November 18, 2008

荒野の呼び声 ショーン・ペン 『イントゥ・ザ・ワイルド』

081118_155802首都圏より三ヶ月ばかり遅れて上映。でもこれはまだ都心でも細々とやってるのかな? 名優ショーン・ペンが実在した青年の放浪記を映画化。『イントゥ・ザ・ワイルド』であります。

1990年アメリカ。多感な青年クリスは、大学を卒業するとすぐ、家族に行方も告げずに放浪の旅に出る。親への反抗ともって生まれた冒険心が、彼をそうさせたのだった。持ち金をほとんど捨てて、自分の力だけでアラスカへ行くこと。それがクリスの最終目標だった。その高貴な志は、彼が旅の途中で出会う様々な人々に、深い感銘を与えていく。そして旅の出発から約二年後。目的の地アラスカの荒野に分け入った彼は、打ち捨てられた一台のバスを発見する・・・

何物にも囚われず、ただひたすら自分の目標を追い求めるクリスの姿がまぶしかったです。鑑賞前にあらすじを聞いたときは、「なんて親不孝な青年だろう」と思いました。しかし見てみると、彼があそこまで両親に冷たかった理由が理解できます。そしてクリスがなぜあそこまで「金」を忌み嫌うのかも。
「金に対する愛情はあらゆる有害なことに対する根」という言葉があります。また、金というのは本来それ自体は何の価値もない交換券であります。そうは思っていても、なかなか達観できないのが人情。しかしクリスは金がもたらす不幸を小さいころから目の当たりにしてきたためか、多くの人が目標とする事柄とは違うことに目を向けていたようです。
真にアラスカで自分の力だけで生きていく自信を得たとき、クリスはきっと両親を許したんじゃないかな、とわたしは思います。そう思うと、彼がそこまでたどりつけなかったことが残念でなりません。

クリスについて考えていると、わたしは数年前中東でテロリストによって命を絶たれた、一人の日本人青年のことを思い出します。すぐ前にも似たような例があって大きな問題になったせいか、彼に対する同情の声はほとんど聞かれませんでした。「自業自得」という意見がほとんどだったと記憶しています。ただわたしは彼が生前家族に向けて語っていた、「いま行かなきゃ意味がない」という言葉が強く印象に残りました(そういえば劇中で「今やらなければいけない」と語るブッシュ父の映像が流れましたが、あれは悪い例)。たぶん彼はブラウン管を通してでなく、自分の目と耳で世界がいまどれほどひどい状態にあるのか確かめたかったのでしょう。確かに愚かだし、無謀といえます。しかしそうした純粋さが死を招いてしまうということはとても悲しいことではないでしょうか。

わたしにも本当につかの間の間でしたが(笑)、彼らと同じように感じていたころがありました。ほんの少しでも妥協したら、それまでの全てがウソになってしまうように思えたときが。そして今妥協ばかりの日々を送っているわたしに、彼らを笑う資格はないということです。

クリスも魅力的な青年ですが、彼が旅先で出会うおじさん・おばさんたちがまた素敵な人々ばかりでした。夫婦でヒッピーの生活を送るジャンとその妻。農場で荒くれ男をたばねるウェイン。心の傷を隠しながら、皮細工を生業とする元軍人のロン。ときに無礼とも思えるクリスの鋭い言葉を、彼らは笑顔で優しく包み込むように受け止めます。こういう大人になりたいものです。

自分とは生まれも育ちもかけはなれたこの青年が、ジャック・ロンドンの愛読者であったとは嬉しい驚きでした。文芸学科というところにいながら未だに文学というのものがよくわからないわたしですが、ロンドンの小説はいつもシンプルでダイナミックな興奮を与えてくれました。『白い牙』『野生の呼び声』『海の狼』・・・・ この映画を見て、また彼の小説が読みたくなってきました。実際にクリスのような旅をするのは年齢的にももう無理なのでshock、せめて本を読むことで彼に近づきたいと思います。
20060411170702最近『火を熾す』(\4980)という短編集が訳されて、注目を集めているロンドン。文無しとしてはもう少し安くしていただきたいものですが・・・・


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November 13, 2008

スピルバーグの傾向と対策 D・J・カルーソ 『イーグル・アイ』

20060825100157おお、やっと世間の流れにおいついてきたような!
スティーブン・スピルバーグ最新作?『イーグル・アイ』をご紹介します。

双子の兄にずっと劣等感を抱いていたいたしがないコピー店の店員、ジェリーのもとに、突然兄の訃報がもたらされた。悲しみにくれるヒマもなく、その日からジェリーは次々と奇妙な災難に見舞われることになる。見に覚えのない危険物が大量に送られてきたり、テロリストと目されてFBIに身柄を拘束されたり・・・ そして誰とも知らぬ女性から、携帯を通じて送られてくる様々な指令。「自由の身になりたかったら、言う事を聞け」
命の危険を感じて「彼女」の言うなりになるしかないジェリー。果たして彼は亡き兄弟の遺志を継いで、南を甲子園に連れて行くことができるのか・・・・

以下はチョイバレしております。これから見ようかという方は用心しつつご覧ください。
この作品、特に突出したところはありませんでしたが、実にスピルバーグの特徴のよく出たSFスリラーとなってました。それで今回はスピルバーグ作品にありがちな傾向について・・・・ ん? これよく見たらスピさんは「製作総指揮」で監督は別の人じゃないですか!!

・・・・・

ま、いいや。今回はこのネタでいくと決めちゃったので、このまま強引に押し切ります! DJカルーセル? そんなヤツァ知らん!(なんて横暴なshock

で、スピルバーグ・スリラー、略してスピラーの特徴ですが

①モンスターが非人間的というか、感情がない
モンスターにも色々あり、カワイそうなトラウマがあったり、人間に近かったり、それなりに喜怒哀楽があるヤツも少なくありませんが、基本的にスピラーでは人の情けは通用しません。
ジョーズに恐竜にトリポッド・・・ 連中が人を襲う動機は、もっぱら食欲やプログラムなどで、実に機械的なものである場合がほとんどです。
例外は『激突!』の運転手でしょうか。彼は一応人間なようなので。しかしこの作品において「モンスター」の表情は一切出てこないので、やはり非人間的な不気味さを強く感じたのを覚えています。

②細かいことはあんまり考えてない
スピさんの長所は、「こういうのがやりたい!」というのがはっきりわかるところにあると思います。『ジョーズ』だったら「巨大ザメ!」 『ジュラシック・パーク』だったら「恐竜!」という具合に。
ただはっきりしてるのはいいんですけど、その題材を扱うことだけで満足してしまって、全体のテンポとか、ストーリーの矛盾にはあんまり気をつかってないような(笑)

③あとはひかない・残さない
一応モンスターを倒しても、新たなる災厄を暗示したり、「実はまだ生きてたりして・・・・」ということを匂わせて終るホラーは少なくありません。というか、ホラーの90%にはこの公式があてはまるものと思われます(当店調べ)。
しかしスピラーに限ってはそういうことはまず無いと言っていいでしょう。その作品に登場する脅威は、その中でキッチリ片がつきます。何も心配することはありません。「これでめでたしめでたし。ああよかった」ということで幕を閉じます。こういう作品って、後味がスッキリしてて非常に気持ちいいんですけど、反面あっという間に記憶から消えてしまうんですよね~ むずかしいもんです。

かわいそうだからカルーソ監督についても少し書いておきます。この監督はヒッチコックの『裏窓』を意識した(というか、パクったの?)『ディスタービア』という作品でデビューしました。暇人が退屈なもんだから、ついつい隣をのぞいているうちに・・・・というアレです。この『イーグル・アイ』においても、「こっそり見ている」的な描写がふんだんにありました。つまり「のぞき(スリラー)専門」という認識でいいですね? 答えは聞いてません。

一応はスピルバーグ印ということで、まずまずの興奮、スリルは保証します。ただ斬新さや派手なインパクトは期待しない方がいいでしょう。

この映画で誉めたいのは予告編ですね。最近ストーリーの終わり近くまでていねいに見せてくれるangryannoy親切なトレーラーが多い中で、この映画の予告は本当にお話の最初の方しか見せていませんでした。それでいて客の期待をあおるだけの効果も十分にありました。他の皆さんもこれどうぞ参考にしてくださいね!

20070818181134それにしてもシャイア・ラブーフ君は一年の間にずいぶんたくましくなってしまったな・・・・ 『トランスフォーマー』でパンツ一丁でオタオタしていた姿が懐かしい。(たぶん)来年の『トランスフォーマー2』では、久しぶりにへなちょこぶりを見せてくれるんじゃないかと密かに期待してるんですが。


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November 11, 2008

ケロロ群像 中島哲也 『パコと魔法の絵本』

081111_184603えーと、これまだやってるよね?coldsweats01 終了間際に滑り込みレビュー。『パコと魔法の絵本』参ります。

むかしむかし・・・というほどむかしでもないむかし。ある所に風変わりな病院がありました。そこへ入院している大貫というおじいさんは、偏屈で意地悪で乱暴者だったため、みんなから嫌われていました。
ある日大貫はパコという少女と出会います。パコは一日経つとその日の記憶が全て消えてしまうという病気を持っていました。最初は公平にパコにも冷たく接していた大貫でしたが、あることをきっかけにパコをいじらしく思うようになります。いわゆるひとつのツンデレというやつです。
大貫はパコの記憶に何か残してやりたいと思い、彼女の愛読書『ガマ王子対ザリガニ魔神』を芝居にすることを思いつきます。果たして大貫の願いは天に届くのでしょうか。

これまでの中島作品と同じように、CGや舞台美術にかなり力が注がれております。でもこの映画で一番面白いのは、CGでも背景でもなく、出ている人々だったりします。どんな風に面白かったのか、幾人か列挙してみます。

☆役所広司(大貫)
やはり日本を代表する名優が、サリーちゃんのパパみたいなヘアスタイルで「ゲロゲーロ」とか言ってるのがたまらなくおかしい。まあ本人は『リア王』のことでも考えながらがんばってたのかもしれません。

☆上川隆也(医者)
この人はドラマ『大地の子』で、それはもう見事な中国語を話していて、マジで中国人なのかと思ったくらいでした。それほどに重厚な芝居をする人が、スカートやタイツをはいて「ティンカーベルはどこ?」なんて言っているのはある意味すごい。『天元突破グレンラガン』の重厚なナレーションも記憶に新しい。仕事選べよ。

☆妻夫木聡(自殺志願の元名子役)
わたしは『池袋ウエストゲートパーク』というドラマで、彼がまだデビュー間もないころの演技を見たことがありましたが、すさまじいまでの大根芝居でした。平成ライダーとか見ててもあまり気にならないわたしが言ってるのだから、これは相当なものです。その彼がこれほどまでに演技が達者になるのだから、やはり人間、早々に見限ってはいけません。
ちなみに坂口征二もすごかったです・・・・

☆土屋アンナ&小池栄子(ナース)
『下妻物語』にてレディースの師弟を演じた二人。今回はナースという役柄ですが、この仕様はどう見てもイメクラではなかろーか。
アンナちゃんは自己破壊願望でもあるのかな。おじさんはちょっと心配です。

☆劇団ひとり(消防車にはねられた消防士)
前作『嫌われ松子の一生』撮影時、中谷美紀は監督から「キミがせっかくの劇団ひとりくんの面白い芝居を台無しにしている」と怒られたそうです。
その天才的な演技を存分に堪能したかったところですが、いかんせん出番が少なかった(笑)

☆松本さゆき(お話が語られている部屋で寝っころがっている女の子)
前作撮影時煮詰まっていた監督が、コンビニでグラビア雑誌を眺めている際、「このコいいな」ということでひっぱってきたそうです。『嫌われ松子』の青井そらも同じ経緯で出演したとか。
「本当に撮影中はコンビニで立ち読みするくらいしか楽しみがなくて」
悲しすぎるぜ、中島哲也・・・・

☆國村隼(オカマ)
今回もっとも衝撃的だったのは、「國村隼は意外に女装が似合う」ということでした。
決して美しくはない。でも似合う。つか、美川憲一に似てました。
彼にマジメに泣かされたい方は『ローレライ』を見てください。
いま気づいたけどこの映画、『ローレライ』とキャストが4人もかぶってます。

☆阿部サダヲ(謎の患者)
で、この映画で一番面白かったのは彼だと思います。いや、ほかの皆さんもじゅーぶんにおかしいんですが、彼だけ格が違ってました。みなさん名優だけあってお笑いもキチンとこなされてましたが、やはり本来の芸風とはかなり異なるわけで。そういう意味ではわき道というか、バイトみたいなもんなわけです。
その点やはり阿部さんは人を笑わせるために生まれてきた人だと思いました。特に「人間~なんてららら~ららららら~ら~」とギターをかきならすシーンでは、笑いをこらえるのに必死で、腹筋がギリギリと痛みました。

20060409203622世の女性は概ね二つに大別できると思います。カエルくんを可愛いと思うか(少数派)、思わないか(多数派)という具合に。
多数派のみなさんも、これを見たら少しはカエルが好きになるかも? ちなみに姉は少数派でした・・・

けろっぴけろけろ

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November 09, 2008

いちご白書よ、永遠に ジュリー・テイモア 『アクロス・ザ・ユニバース』

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首都圏から三ヶ月ばかり遅れて上映。速攻で終っちゃいましたけどねcoldsweats01
『ライオン・キング』演出で知られるジュリー・テイモアが、ビートルズの楽曲だけで作り上げたミュージカル映画です。

あれは確か高校受験のときか。夜中にうつらうつら勉強していると、かけっぱなしにしていたFM放送の音がぴたっと止まる。そしておごそかに「ゴ~~~~」と響く排気音。

「ジェッ                 ・・・・トストリ~~ム」

・・・・怖かった(笑)。しかしいつの間にかこのOPがなんだか快感に思えてきて、毎晩のようにこの番組『ジェット・ストリーム』を聞いていたころがありました。
主にちょっと古めの落ち着いた洋楽を紹介するこの番組。サイモン&ガーファンクル、カーペンターズ、PPM、ビージーズ、シカゴ、ジョン・デンバー、『青い影』、『ミスター・ロンリー』・・・・ 本当にたくさんのアーティストと名曲を教えてもらいました。
そしてもちろん、ザ・ビートルズに本格的になじんだのも『ジェット・ストリーム』を聴くようになってから。初期の軽快であんまり中身のない"She Loves You "や"Please Please Me"もいいですが、やっぱり趣味にあったのは"Strawberry Fields Forever"や"Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)""Mr. Moonlight"といった、シュールな内容の、「しっとりムード歌謡」的な曲。
ちなみに"Ticket To Ride(涙の乗車券)"はカーペンターズが、"Here, There and Everywhere"は名も知らぬ女性ボーカルがカバーしてるヴァージョンの方が好きです。

・・・って映画の話ぜんぜんしてないよcoldsweats01 それじゃあらすじいきまーす。
時代がラブ&ピースでグッド・モーニング・ベトナムでJFKでLSDだった60年代。ペニーレインにまみれて育ったリヴァプール出身の青年ジュードは、母エリナ・リグビーに別れを告げてなんとなく新大陸へと渡ります。
そこではっちゃけた学生のマックスやその妹のルーシーと出会い、彼らと共同生活を始めるジュード。ルーシーと恋に落ちたり、サイケデリックなアートにのめりこんだり、マジカル・ミステリー・ツアーに出かけたり・・・とジュード青春を謳歌します。
しかしいつしかベトナム戦争の影が彼らに亀裂を生じさせます。マックスは姿を消し、ルーシーとジュードは音楽性の違いをめぐって激しくぶつかります。果たして彼らがまたともに演奏をする日は来るのか・・・・

ま、こんな風にお話はベタベタ(?)でしたが、最近そういうの全然見てなかったので、逆に新鮮でした。
もともとストーリーにはあまり期待してなくて、ビートルズ・トリビュートのながーいPVでも見るつもりで鑑賞しました。映像もすごかった。突き抜けてた。突抜けすぎてて・・・ときどき置いてかれた(笑) 

劇中で使われた中で、特に印象に残ったのは黒人の少年が歌う"Let It Be"(定番だなあ)、主人公がヒロインを見つめながら口ずさむ"Something"や、クライマックスでかかる、"All You Need Is Love"(定番だねえ)など

あとジュードが落ち込んでるシーンで案の定"Hey Jude"がかかりました。
一説によるとこの曲はジョン・レノンがふられて落ち込んでる息子、ジュリアン(ジュール)のために作った曲だとか。でも名前変えちゃったらせっかくのメッセージも伝わりませんよね。ちなみにジュリアンは「悪ィけど、オヤジの主張する"愛"とやらは、オレのところまでは全然届いてこなかった」と言っていたそうで。ヘイ、ジュリー! それシャレになってないから! っていうかまた話が横道にそれてるし!

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・・・・でも、この映画の結論は、やっぱり"愛"なんです! 愛こそすべて! 愛さえあればなんでもできる! なぜなら彼女はあなたを愛しているから! ジロッチュー・ヤー・ヤーヤー♪(わたしの耳にはこう聞こえる)

多少ハイテンション気味でお送りしましたが、クスリは一切使っていません。信じてくださいshock


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November 02, 2008

極道も計画的に デヴィッド・クローネンバーグ 『イースタン・プロミス』

081102_190603首都圏より三ヶ月ばかり遅れて公開。『裸のランチ』『クラッシュ』などで知られるデヴィッド・クローネンバーグが、ロシアン・マフィアを題材にした社会派サスペンスです。

現代イギリス。出産寸前で病院に担ぎ込まれてきた少女。赤ん坊はなんとか助かったものの、少女は息を引き取ります。助産師のアンナは、赤ん坊の引き取り先を見つけようと少女の日記を調べていくうちに、彼女がロシア人で構成されたある組織に関わっていたことを知ります。少女は甘い言葉にだまされてロシアからつれてこられ、組織に売春を強要されていたのでした。そのことを知ってしまったアンナの周りに、ニコライという謎めいた男の影がちらつき始めます。彼の真意はいったいどこにあるのか・・・・

この映画、男の哀愁をうたいあげた渋い内容もさることながら、アラゴルンことヴィゴ・モーテンセンが「素っ裸で大暴れ」ということで話題になっておりました。米エンターテインメント・ウィークリー誌の「忘れらない映画のヌード」ベスト30に入ってしまったこともあり、その道の人でないにも関わらず「王の帰還」ならぬ「王の股間」が気になって気になって仕方がありませんでした。やっと現物を拝むことができましたが、いや・・・すごい迫力でした・・・・coldsweats02

話をマジメに戻しますとcoldsweats01これは二つの境界線を描いた映画です。ヤクザとカタギ、イギリスとロシア。著しく価値観の異なる相手というのは、時として自分の目に怪物のよう映ることもあります。しかしそうであっても、「彼らもまた同じ感情を持つ人間である」ということがこの映画ではよく表れていました。例えば作品中一番の極悪人であるマフィアのボスですら、孫の前ではその辺のおじいちゃんと変わりなかったりします。また赤ん坊を可愛い、いとおしいと思う感情も、生まれや育ちには関係のない、人類共通のものではないでしょうか。

あとこの映画では「刺青」がとても印象的に使われていました。ロシアの極道の間では、「刺青」が多くのことを証明します。どこの組織に属しているか、どんなポリシーを持っているのか、どこの刑務所に入っていたのか・・・ etc
ニコライの体は多くの刺青で覆われています。恐らくそれらは望んで付けたというよりも、生きていくために仕方なく刻んでいったものなのでしょう。それらは文字通り一生消すことのできない傷跡のようにわたしには見えました。

クローネンバーグ作品はグログロな印象が強く、なんとなく敬遠気味でしたが、たまたまテレビで観た『ザ・フライ』『デッドゾーン』は好きでした。この二作品と同じ空気が、『イースタン・プロミス』にも流れていました。
それは独特のやるせなさというか、一種の諦観美とでもいいましょうか。自分に明るい未来がないことはわかっているんだけど、あえてジタバタせず、滅びを進んでうけいれる男たち。そしてどうせ破滅するのなら、せめて愛する人のために殉じようという思い。


以下はラストまでネタを割ってます。未見の方はご注意ください・・・

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正直見た直後はサスペンスに気をとられていて、どうしてニコライがアンナに急速に魅かれていったのか、よくわかりませんでした。しかしその後落ち着いてじっくり振りかえってみると、ニコライの気持ちがなんとなくわかってきたような。人を人とも思わぬような組織にどっぷりとひたってしまったニコライにとって、他人の赤ん坊を一生懸命助けようとするアンナは、まさしく聖女のように見えたに違いありません。そんな恋というよりは、憧憬に近い気持ちだったのでは、と思います。
組織の隠れ家でもあるレストランで、一人沈鬱な表情を浮かべるニコライ。その姿を映して映画は終ります。この時点で彼は組織のボスを裏切っています。そのあと彼はどうするのか・・・ マフィアとして生きていくなら、警察を裏切ることになる。警官としての務めを果たせば、相棒のキリルを裏切ることになる。どの道を選んでも、彼には裏切ることしかできません。恐らく彼はそう永くはない残りの生涯を、自分がただひとり裏切らなかった女性の面影を胸に、泥にまみれながら生きていくのでしょう。

ボスの息子でニコライをひきたてるキリル=ヴァン・サン・カッセルも強烈な印象を残します。見掛け倒しでみんなからバカにされて親父からまでないがしろにされて・・・・ いやー、こんなに情けないヴァンさんは初めて観た(笑)
最後に凶行に走る寸前で我に返るシーン、普通なら「よかったね、それでいいんだよweep」と慰めてあげたくなるところですが、彼の場合は「だったら最初っからそんなことすんじゃねー!! このアホタレがー!!annoy」とむしろムカつきました(笑) もっともそのまま思い切っちゃったら、さらに激怒したと思いますが。
威厳あるゴッド・ファーザーとろくでなしのセガレ、その軋轢に巻き込まれる主人公という構図は、『子連れ狼』を翻案にした『ロード・トゥ・パーディション』を思い出します。

081102_190942季節の設定はクリスマスのころ、ということになってるんですが、真夏にこの映画を見た都心のみなさんはその辺気にならなかったでしょうか。もっともシーズンたけなわのころに見たら、気分が盛りさがること間違いないと思われますが。

DVDは今月中旬に発売予定。最近はホントに出るの早いですよねー


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October 31, 2008

あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑭ 維新の王子様の巻

あつ姫 「あつ姫じゃ~ッ!!」
小松 「小松帯刀です」
西郷 「西郷吉之助にごわはんど」
あつ姫 「あれ? 久しぶりに基本メンバーに戻ったか? あたしの千秋先輩は?」
西郷 「ああ、彼なら今頃暗殺されとるころでごわす」
あつ姫 「ナンだって~!!shock こうしちゃいられない、すぐ助けに行かなくちゃ!」
小松 「無駄だと思いますよ。歴史がそうなってますから」
あつ姫 「そんな・・・ ひどい! 翔太くんがいなくなった今、彼まで逝ってしまったらこの番組からイケメンが消えてしまうじゃない!」
西郷 「おいどんがいるではないでごわ(剣光thunder) あぎゃ!shock
あつ姫 「おれは冗談が嫌いだ・・・ 一体あたしのリョーマさまを殺ったヤツは誰? 絶対見つけ出して、とっちめてやらなきゃ!」
小松 「そうですねー ヒマだし龍馬暗殺犯でも推理してみましょうか。まず考えられるのは新選組!の誰かですね」
あつ姫 「『誰か』ってあいまいだなあ。根拠は?」
小松 「確率の問題ですね。連中は怪しいと思った連中はブルドーザー式に抹殺してますから。彼らだったら誰を殺っててもおかしくない、みたいな」
あつ姫 「物騒なヤツラだな・・・ そういえばあたしの沖田くんの登場はいつ?」
西郷 「いや、さすがにもう出てこんでしょう」
あつ姫 「はあ・・・sad もうこの際居眠り磐音でもいいんだけど・・・」
小松 「二番目に考えられるのは佐々木只三郎さんです」
あつ姫 「だれそれ?」
西郷 「秘剣ツバメ返しで知られる佐々木小次郎の息子だそうでごわすよ」
あつ姫 「ええーっ!! ビックリ!!coldsweats02
小松 「時代が全然違うでしょ! いい加減なこと言わないでください! 佐々木さんは京都見廻組の隊長さんですよ!」
あつ姫 「ひまわり組って・・・ それはどこの幼稚園よ」
小松 「みまわり組です! まあ新選組がキャラ立ちまくりなせいで、いまひとつスポットの当たらないカワイソーな人たちですね。んで、佐々木さんは自分から『わたしが竜馬を殺りました』と告白してるんです」
あつ姫 「それってなんか怪しいなあ。ほら、誰も名乗り出ないことをいいことに、やってもいないのに自分の手柄にしちゃう人っているじゃない?」
小松 「手柄・・・・かな、これ」
西郷 「有名にはなれるでごわす」
小松 「いや、この人そんなにメジャーじゃないし。もう一つ考えられるのは薩摩藩から送られた刺客ですね。藩の思惑を越えて勝手に動くようになった竜馬が、邪魔になってきた、とか」
あつ姫 「ふーん ・・・・って何テメー他人事みてえに語ってんだよ!」
小松 「わたしは何も知りません( ̄Д ̄;; 知らないことになってるんです」
西郷 「ぐふふふふshadow
あつ姫 「黒い・・・・ てめえら腹の中まで真っ黒黒助だぜgawk
小松 「川原正敏さんの『修羅の刻』では中村半次郎が行ったことになってますね」
西郷 「必殺仕事人の中村主水なら知っちょりもすが」
小松 「しっかりしてくださいよ~ あなたの側近の一人じゃないですか!!」
西郷 「そんな番組に出てこないヤツのことまで覚えてられもはん!」
あつ姫 「ひでえ上司・・・ ねえ、ところで一体誰が犯人なのよ?」
小松 「正解は明後日八時の、このチャンネルで!」
あつ姫 「てめえ・・・ 一体どこの回しモンだgawk

ガラッ

坂本(血まみれで) 「こんばんは皆の衆!! 坂本龍馬ぜよ!」
あつ姫 「きゃ~千秋先輩!!heart04 ご無事でらしたのね!!」
坂本 「いや、もういけません。脳をやられてますきに!(ぴゅー) ただあの世に行く前に、ちょいと宣伝をしとかにゃいかんと思いまして」
小松 「宣伝?」
坂本 「みなさん! 2010年の大河ドラマはズバリ『龍馬伝』ですきに! ぜひ応援よろしく! それではアイルビーバックぜよ!」

ガタピシャ!

081031_183135西郷 「いや~ 最後まで慌しかおひとでごわしたのう」
小松 「『龍馬伝』・・・ ヒットしますかねえ?」
あつ姫 「そんなのし~らない♪」

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October 29, 2008

貫き止めぬ魂ぞ散りける 今石洋之 『劇場版天元突破グレンラガン 紅蓮編』二回目

081029_192404先日『劇場版グレンラガン』二回目を見てきましたので、今度はネタバレ全開でレビュー行ってみます。一回目はコチラ

・いきなりアート魂全開のアバンタイトル。テレビ版では見なかった少年→青年は恐らく螺旋王の若かりしころかと。ロボット群の中にマジンガー・ゲッターみたいなのがいるのはご愛嬌 「なぜ戦う なぜ殺す」 そりゃイデオン

・「毎日毎日穴を掘る たくさん掘れば村長は喜んでオレにブタモグラのステーキを食わしてくれる。ステーキのために掘るのかって? それも違うよ。 ・・・・・宝物を見つけるときだってある」
本放送の時から心をガッとつかまれた冒頭のモノローグ

・「無理を通して道理をけっとばすんだよ!」
シモン&カミナの初陣。泣きながらつんのめってゴロゴロころがっていくラガンが愉快でたまらない
敵ガンメンを粉砕しつつ彼らが地上に出た瞬間、わたしはシモンと一体になっていたと思う

・第二パート。グレンに乗り込んだはいいものの、思うように動かせないカミナ。焦る彼の眼前に、野ざらしになったドクロが映し出される
・・・恐らくカミナは自分がここで生き延びたとしても、そう遠くない将来戦いの中で散るであろうことを予感したのだと思う。それでも前に進むことを決意した時、異形の巨人はカミナのものとなった
そして必殺キャノンボールアタック
「無茶苦茶なんですけどッ!」 無茶苦茶ですね

・第三パート。ヴィラル登場。横一線に切り裂かれた後、ざざーっと草が散らばっていく絵が美しい
「ほらよ、合体だ」
「(キタンへ)お前誰だっけ?」と並んで一番劇場が沸いたシーンです

・インタールード。やはりここが一番今回苦しかった部分か・・・ あと一時間あれば・・・ 
夜空にコアドリルを掲げてにっこり微笑むシモン。これ、テレビ版OPのラストカットだったんだよねえ。憎い

・第四パート前半。グレンラガンをはたいたりつまみあげたりするダイガンザンのアクションが愉快。後の「投擲~」のシーンも笑った。このメカ、『ザブングル』のアイアンギアーが元ネタだと思う

・第四パート後半。「お前が迷った時はいつだって、オレが殴りにきてやるからよ!」 大事な言葉を相棒に告げた後、男は星となる。血反吐を吐きながら「オチオチ寝てもらんねえか・・・」とつぶやくシーンは、涙なくしては見れない

・ここからお話は一気に最後までノンストップ。「アニキは絶対に逃げなかった!」 自暴自棄になったシモンを拒絶したグレンラガンは、盛大なゲロを吐く。ロボットがどうやってゲロを? それはご自分の目でお確かめください

・転落した崖の下で二アと出会うシモン。長い間降り続いていた雨がやむ、象徴的なシーン。だがシモンの苦悩はまだ続く

・「二アは渡さない!」 中天に浮かぶシュザックの表面を、傷だらけになって這い上がるシモン。守らなければならないものがあることに気づいた時、少年は再び拳を握って立ち上がる
一度目・二度目とも個人的に一番乱れたシーン。「親に捨てられた」二アが、自分を必死になって助けようとするシモンを認めたとき、一体どんな気持ちがしただろう。思い出しただけで鼻水が吹き出ますcrying

・驚愕の四天王合体形態。これは劇場版オリジナルなので、もしかしたら今回一番の目玉かも・・・・

・「戦いは続くのですね」
てっきりテッペリン攻防戦まで行くのかと思ったら、ここで唐突に幕。ロシウの顔がUPになるのは次回への伏線か
しかしここで「続く」ということは、次回はいきなり第二部クライマックスから始まるわけで、相当ハイテンションな代物になりそう


081029_192517自分的には今年のナンバー1というだけでなく、ここ四年間の中で一番のめりこんだ映画作品。お金がなくても、女にもてなくても、将来性ゼロでも、これさえあれば生きていける気がします(イタすぎ)

『螺旋編』は来年五月公開。心して待ちます。


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October 24, 2008

土曜マドリード劇場 ミロシュ・フォアマン 『宮廷画家ゴヤは見た』

081024_18192118世紀スペイン。宮廷で家政婦として働くことになったゴヤは、そこで王家の様々なスキャンダルを目撃する。王の乱交、王妃の不貞、ひきこもりの王女、非行に走る王子・・・ という内容ではございません。「18世紀スペイン」だけ本当です。

異端の疑いをかけられ、投獄された少女イネス。彼女に魅せられた不気味な神父ロレンソ。二人の運命の変転が、もっぱら高名な画家ゴヤの目を通して語られていきます。

「名画の数だけ、ドラマがある」(SGA屋伍一)

なんていい言葉なんだ!crying さすがオレ! つくづく自分の才能が恐ろしい!

・・・・・失礼しました。原題は「GOYA'S GHOSTS」。このタイトルから、今年初めに公開された『レンブラントの夜警』のゴヤ版のような話かと思いましたが、ちょいと違いました。『夜警』は一枚の絵に秘められた謎についてじっくりと迫るお話でしたが、こちらはタイトルにある『幽霊』については冒頭でちょこっと触れられるだけ。ゴヤはあくまで「目撃者」でしかなく、メインはロレンソとイネスの方。じゃあどうしてこんな題にしたのでしょう。絵の解説でも読めばわかるかな、と思い検索してみたんですが、出てくるのはこの映画に関連した記事ばっかし(笑) どうもこの絵、ゴヤさんの仕事の中でもかなりマイナーなほうみたいです。

聞いたところによるとパンフにはこんな説が書いてあるとか。「実際のゴヤは映画よりももっとしっちゃかめっちゃかな人物で、その非常識的な部分を『ロレンソ』というキャラクターとして表したのではないか。つまり幽霊とはゴヤの投影であるロレンソのことでは・・・」 

・・・・そんなん、映画見ただけじゃわかんないっすよー(笑)

わたしとしてではですね、冒頭でゴヤのアトリエに、ロレンソの肖像画、イネスをモデルにした絵、そしてこの『幽霊』が一緒においてあったことが、なんだかとてもしょーちょー的に思えました。『幽霊』の絵はこれから二人を見舞うであろう恐ろしい運命とか、スペインの暗部、あるいは人間の業なんかを表しているのでは・・・なんて勝手に考えておりましたよ。
またゴヤがあの絵を虐げられた人の恨みを込めて描いたのだとしたら、その絵をからかったために、イネスは呪われてしまったのかもしれません。そんなホラーチックなことを思ってしまうのは、ミロシュ監督の名作『アマデウス』をつい念頭に置いてしまうからなのか。

異端審問の様子が生々しいゆえか、この映画を宗教・信仰を批判したものとしてとらえる向きもあるようですが、わたしはそうは思いません。なぜなら民衆を虐げているのは、あとからやってくるナポレオンの解放軍もあまり変わりないから。要するに隠れてやってるか、おおっぴらにやってるかの違いです。
人は自分が正しいと信じて疑わないとき、そしてその手に権力があるとき、いくらでも残酷なことができる・・・ そういうことだと思います。ミロシュ監督のご両親はナチの収容所で殺されているそうなので、そうした背景も映画には反映されてるような気がしました。

081024_181956非情な運命と時代の荒波が通り過ぎたあとに、残るものとは果たして。

この「名画サスペンスシリーズ」(勝手に命名)、一昨年の『ダ・ヴィンチ・コード』からの流れなんでしょうかね。面白いので引き続き作っていってほしいです。

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October 20, 2008

さよなら時間鉄道デンライナー 『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』

081020_174831あの激闘から4ヶ月・・・ 地球は平和を謳歌していた。しかし宇宙の彼方から白色彗星帝国が接近。人類は降伏か滅亡かを迫られる。かつて地球を救った野上良太郎とモモタロスたちは凍結されていたデンライナーを出動させ、彗星帝国に決死の戦いを挑む。だが戦いは熾烈を極め、イマジンたちは一人、また一人と倒れていく・・・ 

なんてストーリー想像しちゃうでしょ! このタイトルじゃ! 『クライマックス刑事』の感動?も冷めやらぬうちに、早くも『電王』がスクリーンに帰ってきました。つか、早すぎ! せめてもうあと半年待てなかったのか? ・・・まあ出来てしまったものは仕方ありません。それじゃ本当のあらすじから。

久しぶりに現代にやってきたデンライナーの面々。彼らは突如として「死郎」という謎の男と、彼に率いられたイマジンたちに襲われる。驚くべき事にその内の一体はかつての仲間、良太郎の体に憑依していた。苦戦するモモタロスたち。そんな彼らの前に、今度は未来からやってきた新たなる「電王」が現れる。

以降はネタバレ全開で行きます。これから見ようかという方は避難してください。ではダメだったところから。

・やはり死郎に関してもう少し説明が欲しかった・・・ なぜ彼はライダーパスを手に入れることが出来たのか? あの幽霊列車は一体どういう存在なのか? 「ファンタジーです」と言われてしまえばそれまでだけど・・・
あと「400年待った」と言ってたけど、時間を飛び越えていくわけにはいかなかったんだろうか?coldsweats01

・瀕死の重傷を負ったとみせて、実はなんでもなかったモモタロス。いや・・・ いいんだけどさ・・・ ここはあの紛らわしい予告編を怒りたい(笑)

・そのモモタロスたちが必死でやりあっている中、一向に姿を見せないジーク。スーアク不足だったんでしょうか。あとせっかくの劇場版なんだから巨大戦もやってほしかったですねえ


えーcoldsweats01、それでは気を取り直してよかったところを

・シリアス度満点のアバン・タイトル。入る小屋を間違えたか?と思った人、いっぱいいたんでは。つかこの始まり方、昨年の『THE NEXT』と良く似てる

・大口叩いてたわりに惨敗して帰ってきた幸太郎を、だれ一人として責めないイマジンたち。お前ら・・・ いつからそんなに大人になったんだ?

・で、必死で練習する幸太郎を見て、良太郎を思い浮かべるモモさん。細かい設定はうっちゃってもこういうことは忘れてない靖子さんが好きです。

・ゴーストイマジンにとりつかれた良太郎を懸命に説得するモモさん。「どうしてもダメならオレが止めてやる! だけどお前ももうちょっとねばれよ!」 ・・・・熱いぜspa

・ラストカット 「ありがとう、おじいちゃん」 あそこ、こないだ『翼竜展』で行ったばっかりだよ(笑) さすがにテレビ塔は違ってたけど。あとエンドロールの瓦版風のイラストは「泣けるで!」でしたねえcrying


見終わってまず思ったこと。はっきり言ってどの辺が「さらば」だったのかちっともわかりませんでした(笑)。もしかすると、「オレ的にはもうこれで本当に終わりにしたいんだよね」というプロデューサーの、魂の叫びだったのかもしれません。

081015_172009ただこの『さらば電王』、並みいる洋画勢を抑えて2週連続で週末興行収入第2位を獲得しておりますcoldsweats02 ここんとこ東宝さんに差をあけられてる東Aさんが、こんなドル箱をこのまま放っておくでしょうか(笑) 大体このタイトルが『ヤマト』を意識してるとしたら・・・ねえ。(冒頭のオマケからつっこまれてたしなあ・・・)

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October 15, 2008

必殺機織り人 ティムール・ベクマンベトフ  『ウォンテッド』

081015_171837ロシア出身のベクマンベドフ監督(いいにくい名前だ・・・)が、ハリウッドにて本格デビューを飾った一作。出遅れもいいとこですがレビューいってみます

毎日上司にどやされながら、さえない毎日を送っていたアンダーソン・・・じゃなくてウェズリーは、ある日トリニティー・・・じゃなくてアンジェリーな美女の銃撃戦に遭遇します。彼女に強引に連れて行かれた先には、モーフィアス・・・じゃなくてモーガン・フリーマンな男が待っていました。
「我々は中世から続く正義の暗殺組織フリーメーソン・・・じゃなくて『フラタニティ』だ。キミにはものすごい殺し屋の才能がある。我々と一緒に悪者を倒そう」
ちょい迷いながらも結局その誘いにのってしまうウェズリー。しかし彼を待っていたのは、ほとんど拷問みたいな猛烈なシゴキの毎日でした。果たして彼は一人前の必殺仕事人になれるのでしょうか。

嫌味のように引き合いに出しちゃいましたけど、話の出だしやスタイリッシュなアクションなど、そこかしこに『マトリックス』の影響が見られます。それは仕方ありません。なぜかといえば原作者自身が「マトリックスを意識しました」と言っているので(もっともあらすじを読んだ限りでは、映画はかなり違う話になってるようですが・・・)。わたしは他にも『蘇る金狼』や『カムイ伝』を思い出したりしてましたよ。

ここのところいろんな映画で情けない役ばかりやっている主演のマカポイくん。今回も前半はいつもよりさらに輪をかけてかっこ悪いですcoldsweats01 そのマカポイくん、「アクションのトレーニングがイヤでイヤで」と語っておられました。うーん、なんか役のイメージと似ていて嬉しい(笑) ただ文句こぼしながらも一応キッチリ体を作ってくるあたり、さすがにプロです。

見所はやはりサービス満点のバカアクションでしょうか。本当に爆笑一歩手前のありえなさです。しかし単にバカなだけでなく、色々と独自のアイデア・センスが光っております。
その一つが、フラタニティの得意とする「弾丸の軌道を曲げる」というテクニック。よくわかんなかったんですけど、あれは念力で曲げてるわけじゃないですよね? 銃をぶん回しながら撃つと、弾丸に変な回転がかかってカーブを描くという、そういう理屈なんでしょうか。

さて「『マトリックス』と似ている」と書きましたけど、ムード的にはやや異なります。『マトリックス』が空想の世界へわたしたちを飛び立たせてくれたのに対し、こちらは「ありえねー」お話を語りながら現実の厳しさを笑ゥセェルスマンのように「ドオオオン!!」と突きつけてくれます。
厳しい社会から「逃避したい」という願望。与えられた情報を鵜呑みにして右往左往する主人公。何が正義で何が悪なのか混沌とした世界。いざとなったらすぐに組織から切り捨てられてしまう個人。そしてラストのウェズリーの問いかけ・・・・ こういうシニカルな視線、普通のハリウッド作品にはあまり見受けられないような。
ブログを見回ったところ「スカッとした!」という意見が少なからずあったのですが、わたしはべト監督に「お前さん、本当にそれでええのんか?」と問われているようで辛かったです。いや、映画自体は大変面白かったんですが。
 
ただ、監督にはわたしも一言いってやりたいことがあります。あなたは一体ネズミさんたちの命をなんだと思ってるんですか!? 彼らだって一生懸命生きてるんですよ!? え? 人間の命? んー、そらー大事にしたほうがええんとちゃいますか?(問題発言)

081015_171903ちなみにいまはこんなオモチャがあって、素人さんでも簡単にタマが曲げられるそうです。これでキミもフラタニティの仲間入り? 甘い誘いにはくれぐれもご用心を。


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October 10, 2008

アルマーニかアーマーか ジョン・ファブロー 『アイアンマン』

081010_125041♪そうだ 恐れないでお国のために
金と技術だけが友達さ
ああ アイアンマン やさぐれ社長
行け 会社のミス正すため

天才発明家にして巨大軍事企業のCEOであるトニー・スターク。彼は中東を視察中、テロ組織に襲撃され、彼らに拉致監禁される。辛くも脱出に成功したトニーだったが、何日も食事を与えられず苦しんだ経験は、彼にある決意を起こさせた。戦場では時として、「飢え」がもっとも強大な敵となる。そしてテロリストの攻撃にも負けない強力な武装・・・・ 何度も試行錯誤を繰り返した後、トニーは生まれ変わった。食べられる鋼鉄の男「アイアンパンマン」として!

・・・・原作は60年代から愛されているコミック。その誕生に関する経緯は、オリジナルにかなり忠実に作られていました。
主な変更点としては
・ベトナムが中東になってた
・インセン教授が若くなってた
・第1話ではさわやかナイスガイだったトニーが、最初からやさぐれてた
あと原作開始の時は「共産圏の敵からアメリカを守る!」みたいなムードが少なからずあったのですが、映画では「今の世界の混乱は、アメリカにも責任があるんじゃね?」ということをやんわりと主張しておりました。

アメコミ映画の醍醐味のひとつは「ヒーローの能力を観客に体感させる」というところにあります。その点ではこの『アイアンマン』、かなーり出色の出来でございました。
例えばアイアンマンが飛行しているシーン、重いものを着て飛んでいる、空気を切り裂いている、強烈なGが覆いかぶさってくる・・・ そういう感覚のひとつひとつが、実にダイレクトに伝わってきました。
その理由はCGが見事な点もさることながら、アーマーの開発に関するくだりが、とてもていねいに描かれているところにもあると思いました。恐らく観客はトニーに感情移入していくうちに、彼と一緒になって何度もふっとんだり、壁に激突したりしているはず。だからこそアイアンマンが初めて天空に向かって勢いよく飛んでいくシーンでは、「いやっほううう!!」と言葉にならないくらいのカタルシスを覚えるわけです。

アイアンマンのシュールなフェイス。コレがまた良い。最初見た多くの方たちは「なんかのっぺりしてるなー」という印象を抱くようです。しかしそののっぺり面が印象に反してすごくキレのいいアクションを見せたりと、なんでかメチャクチャかっこよく見えてくる。思えばウルトラマンも仮面ライダーも、あのデザイン画が最初に上がったとき、「超クール!」と思った人は少数派だったのではないでしょうか。しかしそれらが動き始めた途端、子供たちは彼らの姿に釘付けになりました。野暮ったいデザインだからこそ、それがいい動きをすると、二倍・三倍にもかっこよく見えてくる・・・・ 「野暮のパラドックス」とでも名づけましょうか。

外見だけでなく、中身のほうもかなり魅力的に描かれています。実はこのトニーというキャラ、原作では倣岸で怒りっぽくて情緒不安定でおまけに元アル中という設定のせいか、かなりアンチもいたりします(笑)
それが映画では大人の力強さと子供の無邪気さを併せ持つ、なかなかの好人物となっていました。
よくアメコミヒーローは「米国の象徴」と解釈されます。そういう側面も確かにあるとは思いますが、わたしが彼らに魅かれるのは、国と違って自分の戦いをだれにも強要しないからです。トニーも自らの過ちに気づいたとき、そのつぐないを会社や政府に押し付けたりはしませんでした。言い訳も泣き言も言わず、ただ一人黙々とやるべきことをやります。
やはり責任を取るというのは、「途中で丸投げ」とか「あなたとは違うんだ」とかそういうことではないと思います。「テメエのケツはテメエで拭く」(淑女の皆さん、失礼)・・・・そういうことではないでしょうか。問題はその贖罪の過程がやけに楽しそう、ということですね(笑)

ちなみにトニーを演じたロバート・ダウニー・ジュニア、「あと続編十数作はいける」とかおっしゃってたそうです。そんなに作れるわけねーだろ、とツッコミたくもなりますが、そのやる気は十分に評価してあげたいところ。やはり一度どん底を経験した方は言うことが違いますcoldsweats02
実際『アイアンマン2』は再来年5月公開を目指してすでに製作中。原作に準拠した内容であるならば、恐らく次はプレッシャーにさいなまれて酒びたりになるアイアンマンが描かれるはず。果たして泥酔時のアーマー使用は飲酒運転とみなされるのか?
081010_125150あるいはスターク・エンタープライズが兵器開発から手をひいたために、米国経済が大混乱。世界恐慌をふせぐために仕手戦に血道をあげるトニー・スターク、とか。アーマーの出番? うーん、あるんじゃないですか? ちょっとくらいは。

オマケ:YOU TUBEで「Iron Man - Theme Song 」で検索すると、今から40年前に作られたアニメ版のOPが見られます(20秒程度)

ちゃんと机に向かって仕事している社長さんが微笑ましい!

2011年に向けてコツコツと進行中の「アヴェンジャーズ・プロジェクト」に関しては、また項を改めまして・・・


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October 04, 2008

紅白夢合戦 アルベール・ラモリス 『赤い風船』『白い馬』

081004_133157いつも芸術の最先端を突っ走っているわたしが常々思ってること。それは「映画も料理も、やっぱフランスがNo.1よね!!」ってこと。まさにフランスを知らずして文化を語るなかれって感じ? シャルルジャポン? マロングラッセ?


・・・・ウソです。フランス料理は高くて食べれませんし、映画は難しくてよくわかりません(今年見た『潜水服は蝶の夢を見る』『ぜんぶ、フィデルのせい』はそれなりに楽しみましたが)。しかし今回紹介する『赤い風船』は、そのアイデアとシンプルなタイトル、そして「幻の名作、ついに解禁!」「高畑勲絶賛!」なんてコピーに魅かれて、興味を抱いたのでした。
けれどもリバイバル作品な上に併映の『白い馬』を足しても一時間二十分に満たない長さ。東京まで観にいって外したらいやだなーと思って鑑賞をためらっていたところ、なんと近くの劇場でやってくれるというではありませんか。これはつまり・・・オレに「観ろ」ということだな? そんなわけで『赤い風船』、あらすじ参ります。

ある朝学校に向かう途中、少年は外灯にひっかかっていた赤い風船を見つける。少年は風船が雨に当たらないよう、行く先々で傘を借りたりして、世話を焼いてやる。すると不思議なことに、その風船は少年のあとをどこまでもついて来るようになる・・・・・

一歩間違えるとホラーにもなりかねない題材ですが、そこはそれ、「バルーンは友達! 怖くないよ!(BY大空翼)」ということで。

アイデアもさることながら、少し色あせた感のあるフィルムの中で、風船の「赤」だけが艶々と輝いていて、網膜にぬぐいがたい印象を残します。そして一個の風船だけでこんなにも画面が華やかになり、こんなにも話を面白くできる。そのことに何よりも感心しました。

壮大かつ幻想的なエンドにも驚かされた・・・と言いたいところですが、実は事前に公式サイトを覗いてみたら、「story」の項に最後まで全部丁寧に書いてあったんですね。公式ィ!! イイイイイ!!
でもまあラストを知っていても十分に楽しめる作品ではありました。


もう一本はほとんどオマケのつもりだったモノクロ作品『白い馬』。赤い風船はカラーじゃないと「赤」だとわかりませんが、白い馬は白黒でも「白」だとわかるということで。
舞台は南仏の河川地帯。野生馬のリーダーである美しい白馬。その存在は周囲のカウボーイたちの注目を集めていたが、猛々しいこの馬はなかなか彼らの手には捕まらない。その様子を見ていた一人の少年は、白馬に憧れにもにた感情を抱く。この馬と仲良くなれたなら・・・・ その一途な思いが、やがて彼と白馬を引き寄せることに。

白黒の映画を劇場で見るのはいつ以来だろう・・・・ 大学のころバスター・キートンの特集上映に通った時以来?(あ、『シン・シティ』)
モノクロのせいか個人的には『風船』よりこちらの方がはかないというか、夢幻的な印象を受けました。題材的にはむしろこっちの方が現実的なんですが。

目を見張ったのは馬VS馬のファイト。古代史劇などで騎馬武者同士の戦いはよく見られますが、人の乗ってない状態でのバトルはたぶん初めて見ました。馬というとデリケートなイメージが強かったですが、本来はこういうワイルドな一面もあるのね・・・と。

予想だにしなかった幕切れ(こっちは公式読まなかった)に、しばし愕然。ちょっと・・・ それはないんじゃないのか? あれ? もしかすると『赤い風船』のラストもそういうことだったんですか!?(見てない人はなんのことだかわかりませんね。すいません)

ファンタジックなストーリーのせいか、風船も馬も、そのものというより妖精のような雰囲気を帯びています。強い友情(愛情?)で結ばれた一人と一つ(もしくは一頭)。だが心無い者たちの妨害により逃亡を余儀なくされる・・・・ なんという世知辛い世の中でしょうか。監督はそんな世界から逃れて、ここではないどこかへ旅立ちたかったのでしょうか。あるいは『ロミオとジュリエット』でも意識していたのか。

このニ作品が作られた53年~56年といえば、日本はようやっと焼け跡から復興を始めたあたり。そういえばこの二本の間に『ゴジラ』第一作が作られております。
そんな時代に、フランスではこんなメルヘンチックな映画が撮られていたとは、なんだか感慨深いものがあります。フランスだってついこないだまでナチスドイツの占領下にあったはずなんですが・・・・ この辺がお国柄ってやつなんでしょうか。

081004_133224今のチャカチャカバタバタした映画と比べれば、ちょっとあっさりしいているように感じられるかもしれませんが、
「50年の時を経ても、その輝きは失われていない」

そんな風に自信を持って言えるニ作品。リバイバルはまだ各地で続いているようなので、近くで上映していたらぜひご覧になってみてください。

ちなみにウチの近所では早くも朝一回だけの上映になってしまいましたwobbly シャンテシネ? コマンタレブ?

 


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October 03, 2008

戦え! イクサー75 『仮面ライダーキバ』を語る③

081003_1738022008年、ファンガイアと人類、そしてキバの戦いは続いていた。王の鎧の真の姿「エンペラーフォーム」を我が物としたキバ=渡。ファンガイアたちの頂点に位置する「チェックメイト・フォー」の出現。戦いはますます激しさを増していく。そんな中、渡は「青空の会」のエースである名護に正体を知られてしまう・・・
一方22年前。数々の戦いを通じ、音也とゆりは互いへの思いを一層深めていた。しかし謎の美女、真夜が音也に近づいてきたことにより、二人の絆は危機を迎える。

いつの間にやら35話まで進んでしまっていた平成ライダー第9作『キバ』。今回は井上敏樹作品にありがちな傾向と、「1986年」に込められた意味について考えてみます。

まずミスター平成ライダーと言っても過言ではない井上敏樹氏が好んで使うモチーフについてあげてみます。実は彼の作品で完全に見たのはそれこそ『アギト』と『555』くらいなんですが(『シャンゼリオン』は半分くらい)。ちなみに彼についての私見はこの辺に書いてあります。

①夢を追うものと夢に裏切られたものの対比
第1話から一貫してヴァイオリン製作に情熱を傾ける渡くん。一方でロッカーの夢を追いかけていた友人・ケンゴにはある悲劇が・・・ 『アギト』における翔一←→涼、『555』における真里と啓太郎←→巧と海堂などが思い浮かびます。夢の素晴らしさを説く一方で、それを失った時の怖さも描く。この人そういうの好きですね・・・

②性格の歪んだサブライダー
一応正義の陣営に属しているのに、悪役以上に性格の歪んだライダー。これまた井上氏が好んで用いるキャラ設定です。『アギト』の木野、『555』の草加、『響鬼』の朱鬼・・・・など。特に草加雅人の陰険さは未だに強烈な印象を残しています。
本作品でこのポジションにあたるのが、仮面ライダーイクサとなる名護啓介。キバに負けても「○○が足をひっぱったからだ!」とほざいたり、ファンガイアを倒すのをそっちのけにしてキバ打倒に血道をあげたり・・・ 「性格に問題あり」とはこういう人のことを言うのでしょう。
最近少し毒が薄まってきて、このままタダの面白い人になってしまうのでは・・・と危惧してましたが、強力なライバル・ケンゴの出現によって、再びダークサイドの花を咲かせそうな予感。無残な殉職シーンも十分期待できそうです(ひどい)

③使用者がころころ変わるライダーシステム
基本的に仮面ライダーというのは、ある特定の人物でなければ、そのライダーにはなれません。本郷猛以外、誰も仮面ライダー1号にはなれないように。
ところが井上作品には、「適正さえあえば、誰でもライダーになれる」アイテムが良く出てきます。『アギト』のG3システム、『555』における「王のベルト」・・・・ 本作品では名護や音也が専ら使用する「イクサシステム」がそれにあたります。装着者にとんでもない悪影響が及ぶ、という設定もお約束です。

④人知れず死んでいくヒーロー
大きな仕事を終えたあと、裏路地かどこかで、誰に知られることもなく(あるいはわずかな人に見守られて)息絶えていく戦士・・・
この代表格は、なんといっても『鳥人戦隊ジェットマン』のブラック=凱さん。幸い『キバ』ではまだそういう人はいませんが、終盤に向けてこういうパターン、いかにもありそうです。わたしの予想では最有力候補は過去編の主人公である紅音也氏(笑)。ま、外れたらいいな、とは思いますけど。

⑤ひっぱり続ける過去の事件の真相
『アギト』における「あかつき号事件」や、『555』における「流星塾」の悲劇なんかですね。
恐らくアメドラ『X-ファイル』なんかを意識してたんじゃないかと思います。
『キバ』では渡くんがどのようにして誕生したのか、過去キバが人類を滅ぼそうとしたのはなぜか・・・・という謎がひっぱられ続けています。大体想像つくけれど(笑)

⑥ベタベタな恋愛描写
先の『ジェットマン』を「戦うトレンディドラマ」と言い切った井上氏。過去の作品では特に『555』に小ッ恥ずかしい描写がよく見られました。

ここから論点を「1986年が持つ意味」に移します。1986年と言いますと、まだ「トレンディドラマ」という言葉はありませんでしたが、それの前身といえるようなドラマはたくさんありました。そして数年後には9時台のテレビ欄を「愛」とか「ラブ」とかいう言葉が埋め尽くすようになります。いま思いかえしてみますと、それこそ韓流ドラマに負けないくらいのベタベタな描写がたくさんありました。海に指輪を投げ捨てたり、路上で高らかに「愛してるんだ!」と叫んだり・・・・ 書いてるだけでユデダコになりそうなwobbly
しかしまあ、井上氏はいまの時代にはあまり見られない、そういう熱さ、泥臭さが好きなんでしょうね。そう思って残り十数話耐えることにいたします。
あと1986年というと、ハレー彗星が地球に接近した年でもあるんですけど・・・・ これは話に関わってくるのかな?

081003_173905第三のライダーにしてラスボスである「サガ」も登場し、ますます盛り上がってきた感のある『キバ』。ベテラン井上氏の力技に期待することといたします。つか、マジで頼むぜ先生! もうこの際謎解きとかは適当でいいから!(アワワ)

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September 30, 2008

ドラッグ・クエスト ターセム 『落下の王国』

080930_213839警告! この映画は、試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性があります! 受験生の皆さんは、くれぐれも鑑賞をお控えください。
『ザ・セル』が話題を呼んだターセム監督の久方ぶりの新作。『落下の王国』です。

まだ映画がサイレントだった時代。橋から落ちて両足を怪我した俳優ロイは、入院先で同じように腕を骨折した少女、アレクサンドラと出会う。波乱万丈のホラ話を聞かせて、アレクサンドラを魅了するロイ。しかし彼がそうしたのには、ある秘密の理由があったのでした・・・

で、この「ホラ話」パートの映像がまことに圧巻。世界24ヶ国の知られざる絶景をバックに、ゴレンジャーがごときカラフルな衣装を身にまとった勇者たちが、シュールかつダイナミックな冒険を繰り広げます。

で、この映像&ホラ話、わたしが抱いた印象は「テレビゲームみたいだなあ」というものでした。作中では幾何学的で非実用的な建築物がたくさん映し出されるんですが、これがファミコンやプレステでやったことのあるゲームの背景を彷彿とさせるんですね。CGを一切用いていないのにも関わらず。恐らくゲームのデザイナーたちも自分で一からグラフィックを想像したわけではなく、著名な世界の風景を参考にしたであろうことは想像に難くなく。そう考えますとテレビゲーム世代のわたしたちがこれらの美術を懐かしく感じるのは、当然のことといえるかもしれません。

テレビゲームを連想させたのはもう一点、お話に出てくる勇者たちの衣装がやけに派手だったり、固有名ではなく肩書きで呼ばれてるところが、なんだかRPGのキャラクターみたいだったから。ただし、ダーウィンのみダーウィンと呼ばれています(なぜそこでダーウィンなんだ?という気はしますがcoldsweats01)。RPGをおとぎ話の現在形と考えるならば、これまた納得のいくところであります。

こっから先はちょいとネタバレしてます。ご注意ください。
この映画には繰り返し誰かが落下したり、墜落したり、転落したりする映像が出てきます。タイトルにあるこの「fall」に監督がどんな意味を込めているのか、正直なかなかよくわかりませんでした。
なんとなくヒントになったのは、ラスト近くに出てくるスラップスティックの映像の数々。「落ちる」ということは大体においていいことではありません。ことに受験生たちにとっては禁句です。テレビゲームのキャラにとっても現実の人間にとっても、イコール死を意味するときもあります。
しかし用いられていたサイレント映画のカットを見ていて、暗い気分になる人はまずいないでしょう。かえってなんだか愉快な気分になってくるはず。

たとえド派手に落っこちたとしても、それで人生が確実に終るわけではない。むしろ生きるということは「落下」の連続かもしれない。だから落ちても世をはかなんだりせず、その度に笑い飛ばしてやればいいじゃない?

監督はそういうことが言いたかったんでしょうか。そういうことにいたします。

あとその一連のカットの最初に、わたしが敬愛しているバスター・キートンの作品が使われていて「もしやロイ=キートンなのか!?」とドッキリしましたが、続けてハロルド・ロイドその他の出演作も出てきたので、そういうことではなかったようです。その辺の真意については公式サイトのプロダクション・ノートに書かれてましたので、ご興味おありの方はのぞいてみてください。

080930_213903話が横道にそれますが、わたしは本当にキートンが大好きでして。この人はハードなアクションをやりすぎて首その他をいろいろ骨折したにも関わらず、命がけでお笑いをやり続けたすごい人なんです。これを機会にできれば多くの人にその作品をみてほしいところ。
とりあえず初心者の方には『セブン・チャンス』『海底王キートン』あたりがおすすめです。

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September 24, 2008

地底より永遠に 今石洋之 『劇場版天元突破グレンラガン 紅蓮編』

080923_234459かつて、銀河を揺るがした戦いがあった
男は荒ぶる魂の赴くまま、天をかけ、星を砕いた
だがおびただしい時間と犠牲を費やしたのち、男は敗れる
そして悠久の時が流れた

とある星の地の底で
少年シモンは来る日来る日も穴を掘り続けていた
アリの巣のような自分の村だけが、世界の全てと信じて
そんなシモンに兄貴分の青年・カミナは言う
あの分厚い天井の向こうには、光さす広大な世界「地上」があるのだと・・・

ある日シモンは地中から、大きな顔の形をした鉄の塊を見つける
それと呼応するかのように、村の天井を突き破って現れる怪物
「無理を通して道理を蹴っ飛ばすんだよ!」
「顔」を駆って怪物に立ち向かうカミナとシモン
それはやがて大宇宙の果てまで続く事になる、長い戦いの始まりであった

昨年好評のうちに放送を終えたテレビアニメ『天元突破グレンラガン』。その前半部分をまとめた劇場版が、このほど公開されました。実はこの映画、観ようかどうか迷ってたんです。完全新規作成ならともかく、以前一度観て知っている話だったし。でもあのエネルギッシュな物語を、スクリーンで観たならばさらに大きな感動が得られるのでは・・・ そんな期待を抱いて、結局劇場に足を運びました。

で、観て驚きました。すごい。すごすぎる。このテンションとパワーは並じゃない。ここまで来ると、もう総集編とか一度観た話とか思い切り「つづく」で終ってるとか、そういうことは関係ありません。アートとして、エンターテイメントとして、「映画」として、この上を行く作品はそうありません。『グレンラガン』は大スクリーンに映して、初めて真価を発揮する作品だったのだなあ・・・と思い知りました。

わたしはカップルと親子連れに挟まれての鑑賞となりました。上映終了後、カップルのあんちゃんが号泣しておりました。うしろを振り返ると、客の大半がむせび泣いている。もちろんわたしの鼻水も大爆出です。そして隣の女の子が一言「あー面白かったhappy01
・・・・そんな映画です。

今回はもうあんまり小理屈とかこねたくないのです。極上の料理を食べた時、胸がいっぱいになって何も言えなくなる・・・・ ちょうどそんな感覚と似ています。

好きな場面を上げるとするとキリがありませんが、とりあえず一つだけ。
序盤で村の天井を怪物ごと押し上げて突破するところで。それまで恐怖に歪んでいたシモンの口元が、やがて「へやっ」と不敵に微笑む。ここだけでわたしにとっては普通の映画三本分くらいの価値がありました。
あと自分は「やせがまん」とか「魂の継承」というものに、本当に弱いんだな・・・ということをつくづく思い知りました。
またテレビ版を観ている時には気がつきませんでしたが、半裸の男たちが無謀ともいえる勇気を武器に、圧倒的に巨大な存在に戦いを挑んでいく・・・ このテイストは黒澤明を意識しているのかもしれません。というのは、脚本の中島かずき氏がこないだリメイク版『隠し砦の三悪人』も書いてたからなんですが。

080923_234539完結編となる?螺旋編は来年GW公開予定。『エ○ァ』の続報が一向に入ってこないことを考えると、この「螺旋編」も予定通りできるのか一抹の不安が感じられます。
でも・・・わたしは信じます! ガイナを信じる自分を信じます!!

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September 20, 2008

人気者になりたくて ピーター・バーグ 『ハンコック』

080920_181717ああ、あそこ今政情不安で大変みたいですね・・・ ←そりゃバンコクだ!
ここんとこ続いてるヒーロー系映画では、一番の変り種。『ダークナイト』を160キロの豪速球、『ハルク』をコントロールの利いた巧みな配球だとすると、これはどこへ飛んでいくかわからないナックルボールのような味わいか? 
いまハリウッドで一番戦っている俳優、ウィル・スミスの最新作です。

遠い遠い現在。マイアミに一人の超人が住んでいた。彼の名はハンコック。空を飛び、無限のパワーを持ち、そのボディは鉛の弾さえ弾き返す。にも関わらず、彼は町中の嫌われ者だった。なぜか。それはひとえに、「態度が悪い」からであった。
口は悪い。セクハラはする。おまけにいつも酔っ払っていて、一度切れると子供にすら容赦しない。たまに渋々人助けをしたとしても、その度にビルが壊れたり道路が陥没したりするので、人々はいつも彼を罵っていた。
だがある時彼に助けられたPRマン・レイが、ハンコックに一つの提案をする。「どうせなら、人にほめられたいとは思わないか?」 その言葉にちょっと心がときめいてしまうハンコック(笑) しかしレイの出した「人気者になるためのプラン」はハンコックの思いもよらないようなことだった・・・・

日本におけるアメコミ研究の先駆者・小野耕生氏は、アメコミを「現代のギリシャ神話」と評しました。本作品はこのアメコミの神話性というか、寓話性が色濃く出たお話。
昔々あるところにみんなから嫌われていた乱暴者がおりました。しかし本当は彼はみんなと仲良くなりたかったのです・・・・ 
そんなお話、ありませんでしたっけ?

もう一つの大きな要素は「もしスーパーマンの性格が悪かったら」という試み。
「出る杭は打たれる」ということわざの通り、目立つ人というのは何かと嫌われやすいものです。こないだまで大人気だった人でさえ、ちょっとした拍子でバッシングの集中砲火を浴びたりするなんてのはよくあること(例:亀田兄弟、エリカ様、星野監督)。
では嫌われないようにするにはどうしたら良いのか。それはスーパーマンの態度にならえばいいだけのこと。いつも笑顔を絶やさ