July 17, 2018

蝙蝠忍法帖 水崎淳平 『ニンジャバットマン』

20180623_152143なにかと斜め上から攻めてくるDCコミックスの最新映画は、『~VS鷹の爪団』につづく日本のアニメスタジオとのコラボレーション。『ニンジャバットマン』(すげえタイトル…)、ご紹介します。

ゴリラのマッドサイエンティストの実験により、中世の日本に飛ばされてしまったバットマンとその仲間たち、そして宿敵たち。ジョーカーをはじめとするヴィランたちは諸国の戦国大名になりかわり、天下統一を果たさんとしのぎをけずる。時間も国も違う状況ながら、それでも正義を貫くバットマンは、ファミリーとともに「ヴィラン大名」に敢然と戦いを挑む。

どうですかこのいかれまくったストーリー… わたしはてっきりDCでいう「エルスワールドもの」(もしバットマンが異なる時代に生まれていれば…みたいな話)かと予想していたのですが、一応バットマン正史にも無理やり組み込めなくはない話でした。
で、脚本がアメコミにも造詣の深い中島かずき先生なので、意外とキャラクターたちは原作の設定を忠実に踏襲していたりします。『フラッシュ』から珍妙な悪役のゴリラグロットをひっぱってきたり、別に全員出さなくてもよいのに歴代のロビン兄弟のそろい踏みをさせたり。その辺から先生の並々ならぬこだわりがうかがえます。ちなみにロビン軍団を初見の方たちに簡単に説明すると

ナイトウイング…初代。チャラいようで苦労人。サーカス出身
レッドフード…二代目。一度死んでヴィランになったことも
レッドロビン…三代目。頭脳・技術派。一番普通
ロビン…現役。最年少だが暗殺技術を習得してる

という感じです。
ただ一方で中島先生の別な趣味も大暴走してました。この方はロボット系にもめっぽう愛情を注いでる方なんですよね… それをこの『ニンジャバットマン』でもいかんなく発揮しておられました。クライマックスなどは「バットマン」ではなく別の何かを見ているような錯覚を覚えたほどです。
わたくしこの作品を舞台挨拶付きで鑑賞したのですが、その時のスタッフのお話によると「半ズボンの小学生6年生あたりが一番観ていて楽しい映画」とおっしゃってました。あと「明らかにおかしい状況でも作中では誰もつっこまない。つっこむのは観客の皆さん。だから無言で観られるととてもつらい」とも。幸いその願いがかなって応援上映の企画もポツポツ行われているようです。
あと『鷹の爪団』の時はとにかく「お金がない」ということが強調されてましたが、今回はわりと潤沢な資金があったようです。その甲斐あってか菅野祐悟先生の勇壮なスコアが鳴り響き、『ポプテピピック』とは全く異なる「神風動画」の本気の超絶技巧が拝見できます。途中ちょっぴり「AC部」になってたところもありましたが、それはそれでご愛嬌。
たとえ周りのすべてがボケようとも、己のポリシーを曲げずに正義を貫くバットマン。金も地位もスーパービーグルも失いながら、自分を自分たらしめているのはその肉体と精神なのだ…ということは決して見失いません。そしてなによりバットマンって意外と日本刀がめちゃくちゃ似合うのです。そのチャンバラのためだけでもこの映画は観る価値があります。

20180623_170607『ニンジャバットマン』は上映劇場が少ないので近くでやっている方は大変ラッキーです。そろそろ一陣は公開が終わりそうなのでだまされたと思ってこの映像ドラッグを味わってきてください。本当に「だまされた!」と思われたらその時はすいません。隣の画像は舞台挨拶の時の様子。まめつぶみたいだなー


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July 16, 2018

さらばキカン坊トーマス ジェームズ・ダシュナー ウェス・ボール 『メイズランナー 最期の迷宮』

とうとう画像すらなくなり末期状態の当ブログですが、今日は一足はやく終了した三部作の完結編について書きます。『メイズランナー 最期の迷宮』、参ります。1作目の記事はコチラ。2作目の記事はコチラ。

謎の迷路から脱出し、ゾンビの群れを振り払い、ようやくひとごこちついたトーマスと仲間たち。それもつかの間、恋人のテレサの裏切りで仲間の一人ミンホが宿敵の大企業WCKDに捕まってしまう。大切な兄弟分を助けるため、トーマスたちはWCKDの本部で世界で唯一残っている「近代都市」への潜入を試みる。

3作通じて邦題に「メイズ」と入ってますが、直球の迷宮が出てくるのは1作目のみ。『ハムナプトラ』や『96時間』などの例を思い出します。ただ今回は作品のテンポが非常に軽快な上にとても上手に、そして感動的に風呂敷をたたみきったので許すことにしました。というわけで以降はラストまで完全ネタバレの観た人向け…というか結末のよかったところのみを書きます(「紹介所」なのに…)

まずよかったところの一つ目は「手紙」で終わっていること。これは完全に自分の好みの問題ですが、わたし、手紙で幕を閉じる話に弱いんです… 『バナナフィッシュ』とか『シビルウォー』とかね…

二つ目は前二作で死んじゃったキャラの名前をちゃんとスタッフが覚えていて、一つ一つ画面に出していたところ。これねえ、そんなに難しいことじゃないと思うんですが、ちゃんと出来てるシリーズもの、意外と少ないんですよ!!

そして三つ目は安息の地にたどりついたにも関わらず、主人公がまた新たな冒険に旅立つことを匂わせて終わっているところ。この「匂わせ加減」というか、観客に想像できる余地を残して綺麗に幕を閉じるというのも、娯楽作品ではけっこう貴重な例なんです。

原作では三部作完結後に前日談が2作書かれておりますが、映画はそこまでやらなくてもいいんじゃないでしょうかね… 売上的には日本ではぱっとしませんでしたが世界的にはシリーズ通じてそこそこの黒字となっており、配給さんが色気を出したとしてもおかしくはありませんが。

ともあれ製作陣、キャストの皆さんお疲れ様でした。トーマス君、ニュート君、ミンホ君(の中の子たち)にまたどこかで会えることを願っております。ギャリ―君は願わずとも大活躍ですよね。

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July 10, 2018

俺チャンVSターミネーターもどき デヴィッド・リーチ 『デッドプール2』

Cabl001やっと公開中の映画に追いついた… 本日は映画『X-MEN』シリーズにおいて異彩を放ちまくってるあいつの第二作『デッドプール2』を紹介します。1作目の記事はこちら

冒頭から大きな悲劇に直面してしまい、深く落ち込む我らがデッドプール。安らかに死ぬためには神様の覚えがめでたくなければダメだと考えた彼は、長年加入を断り続けていたX-MENに参加することを決める。ケーブルという強力なミュータントに狙われているぽっちゃり系の少年と出会ったデップーは、正義のためとばかりにケーブルと死闘を繰り広げる。

「前作と同じ低予算でいく!」と聞いていた『デッドプール2』。しかし実際は倍近く上がっています(5千8百万$→1億1千万$)。それでも最近の大作に比べるとだいぶ少ない方なので、膨れ上がりそうになる予算をそれでもがんばって抑えたというところでしょうか。その甲斐あってか?前作に負けるとも劣らないメタネタや下ネタが相変わらずさえまくっておりました。

今回デッドプールさんと戦うことになるのはX-MENの中でもかなりの実力と人気を誇るケーブルというおじさん。歴史改変のために未来から来たターミネーターみたいなキャラです。外見もいかにもそれっぽい。ただ彼は一応人間です。ケーブルさんはマーベルユニバースでも1,2を争うほど出自のややこしい人で、その辺について語るとまるまる本が1冊かけそうなほど。そんな謎の多いシリアス満開な男だったのに、どういうわけかデップーさんと組むことが多くなってからは、お笑いコンビの相方的な存在になってしまいマーベルひどくね!?と思いました。
で、問題はそのケーブルさんをちょっと前に『インフィニティ・ウォー』で我々を絶望のどん底に叩き落としたサノスことジョシュ・ブローリンが演じていることです。もちろん劇中でもしっかりネタにされていました。普通引きうけませんよね… しかしそんなサノスさんがデップーさんとほのぼのかけあっているのを観ているうちに、『インフィニティ・ウォー』での傷がだいぶ癒されてきたから不思議です。そしてなんだかアベンジャーズもなんとかなるんじゃないかな?という気になってきました。ジョシュさん、オファー受けてくださり本当にありがとうございました。

そして今回はデップーさんがコミックにおいて何度かやりあったX-FOCEの召集役として活躍します。このX-FORCEも時期によってかなり立ち位置が変わる面倒くさいチームであります。最初はX-MENの二軍的存在「ニューミュータンツ」の後進だったのですが、何年か続いた後てこ入れのためかメンバーがそう入れ替えになり、ミュータントのアイドルグループのような集団にシフト(殉職率の高い『タイガー&バニー』みたいな)。現在ではX-MENを影から守る秘密暗殺組織になってるんだったかな? 今回の映画で感心したのはX-FORCEの各時代からそれぞれマイナーな連中をかき集めてきたこと。コミックファンとしては忘れかけていたあいつやあいつとまさかスクリーンで再会できるとは夢にも思わず、非常に胸がほんわかいたしました。まあちょっと扱いがあんまりではありましたが… ちなみにデップーが守るとになるラッセルという少年も一時期X-FORCEに所属していたどマイナーなキャラであります。

以下結末までやんわりバレで。

ここ最近「前作で好きだったキャラをさくっと殺す」という続編が何本か続いたハリウッド映画。『デッドプール2』も
「お前もか!!」というところがありました。しかしエンドロールの後まで見たら印象がガラリと変わり「それだよ! 我々視聴者が求めているものは!!」という感じで大喝采でありました。正直「面白いけど1作目とどっこいどっこいかな?」と思いながら観ていた「2」ですけど、最後の最後で前作をぽーーーんと越えてった感じです。恐るべしライアン・レイノルズです。やはりネタにされていたヒュー・ジャックマンも「天才の仕事」と激賞されていました。

Photoさて、次のデップーさんの出演作は『3』ではなく『X-FORCE』になるとのうわさ。え… だってメンバーほとんど… ゴホンゴホン。まあまだ脚本もできてない段階なので気長に待ちましょう。『デッドプール2』は公開から1ヶ月以上経ちましたがいまだにトップ10に残る大健闘ぶりを見せています。でもさすがにあと1週くらいかなー


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July 06, 2018

ニンジン義なき戦い 英国田園編 ビアトリクス・ポター ウィル・グラック 『ピーターラビット』

Ptrt公開終了した作品の紹介もこれが最後です… 英国の名作絵本を大胆な解釈で映画化した『ピーターラビット』について書かせていただきます。

そこはイギリスのとある田園。ウサギのピーターと仲間たちは、マクレガーじいさんの畑から命がけで作物を奪い取るスリリングな毎日を送っていた。そんなある日、じいさんは老齢と不摂生のため頓死してしまう。これで屋敷と畑は俺たちのものだ!とはしゃぐピーターたちだったが、間を置かずしてじいさんのいけすかない甥が越してきたため、戦いは第二ラウンドへと突入する。

ええと… よく知らないけど『ピーターラビット』ってもともとはこんな話じゃなかったと思うんですよね。わたしが初めてその名を聞いたのはキューピーマヨネーズのコマーシャル。あと某『トリビアの泉』で「お父さんはマクレガーさんに捕まってパイにされた」ということは存じてました。ですからおそらくのらくらした原作の中のブラックな部分を面白おかしく強調した映画のようです。先の『パディントン』が正攻法で名作童話を再現したのに対し、こちらは斜め上の変化球で挑んできた感じです。

ピーターたちの視点でみますと巨大な人間の殺意・攻撃を鼻先で交わし、果敢に反撃に転じるあたりはまるで『進撃の巨人』のよう。人間だけでなく小動物の方も負けず劣らず殺る気満々です。ひねた大人としてはとても楽しいですが、子供たちにはあまり教育的によろしくないかも(笑)

一方人間の側から観てみると、服を着て喋る動物がたくさんうろついている情景は明らかにおかしい。誰かのラリッた妄想を延々と眺めているかのようです。そういう意味ではなかなか痛快なドラッグムービーでもありました。

そう思えるのはピーターたちと戦う甥の方のマクレガーが明らかに変人だからでもあります。なんせ登場一番清潔さを確かめるために便器から水を飲もうとさえします。そのエキセントリックな行動ぶりはミスター・ビーンに近いものがありました。演じるは最近スターウォーズ他で活躍の目立つドーナル・グリーソン氏。何かと災難に巻き漏れる役が多く、これまでは「単なるかわいそうな人」というイメージでしたが、今回は「おかしなかわいそうな人」を熱演していて俳優として一皮むけた感があります。そういえば『パディントン2』ではいかついお父さん(ブレンダン・グリーソン)が動物と友情を深めていたのに対し、こちらでは息子さんが生き物と本気の殺し合いを演じていたのも偶然とはいえ面白いことですね。

以下、結末をネタバレ

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ただいろいろすったもんだあった末、両者とも成長していい人(ウサギ)になってしまったのが個人的にはさびしかったです。特に人間の方。ずっとへんてこりんなお兄さんでいてほしかったのに…
既に続編が決定しているようですので、ドーナル氏演じるマクレガーさんが再び変人となってピーターと激闘を繰り広げてくれることを期待しております。

Ptrt_2ちなみに日本では『パディントン』よりもこちらの方が成績が良かった模様。ジャパンでは熊好きよりウサギ好きの方が多いということかな?

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July 04, 2018

犬神家の獄門島 略して ウェス・アンダーソン 『犬ヶ島』

Igs1「すでに公開終了している映画」の紹介第二弾は、異才ウェス・アンダーソンが二度目のコマ撮り映画に挑んだ『犬ヶ島』でございます。

架空の日本。犬を憎むメガ崎市の市長コバヤシは、伝染病を媒介する原因として市内のすべての犬を離れ小島の「犬ヶ島」に隔離してしまう。だが自分に尽くしてくれた愛犬を諦めきれない市長の養子アタリは、単身犬ヶ島に潜入し、その犬「スポッツ」を救出しようと試みる。たまたまアタリと出会った4匹の犬たちはその心意気に打たれ、スポッツを探す旅に同行する。

最初に設定を聞いたとき首をひねりました。なぜ日本なのか。なぜ犬なのか。そこに理由はあまりないと思いますがたりない頭で考えてみました。

ウェスさんはアニメのオールタイム・ベストの1位か2位に『AKIRA』をあげておられました。ジブリ作品などもけっこうお好きなようです。つまり自分の手で好きな「日本のアニメ」を作ってみたかったのではないでしょうか。それがどうしてこうなったのかは謎ですが。正直AKIRAよりもジブリよりも、70年代的な風景やドタバタしてる時の表現などから『ド根性ガエル』や『天才バカボン』に近いセンスを感じました。

そしてなぜ犬なのか。外国の人が抱く日本のイメージのひとつに「侍」があります。しかし現代日本にサムライはいません。そこでどうしてもサムライ的なものを出したいウェスさんは、「忠義に熱い」「かっこいい」「戦闘力が高い」ということで代わるものとして「犬」を選んだものと思われます。劇中には『七人の侍』へのオマージュらしきシーンもありますし、島に捨てられた犬たちは主君を失った浪人と非常によく似てます。

ウェス作品ではよく犬猫などの小動物がひどい目にあいますが、『犬ヶ島』はその集大成的な映画でもありました。人形(犬形?)の映画ということで愛護団体からの抗議もないので、その点やりたい放題でした。動物が嫌いなわけではないと思うんですよね。好きなゆえにちょっかい出したり、小突きたくなってしまうようなそんなゆがんだ愛情かと。アニメとはいえ犬たちはいい迷惑です。

あとやっぱり「犬が喋る」ということや彼らが徒党を組んで冒険に挑むところは、高橋よしひろ氏の『銀牙』を思い出さずにはいられませんでした。この漫画はフィンランドではガラパゴス的な人気があるそうですが、ウェス氏もどこかで読んでいたのでしょうか? それとも単なる偶然か。
ちなみに今『銀牙』のシリーズは3作に渡る続編を経て最終章に突入。長年の敵である熊と戦うか和解すべきかという面倒くさそうな展開になっています。

話がそれました。少し前まで「毒にも薬にもならない」という作風だったウェスさんですが、前作『グランド・ブダペスト・ホテル』に引き続き『犬ヶ島』でもちらっと社会風刺的なメッセージが込められておりました。大人になっちゃったんですかねえ、ウェスさん。でも正直今回は素っ頓狂な日本描写やエキセントリックなキャラ達のせいでその辺はだいぶかすんでました(笑) 訴えたいことがあるなら、もう少しシリアスな映画でやった方がよいかと思われます。

Igs2『犬ヶ島』は現在ほぼ公開が終了。こんだけ日本愛を注いでくださったにも関わらず、興行の方はぱっとしなかったようで申し訳ない限りです。
まあ近々DVDが出るでしょう。この映画はぶっちゃけテレビ画面で観てもあんまり醍醐味とかは変わらないと思います。ワンちゃんの好きな人はぜひ。

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July 03, 2018

三大怪獣とロック様 地球最大の決戦 ブラッド・ペイトン 『ランペイジ 巨獣大乱闘』

Rpgすでに公開が終わってしまった映画の話が3回ほどつづきます。1回目はこれ、『ランペイジ
 巨獣大乱闘』。「ランペイジ(rampage)」とは「暴れまわる、荒々しく突進する」という意味だそうです。

宇宙で研究されていたやばいウィルス?のサンプルが事故で地球に落下。それぞれがゴリラ、狼、ワニにぶつかったり食われたりし、三頭の野獣は怪獣と化し大暴れ。ゴリラの友人だったロック様(役名忘れた)は、なんとか彼?を正気に戻そうと奮闘します。

三つしかないサンプルがそれぞれ猛獣のすぐ近くにおっこちるとか天文学的な偶然だと思うんですけど、そこにつっこんでると映画が成り立たないのでスルーします。
この映画が面白いのは怪獣同士の戦いになぜか普通に人間のロック様が参戦していることですね。まあそこはロック様なんで怪獣相手でもたぶんなんとかするだろうという「限りない安心感」が漂っていたりします。あとロック様はゴリラの保護者でもあるので、ドラッグで非行に走ってしまった息子をなんとかして更生させようとする、怪獣版『積み木崩し』みたいな側面もあります。

それにしても本当にアメリカの人たちはゴリラが好きですね… 昨年『キングコング』があったばかりなのに間髪入れずにまたゴリラ映画をもってきやがりました。ただコングさんと色々差別化を図ろうという工夫がそれなりにありました。まずアルビノなのかゴリラの体毛が白い。ちょっと雪男のように見えなくもありません。あとたぶんコングさんよりサイズが小さいせいか動きが俊敏でスピードあるアクションがけっこう痛快でありました。ライバルの犬怪獣はなぜかムササビと混じってて空を飛べるし、もう一匹のワニ怪獣は一回り大きいしでまさに相手にとって不足なし…というか牙がないぶんゴリラの方が不利? その不利を補うのがロック様なわけですね。ここはロック様にもウルトラマンのように巨大化してほしかったところですが、そうすると敵怪獣は秒速で倒されてしまうのでやっぱりなしで正解でした。

ちなみにこの『ランペイジ』、『ドンキーコング』みたいなユーモラスなTVゲームが原作なんだそうで。これをどうひねればあんな迫力満点な怪物わくわくランドに仕上がるのか。『バトルシップ』もそうですが、時々向こうのクリエイターさんのアレンジ力は想像を絶するというか、斜め上をいくものがあります。

そんなわけで『ランペイジ 巨獣大乱闘』はすでに公開終了。未見の方はDVDか配信をお待ちください。これ、スクリーンで観た方がはえる映画ではあるんですが…
ロック様は本作品と先の『ジュマンジ』に加え、高層ビルでのアクションを描く『スカイスクレパー』も待機中。今年もっとも活躍されてる俳優の1人と言っても過言ではないでしょう。

最後にひとつ問題。下の画像はどちらが『ランペイジ』で、どちらが『ジュマンジ』でしょう。正解されても出すものはなにもありませんが。
Rpg2Rpg3


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June 19, 2018

シン・メカゴジラ 静野孔文 瀬下寛之 『GODZILLA 決戦機動増殖都市』』

Gkk1史上初となるアニメ映画版ゴジラ三部作。本日はその第二部となる『GODZILLA 決戦機動増殖都市』を紹介いたします。第一部の記事はコチラ

ゴジラアースの圧倒的な破壊力の前に大敗を余儀なくされた人類軍。意識を失ったリーダーのハルオは人類の末裔らしき原住民の少女に介抱される。なんとか生き残った仲間たちと合流した彼は周囲を探検しているうちに、かつて人類軍の切り札であった機動兵器「メカゴジラ」がまだ機能していることを知る。なんとかシステムを復旧させ、さらに改良を重ねたハルオたちはアースゴジラにリターンマッチを挑む。

今年の春はスクリーンに二度もメカゴジラが登場した異常な時期でした。一本はスピルバーグのアレで、もう一本はこちらです。ただこの「メカゴジラ」の解釈がなんというかこう… 「そう来たか!」という感じでw
二作目にいたってようやく自分、スタッフが何を目指したのかわかった気がします。彼らは怪獣映画を作るというより、ゴジラを題材にしたハードSFがやりたかったのでしょう。だからか今回ゴジラさんの出番は終盤のみに限定されております。
まあそれはそれで面白い。今回の前半は「ウン万年たった地球がどんな風に変化したのか」という秘境探検ものとして、前作以上にワクワクしましたし、メカゴジラを形成するナノマシンの特徴や、ハルオたちに協力する宇宙人・未来人の考え方の違いなどもいちいち興味深い。
ただ「ゴジラ映画」を期待していった従来のファンたちはちょっときつかったかもしれません。わたしが思い出したのは『機動戦士ガンダム』を原作とした『フォー・ザ・バレル』という小説。『ガンダム』の子供っぽいところ、けれんみの強いところを徹底的に排除しSFとしての完成度をひたすら追求した作品。それはそれでオシャレで不思議な魅力があったのですが、本来のガンダムからはだいぶかけ離れてしまったような。
でもわたしとしては何かしら新しい試みをした方がコンテンツは自由になるし、さらに発展していくと思うので今回のこの試みも大いに賛同しております。
新しいといえばこれまでのゴジラ映画は大抵1作で片づけなければならないという不文律がありましたが、「3作かけないと倒せない」ということでいまだかつてないゴジラの無敵さが際立っているような。というかこんな感じだと3作目でも倒せるかどうかわかりません。
あと前の記事で自分は「虚淵さんの真骨頂はむしろストーリーの中盤あたり。だいたいその辺で主人公の世界観を根底から揺るがす衝撃的な事実が明らかになり、お話がどう解決するのかさっぱり予想がつかなくなります」と書きましたが、珍しいことに大体この予想が当たっておりました。まあ虚淵さんは残酷なようで心根は優しい方なので、この三部作も一応希望を残す形で終わるんじゃないかと思います。

この映画公開直前に刊行された本編を補完する小説の第二作『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』も前作『怪獣惑星』同様相変わらず面白い。忘れられた東宝特撮のマイナーネタがこれでもかと詰め込まれ、そしてひたすら破滅に突き進んでいく珍妙な作品です(笑) 映画版第3作の前にこちらももう一冊出していただけると嬉しい。

Gkk2『GODZILLA 決戦機動増殖都市』はもう終わったかと思ってましたが、まだ月末までは公開してるようです。近々ネットフリックスでも配信されるでしょう。そして11月には完結編『星を食らうもの』が公開。今度はゴジラの宿敵であるアレが登場するようで。ハルオ君たちの戦いを最後まで見届けたいと思います。

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June 13, 2018

美青年と野獣 『仮面ライダーアマゾンズ』ドラマ&劇場版『最後ノ審判』

Aomegatop2_thumb奇跡の三日連続更新に挑戦… 本日は一昨年のドラマシーズン1、昨年のシーズン2を経てこの度劇場版にてフィナーレを迎えた『仮面ライダーアマゾンズ』を紹介します。

ある地方都市で、大企業野佐間製薬が秘密裏に開発・培養していた生命体「アマゾン」が数千体脱走するという事件が起きる。アマゾンはある時期までは人間と寸分たがわぬ姿かたちをしているが、それを過ぎると異形の怪物に変貌し、人肉を欲するという性質を持っていた。野佐間製薬社長の息子として育てられた温厚な青年、水澤悠はある時耐えきれない暴力衝動に襲われ、自分も人口的に作られた存在「アマゾン」であることを知る。またその開発に携わった研究者、鷹山仁は責を感じ、自らを怪物に改造し「一匹残らずアマゾンを狩る」ことを誓う。二人の究極のアマゾンは何度かの出会いの後宿命の対決へと導かれていく。

明らかに『仮面ライダーアマゾン』のリメイク的なタイトルではありますが、オリジナルとはキャラクターの造形や幾つかの用語の流用、それにスプラッタ描写以外ほとんど接点がありません。おそらく「アマゾン」が「真(シン)」と並んで最もヒーローらしくない、怪物っぽいデザインだからこそタイトルにひっぱってきたのでしょう。あとスポンサーがamazone.jpだからという理由もあります。

ドラマシリーズは年齢制限のついた有料配信という形でリリースされました。それゆえ地上波放映ではできないような容赦ない残酷描写が頻繁に出てきます。そんなスタイルからもわかるように、この作品、「仮面ライダー」というよりかなり『寄生獣』に近いものがあります。人間そっくりの人間を主食とする怪物が徘徊し、それに対し怪物と人間の中間に位置する主人公が苦悩する…という流れなど明らかに意識してるのでは。

現代の科学技術でここまで高度な新生物が作れるのか?とか、なんで食人衝動なんて備えた生き物なんて開発したんだ?という疑問も生じますが、ここはひとつある種の寓話だとして乗り切っていただきたいと思います。
人間サイドから見るならば自分たちを食らうアマゾンは怪物で、それから身を守るのは正義ということになります。しかし人間とて自分たちの命をつなぐために他の生き物を殺して食べてるわけで。そうなると仮に人間より上位の存在がいたとして、彼らが生きるために仕方なく我々を食べるのは道理にかなったことではないのか?という論理も成り立つわけです。悠はこの終わることない二つのテーゼの相克に悩まされながら、「とりあえず目の前の命を救う」ことを目的として戦い続けます。そんな心の優しい悠ですら、生き物であるゆえに心の底にわずかながらの残酷性が潜んでいたりする。『アマゾンズ』ではこれまでヒーローもので扱えなかったそういったテーマがバンバンと描かれていきます。

そんな弱肉強食・生きるか死ぬかの世界観の中で、どうしようもなく優しいエピソードもあったりするので本当に小林靖子さん(脚本家)という方は憎たらしい。まるでボコスカに殴り飛ばした後に微笑んで「これで血をふけ」とでも言うような、そんな作家さんです。『仮面ライダー龍騎』で(一方的に)お会いしてから15年以上調教されてきたのですっかり慣れたつもりでおりましたが、この度の『アマゾンズ』ではさらにきつく、そして優しい一発…いや、百発をお見舞いされた気分です。

ちなみにシーズン2では悠と仁は一歩後に引き、新たな若いアマゾン、千翼(ちひろ)とイユという少年少女の恋物語が描かれます。冒頭こそ「なにこの胸キュンドラマ…」と若干引き気味で観てましたが、あっという間に靖子さんお得意の哀切モードに突入してまたしても涙を搾り取られることになりました。

そして現在公開中の完結編『最後ノ審判』であります。この映画では新たに人間に食べられるために育てられた「食用」のアマゾンが登場します。いくら国内の自給率が低いとはいえ、人間とそっくりな生き物を食用として売るとか無理がありすぎだろ!!!!…と思いますが、そこは寓話として(以下同文)。わたしは藤子F不二雄先生の名作短編『ミノタウロスの皿』などを思い出しましたが、いま少年ジャンプでもそんな漫画(『約束のネバーランド』)が連載されてるそうですね。
ともかくそういった設定からさらに強く浮かびあがってくるテーマ「誰だって殺してる 何かを殺してる(主題歌より)」。生きること(食べること)が罪というなら、わたしたちはその罪を自覚して、もっと謙虚に感謝して生きなければならないと思いました。
そして2年間つむがれた物語の果てに、悠と仁の戦いはいかなる決着を迎えるのか…

71zyv8avtll__sl1500_というわけで『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン1・2は現在アマゾンプライムビデオにて有料配信中、劇場版『最後ノ審判』は映画館にて上映中…なのですが、映画の方ははやいとことでは明日で終わりだそうです… 嗚呼。数日前カリスマゲームクリエイター、小島秀夫氏がようやく注目している、みたいなツイートをされてましたが、遅いよ! せめてもう一月早く!!

おそらく他に誰もいないでしょうが、このままいくと上半期のマイベストムービーはこの作品になりそうです。少しでも気になった方はドラマシリーズからコツコツ観ていってください。DVDも出ております


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June 12, 2018

馬耳中東風 ダグ・スタントン ニコライ・フルシ― 『ホース・ソルジャー』

Mono0582753408042902今日もほぼ完全に公開が終わった映画の感想です。5月は動物映画の傑作が多かったのですが、その先駆けとなった『ホース・ソルジャー』、ご紹介します。

全世界を揺るがした9.11の同時多発テロ。ブッシュ大統領はイスラム過激派への報復としてアフガンへ12人の精鋭部隊を派遣する。家族とのつらい別れを経てミッチ・ネルソン率いる部隊は敵地へと向かうが、地元の協力者である軍閥のリーダーは一癖も二癖もある男で、作戦の進行は困難を極めるのだった。

予告編からは5万の敵軍に取り囲まれた12人の騎兵が決死の脱出を試みる…というストーリーを連想しますが、実際に観てみるとだいぶ違いました。別に包囲されてるわけではないし、何を考えてるかわからないとはいえ友軍もそれなりにいます。空からの援護射撃もあります。

そもそもなぜ現代の戦争において馬を用いているのか。これは険しい山の多い地形が関係しております。がけっぷちの細い道を通るのは馬でないと難しいですし、敵に気づかれずにそっと忍び寄るのももってこいなのです。
そしてもちろんこれで戦車に立ち向かうわけではありません。目的はアルカイダの拠点をこっそり確認すること。そしたら無線で基地に座標を知らせ、敵のアジトを空爆してもらうという作戦なのです。科学の発達した21世紀だからこそできる戦術である一方、同時にアナログな移動方法である馬に頼らなければならないというのが興味深かったです。
割と安全そうな戦法に思えますが、やはりそこは戦争。時々事情でアジトに近付きすぎて至近距離での銃撃戦に展開することもあれば、地元の協力者たちが血気にはやって勝手につっこんでっちゃったり。クリス・ヘムズワース演じる指揮官の苦労がしのばれます。
実はこの映画でとりわけ面白かったのは馬に乗ってのガンアクションよりも、とりあえず米軍をサポートしてくれる軍閥の将軍ドスタムとネルソンの駆け引きでありました。共通の敵がいるからこそ手を組んでいるものの、老獪で悲惨な経験をしているドスタムは若いネルソンをあまり信頼しておりません。その彼の信用を得るためにネルソンは全力で本音をぶつけていきます。

そのネルソン氏は国内での安全なポストが決まっていたにも関わらず、9.11の惨劇を目の当たりにして「何かをやらなければ」と中東行きを志願した男。その姿は『アメリカン・スナイパー』のクリス・カイルを彷彿とさせますし、『ハクソー・リッジ』のテズや『15時17分、パリ行き』の主人公をも思い出させます。そういう若者がすべてじゃないでしょうけど、世界の覇王たるUSAにはいいか悪いかはともかくとして、有事に際し国のために働こうと考える若者が時代を越えて多くいるようです。わたしなんかは仮にいま二十代だとしても日本のために戦おう、なんて気持ちはこれっぽっちもありませんけどね。
ただそうやって愛国心に身をささげたクリスが心を病みながらも戦場から離れられなかったのに対し、ネルソンはさっぱりさわやかに平和な環境に戻ってこれたのはなぜなんだろう…と思いました。「個人の資質の違い」と言ってしまえばそれまでですけどね。

Horsesoldier04300x200というわけで『ホース・ソルジャー』はもう二番館くらいでしか公開予定がありませんが、近々DVDが発売されると思いますので興味おありの方はその際にどうぞ。
引き続き五月の動物映画をいろいろ紹介していく予定ですが、記事が書けるのが先か、公開が終わるのが先か…


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June 11, 2018

恐怖箱男 グラハム・アナブル アンソニー・スタキ 『ボックストロール』

Hakocoverゴールデン・ウィークに観た映画の感想を今頃書いています… 本日はストップ・モーション・アニメの雄、ライカスタジオの作品で唯一日本未公開だった『ボックス・トロール』について紹介いたします。連休中に恵比寿の写真美術館で特別上映されたのでようやく拝むことができたのでした。

昔々あるところに、夜な夜な箱をかぶったトロールが徘徊する街があった。トロールは危険ということで市長は駆除業者のスナッチャーを雇い、一匹、また一匹とトロールを捕獲していく。トロールに育てられた男の子エッグズは仲間たちが捕まっていくのを涙を呑んで見守るほかなかった。だがやがてエッグズはトロールを助けるために勇気を出してスナッチャーに立ち向かっていく。

一応原作はアラン・スノウという方の小説『Here Be Monsters』。ただ550ページもある大長編ゆえかなりのアレンジがなされたものと思われます。
トロールといえばファンタジー世界では人を襲う怪物であったり、それなりに愛嬌のある妖精であったり、作品ごとにまちまちでありますが、この映画では後者のイメージで描かれています。よくわからないのはなぜ箱をかぶってるのか、ということ。それは作品を観ているうちにわかりました。単純に面白いからです。まず箱をかぶっていると擬態しやすい。さらに寄り集まって合体しやすい。他にもさまざまな箱アクションが披露されます。
あとこの「箱かぶり」というのがこの作品のトロールの性質をよく表しているのですね。人一倍臆病なために駆除業者が襲ってきても、逃げるよりも立ち向かうよりもまず箱にこもってじっと身をひそめることを選ぶという。わたしも日頃からびくびくして生きているので彼らに感情移入せずにはいられませんでした。

そんなトロールたちの窮状を打開すべく奮闘するエッグズが魅力的なのはもちろんですが、この映画にはもう二人異彩を放つキャラクターが登場します。
1人は市長の娘でエッグズに興味を示すウィニー(声はエル・ファニング)。いわば童話におけるお姫様ポジションでありながら、なかなかに乱暴で自己顕示欲の高いやや壊れたヒロイン。でも心の底にはあったかいものを秘めていて、エッグズを懸命に助けようとがんばります。こういう型にはまらない「お姫様」、いいですよね。
もう1人は駆除業者のスナッチャー。彼はトロールが実はおとなしい生き物であることを知っていて、自分の野望のためにそれを隠してエッグズたちを迫害します。この男はチーズのアレルギーを持っているのですが、「出世するためには町の有力者たちのようにチーズ通でなければならない」と思い込んでいて、無理やり苦手なそれに慣れようとします。その際の描写が思いっきりグロテスクで、やけに力が入っておりました。ライカ作品はみな多かれ少なかれホラー的な要素がありますが、『ボックストロール』は怖いというより、このグロ方向に思い切り振りきれておりました。

そんなちょいと悪趣味なところはありますが、ライカ歴代二位の売上を記録し(それでも赤字ですが)、第87回アカデミー賞の長編アニメ映画賞とゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされ、アニー賞では9部門にノミネートされ声優賞と美術賞を受賞したくらいですから一級品のエンターテインメントであり、ストップモーションアニメの大傑作であります。先に話題になった『KUBO』などは動きがなめらかすぎてもはやCGと区別がつかないくらいでしたが、こちらはまだ人形独自の温かみのある質感がよく伝わってきました。そしてエンドロール後にはそんなコマ撮りアニメに費やされる恐ろしいほどの手間暇が、メタ的な演出で明らかにされます。本当にこんなろくろく儲けにもならないような作業をそれほどな苦労をかけて作っているとは… すばらしい(笑) あらためてこれからもコマ撮りアニメを応援していこうと心に固く誓いました。

41jx92krjl__sy355_当然特別上映は終了してしまいましたが、『ボックストロール』は現在普通にDVDで観られます。ご興味おありの方はどうぞ。
コマ撮りアニメの新作としては現在ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』が絶賛上映中。来月にはアードマンの『ア―リーマン』も待機しています。


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