March 09, 2025

2025年1月に観た映画

ようやく今年の映画の覚書です。今年は去年以上に適当に行きます。

☆『はたらく細胞』

2年連続でウンコが漏れそうになる映画が年明けの1発目でした。そんなくだらない体内の細胞たちのドタバタと、後半の深刻な闘病ものとのギャップに当惑させられます。細胞たちの生命のサイクルが短いこともちゃんと描かれていて観終わったあと諸行無常的な気持ちになりました。こんなシュールで殺伐とした映画が興行収入60億突破ってすごい。

 

☆『ビーキーパー』

ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画。定食屋でほっと落ち着く「そうそう、いつものこの味…」的な作品です。ジャンル的には「なめてた相手が殺人マシンだった」系になるのかもしれませんが、悪者がなめる間もなくサクサクバタバタやられてった印象でした。

それにしても昨年の『シビルウォー』、本作品、『キャプテン・アメリカBNW』と最近の映画界の米国大統領は人でなしのような輩ばかりで、ハリウッドの政治不信の濃さがうかがえます。これらト〇ンプさんが就任前に作られてるはずなんだけど

 

☆『カルキ 2898-AD』

珍しいインド初の本格SF映画。ただSFに普通に『ラーマーヤナ』の神様の生まれ変わりがバンバン出てくるあたりが、インドのお国柄と言うか信心深さを感じさせます。日本で例えるならガンダムに天照大神とかスサノオノミコトが出て来ちゃうようなものでしょうか。

2時間48分飽きずに観てられましたが、こんだけ付き合わされたにも関わらずすごくキリの悪い所で「続編につづく」となります。ま、想定内です。

 

☆『室町無頼』

応仁の乱直前の時代を舞台に室町幕府にケンカを売った無頼たちの物語。これまた先の時代劇映画『十一人の賊軍』『八犬伝』と同じく山田風太郎テイストを強く感じました。武芸の才に秀でながらあっけらかんとした明るい主人公像は山風描くところの柳生十兵衛を彷彿とさせます。これを演じるのが大泉洋氏なのですが、意外に悪くなかった。今までで一番かっこいい大泉だったのでは

 

☆『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』

話題沸騰のガンダム最新作。TV版の先行上映ということでスルーでいっかな…と思っていたのですが「すげえびっくりする。ネタバレ厳禁」という噂を聞いて気が変わりました。ガンダム映画ってそんなネタバレを気にしなきゃいけないものだっけ…と頭の中に「???」を抱えながら鑑賞に臨みましたが、うん、普通にたまげました。うじゃうじゃ続編が作られたガンダムシリーズですが、まだこんなやり方が残っていたか…と感心することしきり。小説にしろ映画にしろすぐれた「古典」というものは大胆に翻案されたりするもので、まさに『機動戦士ガンダム』第1作が「古典」になった瞬間に立ち会えた気がします。あとTV版の先行でありながら十分IMAX映えする映像だったのもよかった。

4月から本格的に地上波放映が始まるとのことで非常に楽しみです。つか、全部映画館でやってくれても一向にかまわないんだけど。

 

次回は『トワイライト・ウォリアーズ』『アンダーニンジャ』『野生の島のロズ』『キャプテン・アメリカBNW』『ブルータリスト』について書きます。

 

 

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March 01, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 2月編

☆第5回「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」

本屋たちへの仲間入りを拒否された蔦重は、なんとかして版元になる道をみつけようと奔走する。その裏で唐丸に近づく怪しい浪人の影があった。

蔦重のサイドキック…かと思われた唐丸が5話にしていったん退場。「何か隠してるだろ?」という蔦重の問いに何とも言えない表情をして「何もない」と答える唐丸。それを観ながら轟々と泣くワシ。なんだか大河ドラマというより山本周五郎の人情時代劇を観ているような気分でした。落ち込む蔦重を「楽しい想像をしようよ」と励ます花の井がまたよい。明らかに自分のせいじゃないのに「自分で高いもの買ったんでしょ」と言われて「うーん、オレなのかなあ」とつぶやいてる次郎兵衛兄さんがさらにまたよいです。

この回の『風雲児たち』ポイント:須原屋市兵衛来ました。『風雲児たち』ではぐるぐるメガネでしたが… 林子平も出るか?

 

☆第6回「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」

癪には触るが鱗形屋に頭を下げ、のれん分けをしてもらおうと企む蔦重。だが彼の下で働いているうちに犯罪の証拠を見つけてしまい…

この回は当時本の種類に「赤本」「青本」なるものがあったことを学びました。赤本は子供向けの絵本、青本は字主体だけど絵も入ってる物語。当時青本は人気がなく、面白いものをこさえようとストーリーを練る蔦重と鱗形屋のやり取りが、漫画雑誌の編集会議のようで本当に楽しそう。しかし鱗形屋は蔦重を食い物にすることしか考えてなく、因果応報的な顛末が彼を待っています。いやあ、この頃から海賊版ってあったんですね。

意外に早く再登場を果たした長谷川平蔵。カモ平から少しずつ鬼平にシフトしている様子がうかがえます。自分にとって良い結果になったにも関わらず、罪の意識を感じて浮かない蔦重。こういうこずるいところもあるけれど、人並みの良心も持ってる人物造形が身近で好感が持てます。

この回の『風雲児たち』ポイント:池に捨てられた佐野善左衛門の家系図。ああ…

 

☆第7回「好機到来『籬(まがき)の花』」

鱗形屋不在を幸いとばかりに、本屋連中に自分の仲間入りを認めさせようとする蔦重。その条件として、「倍売れる売れる細見を作る」と大見得を切るが、果たしてその勝算やいかに。

前回は面白い娯楽本を考える話でしたが、今回は使いやすいガイドブックを作ろうとする話。それには持ちやすく、薄い本を…をとアイデアを絞る様子が面白い。それに付き合わされるのが源内先生のお弟子さんの新之助さん。何度も作り直しをお願いされてしまいにゃ相当キレてましたが、恋人に会うお金を工面するために耐えておられました。

あとこの回で爆笑したのは最初断ってたのに吉原への宴会をエサにされたらパタッと手の平を返すダチョウ俱楽部肥後さんとか、『鎌倉殿』でもジェラシーに身を焦がしてた芹澤興人さんとか。いつもよりお笑い要素50%増し、みたいな回でした。

そして怖かったのが鶴屋喜右衛門を演じる風間俊介君。顔は笑ってるんだけど目が笑ってない。失礼ながらサイコパス役とかけっこうはまりそうな気がします。

 

☆第8回「逆襲の『金々先生』」

軽装版細見の評判は上々で、蔦重にもいよいよ本屋の仲間入りの道が開けてくる。だがその道の前に本屋のリーダーである鶴屋喜右衛門と、意外とあっさり帰ってきた鱗形屋がたちはだかる。

最初「絆の強い兄妹」みたいな関係なのかな…と思っていた蔦重と花の井(瀬川)ですけど、花の井の方はガッツリ蔦重のことが好きだったようで。そんな思いも知らずに「金持ちに身請けされるといいな」とのたまう蔦重に綾瀬はるかはじめ全国の視聴者が「馬鹿! ニブチン!!」とつっこんだ回でした。ただ花の井は蔦重のああいう博愛主義的なところに惹かれたんじゃないかな…とも。

1話では親方衆から階段落としを喰らっていた蔦重。ところがこの回では蔦重との約束を反故にした鶴屋が階段落としを喰らいます。いつの間にか忘八たちから一目置かれていた重三郎。そんな立場の変転が印象に残りました。もうひとつ印象深かったのは金貸しなのに気配だけで相手の感情を察する武闘家のような検校(演:市原隼人)。『鎌倉殿』からの共通キャストもこれで4人目くらいかな

鱗形屋が出した青本の進化系「金々先生」は、後に「黄表紙」と呼ばれるものの先駆けだそうで。「金八先生」ってここから名前取ったのかな?とも考えたのですが、さすがに関係ないようです。

 

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February 09, 2025

2024年12月に観た映画を振り返る

今頃暮れの映画について振り返ります。通常ペースに戻ったということですね。

☆『ザ・バイクライダーズ』

同名の写真集からインスパイアされた1960年代のバイカー集団の盛衰を描いた物語。まぎれもないフィクションなんですが、メンバーがめちゃくちゃ実際にいそうな人だったり、その死にざまがあっけなかったりといかにも本当にあったような話になっております。

自分このジェフ・ニコルズ監督の『MUD』という作品が好きだったんですけど、優し気なジュブナイルだったそちらと比べると、こちらはビターで感傷を突き放すような仕上りになっておりました。走り出したら止まらないような、オースティン・バトラー演じる主人公が強烈。彼のにやけ顔を背景にしたタイトルバックが特に印象に残りました。

 

☆『ロボット・ドリームズ』

俺は涙を流さない ロボットだから マシンだから だけどわかるぜ 燃える友情 君と一緒に 夏を待つ

同名のコミックを元に作られたアニメ映画。ポスターを見ててっきりロボが犬を飼う話かと思ったら逆だったという… 全編ほぼセリフなしで、そんな一匹と一台の切ない擦れ違いが語られていきます。ハッピーとはいいがたいけど、決してバッドでもない独特の後味が胸に残ります。

自分この監督の作品で残酷版『白雪姫』とも言える『ブランカニエベス』という映画も見たことあるのですが、こちらはそちらに比べると意地悪さはそのままに暖かさを増したような作りになっておりました。

特に「あるある」と思ったのはドッグとダックとのくだり。これでけっこう仲良くなったかな?と思い、実際気まずくなることがあったわけでもないけど、相手の方は…みたいな。ふう。人生はビターですね。

 

☆『クレイブン・ザ・ハンター』

スパイダーマンの出てこないソニーのスパイダーマン・ユニバース最新作にして最終作。ロシアン・マフィアのボンボンに生まれたクレイブン君が野性に目覚めちゃって悪人ハンターになるものの、最愛の弟が抗争に巻き込まれたりド悪人の父との関係に悩んだり…というお話。

自分はぬるい映画ファンなのでSSU6作品、どれも普通に面白かったんですよね。本作品もアーロン・テイラー・ジョンソンが体を張ってアクションをがんばってましたし。でもこの「どれも普通」というのがよくなかったのかもしれない。1、2本くらいは大傑作がないと。それでもダークユニバースに比べれば頑張ったよな…と、クレイヴン父役のラッセル・クロウを見ながら思いました。また10年後くらいにソニーのアメコミ映画総決算…みたいな映画が作られたらクレイヴンやモービウスとも再会できるやもしれません。

 

☆『モアナと伝説の海2』

あの冒険から数年後、外界との接触を探し求め続けてたモアナは、それを阻もうとする邪神から狙われることに。モアナは島の仲間とマウイと共に試練に立ち向かう。

いや、よく出来た続編でしたがもうだいぶ忘れてる… 加齢っていやね… 辛うじて覚えてるいいところは、前作で悪役だったココナッツの妖精みたいなやつがかわいくてがんばっててフィギュアが欲しくなったりとか。あとやっぱり巨大な怪獣とか海が大荒れしてる映像はCGアニメの大家ディズニーだけあって大層な迫力でした。

世界でも日本でもかなり売れたそうで、そんだけ子供たちから評価されてるということなのでしょう。わたしが観てた時近くの席でちびっこが「マウイかっこいいねー!」とはしゃいでいたのがかわいかったです。

 

☆『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』

ソニックの映画シリーズも早くも3作目。長年秘密研究所に囚われていた謎の宇宙生命体シャドウと、我らがソニックチームが対決。それと並行してミスター・ロボトニック親子とロボトニック助手の愛憎劇が繰り広げられていきます。

相変わらずソニックたちはぬいぐるみみたいだし、ロボトニックのギャグがいちいち脱力するほどくだらないのですが、シャドウの悲しい過去と暴走を反省するソニックの姿に泣かされてしまいました。自分の情緒も大概おかしいと思います。

ただモアナにもソニックにも最近のそういう作品全般に言いたいのは、最後に「戦いはこれからだぞ♪」的なエンドロール後のオマケを出すのはいい加減やめましょう。続きがいつ見られるかとか、そもそも無事作られるのかとかわかんないんだからさ!!! ソニックとモアナはけっこうヒットしたようなので大丈夫な気はしますが。

 

次回は『はたらく細胞』『ビー・キーパー』『カルキ』『機動戦士ガンダム ジークアクス』『室町無頼』について書く予定。

 

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February 02, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 1月編

前から期待はしてましたが、始まってみると予想を越えてべらぼうに面白い大河ドラマ『べらぼう』。加えて『風雲児たち』ファンには見逃せないところも色々あり、3年ぶりに大河レビューを再開いたします。果たして完走できるでしょうか。

☆第1回 ありがた山の寒がらす

吉原大火から始まる第1回(吉原はよく燃えたらしい)。彼の地の案内所で働く青年蔦谷重三郎は、かつて世話になった元花魁が困窮の果てに亡くなったことに衝撃を受け、吉原に勢いを取り戻すために知恵を絞る。

恐らく登場時で22才ほどの蔦重。彼は決して長生きした方ではないんですが、さらに幼少時を回想3分で消化するというストロングスタイル。

この回のキーパーソンはやはり時の老中田沼意次。渡辺謙氏が演じているゆえイメージよりややかっこいい感じですが、賄賂も受け取りつつ私欲よりも国益を優先させているやり手の政治家として描かれていました。あと先走った蔦重が親分から喰らった「桶伏せ」の刑が面白かったです。

この回の『風雲児たち』ポイント:明和9年は「迷惑」に通じる

 

☆第2回 吉原細見『嗚呼 御江戸』

吉原に客を呼ぶにはガイドブック「細見」をいいものにすること、と思いついた蔦重は、人気作家平賀源内に序文を書いてもらおうと考える。だが平賀源内はなかなか見つからない。

平賀源内という人間の面白さがとりわけ印象に残る回。正体を隠して蔦重を翻弄するあたり時代劇の『暴れん坊将軍』か『水戸黄門』のよう。男色一筋だった、というのは知りませんでした。かつての恋人を思い目をうるませる姿にはホロリとさせられたり。

1回目から出てる鬼平は池波正太郎版よりちゃらい感じ。ひいきの花魁に気に入られるためにお金をばらまく姿は現代の配信者への「投げ銭」とよく似てます(スパチャって言うの?)

この回の『風雲児たち』ポイント:コマーシャルソングの先駆け「漱石香」の歌

 

☆第3回 千客万来『一目千本』

来客があったため冒頭12分ほど見逃し。江戸城内で権力をめぐる暗闘があったっぽい。

細見は良い出来だったが、いまひとつ吉原への客足が伸びない。文章だけでなく絵を載せたら…と蔦重は思いつく

人気の女郎たちをそれぞれ花に見立てるというアイデアはキャラに属性をあてはめるカードゲームのよう。苦労が多いのにみんなで理想の本を作るのがめちゃくちゃ楽しそうなあたりは同人誌作りのようでした。自分同人誌作ったことないけど。

今の蔦重が必死になってるのは、吉原に客を呼んで食うにもこと欠く女郎たちを食わせること。ただ彼が後世に名を馳せているのは吉原の大店の主としてではなく、写楽や八犬伝を世に送り出した本屋さんとして。自分のやり方に限界を感じ方向転換をすることになるのか?…は見続けてみないとわかりません。

鬼平はお金が尽きたのでいったん退場。名実共に「鬼平」となって再登場か。

 

☆第4回 『雛形若菜』の甘い罠

『一目千本』が大当たりし、ひとまず吉原に活気が戻る。親方衆は次なる一手として錦絵を載せた本を出せば勢いが続くのでは…と考え、その出版を蔦重に丸投げする。

冒頭で忘八の親方衆がなぜかみんな猫を抱えてニャアニャア言ってたりして、何を見せられてるんだ…とは思いましたがかわいかったからよし。そしてこの回では猫が大事な下絵を台無しにしてしまうという猫あるあるな現象も描かれます。ここで発揮されたのが蔦重のサイドキック唐丸のスーパー模写パワー。のちの写楽はこの子で確定でしょうか。

版元になる夢を抱くも組合の掟に阻まれ手柄を横取りされてしまう蔦重。西村まさ彦が西村屋をやってるのはスタッフのギャグでしょうか。

この回の『風雲児たち』ポイント:『放屁論』と『解体新書』。「田安家を絶やすけ」

 

老眼に鞭打ってまた一年がんばろうと思います。

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December 30, 2024

2024年、この映画がアレだ!!

当ブログもいつのまにか始めて丸20年が経ってしまいました。最初の記事を書いたころに生まれた子がもう成人してるわけです。本当に俺は何をやってるんだろう…

ま、気を取り直して本年の映画ベストを考えます。まずはワースト、リバイバルから

☆ワースト部門:該当作なし

今年はめでたいことにれといってワーストと言える映画が思い当たりませんでした。わけわからん映画とか、あまりにもな低予算がにじみ出てる映画はありましたが、憎いとか腹が立つというほどのものはなく。まあわたしの心は元々宇宙より広いんで。

 

☆リバイバル部門 『名探偵ホームズ』

宮崎駿氏がまだいまほどメジャーじゃないころ作った「犬版」ホームズ。やっぱりもっと元気のあるうちに、こういう毒にも薬にもならないハチャメチャな冒険活劇をたくさん作って欲しかった。『この世界の片隅に』の片渕須直氏もけっこうがっつり関わっておられますね。次点に『男女残酷物語 サソリ決戦』

ではいよいよベスト発表。まずははっきり良かったけど惜しくもランク外となった13作品。

・ゴールデンカムイ

・カラオケ行こ!

・アーガイル

・リンダはチキンがたべたい!

・異人たち

・マッドマックス フュリオサ

・猿の惑星 キングダム

・潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断

・フォールガイ

・エイリアン ロムルス

・シビル・ウォー アメリカ最後の日

・ザ・バイクライダーズ

・クレイヴン・ザ・ハンター

 

続きましてベスト20、一気にガーッと参ります

第20位 『碁盤斬り』 大晦日に観返したくなる映画

第19位 『マダム・ウェブ』 主演が「出るんじゃなかった」とか言ってましたが、そういうこと言うなよな 

第18位 『ゼーガペインSTA』 えんたんぐる!! プラモ買いました

第17位 『侍タイムスリッパ―』 つい「タイムストリッパ―」と読んでしまう。いけないわ

第16位 『ラストマイル』 ア〇ゾンで買い物がしにくくなってしまった

第15位 『最後の乗客』 「カレンの復興カレンダー」とかあったね…

第14位 『十一人の賊軍』 白石和彌監督2本目。『仮面ライダーBLACK SUN』とはなんだったのか

第13位 『ロボット・ドリームズ』 バーディヤー これも一種の異類婚姻譚か

第12位 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ』 人は誰も寂しがり屋さん

第11位 『機動戦士ガンダムSEED FREECDOM』 結局ズゴックが全部もっていった気がする

第10位 『グラディエイターⅡ』 デンゼルさんがマッコールさんだったら勝ってた。あぶなかった

第9位 『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』 「つまらないけど嫌いになれない。むしろ好き」 とさんざん言われた映画。みんなひねてるなあ

第8位 『ルックバック』 漫画家残酷物語。『シャークキック』ってやっぱり『チェンソーマン』みたいな作品なんですかね

第7位 『クワイエット・プレイスDAY1』 久々の「泣けるホラー」の大傑作。猫も大活躍

第6位 『デューン 砂の惑星 PART2』 無事完結…とはならなかった。本年度IMAX映え大賞

第5位 『サユリ』 久々の「燃えるホラー」。霊に拳を。人には愛を

第4位 『コヴェナント 約束の救出』 ガイ・リッチーっぽくないけどガイ・リッチー最高傑作。つくづく『リボルバー』とはなんだったのか

第3位 『アイアンクロ―』 おじさんなのでこういうあまりにも悲しすぎるお話に漂う暖かさ・優しさに本当に弱い

第2位 『デッドプール&ウルヴァリン』 監督とライアン・ゴズリングの人脈により集められた超豪華メンバーが織り成すアメコミ・スラップスティック。わたしの青春の思い出となりつつある20世紀FOX版X-MEN。ずっと忘れないよ… たぶん

そして栄えある第1位は

☆『鬼平犯科帳 血闘』

でございました。これ脚本的にちょっと苦しいところもあるんですけど(原作の問題か?)今年一番泣かされてしまった映画なのでどうしようもないのです。興行的にアレだったのがまた泣ける。『侍タイムスリッパ―』の後だったらもう少し売れたのだろうか。来年は大河ドラマにも「鬼平」が出るらしいですが。

 

駆け足でしたが本年度マイベスト映画でございました。来年もMCU版ファンタスティック・フォーやアバター3,スーパーマンにJUNK HEAD続編、ポン・ジュノの新作など色々楽しみです。それでは皆様良いお年を

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December 22, 2024

2024年11月に観た映画

年の瀬ですなあ… 11月に観た映画のまとめ記事です。

☆『ヴェノム ザ・ラストダンス』

スパイダーマンの出てこないソニーのスパイダーマンユニバース第五作にして、『ヴェノム』シリーズの完結編。シンビオートの創造主であり最大の敵であるヌルが覚醒。その追っ手を振り払うべくヴェノムとエディは東海岸まで旅に出る。

思ったのですが、このシリーズってアメコミの中でもとりわけ藤子不二雄作品に近いところがあります。エディというのはいいおっさんでありながら、いまだにちゃんとした大人になりきれてない男。ファンとしては一人と一匹の愉快な活躍をいつまでも観ていたいところですが、少年が一人前になるためにはいつかはドラえもんなりオバQなりとお別れしなくてはいけないのです。

といいつつも今回の映画のヴェノムはよくできたキャラだったのでお別れはやっぱり寂しいし、このまま退場はもったいない。またそのうち復活してくれることを望みます(そういうことを言ってるからいつまで経っても自分はこどおじなのでしょうか)

 

☆『十一人の賊軍』

☆『八犬伝』

時代劇を2本まとめて。両者とも2時間半の大作でしたが、あまり長さは気になりませんでした。

前者は幕末の新発田藩で起きたあるエピソードを膨らませ、捨て石とされた身分の低い者たちが決死の作戦に挑む姿を描いた作品。この決死隊の戦いが上り調子の時はまことに観ていて痛快なのですが、後半になると話が「こうなりませんように…」という方へどんどん進んでいきます。

ですので鑑賞直後はやや微妙な気持ちだったのですが、よく考えたらこれわたしの好きな山田風太郎の黄金パターンでございました。権力者のいいように利用された者たちが、最後に人としての誇りを見せて一矢報いて散っていく。そしてあるかなしかの小さな希望を残していく。それを思い出したらなんか「これはこれでいいか」という気分になりました。いい加減なものです。

 

後者はもとから山田風太郎原作。有名な『八犬伝』のダイジェストと曲亭馬琴の半生がザッピングしながら語られていきます。原典を読むのがハードルが高いのでいまいち全貌を知らなかった『八犬伝』ですが、この映画のおかげで大体どういう話かわかりました。

こちらで山風テイストを感じたのは馬琴を鶴屋南北や渡辺崋山といった、当時の著名人とすれ違わせるあたり。特に「悪」「リアリズム」を重んじる南北との対話にはワクワクドキドキしました。悲惨なニュースばかりで気が滅入るこのご時世に、ニチアサヒーロータイムが存在する意義とは…を問うた作品でもあります。

 

☆『グラディエイターⅡ 英雄を呼ぶ声』

2000年の名作『グラディエイター』の実に24年ぶりの続編。数奇な運命に弄ばれた前作主人公マキシマスの息子が、父同様剣闘士としてローマに戻ってくるお話。なんというか作中のキャラ達も作り手の心情も本当にみんなマキシマス大好きなのね…ということがビンビン伝わってくる映画。脚本的にはローマ憎しだった主人公がコロッとローマ立て直しに転じたり、ラスボスであるデンゼルワシントンの行動に疑問を感じたりと、ひっかかるところが幾つかあるのですが、あのエンヤみたいな前作の主題曲を流されてしまうと強引に感動させられてしまうというか。適当なものです。

あとやっぱり剣闘士の映画ってなかなかないのであるだけ貴重です。

 

☆『最後の乗客』

『侍タイムトリッパ―』の好演で注目されてる冨家ノリマサ氏が、やはり異常な状況に巻き込まれて…という内容。世界の映画祭で幾つも賞を取っているということで全編55分というのに固定料金1600円というストロングスタイル(夏の『ルックバック』を思い出します)。果たしてその価値はあるか…と思いながら鑑賞に臨みましたが、料金以上の価値がありました。

このブログ基本感想を書く時はほぼほぼネタバレでやっていますが、この映画に関しては内容には触れないことにします。興味を持たれた方は観る機会が訪れた時にご自分の目で確かめてください。

 

☆『リトル・ワンダーズ』

最近のアメリカ映画なのにどこか一昔前のヨーロッパ映画のような雰囲気が漂う作品。子供ながら欲しいもののためには手段を選ばない「不死身のワニ団」の3人は、手に入れようとした玉子を先取りした男からそれを奪うことを計画。しかし男はプロの犯罪者集団の一員だった…という物語。ある種の児童文学と言えないこともないですが、とにかく主人公の少年たちの行動が教育的に悪すぎる。ですので児童向けというより、悪ガキの活躍が好きな大人向けの作品です。

年端もいかない子供たちが銃を扱う大人集団を敵に回すのでちょっとだけハラハラするのですが、全体的にゆるいムードなので「そうひどいことにはならんだろう」という安心感がありました。本年度まったりうっかり大賞をさしあげます。

 

12月の映画感想は年間の漫画ベスト・映画ベストを書いたのちに上げます。

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November 24, 2024

2024年10月に観た映画

お、一月前に追いついて来た。今年はなかなか優秀であります。では10月に観た映画の覚書を

 

☆『トランスフォーマー ONE』

最近「宿命のライバルが昔は仲良しだった」という路線が人気なんですが、その先駆け的な作品。長年因縁の対決を繰り返してきたコンボ…じゃなくてオプティマスとメガトロンは元々親友だった!という出だしから始まる本作。ブラック企業から搾取される若者たちの苦労話なあたりはちょい前の『エイリアン ロムルス』ともかぶっております。

CGアニメだったらスルーでいいか…という気分だったわたしを動かしたのは、これが3DIMAXで観られると聞いたので。最近めっきり減りましたよね、3D作品。キャラクターが広大な都市を背景に宙を落下したり縦横無尽に飛び回ったりする映像は大変3Dの大画面にマッチしていて見応え十分でした。悲しいのはその大画面のスクリーンの観客がわたし一人だったということです。

トランスフォーマーと言えばトラックや乗用車といった実際にある地球の乗り物に変形するのが特長。今回は彼らが地球に来る前なので、それっぽい未来メカみたいなのに変形しててごまかしてたのはご愛敬でした

 

☆『憐みの3章』

春にオスカー関連で話題を呼んだ『哀れなるものたち』が記憶に新しいヨルゴス・ランティモス監督最新作。今回もなかなかにぶっとんだ作風で、しかも不条理具合にさらにアクセルがかかっておりました。

それぞれに独立したと思しき三つの物語。ただ同じ役者さんがそれぞれのエピソードで違う役で出てきたりするので、章がおわるごとに頭を切り替えていかねばなりません。で、この3幕がどれも底意地が悪いというか、悪魔的というか、痛々しい話で正直不快感をぬぐえませんでした。でも面白いかつまらないかといえば、ちょっと面白いのが困ったところです。

そんなわけであまり好きなタイプの作品ではないのですが、3編の意外な共通項が明らかになるラストカットだけはなかなか可愛らしくて気に入りました。

 

☆『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

2週連続不穏なジェシー・プレモンス。個性的なアイデアのアート系作品を多く輩出しているA24の最高収益を達成したという作品。恐らく来年のアカデミー候補は間違いないかと(はずれたりして)

独裁者が大統領になってしまったため、壮絶な内戦が勃発してしまったUSA。その最前線をカメラでおさめるべく、現地を旅するジャーナリスト一行が我々の目となります。最初から最後までずっとヒリヒリした緊張感が続くのかと思いきや、のどかな風景と穏やかな楽曲のせいか、意外と心休まる場面も色々ありました。

あらすじだけ読んで今の戦争が絶えない世界への批判的なものでもこめられてるのかな…と予想してましたが、そういう社会風刺よりも、ジャーナリストたちが目的のために徐々に人でなしになっていくような、人間の暗部の方がメインとなっております。この辺やっぱり『エクスマキナ』『MEN』といったやはり意地の悪いアレックス・ガーランドの色が出ておりました。

それにしてもアメリカがこんなファシスト的な国になるかねえ…と思ってた矢先に某氏が大統領に返り咲いてしまったのでたまげました。映画のようになりませんように。

 

☆『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』

アメコミ映画でありながらカンヌを沸かせ、日米ともに大ヒットを記録したあの『ジョーカー』の続編。収監されたジョーカーが運命の恋人に巡り合って再び覚醒。息詰まる法廷劇へと発展していきます。

これが公開されると米国ではめちゃくちゃ評判が悪く売り上げも壊滅的。前作の神がかりぶりはなんだったのか…という評判が聞こえてきました。ところが日本でのみなさんの感想を聞くと「つまらないけど嫌いになれない。むしろ好き」という方がいっぱいいて。こういうこともあるから映画ってやつは面白いですね。

自分は普通に予想のつかないストーリーが面白かったし、ジョーカーが法定で「復活」するところは大興奮でした。ところがそこからストーリーはどんどんカタルシスを否定する方向にすすんでいくのですね。ジョーカー(アーサー)が刑務所も司法もぶっこわして、悪のカリスマとしてさらに凄みをましていく… みんなが見たかったのはそういう話では。でもそれでは前作の「なぞり」でしかなくなってしまう。監督が今回やりたかったのは分不相応な男がカリスマに祭り上げられてしまったら、そのあとどうなるか…という話っだったのだと思います。

観終わったあとなんかむなしい気持ちにはなりましたが、自分もやっぱりこの映画が嫌いになれません。不思議な作品でした。あとレディ・ガガの歌う『クロース・トゥ・ユー』が良かったです。

 

☆『ボルテスV レガシー』

オタクなら誰でも知ってる、一般の人はあんまり知らない、そんな往年のスーパーロボットアニメ『ボルテスV』が、なぜか大ヒットしたフィリピンのスタッフの手によって大体そのまんま実写化されてかえってきました。ただ今回劇場でかかったのは92話に及ぶテレビシリーズの本当に序盤だけなので、壮大なるプロローグだけしか観られなかったりします。

なんせガンダム以前の熱血主人公が中心だったころの作品なので、ムードが全体的に熱(苦し)い。その上フィリピンのお国柄スパイスがふんだんにまぶしてあってさらに熱(苦し)い。この辺多少の耐性が必要かとおもわれます。

一方で最新のCG技術で再現された合体シーン、巨大ロボ戦は本当にいい意味で熱い。なぜ映画館で映画を観るのかと言われれば、それはでかいものをなるべくでかく観るためです。その意味では十分に映画館向きな映画でした。全編劇場でやるのは無理でしょうけど盛り上がる完結編はスクリーンで観たいものです。

 

☆『カミノフデ』

特撮界の造形カリスマ・村瀬継蔵氏が監督を務めている特撮怪獣映画。一般的には夏に公開されたのですが、自分は10月に行われた第7回熱海怪獣映画祭にて鑑賞して来ました。大変残念なことにこの映画祭の少し前に村瀬監督が亡くなられ、この映画が遺作となってしまいました。

とある造形作家の追悼展から始まるストーリーが、図らずも現実とシンクロしてしまったというか、このことを予見していたのか。そんなわけでややしんみりした形で鑑賞することとなってしまいました。怪獣映画と書きましたが、怪獣よりも十代の少年少女の冒険や世代を越えた絆と和解の方がメインかもしれません。

最近めっきりマンホール女優のイメージが強くなってしまった釈由美子さんがやはりマンホールに興味を持っていたり、翌日飛び入り参加された樋口真嗣監督がちょっとぎごちない演技をされてたり、マニア的な視点でくすくす笑えるところがあり。追悼式に不謹慎でもうしわけございませんでしたが、直前に怪獣イラストコンテストの授賞式もあって多くの笑顔に包まれていて、こういう見送り方もいいんじゃないかと思いました。

 

次回は『ヴェノム ザ・ラストダンス』『十一人の賊軍』『八犬伝』『グラディエイターⅡ』『最後の乗客』『リトル・ワンダーズ』『ザ・バイクライダーズ』について書きます。

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November 03, 2024

2024年9月に観た映画

今年も残すところあと2ヶ月… この月は個性の強い邦画をよく観てました。

☆『モンキーマン』

これもいわゆる「なめてたやつが殺人マシンだった」系になるのかな? 理不尽な暴力に翻弄されるだけの役が多かったデヴ・パテルが驚異的な肉体改造を行って壮絶な復讐に挑む作品。これまでの役に鬱憤でもたまってたのでしょうか

この映画独自な点としてはインドが舞台ということで、悪徳宗教がのさばっている社会問題を扱っているとことか。あと復讐のカタルシスよりも潔く散る美しさに重点がおかれてたような。昔の松田優作作品によくあるような。

主人公に重ねられるのはハヌマーンという猿の神様。かつてウルトラ兄弟と共に戦ったこともあるという。で、今年はもう一本ハヌマーンをモチーフにした映画が作られたりしてます。そっちは未鑑賞

 

☆『箱男』

超難解と言われる阿部公房の原作をベテラン鬼才の石井岳龍氏が真正面から映画化。動く郵便ポストのように段ボールをかぶって街を徘徊する「箱男」と、それをめぐる陰謀を描いた作品…でいいのか?

永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市といった名だたる名優がシュールなコントを大真面目に演じているように見えて、当惑したまま約二時間が終了。彼らに比べるとぐっと若いヒロインが体当たりでがんばっていてちょっと心配になったり。調べてみたら仮面ライダーアマゾンズS2のカラスアマゾンちゃんでした… おじさんちょっと衝撃

ラストのオチの「箱男はお前たちだ!!!!」というのはなかなか感心しました。 

 

☆『サユリ』

個性派漫画家押切蓮介氏のホラー映画を、これまた頓狂な作風で知られる白石晃士監督が映画化。自分怖い映画苦手なんですけど、こちらは後半ものすごく痛快でスカっとする!という噂を聞いてオムツをはいて鑑賞に挑みました。

明確な実態がなく、人智を超えた霊に普通の人間がどうやって戦うのか… それは要するに「気合」ということを名優根岸李依さんが見事な太極拳で教えてくれます。主人公の家族に臨む悲劇は本当にひどくてやるせない話なんですが、自然災害等で幸か不幸か自分だけ生き残ってしまった…という例は現実にあるんですよね。勝手ながらそういう方たちが元気に生きてくれればと思いました。

 

☆『エイリアン ロムルス』

お久しぶりねのエイリアンシリーズ最新作。今回は監督さんが熱いエイリアンファンだったということもあり、なるたけ1作目に近いムードで、現在の技術を使ってどこまで出来るか…ということに挑んでる印象でした。ただ2~コヴェナント関係のオマージュもちょこちょこあり、長年のファンにはニヤニヤしちゃうような出来になっています。あと毎度前座ですぐ退場するフェイスハガーへの愛が熱い。どんな生き物にもそれなりに愛好家はいるものですね…

続編を匂わせることなく、「あとは自分で想像して!」とスパっと終わったのは好感がもてました。

 

☆『侍タイムスリッパ―』

公開館2館から始まり、話題が話題を呼んで全国公開が決定。今年有数の話題作のひとつ。幕末の会津藩士が現代の京都映画村にタイムスリップ。時代劇の切られ役として生きていくことを目指す…という作品

ブームの経緯が『カメラを止めるな!』と似ているのですが、あちらのようにどんでん返しがキモの映画ではなく、時代劇への愛を真摯に込めたストレートな作品。クライマックスで「本物の侍がいる…」というセリフがあるのですが、まさに主演のお二人の鬼気迫る演技に感じる観客の気持ちを代弁しております。みなもと太郎の『風雲児たち』ファンとしては主人公が会津藩の部屋住みというあたりがツボでした

 

☆『ラストマイル』

いま人気・実力共に脂がのっておる野木亜紀子氏脚本の人気ドラマ2本が、新作映画で合流する…!というふれこみで話題を呼んだ作品。ただ見てみるとその前作シリーズはあくまで添え物であって、中心となっているのはいかにもア〇ゾンをモデルとした巨大流通産業をモチーフとした1本の独立した映画でありました。いや、本当にサスペンスとして、社会派ドラマとしてよく出来てる。この問題に現代日本に生きる我々も少なからず関係してるわけで、ちゃんと考えるきっかけになるというか。

自分頭悪いのでロッカールームのメッセージとかよくわからなくて、観た後ネットの感想を読み漁って腑に落ちたりしました。そういうちょっと謎を残しておくあたりも大衆映画としては挑戦的。あとイケメン俳優がいっぱい出てる中、さもないおっさん二人組が一番いいとこをもってくのが好きです。

 

次回は『トランスフォーマーNEO』『シビルウォー』『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』『ボルテスV レガシー』『カミノフデ』について書きます。

 

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October 06, 2024

2024年8月に観た映画

今年も残り1/4。ちょっとだけ更新ペースをはやめました。

☆『温泉シャーク』

人気の温泉観光地「暑海(あつみ)」が古代からよみがえった巨大ザメの群れに襲われるというストーリー。制作体制がほぼ自主映画とどっこいどっこいのようで、予算の少なさが画面のはしばしからうかがえます。正直サメとかATAMI市への愛がないと厳しい映画だとは思いますが、逆にそれがある人にはものすごくおすすめしたい。あとサメへの科学的アプローチは意外としっかりしてて感心しました。今月下旬に行われる『熱海怪獣映画祭』で凱旋上映されるとのこと。

 

☆『怪盗グルーのミニオン超変身』『インサイド・ヘッド2』

手抜きで2本まとめて… 人気アニメ映画のそれぞれ4作目と2作目。日米でそれぞれ大ヒットを飛ばしましたが、奇妙なのは2本とも大スケールで宇宙や異世界で大冒険する…というような波乱万丈の話ではなく、「家族」がテーマの映画なんですよね。そして両方に「年ごろの女の子がいい学校に進むためにあれこれ策を練る」というエピソードがあったり。そういう言ってみれば地味というか幼児が観て面白いんか?という作品でも、珍妙なキャラが愉快にドタバタ活躍してればちゃんと売れるということですかね。

特に『インサイド・ヘッド2』は全米で記録的な興行を打ち立てたということ。私自身も良い映画だとは思いましたが、観てる間はリアル中二の時を思い出してやたら落ち着かないというか気まずい気持ちにさせられました…

 

☆『ツイスターズ』

最近はやりの「すげえ懐かしい映画の今頃の2作目」。といっても、これ1作目の『ツイスター』とは題材の他はちょびっとしか関係ないみたい。オクラホマに頻発する巨大竜巻を調査する冒険野郎的な科学者たちの活躍を描いた作品。

さすが現代技術で描かれた竜巻の猛威は大迫力…というくらいしか感想がないw あと監督が『ミナリ』のリー・アイザック・チョン氏だったせいか、「お家を失ってしまう悲しさ」はよく伝わって来ました。

 

☆『フォールガイ』

事故で仕事から遠ざかっていたスタントマンに、ある日おいしい話がめぐってくる。しかしそれは某スターのスキャンダルを隠すための罠だった…というストーリー。主演は文芸派っぽかったのに最近アホな役がよく回ってくるライアン・ゴズリング。まあそっちの方もノリノリで楽しんでやってるようなので観てる側も楽しいです。

考えてみたらスタントマンを主題にした映画ってのもあまりないですね。何度も吹っ飛ばされたり落っことされるゴズリングの姿は爆笑必至ですが、観終わった後には数秒のアクションのために体を張る彼ら彼女らへの深いリスペクトが胸に残ります。

 

☆『ゼーガペインSTA』

2006年に放映された名作アニメ『ゼーガペイン』の二度目の劇場版。そして初の後日談。

宿敵ガルズオルムを倒し、肉体を取り戻す術を得た人類。しかし不穏な影が再びしのびよる…

主に総集編の前半パートと完全新作の後半パートからなっています。新作部分の導入部はけっこう『まどか☆マギカ 叛逆の物語』と似てましたが、本編ではサーバーの関係で「春」「夏」しかなかったバーチャル舞浜の世界に、初めて雪が降ったということにしみじみ感動してしまいました。声優陣もオリジナルメンバーがそろって復帰してくれたのがまた嬉しい。このアニメでデビューされた花澤香菜さんはかなり上手になられました。なんかちょっと寂しい… まあこの「ものさみしさ」が『ゼーガペイン』の本領であります。それは新作でも十二分に表現されておりました。

 

次回は『モンキーマン』『箱男』『サユリ』『エイリアン・ロムルス』『侍タイムスリッパ―』『ラストマイル』について書く予定

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September 22, 2024

2024年7月に観た映画

暦は秋ですがいまだ猛暑がつづいております。猛暑初めの7月に観た映画の記憶をたどってみました

 

☆『ルックバック』

人気漫画家藤本タツキ氏の短編をアニメ化。知ってる話だったのでスルー予定でしたが、評判が良いので気が変わりました。上映時間約一時間なのに、料金は1700円限定というストロングスタイル。金はともかくは尺はこれで正解でした。これ以上伸ばすとシンプルな原作にどんどん余計なものが足されていってしまうので。

アニメになって特に良かったと思えたのは、京本ちゃんのかわいらしくたどたどしい方言。あとラスト机にむかう藤野の背景が時間が経つにしてゆっくり変化していくシーン。あれは映画だからこそ出来る表現では

 

☆『フェラーリ』

フェラーリ創業者エンツォ・フェラーリの、家庭でも仕事でも特に大変だった1957年の出来事を描いた作品。マイケル・マンの作品はイマイチ乗り切れないことが多いのですが、この映画は車を題材にしてるせいかなぜかスッと入り込めました。

この映画の主な題材のひとつとなっているのが、当時人気を博していたミッレミリアという公道レース。自分が知らんだけで今も続いてるのかな?と思っていたらこれが最後の開催だったことがわかります。その歴史に幕が降ろされた理由が、「あ~、これじゃ仕方ねえだろ~」と心から思える凄惨なものでして。事実は小説よりも厳しいな…とひしひしと感じました。

アダム・ドライバーがイタリアの実在の名士を演じ奥さんとゴタゴタするあたりは『ハウス・オブ・グッチ』の姉妹編みたいでした。

 

☆『潜水艦コマンダンテ 誇りある決断』

これまたイタリアの「本当にあった話」を題材にした作品。第二次大戦における潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号と、そのクルーが経験した「ラコニア号事件」を基にしております。

戦争映画というのは大体壮絶で残酷で悲惨なものですが、こちらはのどかなイメージのある製作国のせいか、バトルの合間にゆったりのんびりしたお話が挿入されます。あと敵国の兵でも海で漂流していたらつい助けてしまう…という非情になりきれない人間の一面が描かれています。

観てる内にクルーに感情移入してしまい、どうにか生き延びてほしいな…と思いながら観ていたのですが、この映画が終わった時点でまだまだ大戦の初期ということで、彼らの行く末は想像がついてしまいました。切ねい。あと観終わった後すごくポテトフライが食べたくなります。

 

☆『キングダム 大将軍の帰還』

2019年から続く映画『キングダム』シリーズのひとまずの完結となる作品。2022年からは3年連続で本当にお疲れさまでした。主人公が憧れていた秦の大将軍・王騎の最後の戦いが語られます。

これまた原作に大変忠実に作られていて悪くはなかったのですが、この辺自分が漫画版で特に思い入れがあり感銘を受けたところだったせいか、その時の高揚感にはちと及ばなかったかな…というのが正直な感想です。

そんな自分の印象とは裏腹にシリーズ最大の売上を達成し、現在での日本における実写映画のトップにもなっています。少し前まで実写邦画のドル箱といったらドラマの劇場版か感動ものがほとんどだったのが、ここ5年くらいでアクションものも売れるようになりそれは喜ばしいことではあります。さらなる続編の噂も聞きますけど、山崎君&佐藤監督はこの辺で『キングダム』から開放してあげたいかも(そして今度は『ゴールデンカムイ』に束縛される山崎君)

 

☆『デッドプール&ウルヴァリン』

本年度最も楽しみにしていた作品。2000年より続く映画「X-MEN」シリーズの最終作にして、約一年ぶりのMCU最新作。やはりおったまげるのは「そこからひっぱって来たのか…」といちいち唸らされるカメオ出演の数々。そのほとんどが監督ショーン・レヴィの作品に出ていた方々で、彼の人柄・人脈の広さがうかがえます。あとショーン・レヴィのお笑いって子供向けの品のいいイメージがあったので、「デッドプール」は向かないのでは?と思ってたましたが、そんなことはま~ったくありませんでした。がんばりましたねえ。

この映画の最大の問題点は、一番感動するところがエンドロールだというところ。ついこないだのようにも感じられたあの映画やあの映画の公開から、気が付けば四半世紀経っちゃったんだなあ…と。海よりも深く感傷的になってしまいました。みんな忘れないからね。たぶん。

 

☆『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ』

名匠アレクサンダー・ペイン監督の最新作で、本年度アカデミー賞作品部門候補のひとつ。雪深い街でクリスマスに帰れず寄宿舎に残ることになってしまった問題児と、おもり役を任された変人教師の交流を描いた作品。いい映画にはよくあるパターンに、最初はイライラさせられた登場人物たちが、ストーリーを追ううちにだんだん愛おしく思えてくる、というのがあります。この映画もそうです。

ほぼほぼお笑いムードで進んでいたのに、ほろ苦く転調する終盤。自分が思春期のころ好きだった『いまを生きる』を思い出しました。やっぱりギムナジウムものっていいですね

 

☆『めくらやなぎと眠る女』

村上春樹の幾つかの短編をむりやり一つにまとめた作品。…って『ドライブ・マイ・カー』じゃん! ただしこちらは外国人監督によるアニメ映画です。

主に妻に出ていかれたイケオジの物語と、なぞのカエル人間に「世界を救ってくれ」と迫られるハゲおやじの話が並行して続いていきます。インパクトがあるのはどうしても後者のほうで。村上さんってこんな素っ頓狂な話も書いてたのですねえ。でもカエル君を思って涙するハゲおじさんの姿にはちょっともらい泣きしてしまいました。

「巨大ミミズが災厄をもたらす」というあたり『すずめの戸締り』みたい…と思ったらハルキストの新海監督はこれの原作からアイデアを拝借してたことを後で知りました。同じ原作から派生したアニメでこんだけ仕様に差があるのが面白いですね。

 

次回は『温泉シャーク』『怪盗グルーのミニオン超変身』『インサイド・ヘッド2』『ツイスターズ』『フォールガイ』『ゼーガペインSTA』『モンキーマン』について書きます。

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