February 22, 2017

妖術のお医者さん スコット・デリクソン 『ドクター・ストレンジ』

1487749940503_3『シビルウォー/キャプテン・アメリカ』から約9ケ月。ようやくマーベル・シネマティック・ユニバースの最新ヒーローがお目見えです。その名も『ドクター・ストレンジ』!(…) ま、ともかくあらすじからご紹介しましょう。

自他ともに認める天才外科医スティーブン・ストレンジは、不慮の事故により両手に大けがを負う。医師としてのキャリアを諦めきれない彼は、「半身不随さえ回復させた」施設の噂を聞き、その施設がある場所カマー・タージへと向かう。だがそこで彼が出会ったのは医師ではなくエンシェント・ワンと名乗る魔術師であった。魔術と聞いて一笑に付したストレンジだったが、エンシェント・ワンの強大なパワーを目の当たりにし、弟子入りすることに。しかしそれはこの世に災厄をもたらす異次元の怪物との闘いに足を踏み入れることでもあった。

X-MENは差別問題、アイアンマンは電子工学、スパイダーマンは地道な自警団員…と、アメコミヒーローにはそれぞれ得意分野や役割分担があります。ドクター・ストレンジの割り当ては地獄や魔界からくるモンスターと戦い、我らの世界の門番となること。日本のキャラで一番近い存在と言えば「悪魔くん」でしょうか。決して本国でもメジャーなキャラではなかったようですが、そのラリッたようなサイケデリック・アートが一時期マニアな大学生さんたちにウケていたそうです。
まあなんというかヒーローにしては独特ないでたちですよね。素顔丸出しでちょび髭で派手な衣装。正義の味方というより悪の幹部かマジックショーの舞台が似合いそうです。つい最近まで単独タイトルは訳されたことがなく、わたしの印象は「大規模なクロスオーバーでいつの間にかいて偉そうなことを言ってるおじさん」というものでした。ゲームファンには人気シリーズ「マーヴルVSカプコン」などでも親しまれているようです。

さて、この度の映画ですが、オカルト系の作品やあまりほめてる人のいない『地球の静止した日』のスコット・デリクソンがメガホンを撮っております。だからなんとなく不安だったのですが、マーベルのかじ取りがうまくいったのか、デリクソン監督のキャリアで最も称賛を浴びた作品となりました。本当に大人から子供まで広く楽しめる一大エンターテイメントに仕上がっています。自身の十八番であるオカルト描写を抑え、代わりに『インセプション』のようなサイバーパンク的なビジュアルで観客の目を楽しませてくれます。
あとこれも意外だったのですが、今回かなりギャグが多いです。しんみりした場面の直後でもすかさず入れてくるので「ちょっとやりすぎじゃね??」とも思いましたが、見逃しましょう。

最初こそじれったくなるほど魔法の習得にてこずっていたストレンジ先生ですが、「素質がある」と言われるだけあって一度壁を越えたらあとはグングンと様々なスキルを身に着けていきます。そんな風になんでもできちゃうようでいて、実はそれなりに法則にのっとっていたり、侵しちゃいけない領域があったり、失ったものは取り戻せなかったり…というあたりが面白いですね。魔法モノでありながらこういう色々不自由な設定がハリポタとは一風違ったところです。今回「時間」がひとつのテーマにもなっているのですが、先生が恋人から贈られた時計が要所要所で印象的な使われ方をしていて心憎かったです。

あともう一点気づいたのはストレンジ先生がMCUの代表的ヒーローであるアイアンマンとよく似ているということ。天才で傲慢でちょび髭でどんどん新技術を習得していくとこや、その実正義感を胸の奥に隠していたり、一度手痛い挫折を味わっていたり…と本当に「もう一人のアイアンマン」と言っても過言ではないかと。しかし上手に差別化されている…アイアンマンは科学技術の申し子、ストレンジは精神世界の探求者…ため、「二番煎じ」という印象は全く受けません。アイアンマンが基本ワンマンなのに対し、ストレンジには兄弟子たちや師匠が支えとなってくれるところも異なってますね。劇中で「アベンジャーズとは違い、我々は…」というセリフがあったように、ストレンジ先生はこれから別方面の侵略者たちと戦うヒーローたちのリーダーになるのかもしれません。もしそうであれば一人でなんでもしょい込んでしまうキャップやアイアンマンたちにとって、非常に心強い存在となるはず。ちょっとすっとぼけた一面もありますが、そんなストレンジ先生の活躍に期待しております。
Drst3『ドクター・ストレンジ』は『ファンタスティック・ビースト』の余波にうまくのっかったのか、日本でも初週第一と好調な成績をおさめました。いや~~~ わしゃ、これてっきりはずすと思ったけどな~~~
そしてMCUの次なるタイトルはあの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編。さらに今年はスパイダーマンの新作や(たぶん)『ソー』の第3作も待機しております。ああ… 楽しみなことが多くてなんだかあたし怖い…
左のイラストはお友達のウシさんが描いてくれたもの。上のわたしが描いたヘボ絵との画力のギャップをお楽しみください。

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February 20, 2017

おじいちゃんは復讐鬼 アトム・エゴヤン 『手紙は憶えている』

Tgmiho2カナダ映画界にその人ありと言われている実力派作家アトム・エゴヤン。そのアトムさんの作品が珍しくこちらでも上映されたので、先日(もう一か月前…)行ってまいりました。『手紙は憶えている』、ご紹介します。

グループホームに暮らすゼブは齢90。最愛の妻を亡くしたばかりだが、一度寝るとそのことすら忘れてしまうほど記憶の機能が衰えていた。しかしそんな彼を友人のマックスは「独り身になったいまこそ、私たちの復讐を果たそう」とせきたてる。かつてアウシュビッツで彼らの家族を殺し、いまだ隠れ暮らしているナチ高官の居所をつきとめたと言うのだ。マックスは足が不自由なため施設を出られないので、すべてをこと細かくしるした手紙をゼブにもたせ、仇とおぼしき四人のもとにむかわせるのだが…

アトムさんの経歴をさらっと読んでみたのですが、犯罪や暴力といったモチーフを好み、ある人物の秘められた素顔が徐々に暴かれていく…そんな作品が多いようですね。ただわたしがこの映画を観ようと思った最大の動機は「あっと驚くどんでん返しがあるから」と聞いたからでした。確かに社会派作品というより、ミステリー・サスペンスとしてよく出来ています。
グループホームでの友情から始まるあたりは名作アニメ『しわ』を思い出させますが、ゼブが旅に出てからはクリストファー・ノーランの初期の傑作『メメント』を彷彿とさせます。なんせ自分の状況をすぐ忘れてしまうゼブおじいちゃん。手紙を見ればなんとか事情を把握できるため、腕にマジックで「手紙を読め」と書いてはあるのですが、いろいろと不安です。足元だっておぼつかないし、旅の目的は温泉やグルメではなく処刑であります。90過ぎのおじいちゃんにそんなことが可能なのか?と全力で止めに行きたくまります。少し前の『100歳のおじいちゃんの華麗なる冒険』の人だったら余裕でできそうな気はするんですけど。

そんな風にハラハラする一方で、おじいちゃんがよたよたしながらも旅を続けているのを見ていると、その恐ろしい目的のことも忘れてなんだかほのぼのした気持ちになってくるから不思議です。北米の雄大な風景もなごやかムードを増してくれます。なんか最近旅行してないからめっちゃ観光とか行きたくなりましたよ。

ただやっぱり、ゼブが真の標的に近付けば近付くほど、そんなのんきな空気はかぎりなく薄くなっていきます。アトム・エゴヤン監督は迫害された歴史を持つアルメニア人でもあるゆえ、ユダヤ人には共感を覚えるのかもしれません。しかしゼブに負わされた業の痛々しさを思うと、復讐を是としているわけではないことは明らかです。自分は正義の側で正当な理由があると信じていても、それはどれほど確かなものなのか? そんな問いも投げかけられているかのようです。結局、暴力に頼って報復をなしとげるということは、公ではなく個人のエゴやん?みたいな?

………

ごめんなさい… 主演のクリストファー・プラマー氏はさすがに90代ではないですが、あとわずかの御年87歳。まさにその生涯現役的な熱演には心を打たれました。恥ずかしながら調べてようやく知ったのですが、この方『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐の方だったのですね。あちらではナチスの手から脱出する役柄でしたっけ。まだまだ長生きしていただきたいものです。

Tgmiho1昨年も多かったナチス関連映画。この作品のほかにも「ヒトラー」とついたタイトルをいくつか見かけました。わたしゃ『ヒトラーの忘れもの』というのが観たかったんですが、来月ようやくこちらでかかります。『手紙は憶えている』はまだ少し公開予定のところもありますが、さすがにそろそろ興行も終わりのよう。5月にDVDが出るようなので観そびれた方はそちらでどうぞー


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February 17, 2017

地獄の会計士 ギャビン・オコナー 『ザ・コンサルタント』

Photo『夜に生きる』監督・主演に『ジャスティス・リーグ』出演と今年も大忙しそうなベン・アフレック。そんなベンアフさんが『ウォーリアー』のギャビン・オコナー監督と組んで、やや現実的なバットマンの映画をこしらえました。『ザ・コンサルタント』、ご紹介します。

暗黒街の顔役たちを顧客に持ち、警察に見返りもなく情報を提供する謎の会計士、クリスチャン・ウルフ。彼の目的は果たして…(結論から言うとよくわかりませんでした)。そんなウルフの正体も知らず、ある企業が彼に内部の帳簿の監査を依頼してくる。調べているうちに不正の匂いをかぎつけたウルフだったが、その仕事を始めてまもなく何者かに命を狙われることになる。

大体年に1,2本は作られてますかね。「その辺のあんちゃん・おっさんかと思ったら実は凄腕の殺し屋だった」みたいな話。『ボーン・アイデンティティー』『96時間』『イコライザー』『アジョシ』『ジョン・ウィック』『アメリカン・ウルトラ』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』etc… で、アメリカさんはこういう話が大好きみたいで、かなりの高確率でヒットをおさめたりします。
『ザ・コンサルタント』もその系譜につらなる作品なんですが、ちょっと変わっているのが主人公がいわゆるアスペルガー症候群をわずらっていること。そんなウルフがどんな少年時代を送って来たか…ということも断片的に並行して語られていきます。この構成と設定、自分は『96時間』よりもバットマンよりも日本の『脳男』を思い出したのですが。

そういえば『脳男』でもよくわからなかったのですが、主人公はなぜヒーロー業を始めたのか、その辺の理由があまり語られません。あるいは彼は正義の味方のつもりはなく、保身のためと裏社会を操るためだけにあんなスゴ業をふるっているのか? でも警察に犯罪者の情報をリークしたりもしていたしなあ。うーむ… よくわかりませんw
もし仮に彼がヒーロー業を意識してやってるとしたら、車の中にしまわれていた『スーパーマン』のコミックから大きな影響を受けた…とも考えられます。単に値打ちものだったから持ってた、ということも考えられますけど。
他にもこの映画、いくつか腑に落ちないとことか、ちょっとぽかんとしちゃうところがあります。あっちは許さないのに、そっちは見逃しちゃうんだ…とか。その辺はいささか脳内補完と広い心が求められます。監督は「単なるアクションものにはしたくなかった」とのこと。うん、確かに個性的ではありましたよ。だからといってそれがカタルシスにつながるかというと… …

そんな風に細かいとこが気になる一方で、「ま、面白いんだからいいじゃねえか!」という気もします(笑)。とにかくベン・アフレック演じるクリスチャン・ウルフのキャラがかわいいしこわい。で、ちょっとだけキモい(笑) 共演のアナ・ケンドリックが小柄なせいか知りませんが、やたらとでかく見えます。まるでクマさんです。そしてその眼は『ゴーン・ガール』の時の二倍くらい死んだような光を放っています。そんなコワモテのくせに普段はとてもおどおどしてて神経質。登場した時点でキャラ立ちしまくりでした。えー、あと腑に落ちない点も色々ありましたが、前半でさらっとまかれた伏線が後半ちゃんと回収されてた点もよかったです。

ちなみに監督のギャビン・オコナー氏、フィルモグラフィーを見るとほとんどが中赤字から大赤字です。日本では大変DVDスルー率が高い。『ウォリアー』なんかは大変感動的で燃えまくるいい映画なんですが、これもやっぱり興行的に失敗したためにこちらではごく限られた映画館でしかかかりませんでした。よい作品でも必ずしもヒットするとはかぎらない。映画ってむずかしいですねえ~ というかこの人、よく映画撮り続けてられますよね…

Cv00025_01もしかしたらこの『ザ・コンサルタント』はオコナー氏のキャリアで初めて大ヒットした映画かもしれません。一応続編の構想もあるとのことなので、近い将来クリスチャン・ウルフのモジモジアクションに萌えられたらうれしいです。ただ日本ではそんなに売れてるわけでもなく、あと一週間ほどで終わりそう。ここんとこ観てから書くまでがほぼ一か月遅れになっているので、もう少しペースを早めたいなあ…と思うわたくしでした。


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February 13, 2017

チャイニーズ・マーメイド・ストーリー チャウ・シンチー 『人魚姫』

Ngh2いまや中国本国ではナンバーワンのヒットメーカーと言っても過言ではないチャウ・シンチー。本日は「アジア歴代興行収入No.1を樹立!」しながらも日本ではなぜか扱いの悪い『人魚姫』、ご紹介します。

香港郊外の自然保護区に、一大リゾート地を建設しようと野心に燃える若き実業家リウ。だがそこには人知れず暮らしていた人魚たちのコミュニティがあり、彼らはリゾート地の開発で住む地を失おうとしていた。そこで人魚たちのリーダー・タコ兄はかわいい人魚のシャンシャンを刺客としてリウのもとに送り込む。しかしシャンシャンはリウの内側に秘められた孤独に気づき、いつしか彼に恋心を抱くように…

シンチーさんといえば世間一般ではコメディ映画の作家として認知されてると思います。この映画でも前半はベタベタでコテコテなギャグがひっきりなしに連打されます。まず何と言ってもおかしいのが普通の人魚たちの一団の中に、一人?だけ下半身がタコのお兄さんがいることです。この時点で可憐なタイトルとは裏腹に、「ああこれはマジメな映画ではないな」と思います。ついでに言うとこの映画、キュートな人魚は登場しますけど、彼女別に「姫」ではないんですよね。どちらかといえば庶民派です(ちなみに原題は『美人魚』)。少女漫画のヒロインは往々にしてドジっ子である場合が少なくありませんが、こちらのシャンシャンちゃんの天然ぶりはそんなレベルではなく、ドジのあまり絶えず流血を繰り返したりしてます。前から思っているのですが、シンチーさんは女優に対して少し厳しすぎるというか、サド気質がある気がしてなりません。わたしはどちらかといえば彼女の恋敵となる、通常のツンデレを五人分くらい濃縮したような財閥令嬢の方が好みでした。

…話がそれました。そんなバカバカしいムードでお話は進んでいくのですが、後半に入ると一転、物悲しいメロドラマへとシフトしていきます。最近のシンチーさんにありがちな傾向ですけど、以前は最初から最後までどんちゃん騒ぎが続くような映画を作っていたのに、近年はクライマックスで急に「泣かせ」にかかるんですよね。そういうのがダメとは言わんけど、ぼくはやっぱり以前のヒロインが最初ブスでひたすらギャグに徹してたスタイルの方が好きだったなあ… と、言いながら、終盤しっかり泣かされてしまいました(笑) こんなアホな映画で!! シンチーさんの計算に見事に乗せられてしまったようで大変悔しいです。あああ! 悔しい!!

それにしてもここんとこ国境を越えて水棲人間のロマンティックなお話が続いている気がします。『レッド・タートル』(フランス)に『ソング・オブ・ザ・シー』(アイルランド)、あまり話題にならなかったけど『蜜の哀れ』(日本)、あと『フィッシュマンの涙』(韓国)というのもありました。近々公開の『モアナと伝説の海』も魚にならないまでも水と仲良しの女の子の話ではなかったかな。たぶん世界中の人々がいま切実に「水・魚・自然と仲良くしよう→大切にしよう」と思ってるってことなんじゃないでしょうかね。強引ですね。

Ngh1その『人魚姫』、前作『西遊記』の興行が日本でふるわなかったせいでしょうか。とても上映館が少ないです。『少林サッカー』の時はあんなにもてはやされたのに…
そして『西遊記』の続編はシンチーは製作に回り、これまた香港映画の大御所ツイ・ハークがメガホンを取るとのこと。すでに予告編もアップされてます。後半なんかシンチーとハークが謎のおしゃべりをしていて意味不明なんですが、DVDスルーになりませんように…


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February 11, 2017

闘病ラブストーリー 中野量太 『湯を沸かすほどの熱い愛』

Maxresdefault2昨年数々の映画賞に輝いた新進監督の作品。年が明けてようやく静岡東部で公開となりました。熟女となってから女優としての躍進が著しい宮沢りえ主演『湯を沸かすほどの熱い愛』、ご紹介します。

双葉は栃木で暮らす平凡な主婦。ともに銭湯を営む夫に逃げられてしまっていたが、健気にパートに出て一人娘の安澄を養っていた。だが無情なことに不調で倒れた折、双葉は自分が癌で余命いくばくもないことを知る。それでも彼女は泣き崩れたりはせず、残された時間を情けない夫といじめに悩む娘のために使おうと決意する。

昨年はいわゆる「難病もの」「余命もの」の映画が目立ちました。おおげさな演出で泣かせようとする安っぽい作品はわたしも嫌いですが、考えてみれば人間、誰だって急な事故や病気で突然死んだっておかしくはないわけです。ですから「死と向き合う」という話は誰にでもあてはまる普遍的なテーマなのだと思います。

「死と向き合う」というとひたすら深刻な内容を想像してしまいますが、真面目に取り組みながらもどこかユーモアが漂っているのがこの映画のいいところ。そんでそのユーモアのセンスがどこか変わっているというかシュールというか独特というか。「こんなセリフ・やりとりよく思いつくな…」と変に感心したシーンがちょくちょくありました。

あともう一点心地よかったのが「正の連鎖」を描いている点。いや…正確には「負を正に変える連鎖」かな??? 「負の連鎖」という言葉は時々聞きます。親から虐待を受けた人は自分の子供にも虐待を繰り返すという例などにおいて。ややネタバレになってしまいますが、双葉さんはそれとは反対の反応を示します。自分が愛情を注がれなかった分、他の人のさびしい思いに非常に敏感だったりする。そしてそんな人たちに惜しみない愛情を注ぎます。人を思いやるというのも一種の才能で、大抵の人は努力しないとできないことが多いのですけど、中には自然にそれが出来る天才さんもおります。そういう人がまわりにいる人はまあ幸せですよね… とまあ人を羨んだりするだけでなく、努力して自分もわずかなりとも注ぐ側にならないといかんわけですが。

ただ病状が進行していくのを追うだけでなく、少しずつ隠された謎や秘められた事実が明らかになっていくのにも感心しました。この映画、なぜ「銭湯」なのかずっとひっかかっていたのですが、最後まで見ると「だから銭湯だったのか!!」と膝をうちます。この辺の着想にも独特のセンスを感じました。

役者さんたちについて。主演の宮沢りえさん、自分はなんといっても全盛期に突然出したヘアヌード写真集『サンタフェ』に衝撃を受けた世代ですが、今回の好演ですっかりそのイメージが払拭されました。昨年は他にも『TOO YOUNG TO DIE!!』のマドンナ役、『ジャングルブック』のお母さん狼役も忘れがたいです。
もう一人のヒロインである杉咲花さんは朝ドラで顔を知ってました。そちらでは最終的に子持ちの主婦まで演じてましたが、制服を着ると普通にやはり中学生にしか見えませんでした。『無限の住人』ではアクションにも挑むようですが、がんばっていただきたいものです。
男性陣では仮面ライダークウガ(オダギリジョー)とシンケンレッド(松坂桃李)の共演を見られたのが嬉しかったです。「二人は気が合うの」というセリフがありましたが、そういやこいつら特撮出身であることを語りたがらないところが似てるよな(笑) でもまあ朴訥なようで芸達者な点も共通してると思います。


もうひとつネタバレ。
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主人公が亡くなるシーンをさらっと流している闘病ものはいい作品である場合が多いです。最近でいうと『聖の青春』とか、少し前だと『私の中のあなた』とか。オダジョー主演の『東京タワー』はその辺どうだったろう…(忘れた)
994901301308757_common『湯を沸かすほどの熱い愛』は
昨年秋から公開されてますが、まだ(!)上映を残してるところがあるようです。くわしくは公式サイトをどうぞ。強豪ひしめく今年の日本アカデミー賞で、どこまで食い込めるかも楽しみであります。


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February 07, 2017

バイオにグッドバイを ポール・W・S・アンダーソン 『バイオハザード ザ・ファイナル』

Bhtf1第1作公開から約14年。あの人気シリーズがついに(たぶん今度こそ)完結を迎えました。『バイオハザード・ザ・ファイナル』、ご紹介します。

行ける死者を作り出すアンブレラ社と、長い戦いを続けていたアリス。すべてのアンデッドを消滅させられるアイテムがあると知った彼女は闘いに終止符をうつべく、その薬品が隠されている始まりの場所「ラクーンシティ」へと向かう。そこで彼女を待ち受けていたのは宿敵ウェスカーと、かつて倒したはずのアイザック博士であった。

えーとね、たしか前作ラストでウェスカーってアリスに「一緒に戦おう」とか言ってたと思うんですけど、何事もなかったようにまた敵対する側にいます。ここでまず「???」となります。聞いた話では小説版では「V」と「ザ・ファイナル」の間にあったミッシングリング的なエピソードが明らかにされていて、非常にスムーズにお話がつながるようです。前作の共闘の申し出もやっぱり罠だったんだとか。でもそういうのは副読本ではなくきちんと本編でやれや!!とつっこみたくなりました。

もう一点。今回みんなアリスに手加減しすぎというか。よくスパイ映画にあるじゃないですか。さっさと殺せばいいのにダラダラ喋ってたり、きちんと最後を見届けないでその場を離れちゃったり。そういう余裕かましてるからあっさり逆襲されて殺されちゃったりとかね。まあこういうのもエンターテイメントの醍醐味のひとつなんで、1本の映画のうち1度や2度はゆるします。しかし今回の『ザ・ファイナル』はあまりにもそういうのが多い。多すぎる。確かにストーリーの途中でアリスがやられちゃったら元も子もないのですが、もうすこし手加減がわからないようにするとか、脚本を練り練りしてほしかったです。これは『ザ・ファイナル』にかぎったことではなく、映画『バイオ』全体に言えることですかね。とにかくノリが第一で、細かい矛盾や説明不足は各自脳内補完してください!という。ごめん。俺、かなりがんばったけどそれでも補完しきれなかったよ…

いいところもあげときましょうか。…あったかな(笑) ええと、まずいままで不明だったアリスの出自がとうとう明らかになります。この人の素性をめぐる謎とか、すっかり忘れてましたけどね。
ほかは冒頭の怪獣戦闘くらい…かな? あとアイザック博士の奇妙な設定とか、クライマックスがそれなりに盛り上がるところとか。
そしてなにより、本作を持ってとうとうシリーズが完結したことを祝したい。これまで本当にありがとう、バイオ。これでとうとうぼくたち! わたしたちは! バイオを!! 卒業します!!(エコー)
うーん。どんなに内容がメタメタでも、こうなると泣けるわ! 感動だわ!!

後半は明らかに気が抜けていたポール・W・S・アンダーソンさんですが、ようやくバイオ映画から解放されたことですし、これからはご自分の得意とする限定空間での殺し合い映画を、気合をいれて作り続けていってほしいです。

2326512i日本では無類の人気を誇る映画バイオですけど、さすがにそろそろ公開が終わりそうです。バイオとアリスにきちんとお別れが言いたい方は急いで観に行ってください。あとタイミングよくゲーム版の「7」が好評発売中です。実況を見た限りではかなりホラー色の強い内容で、チキンのわたしはとてもプレイできそうにありません…

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February 04, 2017

ロシアの森からこんにちは ユーリー・ノルシュテイン特集上映

Scan7あいかわらず1ヶ月おくれでの感想アップです… ロシアの伝説のアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテイン。その特集上映が年末から行われていたので正月早々張り切って行ってきました。その紹介と雑感をば。

☆「25日・最初の日」(1968年)
ロシア革命の日を振り返った勇壮な絵アニメ。一言でいうなら共産主義のプロパガンダアニメなのですが、労働者側の描き方があまりにも迫力ありすぎてあまり正義の側には見えないような。現代人からのフィルターがかかった目から見ているせいでしょうか。

☆「ケルジェネツの戦い」(1971年)
AD988年にあったロシアとタタールの戦いを題材にした作品。バロック調の絵画を切り抜いたような絵柄が独特な印象を残します。クライマックスの激戦はさながら切り絵版『300』のような迫力があります。

☆「キツネとウサギ」(1973年)
前二作とはうってかわった子供向けの動物童話。ただ絵柄はなかなかにシュール。凶暴なキツネに家を追い出されたウサギくん。森の猛者たちは彼を助けようとするがことごとく敗退。誰もがキツネにはかなわないとあきらめたとき現れたのは…
後の「霧の中のハリネズミ」と同様、損得抜きの純粋な友情が胸をうちます。腐女子の皆さんが妄想をかきたてられそう。

☆「アオサギとツル」(1974年)
純情なアオサギと気位の高いツルの擦れ違いの恋模様。まあ最後はうまいとこおさまるところにおさまるんでしょう?と予想していたら笑えるサプライズ・エンディングが。例えて言うならつげ義春の「ねじ式」のような。
淡い色調と細い描線は日本の浮世絵を意識したとのこと。

☆「霧の中のハリネズミ」(1975年)
ノルシュテインの最高傑作との誉れ高い1本。友達の熊のもとへイチゴを届けようとしたハリネズミだが、道は霧が深くどんどん迷ってしまう。「迷う前と後でハリネズミの価値観が変わる」「我々が見ている世界は全体のごく一部でしかない」という深遠なテーマも含まれていますが、それはともかくハリネズミ君がほんと~~~~にかわいい。高畑勲激賞もなっとくの満足感です。

☆「話の話」(1979年)
へんてこな子犬を狂言回しに、脈絡もなくつむがれる幾つかのシュールな情景。ほかの作品はすべて10分ですが、これだけ30分弱です。
十代のころ深夜放送で一度見たのですがわけがわからず、今なら理解できるかな~と再挑戦したのですが、やっぱりちんぷんかんぷんでしたw ただ今回はそのわけわからなさを楽しむ余裕がありました。
解説を読むとどうもノルシュテインの幼少期の記憶や原風景をつなぎあわせたらこうなった…とのこと。そう考えるといろいろうなずけるところがあるような。

Scan6気に入った順は上からハリネズミ、キツネ&ウサギ、話の話…というところでしょうか。噂に名高い傑作を一挙に観られてようございました。
ノルシュテイン特集上映はひきつづき横浜、川崎などで細々と公開中。今回はデジタルリマスターを記念してのイベントだそうなので、近々DVDも出ると思います。


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January 24, 2017

落ちてきたヨッパライ ラージクマール・ヒラニ 『PK』

Pk1ようやっと昨年最後に観た映画の感想を書きます… こちらでは少し遅れてかかっていたマサラムービー最前線、『PK』、ご紹介します。

現代インド。地球に視察にやってきたアミール・カーン似の宇宙人は、到着するなり宇宙船のリモコンをかっぱらわれ、未開の惑星に一人置き去りにされてしまう。一方おなじころヨーロッパではインドから留学していた女子大生が、パキスタン青年との道ならぬ恋に悩んでいた。ふたつの物語はいったいどのようにして結びつくのか…?

公開前後タイトルと「『きっと、うまくいく』のスタッフが贈る」ということ以外ほぼシークレットで宣伝されていたこの映画。はっきり言いましょう。宇宙人と宗教の映画です。おそらくその辺を明かしてしまうと日本人の多くはひいてしまうと配給さんは思われたのでしょうか。ちなみに「PK」とはインドの俗語で「よっぱらい」という意味だそうです。

宇宙人映画にしては変わっているのは、アミール・カーン扮する宇宙人がETやポールやプレデターのようにエイリアンエイリアンした外見ではなく、ふつうにインド人男性の姿かたちをしていること。超能力も持っていますけど「触れたら相手の考えがわかる」という地味なのものなので、奇異な振る舞いをしていても周囲からは当然「宇宙人だ!」とは思われず、「酔っ払いか」と認識されてしまうわけです。以下便宜上彼のことをPKと呼びます。

そのPKですが、リモコンを探してあてどもなくさまよっているうちに、「神様に頼ればなんとかなる」という情報を入手します。その言葉を鵜呑みにして様々な宗教施設を訪ねるPKですが、そのうちに多くの宗教団体が持っている腐敗にきづいてしまうのです。
ITが発達し、グローバル化著しいインドですが、まだまだ信心深い人は多いようです。というか世界的に見れば、大多数が宗教に関心をもたない日本のような国の方が珍しいみたいで。ともあれなかなか貧困から抜け出せなかったり、「明日をも命が知れない」という環境にいる人たちはそれこそ神様にでもすがらないとやっていけないのかもしれません。それで多少なりとも前向きな気持ちになれるのであれば、宗教も決して悪いものではないと思います。ただそういう無力な人たちにつけこんで、お金をがっぽりかっさらっていく悪辣な僧職者たちも多くいます。これははっきり言って害悪としか言いようがありません。ぶったおさなくてはいけないでしょう。PKは宇宙人ならではの天然かつ鋭いツッコミでもってインチキ宗教人の化けの皮をはいでいきます。その様子がまことに痛快でありました。こういう映画が作られるということは、信仰心の篤いインドの人たちも「それ、おかしくね?」ということに気付き始めてるのでしょうね。

あとそれとは別にPKはまったくヒューマノイドタイプの宇宙人なので、地球人に恋しちゃったりもします。なんだか『スターマン 愛、はるかに』、みたいですね!(観てませんが…) しかし彼は精神年齢がよほど幼いのか、エッチなことは全く考えず純情少年のようにピュアな妄想をしたり、やたらまわりくどいアプローチを試みたりします。しかし彼女にはすでに意中の人がいるとわかったときのPKの胸中たるや… この辺チャップリンの『サーカス』やファレリー兄弟の『メリーに首ったけ』を思い出したりして涙がちょちょぎれました。基本自分恋愛ものはあまり興味ないですけど、与太郎が本心を隠して好きな人に尽くす話というのにどうにも弱いのです。実はこの『PK』、強引な展開にのりきれないところもあったのですが、このPKのいじらしさがツボにはまりはじめたあたりから、ぐーんとお話にのめりこんでしまいました。

Img_0484そんなわけで一風変わった喜劇や、インドの社会問題に興味がある人におすすめです。もう上映が残ってるところもわずかですが、興味を持たれた方は公式サイトをごらんください。DVDは4月末に出るようです。宗教がテーマの映画といえば現在スコセッシの『沈黙』も公開中。こちらは笑える箇所とかほとんどなさそうですけど、一応観に行く予定です。

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January 22, 2017

その銀河史の片隅に ジョージ・ルーカス ギャレス・エドワーズ 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

Swr11仕事の修羅場がひと段落ついた(終わってはいない…)ので、約10日ぶりの更新です。年末あれだけ盛り上がってたのに早くも沈静化しつつある(やばい!)『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』ご紹介します。

遠い昔、遥か彼方の銀河系で… 銀河帝国の圧政が続いていた時代。帝国は惑星さえも消滅させられる巨大兵器「デススター」を開発。これが稼動すれば反乱軍は壊滅し、銀河はさらなる暗黒に飲み込まれることになる。だがそれを憂う開発チームのゲイレン・アーソは、デススターを破壊できる極秘情報を反乱軍に通信。ゲイレンの娘ジンと様々な縁で引き寄せられた仲間たちは、その情報をもとに限りなく不可能なミッションに挑む。

ディズニーに買われたことで急に製作ピッチが上がっていったスターウォーズ。本筋となる新々三部作とは別に、2、3本のスピンオフも作られることになりました。その第一弾がこの「ローグ・ワン」です。
最初このタイトルを聞いた時には、エピソード5で活躍してたルーク率いる戦闘機チーム「ローグ中隊」が活躍する話なのかと思ってました。ただ入ってくる情報を聞くとルークが反乱軍に入る前の、エピソード4直前が舞台となるという。テロップでさくっと触れられてる「デススターの設計図を入手するために払われた大きな犠牲」、それについて詳しく明かされるとのことでした。ですからなくても全く歴史には影響ないパートなのかと思いきや、これが正史にがっつりとからむお話でありました。むしろこれがなかったら反乱軍の勝利はまずありえなかった…というくらいに重要なエピソードであります。
ただ一方でこれまでのスターウォーズとはカラーの異なるところも色々あり。そういう意味では確かに「番外編」と言えるかもな…と思いました。

ではどの辺が異なっているかというと、これまでのスターウォーズは歴史というより、とらかといえば「神話」であり「活劇」でありました。しかし今回の『ローグ・ワン』はより「戦争映画」としての側面が強いです。戦争には犠牲がつきものですし、活劇においてはヒーローとなっている人物も非常にあっけなく死んでしまったりする。そして戦争に関わっている以上、正義の側といえる陣営も少なからず後ろ暗いことに手を染めていたりする。『ローグ・ワン』はそんな意味で勧善懲悪的で明朗快活だった旧三部作とはずいぶんイメージが変わっています。
あと「歴史に名前が残らない、偉人の影で消えていった人たちにスポットをあてている」という点でも番外編と言えるかもしれません。今回お話をひっぱっていくのは超能力を持つ王族ではなく、自分の腕のみがたよりの犯罪者や逃亡者や失業者、そういったはみ出し者たちばかり。社会的には底辺もいいところです。考えてみれば我々が学ぶ歴史もまた、そういう無名の人たちの積み重ねで出来ていると言えます。しかしそうした犠牲者たちのことを思うとなんともやるせない思いに満たされます。実はわたしは多くの犠牲が払われたといっても、メインの二人くらいはなんとか生き残るんじゃないかと予想しておりました。そこはなんといってもやっぱり「スターウォーズ」でありますから。では実際にどうだったかというと… 言いませんけど(笑

ただ「無名の者たち」が主人公のわりには、メインキャストにはすでに演技面で高い評価を得ている一流の俳優さんたちがそろえられました。基本的にデビューまもない駆け出しの俳優を主軸に据えてくるスターウォーズではこれまた珍しいことであります。重厚でリアルな戦争映画を目指すために、高い演技力と存在感を持つ俳優さんが必要だったということでしょうか。

あとこの『ローグ・ワン』、後半大々的な撮り直しがあったということでもスターウォーズでは異例の作品です。終盤の惑星「スカリフ」のくだりですが、ギャレス・エドワーズ監督がほとんど脚本なしでインスピレーションの赴くままにカットを撮っていって、あとで上手につなげようと思ったらどうにもつながらなかったらしい(笑) そこへハリウッドでもトップクラスの脚本家トニー・ギルロイが急きょ書いたシナリオをもとに足りないシーンを撮り足していったら、めちゃくちゃテンションの上がる一級品のクライマックスとなった…とか。普通上層部が「駄目だ」と判断して作り直したりすると、まず傑作には仕上がらないものですが、『ローグ・ワン』は奇跡的に一級品となって再生しました。こうなるとギャレス監督が気の毒にも思えてきますが、彼は会社が作り直してくれたことに感謝しているそうですw しかしまあ、その影響で予告編に使われてた幾つかのシーンが本編では出てきませんでした(ジンがタイファイターに真っ向から向かっていく場面とか)。本当にスターウォーズのみならず何から何まで例外的であります。

個人的な萌えどころはと申しますと、やはりSWには欠かせないドロイドのK-2SO。元々帝国のものを捕まえてプログラミングしなおしたという設定。ただよほど自由度の高いプログラムだったのか、始終主人に愚痴や嫌味をいったりします。でもね、その実彼は「自由」を与えてくれたことに感謝していたのでは…と匂わせる場面がありまして、当然ながらそこで鼻水が吹き出ました。
もうひとつはAT-ATの初期型と思われるAT-ACTの大暴れ。ギャレス監督お得意の生の大型怪獣は今回出ませんでしたが、代わりにこいつが怪獣並みの活躍を見せてくれました。AT-ATは前6部作ではちょこっとしか出番のないメカでしたが、ギャレスもJJエイブラムスも再登場させてくれて、みんな大好きなんだな~とほっこりいたしました。

Roguexmentshirt001毎度魅力がうまく伝えられなくてゲンナリいたしますが、お正月映画の中では抜きんでて輝いていた『ローグ・ワン』。そろそろ勢いが落ちてきたので興味がありながらまだ観てない方はお早めにどうぞ。スターウォーズを1本も見てなくても十分楽しめます(たぶん)。
シリーズは今年末にエピソード8、来年末にハン・ソロのスピンオフ、さらに再来年にエピソード9…と作られていくそうです。果たしてその先はあるのか? そいつはぶっちゃけ売上次第でありましょう。

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January 09, 2017

ダーウィンとは違うものが来た! デビッド・イェーツ 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 

Fbmt1まだ去年に観た映画の感想を書いてます… ただこちらは開始から7週経つのにまだまだ人気のようですね。あの人気シリーズ『ハリー・ポッター』と世界を共にする新プロジェクト第1作、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、ご紹介します。

ハリーがこの世に生まれる数十年前、世界各地を旅し魔法動物を調査するニュート・スキャマンダ―という男がいた。北米はNYに降り立った彼はうっかりトランクの中の魔法動物たちを逃がしてしまい、たまたま関わりあったパン屋志望の青年(おじさん?)ジェイコブを巻き込んで大騒ぎを繰り広げる。一方時を同じくして闇の魔法使いグリンデンバルドは、人間たちよりも優位に立つべくNYの街でひそかに暗躍を続けていた。

ハリーたちが学校で使用している教科書に「幻の動物とその生息地」という本がありました(実際に現実世界でも出版されました)。この映画シリーズは、その著者ニュート・スキャマンダ―がどんな苦労をして妖怪や怪獣を収集したか明かしていく…という内容のようです。ついでに「ハリー・ポッター前史」のような意味合いもあり、本家シリーズの老人キャラの名前・一族名もチラホラ出てきたりします。

正直この作品はあまり観たかったわけではなく、時間の都合とネットでの評判がよかったので消去法で選んだのでした。というか「JKローリング、あんだけ稼いだのにまだ物足りないのかよ…」と意地悪な思いすら抱きました。ところがですね~ これが鑑賞してみたら予想外に楽しく心にしみる映画だったのでびっくりしちゃいました。予告編は何度も見てたし、それが的外れな内容でもなかったんですけど、予告編からは良さが全然伝わらないタイプの映画でした。

まずよかった点のひとつは、天然野郎ニュート君と苦労人でお人よしのジェイコブさんのコンビ。ニュート氏はムツゴロウさん並みに動物への愛情が深く魔法の能力もなかなかのものですが、人間界のルールには頓着しないところがあって、そのために成り行き相棒のジェイコブは大変な苦労をしょわされることになります。まるでホームズ&ワトソンか、はた迷惑なドラえもん&しっかりしたのび太のよう。ただジェイコブ氏には申し訳ないけれどそのコンビのドタバタがとっても面白くて、和みます。で、このジェイコブさんがぽっちゃりしたチョビひげのおっさんなのに目がキラキラしてて大変にかわいらしいのですね(しかも性格もとってもいい)。本当にこんな妖精のようなおっさんをよく見つけてきたなあ、と思いました。

あとこれはハリポタにはあまりなかった要素ですが、大人ならではの辛い背景とか切ないお別れなども描かれているのがツボでした。といってただ悲しいだけではなく、それらもいちいちさわやかだったりしてね。

反面ハリポタ後期に見られたダークな要素も含まれております。前半は先も述べたようにお洒落な藤子・F・不二雄的ムードでありますが、中盤頃からだんだんと『キャリー』みたいなお話になっていきます。どす黒い闇の力に対して和み系のニュートとジェイコブはどうやって立ち向かうのか。観ていてものすごく心配になりました。ハリーくんならいざという時救世主のスーパーパワーでなんとかするんでしょうけど、ニュート君にはとてもそこまでの力はなさそうなので。ここまで読んで気になった方はぜひ映画館で観てハラハラしていただきたい。

もちろんスクリーンを彩るヘンテコな魔法動物たちもこの映画の大きな魅力です。自分が特に気に入ったのは見かけはポケモンの「コダック」みたいなのに、性質はカネゴンな「ニフラー」というやつ。マスコットとして主人公の役に立つのかと思いきやただただ足をひっぱるだけでした。代わりにニュートのポッケからチラチラ顔を出すチューリップもどきが、アクションシーンでは突然フェニックスのようにかっこよくなって魅せてくれました。ほかにもこの手の謎の生き物が色々でてきます。
Fbmt2いやあ、映画って本当に観てみるまでわからないですね…ということを教えてくれた『ファンタスティック・ビースト』、当初は三部作と聞いてましたが突然五部作に変更になりました。ハリポタより儲かってなさそうなのに大丈夫かな… おそらく1作ごとにニュートが違う大陸を訪れるという展開になりそうです。ファンタジーは「何部作」と銘打つと大抵途中で息切れしてしまうことが多いので、「ファンタビ」がそうならないよう祈るばかりです。


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