December 21, 2021

2021年12月前半に観た映画

2021年もあと10日。心なしか除夜の鐘が聞えてきたような(まだはやい)。とりあえず見たてほやほやの今月前半に鑑賞した作品の感想をまとめます。今回は割りと結末近くまでばらしちゃってるのでご了承ください。

 

☆『ほんとうのピノッキオ』

一昨年イタリアで公開され、名だたる映画賞にノミネートされまくった作品。内容はというと、タイトルの通り誰もが知ってるあの童話を忠実に映像化したものとなっております。『ピノキオ』の映像化といえば昔のディズニー版やTVアニメ『樫の木モック』などが思い浮かびますが、今回はVFXを多用してるものの一応実写。そしてあのエグみたっぷりのファンタジー『五日物語』のマッテオ・ガローネが手がけるといぅ。どんなダークで残酷なピノキオになるのかと思いきや、なんとか子供たちが観ても楽しめる・ためになる映画になっておりました。「勉強もせず遊びほうけてばかりいると悲惨な目にあう」という教訓も非常に強く伝わってきましたし。ガローネ監督もやればできるじゃないですか。

ただ実写になったことで、ファンタジーなのに現実のきびしい面もよく描写されておりました。法の規制がしっかりしてない社会では、保護者のいない子供はずる賢い大人たちからひたすら酷使され、搾取されるしかないという。そういう点では昨年の『異端の鳥』なども思い出されました。

 

☆『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

ソニー独自のアメコミ世界「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の第二作。宇宙からやってきた陽気な寄生生物「ヴェノム」と、適当なジャーナリスト・エディのお気楽コンビが、自分たちのサイコパス・バージョン「カーネイジ」と激闘を繰り広げます。

わたしが昔読んだヴェノム初登場のコミックでは、この寄生体ってもっと冷血というかマシン的で無感情なキャラだったんですけど、この二部作ではすっかりかわいげのあるゆるキャラと化してしまいました。ま、映画のヒット具合や面白さを考えますとそれが正解だったといわざるを得ません。

ただ人外と人間のコンビというのは最後にかなしいお別れが待ってるもの。『うし○ととら』しかり、『寄○獣』しかり、『キル○キル』しかり(例外は『ド根性○エル』)。ヴェノムとエディもそうならなければいいな…と心配しながら観てました。嘘です。まだまだ2作目ですしドル箱であるこのシリーズをソニーさんがそう簡単に手放すわけはないんです。そんなわけで今年有数の安心感と共に一人と一匹の活躍とコントをたのしませてもらいました。

半善半悪であるヴェノムに対し、全く同情の余地も善性もないのがカーネイジ。その凶悪っぷりに、自らが生み出された存在なのにも関わらずノムさんはすっかりビビッてしまって「あいつは赤いから勝てない」などと言ったりします。なぜ… 赤いと3倍速いから? ともかくこの自分たちのスペックを上回る強敵を、ヴェノム&エディが彼らにしかない強みで逆転するくだりは燃えました。これは恐らく石川賢先生の名作コミック『ゲッターロボ対ゲッターロボG』のオマージュであるかと思われます。間違いあるけどない。

 

☆『アンテベラム』

☆『ラストナイト・イン・ソーホー』

この2本は共通点多かったのでまとめて。『アンテベラム』は現代に生きる黒人女性が南北戦争の時代にワープし、『ラストナイト~』は2020年代に生きる女の子と1960年代の幻想が時を越えて結び合わされます。ほんで先回紹介した『マリグナント』もそうなんですけど、非力な女性がすごく理不尽な目に合わされ、それでも最後は自分の力で決死の抵抗を試みるという流れ。途中であっと驚く意外性が用意されてるところもおんなじ。わたしそんなに怖い映画観てないんですが、最近のホラーの傾向なんでしょうか。

もちろん各作品それなりに差異もあります。一番幻想味が濃いのが『ラストナイト~』。島田荘司先生が提唱する「本格ミステリー」的なのが『アンテベラム』。ギリギリSFなのが『マリグナント』といった感じです。

『ラストナイト・イン・ソーホー』はエドガー・ライト監督の出世作『ショーン・オブ・ザ・デッド』を思い出させるところもあり。ロンドンが舞台の友情物語であったり、一応ホラー風味であったり、ほっとするようなぞっとするようなオチなどなど。面白く観ましたが終盤あまりにも殺伐としてたので口直しにそれこそ『ホット・ファズ』など観ていやされたくなりました。

 

次回は『マトリックス:レザレクションズ』『皮膚を売った男』『キングスマン:ファーストエージェント』あたりの感想となるか、先に本年度漫画ベスト・映画ベストの記事となるか。

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December 13, 2021

2021年11月に観た映画。

今年の感想、今年のうちに… というわけで11月に観た映画の感想です。

☆『エターナルズ』

劇場でのMCU最新作。伝説で語られていた神々が、実は太古地球にやってきた宇宙人だったら…というストーリー。

わたしこういう話好きなんですよね。はるかとおい昔と現代のつながりを綺麗に描いている物語。あくまでフィクションではありますが、想像するだけで気が遠くなるような太古の時代がぐっと身近に感じられる気がして。

悠久の時を生きてる神々たちがやけに人間くさく、お互いくっついたり離れたりを繰り返してるのが違和感ある人もいるようですが、それはたぶん本ネタのギリシャ神話の神々が欠点含め人間に近い存在…というかやらかしばかりだからですね。まだエターナルズの皆さんの方が元ネタの神々よりちゃんとしてると思います。

監督は春にアカデミー作品賞・監督賞をゲットしたクロエ・ジャオ氏。『ノマドランド』と同じく俳優の素の性格に合わせてキャラを形作っていったとのことですが、そんな三谷幸喜的な「あて書き」でアメコミ映画を撮ったというのがなんとも面白いじゃないですか。

無理にMCUに組みこまずとも一本の作品として成立できたのでは…とも思いますが、そうでなければ企画が成立しなかっただろうし、ここまで注目もされなかっただろうし。そもそも原作マーベルですし。むずかしいところであります。

 

☆『アイの歌声を聴かせて』

こういうタイトルですが歌うのはアイちゃんじゃなくてシオンという名のAI。そして主人公は彼女じゃなくサトミさんという普通の高校生…というところがちょっとややこしいです。

このアニメはスルー予定だったのですが、ネットの評判があまりによかったので半ば流される形で鑑賞しました。あと共同脚本が『コードギアス』『プラネテス』の大河内一楼氏だったから、という理由もあります。彼は本当に気落ちしてる時に自分の大切な人に暴言を吐いて傷つけてしまう…というシチュエーションが好きですね… それはともかく私が気に入ったのはイケメン優等生の「ごっちゃん」に関するくだり。なんでもそれなりに出来ちゃうために物事に対する情熱が抱けない、『桐島、部活やめるってよ』の東出君みたいなキャラ。「親友がいない」と寂しげに語る彼がシオン、サトミらと事件に巻きこまれていくうちに、本当の友達を得ていくのがなんとも微笑ましく。それは主人公のサトミちゃんもそうなんですけど。

少し前の『竜とそばかすの姫』と共通する要素も幾つかありましたが、あちらのテーマがネットであるのに対し、こちらはAIであるのが監督の嗜好を表わしてる気がします。

 

☆『アイス・ロード』

ついつい観てしまうリーアム・ニーソン主演のアクション映画。今回はカナダの氷上で『恐怖の報酬』じみたミッションに挑みます。といってもトラックにニトロを積んでるわけでもなく、いつ割れるかわからない凍った湖の上をひたすらぶっ飛ばすお話です。カナダには実際に冬季限定のそういう道があり、暖かくなると当然通行禁止になるんですけど、タイミングよく?ギリギリ封鎖の時に人命救助のため走らなければならなくなるという。そういう面白い設定を見つけてきたところをまず評価します。

これ、海外の評論サイトではなかなかきびしい点がついていますが、たぶんむこうでは配信限定だったからでは…と思います。巨大なトラックの爆走音も、分厚い氷がバキバキ割れていく迫力も、テレビサイズではどうしても半減しますからね。スクリーンで観てこそ映える作品です。

ただ氷の上を走るだけだと100分もたないので、もたせるための工夫が幾つかあります。その辺を「よく考えた」と取るか「よけいな要素」と取るかで意見が分かれそう。自分はもちろん前者です。

 

☆『マリグナント 凶暴な悪夢』

『ワイルドスピード/スカイミッション』『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が制作費をぐっとおさえて(前2本の1/4くらい)、それでも赤字になってしまった作品。だのにホラーファンからは大絶賛という… ホラー苦手なんですけど、こちらもネットでの評判に押されて観ました。つくづく流されやすい人間です。

そんなわけでビクビクもので臨みましたが、やたらとにぎやかだったせいか、あまりびびらずに楽しめました。いざブツが出て来る時にはBGMで心の準備をさせてくれたり、息抜きのコメディパートがあったのもチキンにはありがたかったです。そして怪物の正体がとうとう明らかになるシーンでは失礼ながらちょっと笑ってしまったり。その一発ネタを明かすまでの話の運び方がなかなか上手だったと思います。

感心したのは主人公を一生懸命支えようとする妹さん。本人は悪くないとはいえ、あんな明らかに尋常じゃないお姉さんの秘密を目の当たりにしたらドンびきしそうなものですが、それでも彼女への愛に一点の曇りもないという。一昔前だったらこういう役回り、イケメンの恋人が担ったんでしょうね。というかつい一昨日観て来たホラーはそうでした。

 

☆『カオス・ウォーキング』

厳密にいうとこれは12/1に観た作品。監督にダグ・リーマン、キャストにトム・ホランド、マッツ・ミケルソン、デイジー・リドリー…といった布陣でいかにも鉄板そうだったのにこれまた大赤字となってしまい、日本では遅れた上にやや小規模公開となってしまいました。

思考が周囲に駄々漏れになってしまう惑星の、男だらけの開拓村に、久方ぶりに母星からの女性がやってきて…という話。発想はユニークだしストーリーも誠実なんですけど、「宇宙SFなのにほぼ背景が森林と農村」だったのが敗因のひとつかと。原作が真面目なジュブナイルSFだと時々起こる現象です。なぜかひたすら地味になってしまう。『ギヴァー』とか… あれ、ほかにもっとなんかあったような。

それでもトム・ホランド演じる純朴な少年が傷つき、それをヒロインのデイジーさんが慰めるシーン等は少々鼻水を搾り取られました。そのホランド君が傷ついた原因については大激怒でしたが。えー、トータル的にはこれも鑑賞料金くらいには楽しめました。

 

11月に観た作品は『エターナルズ』以外はそんなに楽しみにしてたわけでもなく、ちょっと消化作業に近いモチベーションではありましたが、そのせいかどれも期待以上に楽しかったので良かったです。次は『本当のピノッキオ』『ヴェノム レット・ゼアー・ビー・カーネイジ』『アンテベラム』『ラストナイト・イン・ソーホー』について書きます。

 

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November 30, 2021

2021年10月に見た映画②

奇跡の2日連続更新… というわけで今日は主に10月後半に観た4本についてばばばっと書きます。

 

☆『ジュゼップ 戦場の画家』

第二次大戦時、スペインの内乱からフランスへ逃れてきた画家ジュゼップは、そこで同郷の人々と共に収容所に放りこまれ、過酷な扱いを受ける。しかしどれほどどん底な状況にあっても、彼は描くことをやめなかった。

架空の人物の話かと思ったら一応実在のアーティストの物語でした。あのフリーダ・カーロと恋仲だったこともあったようで、途中そのカーロさんもがっつり出てきます。

「戦場の画家」というタイトルですが、ほぼ7割くらいは収容所のお話。人間の残酷姓があぶりだされるえぐいエピソードも幾つか出てきますが、タンタンのようなシンプルな絵柄がきつさを弱めています。また、語り手である心やさしい看守との友情が映画全体に温かみをそえておりました。

 

☆『最後の決闘裁判』

今年一番感想を書くのに慎重になってしまう映画。少し前某監督が頓珍漢なレビューをして軽く燃えたりしてたもので…

中世実際に行われていた、戦って神の保護を得た=勝利した者が正しいとする「決闘裁判」。それを題材に権威を持つ者の傲慢と尊厳を汚された者の苦闘を描いた物語…でいいのかな? 3幕構成でそれぞれ違う者の視点からストーリーが進行していきますが、同じ場面を写しているのに微妙に登場人物の反応が違っていたり。そういう手法を取ることで人…特に権力者は自分の都合のいい方に真理をねじまげてしまうということが巧みに描かれております。

わたしはこのリドリー・スコット監督の『グラディエイター』が結構好きなんですけど、あちらがヒロイズムを高らかにうたいあげた映画なのに対し、こちらではヒロイズムに酔うことの滑稽さ・醜さが強調されております。ただ『グラディエイター』も奴隷というマイノリティに落とされた主人公が自分の尊厳のために必死に戦うお話なので、根底のテーマは共通してるんじゃないかなあと。

わたしなんか何の権力もないし、人一倍人に迷惑をかけることを恐れてる小心者ですけど、自分に都合のいいように考えて自分より弱い人を傷つけてしまうことが絶対にないとは言い切れません。ひきつづきその辺気をつけていきたいと思いました。

で、その頓珍漢な感想を書いてしまった監督の最新作が↓

 

☆『燃えよ剣』

数ある新撰組を扱った物語の中でも王道中の王道とも言える司馬遼太郎の小説を映画化。原作は上下二冊ながらもぎゅっと内容が濃縮された作品なので、そいつを2時間30分で描ききるのは不可能やろーと思っていたのですが、これが意外や意外。駆け足ではありましたが大事なところはきっちり押さえて一本の映画に収めきったのは見事でした。

見事といえば新撰組や幕末の群像のキャスティングが、これまたぴたっとはまっていました。特に印象に残ったのはどう見ても近藤さんだった鈴木亮平氏、爆弾のようにワイルドなのに沖田だけにはめっちゃやさしい芹沢鴨=伊藤英明氏、そして童子のような純真さと酷薄さを併せ持つ沖田総司=山田涼介君。その山田沖田君が血を吐いて伏しているところを舞妓さんがやさしく介抱するシーンは、それこそ一級の絵画のような美しさがありました。新撰組のダーティな面もきっちりしっかり描写してたことも高ポイントです。

原○監督の映画票は総じて辛口な割りに的外れなものが多いのですが(たぶん人に読まれることを考えてない)、さすがベテランだけあって本業はちゃんとしたものをこしらえてきますね。そんなところに人間の不思議さを感じます。

 

☆『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』

これまで2本が作られたオモチャ原作映画『G.I.ジョー』のリブート第1作(ただ2作目があるかどうかはかなり雲行きがあやしい)

人気の忍者キャラ「スネークアイズ」にスポットをあて、彼がどういう生い立ちで、なぜ漆黒のエージェントになったのか…ということが明かされていきます。

全体の8割ほどが日本で進んでいきますが、そこにあるのはありそうでなさそうな海外映画によくある珍妙な日本。日光江戸村あたりが一番近いかもしれません。でもこういうカリフォルニア巻きみたいな映画、時々観たくなることありません? わたしはあります。

春にやっていた『モータル・コンバット』に近いところもあります。あちらの方が随分現実離れした内容ではありますが、トンチキ具合は負けていません。富三郎だからトミーとかその辺がもう… ただこれは原作の時点で既にそうだったのかも。

日本でも米国でも大コケに終わってしまったのは残念。忍者といえば世界共通で人気の題材だと思っていたのにそうでもなくなってしまったのかなあ。またそのうち気合の入ったトンチキな忍者映画が作られることを望んでやみません。

 

次は11月に観た『エターナルズ』『アイの歌声を聞かせて』『アイス・ロード』『マリグナント』について書きます。

 

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November 29, 2021

2021年10月に観た映画①

気がつけば今年もあと一ヶ月ちょい。年々歳月が過ぎる速さが増してる気がする小生です。それはともかく本日は10月前半に観た映画についていまさらまとめてみます。

 

☆『アナザーラウンド』

つい『アンダーグラウンド』と間違えてしまう1本。さえない高校教師マーティンは、一杯飲んだ方が授業が盛り上がる!ということに気づき、仲間たちと能力の向上を図るため仕事中ガンガンアルコールを摂取し始めるが… 普通すぐバレるだろ。

そんな無茶な着想のお話ではございましたが、デンマークの素朴な人々の等身大のドラマにほっこりと胸があったかくなりました。トリアーとかレフンとか、デンマークの映画ってなんかえぐい印象が強かったのでその意外性も手伝って。

しかしほっこりするだけでなく、人生の秋を迎えた者たちが遭遇する様々な切なさ寂しさも描かれており、飲酒が全てを解決するわけではない(当たり前か)こともよくわかるようになっています。かつてはハンニバルとして不可能なことなど何一つなかったマッツさんが、家族との意思の疎通さえ満足にできないで涙する様子には胸が痛みました(『ファーザー』の時も同じこと書いてたわ)

デンマークでは15歳からお酒を飲んでいいというのは驚きでした。ポスターがさわやかで弾けてて印象的なんですが、いつこの絵が出て来るのかと待ってたらラストシーンだったのは減点です。

 

☆『キャッシュトラック』

春の『ジェントルメン』がまだ記憶にあたらしいガイ・リッチー監督の最新作。とある現金輸送会社の運転手にふらっと応募してきた男。試験では射撃の腕は平凡だったのに、いざ事件に見舞われたら無双とも言える戦いぶりを見せ… そんな「なめてたステイサムがいつものステイサムだった」とでも言うべき映画。時系列を行きつ戻りつしながら、主人公の動機と謎が少しずつ明らかになっていきます。

ガイ・リッチーといえばアクションの合間に軽妙なお笑いをまぶした作風で知られていますが、今回はそのコメディ部分を封印。主人公の怒りと不気味さを執拗に強調し、どのキャラにも感情移入が出来ないような作りとなっています。そしてバタバタと死体があふれた果てに迎えるENDの虚無感。こういうのも悪かないけど、やはりリッチーには普通にお笑いがほしいなあ。まあそれでもマイ・リッチー・ワーストの『リボルバー』よりは遥かに面白かったです。

 

☆『DUNE/デューン 砂の惑星』

ホドロフスキーが頓挫し、デビッド・リンチが大コケした伝説のSF小説の映画化を、少し前『ブレードランナー2049』で大赤字を出したばかりのドゥニ・ヴィルヌーヴがチャレンジ。正気か。ちなみに製作はかつて「客の観たいものより俺たちが見たいものを作る」と言い切ったレジェンダリー・ピクチャーズでした。

しかし今回は不思議なことにこういうSF叙事詩にみんな飢えていたのか、パート2の製作が決まるくらいにはヒットしました。そう、これシリーズ第1作の前半部分だけしか描かれてないのですね… ですからそこそこキリのよいところでバサッと終わっちゃいます。二時間半もあるのに。

ただ自分は秋に連発された長尺映画の中ではこれが一番好きです。なぜかというと怪獣が出てくるから(低偏差値)。あとタイムボカンに出てきそうなトンボ型飛行機がこれまたよかったです。

そしてこれの後にリンチ版を見ると、30年の技術の差がよくわかってとても面白いんですよね。パート2より先に結末がわかっちゃいますけど、ぜひ2バージョン合わせての鑑賞をおすすめします。

この作品は湘南のIMAXで観ました。映画の前に同じ施設のガーリック料理専門店でたらふく食べたら半端ないニンニク臭を放っていたようで、周りのお客さんたちに多大なる迷惑をかけてしまいました。反省してます。

 

☆『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

結末に思いっきり触れてるので未鑑賞の方はご了承ください…

 

 

今回主演も試写会組も「終わり終わり」と未だかつてないくらい完結を強調してた007。「いくら終わり言うてもまさか死ぬこたないだろー」と思ってたのですが、普通に亡くなられましたね… これじゃタイトルに偽りアリじゃないですか!! 絶対ラストで『怪傑ズバット』みたく「実は生きてた!?」ことを匂わせて幕だと予想してたのですが。

ダニエル・クレイグ氏の007は当ブログを始めて間もないころからずーーーっとつきあって来たので、さすがに感慨深いものがあります。前作『スペクター』よりは確かに感動したけど、あそこで終わっておけばボンちゃんも幸せなままフェードアウト出来たのになあ。

そんなわけで無理を承知で次作もダニエル・クレイグ続投でお願いします。エンドロールの最後にも「ジェームズ・ボンドは帰ってくる」って書いてあったし。リブートととか仕切り直しとかそういうのは認めません。自分は頭がかたいので。

 

 

なんとか年末ベストをまとめる前には少しずつでも前作の感想を書いておきたいものです。次は主に10月後半に観た『ジュゼップ 戦場の画家』『最後の決闘裁判』『燃えよ剣』『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』について書きます。

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November 15, 2021

2021年9月に観た映画

あっとまた一ヶ月放置してた… このごろ講習やら接待やら色々ありまして。そんなわけでようやく先々月に観た映画のまとめです。

 

☆『モンタナの目撃者』

『最後の追跡』、『ボーダーライン』2部作、『ウィンド・リバー』に続くテイラー・シェリダンのアメリカ辺境シリーズ第5弾。今回は社会風刺的要素は見当たらず、純粋に追跡劇とモンタナの大自然がメインとなっております。

悪者コンビが腕利きらしいのに度々ドジを踏んだり、本格的にアクションが始まるまでに時間がかかったり…とあえて娯楽作品の定型を崩してるようなところがあるんですが、それも彼の持ち味でしょうか。

シェリダン関連では3回目の当番となるジョン・バーンサル氏はこれまで最も出番が長く、しかもいい役でした。よかったですね! ただ幸せかというと(略)

 

☆『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

本格的にエンジンがかかってきたマーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4第2作。わたしマーベルのキャラはそれなりに知ってるつもりでしたが彼に関しては映画化が決まるまで聞いたことがなく。だのにそれなりに歴史の古いヒーローだと知って驚きました。本当に底が知れない世界です。予告編を観ると単に腕っ節の強い兄ちゃんが都会で大暴れする、くらいのストーリーに見えます。ところがどっこい後半からはこちらの想像を越えて中国神話のファンタジックな世界が展開されていきます。ですからはここはあえて後半を全く写さなかった予告編をほめたい。

そしてわたしがなによりツボだったのがこのモーリスという生き物(画像参照)

Hundun 頭がケツみたいな実に奇怪な生き物ですが、これがまたなんとも愛らしい。ポケモンからインスパイアされたと思いきや、これ古の史書にちゃんと書かれてる「混沌」という由緒正しき神獣なんだとか。このモーリスだけで1億点差し上げたいと思います。あとシャン・チーの輪っかをスプリングや玉すだれみたいにして操る武術も独特で楽しゅうございました。

 

☆『ドライブ・マイ・カー』

村上春樹の幾つかの短編を1本の映画に再構成・アレンジしたもの。村上さんは正直よくわからんのですが、この映画は面白かったです。

序盤はとてもインモラルというか他人の秘密を覗き見してるようなイケナイ気分にさせられます。しかし中盤過ぎからは地方の演劇祭の話になり、これが実にまったりと癒されるムードで、傷ついた主人公・家福と同様心がだんだんあたためられるような気持ちになっていきます。そんなムードに水を刺すのが不穏を具現化したような岡田春生君。彼が家福の再生をまたぶち壊しにしてしまうのでは、とハラハラしながら観てました。

印象的だったのが、極力感情をこめずに行うセリフの練習や、幾つかの言語が入り混じった状態で行われる演劇の様子。そうした要素はすぐ目の前で普通に会話していて、お互い意思が通ってるように思えても、実は全然わかりあえてないかもしれないコミュニケーションの難しさを表わしていたのかな…と。

あともう一つ重要なモチーフにドライブ・車があります。運転というのは免許と車があれば自分ひとりでもできるものですが、時には誰かに乗せてもらって周囲の景色を眺めるのもよいもので。たまにはそんなドライブもしてみたくなりました。運転手募集中。

 

 

☆『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
1995年に公開されその後映像作品に多大な影響を与えたマイルストーン的なアニメ映画。この度のリバイバにより初めて「ああ、こういう話だったのか」と。

この少し前に大都市を舞台にしたSFアクションとしては『AKIRA』があるわけですが、そちら…大友作品が肉体にこだわるのに対し、こちらの押井作品は肉体と実存の不確かさがひたすら強調されてた気がします。

主人公が警察の特殊部隊で、正体不明のテロリストを追うとなれば当然最後は両者の激しい対決が待っている…と思いますが、予想を裏切り両者が同調してどこかへ旅立ってしまうというのはなかなか驚愕の展開でございました。

それにしてもWindows95くらいしかなかった時代に既にネット社会の発達をここまで予期していた押井・士郎両先生の炯眼には恐れ入ります。

 

 

☆『レミニセンス』

これまた近未来サイバーSFか…と思いきや科学的なガジェットは「記憶再現装置」くらいで、全体的には古めかしいハードボイルドかフィルムノワールのような雰囲気が濃厚に立ち込めております。半ばを世を捨てているような主人公のもとに突然訪れるファム・ファタール。運命にたぐりよせられるように彼女を巡る陰謀に巻き込まれていく探偵。実にコテコテのパルプフィクションでありました。

あと印象に残るのはやはり記憶再生装置。自分の思い出を3D映像に再現してくれるという優れもの。劇中の警察では予算が無いため2D版しかない、というくだりがあって笑いました。それはさておき年齢が上であればあるほど、この装置使いたくなるのでは。自分はこれで亡くなった先代の猫2匹に会いたくなりましたねえ…

町が水に沈みかかってるアフター『天気の子』みたいなビジュアルもよかったです。

 

 

☆『クーリエ:最高機密の運び屋』

米ソの対立が激化しつつあった1960年代。東側からの情報をえるためCIAとMI6がかの国に送り込んだのは一人の平凡なセールスマンだった。

これはすごい話でした。『クレヨンしんちゃん』のヒロシさんみたいなお父さんが、世界の命運を賭けた重要任務を任されてしまう。しかも実話。任せるやつらも任せるやつらだと思いますが、実話なんだからしょうがありません。

実話ゆえにつらいのはフィクションだったら全てめでたし、よかったね…で終わるところがそうはならないところですね… 少々ネタバレになりますがずっとビクビクしてたヒロシさんが、異国の地での友人を救うために勇気を振り絞るシーンは本当に胸が熱くなります。しかしいつでもその必死の勇気が報われるとは限らないのです。泣けます。

『シャーロック』では完全無欠の超人を演じていたベネディクト・カンバーバッチさんがこちらでは肝の小さい小市民を好演。本作品では製作総指揮も努めておられるのでこの題材に並々ならぬ思い入れがあったようです。

 

 

なんとか9月の分まとめ終わりました。次回は10月前半に観た『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『アナザーラウンド』『キャッシュトラック』『DUNE』などについて書きます。

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October 14, 2021

2021年8月後半に観た映画

よし、ペース速まってるな… というわけで8月後半に観た映画4本です。

 

☆『ドント・ブリーズ2』

1作目は怖そうなので劇場ではスルーしてしまったんですが、2作目はツボな感じがしたので予習してから行ってきました。ちなみに1作目は金を溜め込んでると噂の老人の家に若者の泥棒チームが侵入するのですが、この老人というのが元軍人で盲目なのにめちゃくちゃ戦闘スキルが高く、若者たちは一人また一人と狩られていく…というストーリー。強盗を企む若者たちも殺しが派手派手なじいちゃんにも感情移入が出来ないのがつらい作品でした。ただ1時間半家の周囲をおっかけっこしてるだけなのに飽きさせない脚本力は見事でした。

で、2作目。前作からの共通キャラはじいちゃんと犬だけ。そしてじいちゃんはわけありの少女を育てているのですが、この少女がどういうわけかプロの戦闘集団に狙われて…という話。1作目のモンスターが2作目ではヒーローになるという流れ、まるで『ターミネーター』シリーズみたいです。

で、こちらはやっぱり『ジョン・ウィック』の1と2を1本に凝縮したような構成が大変好みでした。大画面&大音量で観てもあんまし怖くなかったのも良かったです。尿意をこらえてエンドロール後もチェックしたらすごく曖昧な感じの映像がちょろっと流れました。観客の想像に任せます、ということなんでしょうがちょっとイラッとしましたよ?

 

☆『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

さほどヒットしたとも思えない『妖怪大戦争』(2005)の精神的続編。あの大魔神が出て来るというので観てきました。で、確かに大暴れしてくださるんですがもう既にあんまり覚えていません… あ、「大戦争」というタイトルなのに戦争を否定するというか「やさしい心が大事だよ」という結論だったのは大変良かったと思います。

 

☆『スペースプレイヤーズ』

あまりメジャーでもない『スペース・ジャム』(1996)の一応続編。電脳空間でNBAのレジェンド、レブロン・ジェームズがアニメのキャラたちとバスケ勝負をするという内容。アイアン・ジャイアントが出て来るというので張り切って観てきました。が、この前に家系大盛り豚骨ラーメンを食べたのが良くなかったのか前半だいぶ寝てしまいました。でもアイアン・ジャイアントが画面にチラチラ映るだけで1億点です。あとDCキャラをたくさんにぎやかしに使えるのがワーナーさんの強みですね。

 

☆『オールド』

私のツイッターではクリストファー・ノーランと並んで最も愛されているナイト・M・シャマラン最新作。アジアのリゾート地にやってきたある家族が、ホテルの支配人に「秘密のビーチ」に案内されるが、そこは一日で人が何十年も老いてしまう恐怖のエリアだった。

予算も舞台空間も限られた中で、息つく間も与えないサスペンスを終盤までひっぱり続けるあたりはさすがシャマラン。『アフターアース』『エアベンダー』のころの不調は完全に脱したとみてよいでしょう。あとやっぱり彼はみんなが思いつきそうで思いつかない、奇妙なアイデアを生み出す力に長けております。

ただ今回は批評家からの反応があまりよくないようで。たぶんもっと救いのない結末にして、強引な理屈付けをオミットして不条理なスタイルに徹すればそっちの評価も上がったと思います。でも自分はあえてそうせず普通にエンターテインメントに仕上げたシャマランを支持したいです。

 

次は『モンタナの目撃者』『シャン・チー』『ドライブ・マイ・カー』『攻殻機動隊 ゴースト・イン・ザ・シェル』『レミニセンス』『クーリエ』についてちょっとずつ書きます。

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October 05, 2021

2021年8月前半に観た映画

9月もあっという間に過ぎ、今年も残り1/4。年末までに追いつけるように少しペースを早めます。そんなわけで猛暑の8月前半に見た作品。

 

☆『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園』

滅多なことがない限り映画館まで観にいかないクレしん映画ですが、今年のは「ミステリーとしてよく出来てる」という噂を聞き鑑賞してまいりました。映画ではあんまり謎解きとかしなくなった『コナン』へのアンチテーゼなのでしょうか。

ポイントが全てを左右するエリート校「天カス学園」に体験入学することになったしんのすけたち。だがその学園では「吸ケツ鬼」が生徒たちがお尻をかじり、おバカにしてしまうという不可解極まりない事件が起きていた。吸ケツ鬼の正体は。そして彼の目的とは…

なるほど、確かに魅力的な?謎、誰もが容疑者たりえる状況、周到な伏線、ミスリード、意外な犯人…と近年まれに見るミステリー映画のケツ作でありました。ダイイング・メッセージに関してだけはちょっと強引でしたが(被害者生きてるし)。

普通の推理ものなら事件解決して終わりなんですが、これはクレしん映画なのでその後にもう一山アクションがあります。あと鑑賞後無性に焼きそばパンが食べたくなる作品でした。

 

☆『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』

一年以上予告を見させられた映画がここに来てようやく次々と公開されてますが、これもそのうちの1本。「ファミリーファミリー」と家族の絆を謳い上げてる本シリーズですけど、そういえば主人公ドムさんの家庭環境ってどんなだったの?ということがカーアクションと平行して語られます。

前の作品の感想で「ライバルが一度戦うと仲間になってしまうあたり、少年ジャンプ化が著しい」と書きました。その傾向はさらにヒートアップして、どう見ても死んでたハンさんが適当な説明で「実は生きてた」ということにされてしまいました。あと2作で完結を迎えると言われてるこのシリーズ、いっそのこと今まで死んだキャラ全員生きてたという結末にしちゃえば、これ以上ないめでたい幕引きにできるのでは。

帰ってきたといえばほぼ外伝だった「3」の主人公もようやくファミリーに迎えられた模様。顔も性格も変わっちゃってたのでわかりづらかったですけど。今回宇宙まで飛び出してしまった『ワイルドスピード』。残る領域は海底、地中、異次元、時間旅行くらいでしょうか。

この映画で終始むっつりしてたジョン・シナさんがブリーフ一丁でルンルンしてたのが↓

 

☆『ザ・スーサイド・スクワッド  “極”悪党集結』

奇跡の二週連続ジョン・シナ祭り。4年ぶりのジェームズ・ガン監督最新作ということでこれまた待望だった作品。デ○ズニーで出来なかったゴア描写を「これでもか!」というくらいやりまくってます。そんなわけである意味ガン監督が原点に立ち返ったとも言える映画。

『スーサイド・スクワッド』は5年前にも一度映画化されてるのですが、今回とつながってるのかというとこれがイマイチわかりにくい。同じ役者さんが4名同じキャラで続投してることを思うと、やっぱり後日談なのでは?と思いたくなります。ただその中に何人か扱いが不憫な方がおられまして。わたしは「差し替え変形」「順次公開予定」という言葉と同じくらい、「前作で生き残ったキャラがあっけなく死ぬ」のが嫌いなので悲しくなりました。

ガン監督はインタビューで「誰それが死んだときは悲しかった」と語っておられましたが、それを読んだ時「じゃあなんで殺したの?ねえねえねえねえ」と小部屋で10時間くらい問い詰めたくなりました。

とまあそんな不満もありましたが、DC世界の机の隅からこそぎ集めてきたような珍妙な連中が、ドバッと出てきてはサクッと退場していくのは正直楽しかったです。長年「本当にこんなキャラいるんか?」と思ってたポルカドットマンとかね。『エグゼクティブ・ディシジョン』のセガールを彷彿とさせるマイケル・ルーカーさんもお疲れ様でした。せっかくこれまでガン作品に皆勤賞で出てるので、『GotG Vol.3』にも回想とか双子の役で出てほしいところ。

 

☆『フリー・ガイ』

すっかりメタフィクションの第一人者となってしまったライアン・レイノルズ主演作。ゲームの中でモブと設定されてたキャラがあることをきっかけに自我に目覚めて…というストーリー。

ここ数年人気のテレビゲームに「オープンワールドもの」というジャンルがあります。メインのミッションの他に自由にゲーム内の世界をうろついて、好きなことが出来るというシステムになっています。一番メジャーなものというと『グランド・セフト・オート』シリーズでしょうか。で、こういうゲームには本筋と関係ない通行人的なキャラが多くいて、困ったことに彼ら彼女らが頻繁に巻き添えになったり吹っ飛ばされたりしちゃうんですよね。本当にわざとそういう風に作ってあるとしか思えない。操作ミスでしょっちゅう彼らに迷惑をかけてる身としてはますます罪悪感が深くなるような映画でした。これからはもっと慎重にプレイするように気をつけます。

似た感じの映画として『トゥルーマン・ショー』『レゴムービー』『シュガーラッシュ』などもあるため私はそれほど新味を感じなかったのですが、やはり『ナイト・ミュージアム』『リアル・スティール』のショーン・レヴィ監督だけあって、今回もずっと安心して楽しんで観てられる王道的なエンターテインメント。特にゲーム好きの小学生たちに観てほしいと思いましたが、日本ではそれほど話題にならなかったのが残念。そしてはやくも配信が始まるらしいです。

 

次回は『ドント・ブリーズ2』『妖怪大戦争 ガーディアンズ』『スペース・プレイヤーズ』『オールド』について書きます。4本中3本が第二作…

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September 29, 2021

2021年7月に観た映画 その2

ここんとこ2か月遅れが標準になってるな。もすこしペース上げていきたい…

で、7月後半に観た映画の感想です。

 

☆『竜とそばかすの姫』

現在新海誠監督と並び称されるヒットメーカー細田守監督の最新作。今夏最も観客を集めた作品となりました。

近年アンチもだいぶ増えた細田監督ですが、自分はやはりひきつけられるもの… 透明感のあるキャラ、美しい映像と音楽、独特な着想、どこに着地するかわからないストーリー …が多く、高く評価しております。

どこか収まりが悪く、一種いびつな要素もあることはありますが、そういうのも個性の一つと,してとらえております。不思議なことに海外での評価はだんだん高まっていってるんですよね。「あちらの評価が正しい」って言いたいわけではないですけど、もしかすると身近な日本人だからこそ監督のカラーにひっかかる人も多いのかな、なんてことを考えてました。

あとネットの世界で決着をつけた『サマーウォーズ』に対して、今回はあくまで現実の世界にクライマックスを持ってきたのに心境の変化的なものを感じました。

 

☆『スーパーヒーロー戦記』

少し前、東映さんが登場ヒーローはやたら多いけど脚本は超雑な「春映画」と呼ばれたシリーズ?がありました(公開時期が春だったので)。反省したのか路線変更したのかちょっと間がありましたが、その「春映画」が夏に帰って参りました。ただ今回は久しぶりなせいで見る目が甘くなっているのか、その力の抜けた感じがまあまあ心地よかったです。ライダー映画には映画限定の「謎の少年」が関わることが時々あるんですけど、今回のその正体には初めて驚かされました。

新ライダーである『リバイス』の特別編が丸々1話同時上映されるのがサプライズ。「悪魔と契約するライダー」と聞いていたので「おっ 今回はかなりシリアス路線でいくんだな」と思ってましたがそんなことは全く無さそうです。

 

☆『映画大好きポンポさん』

ネットで好評を博した漫画の劇場アニメ化。人脈と実力と資金力を併せ持つプロデューサー・ポンポさんと、大作の監督に抜擢された無類の映画好きの青年・ジーン君の、ひたすら楽しく時々しんどい作品作りの内幕が描かれます。

わたしもそれなりに映画観てますが、このアニメで改めて学ばされたのは「編集」の重要性。「映画は90分がベスト」ということで膨大な映像を取捨選択しなければいけないジーン君の苦労がよく伝わってきました。ただ個人的には映画の尺は2時間くらいが一番ちょうどいいと思います。

このアニメもここんとこの力作に引けをとらず、「背景力」「美術力」に唸らされるシーンが何度かありました(劇中劇の山麓の風景とか)。あと普通の作品ならイヤな性格になりそうなキャラがみんないいヤツなのにほこほこいい気分にさせられました。

 

☆『返校 言葉が消えた日』

台湾で大ヒットしたホラーゲームの映画化。自分不勉強で知らなかったのですが、かの国では戦後言論・思想が厳しく統制されていた時代があったそうで。その「白色テロ」のころが舞台背景となっております。

ですからホラーで怖がらせるというより、不幸な時代に懸命に生きた人を追悼するような作りになっております。ギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』に近い空気も感じます。

監督が言うにはあちらの方にとって何よりのホラーなのは、台湾がまた「白色テロ」の時代に戻ってしまうことなんだそうで。ちょうど今アフガニスタンでもそんな事態が進行しており、わが国でも決して起こりえないとは言い切れません。そんな風に考えると確かにぞっとするものがあります。

『ク―リンチェ少年』を意識したノスタルジックな風景、主人公が迷い込んだ場所は一体どこなのか…というミステリー、残酷なストーリーの中秘められた一抹のやさしさなど、こちらも惹きつけられるところがたくさんある作品でした。なんとなく興味本位で観に行ったら強烈なカウンターパンチを食らった感じです。

 

☆『とびだせ! ならせ! PUI PUI モルカー』

モルモットと車が融合した不思議な生き物モルカー。その活躍を描いたTVアニメに、3D・4D効果を付け加えて劇場公開したもの。といっても1話2分30秒で12話しかないため、全部ひっくるめても30分程度にしかならなという。それでも私が見た回はまあまあ埋まってたのでたいした人気であります。

この上映のポイントは特典として渡される「モルカーボール」。押すとモルカーのプイプイという鳴き声が発せられるのですが、これを上映中幾らでも好きなだけ鳴らしていいいという。案の定始めから終わりまで館内に響き渡るプイプイプイプイプイ… これが滅法たのしい。もちろん自分も童心に返って鳴らしまくりました。

それを抜きにしても発想・造形・ストーリー、どれをとっても面白すぎる作品。日本では影の薄いコマ撮りアニメがこんなに注目を浴びてることもうれしいです。作成に時間のかかるのはわかりますが早く2期をよろしくお願いします。

 

☆『サイコ・ゴアマン』

勝気な少女ミミが裏庭から掘り出した奇妙な石。それは最強最悪の魔王「サイコ・ゴアマン」を操ることのできる恐るべきアイテムだった… 予告からすごくくだらなそうな雰囲気がビシバシと伝わってきたのですが、どうしても観たかったので厚木まで足を伸ばして行って参りました。…うん。予想に違わぬくだなさでしたね。十分満足させてもらいました。

監督さんは80~90年代の日本特撮が好きだったそうで、CG全盛のこの時代に造形面ですごく手作りっぽい暖かい雰囲気が漂っておりました。お話も雨宮慶太監督が井上敏樹、もしくは浦沢義雄脚本で好き放題やらかした感じ。宇宙怪物が突然珍妙な日本語をしゃべりだすあたりなどは恐らくリスペクトだったのでしょう。

ゴア描写さえとっぱらえば普通にキッズムービーとして公開できただろうに…とも思いましたけど、まあ子供たちに観てもらおうとか考えてないんでしょうね。ひたすら自分の観たいものを作る、そのスピリットは見上げたものです。

 

今年もはやいものであと3ヶ月。次回は『ワイルドスピード ジェットブレイク』『クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園』『ザ・スーサイド・スクワッド』『フリー・ガイ』などについて書きます。

 

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September 05, 2021

2021年7月に観た映画その1

先々月は色々大変だったのですが、今年でいままでのところ最も多く映画館に行ってました(12本鑑賞)。なぜだ…

ともあれ本日は7月前半に観た作品の覚書をば。

☆『ゴジラvsコング』

今年最も待望していた映画のひとつ。内容は…内容はないな! うん!

公開が遅れたためにあの怪獣登場のネタバレが出ちゃったりとか、監督が「今回は決着でどっちかが死ぬ」とか言ってたのが大嘘だったりとか、ちょっと残念だったり騙されちゃったりということはありましたが、観たいものは十分見せてもらったのでOKです。

2014のシリーズ開始の時は妙に格調高いというか小難しいところがありましたけど、結果的に見事なバカ映画でいったん一区切りついてしまったモンスターバース。ただ前作『キング・オブ・モンスターズ』のマイケル・ドハティ監督が情熱の赴くままに狂っているのに対し、本作品のアダム・ウィンガード監督はそれなりに計算しておバカをやっているように感じられました。

最初に述べたようにこの映画を見た翌日すぐ近所でけっこうな惨事があったのですが、それはまた別の話。

 

☆『ブラック・ウィドウ』

今年最も(略)。コロナ禍のため1年以上お休みとなってしまったMCUがようやっと銀幕に帰ってまいりました。宇宙や異次元をも股にかけるMCUですが、今回はかなり現実寄りの世界観。まあそれがこのキャラには合っているんじゃないでしょうか。

わたくしこの作品でナターシャ・ロマノフ復活の希望みたいなものが語られるんじゃないかとちょっと期待してたんですけど、どうもそれはなさそうですね… 演じるスカーレット・ヨハンソンもきっぱり「卒業」とおっしゃってましたし。ただコミックではヒーローが死んだり生き返ったりということは本当に日常茶飯事なのでいつでも軽率に帰ってきていいと思います。

二代目と思しきフローレンス・ピューさんも大活躍。ナターシャ姉さんに愚痴ったりケンカしたりをさんざん繰り返した後に、笑顔で別れを告げてマシンに突っ込んでいくシーンなどはおじさん鼻水駄々洩れでした。

『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンターソルジャー』といったMCUのドラマ群ももちろん面白いんですが、やっぱ「映画」は自分にとって別格だなあ…ということを再確認。

 

☆『東京リベンジャーズ』

今大人気の少年漫画の映画化。ちょっと懐かしいジャンルになってしまった「ヤンキーもの」に時間SFの要素を取り入れたのが中々面白いコンセプトであります。

主人公の花垣武道君はしょぼかった学生時代で青春をやりなおし、そこで関羽・張飛みたいな豪傑に見込まれて共に戦うことになるわけですが、もちろんそれで急激にケンカが強くなるわけではありません。それでも弱いなりになんとか事態を打開しようとするあたりに手に汗握って応援させられてしまいました。

主演が北村匠海君で漫画原作で東京の底辺の若者たちを描き、ヘナチョコの主人公がどん底に落ちてから一年発起して立ち上がる…と昨年の『とんかつDJアゲ太郎』と重なるところが多々あります。だのに売り上げで大幅に差がついてしまったのはなぜなんだろう…

 

☆『夏への扉 -キミのいる未来へ-』

こちらはロバート・A・ハインラインの名作を日本に置き換えての映画化。『東京~』と同じ日に観たので図らずもイケメン主演のタイムスリップ映画をハシゴすることになりました。

原作はだいぶ昔に読んだのですけどもう細かいところはだいぶ忘れておりまして。それだけに新鮮な驚きと共に味わうことができました。あとで調べたら舞台設定以外はけっこう原作に忠実に作られていたようです。付け加えられた要素としてはどう見ても藤木直人のアンドロイド君。このアンドロイドのずれた会話や、私たちと同じ世界のようでちょっと科学が進んでいるパラレルワールドの描写がいちいち楽しゅうございました。

あと『夏への扉』といったらなんといっても猫であります。その点でもこの映画よく出来てました。ピートを演じる猫さんの髭が垂れ下がってリところとか、家で前飼ってた猫を思い出してしんみりしてしまいましたよ…

 

この月は車でちょっと遠出して、鎌倉近くにある「シネコヤ」さんという映画館で人形アニメの特集上映も観に行って参りました。

1本目は「川村喜八郎」特集。作品は『花折り』『鬼』『詩人の生涯』『道成寺』『火宅』の5作品。

NHK人形劇『三国志』も手掛けておられた方なのですが、あの精巧な人形でドロドロした情念が鬼気迫る演技で描かれ、背中をおぞ気が幾度も走りました。今回唯一の絵アニメである『詩人の生涯』は原作安部公房ということもあり、シュールで想像もつかない展開にニヤニヤ笑っちゃったりもしましたが。

2本目は「岡本忠成」特集。こちらは『みんなのうた』の『メトロポリタンミュージアム』などで知られている方。今回は『チコタン』『サクラより愛をのせて』『注文の多い料理店』『虹を渡って』『おこんじょうるり』というラインナップ。

川本先生と比べると優し気な作風ですが、一部でトラウマアニメとして伝説的の語られている『チコタン』はやはり強烈でした。終了後館内の空気が凍りついたかのようでした。一方で『おこんじょうるり』は「ソフトな『ごんぎつね』」とでも言いましょうか。限りなく優しく、かわいらしく、そして切ない宝石のような作品。ぜひ後世に語り継いでいかなくてはなるまい…と心に誓いながら涙と鼻水とよだれにまみれて鑑賞いたしておりました。

次回は『竜とそばかすの姫』『スーパーヒーロー戦記』『映画大好きポンポさん』『返校』『モルカー』『サイコ・ゴアマン』について書く予定です。

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August 17, 2021

6月に観た暴力的な映画色々

というわけで6月編。この月はなんでかバイオレンスな映画ばかり観ていて、癒し系の動物映画とかが恋しくなりました。

☆『デッドロック』

1970年ドイツ製作の犯罪映画…がなんでか今頃ご近所の三島市で上映されたので観てきました。アメリカっぽい荒野で奪われた大金を巡り、若者のガンマン、ベテランの殺し屋、居合わせたおっさんが騙しあいと殺しあいを繰り広げます。と書くとセルジオ・レオーネの『続・荒野のガンマン』みたいですが、あんなに爽快な映画ではなく、見終わった後なんとも言えない虚無感に抱まれてしまいました。幸い直後においしいラーメンを食べたのですぐ生きる実感を取り戻せましたが。

ホドロフスキーやスピルバーグがほれ込んだというだけあって詩情や情景は引きこまれるものがあります。

 

☆『モータルコンバット』

「脊髄を引き抜く」といった過激な描写で知られる格闘ゲームが原作。魔界の王が主催で行われる人間対魔族の武道大会。ウン百年の因縁を経て現代に選ばれた戦士たちが人知を越えた死闘に挑む…というストーリー。

冒頭で『鬼滅の刃』によく似たプロローグがあるんですが、ここが本当によく出来ていてちゃんと日本人に日本語を喋らせているところに感心いたしました。ただちゃんとしてるのは本当にそこだけで、あとは「考えるな(考えても無駄だから)、感じるんだ」と自分に言い聞かせたくなるような破天荒で無茶なストーリーが勢いに任せて進行していきます。特に疑問だったのは「9(だと思った)連勝してる魔界軍だけど10回目に負けちゃったら地上界を征服できない」というルール。それ滅茶苦茶魔界側に不利じゃないですか? …いや、考えてしまったら負けなのです。

とはいえそのハチャメチャぶりが楽しいことは楽しい。特に見た目重視のゲームキャラを丁寧に再現していたのは見分けがつきやすくてとても助かりました。

 

☆『ミスター・ノーバディ』

よくある「なめてた相手が無敵の殺人マシンだった」系の作品。他の作品と比べて出色なのは本当に主演の人がその辺のさえないおじさんに見えるところ。『イコライザー』にせよ『ジョン・ウィック』にせよ『アジョシ』にせよみんな「なぜ舐められるんだろう」というくらいただならぬ風格漂ってますからね。

私は知らなかったのですが、この人ボブ・オデンカークさんといって『ブレイキング・バッド』などで活躍された名優さん。最近現場で倒れたなんてニュースがあって大したことないといいのですが。

80を過ぎてもまだまだ元気そうなクリストファー・ロイドさんや、出番がすくないながらも強烈にキュートな子猫ちゃんも重要な見所でした。

 

☆『ピーターラビット2』

この1年間延々と延期され、ようやく公開された映画の先駆け的作品。誰もが知ってる朗らか絵本「ピーター・ラビット」を過激で暴力的にアレンジした映画版の第二弾です。

ピーターの絵本で有名になったビアさんは、都会の大出版社からさらなるシリーズ化やメディアミックスのオファーを受けることに。しかしそれは本来の彼女の作風からはかなりかけ離れたもので…

という感じで「原点の持ち味を映像化とかリメイクで大幅にアレンジしちゃうのはよくないよね」というテーマが含まれています。あなたがそれを言いますか。自作を題材にメタ的な自虐ネタをぶっこんでくるとはウィル・グラック監督、恐るべしであります。

原作者ビアトリクス・ポターさんは色々苦労の多い方だったそうですが、この映画のビアさんは幸せ一杯そうでなによりでございました。

 

☆『ザ・ファブル/殺さない殺し屋』

3年前岡田准一主演で映画化された人気漫画の第二弾。これまた「舐めてたやつが…」系の作品ですが、米国の作品と違って殺しはあくまで封印してあるところが持ち味です。

正直前作は「面白いけど家でTVで寝っころがって見るのがちょうどいいくらいの映画だな」と思いました。けれど今回はヤマ場のアクションシーンが大変スクリーン映えしており、製作陣のレベルアップに心から感服いたしました。

自分がかつて怪我を負わせてしまった少女を不器用ながらも助けようとするストーリーや、そのヒロインから許しと感謝を送られる結末などもおっさんには非常によわいところを突いてくる作品でした。この年になると「あれは故意でないにせよすまないことをした」ということもチラホラあるので。ファブルが許されたからといって自分も許されるわけではないんですけどね!

 

おお、無事に連続更新達成できました。次回は『ゴジラVSコング』、『ブラック・ウィドウ』、『東京アベンジャーズ』、『夏への扉』等について書きます

 

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