June 28, 2024

2024年5月に観た映画

上半期ベストに間に合うよういつもより更新ペースをあげています。アクセス数は最近ほとんど虫の息ですがw

ともあれ、5月に観た映画の感想をば

 

☆『異人たち』

山田太一の小説をイギリスの人情派アンドリュー・ヘイが映画化。あんまし観るつもりなかったのですが先の映画化である大林宣彦版が「なかなかにホラー」という噂を聞いてなんか興味が涌いてきてしまったのでした。

結論から言いますとホラーではありませんでした。「え? このままおわっちゃうの?」というラスト含めて、ヘイさんの限りない優しさと寂しさが切々と迫ってくるような作品。あまりに雰囲気がいいので仕事疲れを引きずった身としては前半ついうとうとしてしまったのが難点です。主人公が過疎ったアパートから見る朝焼けの景色とかはとてもツボでした。

ドラマ『シャーロック』ではめちゃくちゃ恐ろしいアンドリュー・スコット氏が愛に飢えている物柔らかな中年男を好演。青田赤道じゃないですけど「役者やの~」とひとりごってしまいました。

 

☆『猿の惑星 キングダム』

「猿の惑星」シリーズ最新作。今風のタイトルですが原題もこれでした。リブートっぽい雰囲気のようで一応前作から300年経ってる世界とのことで、なんだか史記と三国志の関係と似ています。

前作の主人公が武人「シーザー」だったのに対し、今回の主人公は救世主的な「ノア」というネーミング。このノア君の気性が少年漫画のヒーローのようにまっすぐさと優しさを合わせ持つキャラで好感が持てました。

シーザーが平和を説いたのに彼の死後そのメッセージは歪んで伝えられ、権力者の都合のいいように使われてるところはリアルでした。猿だったら人間よりも良い社会を作れるはず…だったのに、人に近づけば近づくほど殺伐とした世界になっていくのは皮肉としかいいようがありません。

 

☆『鬼平犯科帳 血闘』

新スタッフ・キャストで久々に映像化とあいなった『鬼平犯科帳』。連動してたTVドラマ「花屋敷」は情緒を重んじた作風でしたが、こちらは激しいチャンバラ・血しぶきがメインとなっており、さながら「大江戸版ハードポリスアクション」といった趣があります。

旧版との差別化として鬼平がぐれてたころの若い時代が頻繁にインサートされております。この若鬼平を演じるのが主演・現松本幸四郎の息子さんである現市川染五郎君。がんばってましたがあまりに美青年過ぎてちょっと鬼平のイメージとそぐわなかったり。お父さんはなかなかにオヤジ鬼平を自分のものとされてました。

先の『梅安』と同じくプロットに「偶然」が多用されてたり、鬼平が逃がしちゃいけない極悪人を二度も逃がしてしまうという難点はあるのですが、柄本明演じる老盗賊の心意気と、鬼平とのやり取りがあまりにも良かったので上半期ベストの1本です。

 

☆『碁盤斬り』

古典落語「柳田格之進」を翻案とした時代劇。8割くらいは人情噺中心の落ち着いたストーリーなんですが、クライマックスで突然ハードバイオレンスになるあたりは山田洋次監督の藤沢周平原作作品を彷彿とさせます。

あまり映画の題材になることのない「囲碁」が重要なモチーフというのがまず独特です。また白石和彌監督の映し出す江戸風景がとても美しい。本当に『仮面ライダーBLACK SUN』とはなんだったのか(あれはあれで嫌いじゃありませんが)

後半お話が仇討と娘の悲劇のふたつに別れ、仇を探すよりタイムリミットの迫ってる娘の身請けの方を優先すべきでは…?とも思いましたけど最後の小泉今日子がすごくよかったので、これも上半期ベスト候補です。

 

☆『関心領域』

今年のアカデミー賞国際長編部門受賞作。アウシュビッツを管理していたナチ高官ルドルフ・ヘスと、その家族を題材とした作品。この映画を観たあと「ルドルフ・ヘス」で検索したらけっこう長々としたwiki項目があったのですが、読んでみるとどうも映画の内容と噛み合わない。さらに調べてナチ高官には「ルドルフ・ヘス」と「ルドルフ・フェルディナント・ヘス」がいて、今回題材になってたのは後者と判明しました。まぎらわしいですね。

すぐとなりで歴史上稀に見る大虐殺が行われていたのに、ほのぼのと平穏な暮らしに興じるヘス家。残酷な場面はほとんど映し出されません。人の「自分をごまかす力」というのがいくところまでいってしまうと、こうなる…という実例のような話です。

実際はどうだったのかはわかりませんが、この映画ではヘスは奥さんの評価を得るために、ユダヤ人の迫害に血道をあげていたように描かれてました。なんだか『マクベス』みたいですね。作品ではそこまでやりませんでしたが敗戦後ヘスは処刑され、直前に「私だって心を持つ一人の人間だったんだ」とか語ってたそうです。よくもまあそんなことが言えたもんだな…と感じる半面、自分に同じ権力があった場合、同じようにならないと誰が断言できるでしょう。そんな権力を得ることは今後まずないと思いますが、反面教師として心の中にとどめておきたい1本です。

 

あさってには今年も半分終了です。次回は『マッドマックス:フュリオサ』『ボブ・マーリー ONE LOVE』『ドライブアウェイ・ドールズ』『男女残酷物語 サソリ決戦』と他もう一本くらい書くかもしれません。

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June 17, 2024

2024年4月に観た映画

上半期終了が近づいてるのでいつもよりハイペースです(これでも)

 

☆『アイアンクロー』

上半期ベスト候補の1本。80年代米プロレス界で人気を博したフォン・エリック一家。父親のプロモートのもと息子たちは次々とスター選手となっていくが、まるで呪いのように彼らは次々と悲劇に見舞われていく。

「事実は小説よりも奇なり」と申しますけど、まさに現実は映画よりも厳しかったりします(映画では死んだ兄弟が一人省略されてます)。肉体を必死で鍛え上げるエリック兄弟。でも彼らが鍛えるべきは肉体よりメンタルだったのでは…? それともスターとしてのプレッシャーは強い精神力をも押しつぶしてしまうものなのか。

あまりにも残酷なドラマの果てに少しだけ語られる慰めと優しさ。そういうのを「感傷」というのでしょうけど、おっさんになるとどうにもそれに泣けてしょうがなかったのでした。

 

☆『落下の解剖学』

カンヌでパルムドールを受賞し、アカデミー賞でもフランス製作ながら外国語部門でなく作品部門にノミネートされた話題作。雪深い山荘で起きた不審な転落死。自殺なのか、事故なのか、はたまた不仲だった妻の手によるものなのか…

いささか『藪の中』的というか、真相ははっきり明示されず、受け手の想像に委ねられるような作りになっております。それとも自分が提示された答えに気づいてないだけなのか… ただ観た人のほとんどは、「この奥さん、たぶんやっちゃってるよな」という印象を抱くのでは。そういう人の断片的な情報から思い込みに走るような傾向も、この映画のテーマのひとつかと。

『アーガイル』はひたすら猫が気がかりになる映画でしたが、こちらは犬がとても心配になる映画でした。フランス語と英語がチャンポンで語られるのには何か意図があってのことだったのでしょうか。

 

☆『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』

最近急に新作が連発されてる「ゴーストバスターズ」の5作目(他バースの作品を除くと4作目)。前作はGBというよりスピルバーグかスティーブン・キングのような趣がありましたが、今回は彼らの本拠地NYを舞台としていて本来の作風に回帰しておりました。といっても旧世代は引き立て役に徹し、新世代の子どもたちがちゃんと前面に出ているところは好感がもてました。

限りなく可も不可もない、毒にも薬にもならないさくっとしたエンターテインメント。でも仕事あとの疲れた体を引きずって観に行ったので、かえってそういうのがちょうど良かったです。

 

☆『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

前作が思ったよりヒットしちゃったので、ノリで続行することになった「モンスターバース」最新作。地中でのんびり暮らしていたコングさんを襲う、未知のエリアからやってきた謎の猿の軍団。不本意ながら前回共闘したゴジラさんの助けを借りようとするコングさんですが、相手はそうそう話の通じる相手ではなく…

正直あまり期待してなかったのですけど、今回は冒頭で歯痛に悩むコングさんがとても身近に感じられ、最後までどっぷり感情移入してしまいました。怪獣たち全く喋らない(喋れない)のに、彼らの考えが手に取るようにわかる。本当に見事な演技指導…じゃなくて演出力でした。猿系だけでなく様々な形の怪獣が出て来たのも高ポイントです。コングさんになかなかなつかないチビコングは、わたしの家にやってきたばかりの時のちび猫によく似てました。

しかし今回はこけると思ったけどな… モンスターバースの最高収益を更新したとか。やはりアメリカの猿愛、いやゴリラ愛の深さゆえでしょうか。

 

☆『リンダはチキンがたべたい!』

フランス製作の一風変わったアニメ(というか向こうから来るアニメは大体変わってます)。お肉屋さんが休みの日に、娘にチキン料理を作ると約束してしまったお母さん。困った彼女はなんと牧場から鶏を強奪、警察に追われる身となります。その追跡の最中、鶏も脱走に成功。果たしてチキン料理は完成するのか。

こんな風にどんどん収拾がつかなくなっていく展開が滅法楽しい映画でした。また生きた鶏を前にして主人公の女の子が情が涌くのかと思いきや、「あたしがぶっ〇す!」とやる気満々だったり、なかなか強烈なヒロイン像でありました。

吹替ではありましたが、お母さん役が去年3回未亡人を演じた安藤サクラさん。今回もバリバリの後家さんでした。こうなったら未亡人役を演じた回数で記録を更新していってほしいです。

 

やっつけではありますが、だいぶ感想が消化出来ました。残るは5月と6月。次回は『異人たち』『猿の惑星 キングダム』『鬼平犯科帳』『碁盤斬り』『関心領域』あたりについて書きます。

 

 

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June 11, 2024

2024年3月に観た映画

はやいもので2024年もぼちぼち上半期が終わろうとしています。ここらで当ブログもちょっとだけまいていこうと思います(気持ちだけ)。とりあえず3月に観た6本の感想をぱぱぱっと

☆『アーガイル』

マシュー・ヴォーン監督お得意のちょっと変わったスパイアクション。もういいおじさん・おばさんのサム・ロックウェルとプライス・ダラス・ハワードが恋にアクションにお笑いにバタバタ動き回る様子がとってもキュートでした。でもそれよりもっと可愛かったのは監督の愛猫でヒロインのペット役をつとめたニャンコ。これがけっこう危ない目にあいまくりで正直鑑賞中は猫が心配で心配で心配で、メインのストーリーにあまり注意が行きませんでした。

マシューさんはこれも「キングスマン」ワールドに組み込んでさらなる続編を構想してるとのことですが、あまり儲からなかったようですしこれ1本で終わってもいいと思いますよー

 

☆『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

一筋縄ではいかないコメディ監督タイカ・ワイティティが挑んだ実録スポーツもの。国際戦で歴史的大敗をやらかした米領サモアサッカー代表が、アメリカを追い出された名監督と組んで初勝利を目指すというストーリー。これ、3か月前に観た映画なのにもうけっこう忘れている… でもけっこう見てる間は面白かった気がする…

暗めの映画にばかりに出てるミヒャエル・ファスビンダ―氏が嬉々としてお笑いを楽しんでる様子が微笑ましゅうございました。あとあんまり知らない米領サモアの風土の勉強になったり。

 

☆『デューン 砂の惑星 PART2』

2年半ぶりの『デューン』待望の完結編。原作やリンチ版で大筋は知ってましたが、ヴィルヌーヴの描く宗教画のような格調高い映像化をハイテンションで楽しませてもらいました。特に興奮したのはポールが巨大サンドワームに飛び乗って乗りこなすシーン。これ、どっかで観たような… そう、『アバター』でドラゴンと「絆を結ぶ」シーンとシチュエーション含めてよく似てます。でも一応原作はこちらの方が先なわけで… とりあえず『デューン』が色々な作品に多大な影響を与えていることを再認識いたしました。

一点しっくりこなかったのは、リンチ版はすごくすっきりした結末だったのに、こちらはなんだかモヤモヤした問題を残した幕となってしまったこと。ある意味より「深い」終わり方と言えなくもないですが。

どうやらヴィルヌーヴはまだ映画化されたことのない(ドラマ化はある)続編『砂漠の子どもたち』を第3部として公開するつもりのよう。十分な収益も出たのでほぼこのまま進むと見ていいでしょう。また3年待つのはしんどいなー

 

☆『名探偵ホームズ』

80年代半ばに登場人物を犬に置き換えてアニメ化されたシャーロック・ホームズ。そのうち宮崎駿が演出し、映画館でもかけられた4本のリバイバル。本当に今の宮崎作品と違って説教臭くなくてバカでわかりやすくて素っ頓狂でめちゃくちゃ楽しかった。楽しすぎた。そういう点では『カリオストロの城』にもひけをとりません。

若くて元気なうちにもっとこういうのいっぱい作ってほしかったなあ

 

☆『オッペンハイマー』

上半期最も感想を書くのが難しい作品。自分としてはこれまでのノーラン作品の中ではかなり異質な映画だと思いました。あの『ダンケルク』でさえエンターテインメントとして楽しめるところがありましたが、これは「楽しむ」ための作品ではないように感じられたので。自らを滅ぼす力を人類が手に入れてしまった世界で、どうやって生きていくか。その現実をつきつけるような映画です。

まず一点学べるのは、国家が禁断の手段を選んでしまう流れ。過去の例を反面教師として、こういう流れになることだけはなんとかして避けていきたいものです。大衆である自分たちにどれほどの力があるのか…ということはさておいて

あとオッペンハイマーはもちろん優れた物理学者ではありますが、恐らく彼がいなくても原爆は完成し投下されたことでしょう。そういう意味では彼は「重要な歯車」とも言える立場だったのかも。抜けても代わりはいたかもしれないけれど、マンハッタン計画において中心となる役割を果たしたという意味で。歯車としての役割を終えた後で、出来る限り個人であろうとした半生も描かれます。

「エンターテインメントではない」と書きましたが、物理学者の目から見える世界の描写や、アインシュタイン、ボーア、フェルミといったその道のビッグネームが続々と登場するところはちょっと楽しかったです。

 

☆『瞳をとじて』

『ミツバチのささやき』で知られるビクトル・エリセ監督の31年ぶりの新作。映画界から足を洗った一人の監督が、突如として現場から失踪した親友でもある主演俳優を探すお話。これが「昔の恋人」ではなく「親友」だったのが良かったなあ…となんとなく感じられました。

未完の映画をめぐる話でもあるのですが、この辺は構想の前半しか出来なかった自作『エル・スール』に対する思いも込められていたのでしょうか。主人公の監督はおじさんなのにさわやかで趣味人で女性から好かれるあたり、先日の『PERFECT DAYS』の役所広司と通じるところがありました。

 

この月は3時間越えの作品が3本あって膀胱と尻痛との戦いでもありましたが、なんとか耐えきりました。さすがオレ。

 

次回は『落下の解剖学』『アイアン・クロ―』『ゴーストバスターズ:フローズン・サマー』『ゴジラ×コング』『リンダはチキンが食べたい!』について書きます

 

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May 06, 2024

2024年2月に観た映画を振り返る

GWも終わりですね… そんなころになって三ヶ月くらい前に観た映画を振り返ります。

☆『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』

平成ライダー初期の人気作『555』の20周年記念作品。主人公・乾巧の死を匂わせて終わったTVシリーズ。果たして彼はその後どうなったのか… 普通に考えれば生きてるわけないのですが、そこは剛腕脚本家・井上敏樹。「こまけえこたいんだよ」とばかりに令和の時代に「555」の復活を描いて見せてくれました。予想に反して希望のもてる終わり方だったのも良かったです。

ただ昨年の劇場版『000』の時にも感じたのですけど、せっかくの〇周年記念作品なのになぜきちんと予算をかけて2時間やってくれないのか。同じ20年ぶりの『ガンダムSEED』がド派手にやってるのを見てるとついついそう思ってしまいます。

 

☆『哀れなるものたち』

本年度のアカデミー賞をにぎわせた作品。女性版フランケンシュタインのような主人公が自我に目覚めてヨーロッパ世界を旅し、成長する話…なのか? 一風変わった童話のような趣があるのですが、セクシャルな描写が多いのでちょっとお子様には見せられません。エマ・ストーンも人気女優なんだからそこまでがんばらなくてもよかろうに…と思いましたけど、その熱演ゆえにオスカー主演女優部門をゲット。おめでとうございました。

いにしえのチェコの特撮監督カレル・ゼマンをほうふつとさせる背景美術はなかなか好みでした。

 

☆『ボーはおそれている』

『哀れなるものたち』と同じく毒親の支配下にあった子供が成長して奇妙な旅に出るストーリー。こちらはより悪趣味で不条理で意地悪な感じでした。ただアリ・アスター作品ってだんだんホラー味が減ってお笑い味が増していってるところがあるので、私のような臆病者には観やすくなって助かります。

昨年末『ナポレオン』で稀代のカリスマを演じたホアキン・フェミックスがこちらでは母の影に怯える冴えない男を好演していて、さすが名優…というか役のふり幅広すぎ、と思いました

 

次の3本は同じ日にハシゴして観ました。わたしも若くないのでそういうのはなるたけ避けたいのですが、年に1,2回スケジュールの都合でそうなってしまう時があります。

☆『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』

『ハイキュー!!』はアニメのシーズンワンを観てた程度なんですけど、一昨年のスラムダンク』のような感動を期待して行って参りました。スポーツ漫画なのにそんなに熱血熱血してないのが持ち味だと思いました。そりゃもちろん双方勝利を目指して全力でプレイしているわけですが、激戦の最中でも笑いあったりふざけあったりしてとても楽しそう。負けた側もさわやかな笑顔と共にコートを去っていきます。選手たちも個性様々であるけど嫌味なやつは一人もいない。こういうのもいいですね。

現在なおも公開中で興行収入も100億を突破したとか。おめでとうございます。

 

☆『コヴェナント 約束の救出』

今年上半期ベストの一本。お洒落なユーモアを混ぜたアクションものを得意とするガイ・リッチーが自分の個性を封印して、男たちの友情をシンプルに物語った社会派サスペンスであります。実話を基にした話かと思ったら「実話を材にしたフィクション」でございましたが、評価に変わりはありません。

ジェイク・ギレンホール演じる米国曹長キンリーは自分を命がけで助けてくれた通訳の窮地を救うため、せっかく拾った命を危険にさらしてまた戦地へ戻っていく…というストーリー。「状況がどうしようもないのだから、恩に報いたいけど無理」と誰もが諦めそうなところで、キンリーはなおも手段を探します。「恩返しというよりむしろ呪い」と語ってやせ細っていく彼の姿が印象的でした。政治とか国の事情はおいといて、誰かに何かしてやった時見返りは求めないけど、自分が何かしてもらったらなるたけ恩は返したいものです。

こんなにいい映画なのに製作費5500万$に対し約2100万$しか売り上げがなかったためか、日本では公開が一年遅れました。配給さん、公開
してくれてありがとう。
☆『マダム・ウェブ』
ソニー独自のスパイダーマンのキャラを使用したユニバース、「SSMU」の通算4本目。消火作業的な気持ちで観に行きましたが、なかなかどうして傑作でした。不完全な予知能力しか持たない主人公が、スーパーパワーを持つヴィラン相手に3人の少女を守り抜くというコンセプトがまず面白い。あと時代設定が20年前なのですが、最後まで観ると、あるキャラがある呼ばれ方をするところでその理由が判明します。
ただこちらも売り上げ的には苦戦気味。続く『クレイブン・ザ・ハンター』や『ヴェノム』3作目で巻き返すことはできるでしょうか。がんばれSSMU。
次回はまたいつになるかわかりませんが、『アーガイル』『ネクスト・ゴール・ウィンズ』『DUNE2』『名探偵ホームズ』『オッペンハイマー』『瞳をとじて』について書きます。

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March 31, 2024

2024年1月に観た映画

またしても3ヶ月ばかり観た映画の感想がたまってしまいました。いつも以上にやっつけで参ります

☆『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』

今年初鑑賞作品。原作は全部読んでおります。令和のこの時代に東西冷戦スパイもののパロディ漫画が子供たちにまで人気を博すとは、いったい誰が予想しえたでしょう。

ただ劇場版の方は普通に楽しみましたけど本当に印象が薄いというか可も不可もない…といった出来栄えで、すでに記憶が薄れかけております。姪っ子二人と楽しんで鑑賞できたのはよかった。上の子はもう中一なのでそろそろおじさんと映画につきあってもらえなくなるかも。

脚本は『コードギアス』や『水星の魔女』などドロドロした人間ドラマが多い大河内一楼氏。こういううっかりちゃっかりした作品も書けるのですね

 

☆『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

今年初洋画。『チャーリーとチョコレート工場』の前日談で、若き日のウォリー・ウォンカがサクセスするまでを描いた作品。ただバートン版は原作にややアレンジを加えているため、あちらとは微妙につながらなかったりします。明らかにウォンカが変人だったバートン版に対してこちらはさわやかな美青年だったりしますし。まあ面白ければよいのです。

大好きな『パディントン』のポール・キング監督ということで観てきました。多少はじけぶりが大人しい気はしましたが楽しませていただきました。最近のヒュー・グラントはどんどんコメディアンになっていってますが、これでさらに芸域が広がった気がします(コメディアンとしての)。あとこの監督はお話の中に主人公が辛酸をなめる「我慢パート」を設けるのが好きですね

 

☆『市子』

今年初実写邦画。プロポーズされて幸せの絶頂だったその直後、突然恋人の前から姿を消したヒロイン「市子」の謎を追うストーリー。「謎を追う」と書きましたが、ミステリー的な面白さよりも「戸籍」というものの有無がもたらす悲劇の方が強調されていて、観終わった後どんよりとしたやるせなさが胸に残りました。

『ちはやふる』3部作で「机くん」を好演した俳優さんが、そのまんまっぽいキャラで出てきてます。これがまた色んな意味で悲しい青年でして。自分に通じるところもあるので鑑賞後彼についてもっとこうできなかったのか…とウダウダ考え続けてしまいました。無償の愛で終われれば一番かっこいいのだけど、払った犠牲が大きければ大きいほどそう簡単にはいかなくなるというか

 

☆『アクアマン/失われた王国』

今年初アメコミ映画。2013年から続いたDC映画ユニバースの最終作となる作品。手練れのジェームズ・ワン監督が撮っているゆえ一定のレベルには達しているのですが、なんかいろいろ不満が感じられてしまいまして。

・前作と比べスケール的に広がったわけでもなく、そんなに目新しい要素もなかった。作中でアーサーも「ロキ」とか言っちゃってたけど既存のあれこれともかぶってたり

・これ前作でも思ったけど地球規模のピンチなのにどうしてジャスティス・リーグの面々は助けに来ないのか。ワン監督がユニバース設定とか嫌いなんでしょうか

・約10年続いた映画シリーズのラストが「〇〇食べて終わり」というのはあまりにもさびしい

あんまり映画の愚痴言うの好きじゃないんですが… いいところはなんかなかったかな… あ、タコは良かった。

ジェームズ・ガン(似ていて紛らわしい)のもとDC映画は一新されるとのことですけど、10年後くらいにこちらのユニバースもパラレルワールドということで再利用されそうな気がします

 

☆『カラオケ行こ!』

和山やま原作の漫画を山下敦弘監督&野木亜紀子脚本で映画化。合唱部の中学生である聡実くんとヤクザの青年狂児の奇妙な友情ストーリー…だとずっと思ってたんですけど、この劇場版や続編の『ファミレス行こ。』を読むと、アレ?これもしかして恋愛ものだったのか?と思えて来たり。堅気の男の子がアウトローの相方にひかれてしまうという粗筋はほんわかした『BANANA FISH』のようでもあります。

原作にないキャラであったやたら面倒くさい聡実君の後輩とか、同級生の映画部の部長とか脇役の子たちもみんなキラキラ?していてよかったです。珍しくコメディエンヌをやってた芳根京子の「ももちゃん先生」も大層かわいらしかったです。

この映画に影響されて先日カラオケで「紅」歌ってきました。1回目でのどが死にました

 

☆『ゴールデンカムイ』

野田サトル原作の人気漫画を映画化…ってこの月、漫画関連の映画ばかり観てるなー 映画化発表当時はブーイングがかなり多かった印象ですが、出来上がったものを見ますと原作の悪の強いキャラたちが非常に見事に再現されていて絶賛ムードに好転。やっぱり映画というのは出来てみないといろいろわからないものですね。

実写になってよかったのは、やはり北海道の雄大な雪景色が持つ圧倒的な説得力でしょうか。あと実写になったことで作品の持つ西部劇感が一層増した気がします。

原作は全部で31巻あるのですが、今回扱ってるのは2巻少々。これ続きどうすんだろ…と思ったらWOWOWのドラマ配信でやっていくそうです。映画の企画も引き続きあるそうなので、ヤマ場だけ劇場でやっていく感じでしょうか。大長編漫画の完全実写化って中途半端な形で終わることが多いので、こういう取り組み方もありかと思います。

 

☆『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

長年生きてたんだか死んでたんだか不明だった『機動戦士ガンダムSEED』の映画化企画が昨年突然復活。めでたく20年越しの実現となりました。いや、めでたい。なつかしの忘れ去られたようなあんなキャラこんなキャラも取りこぼしなくみんな顔を見せてくれて、さながらよく出来た同窓会のようでした。

内容の方はともうしますとTVシリーズはそれなりに戦争と平和について真面目に考えていたと思うんですけど、新作劇場版は(特に後半)ラブ&ピースに走り過ぎてドラッグをキメているような印象でありました。ただこれも脚本を務めていた監督夫人の故・両澤千晶さんへのレクイエムなのだとしたら、ちょっと感慨深いものがあります。

シンエヴァ上映終了時はしみじみとした感動が場内を包んでいたのに対し、今回はまったりとした照れ笑いが占めていたように感じます。そんなところもオタクたちの「同窓会」的なところがありました。

ガンダムって超メジャーでロングセラーなコンテンツでありながら、こと映画となると今ひとつ突き抜けにくいところがあります。しかし今回はガンダム史上最高の売上となる40億以上を達成いたしました。さらなるSEEDの続きが出来てしまいそうで楽しみなような、不安なような

 

次回は『哀れなるものたち』『劇場版仮面ライダー555』『ボーはおそれている』『劇場版ハイキュー!!』『コヴェナント』『マダム・ウェブ』について書きます

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March 03, 2024

2023年12月に観た映画

2024年ももう3月に入ったというのに、いまごろ年末の映画の感想をまとめてみます。今年もこんな感じでダラダラと続くのか、それともとうとう更新が止まるのか…

師走は前半は醜い権力争いの映画を、後半はハートウォーミングな映画を観てました。

☆『首』

実は北野武作品を映画館で観るのは初めて。家でも『アウトレイジ』1作目くらいです。彼の映画ってこうじくじくぐちぐち痛そうな描写が多くて、それでつい敬遠してしまうのですよね。この作品にもやっぱりちらほらありました。ただ残酷には残酷だったけど、意外にもコメディタッチだったので思ったより観やすかったです。時に見苦しく、時にあっけらかんと有名無名の武士たちが片っ端からバタバタ死んでいく流れは仕事明けに疲れた体をひきずって観に行ったせいもあって、どんよりと虚しさがつのりました。

明智光秀の首を前にした秀吉のシーンは大河ドラマ『どうする家康』でもあったのですが、どっちもとても印象的で良かったです。

 

☆『ナポレオン』

リドリー・スコット×ホアキン・フェニックスの『グラディエーター』コンビが送る王道史劇。ナポレオンの波乱過ぎる人生を2時間半で収めるのは厳しかったと思いますが、最初の妻ジョゼフィーヌとのドラマを中心に据えることで良いダイジェストになっておりました。

リドスコはナポレオンを決してかっこよくも肯定的にも描いてはいないのですが、それでもなんとなく親しみを感じてしまうのはホアキンさんのキャラ・演技によるものでしょうか。

この時代戦争の決め手となるのは主に大砲の使い方だったようで。そんな19世紀ごろの戦いを知る上で勉強になりました。

 

☆『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』

魔夜峰央先生の漫画を派手に映像化して大ヒットを飛ばした『翔んで埼玉』の続編。最近漫画の映像化に関して痛ましい事件がありましたが、こちらは二作ともオープニングで魔夜先生が楽しそうに出演してらしたので、お互いにとって良い実写化だったのかな…と。

内容的には前作の埼玉を滋賀に置き換えたくらいの感じで、面白いっちゃ面白いんですけどどうにも二番煎じ的な印象はぬぐえませんでした。『チャーリーとチョコレート工場』のパロディをやったら江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』みたくなってしまったのは強烈でしたが。

『キングダム』3作目に『TOKYO MER』、そして本作品と杏さんは昨年邦画の売上に最も貢献された女優さんだったと思います。

 

☆『窓ぎわのトットちゃん』

黒柳徹子さんの自伝をアニメ化。自分ずっと黒柳さんが仕事がなくて悩む…みたいな話だと思い込んでいたのですが、全然違いました。当初は全く観る気がなかったのですけど、あまりに評判が良かったので鑑賞して参りました。

トットちゃんがトモエ学園で過ごす楽しい日々に、やがて戦争の影がしのびより、彼女の大切なものがひとつ、またひとつと消えていくその様子があまりにも切ない。消えた理由をはっきり描かないあたりがまたしんどいです(駅員さんやお父さん、ペットの犬など)

特にハラハラと泣けたのは戦争と関係ないけど縁日でトットちゃんが買ってもらったひよこのエピソードと、ラストでトットちゃんが立派なお姉さんになって弟(妹?)をあやしてる姿。自由奔放だった彼女まだ子供なのに、厳しい環境のため無理やり大人にさせられてしまったようで、なんだか無性に悲しかったのでした。

 

☆『PERFECT DAYS』

巨匠ティム・ヴェンダースが役所広司を主演に据え、東京でトイレ清掃員として働く男の生きざまを描いた作品。第96回アカデミー賞、国際映画長編部門にノミネートされております。

日々の些細なことに喜びを見出し、様々な趣味を楽しむ主人公・平山の姿は漫画『ハンチョウ』のようで確かに微笑ましく、ちょっと羨ましいなと思います。ただ映画ではトイレの匂いまでは伝わって来ませんし、途中同僚がトンズラしたことからもわかるように実際やったらきつい仕事なんでしょうね。自分も以前体力勝負のルーチンワークをやっていましたが、精神的には楽でしたけどやはり肉体的には厳しかったです。両方とも楽で儲かる仕事があれば一番いいんですけど、世の中そんなに甘くはありません。

ひとつ気になったのは平山さん写真も本も音楽も好きなのに、映像にはほとんど興味なさそうなんですよね。単に好みの問題かもしれませんが、これ映画なんだから映画も少しくらいネタにしてほしかったかも。平山さんのあの部屋にTVが置いてあったらちょっと高尚さが薄れる気もしますが… 映画館は映画館でちょっとお金かかるしね

 

☆『屋根裏のラジャー』

ジブリ亡き?後日本のアニメを盛り上げるべく結成されたスタジオポノック最新作。ただこのスタジオ世間的にいまいち知名度が低く、今作品がコケたら解散となるかも…という状況で放たれた最後の勝負的な1本。けれど去年の暮れは鬼太郎、トットちゃん、スパイファミリーとアニメの傑作・人気作がひしめいていてあまりにもタイミングが悪かった… 当初の予定通り夏に公開されていたらそれはそれで本家『君たちはどう生きるか』とぶつかることになったわけですが。しかしその後の情報によりますとポノックはネットフリックスのサポートが入ったようでひとまず消滅は免れたようです。良かったですね!

で、作品の内容の方はピクサー『インサイドヘッド』を思わせる設定。子供の想像上の友達「イマジナリー」とヒロインの友情が描かれます。美術は申し分ない美麗さで個々のアイデアの独創性、見せ方もとても良かったですが、クライマックスの盛り上げがもう少し欲しかったかな… とはいえスタッフの真摯な姿勢には心から感銘を受けました。

安藤サクラさんの出演作は昨年3本観たのですが、どれも未亡人役だったのはちょっとどうかと思いました。旦那さんの健康を願わずにはいられません。

 

今月もちいと忙しいのですがなんとか1月の感想くらいはまとめたいところ。次回は『スパイファミリー』『ウォンカ』『市子』『アクアマン 失われた王国』『カラオケ行こ!』『ゴールデンカムイ』『ガンダムSEED FREEDOM』について書きます。

 

 

 

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December 29, 2023

2023年11月に観た映画

2023年も残すところあと数日。やばいぜ… 悪あがきのように11月に観た映画の寸評を書いてみます。

☆『オオカミの家』

チリ製作のストップモーション・アニメ。かの国でかつて栄えた「コロニア・ディグニダ」というカルト組織をモチーフにしております。この教団に関してはエマ・ワトソン主演の『コロニア』という映画を観ていてちょっとだけ知っておりました。

ホラーの名手アリ・アスターが大絶賛したということで「そんなに怖いのか…」とビクビクもので臨みましたが、トラウマになるほどではなかったです。でもまあ確かに話といいグニャグニャした画風といい趣味は悪い。単に絵的なセンスだけだと『ポプテピピック』内で多くの視聴者を当惑させた「ボブネミミッミ」とちょっと似てます。

この映画は久しぶりに鎌倉方面のパン屋さんと兼用で営業されてるミニシアター「シネコヤ」さんで観ました。席数が限られてるとはいえなかなか盛況だったのでなんか嬉しかったです。

 

☆『ゴジラ-1.0』

すいません、大体ネタバレで… 本年度邦画界における最大の話題作の1本。舞台は初代ゴジラが現れた1954年より数年前。ライバル怪獣も超兵器もなさそげな中、あの怪獣王をどうやって倒すのか…というのが大事なポイントのひとつです。もう一つの重要ポイントは神木隆之介君演じる主人公が特攻隊の生き残りだということ。こないだの『クリエイター』もそうでしたが、やっぱりみんな「誰かが身を犠牲にしてみんなを守る」という話が好きなんですよね。日本だけでなく世界的に。しかしそれを元特攻兵にやらせるのはとてもイヤだな…と思っていたので、一応否定する形で終わったのにとても満足しました。

満足したといえばクライマックスにおいて〇が吹っ飛んだゴジラのビジュアルが見られたのも良かったです。映画館に何故行くかといえば、でかいものがでかく見えるからであります。今回はビッグスターゴジラさんの初めて見るあんな映像、こんな映像がいっぱいあったのでそれだけで大興奮でした。あと決戦における「やったか!」「ダメか…」の繰り返しは3ループくらいがベストですね。それより少ないと物足りないし多いとダレる。この辺は洋画の子たる山崎貴監督の真骨頂でありました。

ただいかにも朝ドラ然とした丁寧な?お芝居、脚本が苦手に思った方も多数おられるようです。自分は朝ドラにも慣れてるからいいけれど、この辺やっぱりどんなに白米(映像)が上級でも、上に納豆をかけられちゃうと拒否反応が出ちゃう人もいるということなんでしょうね。

一方でこの作品、既に米国でも公開され、売り上げも評価も邦画としては近年稀に見る数字をたたき出しています。日本人からするとくどく見えるお芝居も、向こうの方々にはあまり気にならないようで。自分も欧米や韓国の映画観てる時、あまり「おおげさだなあ」とは感じませんしね。むしろ「向こうの人だったらやっぱこれくらい怒るよな」とか思います。

 

☆『キリエのうた』

長年映画ファンを自認している身ではありますが、実は岩井俊二作品初挑戦。岩井ファンに言わせるとこれは彼のキャリアの中でもイレギュラー的な映画だそうで。現役シンガーが主演ということで勝手に流しギタリストロードムービーみたいなものを予想してました。が、だいぶ違いました。ずっと集中して観てられたのですが、何故か体感時間は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』より長く感じました。個人的には主人公二人が砂浜で寝そべってるところで終わった方がいいんじゃないか…と思いましたがまあこれは好みの問題ということで。

ベスト恋愛映画に『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』をあげていた岩井さん。そういえば先のガンダム最新作もシスターフッドの話で主題歌がアイナ・ジ・エンドさんでした。単なる偶然だとは思うのですが

 

☆『マーベルズ』

マーベル・シネマティック・ユニバース最新作。スーパーヒロイン3人組が宇宙をまたにかけて活躍するお話。心身共に人間離れしたキャプテン・マーベルと、彼女に憧れるキャピキャピした女子高生のミズ・マーベル、そしてそんな二人に挟まれて色々苦労するモニカ・ランボーさんという取り合わせが観ていて愉快でした。能力を使うたびに彼女らの座標がという設定も独特でよかったです。

ただこの作品、ディズニープラスのドラマのあれやこれやを観てないと色々脳内補完が必要だったりします。全部観てる自分のような者からすれば「これがあれにつながるのか!」とご褒美が満載なのですが、ライトな映画だけしか観てないファンにとっては「ついていけんわー」となってしまった模様。

今年はアメコミ映画の(主に商売的な面で)衰退が強く感じられた年でした。自分は最後の瞬間までつきあいますけどね… あとドラマ『ミズ・マーベル』はパキスタンのこちらではあまり知られてない歴史をわかりやすく説明してくれるのでおすすめです。

 

☆『スラムドッグズ』

ひどい飼い主に捨てられたワンコが、愉快な仲間たちを得て主人に復讐する話。全編にワンコのモノローグが流れながら進行していくのですが、とにかく下ネタが多い。あと製作にフィル・ロードとクリス・ミラーが入ってるので当然のようにドラッグネタがあります。

もしかしてワンコを捨てた後で人間がその大切さに気付いたりするのかな…と甘っちょろい期待を抱いていましたが、そんなことは全くなく。映画史上最低最悪の飼い主と言っても過言ではないかと。毒親を愛していた子供が自分の思いに踏ん切りをつけて、その呪いから自由にされる話なのかもしれません。そんな毒親を下半身丸出しで熱演してたのはコメディアンでもあるウィル・フォーテ。『ネブラスカ』では親を思う優しい息子を好演していたのに…

あとマギーという雌犬の声を上品そうな女性が声をあてておられました。下ネタの多い脚本だったので大変だったのではなかろうか…と労りの気持ちで日本語版エンドロールを確認したらモデルのマギーさんでした。お疲れさまでした。

 

☆『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

この児童書のようなタイトルに「どうしよっかなー」と鑑賞をためらっていたのですが、観てみてびっくり。「鬼太郎」を題材にしながらも、まるでパルプフィクションのように絶望的かつ美しい友情物語に仕上がっておりました。大沢在昌先生は「ハードボイルドというのは自分にとっては無関係だった二人がつかの間に触れ合い,そして別れていく物語」とおっしゃってましたが、そういう意味では上質のハードボイルドとも言えます。

パルプフィクションといえば戦争の影がまだ色濃く残る時代に、心に傷を負った男が権力者たちのスキャンダルに入り込んでいく…というところも共通しています。ルックスはだいぶ違いますが自身戦争で筆舌に尽くしがたい経験をされた水木先生の人生も「水木」に反映されております。

自分は鬼太郎関連でいうと元祖とも言える『墓場鬼太郎』が好きなのですが、あれはけっこう「水木」が悲惨な役回りなのでこちらを観た後に「墓場」を鑑賞するときついかも。「墓場」は完全なる別ギャグバージョンとして楽しみましょう。

 

12月の記録を年内にまとめるのはあきらめました。明日は2023年の映画ベストを発表いたします。そうできたらいいなあ(弱気)

 

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December 03, 2023

2023年10月に観た映画

暦の上ではディセンバーとなりました。今年の記録、今年のうちに…ということでまず10月に観た映画の覚書です。

 

☆『キングコング対ゴジラ』

1962年公開作品。秋に行われた「熱海怪獣映画祭」にて鑑賞。シリアスなムードだった前2作と比べてややのんきなムードが漂う映画です。たぶん人間たちがゴジラを倒すのをキングコングさんに丸投げしちゃってるのでどこか他人事感があるんでしょうね。割り切って観ればなかなか楽しい作品です。

ゲストに4K版修復を行われた方が来られたのですが、お話によると状態のいいフィルムをあちこちからパズルのようにつなぎあわせ、「これが限界かなあ」というところでまたどこかから欲しかった部分が見つかり… そんなことの繰り返しだったようです。ドラマですね。

企業の新発明が解決の糸口になったり、最後ゴジラが相模湾に沈んでくところは現在公開中の「マイナスワン」へのオマージュかもしれません(可能性薄)。

 

☆『イコライザー THE FINAL』

元秘密工作員のマッコールさんが必殺スキルでボランティアにいそしむシリーズ第3作。今回は舞台が風光明媚なイタリアの漁村となっております。アクション映画なのにあえてカタルシスよりも情緒を優先してるようなところがあり、そこが評価の分かれ目かと。自分はもちろん肯定派です。

 これまでもちょっと怖い所があったマッコールさんですが、今回は正義の味方であることは変わりないもののサイコパス的な部分がだいぶ前面に出てきてびびります。ただそんなマッコールさんを村の人が普通にうけいれちゃうのが心和みます。わたしもこれくらい広い懐を持ちづづけていたいもの。

先の『ジョン・ウィック』シリーズに比べればこちらは「FINAL」とついてるものの一応続編が出来そう。フークア監督によれば「デンゼルがやる気になることがあれば」とのことです。

 

☆『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

マーティン・スコセッシ渾身の3時間30分作品。1920年代、油田の利権がらみで起きたネイティブ・アメリカンの連続殺人事件が題材となっております。予告からネイティブの女性とディカプリオの『ロミオとジュリエット』的な悲恋物語を想像してたのですが、全然違いました。むしろ調子こいた男が犯罪に手を染めてだんだん転落していく、松本清張的なお話であります。そういう暗い話を長時間観ているのは辛くはありましたが、つまらなくはなかったです。自分、この時代のアメリカの風景・風俗が好きなもので。あと尿意も大丈夫でした。

それにしても前作『アイリッシュマン』(配信作品)も長尺だったゆえ「最後まで視聴した人が全体の18%しかいなかった」という結果が出たにも関わらず、全く懲りずに同じ尺の映画をぶっこんで来るスコセッシはさすがだと思いました。引き続きお元気で。

 

☆『ザ・クリエイター/創造者』

ウェットなSFドラマを得意とするギャレス・エドワーズ監督最新作。AIを仲間と信じるアジア系と、人類の敵とみなす北米系の勢力とでいつ果てるともわからぬ戦いが続けられている近未来。その戦いで傷を負った主人公が、AIたちの救世主と呼ばれる存在の捕獲を命じられて…というストーリー。欧米では基本的に人工知能というのは「得体の知れないモンスター」ととらえられてるフシがありますが、アジアではド〇えもんひとつとっても「愉快なお友達」というポジションなんですよね。なぜそのような違いが生じるのか… 一考してみようかと思いましたが面倒くさいのでやめます。

ギャレスさんってこう、その場その場の思い付きでストーリー進めてるんじゃないか?という傾向がありましたが、この作品では伏線とか小道具の使い方が突然うまくなっていて感心しました。あと同時期にシネコンで親子主演の作品がかぶっていた(デンゼルさんが『イコライザー』で、ジョン・デイビッドがこちらで)のは珍しい事例だと思います。

 

☆『SISU/シス 不死身の男』

幸福度の高いフィンランドでロッテントマト満足度98%をたたき出したバイオレンス・アクション。終戦間際の彼の地でナチスに狙われたおじいさんが何度も何度も殺されかけるのですが、これがなぜかどうやっても死なない。超能力とか持ってるわけでもないのに… ある方が『装甲騎兵ボトムズ』のキリコに例えていましたが、まさにそんな感じです。

自分、監督の前作『ビッグゲーム』をたまたま観ていたのですが、あちらは子供が主人公なせいかアクションなのにだいぶソフトな印象でした。その時色々やりたりなかったんでしょうか。今回は人体バラバラがほぼ一時間半切れ目なく続きやりたい放題でした。また前作の主人公の男の子が非常にしょぼい役で出ていてちょっと複雑な気持ちになりました。

 

☆『ドミノ』

ロバート・ロドリゲス監督、ベン・アフレック主演のSFがかったサスペンス作品。予告からとにかくかく「どんでん返し&どんでん返し! あなたは絶対だまされる!」ということが強調されていたのですが、本国での評判が芳しくないあたり、「意表を突く展開を連発したはいいけど着地に失敗した感じかな」と予想しておりました。大体そんな感じでしたw これ、20代の頃の自分だったら「すげえ映画だ! 面白過ぎる!」と驚喜したと思うのです。おっさんになった今では「うん。なかなか面白かったし頑張ったよね」という感じ。おっさんっていやですね。あと何気に今年ベンアフレック3本目でした。

 

次回は11月に観た『ゴジラ-1.0』『オオカミの家』『マーベルズ』『キリエのうた』『鬼太郎誕生』『スラムドッグス』について書きます。

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November 12, 2023

2023年9月に観た映画

バディーヤバーディヤ バディヤバーディヤ。セプテンバーに観た映画の覚書です。

 

☆『マイ・エレメント』

8月の宿題第1弾。予告の時「『インサイドヘッド』の二番煎じ的な…」と感じたのですが、これは観てみないと面白さが伝わらないタイプの作品。久々にピクサーのアイデア百連発乱れ打ちを楽しませていただきました。火・水・気体・植物の各種族が暮らす都会を舞台にした童話的な設定ながら、人種差別や移民の問題もしっかりと描かれていて、さらにお話が痛快でラストもすっきりする。今年度有数のエンターテインメントのお手本のようなアニメでした。とりわけ面白かったのは気体集団のフットボールみたいな競技。本当にああいうの、どういう頭してたら思いつくのだろう

 

☆『バービー』

8月の宿題第二弾。というかこれ、先月末に観てたら映画館で上映トラブルが起きてしまい、翌週にもう一回見直したというね… 毎週のように劇場に行ってる自分ですが、こんなことは小学生の時以来です。

玩具の国バービーランドに暮らすバービーが、ある悩みをきっかけに現実世界を訪れ…というストーリー。私の観る映画だと大抵傷だらけ・泥だらけになってるマーゴット・ロビーが終始キラキラしてて和みました。玩具映画・ウィル・フェレルが出てる・現実に玩具世界が侵食してくる・タイトル末尾にビーが付く、というところで『レゴムービー』を思い出したり。

おっさんなのでバービーについてはほとんど知らなかったので、その歴史をざざっと学べたのが収穫でした。あとこの映画、恐らく本国では今年度トップクラスのヒット作品になる模様。こういう独創的なアイデアのオリジナル作品が売れるのはいいことです。

 

☆『ホーンテッド・マンション』

ディズニーランドの有名アトラクションをモチーフにした作品。20年前のエディ・マーフィー主演のバージョンは未鑑賞。

世間のはみだし者的な面々が奇妙な因果で伝説のお化け屋敷に集まり、強大な怨霊と戦うことになるというお話。おおまかなプロットがたまたま少し前にやってた『ヴァチカンのエクソシスト』ともろかぶりしてしまいましたが、こちらは子供達でも安心して観られるのがよきところかと。主人公チームそれぞれにちょっと悲しい過去があったりして、『ゴーストバスターズ』よりもややしんみりしたところもあります。

この映画、もうディズニープラスで配信で観られるんですよね。いくらなんでも早すぎだよー

 

☆『アステロイド・シティ』

箱庭的・絵本的な絵作りで多くのファンの支持を集めているウェス・アンダーソン最新作。1955年、ある砂漠の町にUFOがやってくる…というお芝居が演じられてる…というちょっとややこしい設定の作品。一応ウェス作品好きのわたしではありますが、ごめんなさい、今回のこれはちょっと眠くなった… 前作『フレンチ・ディスパッチ』ですでに観念的・抽象的な空気が濃くはなってはいましたが、今回さらにそれが加速した感があります。こういう毒にも薬にもならない作風、確かに彼らしくはあるんですが。ただ一点感心したのは宇宙人役をジェフ・ゴールドブラムがやっていたところ。さすがはSF大将のジェフ。えらい

 

☆『グランツーリスモ』

だいぶ脚色が効いてるようですが、一応は「事実を基にした」物語。凄腕ゲーマーのウェールズの青年が、その技術を見込まれて本物のレーサーにスカウトされるというストーリー。無名で何の後ろ盾もない若者が、度胸と腕で瞬く間にサクセスしていくのは本当に観ていて気持ちが良い。ただ、あまりにサクセスが早すぎると中盤あたりで「…これ、もしかしてこれからでっかい落とし穴が待ち受けているのでは」と思っちゃうんですよね。案の定でした。そんな風にレースに興奮するというよりは終始お父さん目線で、「順位とかどうでもいいから頼むから事故らずに完走してくれ」という気持ちで鑑賞しておりました。

お父さんといえば主人公の父役のジャイモン・フンスーの瞳がムダにキラキラキラキラしてたのが印象的でした。さすがホームレスしてた時にモデルにスカウトされただけのことはあります。

 

☆『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』

ケネス・ブラナー監督・主演の「ポアロ」シリーズ第3作。殺人事件と一緒に風光明媚な観光名所を堪能する…というコンセプトは前二作と共通してますが、今回はどこまでが霊の仕業で、どこまでが現実かわからないというちょっとオカルトめいた趣向が施されています。そういう演出はクリスティというよりポーや島田荘司先生の提唱する「本格ミステリー」に近かったりして。

一応理詰めの回答が最後には明かされるんですが、やんわり霊の存在の可能性も残されていて、なかなか上手な落としどころだとおもいました。好きか嫌いかといえばまあまあ好きな作品ですけど、難点をふたつばかし。『ナイル殺人事件』でもそうでしたが、これから犯行に及ぼうって時に世界最高の名探偵を現場に招き入れちゃダメです。あと急に椅子がぐるぐる回り出したトリックがわからなかった。何か自分見落としてるんだろうか。

 

☆『ミュータント・タートルズ ミュータントパニック!』

少し前実写版二部作が公開されてた人気アメコミキャラ「ミュータントタートルズ」のアニメ版。今回は「普通の高校生活を送りたいけど、外見があまりにもアレなんで無理だよね…」というタートルズの「ティーンエイジ」特有の悩みが強調されていました。「それはいつ、どこで生まれたのか誰も知らない」「醜い体には正義の魂が宿っていた」そんなフレーズが思い出されます。タートルズってけっこう『妖怪人間ベム』に近いキャラだったんですねえ。

一方で彼らの哀しみと裏腹に休む間もなく繰り出されるバッチィ系のネタの数々。この辺は製作・出演でばっちり絡んでるセス・ローゲンの趣味かと思われます。先の『スパイダーバース』同様、落書きのようなペンキ絵のような独特のアートが見事でした

 

☆『ジョン・ウィック コンセクエンス』

キアヌ・リーブス演じる「伝説の殺し屋ジョン・ウィック」を主人公としたシリーズの第4作。以下、ラストまでネタバレで

 

 

 

今回予告でも「最後」とうたってなかったし、「5作目以降も構想あり」なんて噂を聞いてたので、「やんわり次回への展開を匂わせて終わるんだろうなあ。もうこのシリーズにつきあうのもここまでにしようかな」と思いながら臨んだのですが、普通にウィックさんがあっさり死んでしまったのでたまげました。正当な理由があったとはいえ無数の命をバタバタと葬ってきたウィックさん。これが「コンセクエンス(報い)」ってことなのかもしれませんが、それじゃ今まで彼がずっと必死で生き延びてきたのは何の意味があったのかな…とむなしくなってしまいました。新しくひきとってきたワンちゃんと穏やかな生活を送ることになって幕…というのが自分の希望だったんですけどね。

ただなんかあまりにあっさりしすぎて、あのウィックさんがあれくらいで死んだとは思えないのも事実。死を装って続編で普通に出てきそうな気もします。彼には気の毒ですがもう一戦派手にドンパチをやって、改めてハッピーエンドを迎えてほしいものです。

 

次回は10月に観た映画ということで、『キングコング対ゴジラ』『イコライザー THE FINAL』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『ザ・クリエイター』『ドミノ』『SISU 不死身の男』について書きます。

 

 

 

 

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October 29, 2023

2023年8月に観た映画

さよなら夏の日 いつまでも忘れないよ~

というわけで8月に観た映画を思い出していきます。

☆『地球防衛軍』

1957年の東宝作品。「午前10時の映画祭」で観てきました。日本の山村にいつの間にか宇宙人の侵略基地が作られてた…という出だしから始まるこの映画、たぶん東宝なりの『宇宙戦争』みたいなものを作りたかったんだと思います。ただ注目がいってしまうのはそういうSFドラマ的な部分よりも、独特な造形が愛らしい?ロボット怪獣モゲラ。全体的に面白く観ましたがモゲラの出番がもっと多かったらもっとよかった。

クライマックスは富士山麓のドーム状基地を世界各国の兵器が集中攻撃してぶっ壊す…という流れ。『エヴァンゲリオン』の「ヤシマ作戦」ってこの辺が元ネタだったりして。

 

☆『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

日本の玩具から生まれた人気SFシリーズの最新作。また1から設定を刷新したのか、と思い込んでいたのですが、どうもひとつ前の『バンブルビー』とはつながってる模様。

今回の売りはアニメ版の中興の祖とも言える『ビーストウォーズ』の面々が一部参戦していること。他にもロボがアーマー状になって主人公の青年が着こむようなギミックが登場したり、ラストであのシリーズとの関連性が示唆されたりと新要素を色々盛り込んでがんばってました。

でもやっぱりリアルタイムでアニメ版『ビースト』を観てた世代としては、あの声優さんたちの無茶苦茶なアドリブを期待してしまうのです。いや、それを映画でもやらかしたら本国からとっても怒られるであろうことは百も承知なんですが。お目こぼしいただいた?アニメ版声優陣の予告編がまたとっても面白く出来てたし… これはあの当時暴走しまくってた子安さんや千葉繁さんの責任ですね。責任とってください。

 

☆『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』

映画『クレヨンしんちゃん』の最新作。今回は構想を含めると7年もの歳月を有したというフルCG作品。「とべとべ手巻き寿司」に7年もかけるなよなw

で、なぜこの作品がフルCGかと申しますと、恐らくシリーズ屈指の作中作キャラ「カンタムロボ」の質感をリアルに再現するためではと思われます。確かに「カンタムロボ」の存在感・重量感は十二分に反映されておりました。それにしてもこのネーミング、そろそろ某アニメ制作会社から訴えられるのでは…

そんなわけでロボ描写だけでも満足しましたが、今回良かったのはこれがかつて「しんちゃん」が大好きだった青年たちに向けられた作品だったということですね。家庭と社会の不幸ゆえにねじくれまがって青年にも、やさしく手を差し伸べるしんちゃんにおじさんは鼻水が駄々洩れでございました。ネット上の評判とかは決してよくはないのですが、「しんちゃん」映画史上最高の興行収入を達成したとのことでホッとしました。

 

上記3本は同じ日に観たのですがいずれも「地球が未知の力により滅亡の危機を迎える」という内容でした。地球も大変です。

 

☆『リトル・マーメイド』

ディズニー100周年で作られた名作アニメの実写バージョン。夏休みで来ていた姪っ子たちのリクエストで観てきました。上の姪っ子は幼稚園のお遊戯で魔女役をノリノリで演じたことがあるのですが、本当はアリエルがやりたかったことをおじさんは知っています。そんな悲しい思い出を抱えていた姪と一緒に観られて、そして「面白かった」という感想を聞けて大変楽しい一日となりました。個人的にはラスト近くで波間を海坊主のように漂っていたハビエル・バルデムがシュールで笑えました。

 

☆『イノセンツ』

北欧4国の合作による不気味SF映画。ちなみに『イノセント』は1975年のヴィスコンティ作品で『イノセンス』は押井守監督のアニメです。

ある公営集団住宅に家族と越してきた少女。そこで出会った友達は、微かながら超能力を有していた。最初はそれでたわいもない悪戯を楽しんでいた子供たちだったが、次第に一人が暴走していき…というストーリー。

「大友克洋の『童夢』っぽい」という前評判を聞いていたのですが、なるほど、想像以上に『童夢』でした。実際監督もかなり影響を受けているようです。あと愛していた者が突然人格が変わってしまう恐ろしさなど、楳図かずお作品によく見られるモチーフも見られました。まず無理だとは思いますが、コミカライズされることがあれば楳図先生に描いていただきたいです。

前もって「猫が死ぬ」という情報を得ていて覚悟をもって臨んだのですが、やっぱりそこは大変きつかったです。作品は面白く観ましたが、その一点だけで本年度のワーストかも。

 

☆『MEG ザ・モンスターズ2』

5年前公開され好評を博した巨大ザメ映画『MEG ザ・モンスター』の続編。前よりもスケールアップしたぞ!とばかりに今回は巨大ザメMEGが3匹登場、さらには海中から陸上にやってきたヴェロキラプトルみたいな連中と、オオ蛸怪獣まで出てきます。本当にごちそうさまです。

終盤ではこれらの怪獣軍団とステイサム、さらに彼を仇と狙う悪漢がくんずほぐれつのバトルロイヤルを繰り広げます。悪役さんなんかわざわざこれに参戦しなくても、ステイサムが怪獣にやられるのを黙って見てればいいのに…と思うんですが、たぶん怪獣さんたちだけだと不安だったんでしょうね。実際全部敵に回して全部勝っちゃったし… あ。ネタバレごめんなさい。

そんな風に今回も無敵のステイサム。深海で素潜りまでやってのけます。水圧で潰されないのか?とツッコまれると「魚は服なんか黄てない!」とかわします。そんなアホな…と思いましたが確かに長年の疑問ではあるんです。なぜ深海魚は鉄の船でもつぶれてしまう水圧地獄の中でちょろちょろ平気で泳いでいられるのか。詳しい方いたら教えてください。

 

次回は『バービー』『マイ・エレメンツ』『ホーンテッド・マンション』『アステロイド・シティ』『グランツーリスモ』『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』『ジョン・ウィック コンセクエンス』『ミュータント・タートルズ ミュータントパニック!』について書く予定

 

 

 

 

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