August 12, 2026

2026年6月に観た映画

☆『SIRAT シラート』

印象的なカットを断続的に映した予告編はあったものの「『マッドマックス』っぽい」ということ以外謎に包まれたまま公開となった作品。スペイン・フランス合作。

訴えたいテーマがあるようにも思えるし、素材だけ与えて「あとは自由に考えて―」という作品のようにも思えます。はっきりしてるのは人は等しく別に悪事とか働いてなくても、突然ひどい不幸に見舞われるってことがある…という真理。あまり芸術的素養のない自分が言えるのはその程度。

運転していてちょっと細い道路に入るとすぐ「対向車が来たらどうしよう」と泣きそうになる私にとっては、すごく怖い映画でもありました。あと駐車時には必ずハンドブレーキをひいておこうとか。
ロケーションがとても詩情豊かで、上品なホドロフスキー味もあったかも。

 

☆『Michael/マイケル』

70年代から00年代にかけて世界的スターとして活躍したマイケル・ジャクソンの前半生を描いた作品。もう今の若い子は知らないんじゃないだろうか…と思いましたけど、この映画の大ヒットでだいぶ若年層にも浸透してるとか。

この手の伝記映画もだいぶ増えましたが、『マイケル』が他のスターと違うのは子供のころからめっちゃ売れてたってこと。それゆえにステージパパとの軋轢が成長するにつれ大きくなり、その葛藤が重要な要素のひとつとなっています。対してお母さんはマイケルを溺愛。他にも子供がたくさんいるのにあからさまなえこひいきぶりでした。

あのころ青春時代を過ごした身としては、ファンでもなかったのに流れて来る楽曲がいちいち馴染があってノスタルジックな感傷にひたひたとひたってしまいました。純粋な彼の人柄にホロリと来たり、奇矯な振る舞いにちょっと笑ってしまったり。後半生を描く続編の製作が既に決まっているそうです。

 

☆『モータルコンバット/ネクスト・ラウンド』

過激な描写で知られるTVゲーム『モータルコンバット』二度目の映画化の続編。。前作では結局開催されなかった人界VS魔界の格闘試合「モータルコンバット」がいよいよ始まります。トゲトゲゴツゴツしたファイターのアクションをひたすら楽しむために作られた映画。

こういうキャラがいっぱいいるシリーズ映画は、続編になると誰かしら消滅してる(トイストーリーとかトランスフォーマーとか)ものですけど、死んでるキャラまで復活させて一人残らず続投させたのはえらい。そしてそこまでして再登場させた連中を、ヒーロー側も含めてギタギタのズタズタにして殺してしまう… 3作目での復活を匂わせてはいましたが、続きが出来るかどうかはこの作品の売上次第だとか。果たして目標額には達成したのか。「許さないぞ、ところ天の助」みたいなギャグがあったのには笑いました。

 

☆『黒牢城』

先に原作の感想を書いた米澤穂信氏の時代ミステリの映画化。有岡城という渋めのテーマパークの四季を愛でる作品。その点でヴィジュアルはまことに趣深いものがありましたが、これまた登場人物が多数いて考える間もなく込み入った推理劇が進行していくので、やっぱ映画にするにはちょっと不向きなお話だったかも。原作を先に読んでおいてようございました。

『へうげもの』『首』『豊臣兄弟』そして原作小説と荒木村重という武将を見てきたましけど、その中で最もかっこよく肯定的に描かれてる気がしました。おおむね小説に忠実に作られてる中、けっこう重要な意味を持つエピローグをばっさり切ってしまったのは黒沢的。

 

☆『スーパーガール』

ジェームズ・ガンが主導する新生DCユニバースの第二弾。スーパーマンの従妹で今回は少々やさぐれたキャラとなっている「スーパーガール」の活躍が描かれます。このヒロインがクラークに比べ幼少時けっこうしんどい経験をしてるがゆえに、作品のトーンもちょっと重ため。素直にヒーローになれない彼女が、近しい境遇の少女と関わったことから、少しずつ前向きになっていく流れが微笑ましゅうございました。

良かった点は映画では初登場となる「ロボ」。決して正義の味方ではないけど、気分で中途半端に助けてくれるところが愉快でした。

物足りなかったのはスーパー犬クリプトの活躍も楽しみにしてたのに、今回ほぼ寝た切りでした。そこはスーパーマン続編を楽しみに待つとします。

 

☆『落下音』

たまには難しそうなものも観ないと…ということで鑑賞したドイツ映画。

戦前、冷戦時代、現代と3つの異なる時代の、微妙につながりのある少女たち。穏やかな日常の中にも不意に死の影が訪れることがある。そして年若い女の子たちの中には、それを怖がらずむしろ憧れたりすることもある… ということでしょうか?? 穏やかな田園風景に絶えず不穏なムードが漂うあたりは『ミツバチのささやき』を思い出したり。

 

 


次回は『ロングウォーク』『ジ・オリジン・オブ・ウルトラマン』『トイストーリー5』『鬼平犯科帳 密告』『キングダム 魂の決戦』『劇場版 ちいかわ』あたりの感想を書く予定。
あとついでに上半期ベストも貼っておきます。
①プロジェクト・ヘイル・メアリー
②マンダロリアン&グローグー
③私がビーバーになる時
④木挽町のあだ討ち
⑤ナースコール
⑥ひつじ探偵団
⑦機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女
⑧マスターズ・オブ・ユニバース
⑨ランニング・マン
⑩長安のライチ



 

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July 20, 2026

2026年5月ごろに観た映画

世間様はもう夏休みに入ろうかというところですが、いまさらGWあたりに観た映画の覚書をば

 

☆『アギト 超能力戦争』

平成ライダー第二作『仮面ライダーアギト』の25周年記念作品。『アギト』ってメインライターがあの個性が強い井上敏樹先生にしては、ぐっと癖の薄い、一般層にもとても観やすい作品だったと思うのです。それがゆえに当時大人気を博し視聴率も最高を記録したわけで。

で、今回の新作は「敏樹汁つゆだく大盛」って感じでした。いつもの「〇周年作品」に比べると確かに予算が上がっているように見えたのは良かったです。あと25年前演技がまだ固かった要潤氏が先日の大河ドラマで絶賛されていたのには、時の流れを感じてしみじみいたしました。

 

☆『サンキュー、チャック』

今年3本あるスティーブン・キング原作映画の2本目。世界の終焉を描く第1幕。おじさんが華麗に踊る第2幕。そしてそのおじさん(チャック)の生い立ちを描く第3幕… 謎をふりまいたまま特にわかりやすい解明がなくぶつっと終わってしまうので、ボーっとみてると困惑させられます。

足りない頭で考えてみるに、第1幕の終末世界というのは、チャックさんの脳内の世界と考えるのが一番自然かと。人の頭の中にはきっと潜在・非潜在に関わりなく多くの宇宙が存在していると思うので。それこそキングの脳内なんて無数の作品世界がひしめいているでしょうし。

 

☆『ひつじ探偵団』

20年ほど前に書かれたユーモア・ミステリーの映画化。愛情深い牧場主がある晩突然何者かにより殺害される。彼の弔いのために飼われていたひつじたちは犯人探しに奔走するが、なにせひつじなので色々と限界があり…

いきなり殺人事件から始まりますがほとんど悲壮感はなく。ただ羊たちの中に何頭か可哀そうな生い立ちを持つものがいて、『ひつじのショーン』よりかはシビアなお話です。

感心したのはこんなふざけたような設定でいて、優れたミステリーにある「伏線」「ミス・ディレクション」「意外性」がちゃんと備わっているんですね。こういうよく出来たミステリ映画ってけっこう希少。今年は『木挽町のあだ討ち』もありましたが。

 

☆『スマッシング・マシーン』

2000年ごろ活躍した総合格闘家マーク・ケアーの最盛期を描いた作品。ただ作ってるのがアート系スタジオのA24なので燃える展開にはならず、マークの精神状態や恋人との喧嘩にハラハラするようなお話になっております。

びっくりしたのがこれほぼほぼ平成に人気を博した格闘イベント「PRIDE」が中心のストーリーだったこと。この頃もう日本の景気とかそれなり傾いてたと思うんだけど、アメリカのプロレスよりも稼げる国だったんですかねえ。それにしてもこの作品といい『マーティ・シュプリーム』といいかなり日本にスポットが当たってるのに、こちらでほとんど話題にならなかったのはなんか申し訳ない。

 

☆『マスターズ・オブ・ユニバース』

80年代に欧米で人気を博したフィギュアシリーズの2回目の映画化。いまでもそんなに人気あるんだ…と思っていたらどっちかというとマイナーな方らしく(こちらだと『ゾイド』くらいのポジション?)、興行的にはまあまあ悲惨な結果に。どうも『バービー』のヒットを見て製作陣が「これもいけるのでは」とか考えちゃったようです。ところが玩具の方の売上はけっこう伸びたらしく既に続編決定とのうわさも。世の中はよくわかりません。

内容の方はと申しますと各キャラの設定にとにかく整合性がなく、ロボもいれば妖怪もいるし、スーパーマン的なやつもいればギャグマンガのキャラもいるし昭和特撮の女幹部みたいのもいる。それこそ子供がいろんな作品のオモチャを一緒くたにして遊んでいるような趣があり、それがかえってけっこう楽しかったです。

あと主人公の青年はマッチョなイケメンなのですが、性格的にはほぼのび太で、気弱だったり「まず話し合おうよ」とか言ったりするところが面白かったです。

 

☆『スターウォーズ マンダロリアン&グローグ―』

「スターウォーズ」初のドラマシリーズからの映画化。孤高の用心棒「マンダロリアン」と相棒?のフォースを持つ幼児宇宙人「グローグ―」の愉快で殺伐とした冒険が描かれます。

本国ではイマイチな伸びだったのに対し、日本では2ヶ月経った今も上位にランクインするといういつもとは反対の形となっております。思いますにこの映画主人公のマンドーがわずか1シーンしか素顔を見せず、さらにクリーチャーとおじさんとおばさんしか出てこない。そういう人間味や美男美女の少ないところが北米の人たちにはノリにくかったのかも。でも日本の人たちって能の文化とかシャア少佐とか多くのフルマスクのヒーローのせいか「仮面」に抵抗がないところがある…というかむしろ好きですよね。そんな武骨で無愛想で無表情なヒーローが不器用ながらもまた日本受けしそうなちいかわっぽいキャラの面倒を一生懸命みている… このギャップに萌えずにいられましょうか。

無表情なキャラと言えば『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のロッキーもそうですけど、表情がないのにお話の流れとかキャラへの思い入れのせいでものすごく感情が雄弁に伝わるんですよね。本作品では死を覚悟してグローグ―を逃がすマンドーが「元気でな(原語ではGoodbye,Kid)」と言うんですが、ヘルメットの下でさわやかに微笑んでるであろうことを想像するとおじさんは鼻水が止まらなくなるのでした。

映画的にはこのまま感動的に悲しいお別れで盛り上げたほうが完結編ぽくて良かったのかもしれません。ですがそんな結末などはっきり言ってクソくらえでございます。その辺はわたしたちの期待に必ず応えてくれるジョン・ファブロー。出来たらこれからもこのコンビの活躍を見せてほしいものです。

 

次回は『シラート』『マイケル』『モータルコンバット ネクスト・ラウンド』『黒牢城』『スーパーガール』『落下音』について書く予定です。

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May 31, 2026

2026年4月ごろ観た映画

☆『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』

劇場版1作目とドラマシリーズを経ての劇場版第2作。アバンタイトルで問題のラッコ鍋のくだりが描かれるので、開始早々劇場内が当惑した空気に包まれたような。そのラッコ鍋と、クライマックスのガトリング大乱射の温度差に風邪をひきそうになりました。でも網走監獄ってなんかいいですよね。あの形にロマンをかき立てられます。あと無性に鮭イクラが食べたくなりました。はま寿司で我慢しました。

これ以後の製作スケジュールはまだ発表されてないのですが、『キングダム』もあるし、再来年の大河ドラマの主演もつとめるそうなので山﨑君が過労死しないか心配です。

 

☆『パリに咲くエトワール』

1910年代のパリを舞台に、画家とバレリーナを目指す二人の少女の青春を描いたアニメーション。スルー予定でしたが、評判が良かったのと、主人公の片方が美少女化した藤田嗣治説があると聞いて観てきました。『リヴァイアス』『スクライド』『コードギアス』熱中した身としては「谷口監督、結局あんたも宮崎ジブリライン行きたいのかい? 寂しいぜ?」と思っていたのですが、まあいいでしょう。認めてあげます。そう、谷口悟朗してはギスギスさが少なめ。老成というやつでしょうか。

『ゴールデンカムイ』とは同日に観たのですが、たまたま扱ってる時代が一緒だったのは面白い偶然でした。

 

☆『俺たちのアナコンダ』

90年代のB級パニック映画『アナコンダ』に憧れた二人のおっさんが、自分たちでリメイクしようと張り切ったら本物の巨大アナコンダが出て来てしまい…という粗筋。本当になぜジョーズでもトレマーズでもなくアナコンダにしたのか(それはSONYが権利を持ってるから)。

そのSONYのあまりの自虐芸に「どうした。もっと自信持っていこうぜ」と、肩を抱いて励ましてやりたくなりましたが、それはそれとしてちょうどいいくらいのくだらなさが気持ちいい映画でした。疲れてダラダラ飲んでる時の、缶ビールと柿ピーのような。

日本公開が遅れたのは本国他でコケたからか…と思っていたら、製作費の3倍くらい儲けてました。低予算が功を奏したか(『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の1/4くらい)。続編出来るかもしれません。

 

☆『ハムネット』

今年度アカデミー賞作品部門有力候補だった1本。シェイクスピアの早世した息子の名前が「ハムレット」とほぼ同じだった…という史実があり、その理由に独自の解釈を加えた作品。

・いい映画でしたがしんどい話でした。
・1作ごとに全く違うジャンルの作品をこしらえてくるクロエ・ジャオ監督はなかなかの芸達者
・とある田舎のボンクラ青年が聖書物語やギリシャ神話に迫るような戯曲群を1人でつむぎ出したというのは、考えてみれば不思議な話であります。他にこんだけ世界で親しまれてる名作を量産した作家ってちょっと思い当たりませんしね。

観ていて久しぶりにあの頃の英国も女性が舞台に上がることは許されず、「女形」が存在していたことを思い出しました。最初は滑稽でしたが、映画の力のせいか終盤は気になりませんでした。

 

☆『ARCO』

これまたアカデミー賞長編アニメ部門有力候補だった1本。ロボが普通に子守してくれてるような近未来の少女と、スーパースーツで時間旅行が出来るような遠未来の少年の友情を描いた作品。ラピュタの逆で少年が空から落ちてきます。欧州のアート的センスが独特で、アルコ君の虹マントがどうしても珍妙に見えてしまったり、『TAROMAN』の「未来人エラン」を思い出してしまったり。でもまあ、そのうちに馴染んできて少年少女の純真さや、子守ロボの健気さに胸を打たれました。

次回は『アギト 超能力戦争』『サンキュー、チャック』『ひつじ探偵団』『スマッシング・マシーン』『スターウォーズ マンダロリアン&グローグ―』について書く予定。

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May 03, 2026

2026年3月ごろに観た映画

☆『ナースコール』

昨年スイスで大ヒットを飛ばし、多くの映画祭でノミネートされた作品。内容はとある病院で夜勤に励む看護師の姿を追ったもの。様々な患者たちに真摯に勤勉に対応するものの、肉体の限界と数々のストレスに次第に追い詰められていき…と書いてるだけでいやになるような粗筋です。先日町中で水道がパンクして電話が鳴りやまなかった時のことを思い出しました(自分水道屋なので)。まあそれはせいぜい5日くらいでおさまりましたが、こういうのが通常の職場というのは本当に大変ですよね。自分がお世話になる時は極力看護師さんにわがままを言わないようにしようと固く決意いたしました。

せめてもの救いは色々あった末、患者さんたちもみな最後はちょっといい人になっている点。終始限定空間でお話が進んでいくスタイルも合わせて三谷幸喜氏の舞台に近いところもあります。

約20年ちょくちょく通わせていただいたシネマサンシャイン沼津さんで観た最後の映画となりました。本当にお世話になりました。

 

☆『しあわせな選択』

人を食ったミステリーを書くドナルド・E・ウェストレイクの小説を、これまたヘンテコな作品を多く手掛けているパク・チャヌクが映画化。リストラされた製紙会社のベテラン社員が、再就職の妨げとなるライバルを一人一人闇に葬っていく話。正々堂々と勝負しろよ!と言いたくなりますが、彼にも持ち家や家族の生活を守らねばならない事情があり…いや、そんなのは事情でもなんでもないな。主人公に1ミクロンくらいしか同情できないストーリーです。それにチャヌクお得意のひょうひょうとしたギャグが混ぜられて語られます。前々から思ってたけどやっぱり自分チャヌクとは相性よくないのかも。『オールド・ボーイ』とかは嫌いじゃないんですが。

主演はかつての韓流スター、イ・ビョンホン。冴えないお父さん役がだいぶ似合う様になっておりました。

 

☆『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

本年度アカデミー賞作品部門にノミネートされた1作。第二次世界大戦後まもなくの時代に、卓球で世界チャンピオンを目指す破天荒な青年の物語。てっきり実話を元にした話だと思いながら観てましたが、実在の人物をモデルにしたフィクションだそうで。騙しやがって! まあ本当の話だとしたらやばすぎるエピソードの連発で、「これ、絶対色々盛ってるよな」とは思ってました。あと金策に奔走するあまり途中なかなか卓球をしなくなるあたりは『稲中卓球部』を思い出しました。

面白いのは主人公のライバルとなるのが日本人でクライマックスの舞台も日本となるところ。こちらもモデルとなってる選手がいるそうです。

 

☆『アメリと雨の物語』

これまた戦後まもなくの日本の話(ただこちらは概ね実話)。ベルギーの外交官の家庭で生まれた少女アメリの目を通して、当時の神戸の風景が描かれます。輪郭線のない画風が独特で作品に温かみを添えております。また悲しい過去を持つ家政婦ニシオさんが外国の少女にむける包み込むような愛情が、観る者の胸をふんわりと打ちます。

幼少期怪獣のように暴れまわり両親を困らせていたアメリが、祖母のくれたチョコレートがきっかけで人間らしい自我を得るというくだりがなぜだか印象に残りました。

 

☆『私がビーバーになる時』

ピクサー最新作。自然保護活動に打ち込む女子大生が、ビーバーのロボットに乗り移って市の推し進める建設計画を阻止しようとするストーリー。こう書いただけでなかなかいかれた作品であることがおわかりいただけるかと。ピクサーの名作には多かれ少なかれ「いかれた」要素がありますが、今回は歴代の作品と比べてもトップクラスのいかれっぷりでした。

そんな狂気の物語と並行してちゃんと友情の大切さ・難しさや、自然保護と開発の両立はできるのか…といった問題もちゃんと描かれてるのがすごい。監督は一応『平成狸合戦ぽんぽこ』も意識してるとのこと。あとノンシリーズでありながら日本でもけっこうヒットしてたり。『ズートピア2』に続く「モフモフ路線」として売り出したのが功を奏したようです。

好きなところはいっぱいありますが、ロボットを通して見るとガン決まったように瞳孔をおっぴろげているビーバーが、人間目線だとつぶらな瞳のかわいいデザインになるところが特にお気に入りです。日本語版主題歌は昔懐かしのパフィ「愛のしるし」。なぜこれなのか理由はさっぱりわかりませんが、確かになんか微妙にマッチしておりました。

 

☆『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

本年度再注目作品の1本。予告編が公開された時に配給さんが「原作をまだ読んでないなら見るな! 読んでから見ろ!」みたいなことをおっしゃってて物議を醸しました。上から怒られなかったのだろうか… 原作は幾つかのびっくり箱をゆっくり開けていくような面白さがあって、映画予告だとすでにびっくり箱が空いた状態をいきなり見せられてしまう感があるのです。もう今ではネットでも映画館でもそのネタ宇宙人「ロッキー」の姿がバンバン溢れておりますね。以下こちらもネタバレで。

 

 

自分が思うに主人公グレースが最初必死で任務を拒否してたのは、本当に大切な存在を持てないまま死出の旅に出るのがイヤだったからでは。彼が幸運だったのは知的生命など人っ子一人いないはずの宇宙の果てでそれと巡りあえたことですね。その大切な誰かを得たから、失いたくないから、クライマックスでグレースは今度は進んで自分の命を投げ出そうとします。


あと連想したのは旧約聖書の「ヨナ書」。有名な話だけど一応あらすじを書いときますと、古代イスラエルのヨナという男が神から凶悪で知られるニネベの町の人々に、「この町はもうすぐ滅ぼされる」という予言を告げてこいと命じられます。そんなことをしたらたちまち自分は殺されてしまうだろうと思ったヨナは、船で遠くの町に逃げようとします。だがその船は神の起こした嵐により沈みそうになります。船員たちを巻き添えにしてはいけないと感じたヨナは、彼らに自分を海に放り込むよう頼みます。水中に沈んだヨナは巨大な魚に飲み込まれ、その腹の中で3日間反省し、決死の覚悟でニネベに赴きます。すると意外にもその町の人々は自分の行いを深く反省し、神はニネベを滅ぼすことをとりやめます。

もちろん違う点は多々ありますが、自分の本意でなかった(死が前提だし)任務を最終的にやりとげ、その結果多くの命が救われるという流れが似てるなあと。あと「巨大な魚」と宇宙船もなんとなく重なるものがあります。
「ロッキー」のデザインは最初ギョッとしますが、あの「顔」のないところがかえってよかったのかも。グレースの旅が片道切符だったことを知ったロッキーが、顔などないのにすごく悲しい顔をしてるように見えてホロホロと泣きました。
次回は『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』『パリに咲くエトワール』『俺たちのアナコンダ』『ハムネット』『ARCO』あたりの感想を書く予定。

 

 

 

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March 29, 2026

2026年2月ごろ観た映画を振り返る

☆『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』

3部作とうたわれている『閃光のハサウェイ』の、実に5年ぶりの第二部。第一部ではそれなりにさっそうとしていた主人公ハサウェイですが、今回はその実けっこう苦悩していた様子が描かれます。そりゃ『逆襲のシャア』であれだけのことをやっちゃってるわけですし…

シンプルながら深みのあるセリフに、情緒豊かな実在する風景。なんだか欧州の文芸作品をそのままアニメにしたようでもありますけど、要所要所でロボはちゃんと出てくるという変な作品。原作を読んでるにも関わらず意味不明な個所も多いのですが(ギギがマンションのリフォームをするくだりをなぜあんなに丁寧に描くのか、とか)、2回観たらそれなりに自分の中で腑に落ちたような。

『機動戦士ガンダム』1作目と地続きの作品であるのに、ずいぶんとかけはなれたタイプの作品になってしまいました。それはこれがプログラム的なTVアニメではなく、一応「小説」を原作としているからかもしれません。不穏しかなさそうな完結編はもう少し早めのリリースをお願いします。

 

☆『HELP/復讐島』

ホラーの名匠サム・ライミの手によるいわゆる『流されて…』テーマの作品。邦題では「復讐」とうたってますが、これ復讐というより自分を馬鹿にしてたイケメンバカ若社長に執着しつづける話だと思います。そしてその執着から開放される話…なのかな?

清楚美女のイメージだったレイチェル・マクアダムスが、体を張って痛々しい役を演じておられてなかなかの衝撃でした。気になるのはこれ少し前の『逆転のトライアングル』と色々似てしまっている点。もしかして原案なのか?と思って調べたけどそうでもないようだし…

 

☆『ランニング・マン』

かなり前『バトルランナー』というタイトルも内容も全然違う形で映画化されたスティーブン・キング原作作品。今回はなかなか原典に忠実に作られてはいますが、監督エドガー・ライトと主演グレン・パウエルのカラーのゆえか、小説版のひたすら重苦しかったムードに、ややファンキーな空気が混じってるように感じられました。

エンターテインメントとしてよく出来てはいるのですが、原作の悲壮なラストに思い入れのある身としては改変された結末に少々モヤモヤしたり。「新約版」で明るい方に変えられた『Zガンダム』のラストに感じたアレです(なんでもガンダムで例えるのはやめましょう)

 

☆『ブゴニア』

変な映画ばかり作っているヨルゴス・ランティモス監督最新作。『地球を守れ!』という韓国映画のリメイクだそうで。

某会社のCEOを宇宙からの侵略者だと思い込んだ二人組が、彼女を誘拐し宇宙人のボスに会わせろと迫るというぶっとんだあらすじ。誘拐犯の主張があまりに常軌を逸していて笑うに笑えないというか。時折監督お得意のゴア描写もちょいちょい挟まれたり。

なんというかか藤子Fと藤子Aを足してわったようなユーモア感覚でありました。あとランティモスはいつもエマ・ストーンをひどい目にあわせて趣味が悪いな…と思うのですが、エマさんも毎回付き合うあたりそういうのが好きなのかもしれません。

 

☆『クライム101』

『犬の力』などで知られるドン・ウィンズロウ原作の犯罪サスペンス。マイケル・マンの『ヒート』を手本にした作品はこれまでも幾つかありましたが、これもそのひとつかと。ただウィンズロウって小悪党に対してはなんか同情的に描くことが多く、これもまたそんな彼の優しい目線が随所に感じられました。貧困層からのしあがろうとする主人公に対してもそうだし、真面目にずっとやってきたのに道を踏み外してしまいそうになるハル・ベリーに対しても。

最近『長安のライチ』や『しあわせな選択』など「いいとこにお家をかまえる」ことが幸福の条件のように語られる作品がなぜか続きました。でも大体それが大体苦労を背負うことになり…という流れ。築ウン十年のボロ家で自分は満足しときます。

 

☆『木挽町のあだ討ち』

なんとなく見とくか…くらいのモチベーションだったのに、これが大した大当たり。ミステリーであり、チャンバラ時代劇であり、当時芝居小屋を社会科見学させてくれるような趣もあり(料理描写が細かいは池波正太郎遺伝子でしょうか)。

そしてキャスト陣が誰一人としてはずれがない大はまり。女装姿からさらっと若侍に変身する長尾謙杜君。ユーモラスな役が多い印象でしたが、説得力たっぷりに剣の達人になりきっていた滝藤賢一氏。これまでのキャリアを逆手にとったような役柄の北村龍平氏。怖そうだけど情に篤い女形を好演していた高橋和也氏。しかしなんといっても一番光っていたのは食えないようで温かみのある江戸の名探偵を演じていた主演・柄本佑氏。このキャラが事件の謎を解く続編がもう2,3本観たいとこですが、ストーリーの都合上難しいかな…

「長唄で送ってやろうじゃねえか」というラストのセリフがなんともさわやかでした。

 

先月はなんでか登場人物が極限状況に追い込まれるような映画ばかり観てました。なんでだろう

次回は『ナースコール』『しあわせな選択』『マーティ・シュプリーム』『アメリと雨の物語』『私がビーバーになる時』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』について書く予定です。

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March 15, 2026

『べらぼう』を雑に振り返る⑬ 総集編

『豊臣兄弟!』も10回くらい進んだいまごろになってですが、最後の〆として『べらぼう』の個人的に好きな場面・とりわけ印象に残ったシーンを列挙してみます。怪しい記憶頼りなので細部違うところもあるかと思われますがご容赦ください。

☆第2話 「このドラマ面白えよ」と唸らされた平賀源内本格登場のエピソード。ひとしきり笑わせてもらった後で、男装した花ノ井に稽古してるような踊りを頼み、かつての恋人を偲ぶシーン。この時代人の命は儚かったのだなあと。

☆第5話 蔦重に「隠してることはないか?」と問われ、精一杯の笑顔を浮かべる唐丸。すごく辛いのに一生懸命平気なフリをする姿って自分ダメなんです。しかも子役

☆第10話。身請けが決まった瀬川が吉原を去る場面。薄く紅がさした空の下、豪華絢爛な花魁の行列がゆっくりと進んでいく様は幽玄というか夢幻というか。大河ドラマってすげえなあと思いました。

☆第12話。俄祭りのどんちゃん騒ぎのその最中、松の井姉さんに背中を押されて神隠しのように姿を消す新さんとうつせみ。これまたファンタジーのような情景でした。この後二人には艱難辛苦が待ち受けているのですが、最高に幸せだったであろうこの場面を思い出すと慰められます。

☆第18話。まあさんのアレがアレになっちゃってなんでか大蛇が暴れ出すシーン。貴重なCGをこんなエピソードのために使いやがって、国民から徴収したお金をなんだと思ってるんだ(許す)

☆第22回。ヘソを曲げてた春町先生が反省し、京伝にわびたら芝居でもなんでもなく素で「なんのこと?」と言われるくだり。京伝さんも軽薄なキャラではありましたがこういうところは本当にいい子だなあと。二人のからみでは春町先生の「お前はこっち側の人間だ! 来い!!」も良かった。

☆第25回 この回はまあどこをとっても名場面なんですが、やっぱりとりわけ感動したのが蔦重の婚礼の席にお祝いの品を盛って来る鶴屋さん。ずっとずっと憎たらしいキャラだったのにずるいよ鶴屋さん…と思いながらTVの前でむせび泣いてました。

☆第33回 「わしは世を楽しくする男を救うために生まれて来たのだ」 優しくへたれだった新さんが最後はかっこよくこの世を去ります。視聴者を慰めるかのような歌麿の「新さんってすごくいい人生だったんじゃねえかな」のセリフにまた泣かされたり。

☆第38回 言葉が話せなかったおきよさんが、ただ一度だけ「わたしもそうだったから」と微笑んで口を開く場面。それは歌麿の夢に過ぎなかったのか、あるいは…

☆第43回 さんざひきとめた歌麿をあきらめ、そっと手紙で別れをつげる蔦重。相手を思いやる手紙の文がモノローグ的に語られるのって自分ダメなんです。

☆第47回 この回も名場面の超連発でしたが、自分がやっぱり好きなのは一件落着したあと蔦屋を訪れる定信公のくだり。「一度来てみたかったのだ」「あがった凧を許せれば全てがちがった」本当に最初からこうできてればよかったのに… でも二人が笑って語り合える時が来て本当によかった…と鼻水を吹き飛ばしながら観てました。

☆第48回 蔦重臨終の場面。感動的に盛り上げたりせず、屁踊りに囲まれながら軽いギャグと共にこの世を去る蔦重。こういうの、なかなかないと思います。

 

『鎌倉殿の13人』『新選組!』に並ぶマイ大河ドラマBEST作品でありました。森下佳子先生はじめとするスタッフ、横浜流星君はじめとするキャストのみなさんに心より御礼申し上げます。

 

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March 01, 2026

2026年1月に観た映画

あけましておめでとうございます(2か月遅れ)。年明け早々に観た映画のまとめです

☆『ワーキングマン』

二年連続で年明け一発目がジェイソン・ステイサム。あらすじはまあいつもと同じなんですが、昨年の『ビーキーパー』の超人的な強さと比べると今回は一応人間的にアリくらいの強さで2割減というところかと。

原題からわかるようにステイサムの役どころが現場作業員。なので大工道具とかでアクションするのかと思いきや、そういうのは本当に最初だけであとは普通に銃をぶっぱなしてました。子持ちだったり勤め先の娘さんを救いにいったりと、守るべき存在がいるのにホッコリしたりハラハラさせられたり。『ビーキーパー』ではそういう存在がいきなり死んじゃいましたからね。

 

☆『ロストランズ 闇を狩る者』

『バイオハザード』夫婦コンビによるダークファンタジー…というよりディストピア&スチームパンク。この映画、観る前にちょっと疲れちゃってて評論家の点数も低くてもうお家帰っちゃおうかな…とも思ったのですが、がんばって鑑賞しました。そしたら赤茶けた画質というか背景や、朽ちかけた鉄道や陸橋などのビジュアルがけっこう好みでやっぱ観てよかったです。でも人に勧められるかといえば(略)

ただ興行的には日米共に悲惨な結果に。かつて天下を取ったバイオ夫婦がそんな現状なのはなかなかに寂しい。

 

☆『コート・スティーリング』

主人公が追い詰められる系の作品が多いダーレン・アロノフスキー監督最新作。ただ今回は「追い詰められる」点は変わらないものの原作の雰囲気ゆえか人を食っているというか、飄々としているというか、けっこうお笑い混じりの作品となっております。

何の後ろ盾もない貧乏青年が、完全なるとばっちりでマフィアを一人で相手にしなきゃならない…というあたりは去年の『ナイトコール』を思い出させます。でも『ナイトコール』の青年に一応「鍵開け」という特技があったのに対し、こちらも武器は「足が多少はやい」くらい。そんなんで二時間殺されないで果たしてもつのかゲラゲラ笑いつつも心配になります。

あと猫が非常によかった。まあ悪い猫などいませんが、猫映画としてよかった。

 

☆『ウォーフェア 戦地最前線』

実録戦記もの。それも割と最近。実際にあった作戦をほぼ時間同時進行でカメラマンとなって見守ろう、というコンセプト。

この作戦というのがまず謎で、中東のどこかの民家を夜中に突然占領して立てこもるという、何が目的だったのかよくわからないものなんですが、結局敵対勢力にばれて四方から銃撃を浴びることになってしまいます。家の持ち主からしてみたら傍迷惑にもほどがある、という話です。

そんな米軍の身勝手さにモヤモヤはしますが、もし家を武装勢力に包囲された際、どうやって脱出するか?というところは勉強になります。結論:航空支援がないと厳しい

 

☆『長安のライチ』

唐の玄宗皇帝の時代を舞台にしたお話。1日で色が変わるライチを馬で30日かかる長安まで腐らせずに運ぶという無理難題を押し付けられた木っ端役人が、知恵と工夫と算術を駆使して成功に導く…という『プロジェクトX』みたいなストーリー。前半は。

後半は中央役人の高慢さに主人公らが苦しめられ、それでもどこまで意地を通せるか?という山田風太郎によくある流れになっていきます。面白うて、やがて悲しき…というやつでしょうか。見かけは美しいけれど腐敗が避けられないライチ長安が重なります。

 

あとこの月はTVアニメ『ガンバの冒険』を編集した『冒険者たち ガンバと七匹の冒険』リバイバルも観ました。ダイジェスト感は否めませんが、スクリーンで見るとあらゆるものが巨大なので一層ネズミになった感覚を味わえます。何度も観た・読んだ話ですが今回になって「あれ… 一番の功労はガクシャでは?」ということに気づきました。

その日会った友人たちに「さっき『ガンバの冒険』のリバイバル観てきたんすよ!」と言ったら、みな口々に「あー、あれね。ノロイが怖かった〜」と。わかるけどもっと他にないすか?

 

次回は『復讐島』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女』『ランニング・マン』『ブゴニア』『クライム101』について書きます。

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February 22, 2026

2025年12月に観た映画

そうです… 年末に観た映画の感想をいまごろ書いてます… がんばれ記憶力。なんかこの月は続編ものを多く観てました。

☆『ペリリュー 楽園のゲルニカ』

第二次世界大戦時の南洋を舞台にした、実際の戦記に材を取ったアニメ(漫画原作)。予告ではいかにも「かわいそう・泣けそう」な話に見えます。そういうところもないではないですが、全体の2割くらい。あと4割は「シュール・ドライ・滑稽」、もう4割は南洋の美しい風景と小動物に力が注がれております。しんどいのは戦争は終わってるのに主人公の部隊はそれを知らず、あるいは受け入れられず無駄な殺し合いを続けているパートがけっこう長いところ。

悲惨な話をあんなかわいい絵柄でやって...とも思いましたが、子供たちにはその分見やすいだろうからいい教材になるのでは。

 

☆『ズートピア2』

9年ぶりの続編。よくも悪くも安定の面白さというか、新要素として爬虫類が出て来てはおりますが、そんなに驚くところはなかったり、目を引く新しさはなかったり。最初いいやつだった人(動物)が実は…というのもここんとこのディズニーのパターンだし。

ただびっくりしたのは前作も大したヒット作(現在日本で歴代100位の興行収入76億)でしたが、今回は現時点で歴代19位の148億まで来ております。9年の間にレンタル・配信で日本に浸透しまくったのか。うまくいけばもう2ランクくらいはアップしそう。

 

☆『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』

3年ぶりの続編。というか前後編の後編。とりあえず「つづく」のままだったお話がそれなりに一区切りついたというか、すっきり終わったのはよかったです。

1作目の時は極悪人だったのになんだかどんどん嫌いになれなくなっていくクオリッチ大佐。まるで『ドラゴンボール』のピッコロかベジータのようです。反面面白みのない主人公のジェイクは今回ヒーローにあるまじき行動に走りかけます。まああれは旧約聖書におけるアブラハムの物語のオマージュだったのかなあと。そう、なんか今回は急にキリスト教的要素がぐんと主張しはじめたような。

とりあえず4,5作目の構想はあるようですが、キャメロンは「もう自分では直接やらないし3作目の売上次第」なんて頼りないことを言っています。このお話に完全に決着をつけるとしたら、ナヴィたちが地球に乗り込んでいって地球からの侵略を根元から断つしかないと思うのですが、それを3D映像でやって面白くなるかというと???

 

☆『新解釈・幕末伝』

福田雄一監督が幕末全体を自分なりにアレンジした歴史劇。自分『新解釈・三国志』や『アンダーニンジャ』とか嫌いじゃなかったんですが、これはひどかったです。スペクタクルシーンとか一切なく、例の独特ギャグが進行する密室劇がいくつかあるだけという。恐らく『新解釈・三国志』の3分の1も予算かかってない。そんなわけで2025年堂々のワースト2位です。でも5回に1回くらいツボにはまるギャグがあって何度か笑ってしまった。悔しい

 

☆『ナタ 魔童の大暴れ』

昨年全世界興行収入第1位のアニメ作品。あちらで孫悟空なみに人気がある哪吒の伝説をアレンジした内容。問題はいきなりの2作目だということ。それなりに想像を巡らせれば一応ついていけますが…

お金と人のかけ具合がすさまじく、CGアニメ美術の大暴力という感じでした。『羅小黒戦記』が感情を抑えたスタイルだったのに対し、こちらはもっと直情的で正統派少年漫画の遺伝子がぶち込まれています。ナタは恐らくわざと可愛くなくデザインされていて最初はひくのですが、そのうち愛着がわいてきてクライマックスでかっこよく進化すると逆にさびしくなりました。

やんちゃ坊主と優しい美少年のバディものという所も珍しくてよかったです。

 

あとこの月は『落下の王国』17年ぶりのリバイバルも観ました。そんなに思い入れのある方でもなかったんですが、貴重な機会&だしTwitterでの高まりに流されて。で、ウン年後2回目鑑賞方がしみじみ感じ入れた気がしました。山賊が話いいところで第4壁を破る的なことをやって、アレクサンドラがむくれるシーンがなんか好き。ただ「子供を泣かすんじゃねえ!!」とは強く思いました。

 

次回は『ワーキングマン』『ボーダーランズ』『コート・スティーリング』『ウォーフェア』『長安のライチ』について書きます。

 

 

 

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February 08, 2026

『べらぼう』を雑に振り返る⑫ 12月編

感動の最終回からはや50日。いい加減クライマックスの感想をまとめます。

☆第45回「その名は写楽」

源内生存の噂を流していたのは一橋治済への復讐を企む松平定信とその一派だった。気が進まないながらも強引にそのプロジェクトにかまされてしまう蔦重。そしてここに謎の絵師「写楽」がとうとう誕生する。

自分、このドラマの企画を知った時に絶対写楽中心の話になると思ったのですが、ラスト4回になってようやくの登場?となりました。最近の学説では阿波の能楽師齋藤十郎兵衛ということでほぼ決まってるらしいですけど、このドラマみたく「数名による合作説」というのも確かにあるそうです。

なかなかイメージが決まらず思い悩んでるところに意外とあっさり帰って来てラストのピースをはめる歌麿。「男と男の情念の行きつく先が見たい」と強火BLファンみたいな説得で彼を呼び戻したおていさん。ファインプレーでした。

 

☆第46回「曽我祭りの変」

かくして世に送り出された「写楽」。だがそのはかりごとはあっさりと罠の対象である一橋卿に露見してしまう。これまで多くの邪魔者を排除してきた一橋卿の毒牙が、ついに蔦重にも向けられることに…

字体であっさりばれてしまった定信の戯作。そういうところ爪が甘いよね… そして大逆襲を始める一橋卿。その手段とか表情とか声色とかがことごとく怖い。こんなのに勝てるわけがない…と思えて来ます。本当に生田斗真氏の代表作になったのでは。同時期に放映されていた三谷幸喜氏のドラマではお茶らけたチンピラとかやってたんですが。

事態が緊迫する中お笑いで肩をほぐしてくれたのが坂口涼太郎君演じる「ぐにゃ富」。『国宝』で本格的な歌舞伎役者を演じていた流星君の前で女形をやらざるを得ずイヤな汗をかかれたとかなんとか。

毒饅頭が猛威をふるう中またしてもひょっこり現れた生田君。???が渦巻きながら次回へ。

 

☆第47回「饅頭こわい」

ラス前回のクライマックスだっつーのにこのタイトル。一橋治済の逆襲にあい瓦解寸前の定信一派。蔦重たちは知恵を振り絞り、一発逆転の策を練る。

というわけでとうとうラスボスの巨悪と(間接的に)対決するエピソード。大河の山場というのは大体大規模な合戦とかだったりする場合が多いですが、このドラマではなんと茶室での息詰まる駆け引きという… 「あのボンボンではとても無理だ」と思いましたが無事やってくれた将軍様。そして「殺さずに僻地に幽閉」というやりかたがいかにも文人らしいというか粋というか。都合よく替え玉と巡り合えたりとか、史実からあまりにもジャンプしすぎとかありますが、よしとします。あとなんか『鉄仮面』ぽい流れでしたね。

一件落着したあと耕書堂を訪れ、「一度来てみたかったのだ」「春町はわが神だった」と語る定信。それだよ!!!!我々視聴者が見たかったのは!!!!とテレビの前で滂沱の涙を流しておりました。

 

☆第48回「蔦重栄華乃夢噺」

最終回。巨悪も倒し天下も泰平…となったところで蔦重に病魔が忍び寄る。己の命運を悟った彼はこの世を去る前に出来る限りの仕事や引継ぎを果たそうと病身に鞭打って働く。

前回でもうあらかたの問題は片付いてしまったので、ラストはまるまる一回かけて蔦重の死を追う流れとなっています。でも主人公なんだから1回じゃあまりにも短くはないでしょうか。まあ数回かけて感動をあおるより、あっさりライトにその死にざまを描く方が「屁」にこだわり続けたこのドラマらしいといえばらしい。

いまわのきわの蔦重の周りを「屁! 屁!」と言いながら踊り狂う一同。その必死の呼びかけに奇跡的に息を吹き返した蔦重の最後の言葉が「それかよ!!」という(でもこれ史実らしいですね…) この世は夢であり、人の一生は屁みたいなもの。そんな軽さに救われながら、おならなりに気概を持って生きていきたいと思いました。

 

無事最後まで書けてよかった… あともう一回総集編というか名場面まとめみたいな記事が書きたいところです。屁

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December 29, 2025

2025年、この映画がアレだ!

誰にも注目されてないのに今回で21回目を数える年間映画ベスト。今回も張り切ってまいります。

まずは順序良くワーストから。

☆ワースト1位 『サブスタンス』

発想と展開は確かに優れてるんですが、全編に漂う底意地の悪さがとにかくイヤでした。次点は昨日観たばかりの『新解釈・幕末伝』

☆リバイバル部門

『落下の王国』

17年前はそれほど響かなかったんですけど、今回はなんかよかった。でもやっぱり子供を泣かせたらいかん。次点『アバター ウェイ・オブ・ウオーター』

 

つづきまして良かったけど惜しくもランク外となった6作品。

・はたらく細胞

・FLOW

・アマチュア

・サンダーボルツ*

・ChaO

・果てしなきスカーレット

見落とした作品も多いんですが、今年は意欲的なアニメ映画が多かったです。

 

それではベスト25。順位をつけてガーッと行きます。

第25位 『Mr.ノボカイン』 痛いの痛いのとんでけ!

第24位 『キャプテンアメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』 キャプテンアメリカは帰ってくるらしいけどどっちなの?

第23位 『室町無頼』 大泉洋がかっこいいという奇跡(すいません)

第22位 『国宝』 吉沢亮と横浜流星の区別がつくようになりました

第21位 『教皇選挙』 ローマ教皇は1日にして決まらず

第20位 『ナイトコール』 本年度ベストベルギー映画。ベルギー映画これしか観てないけど

第19位 『ナタ 魔童の大暴れ』 昨日観たばかりの本年度世界最高収益映画。CGアニメ美術の大暴力

第18位 『スーパーマン』 新生DCユニバース。スタートはまずまずでよかった

第17位 『アノーラ』 本年度アカデミー賞作品部門受賞作。鑑賞した候補作品の中では確かにこれが一番面白かった

第16位 『ファンタスティック・フォー ファーストステップ』 『アバター』新作でもあったけど、妊婦を戦場に連れ出しちゃいかん

第15位 『プロフェッショナル』 『アマチュア』とはしごして観ました

第14位 『トロン アレス』 宇宙刑事新作もこんな感じでどうか

第13位 『見える子ちゃん』 見えすぎちゃって困る!

第12位 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』 今年の映画ベストご飯はこの作品の「叉焼飯」でした

第11位 『ワン・バトル・アフター・アナザー』 早くも来年度オスカーの呼び声が高い作品。ディカプリオの役立たなさ加減が最高でした。

第10位 『大長編 タローマン 万博大爆発』 べらぼうな夢はあるか でたらめをやってごらん 生きるも良ければ死ぬも良し 

第9位 『JUNK WORLD』 ポッコリーノ ペッコリーナ 何年でも完結編を待ち続けます。

第8位 『ハンサム・ガイズ』 本年度ベストコメディ賞。男は顔じゃない。

第7位 『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』 絶賛公開中。2作目から3作目はそんなに間空かなくてよかったですね

第6位 『8番出口』 おじさん、おじさん、おじさん、おじさん、おじさ(略)

第5位 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』 本年度ベスト実写邦画。みずみずしい青春模様がおじさんの心も震えさせる。あえて苦言を呈すとしたらタイトルが長くて覚えづらい

第4位 『ミッションイン・ポッシブル ファイナル・レコニング』 1大スパイシリーズ堂々の完結編。1作目からの約30年が走馬灯のように脳裏を駆け抜けていきました。しかし007もキングスマンもジェイソンボーンも見通し立たなくてスパイ映画の将来はどうなってしまうのか

第3位 『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 「鬼滅はオワコン」と囁かれてたのに、公開してみれば本年度ぶっちぎりのヒット作となりました。自分も原作で「遊郭編」と並んでこの辺が一番好きかも。少年漫画と山本周五郎がみごとに融合した名作

第2作 『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』 本年度ベスト外国映画。そして猫映画。期待に違わぬすばらしい出来でしたが、ひとつ文句を言うとするなら猫小黒の出番が少なかった。もっともっともっと猫を出せ

 

そして栄えあるベスト1位は

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』

でした。映画というよりTVシリーズの先行上映なんですが、結局2025年の作品でこれを観ている時以上のドキドキワクワクおったまげはなかった。そしてIMAXのサイズでも十分に耐える絵力。クライマックスのあれやこれやも大画面で観たいので続きも劇場公開してちょんまげ

 

なんとベスト3が全てアニメという… 映画ファンとしてこれでいいのか。おじさんなんか恥ずかしいな。

自分とココログに何もなければ来年もどうぞよろしく~

 

 

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