September 17, 2019

カメを落とすな! 上田慎一郎・浅沼直也・中泉裕矢 『イソップの思うツボ』

昨年邦画界に一大ブームを巻き起こした『カメラを止めるな!』。その立役者である上田慎一郎監督が、二人のクリエイターと共に「三人監督体制」で挑んだのが本作品。『イソップの思うツボ』、ご紹介いたします。

平凡な家庭の地味な女子大生、亀田美羽。タレント一家の一人娘で自身もアイドルの兎草早織。父親を手伝って「復讐代行業」を生業としている戌井小袖。性格も環境もバラバラの三人の少女の運命は、ある「事件」をきっかけに複雑にからみあっていく。

落ちてくる動物、徐々に明かされる相関関係。とりあえず観終わって最初に抱いた感想は「P・T・アンダーソンの『マグノリア』みたいなものがやりたかったのかな?」というものでした。

よかった点から申しますと、まず主演の女の子たちがみなそれぞれに魅力的でありました。またとにかく「意外性」を重視して作られているので、幾つかの場面ではけっこうビックリさせられました。問題はその意外性を優先するあまりか、「それ、さすがにおかしくないか?」という点もちょこちょこあるところですね… 傍でいうのは簡単ですけど、その辺の不自然さをカバーするためにもっと脚本を練り練りする必要があったのでは。ただ公式サイトを見ますと「構想3年」とあるのでこれが限界だったのか… 『カメラを止めるな!』があまりに自然で見事な脚本だったので、いかんと思いつつ、ついつい比べてしまうのでした。あと自分がわりとがっかりしたのは、ポスターでうなだれてる三人の着ぐるみがどんな風に活躍するのかな…と期待していたら全く出てこなかったことですねw

まあブレイク作の直後の作品というのは厳しいですよね。どうしたって前作と比べられてしまう(お前が言うか)。でも『アンブレイカブル』でがっかりされたシャマランや、『ゲーム』でぼろくそに言われたフィンチャーがその後リベンジを果たしたように、上田監督も捲土重来をいつか果たしてほしいものです。というか本来の彼の正念場となるのは単独作『スペシャルアクターズ』(来月公開)の方でしょうか。そちらももちろん拝見します~

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September 12, 2019

ジャングル大帝ブック ジョン・ファブロー 『ライオン・キング』

 

ここのところ矢継ぎ早に過去の名作の実写化を連発してくるディズニースタジオ。この度はその最新作で劇団四季のミュージカルでも名高い『ライオン・キング』をご紹介します。

雄大な自然に恵まれたアフリカの大地。サバンナを治めるライオン・ムファサの息子として生まれたシンバは、両親の暖かい愛情のもとすくすくと育ち、自分もいつか父親のような立派な王になることを志す。だがその影で、王位継承に敗れたムファサの弟スカーは、権力を奪うべく姑息な策略を巡らしていた。

1990年代、「ディズニールネサンス」と言われた時代がありました。低迷していたディズニースタジオが『リトル・マーメイド』を皮切りにヒット作を連発し、手描きアニメの黄金時代を築いた期間のことです。特に『美女と野獣』と『アラジン』は日本でも一大ブームを巻き起こしました。『ライオン・キング』もそれに大いに貢献した1本です。

ただこの作品、わが国では「『ジャ○グル大帝』のパクリでは?」ということもよく言われています。でも『ジャン○ル~』の方は人間もバンバン出てきますし、王族争いとかもないので、仮にインスパイアを受けてるとしたらキャラクター造形などでしょう(マントヒヒは長老でハイエナは悪党だとか)。代わりに監督が原作としてあげたのがあの『ハムレット』。なるほど、『ハムレット』から暗い要素を大体抜き去ったらこんな風になる…かな?(それはもう『ハムレット』じゃない気もしますが…)。少し前おじさんと甥っ子が王位をめぐって激突する映画が何本かありましたが、あれらは『ライオン・キング』を経由した『ハムレット』の子孫なのかもしれません。

さて、この度の新作、ある一場面を除いては動物も背景もすべてCGで作られております。こうなるともはや「実写」というよりCGアニメに近い気がします。でも見た目は全然実写だしなあ… 公式でもそれを逆手にとって「超実写」なんて言っております。本当にCGの進化もいくところまでいってしまった感がありますね。

一方でかつての名作を次々と「実写化」していく流れには批判もあるようです。すでに完成されてるものをそのままそっくりリメイクするのに何の意味があるのか?という意見ですね。ただ自分は正直むかしのディズニーの画風がそんなに好きではなかったので、アニメの方は劇場ではスルーしちゃってたんですよね。今回は実写と見まがうほどにモフモフ感満載だったので張り切って映画館にいきました。そしたら自分だけかもしれませんが、はしゃいだりいきったりするシンバ君が十代くらいの男の子と重なって見えてきたりしたのでした。擬人化したイメージが下の落書きです(友人にみせたら「80年代感ただよう」と言われました)。

あと他のキャラクターではシンバの友人となるイボイノシシとミーアキャットの痛快なコンビや、悪役のスカーさんもおきにいりです。スカーさん、二年前に亡くなった飼い猫のモンさんとよれよれ具合が非常にそっくりだったもんですから… 好きな曲である「ライオンは寝ている」がけっこう長々とかかっていたのも高ポイントでした。

それにしても90年代手描きアニメでブイブイいわしていたディズニーが、00年代に入ってCGでしかアニメを作らなくなり、10年代ではかつての名作アニメをどんどん「実写化」していく流れにはあまりの移り変わりのはやさに呆然といたします。「あまり好きじゃなかった」身で言うのもなんですが、たまにでいいから手描きアニメの方も伝統をひきつぐために復活してほしいものです。欧州ではぽつぽつと個性豊かな手描きアニメが色々生まれておりますけど。

「あんまり日本ではあたらないだろう」というわたしの予想を覆して、『ライオン・キング』は現在50億越えのヒットを達成。まだ伸びそうです。劇団四季のミュージカルが浸透していたせいでしょうか。そんなわけで公開もまだ続きそうなので、モフモフや猫が好きな人はぜひごらんください。 

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September 10, 2019

ベストマッチじゃないやつら デビッド・リーチ 『ワイルドスピード/スーパーコンボ』

もうじき公開終わりそうな映画紹介第二弾です。世界的人気シリーズ初のスピンオフにして、スーパー筋肉スター二人の共演作。『ワイルドスピード/スーパーコンボ』紹介します。

凄腕のドライバー・ドミニクと関わったことで、知り合うことになったホブスとショウ。だが熱血漢の捜査官とクールなアウトローでは当然ソリがあうこともなく、お互いを蛇蝎のごとく忌み嫌っていた。そんな折MI6に属していたショウの妹が、任務の途中細菌兵器を奪って逃走したという知らせが入る。彼女を確保するよう協力してことにあたってほしいとCIAに依頼されたホブスとショウだったが、二人の返事は「誰がこんなやつと!!」だった…

元はと言えばヴィン・ディーゼルとポール・ウォ―カ―のバディものとしてスタートした本シリーズ。しかし一通り迷走したのちは、コンビというよりどんどん「ファミリーもの」としての要素が強まっていきます。本作はスピンオフとなってはおりますが、そういう意味ではシリーズの原点に立ち返ったと言えるでしょう。というかどっちかといえば2作目や3作目の方が番外編っぽいような… まあ細かいことを言うのはやめましょう。

番外編っぽいといえば監督が『デッドプール2』の人のせいか、本家よりかなりお笑いムードが濃かったです。特にお互いをあげつらうロック様とステイサムの悪口合戦には腹を抱えて笑わかされました。あとやたらアメリカのサブカルに関してのネタが多かったですね。わたしまだゲーム・オブ・スローンズ半分しか見てないのに思いっきりネタバレを食らわされたような… まあ「誰それが死ぬ」というバレではなかったので許容範囲です。

筋肉スター2人に立ち向かうのは、最近だと『ダークタワー』(…)の活躍が記憶に新しいイドリス・エルバさん。彼も十分にかっこいい上に仮面ライダーなみの改造手術を受けてるという設定なんですけど、やっぱりホブス&ショウに本気で勝とうと思うならパシリムのイェーガ―くらい持ってこなきゃいかんと思います。それはさすがにワイスピから逸脱しすぎでは…という気もしますが、どんどん枠からはみ出していくのがこのシリーズのウリなのでアリです。

ホブスの故郷のサモアの風景も心やわらぐ本作品。というかサモアってなんか服装とか建築が沖縄に似てますね。そこのおばあちゃんがだんだん平良とみさんに見えてきたりしました。

正直一番ツボにはまったのは序盤のコンビの対比平行映像だったのですが、その後も普通に面白かったです。クライマックスではちゃんとワイスピ特有の無茶カーアクションもありましたし。キャラは減りましたけどシリーズの名に恥じないトンデモ映画でありました。

『ワイルドスピード/スーパーコンボ』はしっかり世界で製作費の3.5倍を稼ぎ、彼らだけの続編もすでに決まっているとか。本家の方も来年春に新作の公開が予定されています。ヴィン・ディーゼル派とロック様派での不仲の噂も伝えられてますが、ファミリー映画なんだから仲良くやってほしいものですね!

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September 04, 2019

苦衷戦艦ヤマト 三田紀房・山崎貴 『アルキメデスの大戦』

当初はスルー予定だったのですが、ネットでの好評を見ているうちに「そういやオレ山崎監督好きだったっけ…」ということを思い出しました。『アルキメデスの大戦』、ご紹介します。

日本が世界から孤立しつつあった昭和初期。海軍では空母建造を推し進める山本五十六派と、巨大戦艦にこだわる平山派が対立していた。平山派の意見が通っては諸外国にますます警戒心を抱かせると考えた山本は、戦艦の建造費があまりに安いことに目をつけ、数学の天才である若者・櫂直(かい ただし)にその不備を見つけるよう依頼する。軍を嫌う櫂は最初それを断るが、日本が戦火に巻き込まれることを憂い、結局は協力を受け入れることに…

この映画はいきなり壮絶な「大和」の沈没シーンから始まります。『スペース・バトルシップ ヤマト』(これも好きでしたがー)とは打って変わった迫真のリアリティに息を呑みました。これ、言ってみれば一番派手なシーンを一番最初に持って来るという大博打をやらかしているわけです。しかし普通なら尻すぼみにになるところを、キャラクターの魅力と巧みなストーリーテーリングで乗り切っておりました。

やはりまず惹きつけられるのは菅田正暉君演じる櫂直の変人ぶり(笑) 眉目秀麗で頭も切れるのに、世渡り下手で「美しいものは計測しないと気が済まないののだ~」と目を付けたモノに片っ端からメジャーを当てる。そして周りがそれをいぶかしんでるとそっちの方を変人扱いする。またクールを装いながら実のところ情を捨てきれなかったり… ちょっとべネディクト・カンバーバッチが演じていた「シャーロック」を彷彿とさせます。ただ彼が気に入ったものをなんでも測りたがるのは、人が「美しい」と思う形の比率やパターンを知りたいからでは…と考えます。

で、この映画で「美しいもの」の代表として出てくるのがご存知戦艦大和。わたしあんまり大和って好きでもなかったんですけど、『アルキメデスの大戦』を見たらなんかあまりのかっこよさに見入ってしまいました。アホな将校が模型を見て「これこれ、こういうのが欲しかったんだよ~!」と目をキラキラさせていましたが、いい年こいてロボットが好きなものとしては非常に共感してしまいました。ただ現実にある兵器にそういう気持ちを抱いてしまうことにうしろめたさも少々感じます。海洋堂の名物専務が言っていた「戦車をこころおきなく楽しむために世界から戦争をなくしたい」という言葉が思い出されました。

で、ここから先は後半もネタバレで…

櫂たちの奮闘を見ていると彼らの努力が実を結んで、大和は作られず、戦争も避けられたら…と思わずにはいられません。しかし現実はそうならなかったことは言うまでもありません。櫂たちは一度は大和の建造を阻止しますが、軍艦のコンペくらいで世界の大きなうねりは変えられない…というオチがなんとも説得力があり、皮肉が利いていました。

平山は「負け方を知らない(最後の1人まで戦い続けそうな)日本人に、諦めるふんぎりをつけさせるため」大和を造りたいと主張します(本人の趣味もありそうですが…)。偶然とはいえ国が誕生して以降、一度も他国から徹底的な打撃を被ったことがなかったことが日本をそういう状況に追い込んでしまいました。ですがわたしたちは先の大戦で日本がいかに悲惨に負けたかを知っています。時代の流れというのはそう簡単にせきとめらるものではないでしょうけど、少しでもこの国が戦争に向かっているとしたらなんとかそれをおしとどめたいです。

いつになくかしこまってしまいましたが、山崎監督のいつになく(失礼)理にかなったメッセージ性の強いお仕事に感嘆いたしました。そして高まった評判を続く『ドラゴン・クエスト ユア・ストーリー』でまた地に落としてしまう山崎さん。素敵だ! 年末にはCG版『ルパン三世』もひかえておりますが、ちょっと働き過ぎではないでしょうか。

あと書き忘れましたが、この映画はヤングマガジンにて連載のコミックが原作です。映画はきっぱり一本で終わりましたが、漫画の方は17巻を数えた今もまだまだ終わらなそう。櫂君のその後が気になるのでいずれ読んでみようかなー

 

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September 03, 2019

新・てつぞら ティモ・ヴオレンソラ 『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』

重い扉をこじあけたら 暗い宇宙が続いてて めげずに歩いたその先に 知らなかったスカイ

…7年前クラウドファインディングで作られ、好評を博したフィンランドの珍作が忘れたころに帰ってやがりました。『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』、ご紹介します。ちなみに前作の感想はこちら。

月面にナチス残党の基地が発見され、すったもんだの末に人類がほぼ全滅した未来。月で生き延びた人々は少ない物資をわけあい細々と生活していた。そんな折、地球の内部に秘密帝国が建造されていて、無尽蔵のエネルギーを有する「聖杯」がそこにあることが明らかになる。血気盛んな若者オビと仲間たちは月のエネルギー問題を解決すべく地下帝国へ乗り込んでいくが…

あらすじだけで見事なアホアホしさです。世界で最も教育水準が高いと言われるフィンランドですが、「アホネン」というスキー選手がいたくらいなのでアホなのかもしれません。まあこういうアホらしさ、嫌いじゃないですけどねw

特に感銘したアホ設定は月にスティーブ・ジョブズを教祖とした宗教組織が出来てること。眺めてるだけで笑いがこみあげてくるのですが、不思議なリアリティがありまして、近い将来現実に結成されそうな気がしてなりません。

そしてジョブズ本人も登場します。彼のみならず古今東西の選ばれた歴史上の有名人がナチスの地下帝国に大集結。FateGOなみのきらびやかさです。その中心にいるのはもちろんナチス創始者のあの方。あと恐竜も出てきます。なんでも出せばいいってもんじゃないと思いますが、まあ面白かったのでよしとします。とりあえずお話のテンポは前作よりも良かったですし。あとなにげなく出てきたものが重要な伏線になるとこなどもよく考えられてました。アホアホ言ってしまいましたがこういうところは頭のいい設定でした。すいませんフィンランド。

盛大に笑わせてもらったシーンをもうひとつ。それは冒頭のロゴ。いきなり「アイアン・スカイ・ユニバース」とドーンと出てくるのでふるってます。これから先どうやってユニバース展開に持ち込んでいくのかお手並み拝見といきましょう。

わたしは『モンスターズ』『スカイライン』と本作を勝手に「21世紀の3大低予算SF映画」と位置付けているのですが、前二作は1本ずつ続編が出来たところでそのまま収束しそうです。『アイアン・スカイ』はさらなる飛躍を見せることができるでしょうか。がんばれ! わたしは映画代しか払ってないけど!

 

 

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August 30, 2019

平成時代にさよならを 『仮面ライダージオウ』まとめ

令和が始まってはや4ヶ月。本日は先ごろ完結した「平成」ライダーの総決算『仮面ライダージオウ』について劇場版も含め思うところをまとめます。

平成の終わりも近づいたころ。平凡な高校生常盤ソウゴは、将来「王様になりたい」という夢を吹聴しては級友たちに笑われていた。そんなある日ソウゴはタイムトラベラーの青年ゲイツに襲われる。理由はソウゴが未来で最低最悪の魔王「オーマジオウ」になり、人々を苦しめているからだった。それと呼応するように彼の周りにあらわれる「仮面ライダー」と、人々を襲う怪人「アナザーライダー」たち。やはり未来から来た彼の「家臣」ウォズから変身ベルトを与えられ、「仮面ライダージオウ」となったソウゴは、いつしかゲイツと共に平和を守り、「最善最高の王」となることを目指して戦い続ける。

というわけでこの物語の大きなポイントのひとつは、本当に人を思いやるいい子のソウゴ君が、なぜショッカーの首領のような独裁者になってしまったのか?というとこでした。話が進むにつれその辺の謎が徐々に明かされていくんだろうな…と予想していたのですが、いきなりばらしてしまうとうやむやのままに終わりました(笑) まあ毎回のように20年に及ぶなつかしヒーローたちが入れ替わり立ち代わり登場するので、ソウゴ君はどうしてもホスト的な役回 りにならざるを得ず、彼自身の物語をじっくりやる余裕がなかった…というところですかね。わたしも思い入れのあるライダーがオリキャスで登場するたびに我を忘れて喜んでましたし。10周年記念の『ディケイド』と違って(あれはあれで好きでしたが)、今回は可能な限り演じた本人を連れてきてくれたのが嬉しかったです。特に『龍騎』『剣』は十ウン年ぶりに懐かしい友達と再会できて、彼らが元気でいる姿が観られて感涙いたしました。

先日公開された単独の劇場版も観てまいりました。暮れの佐藤健のようなシークレットゲストがあるのでは…ひょっとしてオダ○リジョーか、竹内○真か!?と胸ワクワクで臨んだところ、予想のはるか斜め上のビッグネームが出てきて驚愕しました。ここではあえて名前は明かさないので知りたい人は映画のキャスト一覧でも調べてみてください。

映画で印象的なセリフのひとつに「お前たちの平成って醜くないか?」というものがありました。平成ライダーもとうとう20作。そこはかとなく統一感があった(そうか?)昭和ライダーと比べると外見も設定も恐ろしくてんでバラバラです。シリーズ初期は「こんなの仮面ライダーじゃない」という声もよく聞かれましたが、最近ではもうみんな「そういうもの」と諦めてしまったのか、あまり見られなくなりました。実際こんだけ多様性に富んでたからこそそれなりに飽きられずに20年続いたのだと思います。わたし自身数作脱落したものの、今にいたるまで視聴を続けてるわけですし… 本当に『クウガ』が始まった時は2019年になっても切れ目なくライダーが続いて、そんでずーっとお付き合いすることになるだろうとは夢にも思いませんでしたよ…

ついでに好きなタイトルのベスト5を書いておくと

1位…龍騎 2位…剣 3位…ビルド 4位…鎧武 5位…555 別枠…アマゾンズ となります。

令和になってもまだ続行される仮面ライダー。次の作品は背景がなにやら『アイアンマン』っぽい『仮面ライダーゼロワン』だそうです。また一年楽しめますように~

 

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August 21, 2019

魔法中年ウィル☆スミス ガイ・リッチー 『アラジン』

ここんとこ過去の名作の実写化に力を注いでいるディズニーさん。本日はそのうちで最も成功した1本である『アラジン』を紹介いたします。

むかしむかし、アラビアのとある国で。街でコソ泥としてきままに暮らしていた青年アラジンは、ある日お忍びで市場に来ていた王女ジャスミンと出会う。ジャスミンと再会するため城に潜入したアラジンだったが、運悪く王位を狙う大臣ジャファーに捕まってしまう。ジャファーはアラジンを捨て駒として使うことを思いつき、罠の張り巡らされた洞窟に、魔法のランプを取ってくるよう命じる。苦労の末ランプを手に入れたアラジンが何の気に無しにそれをこすると、たちまち中から青い陽気な魔神が現れる。魔神はアラジンを主人と呼び、三つの願いをかなえると申し出るが。

原作はもちろんアラビアン・ナイト…ですが、それよりは92年に作られたアニメ版の忠実なリメイクになっているようです。ようです…というのは、自分は未だにアニメ版を観ていないから。今回も大体知ってる話ですし、容易に結末も予想できたのでそんなに鑑賞意欲もわかなかったのですが、家族が一緒に観ようというので付き合いで行ってきました。そしたらめっぽう楽しかったので、やっぱり名作を甘く見ちゃいかんと思いましたね…

まずとにかく虎やオウムや猿、絨毯といった人間以外の連中が滅法面白い。特に猿。役に立つ反面足もひっぱるプラマイゼロ的なマスコットでございましたが、見ているだけでとにかく愉快。わたしのベスト猿映画である『キートンのカメラマン』に肉薄するほどの名演技でした(CGだけど)。ちなみに姉と母はブロードウェイで舞台版を見ているのですが、猿はどう再現したのかと聞いたら完全にオミットされていたそうです…

ついでひかれたのが魔法の絨毯。布なのにドクターストレンジのマントのように表情が豊かでした。特に魔神がノリノリでしゃべっているうしろで全く話を聞いておらず、砂のお城をこしらえて喜んでるシーンには萌え萌えズキューンでした。

人間の役者でいうと一際輝いていたのは魔神(ジーニー)演じるウィル・スミス。それこそ90年代後半は出る映画全部ヒットさせていた彼ですが、ここのところそんなに目立った活躍はなかったような。アニメ版では変幻自在のジーニーをどうやって…と心配しておりましたが、CGの力を借りてめっちゃファンキーに暴れておりました。ぶっちゃけ最近のベストアクトだったのでは。色のついた不定形の怪人が山寺さんの声でしゃべるとジム・キャリーの『マスク』の姿がちらつきはしましたが。

最近ぱっとしないといえば監督のガイ・リッチーさんもそう。『キングアーサー』も『コードネーム・アンクル』も激しくたのしいんですけど売上的には赤字だったりして。ですが今回『アラジン』で逆転一発ホームランをかましてくれたのでなんだか安心しました。本当にあの支離滅裂だった『リボルバー』のガイさんが世界中の老若男女を笑わせる百点満点のエンターテイメントをこしらえるようになるとはねえ… というかいい加減『リボルバー』のことは忘れてあげないと。

まあこれは元のアニメ版がよくできているから、というのもあるんでしょうね。クライマックスで絶体絶命のピンチをアラジンが切り抜ける方法には大変感心しました。また生身の人間が暑そうなところで華やかな衣装で歌ったり踊ったりしてると、中東の話なのにインド映画のように見えたりもして。貧しいアラジンが機転と勇気でなりあがっていくストーリーもマサラ・ムービーっぽかったですね。

『アラジン』は現在『トイストーリー4』『天気の子』に肉薄されてはいますが、2019年の日本公開作品で初めての100億円代を突破しました。たいしたもんです。続けざまにディズニーが放つ超実写『ライオン・キング』も先日観て来たので近いうちレビューします。

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August 20, 2019

傷だらけの… 新海誠 『天気の子』

『君の名は。』でジブリに匹敵するほどのブレイクを成し遂げた鬼才・新海誠。言うまでもありませんけど、その待望の新作が現在公開中であります。『天気の子』、紹介いたします。

わけあって離島から東京へ家出してきた少年・帆高。ネカフェ難民として苦しいくらしを続けた後、彼は怪しげなフリーライター須賀に拾われ、怪しげな都市伝説を調査する仕事を見つける。なんとか仕事も板についてきたころ、帆高はチンピラにつきまとわれていた少女陽菜と出会う。彼女はなんと帆高が取材の際うわさを聞いた「空を晴れさせる能力を持つ少女」だった。

前作のあまりの大ヒットぶりに置いてかれた元からのファンが、「おれたちの新海が帰ってきた!」と喜んでいる本作品。たしかに『君の名は。』よりも直情的というか、作家性が強く表れた映画となっていました。でもやっぱりこの二作で新海監督は大きく変わったと思うんですよね(自分はまだ未鑑賞作品もあるなんちゃって新海ファンですが)。以下にその理由を述べます。

以前の新海作品の主人公はすかした感じのかっこつけた少年がほとんどで、心の中はともかく表面上はエッチなことなど全く考えてないようでした。が、帆高くんと瀧くんは普通におっぱいに興味があるようです。そのことを指摘されて真っ赤になって否定するシーンもあったり。こんなにかっこ悪い姿を以前の新海作品の主人公が見せることはなかったように思います。

もうひとつは「ムー」です。まさか二作続けて新海さんがこの雑誌をキーアイテムとして用いて来ようとは夢にも思いませんでした。胡散臭さの点では東スポに匹敵する「ムー」(すいません)が恋愛ものの小道具として用いられた例は、わたしは他には『ぼくの地球を守って』しか知りません。ちなみに監督は地方の建設会社の御曹司で「ムー」の愛読者だったそうなので、キャラ的には『君の名は。』のテッシーに近いようです。

さらにもう一点ありますが、それは後に回します。

『天気の子』ではこの作品独自の要素も幾つかあります。新海作品といえばキラキラピカピカしたビジュアルが特徴ですが、本作品ではそれよりむしろ薄暗くドバドバ降り続く雨のシーンが多い。それでもかびくさい感じはせず、清潔感・透明感にあふれているのが彼らしいですけど。

あと貧乏描写もこれまでには観られなかった点です。前作でがっぽがっぽ稼いだはずなのに、なぜこれほどまでにジャンクなご飯描写が真にせまっているのでしょう。「貧乏」といえば、実は自分がこの映画にとりわけ感心をひかれたのは、懐かしの名テレビドラマ『傷だらけの天使』のオマージュなのでは?と思うところが幾つかあったからでした。まず『傷だらけ~』の舞台であった代々木会館がこちらでも重要な建物として登場します。また、主人公たちは無垢な人たちのために奮闘し、貧乏でありながら安い食べ物をおいしそうに食べ、明るい未来が全く見えない中でも懸命あがきつづける、そういう姿も通じるものがあります。さらに『傷だらけ~』のオサムと同じく『天気の子』の須賀には離れて暮らす幼い子供がいたり。明確なソースはございませんが、監督はけっこう意識してたのでは、と思い込んでおります。

『天気の子』は不思議な偶然というか、まさに今の時期にぴたりと合わせて公開されたような作品でもあります。ずっと長雨が続いてて、ようやく晴れたその日が公開日だったり、先の代々木会館が封切りからまもなくしてとうとう取り壊されたり。またこの映画の本当に直前に京都アニメーションの悲しい事件がありました。図らずもこの映画はその悲劇に対する鎮魂歌であり、亡くなった方たちの遺志を継ぐ決意表明となってしまった気がしてなりません。それなりに映画を観続けておりますが、こんなにも「時」に呼ばれてきたような例はちょっと記憶にありません。

以下は結末に触れてるのでご了承ください。

 

 

 

 

『君の名は。』以降で変わったな、と思った三つ目の点は、「ハッピーエンドに対するこだわり」です。前作も今作も物悲しい結末にしようと思えばいくらでもできたはずなのに、強引にベタなハッピーエンドに落とし込んでいます。でもそんな優しい新海監督の方が自分は好きです。ヒロインが『秒速5センチメートル』とおなじ「きっと大丈夫」というセリフをいうところに一抹の不安を感じないでもないですが…(あちらは全然大丈夫じゃなかったので…)

というわけで『天気の子』は予報通り現在大ヒット公開中です。前作には及ばないでしょうけど、おそらく本年度最高の売上を記録するのでは。今の時期は『トイストーリー4』『ライオンキング』『ワンピース』などもあり、ここ3年くらいで最も映画館に人があつまっている気がします。そんな盛況が嬉しいわたくしでございました。

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August 13, 2019

コリアン歴史ヒストリア キム・ヨンファ 『神と共に 第2章 因と縁』

「韓国で『新感染』を越える歴代2位の大ヒット!」と評判の大作映画、一か月前になりますが無事後編を見て来たのでもう遅い気もしますが紹介します。『神と共に 第2章 因と縁』。第1章の感想はこちら

殉職した消防士ジャホンを冥界で弁護した際、いろいろ逸脱があったため咎められることとなったカンニムら3人の使者。その違反を帳消しにするため、カンニムたちはやはり地上で違反を犯している精霊ソンジュ神を成敗するよう命じられる。だがソンジュ神と関わったことがきっかけで、使者のヘウォンメクとドクチュンは消されていた自分たちの過去と対峙することに…

韓国映画で感心するのはどんなにヒットしても安易に続編を作らないこと。もしかしたらあるのかもしれないですけど自分は知りません(『グエムル2』はいまも待ってますが…)。この『神と共に 因と縁』は2作目ではございますが、後付ではなく最初から1作目と対になるよう作られています。前後編というより、表と裏、演繹と帰納の関係。そんな構成が面白うございました。

『罪と罰』では一応脇役だった3人の使者ですが、今回は彼ら自身が主人公となり、千年前の文字通りの「因縁」が語られます。そんだけ前の時系列なのでお話の半分は高麗時代の歴史劇となります。韓国の歴史ものというとテレビドラマではわんさかありますが、映画だとそんなに紹介されてなかったような(これまたわたしが知らんだけか?)。そんな珍しい題材がこれまた興をかきたてられました。

一方でそれなりに仲良くやってる感じだった3人の絆が、秘密が明かされるごとにどんどん危機を迎えていくという流れだったのでその辺は見ていて辛うございました。本当に「こういう風にならなきゃいいな」という方向に予想通りに話が進んでいきます。妖怪や裁判でハラハラさせられた1作目とはかなりスリルの質が違いました…

以後、ほぼラストまでネタバレで。

 

まあ第1章のムードからして、悲劇では終わらんだろうという安心感もありましたけどね(笑)。千年前の死ぬ前のこととはいえ、何も言わずにあんなひどいことをしたカンニムを笑ってゆるすヘウォンメクとドクチュンにさめざめと泣かされました。『罪と罰』ではお母さんがらみの人情話で「はい泣いて! さあ泣いて!」という感じで逆に醒めましたが、ひねくれ者としてはこちらの方が涙腺のツボに来ました。

調べたら監督さんの作品では韓国版『クールランニング』とも言うべき『国家代表!?』(2009)を以前に観ておりました。こちらは『神と共に』よりお笑いに振り切れたドタバタスポーツ喜劇となっています。やっぱりお母さんネタで泣かせるようなところはありましたが。あとこの人、ゴリラが野球をやる『ミスターGO!』なんてのも撮ってますね… 題材の選びようがいちいち奇抜でございます。

『神と共に』二部作はさすがに大体公開が終了しましたが、日本でも根強いファンを獲得したようでポツポツとリバイバル上映が行われております。『バーフバリ』もそうですが配給のTWINさんはこういう映画を見つけてくるのが上手ですね。これからもアジアの傑作の発掘・紹介を期待してます。

 

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August 08, 2019

玩具の神様 ジョシュ・クーリー 『トイストーリー4』

Ts 本年度最速と言われるほどに収益を稼いでおきながら、ネットでは賛否両論大激突となっているシリーズ最新作。本日はそんな『トイストーリー4』について語らせていただきます。9年前に書いた前作『3』の感想はこちら。

長年の友アンディと別れ、新たな所有者ボニーのオモチャとなったウッデイたち。だがボニーはほどなくしてウッデイに飽き、自分がゴミでこしらえたフォーキーに夢中になってしまう。それでもボニーのためと健気にフォーキーの世話に励むウッディ。そんなある時ボニー一家がバカンスに訪れたあるレジャー施設で、ウッディは離れ離れになった恋人のランプ、ポーと再会する。

すいません… 今回もまたのっけからネタバレ全開で。以下は「絶対に観ない」「すでに観た」という方だけごらんください。

 

 

思えば何から何まで完璧だった『トイストーリー3』。まださらに続けると聞いた時、「それはいるのか?」とわたしも思いました。ただ前作でたったひとつ不安になったことをあげるならば、それは「ボニーが大きくなった時、ウッディたちはまた同じ悲しみを経験するんだろうな…」ということ。でもまあ、それはまだ先のことだろうと予想していたら、本作の冒頭で早くもウッディに飽きているボニー。(現実世界では9年の歳月が流れていますが)まあ、なんと残酷なお話を思いつくのでしょう。ですが、子供というのは本来ああいう飽きっぽい生き物です。アンディのように何年も同じオモチャに愛情を注いでる方が少数派でしょう。わたしたちも胸に手をあてて思い出せば、買ってもらった当初はお気に入りだったのに数日で飽きてしまったオモチャを色々思い出せるのではないでしょうか。そしてこの『トイストーリー』は1作目から一貫して、様々な形で「子供の残酷性」をやんわり描いておりました。

それでもボニーのために、隙あらばゴミ箱に戻ろうとするフォーキーを諭すウッディ。1作目でお気にいりの地位を奪ったバズを陥れようとしてたころから比べると、驚くほどの成長ぶりです。そんな風に同じことを繰り返しているようで、決してマンネリには陥らないのが『トイストーリー』の真骨頂であります。ウッディは今回「いずれ手放されると知りつつ所有者の元に戻るべきか?」という「2」と同じ選択を迫られるわけですが、以前とは違う決定をくだします。

「おもちゃであるのならば、やはり自分から持ち主の元を離れるべきではない」「それはウッディらしくない。『トイストーリー』らしくない」という意見もよく聞きます。しかしこの度は『2』の時とは状況が違います。あの時はウッディはまだアンディに愛されてたからあえて「戻る」決断をしたのでしょうが、今回は別にボニーに必要とされてるわけではありません。見向きもされなくなっても、おもちゃであるならばそれに耐えていかねばならないのか? すでに同じ悲しみを味わっている彼に、わたしはとてもそんなことは言えません。そりゃウッディは確かにおもちゃかもしれませんが、1作目からずっと映画館で観続けているわたしからすればもう彼は映画のキャラクターというより24年来の親友であります(これまた一方的な友情ではありますが)。

とりあえずこれでウッディは「いつかは手放される」というオモチャの宿命から解き放たれたわけで。新たな門出に立った友達をわたしとしては心より祝福したい。残されたバズたちがちょっと心配ではありますが、ウッディの姿を見た仲間たちもしかるべき時にそれぞれ決断をくだすことでしょう。バズといえばこのシリーズはもともと「究極に面白いバディものを」という発想で作られた作品でしたが、バズとの出会いを始まりとし、別れで幕を閉じるとするならば1・2・3・4で見事に起・承・転・結に符号しておりました。

あととりわけ興味深かったのは、「おもちゃが誕生した瞬間」が見られたこと。新キャラクターのフォーキーはもともとは廃棄物でありましたが、ボニーがおもちゃとして作り上げた瞬間に自我が芽生え別の存在へと生まれ変わります。ここからこの世界ではメーカー製でなくとも、子供が遊ぶ対象として作られた時点でそれが「おもちゃ」となることがわかります。ただフォーキーは由来がゴミであるせいか、一生懸命ゴミ箱の中に戻ろうとするあたりに腹がよじれました。そんなフォーキーにウッディはオモチャとしての心得をこんこんと説きます。おもちゃというのはいつも子供たちに寄り添い、励まし、元気をくれる存在なんだと。こうなるとこの世界におけるオモチャは単なる物体の枠を越えてもはや守護天使といっていい存在にまで高められております。ただその愛情が必ずしも報われるわけではないあたり、あまりにも哀れな守護天使ではあります。

このフォーキーもそうですが、新キャラがいちいち魅力的すぎたり小ネタが充実しまくってるあたりも、「4」はまごうかたなき『トイストーリー』でした。特に忘れられないのはCMの演出が派手すぎたゆえに辛酸をなめることになったスタントレーサー、デューク・カブーン。変身ベルトを巻けば仮面ライダーになれると信じていたのに、現実はそう甘くなかったことを思い知らされた幼い日の記憶がよみがえります。射的ゲームの景品としてぶら下げられてた趣味の悪い色のウサギとヒヨコもシュールな漫才でにぎやかしてくれました。

大人たちはついあーでもない、こーでもないと議論してしまいがちですが、わたしが観た回でははじめてスクリーンでウッディやバズを観るお子様たちがおおはしゃぎで作品を楽しんでました。『トイストーリー』はおそらくこれからまだまだ子供たちに愛され続けるアニメとなるでしょう。おじさんも引き続き愛していきます。

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