まだ大宰版に比べれば倫理的にまともな青年でありました。

ポリゴン・ピクチュアズ製作で、宮野真守が櫻井孝宏に操られ、ヒロインが花澤香菜。そんで人智を越えた怪物が文明を破壊しようとする…といった流れはアニメ版『GODZILLA』三部作の別ヴァージョンのようにも思えます。近未来のお話なのにやたら昭和的ムード、要素を大切にする世界観が独特で面白うございました。

 

☆『フォードvsフェラーリ』

「フェラーリ」と付いてるのでF1の話かと思い込んでいたら、1960年代のル・マン24時間耐久レースに材を取ったお話でした。あとフォードとフェラーリが激突するというより、フォード内部でマット・デイモン演じるエンジニアとクリスチャン・ベール演じるレーサーが、己の道を貫くために奮闘する話だったり

で、この武骨な男二人の絆が深く胸を打つ映画でした。今どきの洋画でどつきあった果てに「やるじゃねえか、お前」みたいな感じでお互いを認め合う番長漫画的なアレが見られたりします。あとからこのくだりを思い出すとなんとも微笑ましかったり、切なくなったりします。

レーサーのケン・マイルズという人はあちらではさぞ知られてるのかと思いきや、そんなにメジャーでもないみたいで。テスト走行で火だるまになりかけた直後に、また平然とマシンをかっ飛ばしてる肝っ玉の太さには唖然とさせられます。あと主人公よりと見せかけて色々足を引っ張ってくれるフォード会長が小憎らしゅうございました。

 

☆『ジョジョ・ラビット』

『フォード~』と同じく本年度アカデミー賞作品部門有力候補だった映画。第二次大戦末期のドイツ。気弱な少年ジョジョはイマジナリーフレンドのヒトラーに励まされて、第三帝国の繁栄のため自分にできることをしようと頑張るのですが…

ナチス・ドイツを題材にしてるわりに全体的に陽気なムード。その辺が不謹慎というか手ぬるく感じる人もおられるかもしれませんが、突き刺すところはグサッと突き刺してきます。あと残酷シーンが少ないおかげで年少者たちに戦争の悲惨さを伝える入門編としても使えると思います。

こちらも主人公ジョジョと親友ヨーキーの素朴な友情にほっこりさせられました。途中ジョジョがロボット状のコスチュームをまとうシーンがあるのですが、スカーレット・ヨハンソンとサム・ロックウェルが出てることからして、『アイアンマン2』へのオマージュだったのかもしれません。もしくはただの偶然です。

あの後ジョジョとヒロインが『火垂るの墓』のようになってしまわないか少し心配ですが、作品の雰囲気からしてたぶん大丈夫でしょう。

 

☆『永遠の門 ゴッホが見た未来』

『潜水服は町の夢を見る』などで知られるジュリアン・シュナーベル監督が「炎の画家」ゴッホを題材とした作品。序盤は南仏の美しい自然に心和むのですが、中盤あたりから多くの人に異常者扱いされるゴッホがどんどん気の毒になってきます。こういうのもよくある話しですが、時代に早すぎたゆえに作品の真価が理解されないという。今では美術史で燦然と輝いてるゴッホの絵も、当事は「醜い」「ヘンテコ」とさんざんな言われようでした。

フランス映画でフランスが舞台なのにみん英語しゃべってたのは気になりましたが、主演のウィレム・デフォーは本物のゴッホと見まがうばかりの熱演でした。さらにオスカー・アイザックにマッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリックの脇を固めるイケオジたちも豪華メンバーでした。

 

☆『キャッツ』

ミュージカルの鉄板とでも言うべき名作を『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』のトム・フーパーが映画化。キャストには名だたる名優がそろい、どう考えても間違いない布陣なのに、欧米の批評家からはホラーだのポルノだの近年まれに見る大酷評w いやー、映画ってこういうことがあるから面白いですよね。

ただ実際に観てみると箸にも棒にもひっかからない駄作ということはなかったです。例の猫人間のビジュアルも予告でさんざん見せられたせいか慣れちゃってましたし。一言で表わすなら「珍作」という言葉が最もふさわしい。まあ珍作としても平凡というかあんまり印象に残らないのがつらいところです。

それでもさすが人気の舞台だけあって歌曲にはいいものが色々ありました。特にメイン曲とも言える「メモリー」や手品猫をみんなで励ます歌は気に入りました。

 

次回は『ナイブズ・アウト』『カイジ ファイナルゲーム』『9人の翻訳家』『バッドボーイズ:フォーライフ』などを取り上げる予定。

 

 

 

 

 

 

 

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March 03, 2020

12月末から1月前半に観た映画について 『スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和TFG』『男はつらいよ50』『パラサイト』

どんどん更新が遅くなり、簡略化されていく当ブログ… いよいよ末期なのかもしれませんw

せめて記録だけでも残しておこうと、(まだ)書いてなかった昨年末と1月前半に観た映画についてネタバレ全開で語ります。

 

 

☆『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

言わずと知れた世界で最も有名な映画シリーズの第9作にしてひとまずの完結編。色々冒険した前作に対し、無難にまとめた内容だったせいか一部で酷評されておりますが、わたしはがんばってよく帳尻合わせたなあと感心しました。特にカイロ・レンに対しての決着のつけかたは、やや唐突に思えたダース・ベイダーの改心より自然に思えました。あと爆裂四散を覚悟してたR2-D2とC-3POが最後まで無事生き残ったことも良かったです。

ネットで新三部作世代がこの度の続三部作を叩いているのを読んでると、かつて新三部作が旧三部作世代にこきおろされてた構図とよく似てるんですよね。まさに歴史は繰り返すというか。正当な評価が下されるのはまた10年くらい経ってからのことかもしれません。

ただ一点、文句を言わせてもらえるならば、もっと玩具が欲しくなるような新メカ、新ロボを出していただきたかった。以上です。

 

☆『仮面ライダー 令和 ザ・ファーストジェネレーション』

昨年最後に観た映画。現在放映中の『仮面ライダーゼロワン』と、前作『仮面ライダージオウ』の橋渡し的劇場版。ゼロワン、ゼロゼロワン、アナザーゼロワン、Ⅰ型、アナザー1号と、「1」を冠したライダーの大行進という印象。だのに肝心の本家1号かもしくはTHE FIRST版1号が出てこなかったのが残念。相変わらず脚本に難点はあるものの、一時期ライダー映画が壊滅的にひどかったあたりと比べれば、ファンサービス含めだいぶちゃんとして来ました。

 

☆『男はつらいよ お帰り 寅さん』

今年最初に観た映画。国民的長寿映画シリーズの22年ぶりの続編…というよりは総集編+後日談的な作品。寅さんのその後についてははっきりとしたことは語られず、もしかして本当に帰ってくるのでは…という期待を抱きましたが、実際どうだったかというと(略)

わたしが観た回ではかなりお客さんが入っていて、過去の回想パートではどっかんどっかん笑いが起きるのに対し、新撮の現代パートではしんみりするような場面がほとんどだったりして。

『男はつらいよ』はなんというかダメなおっさんを心地よくさせるファンタジーのような映画で、若いころは特に興味もなかったのに、いまではすっかりストライクな世代になってしまいました。初期数作を除けば寅さんは基本的にプラトニックな人なので、それで何とか許されてるところはあると思います。ダメダメプラトニッカーとして満男君は立派に寅さんの系譜を継いでいましたが、あとはやはりもっと笑いが取れるようがんばってほしいですね。

もうひとつ今回改めて感じ入ったのは、お若いころの倍賞美津子さんや浅丘ルリ子さんって、本当に息をのむほどに美しかったんだなあと。そしてそうした在りし日の彼女らを見ていると、現在のおばあちゃんになった美津子さんやルリ子さんもなぜか愛おしくなってきたりしました。

 

☆『パラサイト 半地下の家族』

言わずと知れた本年度アカデミー賞作品賞受賞作。そして現在日本における韓国映画歴代1位の興行新記録を達成。何から何まで異例ずくめの怪作でございます。当初タイトルから性悪な一家が裕福な家族の弱みを握って、じわじわと苦しめていくような話かと予想していたのですが、寄生家族も根はそんなに酷い連中ではなく、上手に感情移入させるような作りになっておりました。

ポン・ジュノお得意のお笑いセンスは健在で中盤あたり完全にドリフのコントに近いものがありました。そのまま最後まで喜劇で突っ走ってほしかったのですが… まあそうでなかったからオスカーもパルムドールもゲットできたわけですよね。

とりわけ珍しい特色としては、映像に映らない「匂い」が重要なポイントとなっているところ。わたしが知らないだけかもしれませんが、ほかに「匂い」がテーマになってる映画って『パフューム ある人殺しの物語』くらいしか思いつきません。自分では気が付きにくい性質である反面(それがゆえに?)、そのことを揶揄されると人って深く傷つくものなんだなあ…と。自分もマメにお風呂に入るよう努めてはおりますが。

結末について

 

 

監督は「長男があの家を買える金額を手に入れるのはまず不可能」とおっしゃってましたが、この作品が世界で大旋風を巻き起こしているのを見ると、事件のことを本か映画にでもすれば余裕でひと財産築けるのでは?と思いました。親父の居場所は適当にごまかして。観客席からモールス信号でそのことを伝えたい衝動に駆られました。

 

 

次回は『人間失格 HUMAN LOST』『永遠の門 ゴッホが見た未来』『フォードVSフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』などについて書く予定です。

 

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February 03, 2020

年末アニメ祭り②白と黒の衝撃 『ひつじのショーン UFOパニック!』『羅小黒戦記』

Farmageddon_20200203204601 まだ年末の話が終わりません… 2019年はどん詰まりに来て年間ベスト級のアニメ映画が立て続けに公開されて大変困りました(いや、別に困ることはないか)。1本目は『ひつじのショーン UFOパニック!』。英国ののどかな農村を舞台にしたTVシリーズの劇場版第二作。今回はETよろしく地球にやってきた迷子のエイリアンをめぐって町全体…どころか宇宙規模の大騒動が巻き起こります。恐らく『ひつじのショーン』最大のスケールかと思われます。が、中心となるのはあくまでいつもの農場。このギャップがなんともいえません。

そして特筆すべきは前作 と同じように「フゴフゴ」「フガフガ」という意味不明語のみで1時間半押し通すこと。それでいてちゃんと話は通じるししかも面白い。これね、相当な離れ業ですよ… まあ正直言うと前半は「標準くらいの面白さだな」と思いながら観てました。ですが中盤くらいでさすがにこれは我らがショーンでもどうにも出来まい…という大惨事が生じてしまいます。しかしそれでも普通に解決しちゃうんですよね、ショーンは。一介のひつじであるのにおおよそ不可能なことはないという恐ろしいキャラクターです。でも本人?の頭にあるのは日々を楽しく過ごし、愉快な遊びを探すことだけという。こんな兄貴分いたらいいなあ…と思わずにはいられません。ひつじだけど。

もう1本の『羅小黒戦記』もかわいらしい姿なのに、実は無敵な小動物が主人公のアニメ。住処の森を追われた黒猫の妖精「小黒(シャオヘイ)」」が、人間界と妖精たちの争いに巻きこまれていくというストーリー。『平成狸合戦ぽんぽこ』に異能力バトルを混ぜ合わせたようなスタイルなのですが、この作品の魅力はなんといっても小黒のキュートなデザイン。特に猫好きにはハートを錐で突き刺すくらいの威力があります。だからもう小黒が悲しい声を出せば泣きたくなるし、嬉しそうにしてると鼻水が垂れ流れてきます。ただ先にも書いたようにこの小黒、かわいいだけでなく実はとんでもないパワーを秘めた言わば「神」に近い存在。だのに本人?はいたって無自覚というところもショーンに通じるものがあります。

この2本そんな風に似てるところもありますが、作品のベクトルは好対照です。『ひつじのショーン』はそれはもうすがすがしいくらいに、人を笑わせ、楽しませることを目的とした作品。観終わったあとそんなに心に残るものはないかもしれませんが、それはもう清々しく幸せな気分に包まれます。一方で『羅小黒戦記』はやはりエンターテインメントでありながら、現代中国の抱える問題をやんわりと風刺しております。お堅いかの国でもこういう映画が作られ、しかもそれがヒットしたというのは喜ばしきことですね。そしてこちらはこちらで鑑賞後ほっこりとした暖かい気持ちにさせられます。

個性と完成度の優れたこの2作品ですが、日本ではあまり注目を浴びなかったり上映館が少なかったりするのは残念なことです。配信・発売が開始されたら一人でも多くの人に見ていただきとうございます。また『羅小黒戦記』の方は阿佐ヶ谷の小さな映画館「ユジク阿佐ヶ谷」にて未だに満席のロングランを続行中。お近くにお住まいで興味をもたれた方はぜひスクリーンで小黒に会いに行ってみてください。

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January 28, 2020

年末アニメまつり①さよならは別れの言葉じゃなくて 『アナと雪の女王2』『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

Olaf_getty まだ年末の話をします。昨年の暮れはそっち方面の注目作がいっぱいあったのでアニメ映画ばかり観ておりました。本日はその中の3本をほぼネタバレ大全開で語ってみます。

ひとつは今もなお大ヒット公開中の『アナと雪の女王2』。世界的、とりわけ日本で記録的興行を打ち立てた新時代のディズニープリンセス映画の続編。絆の力で試練を乗り越えた姉妹の前に、新たな危機が訪れます。

Sakuhin017589_1 ふたつめは『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』。たれぱんだ、リラッくまなどで知られるサンエックスがまたしてもど派手にあてたかわいらしいキャラクターたちの劇場版。わたくし全然知らなかったのですが、ツイッターで「なんか映画版はすごいらしい」「まどか☆マギカを彷彿とさせる」という評判を読みつられて観にいっちゃいました。

5549_item01 みっつめは『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』。2010年に日本公開され、大人の事情で2作目が劇場スルーされたシリーズが奇跡的にスクリーンに帰ってきました。わたしの知る限りこんな例は他には『トリプルX』くらいしかありません。多くの冒険を繰り広げてきた少年と竜のコンビが、竜のハンターたちや移住問題と戦います。

この3本どれも楽しく鑑賞させてもらいました。で、気づいたのはどれも最後に「お別れ」が待ってるということでした。夏にやってた『トイ・ストーリー4』、昨年の『シュガーラッシュ・オンライン』もそうでした。そういえばわたしが子供のころなじんでた名作アニメにはそういう切ない話が多かったなあ。『銀河鉄道999』『ルパン三世 カリオストロの城』『ドラえもん のび太の恐竜』『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』などなど。ただ昔の作品の場合は「もう二度と会えない」的な胸にツーンとくるものが多かったのですが、最近のものは「会おうと思えばたまには会える」的なものが多いですね。

あとそれぞれのお別れも似てるところもあれば違うところもあり。『アナ雪2』の場合は「え!? そんなにあっさりでいいの!?」というくらい淡白でしたが、この作品と『ヒックとドラゴン』は「お互いの種族のために最善の道を選ぼう。離れていてもこころはひとつ」という感じでした。クリエイターとしては「いつまでも一緒にべったりだと共依存になってしまう。絆を保ちつつそれぞれ自立しなければいけない」ということを訴えたいのかなあ。ただ『ヒクドラ』1作目の結末が好きだった者としては「ずっとずっと隣にいたっていいじゃねえかよ!」と思ってしまうのでした。いいとしこいて独りもんだからでしょうか。

対して『すみっコぐらし』は「一緒にいたいのに生まれもった性質ゆえにそうできない」というハートがキリキリするようなものでした。小さなお子様も観るだろうになんと容赦ない… それはともかくメインキャラである「すみっコ」たちがほとんどしゃべらず、ナレーター二人の語りだけで進行していくスタイルはなかなか独特でした。

やっぱりなにもかもがハッピーエンドの作品よりは、切ないお別れ的な結末の方が心に残るものです。 だからといってそちらの方が優れているというわけでもなく… 結局おれは何が言いたいんだ! ふんがーー!!(飲酒中)

次は年末アニメ祭り後編として『ひつじのショーン UFOフィーバー!』『羅小黒戦記』について書きます。

 

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January 21, 2020

元祖モンスター・ホテルへの帰還 『ドクタースリープ』

映画秘宝がとうとう休刊してしまいましたね。さびしいなあ… それとはまったく関係ありませんが本日は『ドクター・スリープ』についていまさら書きます。スティーブン・キング原作でスタンリー・キューブリック監督が映画化したあの伝説的名作『シャイニング』の続編。というわけで『シャイニング』の説明をまずしなきゃいけないですね。

『シャイニング』は1977年に書かれて1980年に映画化。冬の間だけホテルの番をすることになった作家が、次第にそこに巣食う悪霊に乗っ取られていき、息子のダニーや妻のウェンディを襲うようになるというストーリー。この辺は映画も小説を踏襲してるのですが、キングはその劇場版にめっちゃ怒ったというのは有名な話です。なんでも割りとほめまくるキングさんにしてはこれは珍しい話。原作『シャイニング』はお父さんが子供への愛と自分の弱さについてかなり葛藤するのですが、映画版ではその辺はほぼ省略されてお父さんの狂気に全く迷いが見られません。主演がジャック・ニコルソンだから余計にそう見えます。

ですがキングにとってはそのカットされたところが大事だったんですよね。彼の父親はキングが幼いころ「煙草を買いにいってくる」と言ってふらっと出てったきり、消息不明なのだとか。ですからキングにとってパパンとは憎らしく不可解な存在であり、同時に「本当は自分のことを愛をしていた」と信じたい人間なわけです。だからかキング作品には「毒親」が非常に多く登場します(まともな親もおりますが)。

余談ですがわたしは一昨年くらいにようやく映画版を観ました。びくびくしながらの鑑賞でしたが、これまで色んなところでパロディにされまくったせいで意外と楽しく観られたことをご報告いたします。

さて、ようやく映画『ドクター・スリープ』について。『シャイニング』から30年後。ダニーはすっかり酒びたりのダメ中年になっていましたが、一念発起してなんとか立ち直り、とある医療施設で働くようになります。そんな折、ダニーは遠く離れた町で暮らす強大なパワーを秘めた少女、アブラからSOSのメッセージを受け取り、悪の超能力者軍団と戦うことに。

さっき書き忘れてましたが、『シャイニング』原作は実は超能力ものでもあるのですよね。そもそもタイトルの「輝き」というのはダニーが持つ超能力のことをさしております。この度の映画『ドクター・スリープ』ではその「輝き」が前面に押し出されております。全米(全世界?)にその「輝き」を持つものが点在していて、ある者は良いことにそれを使い、ある者は私利私欲のために用います。また善良な「輝き」人は能力をもてあまして悩んでいる後輩を、時には霊体になってまで助けようとします。主演がユアン・マクレガーというせいもあってまるでフォースとジェダイの騎士のようでありました。ユアン・マクレガーといえばかつてはやんちゃな青年なイメージでしたが、近頃は『プーと大人になった僕』『T2 トレイン・スポッティング』などすっかり中年の危機に直面して奮闘する役が多くなって来ました。彼ほどかっこよくはないですが小生もおっさんゆえ大いに共感しております。

ともあれ、あらすじを読んで「『エイリアン』に対する『エイリアン2』のような内容なのかな?」と予想していたのですが、どっちかというと『エイリアンVSプレデター』のような続編でした。変なたとえでわけがわからないと思いますが、観て頂けたらわかると思います。実は原作では木っ端ミジンコに吹っ飛んだシャイニングホテルが、映画では予告編からバーンと映ります。一体超能力バトルからどうやって前作の舞台につながっていくのか興味津々で鑑賞しておりましたが、なるほど~ そういう持って来方だったのか~ と感心したりテンションぶちあがることしきりでございました。

ここのところ読書量が落ち込み、『ドクター・スリープ』は原作未読で臨みました。で、この記事を書くにあたり小説版のネタバレを読んでみたのですが、映画とはけっこう違いますね… 結末も異なるし、大体ホテルは正編で消失してしおります。ラストシーンがどんなだったかまで読んじゃいましたが、急速に原作の方も手を伸ばしてみたくなってきました。

昨年からキングラッシュが続く映画界。今度は一度映画化されてる『ペット・セメタリー』が公開されております。これまた親子愛にからめたイヤ~な話でして。こちらはスルーさせていただきますw

 

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