May 03, 2026

2026年3月ごろに観た映画

☆『ナースコール』

昨年スイスで大ヒットを飛ばし、多くの映画祭でノミネートされた作品。内容はとある病院で夜勤に励む看護師の姿を追ったもの。様々な患者たちに真摯に勤勉に対応するものの、肉体の限界と数々のストレスに次第に追い詰められていき…と書いてるだけでいやになるような粗筋です。先日町中で水道がパンクして電話が鳴りやまなかった時のことを思い出しました(自分水道屋なので)。まあそれはせいぜい5日くらいでおさまりましたが、こういうのが通常の職場というのは本当に大変ですよね。自分がお世話になる時は極力看護師さんにわがままを言わないようにしようと固く決意いたしました。

せめてもの救いは色々あった末、患者さんたちもみな最後はちょっといい人になっている点。終始限定空間でお話が進んでいくスタイルも合わせて三谷幸喜氏の舞台に近いところもあります。

約20年ちょくちょく通わせていただいたシネマサンシャイン沼津さんで観た最後の映画となりました。本当にお世話になりました。

 

☆『しあわせな選択』

人を食ったミステリーを書くドナルド・E・ウェストレイクの小説を、これまたヘンテコな作品を多く手掛けているパク・チャヌクが映画化。リストラされた製紙会社のベテラン社員が、再就職の妨げとなるライバルを一人一人闇に葬っていく話。正々堂々と勝負しろよ!と言いたくなりますが、彼にも持ち家や家族の生活を守らねばならない事情があり…いや、そんなのは事情でもなんでもないな。主人公に1ミクロンくらいしか同情できないストーリーです。それにチャヌクお得意のひょうひょうとしたギャグが混ぜられて語られます。前々から思ってたけどやっぱり自分チャヌクとは相性よくないのかも。『オールド・ボーイ』とかは嫌いじゃないんですが。

主演はかつての韓流スター、イ・ビョンホン。冴えないお父さん役がだいぶ似合う様になっておりました。

 

☆『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

本年度アカデミー賞作品部門にノミネートされた1作。第二次世界大戦後まもなくの時代に、卓球で世界チャンピオンを目指す破天荒な青年の物語。てっきり実話を元にした話だと思いながら観てましたが、実在の人物をモデルにしたフィクションだそうで。騙しやがって! まあ本当の話だとしたらやばすぎるエピソードの連発で、「これ、絶対色々盛ってるよな」とは思ってました。あと金策に奔走するあまり途中なかなか卓球をしなくなるあたりは『稲中卓球部』を思い出しました。

面白いのは主人公のライバルとなるのが日本人でクライマックスの舞台も日本となるところ。こちらもモデルとなってる選手がいるそうです。

 

☆『アメリと雨の物語』

これまた戦後まもなくの日本の話(ただこちらは概ね実話)。ベルギーの外交官の家庭で生まれた少女アメリの目を通して、当時の神戸の風景が描かれます。輪郭線のない画風が独特で作品に温かみを添えております。また悲しい過去を持つ家政婦ニシオさんが外国の少女にむける包み込むような愛情が、観る者の胸をふんわりと打ちます。

幼少期怪獣のように暴れまわり両親を困らせていたアメリが、祖母のくれたチョコレートがきっかけで人間らしい自我を得るというくだりがなぜだか印象に残りました。

 

☆『私がビーバーになる時』

ピクサー最新作。自然保護活動に打ち込む女子大生が、ビーバーのロボットに乗り移って市の推し進める建設計画を阻止しようとするストーリー。こう書いただけでなかなかいかれた作品であることがおわかりいただけるかと。ピクサーの名作には多かれ少なかれ「いかれた」要素がありますが、今回は歴代の作品と比べてもトップクラスのいかれっぷりでした。

そんな狂気の物語と並行してちゃんと友情の大切さ・難しさや、自然保護と開発の両立はできるのか…といった問題もちゃんと描かれてるのがすごい。監督は一応『平成狸合戦ぽんぽこ』も意識してるとのこと。あとノンシリーズでありながら日本でもけっこうヒットしてたり。『ズートピア2』に続く「モフモフ路線」として売り出したのが功を奏したようです。

好きなところはいっぱいありますが、ロボットを通して見るとガン決まったように瞳孔をおっぴろげているビーバーが、人間目線だとつぶらな瞳のかわいいデザインになるところが特にお気に入りです。日本語版主題歌は昔懐かしのパフィ「愛のしるし」。なぜこれなのか理由はさっぱりわかりませんが、確かになんか微妙にマッチしておりました。

 

☆『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

本年度再注目作品の1本。予告編が公開された時に配給さんが「原作をまだ読んでないなら見るな! 読んでから見ろ!」みたいなことをおっしゃってて物議を醸しました。上から怒られなかったのだろうか… 原作は幾つかのびっくり箱をゆっくり開けていくような面白さがあって、映画予告だとすでにびっくり箱が空いた状態をいきなり見せられてしまう感があるのです。もう今ではネットでも映画館でもそのネタ宇宙人「ロッキー」の姿がバンバン溢れておりますね。以下こちらもネタバレで。

 

 

自分が思うに主人公グレースが最初必死で任務を拒否してたのは、本当に大切な存在を持てないまま死出の旅に出るのがイヤだったからでは。彼が幸運だったのは知的生命など人っ子一人いないはずの宇宙の果てでそれと巡りあえたことですね。その大切な誰かを得たから、失いたくないから、クライマックスでグレースは今度は進んで自分の命を投げ出そうとします。


あと連想したのは旧約聖書の「ヨナ書」。有名な話だけど一応あらすじを書いときますと、古代イスラエルのヨナという男が神から凶悪で知られるニネベの町の人々に、「この町はもうすぐ滅ぼされる」という予言を告げてこいと命じられます。そんなことをしたらたちまち自分は殺されてしまうだろうと思ったヨナは、船で遠くの町に逃げようとします。だがその船は神の起こした嵐により沈みそうになります。船員たちを巻き添えにしてはいけないと感じたヨナは、彼らに自分を海に放り込むよう頼みます。水中に沈んだヨナは巨大な魚に飲み込まれ、その腹の中で3日間反省し、決死の覚悟でニネベに赴きます。すると意外にもその町の人々は自分の行いを深く反省し、神はニネベを滅ぼすことをとりやめます。

もちろん違う点は多々ありますが、自分の本意でなかった(死が前提だし)任務を最終的にやりとげ、その結果多くの命が救われるという流れが似てるなあと。あと「巨大な魚」と宇宙船もなんとなく重なるものがあります。
「ロッキー」のデザインは最初ギョッとしますが、あの「顔」のないところがかえってよかったのかも。グレースの旅が片道切符だったことを知ったロッキーが、顔などないのにすごく悲しい顔をしてるように見えてホロホロと泣きました。
次回は『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』『パリに咲くエトワール』『俺たちのアナコンダ』『ハムネット』『ARCO』あたりの感想を書く予定。

 

 

 

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March 29, 2026

2026年2月ごろ観た映画を振り返る

☆『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』

3部作とうたわれている『閃光のハサウェイ』の、実に5年ぶりの第二部。第一部ではそれなりにさっそうとしていた主人公ハサウェイですが、今回はその実けっこう苦悩していた様子が描かれます。そりゃ『逆襲のシャア』であれだけのことをやっちゃってるわけですし…

シンプルながら深みのあるセリフに、情緒豊かな実在する風景。なんだか欧州の文芸作品をそのままアニメにしたようでもありますけど、要所要所でロボはちゃんと出てくるという変な作品。原作を読んでるにも関わらず意味不明な個所も多いのですが(ギギがマンションのリフォームをするくだりをなぜあんなに丁寧に描くのか、とか)、2回観たらそれなりに自分の中で腑に落ちたような。

『機動戦士ガンダム』1作目と地続きの作品であるのに、ずいぶんとかけはなれたタイプの作品になってしまいました。それはこれがプログラム的なTVアニメではなく、一応「小説」を原作としているからかもしれません。不穏しかなさそうな完結編はもう少し早めのリリースをお願いします。

 

☆『HELP/復讐島』

ホラーの名匠サム・ライミの手によるいわゆる『流されて…』テーマの作品。邦題では「復讐」とうたってますが、これ復讐というより自分を馬鹿にしてたイケメンバカ若社長に執着しつづける話だと思います。そしてその執着から開放される話…なのかな?

清楚美女のイメージだったレイチェル・マクアダムスが、体を張って痛々しい役を演じておられてなかなかの衝撃でした。気になるのはこれ少し前の『逆転のトライアングル』と色々似てしまっている点。もしかして原案なのか?と思って調べたけどそうでもないようだし…

 

☆『ランニング・マン』

かなり前『バトルランナー』というタイトルも内容も全然違う形で映画化されたスティーブン・キング原作作品。今回はなかなか原典に忠実に作られてはいますが、監督エドガー・ライトと主演グレン・パウエルのカラーのゆえか、小説版のひたすら重苦しかったムードに、ややファンキーな空気が混じってるように感じられました。

エンターテインメントとしてよく出来てはいるのですが、原作の悲壮なラストに思い入れのある身としては改変された結末に少々モヤモヤしたり。「新約版」で明るい方に変えられた『Zガンダム』のラストに感じたアレです(なんでもガンダムで例えるのはやめましょう)

 

☆『ブゴニア』

変な映画ばかり作っているヨルゴス・ランティモス監督最新作。『地球を守れ!』という韓国映画のリメイクだそうで。

某会社のCEOを宇宙からの侵略者だと思い込んだ二人組が、彼女を誘拐し宇宙人のボスに会わせろと迫るというぶっとんだあらすじ。誘拐犯の主張があまりに常軌を逸していて笑うに笑えないというか。時折監督お得意のゴア描写もちょいちょい挟まれたり。

なんというかか藤子Fと藤子Aを足してわったようなユーモア感覚でありました。あとランティモスはいつもエマ・ストーンをひどい目にあわせて趣味が悪いな…と思うのですが、エマさんも毎回付き合うあたりそういうのが好きなのかもしれません。

 

☆『クライム101』

『犬の力』などで知られるドン・ウィンズロウ原作の犯罪サスペンス。マイケル・マンの『ヒート』を手本にした作品はこれまでも幾つかありましたが、これもそのひとつかと。ただウィンズロウって小悪党に対してはなんか同情的に描くことが多く、これもまたそんな彼の優しい目線が随所に感じられました。貧困層からのしあがろうとする主人公に対してもそうだし、真面目にずっとやってきたのに道を踏み外してしまいそうになるハル・ベリーに対しても。

最近『長安のライチ』や『しあわせな選択』など「いいとこにお家をかまえる」ことが幸福の条件のように語られる作品がなぜか続きました。でも大体それが大体苦労を背負うことになり…という流れ。築ウン十年のボロ家で自分は満足しときます。

 

☆『木挽町のあだ討ち』

なんとなく見とくか…くらいのモチベーションだったのに、これが大した大当たり。ミステリーであり、チャンバラ時代劇であり、当時芝居小屋を社会科見学させてくれるような趣もあり(料理描写が細かいは池波正太郎遺伝子でしょうか)。

そしてキャスト陣が誰一人としてはずれがない大はまり。女装姿からさらっと若侍に変身する長尾謙杜君。ユーモラスな役が多い印象でしたが、説得力たっぷりに剣の達人になりきっていた滝藤賢一氏。これまでのキャリアを逆手にとったような役柄の北村龍平氏。怖そうだけど情に篤い女形を好演していた高橋和也氏。しかしなんといっても一番光っていたのは食えないようで温かみのある江戸の名探偵を演じていた主演・柄本佑氏。このキャラが事件の謎を解く続編がもう2,3本観たいとこですが、ストーリーの都合上難しいかな…

「長唄で送ってやろうじゃねえか」というラストのセリフがなんともさわやかでした。

 

先月はなんでか登場人物が極限状況に追い込まれるような映画ばかり観てました。なんでだろう

次回は『ナースコール』『しあわせな選択』『マーティ・シュプリーム』『アメリと雨の物語』『私がビーバーになる時』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』について書く予定です。

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March 15, 2026

『べらぼう』を雑に振り返る⑬ 総集編

『豊臣兄弟!』も10回くらい進んだいまごろになってですが、最後の〆として『べらぼう』の個人的に好きな場面・とりわけ印象に残ったシーンを列挙してみます。怪しい記憶頼りなので細部違うところもあるかと思われますがご容赦ください。

☆第2話 「このドラマ面白えよ」と唸らされた平賀源内本格登場のエピソード。ひとしきり笑わせてもらった後で、男装した花ノ井に稽古してるような踊りを頼み、かつての恋人を偲ぶシーン。この時代人の命は儚かったのだなあと。

☆第5話 蔦重に「隠してることはないか?」と問われ、精一杯の笑顔を浮かべる唐丸。すごく辛いのに一生懸命平気なフリをする姿って自分ダメなんです。しかも子役

☆第10話。身請けが決まった瀬川が吉原を去る場面。薄く紅がさした空の下、豪華絢爛な花魁の行列がゆっくりと進んでいく様は幽玄というか夢幻というか。大河ドラマってすげえなあと思いました。

☆第12話。俄祭りのどんちゃん騒ぎのその最中、松の井姉さんに背中を押されて神隠しのように姿を消す新さんとうつせみ。これまたファンタジーのような情景でした。この後二人には艱難辛苦が待ち受けているのですが、最高に幸せだったであろうこの場面を思い出すと慰められます。

☆第18話。まあさんのアレがアレになっちゃってなんでか大蛇が暴れ出すシーン。貴重なCGをこんなエピソードのために使いやがって、国民から徴収したお金をなんだと思ってるんだ(許す)

☆第22回。ヘソを曲げてた春町先生が反省し、京伝にわびたら芝居でもなんでもなく素で「なんのこと?」と言われるくだり。京伝さんも軽薄なキャラではありましたがこういうところは本当にいい子だなあと。二人のからみでは春町先生の「お前はこっち側の人間だ! 来い!!」も良かった。

☆第25回 この回はまあどこをとっても名場面なんですが、やっぱりとりわけ感動したのが蔦重の婚礼の席にお祝いの品を盛って来る鶴屋さん。ずっとずっと憎たらしいキャラだったのにずるいよ鶴屋さん…と思いながらTVの前でむせび泣いてました。

☆第33回 「わしは世を楽しくする男を救うために生まれて来たのだ」 優しくへたれだった新さんが最後はかっこよくこの世を去ります。視聴者を慰めるかのような歌麿の「新さんってすごくいい人生だったんじゃねえかな」のセリフにまた泣かされたり。

☆第38回 言葉が話せなかったおきよさんが、ただ一度だけ「わたしもそうだったから」と微笑んで口を開く場面。それは歌麿の夢に過ぎなかったのか、あるいは…

☆第43回 さんざひきとめた歌麿をあきらめ、そっと手紙で別れをつげる蔦重。相手を思いやる手紙の文がモノローグ的に語られるのって自分ダメなんです。

☆第47回 この回も名場面の超連発でしたが、自分がやっぱり好きなのは一件落着したあと蔦屋を訪れる定信公のくだり。「一度来てみたかったのだ」「あがった凧を許せれば全てがちがった」本当に最初からこうできてればよかったのに… でも二人が笑って語り合える時が来て本当によかった…と鼻水を吹き飛ばしながら観てました。

☆第48回 蔦重臨終の場面。感動的に盛り上げたりせず、屁踊りに囲まれながら軽いギャグと共にこの世を去る蔦重。こういうの、なかなかないと思います。

 

『鎌倉殿の13人』『新選組!』に並ぶマイ大河ドラマBEST作品でありました。森下佳子先生はじめとするスタッフ、横浜流星君はじめとするキャストのみなさんに心より御礼申し上げます。

 

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March 01, 2026

2026年1月に観た映画

あけましておめでとうございます(2か月遅れ)。年明け早々に観た映画のまとめです

☆『ワーキングマン』

二年連続で年明け一発目がジェイソン・ステイサム。あらすじはまあいつもと同じなんですが、昨年の『ビーキーパー』の超人的な強さと比べると今回は一応人間的にアリくらいの強さで2割減というところかと。

原題からわかるようにステイサムの役どころが現場作業員。なので大工道具とかでアクションするのかと思いきや、そういうのは本当に最初だけであとは普通に銃をぶっぱなしてました。子持ちだったり勤め先の娘さんを救いにいったりと、守るべき存在がいるのにホッコリしたりハラハラさせられたり。『ビーキーパー』ではそういう存在がいきなり死んじゃいましたからね。

 

☆『ロストランズ 闇を狩る者』

『バイオハザード』夫婦コンビによるダークファンタジー…というよりディストピア&スチームパンク。この映画、観る前にちょっと疲れちゃってて評論家の点数も低くてもうお家帰っちゃおうかな…とも思ったのですが、がんばって鑑賞しました。そしたら赤茶けた画質というか背景や、朽ちかけた鉄道や陸橋などのビジュアルがけっこう好みでやっぱ観てよかったです。でも人に勧められるかといえば(略)

ただ興行的には日米共に悲惨な結果に。かつて天下を取ったバイオ夫婦がそんな現状なのはなかなかに寂しい。

 

☆『コート・スティーリング』

主人公が追い詰められる系の作品が多いダーレン・アロノフスキー監督最新作。ただ今回は「追い詰められる」点は変わらないものの原作の雰囲気ゆえか人を食っているというか、飄々としているというか、けっこうお笑い混じりの作品となっております。

何の後ろ盾もない貧乏青年が、完全なるとばっちりでマフィアを一人で相手にしなきゃならない…というあたりは去年の『ナイトコール』を思い出させます。でも『ナイトコール』の青年に一応「鍵開け」という特技があったのに対し、こちらも武器は「足が多少はやい」くらい。そんなんで二時間殺されないで果たしてもつのかゲラゲラ笑いつつも心配になります。

あと猫が非常によかった。まあ悪い猫などいませんが、猫映画としてよかった。

 

☆『ウォーフェア 戦地最前線』

実録戦記もの。それも割と最近。実際にあった作戦をほぼ時間同時進行でカメラマンとなって見守ろう、というコンセプト。

この作戦というのがまず謎で、中東のどこかの民家を夜中に突然占領して立てこもるという、何が目的だったのかよくわからないものなんですが、結局敵対勢力にばれて四方から銃撃を浴びることになってしまいます。家の持ち主からしてみたら傍迷惑にもほどがある、という話です。

そんな米軍の身勝手さにモヤモヤはしますが、もし家を武装勢力に包囲された際、どうやって脱出するか?というところは勉強になります。結論:航空支援がないと厳しい

 

☆『長安のライチ』

唐の玄宗皇帝の時代を舞台にしたお話。1日で色が変わるライチを馬で30日かかる長安まで腐らせずに運ぶという無理難題を押し付けられた木っ端役人が、知恵と工夫と算術を駆使して成功に導く…という『プロジェクトX』みたいなストーリー。前半は。

後半は中央役人の高慢さに主人公らが苦しめられ、それでもどこまで意地を通せるか?という山田風太郎によくある流れになっていきます。面白うて、やがて悲しき…というやつでしょうか。見かけは美しいけれど腐敗が避けられないライチ長安が重なります。

 

あとこの月はTVアニメ『ガンバの冒険』を編集した『冒険者たち ガンバと七匹の冒険』リバイバルも観ました。ダイジェスト感は否めませんが、スクリーンで見るとあらゆるものが巨大なので一層ネズミになった感覚を味わえます。何度も観た・読んだ話ですが今回になって「あれ… 一番の功労はガクシャでは?」ということに気づきました。

その日会った友人たちに「さっき『ガンバの冒険』のリバイバル観てきたんすよ!」と言ったら、みな口々に「あー、あれね。ノロイが怖かった〜」と。わかるけどもっと他にないすか?

 

次回は『復讐島』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女』『ランニング・マン』『ブゴニア』『クライム101』について書きます。

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February 22, 2026

2025年12月に観た映画

そうです… 年末に観た映画の感想をいまごろ書いてます… がんばれ記憶力。なんかこの月は続編ものを多く観てました。

☆『ペリリュー 楽園のゲルニカ』

第二次世界大戦時の南洋を舞台にした、実際の戦記に材を取ったアニメ(漫画原作)。予告ではいかにも「かわいそう・泣けそう」な話に見えます。そういうところもないではないですが、全体の2割くらい。あと4割は「シュール・ドライ・滑稽」、もう4割は南洋の美しい風景と小動物に力が注がれております。しんどいのは戦争は終わってるのに主人公の部隊はそれを知らず、あるいは受け入れられず無駄な殺し合いを続けているパートがけっこう長いところ。

悲惨な話をあんなかわいい絵柄でやって...とも思いましたが、子供たちにはその分見やすいだろうからいい教材になるのでは。

 

☆『ズートピア2』

9年ぶりの続編。よくも悪くも安定の面白さというか、新要素として爬虫類が出て来てはおりますが、そんなに驚くところはなかったり、目を引く新しさはなかったり。最初いいやつだった人(動物)が実は…というのもここんとこのディズニーのパターンだし。

ただびっくりしたのは前作も大したヒット作(現在日本で歴代100位の興行収入76億)でしたが、今回は現時点で歴代19位の148億まで来ております。9年の間にレンタル・配信で日本に浸透しまくったのか。うまくいけばもう2ランクくらいはアップしそう。

 

☆『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』

3年ぶりの続編。というか前後編の後編。とりあえず「つづく」のままだったお話がそれなりに一区切りついたというか、すっきり終わったのはよかったです。

1作目の時は極悪人だったのになんだかどんどん嫌いになれなくなっていくクオリッチ大佐。まるで『ドラゴンボール』のピッコロかベジータのようです。反面面白みのない主人公のジェイクは今回ヒーローにあるまじき行動に走りかけます。まああれは旧約聖書におけるアブラハムの物語のオマージュだったのかなあと。そう、なんか今回は急にキリスト教的要素がぐんと主張しはじめたような。

とりあえず4,5作目の構想はあるようですが、キャメロンは「もう自分では直接やらないし3作目の売上次第」なんて頼りないことを言っています。このお話に完全に決着をつけるとしたら、ナヴィたちが地球に乗り込んでいって地球からの侵略を根元から断つしかないと思うのですが、それを3D映像でやって面白くなるかというと???

 

☆『新解釈・幕末伝』

福田雄一監督が幕末全体を自分なりにアレンジした歴史劇。自分『新解釈・三国志』や『アンダーニンジャ』とか嫌いじゃなかったんですが、これはひどかったです。スペクタクルシーンとか一切なく、例の独特ギャグが進行する密室劇がいくつかあるだけという。恐らく『新解釈・三国志』の3分の1も予算かかってない。そんなわけで2025年堂々のワースト2位です。でも5回に1回くらいツボにはまるギャグがあって何度か笑ってしまった。悔しい

 

☆『ナタ 魔童の大暴れ』

昨年全世界興行収入第1位のアニメ作品。あちらで孫悟空なみに人気がある哪吒の伝説をアレンジした内容。問題はいきなりの2作目だということ。それなりに想像を巡らせれば一応ついていけますが…

お金と人のかけ具合がすさまじく、CGアニメ美術の大暴力という感じでした。『羅小黒戦記』が感情を抑えたスタイルだったのに対し、こちらはもっと直情的で正統派少年漫画の遺伝子がぶち込まれています。ナタは恐らくわざと可愛くなくデザインされていて最初はひくのですが、そのうち愛着がわいてきてクライマックスでかっこよく進化すると逆にさびしくなりました。

やんちゃ坊主と優しい美少年のバディものという所も珍しくてよかったです。

 

あとこの月は『落下の王国』17年ぶりのリバイバルも観ました。そんなに思い入れのある方でもなかったんですが、貴重な機会&だしTwitterでの高まりに流されて。で、ウン年後2回目鑑賞方がしみじみ感じ入れた気がしました。山賊が話いいところで第4壁を破る的なことをやって、アレクサンドラがむくれるシーンがなんか好き。ただ「子供を泣かすんじゃねえ!!」とは強く思いました。

 

次回は『ワーキングマン』『ボーダーランズ』『コート・スティーリング』『ウォーフェア』『長安のライチ』について書きます。

 

 

 

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February 08, 2026

『べらぼう』を雑に振り返る⑫ 12月編

感動の最終回からはや50日。いい加減クライマックスの感想をまとめます。

☆第45回「その名は写楽」

源内生存の噂を流していたのは一橋治済への復讐を企む松平定信とその一派だった。気が進まないながらも強引にそのプロジェクトにかまされてしまう蔦重。そしてここに謎の絵師「写楽」がとうとう誕生する。

自分、このドラマの企画を知った時に絶対写楽中心の話になると思ったのですが、ラスト4回になってようやくの登場?となりました。最近の学説では阿波の能楽師齋藤十郎兵衛ということでほぼ決まってるらしいですけど、このドラマみたく「数名による合作説」というのも確かにあるそうです。

なかなかイメージが決まらず思い悩んでるところに意外とあっさり帰って来てラストのピースをはめる歌麿。「男と男の情念の行きつく先が見たい」と強火BLファンみたいな説得で彼を呼び戻したおていさん。ファインプレーでした。

 

☆第46回「曽我祭りの変」

かくして世に送り出された「写楽」。だがそのはかりごとはあっさりと罠の対象である一橋卿に露見してしまう。これまで多くの邪魔者を排除してきた一橋卿の毒牙が、ついに蔦重にも向けられることに…

字体であっさりばれてしまった定信の戯作。そういうところ爪が甘いよね… そして大逆襲を始める一橋卿。その手段とか表情とか声色とかがことごとく怖い。こんなのに勝てるわけがない…と思えて来ます。本当に生田斗真氏の代表作になったのでは。同時期に放映されていた三谷幸喜氏のドラマではお茶らけたチンピラとかやってたんですが。

事態が緊迫する中お笑いで肩をほぐしてくれたのが坂口涼太郎君演じる「ぐにゃ富」。『国宝』で本格的な歌舞伎役者を演じていた流星君の前で女形をやらざるを得ずイヤな汗をかかれたとかなんとか。

毒饅頭が猛威をふるう中またしてもひょっこり現れた生田君。???が渦巻きながら次回へ。

 

☆第47回「饅頭こわい」

ラス前回のクライマックスだっつーのにこのタイトル。一橋治済の逆襲にあい瓦解寸前の定信一派。蔦重たちは知恵を振り絞り、一発逆転の策を練る。

というわけでとうとうラスボスの巨悪と(間接的に)対決するエピソード。大河の山場というのは大体大規模な合戦とかだったりする場合が多いですが、このドラマではなんと茶室での息詰まる駆け引きという… 「あのボンボンではとても無理だ」と思いましたが無事やってくれた将軍様。そして「殺さずに僻地に幽閉」というやりかたがいかにも文人らしいというか粋というか。都合よく替え玉と巡り合えたりとか、史実からあまりにもジャンプしすぎとかありますが、よしとします。あとなんか『鉄仮面』ぽい流れでしたね。

一件落着したあと耕書堂を訪れ、「一度来てみたかったのだ」「春町はわが神だった」と語る定信。それだよ!!!!我々視聴者が見たかったのは!!!!とテレビの前で滂沱の涙を流しておりました。

 

☆第48回「蔦重栄華乃夢噺」

最終回。巨悪も倒し天下も泰平…となったところで蔦重に病魔が忍び寄る。己の命運を悟った彼はこの世を去る前に出来る限りの仕事や引継ぎを果たそうと病身に鞭打って働く。

前回でもうあらかたの問題は片付いてしまったので、ラストはまるまる一回かけて蔦重の死を追う流れとなっています。でも主人公なんだから1回じゃあまりにも短くはないでしょうか。まあ数回かけて感動をあおるより、あっさりライトにその死にざまを描く方が「屁」にこだわり続けたこのドラマらしいといえばらしい。

いまわのきわの蔦重の周りを「屁! 屁!」と言いながら踊り狂う一同。その必死の呼びかけに奇跡的に息を吹き返した蔦重の最後の言葉が「それかよ!!」という(でもこれ史実らしいですね…) この世は夢であり、人の一生は屁みたいなもの。そんな軽さに救われながら、おならなりに気概を持って生きていきたいと思いました。

 

無事最後まで書けてよかった… あともう一回総集編というか名場面まとめみたいな記事が書きたいところです。屁

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December 29, 2025

2025年、この映画がアレだ!

誰にも注目されてないのに今回で21回目を数える年間映画ベスト。今回も張り切ってまいります。

まずは順序良くワーストから。

☆ワースト1位 『サブスタンス』

発想と展開は確かに優れてるんですが、全編に漂う底意地の悪さがとにかくイヤでした。次点は昨日観たばかりの『新解釈・幕末伝』

☆リバイバル部門

『落下の王国』

17年前はそれほど響かなかったんですけど、今回はなんかよかった。でもやっぱり子供を泣かせたらいかん。次点『アバター ウェイ・オブ・ウオーター』

 

つづきまして良かったけど惜しくもランク外となった6作品。

・はたらく細胞

・FLOW

・アマチュア

・サンダーボルツ*

・ChaO

・果てしなきスカーレット

見落とした作品も多いんですが、今年は意欲的なアニメ映画が多かったです。

 

それではベスト25。順位をつけてガーッと行きます。

第25位 『Mr.ノボカイン』 痛いの痛いのとんでけ!

第24位 『キャプテンアメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』 キャプテンアメリカは帰ってくるらしいけどどっちなの?

第23位 『室町無頼』 大泉洋がかっこいいという奇跡(すいません)

第22位 『国宝』 吉沢亮と横浜流星の区別がつくようになりました

第21位 『教皇選挙』 ローマ教皇は1日にして決まらず

第20位 『ナイトコール』 本年度ベストベルギー映画。ベルギー映画これしか観てないけど

第19位 『ナタ 魔童の大暴れ』 昨日観たばかりの本年度世界最高収益映画。CGアニメ美術の大暴力

第18位 『スーパーマン』 新生DCユニバース。スタートはまずまずでよかった

第17位 『アノーラ』 本年度アカデミー賞作品部門受賞作。鑑賞した候補作品の中では確かにこれが一番面白かった

第16位 『ファンタスティック・フォー ファーストステップ』 『アバター』新作でもあったけど、妊婦を戦場に連れ出しちゃいかん

第15位 『プロフェッショナル』 『アマチュア』とはしごして観ました

第14位 『トロン アレス』 宇宙刑事新作もこんな感じでどうか

第13位 『見える子ちゃん』 見えすぎちゃって困る!

第12位 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』 今年の映画ベストご飯はこの作品の「叉焼飯」でした

第11位 『ワン・バトル・アフター・アナザー』 早くも来年度オスカーの呼び声が高い作品。ディカプリオの役立たなさ加減が最高でした。

第10位 『大長編 タローマン 万博大爆発』 べらぼうな夢はあるか でたらめをやってごらん 生きるも良ければ死ぬも良し 

第9位 『JUNK WORLD』 ポッコリーノ ペッコリーナ 何年でも完結編を待ち続けます。

第8位 『ハンサム・ガイズ』 本年度ベストコメディ賞。男は顔じゃない。

第7位 『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』 絶賛公開中。2作目から3作目はそんなに間空かなくてよかったですね

第6位 『8番出口』 おじさん、おじさん、おじさん、おじさん、おじさ(略)

第5位 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』 本年度ベスト実写邦画。みずみずしい青春模様がおじさんの心も震えさせる。あえて苦言を呈すとしたらタイトルが長くて覚えづらい

第4位 『ミッションイン・ポッシブル ファイナル・レコニング』 1大スパイシリーズ堂々の完結編。1作目からの約30年が走馬灯のように脳裏を駆け抜けていきました。しかし007もキングスマンもジェイソンボーンも見通し立たなくてスパイ映画の将来はどうなってしまうのか

第3位 『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 「鬼滅はオワコン」と囁かれてたのに、公開してみれば本年度ぶっちぎりのヒット作となりました。自分も原作で「遊郭編」と並んでこの辺が一番好きかも。少年漫画と山本周五郎がみごとに融合した名作

第2作 『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』 本年度ベスト外国映画。そして猫映画。期待に違わぬすばらしい出来でしたが、ひとつ文句を言うとするなら猫小黒の出番が少なかった。もっともっともっと猫を出せ

 

そして栄えあるベスト1位は

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』

でした。映画というよりTVシリーズの先行上映なんですが、結局2025年の作品でこれを観ている時以上のドキドキワクワクおったまげはなかった。そしてIMAXのサイズでも十分に耐える絵力。クライマックスのあれやこれやも大画面で観たいので続きも劇場公開してちょんまげ

 

なんとベスト3が全てアニメという… 映画ファンとしてこれでいいのか。おじさんなんか恥ずかしいな。

自分とココログに何もなければ来年もどうぞよろしく~

 

 

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December 28, 2025

2025年11月に観た映画

年末押し迫って来たのでちょっと慌てています。いつも以上にまいて行きます。

 

☆『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント -小さな挑戦者の軌跡-

「鉄血のオルフェンズ」10周年記念の劇場版。外伝的位置づけとなるアプリゲームのデモ画面を無理やりつなげたような作品なので、ツギハギ感は否めず。いつかアニメ作品としてちゃんとした形で見せてほしい。映画館で聞く主題歌「Raise your flagはしみじみよかった。

 

☆『爆弾』

ようやく日本でも『羊たちの沈黙』や『ダークナイト』のような重厚感あるサイコパスものが出て来たというか。普段おちゃらけた役の多い主演(だよな?)佐藤二朗氏の怪演が各所で絶賛されてました。

いろいろえぐい要素のある話ではありますが、人間の善性を完全に諦めてないところに好感がもてました。原作は続編があるようなのでそのうち読んでみたいです。

 

☆『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』

待望の続編。前回は救われる立場だった小黒が、今回は心に傷を持った先輩キャラと旅していくうちに、彼女を意識せずに癒していく…という流れが何とも心憎い。前作同様現代中国のいろんな所を旅行するような疑似体験も味わえます。

それにしてもいまこの内容で政府ににらまれずに製作・公開できるのが奇跡。お上はともかく向こうの人々も個人個人はわたしたちとそう変わらず、戦争など望んでいないことがよくわかるアニメ。

 

☆『プレデター バッドランド』

これまでのプレデターは基本的に人間を襲うモンスターでありました。ですが今回はプレデターが主人公なので「こいつに感情移入して!」という作りになってます。カニみたいな顔の宇宙人に共感を重ねていくなんて出来るわけねえだろ、と思ってましたがいけましたね。その辺はストーリーテーリングの巧みさによるものでしょうか。

いつもは文明的な科学兵器を駆使するプレデターさんが、本作では早々にその辺のガジェットがオシャカになってしまうため、現地の動植物で即席武器を作って行く様子が面白かったです。

 

☆『果てしなきスカーレット』

細田守最新作。公開初日は酷評の嵐でしたが、2,3日経ったら賛否両論大激突な感じに。それほどのネットで話題になったのに、どうも近年の細田作品ではぶっちぎりの売上ワーストを記録しそうな勢いです。

自分はもう「あの世の話」「夢の話」と割り切って観てたのでそれなりに楽しんで観ました。怪獣も迫力あったし。ただやっぱりこの映画に関しては内容よりほぼほぼ大ヒット間違いなしのはずだったのに、どうしてこうもコケてしまったのか、その辺の理由の方が興味あります。映画興行って本当に「必ず」はないというか、つくづく難しいものですね。

 

☆『WEAPONS/ウェポンズ』

最近時々ある「全米大ヒット! 日本小規模公開!」なホラー作品。普通に語ったらただの変な話で終わりそうなところを、時系列を入れ替えたり複数の視点で追うことにより面白さを増す工夫がなされています。それでもやっぱり変な話ではありますが。

ホラーですがわたしでもそんなに怖くなかったし、クライマックスにおいては場内が笑い声で包まれたりしてました。あとお話の視点となる主要人物がどいつも好きになれない問題児ばかりなのが独特です。

 

明日は姪っ子たちの襲来をかわしつつ年間ベストの記事が書けたらなあと。

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December 10, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 11月編

前回の更新で年内の大河レビューは最後にしようと思っていたのですが、先のラス前回でなんか熱くなってしまったのでもう一回行きます。そんなわけで11月編。

☆第41回「歌麿筆美人大首絵」

歌麿と共に新たなプロジェクトに取り組み、活気を取り戻す蔦屋。そんな中、重三郎の母つよが病の床に臥せるようになり…

この回からしばらく「歌麿愛憎編」が続きます。歌麿というひとも写楽に負けず劣らずわからない点が多いそうで、作家さんからしたら創作のしがいがある人物ですよね。で、今回は昔から蔦重へ秘めた思いを持っていた青年として描かれております。それにしても「二刀流」っていうとかっこいいのに「両刀」っていうとポッとしちゃうのはなんでなんでしょう。

さびしげに蝉の抜け殻を見つめる歌麿。『鎌倉殿』でこれが好きなキャラがいたよな…とか思ってたらあのドラマの小道具をそのまま使ってたそうで。物持ちがいいですね。

蔦重の母つよはここで退場。彼のためを思ってわざと憎まれるよう仕向けた…というのはいかにも江戸っ子ですね。しかし実の父は毛ほども出てこないがどうなったんだ。なんか言及されてたかもしれないけど記憶なし。

この回の『風雲児たち』ポイント:『海国兵談』と林子平(名前だけ…)

 

☆第42回「招かれざる客」

おていが懐妊し、うかれる蔦重はさらに儲けるべく歌麿への無茶ぶりを繰り返す。彼の心が自分から離れつつあることも知らずに…

史実でも蔦重と歌麿は途中で疎遠になってしまったそうで。このドラマできっかけのひとつとなるのが西村屋親子。鱗形屋に鶴屋に忘八の面々と、どんな難物も落としてきた(言い方)蔦重が、唯一味方に出来なかったのがこの西村屋さん。よほど蔦重がタイプではなかったのか。

難色を示す歌麿に「ガキが生まれるんだ」と泣き落としで説得する蔦重。先月あたりから徐々に下がって来た彼の好感度が、とうとうどん底に落ちた瞬間でした。最終回も間近なのに大丈夫か主人公。

この回の『風雲児たち』ポイント:ラックスマンと大黒屋光太夫。またしても名前だけ… まあこの辺じっくりやってたら完全に横道にそれますしね。

 

☆第43回「裏切りの恋歌」

ついに決裂の時を迎えてしまう蔦重と歌麿。追い打ちをかけるようにおていは予定よりも早く産気づき、母子ともに命の危機に…

先回「バチが当たればいい」とか言われまくった蔦重ですが、この回ではあまりの不幸ぶりにネットでは「そこまでしろとは言ってない」と手の平を返したような同情ぶりでした。

そしてひとまずの決着を見た歌麿の恋心。同性の親しい人に恋心を抱いても、絶対にそれを打ち明けなかったり(『詩歌川百景』)手紙で相手を想いやりながら別れを告げたり(『BANANA FISH』)と、なぜか吉田秋生オマージュ(なのかどうか知らんけど)が随所に光っておりました。

果たしておていさんと赤ちゃんはどうなったのか。それは明かされぬまま仏壇に手を合わせる蔦重の姿で次回に。ひどい。

 

☆第44回「空飛ぶ源内」

子どもを失い悲嘆に暮れる蔦重夫妻の元に、1人の奇矯な男がやってくる。後の十返舎一九であるその男は、なんと源内が生きているという噂を話すのだった。

人はどうしようもなく悲しい時に「さすがにそれはないやろー」みたいな話に希望を見出すことがあります。蔦重にとってのそれが源内生存説だったというわけ。『風雲児たち』でもちらっとそれを匂わせていたので、もしかするともしかして…と思いましたが真相は別の方向で意外でした。果たして越中様はどんな顔してあの戯作を書いてたのでしょう。きっとニッコニコでやってたと思います。期待外れだった蔦重は「お前かよー」という失望を隠せていませんでしたが。

物をたべられなかったおていさんがふじさんが持ってきてくれたお菓子をようやっと頬張るシーンにはホロリと来ました。

この回の『風雲児たち』ポイント:源内先生が描いたという蘭画。玄白だか良沢だかに「へたくそ」とか言われてました

 

というわけで今度こそ年内最後の大河レビュー。最終回まであと5日…

 

 

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December 07, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 10月編

脚本家の森下先生がここに来て4話ごとの振り返りを始められたので、わたしも負けずに頑張ろうと思います。そんなわけで10月編。

 

☆第37回「地獄に京伝」

春町と喜三二が去り、蔦重の手元に残った強力なカードはいまや歌麿と京伝のみに。だが京伝はご政道を批判する蔦重の方針に尻込みしてしまう。

ここから数回にわたりスポットが当てられる山東京伝。いかにもナンパそうな名前の恋川春町が堅物で、剣豪みたいな名前の山東京伝がお調子者というのは面白いですね。

このエピソードで興味深かったのは「面白けりゃいい」という京伝と「風刺がなきゃダメ」という蔦重の対立。最近ネットでもこういう論争ありましたが、自分は「どっちもそれなりにないとダメ」派です(ぬるい)。ジャンル・メディアってのはいろんなものがあってこそ栄えるものだと思うので。

蔦重も定信も「春町の死を無駄にしたくない」という気持ちは一緒なのに、思い切り正反対の方向に向かってしまう。この辺のすれ違いも歯がゆうございました。

この回の『風雲児たち』ポイント:尊号問題一件。これ図にでも書かないとわかりづらいのでは…

この回の使える故事:「韓信のまたくぐり」

 

☆第38回「地本問屋仲間事之始」

京伝と蔦重は見事に決裂。それでも周囲の言葉に耳を貸さず、定信への反抗を試み続ける蔦重。一方そのころ歌麿の妻おきよは病魔に侵されつつあった。

先回あたりから権威があるのをいいことに威張り散らかす蔦重。少し前まで誰にも優しい好人物だったのに、どうしてこう感じ悪くなっちゃったのか。まあ面白い大河ってのは、主人公のダメな面・ダークサイドも巧みに描くものが多いですんけどね(その最たる例が『鎌倉殿の13人』)。もっともそれを強調しすぎるとさすがに観ていて辛くなることも。

しかしこれまでの人徳もあり、本屋仲間たちは京伝も含めて次々と彼の計画に賛同してくれることに。これで上り調子になるかと思いきや…

そしてあまりにも凄惨なおきよの最期。天(森下)はどこまで歌麿を苛むのか。喋れなかったおきよさんの唯一セリフあるシーンには胸がズキュンとしました。

 

☆第39回「白河の清きに住みかね身上半減」

蔦屋の出版物はとうとう定信の逆鱗に触れ、重三郎と仲間たちは投獄されることに。おていは彼を救うために定信付の儒者に嘆願を試みる。

というわけで歴史の年表の中では蔦重が最もしんどかったであろう「身上半減」のエピソード。これ実際はどういう刑罰だかよくわからないそうで、スタッフの皆さんが知恵を絞った結果ああいうユニークなものになったそうです。

今までさんざんボコられてきた蔦重も、伝馬町のプロの仕置きはこたえた様子。さらにおていさんに突き飛ばされ、鶴屋さんにこっぴどく叱られ… 自業自得なところもありますが、さすがに気の毒になりました。とばっちりでやはり牢屋でしばかれ、「蔦重が書けっていったんです!」と音を上げる京伝。先回の心意気はどこへやらですが、ネットでは「その通りだよね」とみんな彼に同情的でした。

ただ大衆から「身上半減」をからかわれても逆上したりせず、次のアイデアを思いついちゃうところは蔦重ならでは。彼の再起を予感させます。

この回の『鬼平犯科帳』ポイント:葵小僧の一件。池波版で珍しく史実に材を取った一編がありました。えぐい話でした。

 

☆第40回「尽きせぬは欲の泉」

お上からの処罰に大打撃を受けた蔦屋。だが彼の元に次々と新たなる才能があつまり始める。そして歌麿も蔦重の説得に心を動かされ…

「これまでありがとう蔦重! 化政文化は俺たちに任せろ!」的な次世代スター、曲亭馬琴や葛飾北斎が本格的に登場。いよいよお話も終盤にさしかかってきたな…としんみりしてきたり(写楽はこの時点で気配すらありませんが)。馬琴はとても面倒くさそう、北斎は全然遠慮なさそう。そんな二人が激突しないはずはなく… まあなんか楽しそうな喧嘩ではありましたが。「手をケガしないように気をつけろよ」とこれまた「そういうところですよ!」とツッコみたくなる蔦重の注意。

失意の歌麿も創作意欲を取りもどし、こりごりだった京伝もおだてにのせられて復帰することに。絵も描けて文才もあって色男で歌もうまい京伝先生。普通なら嫌味になりそうなのに、この性格がなんともにくめません。

 

放送の方はいよいよ今日を含めてあと2回。どんなクライマックスが待っているのでしょう。

 

 

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