July 11, 2009

ゼンは急ぐ プラッチャヤー・ピンゲーオ 『チョコレート・ファイター』

090711_185250一人の少女が、この映画のために四年の歳月をかけて鍛えられた・・・ そうです。微笑みの国タイからやってきたアクション映画『チョコレート・ファイター』、ご紹介します。

お互い敵対する組織にあって、愛し合ってしまった一組の男女。女は男のためを思い、一人姿を隠します。やがて彼女は女の子を産みますが、子供は自閉症を患い、母もまた病の床についてしまいます。
母を救うためにお金が必要なことを知った女の子は、勇気を振り絞って母を搾取した悪党どもの元に向かいます。そうです。閉ざされた心を持つ彼女には、いつしか超人的な格闘能力が宿っていたのです・・・・

最後の一文を読んで「?」と思われた方もおられるでしょうが、そういう話なんで仕方がないのです。
かつて日本の時代劇にも「ハンディキャップもの」ともいうべきジャンルがありました。とある理由で社会からチャレンジされてるヒーローが、健常者の悪党どもをバッタバッタと切り倒すという映画ですね。失われた能力の代わりに他の能力が著しく研ぎ澄まされる・・・ そんな発想から生まれたのでしょう。代表的なヒーローといったら、なんと言っても『座頭市』。それに『丹下左膳』。しかし時経つ内に「そういうのって差別じゃない?」という見方が強まり、このジャンルは衰退していくことになりました(最近のコミックでは、けっこう義手系のヒーローが活躍してたりすんですがね)。
ですが他のアジア圏ですと、まだあまりそういうことは気にされてないようです。この『チョコレート・ファイター』もそんな「ハンデもの」の一本。ただヒロインのハンデが「自閉症」というところが、これまでにないというか、「これいいのかなあ?(^^;」という作品です。

ヒロインの名は「禅(ゼン)」。父が日本人(実は阿部寛)であることから、母がそう名づけたのですが、このこと一つとってもツッコミどころが豊富な映画であります。ヒロインと悪党があんだけ派手に暴れまわってるのに、警察はまったく来る気配もないし(笑)。しかしこの映画の真骨頂はなんと言ってもアクションにあります。
ゼンを演じるジージャー・ヤーニンさんはもともとテコンドーの選手であったということですが、そこからさらに猛トレーニングを積んだというだけあって、スパスパビュンビュンよく動きます。まさに目にも止まらぬ速さ。細身の剣が自在に宙を舞うようなアクションであります。

打撃はもっぱらキックが中心。ゼンちゃんは最初ふわふわしたスカートをはいてアクションをするのですが、丈が長い上に動きが素早いので、パンツはほとんど見えません。見えてもコンマ二秒くらい。そういうのを期待して見に行くとかなりガッカリすると思うので、前もって忠告しておきます。
・・・話を元に戻して。日本でキックというと仮面ライダーかジャイアント馬場をつい思い浮かべてしまいますが、もともとキックというのは弱者・・・小柄な人の武器ではないでしょうか。脚には腕の三倍の力が秘められていると言います。リーチの差も多少は補えますし、小柄な人が全力を持って大柄な人と戦うのであれば、脚に頼るらざるをえません。対して大柄な人は足技を使うとバランスを崩しやすい。テコンドー、ムエタイ、カラリパヤット、セパタクロー(あれ?)など、足技中心の格闘技が小柄な人が多いアジアで発展しているのは、そんな理由によるのではないかと。例外はブラジルのカポエラですが、あれだって手を縛られた奴隷が開発したものですから、「弱者の武器」という点では通じるものがあります。あ・・・ 「サバット」ってのもあったな・・・ まあいいや(おーい)

ただ、この映画でがんばっているのはヒロインだけではありません。やられ役の人たちも相当体を張っております。中にはマットも何も強いてないコンクリートの地面へ三階から落ちていった方もおられましたが・・・・ タイの方たちは香辛料の食いすぎで痛覚が麻痺しているのでしょうか? いや、そうでないことはエンドロールを見るとよくわかるんですが。普通こんなとこ見せねーだろ・・・という痛々しい映像のオンパレードです。最後に出てきたあの人、その後無事回復したのかしら・・・ そんなことまでつい気になってしまいました。

さて、タイの映画界ではメロドラマや芸術作品も普通に作られてるそうですが、日本に来るのは専らアクションものばっかりですねえ。『マッハ!!!!!!!!』『七人のマッハ!!!!!!!』『トム・ヤム・クン!』『ロケットマン!』『マーキュリーマン』・・・ って『ロケットマン!』以外全部同じ監督の作品じゃねーか(笑) その『ロケットマン!』からちょっと変な方向に行ったので、この『チョコレート・ファイター』で軌道修正ということでしょうか。

090711_185352少し前本国では、『1』の主演であるトニー・ジャーが監督した『マッハ2!!!!!!!!』(仮題)も公開されたそうです。この映画、撮影途中で監督が失踪するとか金銭トラブルがあったとか、いろいろ大変だったようで。そのせいか知りませんが日本で公開するのかどうか、いまだにちゃんとした話を聞きません。こちらでも無事に公開されるといいですねー

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July 07, 2009

新たなる破裂 庵野秀明 『新劇場版ヱヴァンゲリヲン:破』Aパート

090707_172309本当ならもうとっくに終ってるはずなのに、いまごろ第二弾が公開の『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』シリーズ。第一弾『序』の記事はこの辺とかこの辺とかこの辺に書いてありますんで、気の向いた方はごらんください。

1~6話をまとめて少しアレンジを加えた・・・という感じの『序』でしたが、今回は重要なイベントこそ消化しているものの、ほとんど新規作り起こしの内容でした。その分それこそ「新作」を見る興奮が味わえた気がします。

今回はメンドくさいのでもうしょっぱなからネタバレ全開で、思ったことをダラダラと書かせていただきます。これから見ようかという方は今の内に避難されてください。


☆「シンジとゲンドウ」

当初はこの『エヴァ』という物語は父と子の葛藤を描いた話だと思ってましたが、関連本をいろいろ読んだ今はちょっと違うように感じています。シンジが少年のままの庵野監督だとすると、碇司令は大人・公人としての庵野監督なのでは。
つまり『エヴァ』とは二人の自分がえんえんと言い争ってるような、そんなアニメだったんではないでしょうか(笑)
テレビシリーズのころの庵野さんってたぶん自分のことが嫌いだったんだと思います。だから二人はあんなにも仲が悪い。もしかしたら好きになれるかも・・・・と思いながら、結局やっぱむずかしいなあ~ みたいな、そんなオチだったと考えています。

今回も目は合わせないは電話には出ないわあんまし変わってないようにも思えましたが、後半「おや」と思わせるセリフがありました。エヴァで本部をぶっ壊そうとしたシンジに、テレビ版では「お前には失望した」と語っていたゲンさんですが、今回は「シンジ、大人になれ」とそれこそ大人の発言をしています。この歩み寄りに、なんだか庵
野監督の変化を感じたのでした。何がその変化を生じさせたのか。そのヒントは


☆ごはん

にあるような気がします。この『破』ですが、尺に余裕がないにも関わらずやたらと食事・料理にまつわるシーンが多いように感じられました。綾波もアスカもシンジに一層心を開いたきっかけは彼の手弁当でしたし、二人がシンジに対し接近を試みようとするツールもまた料理だったりする。
平成ライダーからの影響か(監督が平成ライダーのファンというのは有名な話です)とも思ったのですが、まあやはり本当のところは、監督がこの十年で「誰かにご飯を作ってもらう・誰かと一緒にご飯を食べる」その喜びに目覚めたからからではないでしょうか。
同じ釜の飯を食うことにより、人はコミュニケーションをはかり、共同体として成長していくわけです。
ただ理解しがたいのは、この映画にはエヴァ・使徒のお食事シーンもあるのですが、そいつが上記のシーンとはうってかわってえらい凄惨であること。食事というより「食い殺す」といったほうが正しい。
人のお食事シーンとエヴァのお食事シーンに何らかの関わりがあるのかどうかは、まだよくわかりません。


☆アスカ

テレビ版では三話でほぼ綾波と同じ地位を得たアスカですが、今回はサブ的な位置のままで終りそうな感じです。テレビ版後半から旧劇場版にいたるあたりでは、アスカはその勝気な性格とは裏腹に絶えず「死の匂い」を漂わせているキャラでした。旧劇場版のラストシーンなんか思いっきり彼女が殺されかけてるところでしたし。この辺なんだか庵野監督の執着というか「憎悪」が感じられるような・・・
今回も登場してまもないのにいきなり死亡か!?と思われましたが、幸い一命はとりとめた様子。テレビ版でのあのシーン(第18話)に関して監督は「本当はやっちまいたかった」と語っております。それができなかったのは某ブレーンとの間に「子供は殺さない」という約束があったからだそうです。コミック版でああいいう結末になったのは監督の本来の意を汲んでのことなのか・・・・
しかし今回も監督は子供を殺せませんでした。生ぬるいという意見もあるでしょうが、わたしはこれでよかったと思ってます。


☆ダミープラグ

これはどっちかっつーと新劇場版というよりテレビ版での話なんですが、今回新たに気づいたということでcoldsweats01
シンジが入ってない偽のプラグを拒絶するエヴァ。この辺から当時の制作の状況が伝わってくるような。
このころになるともういい加減スケジュールが破綻してきて、このままではラストがまともにできそうにない・・・ということがわかっていたようです。ちゃんと終わりまでもっていくには、非常な手段=局の言うことを聞いて、ほどほどに手を抜いて乗り切るしかない。これが碇司令=大人としての庵野監督としての心情。
しかし手を抜くくらいならぶっこわれても構わない。むしろ自分でぶっ壊す。これがシンジ君=子供のままの監督の心情。結局子供の部分が勝った・・・のかな?coldsweats01
当時の監督は「思い通りにいかないとごねる」ということでは定評のあった方のようです。まあまがりなりにも劇場版でちゃんと完結できたのだから、『エヴァ』は幸運な作品でした。


☆翼をください

一度はエヴァを降りることを決意したシンジですが、綾波が食われたのを見てもう一度戦う決意をします。テレビ版では加治に促されて、「自分にしかできない仕事だから」という感じでありましたが、今回はあくまで綾波個人を助けたいという思いで戦場に戻ります。
誰かを助けるためにこんなにも熱くなるシンジ君・・・・ 旧バージョンとは明らかに違います。ここは『翼をください』よりもユーミンの『守ってあげたい』の方がマッチしているような気もしますが。


090707_184636せいぜい19話あたりまでかな~と思いきや、最後の数分で一気に「まごころを、君に」まで行ってしまった感のある『破』。恐らく完結編となる『Q』ではまた新たなる物語が見られることでしょう。

参考文献は『スキゾ・エヴァンゲリオン』『パラノ・エヴァンゲリオン』(太田出版)、『監督不行届』(安野モヨコ著)でした。
調子にのってまたAパートとつけてしまったから、Bパートも・・・やるの?

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July 05, 2009

サルだっていいじゃない ジョナサン・モストウ 『ターミネーター3』

20060425172949現在好評?公開中の『ターミネーター4』。それに関する記事を読んでわたしがあらためて知ったのは「『ターミネーター3』ってそんなに評判が悪かったのか?」ということでした。いや、わたしはこの映画普通に面白いと思ってたんですけどねえ。そういやこの映画が公開されたころって、ブログもほとんどなかったような気がするし、誰かと一緒に見に行くというのも十回に一回くらい。当然誰かと意見を交わすこともなく、映画鑑賞ってつくづく孤独な趣味でありました。しみじみ

っと、話が横にそれました。みなさんの『Tさん』に対する意見をざっとまとめてみますと「最悪」「超駄作」「なかったことにしてほしい」「ジョン・コナーがサル顔すぎる」「うんこ」
・・・・・

そこまで・・・ そこまで言わなくてもいいじゃないですか!!crying サルだって、サルだってぼくらと同じ人間です!(←ちがいます)

そこで今回はわたしがなぜ『Tさん』を面白いと思うのか、その理由についてネチネチと解説していきます。こんな記事書くとお得意様の皆様からそろってひんしゅくをかいそうな気がするけど、まあいいや。書いちゃえ。
あの、どうか「本当にこいつバカよね~」って感じでうすら笑いでも浮かべながら、見逃していただければ幸いですcoldsweats01

それではさっそくまいりましょう。

one「冒頭でうらぶれてるジョン・コナー」

いや、世が世なら「救世主さま」とあがめたてまつられてるジョンくんがですよ、この世界ではうっかり世界を救ってしまったためにほとんどプータロー状態ですよ。その辺がなんとも「運命の皮肉」ってヤツを感じさせるじゃないですか。
少し時間の流れが変わっただけで、超セレブもフリーターになっていたかもしれない。逆にその辺のあんちゃんが総理大臣になっていたかもしれない。そう考えるとなんだか面白くありませんか?
それにしてもこの状態のジョンくんを見ると、彼にとって本当に幸せなのはどっちの世界なんだろうな・・・とつい考えてしまいます。そりゃあやっぱりプータローでも安全に暮らせる世界のほうが幸せだと思いますけど。

two「スカイネットの設定」
それまでは単に「すげえコンピューター」くらいの設定だったスカイネット。ですがこの作品ではその設定にやや補足というか変更が加えられています。スカイネットとは一個のコンピューターではなく、多数あるコンピューターが一つのプログラムにより相互かつ緊密に結び合わされたもの、すなわちネットワークであると。
実は人間の「意思」「自我」、これはどのようにして生じるのかということに関し、次のような説があります。人間の脳には1000億あるといわれる神経細胞があります。これがそれぞれ約千個ほどのシナプスにつながれることにより、膨大な数の情報交換が行われるわけです。それによって「意思」というものが形成されるのではないか・・・・というもの。
だから超緊密なネットワークが完成した途端に機械に自我が生じてしまうというのは、ある意味非常に説得力があるわけです。そうするとこの我々が使用しているインターネットにももしかして意思が生じてるんじゃないの? という疑惑も生じてきますが、まあ世界中のPCより一個の人間の脳細胞の数の方がずっと多いし、情報交換も脳の方がずっと頻繁なので、たぶん大丈夫・・・・だと思うんですが。

three「あれ? 審判の日、来ちゃったよ?みたいな」

『T2』でスカ誕生の原因となったT-800の回路が消滅したことにより、回避されたかと思った「審判の日」。ですがこの『Tさん』では何の説明もなくスカイネットが開発され、「審判の日」が到来してしまいます。

この辺が特に「ここが変だよ」と言われてしまう部分でありますが、ちょっと待ってください。変といえば『T2』のラストもどこかおかしい。だってスカちんが誕生しなければカイル・リースが過去に送られることもなく、当然サラ・コナーと結ばれることもなく、ジョン・コナーが生まれることもない。だから本当ならT-800がずぶずぶと溶けていった瞬間に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の1シーンのごとく、ジョン君もスーッと消えていってしまうはずなのです。
『Tさん』冒頭でジョン君がビクビクしてるのはそのせいかもしれません。「時の異物」である自分が存在していることが、歴史が変わっていない証明ではないかと。

たださらに遡って考えますと、そもそもジョン・コナーが存在したからこそターミネーターが過去に送り込まれた。そしてそれを追いかける形でカイルが送り込まれた・・・ ということは、カイルが過去に送られなくてもジョンは存在しえたということか? ううううん~ なんだか「タマゴが先かニワトリが先か」みたいな話になってきましたがwobbly

学者さんやSF作家はタイムスリップによって過去が帰られたなら、歴史はどうなるか、ということに関し次のような説を述べています。
1:その瞬間に歴史が変わる
2:その瞬間に歴史が分岐する
3:歴史の細かいところは変わるが、おおまかな流れは変わらない

実際のところは本当にタイムスリップをしないとわからないと思いますがcoldsweats01、たぶん『ターミネーター』シリーズは「3」の考えで作られてるのではないでしょうか。
恐らくカイルが過去に送られずとも、別の男性によってジョン・コナーは誕生するのでしょう。同様にスカイネットが開発されること、「審判の日」が下ることも避けられない事実なんでしょう。

four「T-1萌え」

この作品には正式なターミネーター第一号「T-1」が登場します。これがシュワちゃんとはまったく似ても似つかない、手はガトリング、足はキャタピラでボディはドラム缶みたいなシルエット。
「そういや電話も昔は真っ黒でダイヤル式だったよなー」みたいなノスタルジックな気分に浸らせてくれます。

five「サプライズ・エンディング」

ちょっとthreeと重なるところもありますが、わたし『T3』っててっきりまた審判の日が回避されて、「めでたしめでたし」で終ると思ってたんですよねー それが見事にこちらの予想を裏切ってくれました。やっぱし映画ってのは観客の度肝を抜いてナンボですよ。
・・・・ただみなさんが怒ってらっしゃるのはこのエンドに関してなのかもしれませんね・・・ せっかくきれいにまとまってたモンを、散らかすだけ散らかして逃げた、みたいな終り方ですからcoldsweats01

six「漠然とした不安感」
わたしは『ターミネーター』シリーズが他のアクションSFと違うのは、ラストシーンに漂う漠然とした不安感にあると思ってます。『1』は近い将来災厄が下ることを暗示して終わり、『2』も一応ハッピーエンドではありますが、「未来はどうなるかわからない」みたいなナレーションで幕を閉じます。
で、『3』では結局審判の日が来てジョンも死ぬかもしれないと、不安をあおるだけあおって終ってしまいます。卑怯な手かもしれませんが、予定調和な終わり方よりもこういうエンドの方が記憶に残るものなのですよ。
考えてみたら『4』はその点物足りなかったかも。

20060427154444どうでしょう。『ターミネーター3』がいかに傑作であるかわかっていただけたでしょうか。
ここまで読んで「いや、それはおかしいだろ」と思われた皆さん、その思いはそっと胸にしまっておいてください。わたしはいつ何時、誰の挑戦でもうけません(笑)
3、2、1、ダァーッ!!rock

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July 03, 2009

時には、ハチを愛するように ジーナ・プリンス・バイスウッド 『リリィ、はちみつ色の秘密』

090703_130121首都圏より三ヶ月ほど遅れて上映。

1960年代半ばのアメリカ南部。14歳の少女リリィは、幼いころ死に別れた母を未だに恋しく思っていた。妻に裏切られたと思っている父のT・レイは、そのことが不快で、リリィとよく衝突する。
そんな時ある事件がきっかけで、彼女たちの家で働く黒人のメイドが当局に捕まってしまう。リリィは父への反抗心も手伝って、彼女を警察から連れ出して、二人で見知らぬ土地へと向かう。
さっそく宿にも困ったリリィたちだったが、たまたま知った養蜂業者の家で働かせてもらうことになる。その養蜂業者は驚くべきことに黒人の女性だった。

原作は2005年に発表され、世界35カ国で翻訳されたベストセラー。一昔前のアメリカの話で、作家を志す子供が主人公というところは昨年の『テラビシアにかける橋』なんかを思い出したりしました。

この映画に興味をひかれた理由の一つは「養蜂」がモチーフとなっているところ。はちみつは甘味と滋養に富み、薬用としても効果があります。リリィにとってその仕事に携わるということは、まさしく母の愛情に触れるようなものだったのかもしれません。

「虫を愛する人は心清き人」という言葉があります。ウソです。ありません。たったいまわたしが考えました。
アメリカの人たちって虫のこと嫌いか興味ないかのどっちかだと思ってましたが、この映画に登場する女性たちはハチはもちろん、ゴキブリにすら愛情を注ぎます。・・・なんて優しいんだ・・・crying
わし、「虫のこと好き」とか言いながら、ゴキブリや蚊のことは差別してたよ・・・・ 反省しなくちゃな・・・ 潰すけど。ぷちゅdash

しかし作品は「あま~いheart04」だけではなく、彼女たちを取り巻く苦い現実をも描きます。特に当時のアメリカ南部は、未だ人種差別が色濃く根を下ろしている土地でありました。

女子供を容赦なく殴る男たち。見下げ果てた野郎どもです。こうした狂気の背景にはなにがあるのでしょうか。
ヒントになるのは2000年の映画『タイタンズを忘れない』。黒人のチームメイトを蔑んできた理由について、ある少年は「君たちが怖かったんだ」と告白します。
60年代はキング牧師の活動が脚光を浴び、黒人の権利拡大が叫ばれている時代でした。今まで慣れ親しんでいた社会が変わってしまうことが、自分たちの特権が失われてしまうことが白人たちには恐ろしかったのでしょう。そしてその恐怖を悟られまい、なめれまいと、常軌を逸した行動に出るわけです。

それに対し、リリィを見守るオーガスタのなんと力強いこと。ぶんぶん唸るハチの群れを前にしても少しも動じず、「大切なのはハチに愛を注ぐこと」と諭します。そう、ハチだって無闇やたらと人を刺すわけではありません。人が恐怖や敵意を示すからこそ刺すわけです。逆に愛情を示すならば、ハチも甘い蜜を提供してくれます。

今の日本はこの映画と違って、異なる人種がそれほど入り混じってるわけではありませんが、お隣の国々とは何かと衝突が絶えません。マスコミはマイナスな報道しかしないのでイヤになりますが、むこうさんにも「仲良くしたい」「歩み寄りたい」と思っている人々はきっといるはず。たとえ数が多くないとしても、そのわずかな人々のために、わたしは彼らと仲良くしていきたいと思っています。

もひとつ思ったのは、当時はまだ「親の愛は絶対」と信じられていた時代だったんだな・・・ということ。そりゃかの時代にもそれなりに虐待や育児放棄はあったと思いますが、少なくとも表面化はしてはなかったわけで。

痛ましいニュースが増えていることと、ミツバチが減少していることに、なんだか奇妙な符号が感じられたのでした。

090703_130139あ・・・ なんか湿っぽくなっちゃいましたね。ガラにもなくcoldsweats01

代わりといってはなんですが、最後にちょっといい話をひとつ。この映画、驚くべきことにメインキャストのほとんどがノーギャラで出演しているそうです。金と欲にまみれたこの世の中で、なんとも小気味いい話じゃございませんか。
世の中金じゃありません。愛です。そういうわけで、誰かわたしにも愛をください!あとやっぱりお金もほしいです! プリーズ・ラブ!&マネー!・・・って、またそんなシメかい!

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July 01, 2009

トラック大将 復讐の流れ星 マイケル・ベイ 『トランスフォーマー:リベンジ』

090630_175655090630_182944全米の伝説となったあの抗争から二年。
恋人ミカエラと愛車クリスティーンとの三角関係に疲れ果てたサムは、故郷から遠く離れた東海岸の大学に進むことを決意する。入学一日目からイケイケ(死語)なおねーちゃんといい雰囲気になれたサムだったが、女と車が追いかけてきたことから、事態は結局もとの木阿弥に。
そのころ正義の走り屋集団「オートボックス」の店長暁アキラは、宇宙より迫り来る巨大な敵の出現を予感していた。

全日本のオタク少年たちの夢をかなえたあの劇場版トランスフォーマーが、二年ぶりに帰って参りました。一作目のレビューはコチラ
その年の映画秘宝ワースト1に選ばれたゆえ(ベストでも10位でしたが)、今回もまたぞろぶったたかれてるんだろうな・・・と思ったら、世間様の評価はそんなに悪くないようで。きっとみんなトランスフォーマーにはそんなに期待してないんだろうな(笑) かばう気まんまんでいたのに、なんか拍子抜け。ま、いいや。今回もホメ言葉しか書きませんから! ハイ!

よかった点の第一は、まず前回多かった「人間だけパート」が大幅に減ったことですかね。変わりにロボットの登場場面はかなり増えました。きっと「1」のヒットで予算いっぱいもらえたんだろうなー

あとわたしがツボだったのは、これがサイズの異なる友情物語であるということ。正義チームの司令官コンボイ(劇中ではオプティマス・プライムと呼ばれてますが、わたしが「コンボイ」という呼び名に慣れきっているので、あえてこの名で押し通します。ご了承ください)は、ウン百歳で身長十メートルくらいで形状記憶合金で宇宙人ですよ。だのにその辺のボンクラ青年と大差ないサムとの友情が成立してしまう。すばらしいじゃあーりませんか。本当に地球上で争っている場合じゃないですよ。
「君が思っている以上に我々は君を必要としている」なんて、ぐっとくるセリフまで言ってくれます。
それに対し「わりい。学校あるから」とすげないサム。このアホタレが!
しかしコンボイが自分をかばって倒れた時、ようやっとサムは彼との友情パワーを思い出します。

そしてサムは友情とつぐないのためにがんばるわけですが、彼のお供をする「旅の仲間」たちがすごい面子。やはりへなちょこなルームメイトや、双子の漫才師コンビや、敵から寝返った変態ロボットや、ブリーフフェチのリストラ中年や、ポンコツ寸前のロボット三等兵や・・・ そんなはみだし者たちが地球の命運をまかされてしまうんだから愉快愉快。一応米軍やかっこいい系のロボットもがんばってますが、彼らはあくまで脇固めです。

さらにはピラミッドからそんなものが出てきたり、昔なつかしのあれもこれもトランスフォーマーだった、なんて中坊気質丸出しのSFテイストがほほえましい。第二次大戦時乗り物の調子を悪くすると言われたグレムリンの伝説も、きっとヤツラの仕業ですよ。

・・・・マジメなことも少しは語っておこうかしら。悪の親玉の名前「Fallen」や「太古にもTFたちが地球に来ていた」という設定は、恐らくノアの箱舟の直前の「巨人伝説」を意識してるものと思われます。
また一生懸命働いてるのに国から「出てけ」と言われると反論できないコンボイたちには、なんか移民というか難民というか不法入国者の悲哀が漂っておりました。
こんなバカ映画でもそれなりにアメリカの背景や現状が感じられるのは面白いですね。

アメリカではずいぶん前から日本のロボアニメが輸入されていたのですが、なかなかうけいられませんでした。どうも向こうの人々はロボットに乗って戦うことが、「マシンに頼ってる」と感じられたようで。男ならてめえの肉体で勝負せんかい!と。
そんな状況に風穴を空けたのが、このトランスフォーマー。まあ連中は誰かが乗ってるわけではなくあれが彼らの「肉体」なんで、米人のみなさんも親しみがもてたようです。さらには、このTFのヒットがきっかけで、以後は「乗る」系のロボもそれなりに受けいられるにようになったみたいです。

090701_131036ちなみに上画像のロボットはブルドーザーが変形する「ランページ」というもの。なぜこれかというと、単にわたしがこういう乗り物が好きだからです。彼?が劇中のどこに登場していたのか、まったく思い出せないんですけどね(笑)。後半でガキョガキョ○○してたものの一体でしょうか。変形システムが複雑すぎて泣きたくなりましたが、あんなムチャ変形を再現してしまうこの技術はやはりたいしたもの。

この匠の技を手のひらで味わいたい方は、いますぐオモチャ屋さんへGO!です! タ○ラトミー、こんだけ宣伝してやったんだからなんかちょうだい!

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June 24, 2009

銀河の果てまで掘り抜いて 今石洋之 『劇場版天元突破グレンラガン 螺巌編』二回目

090624_182146劇場版『グレンラガン』の完結編となる『螺巌編』。先日地元でも公開されたので二回目を見てきました。
ので、今回はネタバレ前回で印象に残った場面を振り返ってみます。一回目の記事はコチラ

typhoon覚悟はしていたものの、アバンタイトルで済まされてしまったテッペリン攻防戦。「負けねえ。負けねえんだよ」「オレは穴掘りシモンだ。お前が前に立ちふさがるなら・・・」のくだりは、本編で一番「ズゴゴゴゴ・・・・」とキタところだったので、できればもすこしじっくりやってほしかった

typhoon攻防戦直後の地上復興の様子。この辺はたしかテレビ版にはなかった映像。よく見ると結婚パーティーでアイラックがハラ踊りなどしている

typhoonアンチスパイラルの侵攻になすすべを持たない新政府に、怒りを燃やしてつめよる市民たち。手のひらを返す素早さは、極東の某国の大衆も一緒かもね。「お前らがいるから攻めてくるんだ!」この辺は『ザンボット3』へのオマージュか

typhoonシモンの危機を体を張って止めるヴィラル。「アディーネさまの尻尾に比べればこんなもの・・・!」一緒に見た人はここに一番萌えたとゆーてはりました。M萌え?
尺の都合でキタンの「だったらオレは、これに全てを賭けるさ」が削られてしまったのは哀しい・・・

typhoon月落下をめぐる攻防のあれこれ
・アークグレンとの合体シーン「やってやるさ何度だってなー!」 最近仕事やなんやで煮詰まってきた時によく使わせてもらってますcoldsweats01
・カテドラル・テラへのハッキングの際、別人のようにはっちゃける螺旋王。劇場が一番沸いたシーンです
・「お前はいつも叫んでいたんだな。その仮面のような顔の下で・・・・」 言葉の裏を読める人間でありたいものです・・・・

typhoonことが終った後、一人決着をつけようとするロシウ。それに対し「あなたはいつだって最善を尽くしてきた」と叫ぶキノン。ついつい「にくたらしーヤツだなー」と思ってしまうロシウ君ですが、この時ばかりは鼻水が吹き出ました

typhoonそして始まる最終決戦。宇宙で沈没しかけたり、星雲で斬ったり惑星を投げたり・・・ イマジネーションの大洪水であります。「オレの嫁は宇宙一スイング」もすごかったcoldsweats02

typhoon個人的に今回一番輝いていたと思うキタン
「死ぬのが怖くないヤツなんているか!」「これもオレのわがままだ」「これが螺旋の力か・・・ すげえじゃねえか・・・」 crying

typhoon「果てしない可能性」にとらわれて精神世界をさまようシモン。その彼の前に現れたのは・・・
「いつの間にか背、追い越されちまったな。今度こそお別れだ」「そうじゃないだろ・・・ ずっと一緒だ」 cryingcrying

typhoon同じく夢の世界にとらわれていたヴィラル。「おれとしたことが・・・」 テレビで見たときは「可愛いとこあんじゃねーか」と笑っちまったけど、恐らく不死の体を持つ彼はこのような家庭を持つことはかなわない。それを思うとまた鼻水が吹き出てくるのでした。

typhoonグレンラガンに似た姿で、地球の空に現れるアンチスパイラル。劇場版のポスターはこのシーンかと思われます。見上げている少年は結局映画には出てこず。どうも幼い日の螺旋王に似ているような?

typhoonクライマックスにおいて一人一人見栄を切るグレン団のみなさん。単純に生き残れてよかったとおもいます。特にマッケンさん

typhoonアンチスパイラルとの決着。「ならば守れよ。この宇宙を」 彼らは彼らなりに宇宙を守ろうとしたわけであります
これに対するシモンの返答が「当たり前だ。人間は愚かじゃない」から「お前も人間を信じてくれ」に変更されてました。劇場版の方が納得がいきます

typhoon戦い終わって。結婚式の直前にラガンをなでているシモン。恐らく心の中で別れを告げていたんだろうと
そして消滅するニアたんcryingcryingcrying テレビ版の時はやや唐突でしたが、今回はいろいろフォローが利いてました
去りゆくシモンの背中に「たのしかったわよ」と次げるリーロン。それはずっとつきあってきたファンすべての気持ちを代弁していたと思います

090624_182400正直一回目見たときは「紅蓮編の方が好みだったなー」なんて思ったものですが、なぜか二度目では五度ばかり泣いてしまいました。あーはずかしcoldsweats01

スタッフの皆様を讃えるとともに、心よりの感謝を贈ります。

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June 23, 2009

回る回るよ世界を回る 『仮面ライダーディケイド』を語る②

090602_104049全30話(31話という話も・・・)という変則的な話数のゆえ、早くもあと約10話となってしまった『ディケイド』。
今回は平成ライダーに九年半つきあっている(フンガーdash←鼻息)不肖わたくしめが、これまでのエピソードの個人的な、あくまでも個人的な印象について語らせていただきます。

①オリジナルと共通するテーマ
②特に目立った変更点
③個人的にツボにはまったネタ
④個人的な感想
という感じで書いてあります。

typhoonクウガ編(2・3話)
①「みんなの笑顔のために」
②パートナーの刑事が女性に
③クウガが相棒から「パシッ」と拳銃を受け取る場面
④えー。実はこのエピソードが一番良かったような。最初が「一番」というのはツライもんがありますが
「ここがオレの死に場所か」「こいつの笑顔、悪くない」「・・・今ならできる気がする」など印象に残るセリフも多数
異論もあるでしょうけど、平成ライダーにはやっぱし「悲劇性」がよく似合うと思う


typhoonキバ編(4・5話)
①王の資格・異なる種の和解
②主人公が子供に
③糸矢
④このエピソードもまあまあよかった。エキスを吸われかけたというのに、変わらぬ友情を示すユウスケには感服します
キバ父の行動が支離滅裂なのがタマに傷


typhoon龍騎編(6・7話)
①生き残りバトル・純粋な願い
②ライダーバトルが裁判に
③桃井編集長のATASHIジャーナル
④このエピソードが一番ダメでした。世界観に無理がありすぎ。『龍騎』には特に思い入れが深いせいもあるけれど
とりあえずシンジくんはレンさんにちゃんと謝れと


typhoon剣(ブレイド)編(8・9話)
①生存競争・進化
②ボードが民間企業に・ライダーがサラリーマンに
③パラドキサアンデッド
④こちらは可も不可もなし的な印象。単純バカっぽいカズマや、仲間のはずなのに妙にギスギスしてるライダーズは本編を思わせて微笑ましかったです。司とカズマの別れのやり取りも良かった


typhoon555(ファイズ)編(10・11話)
①夢の力
②主人公の性格・舞台が学園に
③んー オートバジンかなー
④まあまあ好印象。本編が40話以上かけてやったことをたった2話でやってしまったのには恐れ入ります。ナイスダイジェスト。勘違いでお宝をゲットしてしまう海東くんに爆笑


typhoonアギト編(12・13話)
①自分の居場所探し
②三人いたライダーが一人に集約
③謎のお手紙・アギトトルネイダーで二人でサーフィン
④クウガ編に次ぐ好印象。ユウスケが活躍する話はいいエピソードが多いですね。アギト役の役者さんも堂々たる風格でした


typhoon電王編(14・15話)
①思いの強さが力を与える
②なし。本編そのまんま
③オレの必殺技スペシャルヴァージョン
④劇場版『超・電王』との連動エピソード。まあこれはこれでアリかと


typhoonカブト編(16・17話)
①兄妹の絆・時間の超越
②カブトがクロックアップしっぱなし・おばあちゃんが本当に登場
③東京タワー あれ? 出てきたよな?
④これまたお気に入りの話。つながりが厳しいところもありましたが、ラストで微笑みながら消えていくお兄ちゃんの姿には、不覚にも落涙いたしまぢたcrying


typhoon響鬼編(18・19話)
①師匠と弟子・響き合うことが大事
②鬼になることにはリスクが伴う。楽器ごとに流派が別れてたり
③そのまんまだったトドロキくんとアキラちゃん
④途中まではよかったんだがなー。なんとかヒビキさんを生かす方向でできなかったもんだろうか?


090602_105351というわけで平成ライダーすべての世界を回り終えたディケイドですが、まだまだ旅は終らず。これからはあんなライダーやこんなヒーローとも共演しちゃうらしいです。
もうなんでもアリですが、それもまた楽しみ。劇場版もすごいことになってるみたいです・・・

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June 20, 2009

お父さんは17歳くらい McG 『ターミネーター4』

090620_141310前作『ターミネーターさん』から6年・・・ つにに待望の続編『ターミネーターよ~んheart01』が公開されました。このタイトルはどっちかといえば前のほうがふさわしかったような・・・ それではあらすじから。

西暦200X年。人類は自律型スーパーコンピューター・スカイネットの攻撃により、核の炎に包まれた。だが人類はまだ滅びてはいなかった・・・
マシンの支配に対し、懸命に抵抗する人類解放軍。その中に後に「救世主」と呼ばれることになるジョン・コナーの姿もあった。
ある作戦の際、コナーはスカイネットが新型殺戮マシン「ドラミネーター」の開発に着手したことを知る。どんな事態にも秘密道具で対応し、タイムスリップまで可能。そして愛くるしい外見で子供たちを魅了する。
そのあまりの恐ろしさに、コナーは戦慄するのであった・・・・
さらにお話には未婚の父やマー君までもが絡み合い、てんやわんやの大騒動へと発展していくのであった。

さて、映画ファンの皆様の感想をざざーっと読ませていただいたところ、「そこそこ面白かったけど、1・2には遠く及ばない」という意見が大勢を占めるようです。まことにごもっとも。なんだって原点が一番偉いですし、シリーズものというのは後に行くほど矛盾点や苦しい設定が増えていくもの。この『T4』も、つっこみどころが満載です。
ですが・・・ ですがね。ここでわたしの「かばってあげたいスイッチ」がピキピキピキーンと作動しましたよ。だいたい男ってもんは、ガードの固いツンケンした美女より、外見が微妙でも脇の甘いうっかりちゃっかりした娘に萌えるもんじゃないですか? なあ、兄弟!? 

というわけで今回は『T4』を褒めちぎり、かばいまくります。
まずは萌えたのはバイク型のモトターミネーター。通称「モッチー」。ため息の出るようなアクロバット走行を見せてくれますが、倒す方法がメチャクチャ簡単。萌えheart04
ジャイアントサイズのハーベスト(通称ベッチー)がまたいい。トランスフォーマーとはまた違った、本当にできそうなリアルな造形。そして背中を丸めて輸送艇に「よいしょ」と乗り込むところがなんとも可愛い。萌ええええ!!

また、今回コナーと並んでお話をひっぱる謎の男マーカス(通称マー君)。最初こそヒーローっぽくはないけれど、人と関わっていく内に、悩みながらも自分のなすべきことを見つけていく。こういう男は好みです。いや、ゲイ的な意味ではなく。
あとマジメに誉めるべき点として(あっ)、冒頭では一士官にすぎなかったコナーが、いかにして人々の「希望のともし火」となっていったのか。この辺の過程はなかなか上手に描かれていたと思います。

さてお次はみなさんのありがちなツッコミに、このボクチンが答えていきます! 題して「なぜなにターミーネ-ター4」。ラストまで完バレしてますので、未見の方は避難よろしく!

impact「結局マーカスとは何者だったのか? スカイネット(以後スカ)はなんで何年も彼を秘蔵していたのか?」

素性については冒頭の会話からある程度推察できます。大方やむにやまれぬ事情で強盗を働き、その際つい警官を撃ち殺してしまったのでしょう。
問題なのはそのあとなぜ何年もほっぽって置かれたのかということ。たぶん彼は最初からスカが計画して作ったのではなく、純粋に人類の延命のためか、迫り来る危機を予想してヘレナ・ボナムが作成したものなのでは。
でも結局使う間もなくどこかに隠されていたものを、ある時スカが見つけて「お、これ使えるじゃん」ということになったのでしょう。

impact「スカはなぜせっかくカイルを捕まえておきながら、さっさと殺さなかったのか?」

・・・・なんか事情があったんですよ。終了(ヲイ)

えーとですね。以前鈴木みそ先生がPCを人間に例えてこんな風に語ってました。「ジュースを買って来いと小銭を渡す。すると『お金が足りませんでした』と手ぶらで帰ってくる。よく見るとポッケに自分の金をちゃんと持っている。どうも『立て替える』ということが思いつかないらしい」
つまりコンピューターというのは、そーゆー融通が利かないというか、変にまわりくどい代物なんですよ。
あと敵がすぐに止めをささずに、やんわり逆転のチャンスをくれるのはこの手の映画のお約束です。

impact「超高性能と言われているくせに、なんでいつもスカの作戦は失敗に終るのか?」

これは『ドラえもん』第一話に説明があったような。「東京から大阪に行くとする。その際、車でも電車でも飛行機でも行く手段はどれでもいい。ただ出発するところと到着するところは変わらない」
つまりですね。タイムスリップして細かいところは変えられるかもしれないが、歴史の重要なポイントは変えられない、ということです。この場合は「審判の日」や「人類の勝利」が大阪にあたるかと。
でもスカさんにはそれがわからないので、懸命にあの手この手と考え続けるわけです。なんか緊張感抜けちゃいますね・・・・

impact「ラスト、マーカスはなぜあんなことを進んで申し出たのか? なぜジョンはそれをあっさり受け入れたのか?」

時間の復元性です。
・・・実はわたしもここはもう一言二言欲しかったんです。「ずっと考えていたんだ・・・ オレが生き返った意味を」とか言わせてくれたらもっと良かったのにィ。おっと。悪口は言わないんだったwobbly
マー君としては元死刑囚という立場なので、ずっと自分の贖罪の方法を考えていたのでしょう。あとあんな不自然なボディでいつまでも生きるつもりはなかったのかもしれません。
ジョンさんの方は少しは遠慮しろよ、と思わないでもないですが、彼は「2」「3」の経験でメカ系が自分のために犠牲になってくれることに、慣れっこになってしまったんでしょうね。
自分を殺して他を助ける・・・ これは『ターミネーター』のテーマでもあります。この時のマー君の行動が、恐らく後のカイル・リースに影響を与えたのでは。

ここまで読んで「いや、それはおかしいだろ」と思われた皆さん、その思いはそっと胸にしまっておいてください・・・
わたしはいつ何時、誰の挑戦でもうけません(笑)

20080503095057すでにクリスチャン・ベールは「5」と「6」の出演契約書にもサインしてあるとのこと。順当にいくならたぶん「5」では過去への送りっこ合戦が、「6」では人類軍の勝利までが描かれるのではなかろうかと。
ただこの『T4』、アメリカでは予想より売り上げが伸びずにチョイコケしてるらしいです。この分では続編はまたかなり先になってしまう可能性も出てきました。すぐに続編が見たい人、がんばって『T4』をプッシュしましょう!

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June 17, 2009

愛という字のもとに ~大河ドラマ『天地人』より⑦ 「ユーキーズ劇場版」の巻

景勝 「上杉景勝じゃ!」
兼続 「直江兼続です」
景勝 「兼続、今回は学園ドラマでいくぞ」
兼続 「はあ。そりゃまた唐突な」
景勝 「まあわしが校長、お前が新任の熱血教師といったところか」
兼続 「それも面白そうですね。いやあ、『ブタがいた教室』以来だな~」
景勝 「で、さっそくなんだがここに一人の問題児がいてな。お前の力でなんとか更生させてやってくれ」
兼続 「・・・・・ま、なんとかやってみましょう」
景勝 「おお! 頼もしいな! それでは真田君、入りなさい」
真田 「うっせーなー。何の用だコラangry
兼続 「これはまた・・・絵に描いたようにわかりやすい、いまどきのヤンキーですな」
景勝 「真田くんはたぐい稀なピッチャーとしての才能があったんだがな。親父と一緒に幽閉の身にあって以来、すっかりぐれてしまってな。今じゃわが春日山学園一の不良生徒だ」
兼続 「なんですって! 真田、やっぱ『一球さん』ってお前の子孫なのか?」
真田 「知るかよ! 大体おれらが幽閉されたって、まだまだ後の話じゃねえかよ!」
兼続 「真田! 男が小さなことをいつまでも気にするんじゃない!」
景勝 「そうそう、その調子」
兼続 「先生にはわかるぞ・・・ お前、本当は野球がやりたいんだろ? 先生と一緒に甲子園をめざそう!」
真田 「ぷぷぷbleah バッカじゃね~の~ いまさらタマ打ち遊びなんてやりてえわけねーだろ? 大体あんた古臭えんだよ。一体何時代から来たわけ?」
兼続 「そりゃ戦国時代に決まって・・・、ということはひとまず置いといて。真田ア!!pout 歯ァ食いしばれエ!!」
真田 「へ?」

バキッ!!punchimpact

真田 「ぷげはっ」
兼続 「愛している! 愛しているからお前たちを殴るんだ!」
真田 「せ、せんせい・・・crying
兼続 「おう!」
真田 「バスケがしたいです・・・」
兼続 「野球だっつーとんだろうが!!
景勝 「しかしお前のやり方も『スクール☆ウォーズ』だと思うぞ」
真田 「そうでした。野球でした。しかし一つ問題が・・・」
兼続 「何だ! 言ってみろ!」
真田 「今のパンチで骨、折れちゃったみたいです・・・shock
兼続 「大丈夫だ、真田! お前だけが痛いんだ! 俺たちは痛くない!」
真田 「せんせえええ!!!crying
景勝 「ひでえ教師・・・」
兼続 「それじゃ締めにあの言葉をいうぞ!」
一同 「夢にときめけ! 明日にきらめけ! めざせ甲子園!」
兼続 「さらば・・・ 『クローズZERO』・・・・」
石田 「呼んだかア!!」

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June 16, 2009

少女とフレンド ヴァディム・パールマン 『ダイアナの選択』

090616_174321首都圏より三ヶ月ばかり遅れて上映。まだやってるけど、今週までです。
最近体当たり的な役ばかりやっているユマ・サーマン最新作『ダイアナの選択』。まずはまじめにあらすじから。

信心深い人が多く住むアメリカの片田舎。多感で反抗心の強い女子高生ダイアナは、おとなしめの少女モーリーンと親友になる。しかし卒業も迫ったあるころ、二人はある事件に巻き込まれる・・・
時は経って、いまや家庭を得たダイアナ。優しい夫と愛らしい娘に囲まれ、何不自由ない暮らしを送っていた彼女だったが、時折言いようのない不安に襲われる。果たして「あの時」彼女に何があったのか。
物語は二つの時を行きつ戻りつし、やがて事件の真相が明らかになる。

わたしは「驚愕の結末!」という言葉に弱くて。経験から言いますと、「あなたは必ずだまされる!」とか「こんな結末がいまだかつてあっただろうか!?」と大仰にそのことをうたった作品よりも、全体的に地味そうで、ポツリと「驚きますよ」と書いてある作品の方がビックリするものです。

この『ダイアナの選択』はまさにそういう「ひかえめな」(笑)宣伝の仕方だったので、かえってかなり期待しておりました。

で、結果から申しますと

驚きはするんですが、「え? なにそれ? どゆこと?」とちょっとあっけに取られた感がありました。
ただこの映画、なかなか面白い試みをしていまして。スタッフロールの最後まで見ると、あるキーワードが出てくるんですね。これはたぶんDVDにも収録されると思うのですが。そいつを公式サイトのあるページに打ち込むと、監督の答えが聞けるという(!)。

いよいよこっから深刻にネタバレしていきます。未見の方は用心されてください・・・・

tulip

tulip

tulip

tulip

tulip

順当に考えるなら、この作品の現代パートは、恐らく少女ダイアナが今わの際に見た幻想というか、「逆走馬灯」のようなものなのでしょう。しかし死の直前の短時間に見た幻にしては、長すぎるしやけにディテールが細かい。
そんなわけでわたしは、ふんだんに出てくる「花」と「水」のイメージ、そして何度か語られた「心臓の筋肉は強い」という言葉から、「彼女は辛うじて命はとりとめたが、水を与えられている植物のような状態で、ずっと同じような夢を繰り返し見ているのではないか・・・・」 
帰り道車を走らせながらそう推理してみました。これなら後半出てきた彼女の「今度こそうまくいくと思ったのに!」というセリフも、納得がいきます。まあ某スペイン映画や、噂で流れた『ドラえもん』最終回のようなオチではありますが。

で、帰宅するや否や、それであってるか公式サイトを開いて例のキーワードを打ち込んでみたわけですが


・・・・・・・・


どうやら今回も考えすぎだったようです。あははのはcoldsweats01
ただ監督は「わたしの答えが唯一の正解ではない。あなたが別の答えを見つけたならそれでもいい」なんてことも言っておりまして。無責任なおっさんだよなあ。


さて、ここまで読んでくると、わたしがいかにも「肩透かしだった」という印象を与えるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ非常に見ごたえのある映画でした。そう、これは「驚愕の結末」を抜きにしても十分一本の作品として成り立つ映画です。

まず先にも述べた花や水のヴィジュアルが大変みずみずしい(水だけに)。また恐ろしい事件の場面が、何の脈絡もなく何度も思い起こされるので、穏やかなエピソードが流れていても緊迫感が途絶えることがありません。

そしてアメリカの地方都市に住む少女たちの心情が、とても細やかに描かれています。コミック『BANANA FISH』の中に、「アメリカはでっかい田舎なんだ。一生その町から出ずに生涯を終る人もいる」というようなセリフがありましたが、そんな環境にあってもどかしさを感じる若者の気持ちが強く伝わって来ました。

そして主人公とモーリーンの幼いけど、微笑ましい友情のアルバム。
この辺は男である自分にはよくわかってないところもあるかもな・・・・ まあ監督も男ですけど。
聖書の一節に「友のために自分の命をなげうつこと。これより大きな愛はない」という言葉があります。
それほどの友情を得られるということは、ある意味至上の幸福なのかもしれません。そしてダイアナの罪もその行為によって贖われた・・・ そう信じたいところです。

090616_174357さて、話はぐっとくだらなくなりますが。
今回のイラスト、いつものように微妙に似てない上にやや、マイナーなキャラクターなんで、さぞわかりづらいかと思います。
何が描いてあるかわかった方は、コメント欄にて書いていただけたら大変嬉しく思います。
正解しても、何も出ませんが。

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June 10, 2009

パラダイム銀河 J・J・エイブラムズ 『スタートレック』

090610_175330久々の三日連続更新。無駄にがんばってます!
本日は伝説的SFドラマを『クローバーフィールド』『LOST』のJ・J・エイブラムズが新生させた『スタートレック』をお送りいたします。
時は何世紀か未来。無鉄砲で女好きのカー君と、堅物でムッツリスケベのスコップ君は、銀河連邦艦隊の仕官候補生。当然ウマが合うわけもなく、仲はすごく悪い。
ある日スコップ君の母星から銀河連邦に災害救助の報が届く。ただちに現場へ向かう二人。だがそれは銀河連邦を逆恨みするターミネーターの罠だった。自分たちよりもはるかにすぐれたテクノロジーを持つ敵を、若者たちは退けることができるのか。そしてカー君とスコップ君は仲良しこよしになれるのか。

原作は1966年から制作されているテレビドラマ。アメリカ産の宇宙叙事詩というと、『スターウォーズ』がまっさきに思い浮かびますが、SWが我々の世界とはかけ離れた「伝説」であるのに対し、STはこちらと地続きの世界を舞台とした軍事ドラマであり、政治劇といえます。

最初のシリーズが終了した後は劇場版がポツポツと作られていき、1987年からは次世代の物語である「ザ・ネクスト・ジェネレーション」が開始。その後もド田舎の駅を舞台にしたり、異次元の話になったり、はたまた前日談が作られたりしてシリーズは続いてきました。しかし最新シリーズ『エンタープライズ』は視聴率が落ちるところまで落ち、『スタートレック』はここに深刻な危機を迎えることになります。そうした経緯から、ヒットメーカーJ・J・エイブラムズに「ここらでいったん仕切りなおしてくれ」という依頼がいった模様。

ですから主人公は当然最初のシリーズの主人公であるカーク船長。しかしこのカー君、いささか一隻の船を任せてもいいものか、というところがありまして。
まずあんまり後先のことを考えてない。考えるより先に体が動いてしまうタイプ。そんでやたらとケンカっぱやい。その上弱い(笑) 劇中で何度か格闘シーンがありますが、大抵の場合のされてるか、助けてもらってるかでした。まるきりいいとこなし・・・のように見えます。
しかしこのカー君、伊達に主人公を務めているわけではありません。彼には知力も腕力もなくても「男気」があります。仲間を空中をダイブしてまで助けにいったり、なにより自分をあんなひどい目に合わせたスコップ君を、嫌味一つ言わず受け入れたりします。わたしだったら仕返しに灼熱の惑星にでも置き去りにしてやるところだがなー
ま、英雄に最も必要なものはこの「懐の広さ」つーもんだということですね。

そういえばオリジナルのカー君についてはこんな風聞を聞いたことがあります。
「(艦長はキチ○イが多いという話から)『スタートレック』の艦長も相当いかれてるよな」
「『他の星の内政には干渉してはいかん!』と言いながら、結局バンバン干渉するしな」
「出会った女に端から手を出してるしな」
(吉岡平著 『宇宙一の無責任男』あとがきより)

・・・・なんか、初代も二代目とあんまし変わんない気がするなあ(笑)。

その他にも「仲の悪い二人がぶつかりあううちに、やがてお互いを認めるようになる」ところや、「頼りない新米たちがここぞという時に特技を発揮して、難局をのりきっていく」ところなどは、なかなかにわたしの好みでありました。

ちょびっと不満に思った点。あのJ・Jの作った作品にしては、やや行儀よくまとまりすぎていたような。もっと突き抜けたものが見たかった・・・というのは酷な要求でしょうか。
あとカー君が宇宙へ旅立つくだりを、もう少していねいに描いてほしかったです。興味ないフリしていて、本当は宇宙へ行きたくてたまんなかったりとか、出発の前に母と涙の別れがあったりとか。そういうエピソードを増やしてほしかったですね。
いいですか? 少年にとって宇宙はロマンなんです。そうさっくり簡単に行かれてしまってはいかんのです!

090610_175511最後に一つマメ知識です。スペースシャトルに「エンタープライズ号」というのがありますが、あれはマジで『スタートレック』から名前を取ったんだそうです。
覚えて友達に自慢しましょう!

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June 05, 2009

深夜特急プラス1 マチュー・カソヴィッツ 『バビロン A.D.』

090605_210613ああ・・・ もう大体公開終っちまってる・・・

そんなわけでいまさらの感もありますが、ヴィン・ディーゼル主演のSFアクション『バビロンA.D.』紹介いたします。「ベーリング海峡冬景色」というのも考えました。

時は近未来。お話は東欧某国より始まります。やばい仕事を専門に請け負うトーロップは、マフィアの顔役から、「一人の少女を、こっそり六日間でアメリカまで連れてってほしい」と頼まれます。ひっかかるものを感じつつトーロップが「積荷」の受け渡し場所に行くと、そこには少女のほかにもう一人、お付のおばさんが待っていました。なんだかんだでとにかく目的地に向かうことになった三人。しかし彼らの行く手には様々な妨害や関門が待ち受けます。

近未来といっても戦争・疫病で荒廃した世界という設定なので、壮麗な未来都市が映し出されるわけではなく、ただただ退廃しております。そんな世界観は少し前の『トゥモロー・ワールド』とも似てます。そういやあれもわけありの女の子をどこかへ逃がす話でした。

ですから移動手段も当然超マシンではなく、我々がよく知る自動車・列車etc。地味なようで、様々な乗り物を乗り継ぐ行程は見ていてなかなか楽しかったです。
旅のルートがまたちょっと面白い。ユーラシア→北米東海岸となると、間にでんと太平洋が横たわっているため、当然空路か海路を想定します。しかし世界地図をよく見ると、このニ大陸、上のほうはかなーり接近してるんですね。ほとんど陸路だけでいけないこともない。
ただこのルートははっきり言って過酷です。特に冬場はめちゃくちゃ寒そう。しかし氷が張らないとある程度歩いていけないし、苦労して歩いたとしても結局は船に乗らなきゃ渡れないところもあり・・・・ こんな不便な道、わざわざ行こうとするのは難民か電波少年くらいのもんでしょう。人が苦労してるところを見るのはなかなか楽しいものですが。

主役にここのところおとなしめのアクション俳優・ヴィン・ディーゼル。お尋ね者なんだけど、一応やることに筋は通っていて、なぜだか子供だけには優しい。
このキャラ、彼が以前演じた「リディック」そのまんまじゃないですか(笑)。ヴィンさんはそのほかにも『アイアン・ジャイアント』や『キャプテン・ウルフ』でも似たようなヒーローをやっていました。彼はよほどこのタイプの主人公がお気に入りのようです。
また先にも書いたようにロッテンマイヤーみたいなお付のおばさんが出てきます。このおばさん、意外にも腕っ節が強くてびっくりさせてくれます。なんでこんなに強いのかと思ってよく見たら、ミッシェル・ヨーでしたcoldsweats01

かように個性豊かな当作品ですが、世間的な評判はあんまりよろしくなく。たぶん不満の理由は終盤の展開があまりにも矢継ぎ早で説明不足だったりとか、クライマックスの盛り上がりがイマイチ物足りないとか、そんなところだと思います。
実はこの作品にはある不幸な経緯がありまして。先月の『映画秘宝』に出ていたんですが、ちゃんとできてたものを、会社が勝手にぶったぎって尺をちぢめてしまったんだとか。そんで激怒した監督が「もうこんなのオレの作品じゃない」と言ったとか・・・・
ちなみにわたしはその事情を知った上で観にいきました。すんごいとんでもで尻切れな終り方だったらそうしようと、ビクビクしながら見てましたが、それなりにお話はすっきり終っていて、胸をなでおろした次第です。

それにしてもカソヴィッツ監督は悪くないのに、「出来が悪い」と文句を言われるのはとても気の毒。映画監督って、なんだか割りに合わないお仕事ですね・・・

090605_210641そんなわけでDVDでは本来のヴァージョンが見られるかもしれません。「ユーラシアから北米まで徒歩で行けないかな」と思っている方は、参考までにぜひごらんください。

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May 30, 2009

青春デンディケディケディケ 『劇場版 超仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦』

090530_125642「さらば」と言ったその舌の根も乾かぬうちに、あの『電王』が帰ってきた!(笑)
そんなわけでいささか遅れ気味のレビューではありますが、最新作『超電王&ディケイド』紹介いたします。

母親を亡くし、事情で田舎に越してきた少年ユウは、慣れない環境に苛立つ日々を送っていた。ある日彼の前に、村の伝説に伝わる「鬼」たちが時空を越えて姿を現す。鬼たちに襲われたユウを助けたのは、時を管理する仮面ライダー「電王」とその仲間たちだった。鬼たちの狙いが自分が母から譲り受けた宝玉であることを知ったユウは、彼らとともに時を遡って鬼退治に同行することを申し出る。

ここのとこ、毎回義理でつきあってる(あっ)劇場版仮面ライダー。今回もほとんど期待しないで観にいったのですが・・・・ あれ? これは最近の中では一番いいんでないかい?
まあ一見さんお断りなスタイルは変わっておらず、ここ三年のライダーを見ていないとちんぷんかんぷんな要素はたくさんあるんですが、それでもそうしたファンサービスだけに終らない魅力が、本作からは感じられました。
その魅力は恐らく主人公であるユウ少年にあると思います。最初は無愛想で可愛げのない少年に思えるユウ。そんな彼がイマジン・デネブと出会い、ともに旅をしていくうちに、だんだん心をときほぐしていく。そんなところが見ていてまことにほほえましい。
またこのユウ少年を演じるのが沢木ルカちゃんという女の子なんですが、言われなければわからないくらい、自然にキリリとした美少年を演じていました。恐らく二重の意味で、今の彼女にしかできない役といえます。
そういや白倉Pは『Sh15uya』でも男装した女の子に主役をやらせていたっけなあ。

そして今回の映画でやけに目だっているのが、上にも書いたイマジン・デネブさん。本シリーズでは二号ライダー・ゼロノスと契約している、いわば脇の脇といったキャラクターなのですが、そのあまりのかいがいしい世話焼きっぷりにファンからは「オカン」と呼ばれて強い支持を得ています。わたしも一番泣かされたのは最終回の「しいたけ食べてねheart」だったしな(笑)。彼をメインにもってくるというのはかなり冒険だったと思いますが、それも『電王』という作品の人気を見越してのチャレンジだったのかもしれません。

さて、もう公開から一ヶ月も経ってますので、以下は完全ネタバレで思ったことをダラダラ書きます、これから、あるいはDVDで見るという方は避難されてください。


train冒頭のユウくんのモノローグ。「田舎なんて嫌いだ。・・・・どこもかしこも茶色っぽい」 世間一般では田舎といえば郷愁を感じるものと相場が決まっていますが、それを「茶色っぽい」と表現するところが面白い(笑)

train昭和十年のパートに『キバ』の妖怪トリオが登場。こいつら・・・ いったいなんで出てきたのだろう。でも何かと扱いの不憫な『キバ』のキャラが、こうした形でも出てきてくれるのは嬉しい。あとディエンドも結局なにがしたかったのだろう

trainNEW電王の幸太郎くん。前回以上に今回はいいとこなしだったな・・・ 本人がめげてなさそうなのが唯一の救いか

trainゲストヒロインを演じるは今をときめく南アッキーナ嬢。でも彼女は別にいなくてもよかったような・・・ 『電王』のお母さんはデネブさんお一人で十分です。

train一応タイトルにも入っているディケイド。例によって出番はちょっとだけでしだが、『電キバ』におけるキバよりはスムーズな絡み方だったと思います。

train鬼の親玉である敵ライダーを演じるは、篠井英介さんと柳沢慎吾さん。「いつの世も負けた方が鬼なのだ!」 何気にドキッとするこというよな・・・
彼らが悪事を働く様子があまりに楽しそうで、お亡くなりになるシーンにはついホロリと来てしまいました。特に「兄ちゃんならきっとできるぜ! 頭いいからよ!」には泣いたcrying

trainジ-クも加わったウィングクライマックスフォーム(でいいのか?)。彼の羽がようやっと役立っていました

trainキングライナー・・・・・そういやこんなものもあったな・・・ ラストはすごい! 電車対戦艦! いまだかつてない戦い! つか、おもいついても普通やらんcoldsweats01

trainせっかくデネブさんメインなんだから、ここはお得意の「しいたけ攻撃」を繰り出してほしいところでしたが、そしたら早々とオチがばれてしまうか・・・
「契約じゃなくて、約束だったな」 改変された過去をしっかりと記憶している侑人。靖子さん、もしかしたらここの記事の最後の方、読んでてくれたのかしら・・・ ドキドキheart04(妄想乙)

090530_131238東Aさんも開き直ったのか、今回は「完結」どころか「新シリーズ第一弾」と銘打たれてました。恐らく秋か冬ごろに新ライダー『?』と絡む第二弾
が公開されることでしょう。
電王はいったいどこまで続くのでしょう・・・ それはぶっちゃけ、客入り次第coldsweats01 ちなみに今回の『鬼が島の戦艦』も、なかなかの売り上げだったようです。

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May 23, 2009

かもすぞジャパニメーション 京田知己 『劇場版交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』

090523_124855時は近未来。人類はイマージュと呼ばれる謎の生命体の襲撃を受け、徐々にその生活圏を奪われていた。
そんな危機をよそに、父が勤める研究所で暮らしていた少年レントンは、やはりそこに住むエウレカという少女と共に楽しい日々をすごしていた。しかしある実験がもとで父が死んだのち、レントンとエウレカは軍によって引き離される。
それから数年後、いまだ少年の身のレントンは類稀な才能を買われて、軍のある作戦に従事していた。戦いの最中エウレカと再会したレントンは、少女の抱えている過酷な運命を知ることになる。

原作?は今から4年前~3年前に放映されたテレビアニメ。わたしもこんな記事書いてました。
「ロボットが空中でサーフィンをする」というヴィジュアルや、そのほかにも音楽、ストーリー、世界観などになかなか突き抜けたものがあり、一部では熱心なファンを獲得しましたが、世間一般での人気はいまひとつ。その後北米やフランスで大好評を博したものの、本国での再評価には至りませんでした。
それがなぜかここにきて劇場版の制作・公開とあいなりました。テレビシリーズとは設定を一新したパラレルストーリーですが、作品の随所にテレビ版の映像が流用されていたりします。それでもざっと見た限り全体のほぼ七割以上は新規作画ですし、流用したものを使ってここまで新しい物語をこさえた手腕には舌を巻かされます。

先の『グレンラガン』が「気合! 根性! ガッツ!punch」に満ちた男魂溢れるアニメとするなら、こちらは少年少女の「純愛shine」が前面に出た作品。
一寸の迷いもなく「好きだ好きだ好きだ好きだ!」と言い放つレントンには、30男としては少々気恥ずかしさを感じないでもないのですが、「そういえば、かつてはわしも通った道じゃった・・・・」ことを思い出し(マジか!?)、なんだか初孫を見るような、そんなほんわかした気持ちになりましたよ。
そう。これほど美しい・・・というかみずみずしい物語を、本当に久しぶりに見ました。映像は落ち着きのある豊かな色彩で彩られ、キャラクターはどこまでも純粋で、そしてストーリーはどこまでもまっすぐ。
暗いニュースでやさぐれたハートを洗浄するには、もってこいのアニメです。

それだけにアニメファンのみならず、普通の映画ファンにもぜひ見てもらいたいところなんですが、この「ロボットアニメだから」という壁は実に厚いものでして。一生懸命すすめても、大抵は「絵が苦手なんで」の一言で退けられてしまのがツライところであります。
そういう空気が劇場にも伝わってるのか、この作品なんか当初は都心の劇場では、モーニングかレイトでしかかけないというひどい扱い。わたしがGWに行った時には、そのわずかな回に人が殺到して、立ち見すら出来ない状態でしたから・・・shock(そんでまた後で行きなおしたのよ)
こういう熱気が、映画界におけるこの手のアニメの地位向上に、少しでもつながればいいんですけどねえ~

090523_124935ま、あまりのファンの殺気だった様子を見て劇場側も考え直したのか、その後は上映回数も増え、公開延長も決定したようです。
6月末にはDVDも発売されますが(バカっ早だよ!)、足を運べる距離のある方は、ぜひ大画面でみてつかあさい。


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May 18, 2009

無理を通せばドールも愛せる クレイグ・ギレスビー 『ラースと、その彼女』

090518_184013首都圏より四ヶ月ほど遅れて上映。もう終っちゃいましたけどね。

舞台は雪深いアメリカの田舎町。心優しい青年のラースは、町の人々から愛されていましたが、彼は人肌に触れることを異常に恐れるという性癖がありました。
ある日彼はネットで見かけたダッチワイフに恋をしてしまい、購入した彼女を本物の人間と思うようになってしまいます。普通なら速攻で病院行きですが、田舎の人々は包容力豊かなので、町ぐるみで彼のお人形さんごっこにつきあってあげるのでした。

あらすじ読むと、どう考えたってバカ話なんですよね。だってエロ人形(作中の言葉より)を、マジメに人間の女と思い込んでしまう話なんですから。実際ラースがその人形「ビアンカ」を兄夫婦に紹介するシーンでは、笑いがこらえきれませんでした。
もの言わぬビアンカの顔が、またその場に独特の空気をかもしだしています。短編コメディ『オー! マイキー!』が好きだったわたしは、勝手に彼女のセリフを考えたりしていましたよ。

しかし意外や意外。いつしかラースの真剣な想いが奇跡を呼び、ビアンカに本物の魂が宿るようになる・・・・
というのはウソ。そんなマンガあったなあ。たしか楳図かずお先生の『ねがい』。

話が横道にそれましたcoldsweats01 この映画は笑えるだけでは終りません。物語が進むにつれ、ラースが人と触れることを恐れるのには、ある理由があったことがわかってきます。その心をときほどこうとする兄嫁カリンや、女医先生の暖かさは心にしみます。
またラースに対し、誰一人として「王様は裸だ」と言わない町の人々の優しさも胸をうちます。そうしていく内に、ラースだけにとどまらず、他の人々の中にもただのエロ人形のはずだった「ビアンカ」が、一個の人格として認められていく・・・・ まるで力石徹の葬儀のようです。
本当にまか不思議で、豊かな味わいのあるストーリー。

言うなれば、ラースは小さな花のような青年です。ぎゅっと握られたら、それだけでしおれてしまう。でもその素朴さゆえに、人々は彼を愛でずにはいられません。
そんなか弱い花も、周囲が水をやったり、日に当ててやったりすることで、いつしか丈夫になっていくものです。そして彼自身も、造花ではない、本物の花の美しさに気づくようになっていく・・・そんなお話かと。

当初わたしはこの映画を、てっきり東欧かどこかの作品かと思っておりました。いやあ、アメリカ人ってがさつで無神経でケンカっぱやい人たちばかりだと思ってたけど、こんなハートウォーミングで神経の細やかな映画も作れるんじゃないですか! 認識をあらためねばなりません。

少し前に『グラン・トリノ』を観たせいか、そちらといろいろ重なるものがあるようにも感じられました。つまり、少年が大人になるために必要だった存在が『グラン・トリノ』ではイーストウッドだったわけですが、こちらではビアンカだったというわけ。念のために言っておきますが、ラースくんの愛情はそれはもうピュアピュアなものなので、実際に可能とはいえ、人形とムニャムニャをしたりはしません。

だから特に印象に残ったのはラースと兄のこんな会話(うろ覚えですが)。

「兄さん、大人になるってどういうこと?」
「難しい質問だな。ある時、『自分は大人になった』ってなんとなく感じるものなのさ」
「それってセッ○スのこと?」
「それもあるけど・・・ 他にもいろいろなことが関係しているのさ」

・・・・本当に大人になるってどういうことなんでしょうかね(この年になってまだそんなことを言っているのか!)。

この映画や今までの経験からわたしが思うのは

他人のためにどれほど自分を殺せるかということ
他人の気持ち・痛みをどれほど深く推し量れるかということ
どういうことを言ったらこの人は傷つくか、ということをわきまえ、その上で言葉を発すること
傷ついた人のために、言葉だけではなく、そっとそばによりそってあげること
etcetc・・・・・

できてないことばっかりだな(苦笑)

090518_184034ただ今の社会に、どれほどまともな大人がいるかといえば、これまた怪しいものであります。

あーあ。ちゃんとした大人になりたいでちゅ。ばぶー(痛wobbly

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May 13, 2009

星に怒りを 今石洋之 『劇場版天元突破グレンラガン 螺巌編』

090513_171049かつて、銀河を揺るがした戦いがあった
男は荒ぶる魂の赴くまま、天をかけ、星を砕いた
だがおびただしい時間と犠牲を費やしたのち、男は敗れる
そして男は自らを地の果てに封じ込めた

閉ざされた世界にあって、絶対的な王として君臨し続ける男
だがある時、その懈怠を破るものが現れた
計り知れない螺旋の力を持つ、一人の少年
男は知らなかった。やがて己が少年に誘われ、再び天空の彼方に戦いを挑むであろうことを

全宇宙を感動の渦に巻き込んだ紅蓮編(紹介記事はコチラ、ネタバレ記事はコチラ)から約九ヶ月、劇場版『グレンラガン』の完結編となる「螺巌編」がついに公開されました。

お話は前作の直後である「テッペリン攻略戦」から始まります。いきなりどつきあってる螺旋王とラガン(シモン)。もしかしてテッペリン攻略戦はここだけしかやらないのか!?と不安になりますが、もうちょっとだけやるのでご安心?を。
がんばってはいたもののどうしてもツギハギ部分が残ってしまった紅蓮編に比べると、今回の螺巌編は実にスムーズな作りで、見事に一本の映画となっていました。単なる総集編ではなく、かなりの新規映像が追加されております。テレビ版と異なる部分もかなりありますので、ファンの人は必見です。

さて、今回の「螺巌編」ですが、「いかにでかいものを描くか」ということに挑戦した作品だと思いました。
まず一つは精神というか、器の大きさ。
自分の何十倍もあるドリルと対しながらも、「負けねえ。負けねえんだよ。兄貴が信じる俺は、俺が信じる俺は、誰にも負けねえ!」と微塵も揺るがず言い放つシモン。「紅蓮編」で泣き言ばかり言っていたころとはまるで別人です。
思えばてっきりテッペリン攻略戦まで行くかと思っていた「紅蓮編」ですが、なぜその手前で終ってしまったのか。単に尺の問題とも考えられますが、今にして思えばこの物語の真のターニング・ポイントは、螺旋王を倒すところではなく、シモンがカミナの死を乗り越えた、あの瞬間だったということなのでしょう。
自分にとって最大の壁を乗り越えたシモンは、すでに男として、あるいは戦士として完成された域に達しております。たとえかばってきた民衆から石を投げられようとも、月が落ちてこようとも、はたまた銀河全体を敵に回そうとも、「この男ならなんとかするだろう」と思わせる雰囲気を身にまとっています。紅蓮編でのハナタレシモンを思い出すと、ちょっとさびしいものもありますけどね~

もう一つはスクリーンの中にいかに宇宙を描ききるか、ということ。
映画スクリーンはもともとでかいものですが、そのスクリーンをもってしても、宇宙全体を描くのは至難の技です。
しかし『グレンラガン』では人間サイズから宇宙サイズへと拡大していく様子を段階的に描くことにより、観客に擬似的に宇宙のでかさを体感させることに成功しております。
そしてこれはテレビ画面ではなく、映画スクリーンだからこそ体感できるものです。前の記事でも書きましたが、やはり『グレンラガン』は劇場サイズでこそ真価を発揮する作品であると思います。

そして螺巌編でさらにエスカレートしているのが、ドリルへのこだわり(笑)。一体なんでこんなにドリルにこだわるのか。建前は銀河の渦や遺伝子構造の象徴ということなんでしょうけど、やはり本当のところは『ゲッターロボ』(特に原作版)への熱いオマージュなのだと思います。
気合一つで宇宙の果てまでケンカを売りにいく荒くれ野郎ども。その姿は石川賢・原作の『ゲッターロボ・サーガ』や、『虚無戦記』のヒーローたちとよく似ています。巨大な顔が無数に浮かぶビジュアルや、宇宙の造りに対する考え方も、石川作品のあれやこれやを彷彿とさせます。

この螺巌編は鎮魂歌のような趣もあるのですが、もしかしたらともに作品を作ったこともある脚本中島かずき氏の、今は亡き石川賢先生に手向けたレクイエムだったのかもしれません。そう思うと、なんだか泣けてくるじゃあーりませんかcrying

個人的に特に泣かされたのはグレン団のサブリーダー的存在のキタン。一見性格が似ているように思えるキタンとカミナですが、なんだかんだ言って、カミナという男はあれでなかなか器用な男であります。
それに対して、キタンという男はどこまでも不器用な男。そして永遠に二番手(三番手?)であることを運命づけられてしまったようなキャラクターですcrying
そんなキタンが不器用ながらも己の生き様を貫く姿を見ていると、鼻水を噴出さずにはいられないものがあります。ほかにもニアやビラルや螺旋王や上川隆也さんや・・・・ ああ、まだまだ書き足りねえ!!

090513_171027わざわざ遠くまで行って鑑賞してきた「螺巌編」、地元では来月にならないと公開されません(笑)
完全ネタバレのレビューは、二度目の鑑賞後にお送りいたしますー


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May 11, 2009

がんばらないゴエモン 紀里谷和明 『GOEMON』

090511_181838舞台は日本。てゆーかジパング。時は戦国波乱の時代。
太閤のお膝元の大阪の町を、夜毎騒がす不敵な盗賊がいた。彼の名はGOEMON。
自由気ままに商家の蔵を荒らしていた彼だったが、ある晩風変わりな箱を盗んだことをきっかけに、太閤秀吉や石田光成、そして己の過去と対峙せざるをえなくなる・・・・

わたしのフェイバリットNO1邦画は、実は紀里谷和明監督の『CASSHERN』だったりします(これを言うと、大概バカにされるのですが)。
この映画は「ご都合主義が過ぎる」とか、「ラストがよくわからん」といった正常な思考を飛び越えて、わたしのツボにブスブスと突き刺さってくるのです。
そんなわけで紀里谷氏の第二回監督作品である『GOEMON』も、相当楽しみにしてました。

で、結論から申しますと、今回も大変気に入りました。

CGムービーが氾濫してる昨今。「どこまで本物に見せるか」といった点については、もう極に達した感があります。が、紀里谷監督はそういうのとは別の方向でCGを突き詰めています。アクションのスピードとか、描き込みの量とか。あとやはりわたしは彼の描く薄汚れてて煙ったいんだけど、どこかキラキラしてるヴィジュアルが好きなんですね。

ただこのぶっとんだヴィジュアル、ストーリー、世界観は、やはり人を選ぶと思います。この世界の日本は明らかにわたしたちの知っている日本とは違います。ちょうど中途ハンパに日本に詳しい欧米人がよく描く、あんな日本です(笑) さらに登場する五右衛門、才蔵、服部半蔵といったキャラクターたちが、明らかに人間には不可能な動きをしています。

そんな風におおはしゃぎしている一方で、「憎しみの連鎖をどうやって止められるか?」という『グラン・トリノ』とも共通するテーマを訴えちゃったりもしていますcoldsweats02
イーストウッドは豊富な人生経験でもって、みんなが心から納得できる答えを提出しておりますが、こちらは「一生懸命考えたけど、わかんねーからとりあえず暴れとけ!」みたいな、そんな感じ。
またしても思考が映像に追いついていってないような、映像とテーマが空中分解、みたいな(^^;
でもわたしは紀里谷監督のこういう熱さというか、不器用さも好きです。

もうちょっとマジメなことも書いておこうcoldsweats01。以下はだんだんネタバレしていくのでご注意ください。
『CASSHERN』の記事で「これはギリシャ悲劇である」ということを書きました。『GOEMON』にもおなじことが言えます。これは戦国絵巻の体裁を取ったギリシャ神話なのです。

五右衛門や才蔵が明らかに人間離れした動きを見せるのは、彼らがアキレウスやヘラクレスといった、神話の英雄だからです。たった一人で無数の軍勢にも対抗できる彼ら。しかし彼らとて天上の神々には従わざるをえません。五右衛門たちは彼らの手のひらでいいように翻弄されます。この作品でいうと、神々は信長や秀吉といった権力者に相当します。
そして神話の英雄にはハッピーエンドは許されません。それどころか、非常にあっけないことで命を落としてしまったりします。そんな非情な運命に、そして神々にあえて立ち向かおうとする五右衛門。その姿には男子として、胸を震わさずにはいられないものがあります。

『CASSHERN』と違うところがあるとすれば、それは五右衛門が「自由」な男として描かれているところ。ただ自由というのが一般では健康的にとらえられているのに対し、この作品では「責任を投げ出して逃げ出した」というような、否定的なものとして描かれています。・・・・もしかしてこれには自分の結婚生活のことが反映されているのでしょうか・・・・sweat02

090511_181901ほめてるんだかけなしてるんだかわからないレビューになってしまいましたがcoldsweats01とにかくこの映画はすごいです!
こんだけ「やりたいことをやってやるんじゃー!! おんどれりゃー!!」という気合に満ちている映画は、そうそうあるものではありません!

と、いうわけで自信をもってオススメします『GOEMON』
でも鑑賞は、くれぐれも自己責任でお願いします(オイ!)

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May 08, 2009

SEX AND THE 死体 コーエン兄弟 『バーン・アフター・リーディング』

090506_140049090506_140107ジョン・マルコビッチは悩んでいた。左遷された腹いせで長年勤めていたCIAをやめてしまったものの、これからどうやって生活したらいいのか。とりあえず彼は回顧録を出版することを思いつく。
ジョージ・クルーニーも悩んでいた。熱烈浮気中のティルダ・スウィントンから結婚の話をもちかけられたからだ。まいったな。キミとはあくまで浮気であって本気じゃないんだ。ぼくには出会い系で待たせている女の子たちもいるし、オーシャンズの仕事も忙しいし、なにより金づるのワイフと別れるわけにはいかないし・・・なんてことは、口が避けても言えないし。
フランシス・マクドーマンド(あまり聞かない名だ)も悩んでいた。そろそろ出会い系で一発勝負をかけたいのに、自分の容貌は衰えを隠せない。だから全身整形で生まれ変わりたいのに、肝心の金がない。ああもう! どっかに大金落ちてないかしら! きい!
ブラッド・ピットはまったく悩んでいなかった。てゆーかさあ、大抵の悩みはノリと元気でなんとかなるもんじゃない? そう、元気があればなんでもできる! ワン・ツー・スリー・フォー・サン! ニイ! イチ! ダー!

お話は複雑な経緯でマルコの回顧録を手にしたブラピ&整形願望が、それを「とんでもねえ国家機密だ!」と勘違いしたことから、予想だにしない方向へあれよあれよと転がっていきます。

監督は昨年の『ノー・カントリー』が記憶に新しいコーエン兄弟。わたくし彼らの作品は他に『ファーゴ』と『バートン・フィンク』を見たことがありましたが、今回の作品が一番バカっぽかったです。
きっと『ノー・カントリー』で疲れ果てた兄弟が
弟 「兄ちゃんさー こんどは気分転換にぐっと軽いおバカな映画でも撮ってみない?」
兄 「いいな、それ。賛成」
そんな感じで作っちゃったんだろうと。

さすがはコーエン兄弟というべきか、各キャラの立ちっぷりはなかなか見事なものです。彼らが全力で空回る序盤は、痛々しくもおかしい。
以下はだんだんネタバレしてくんでご注意ください。

なかでもわたしが気に入ったのはおバカ全開のブラピ。こないだの『ベンジャミン・バトン』での寂しげなイメージが木っ端ミジンコになるくらい、バカ丸出しです。それに「あのまま置いといたら盗まれちゃうよ!」「殴るなんてひどいよ! オヤジにもぶたれたことないのに!」といったボクちゃん口調の字幕が、似合うこと似合うこと。きっとこいつ、母親に溺愛されて育ったんだろうなー

でもねー、なんかこいつかわいいんですよ。自分、ブラピのファンでもなんでもないんだけど、ヤツの頭をクリクリなでまわしたい衝動にかられました。・・・・おかしいわ、わたし。いままで男の人にこんな気持ち抱いたこと、一回だってないのに。この不思議な気持ちはなに? もしかしてK・O・I? L・O・V・E?

だのにそのブラピがねーcrying ここでぐっと下がるわたしのテンション。down
コーエン兄弟は前からSっぽいなと思ってたけど、今回改めて確信しました。ふたりはSです。彼が二度愛してるかどうかはわかりませんが、正真正銘のドSです。

それ以後もお話は続くものの、終盤に近づくにつれ、登場人物の痛々しさはますばかり。そして煙にまくようにして唐突に幕。完全に置いてけぼりをくらった気がしました。
わたしもおバカな話は嫌いじゃないんですけどね。コーエン兄弟のバカには人間に対する愛情が感じられないのですよ。それでも『ノーカントリー』や『バートン・フィンク』には好みを気にさせないくらいの勢い・面白さがありました。が、こちらはどうかと言うと・・・・(笑)

いろいろ悪口書いてすいませんcoldsweats01 各俳優に思い入れのある方だったら、いつもとは違う彼らの姿が見られるのでそれだけで楽しめるかもしれません。先のブラピはもちろん、マルコビッチもクルーニーも壊れまくってます。

090506_140123090506_140140それにしても、出会い系の事情とか、アメリカも日本と大差ないんですねえ。今度わたしもピュ○・アイとかに登録しようかしら。カモン出会い!

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April 30, 2009

老優は死なず クリント・イーストウッド 『グラン・トリノ』

090429_160415ただ消え去りもしません。
先日『チェンジリング』が公開されたばかりの、クリント・イーストウッド監督最新作。そして久々の主演作品でもあります。

とある町に住む頑固一徹な老人ウォルト。彼は自分の町に移り住んできた外国人たちや、最近の無軌道な若者たちに対し怒りを隠しません。
彼の唯一の癒しとなっているのが、ガレージに眠る往年の名車グラン・トリノ。そんな彼のお宝を、隣家のアジア人一家のボンクラ息子が盗みに入ります。ところがそれをきっかけに、ウォルトと隣の一家の間で、奇妙な交流が始まることになります。

クリント・イーストウッドを初めて知ったのは、もちろんまだ子供のころ。親父が見ていた『ダーティー・ハリー』で。
おっぱい丸出しで獣のような犯罪者に殺されてしまうお姉さん。そんでその犯罪者を、容赦なく撃ち殺すハリー・キャラハン=イーストウッド。そして彼は、なぜかルパン三世の声でしゃべっていました。
まだ幼かったわたしは、「怖ええ映画だ・・・」と腹の底から震え上がったものです。

『荒野の用心棒』でスターダムにのし上がり、『ダーティー・ハリー』でその名を不動のものにしたクリリンは、以後ヴァィオレンとでインモラルな作品に多数出演し、時にはメガホンも撮るようになります。その中でも『サンダーボルト』『ガントレット』などはわたしもけっこう好きだったりするんですが。
ところがある時を境に、彼の作風は一変します。人の命など屁とも思わぬようなスタイルから、一人の人間の命や、罪の重みを深く問うような作風へと。
わたしはこれまでことあるごとにそいつが「不思議だー不思議だー」と書いてきましたが、この『グラン・トリノ』を観てようやく得心がいきました。
やっぱり御大は、ご自分の若かりしころのお仕事に対し反省されているのですよ。

作風の違いがはっきり表れたのはアカデミー賞に輝いた『許されざる者』(92)。「今まで何人も殺してきたぜー」とか言ってたくせに、本当に人を殺してしまった途端、罪の重さに耐えかねて泣き崩れる若者。こういう描写はそれまでにはほとんどなかったように思います。その前作で監督も努めた『ルーキー』(90)は普通のアクション映画でしたから。
果たしてこの二作の間に何があったのか? 恐らくそれには『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』が深く関わってるものと思われます(マジか?)。

以下はどんどんネタバレしていきます。未見の方はご注意してください。

ウォルトとタオの関係、それは一言ではなかなか言い表しにくいものです。
師弟であり、擬似親子であり、そして親友である。
彼らは自分たち同士で「おれたち親友だよな?」なんて確認しあったりはしません。しかし他の人には自信を持って「彼は親友だ」と言います。環境も年齢もこれほど違うのに、お互いそう思いあえるなんて、なんてすばらしい。
劇中のウォルトもそうですが、大人ってヤツは何かとすぐ「最近の若い者は」と言いたがるものです。これは古代エジプトの壁画から書かれてることなんで、人類の本能とも言ってもいいです。
しかしイーストウッドはいつだって若い世代への敬意と希望を忘れていません。

そしてウォルトは師として、自分の命でもって大切なことを教えていきます。人を殺した者が、いったいどうなるのかということを。
同じモン族の無法者たちにひどい目にあわされ、いきり立つタオ。まして瞬間湯沸かし器のようなウォルトのこと、大切な人々をボロボロにされ、怒りを感じないはずはありません。
西部劇か『ダーティー・ハリー』なら俄然燃え上がる場面です。そうだ! あんなならず者どもやっちまえ!と。普通なら止めに入るはずの神父でさえ、「わたしが彼なら連中をぶち殺します」なんて言ったりしてます(おーい)。
しかしここでイーストウッドがそれをやってしまったら、ここ数年彼が今まで訴えてきたことが、すべてパーになってしまう。ゆえに、ここがこの映画でわたしが一番ハラハラしたところでした。
でもそれは杞憂でした。イーストウッドは、悲しいけれど、心から安心するような仕方で、わたしの期待に応えてくれました。

この映画は葬式で始まり、葬式で終ります。しかし気まずい空気に満ちていた冒頭に比べ、終幕のなんと穏やかなこと。そして読み上げられる遺言。
「あのクソみてえな部品さえつけなけりゃ、あれはお前のもんだ」
その言葉に、ずっと暗い表情をしていた若者は、ようやっと顔をほころばせます。
まるで「じゃあな、あばよ」とでも言うような、さわやかな別れの言葉。

なにぶん年代モノゆえいつまでもつかはわからないグラン・トリノですが、彼がそれを乗りつぶすころには、胸の傷も癒え、より一回り大きな男になっていることでしょう。彼の家の隣に住んでいた、あの頑固な老人のように。

090429_160443折りよく今日、春の叙勲に、イーストウッドが叙せられることになったというニュースを聞きました。まるでこの映画のワンシーンのお返しのようです。
しかしクリリンにとっては、近年の自分の作品が日本において並外れた評価を得ているということの方が、よほど確かな勲章なのではないでしょうか。

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April 28, 2009

ケータイは歩くものではない 三池崇史 『ケータイ捜査官7』(総集編)

090428_181947特撮界に新風を巻き起こし、先月惜しまれつつ放映終了した『ケータイ捜査官7』。本日はその個人的名場面をざざーっとふりかえってみます。最終回のラストまで完バレなんで、その点ご了承ください。入門編はコチラ

第一話「ケータイ、歩く!? つながる絆」:携帯型ロボ・7がPCにアクセスしている間、ハッカーと血まみれになって格闘する主人公網島ケイタ。
「この仕事、人間はあんましかっこよくないっすね」
サイバーパンクっぽい話を予想してたんですが、かなり熱血系のスタイルになっていて驚きました。

第二話「黒いケータイ」:裏切り者の携帯ロボ、ゼロワンに切り付けられながらも、「こんなのかすり傷さ」と見栄を張るケイタ。第一話ではまだつかみどころのない少年でしたが、このセリフからぐっと感情移入できるようになりました。

第六話「逃げる恋」:ケイタの同僚、瞳子の彼氏ゲットをめぐるエピソード。悪い男たちに捕まった瞳子を助けようと奮闘するケイタとセブンだったが、現場に着いたときにはぶちきれた彼女が全員なぎ倒していたという、おきて破りなお話

第十四話「セブンの子守唄」:携帯が置き忘れられるという非常にありがちなケースを、親の不仲に心を痛める子供と絡めた名編。
ぴょこぴょこ動き回る支援メカ・グラインダーがかわいい。そしてまたしても置き忘れられる7に大爆笑

第十七話「遠い空の夏と」:平成生まれのケイタが太平洋戦争に関わることになる異色エピソード。意外なオチが不思議な余韻を残します

第十八話「URL」:夏休みのせいか、本格ホラーに挑んだ一本。なかなかにおっかなく、そのせいで視聴をやめてしまうお子様が出るのでは・・・・と心配になりました

第十九話「圏外の女・前編」:押井守監督が撮ったシュールな前後編のAパート。地元がロケ地だったため、馴染み深い場所が色々出てきて楽しめました。が、お話のほうはやや微妙。後編見逃したし・・・・

第二十三話「ケータイ死す」:物語のターニングポイントとなるエピソード。総指揮の三池監督が自分でメガホンを取った三本の内の一本。「拷問描写に力を入れた」とのことですが、拷問されてたのは携帯でした
ピンチの相棒のため、鎖をひきちぎるケイタ。ありえないけど燃えました。一件落着したあと、「馴れ合いはせん」とどこかへ消えるゼロワンも良いです

第二十四話「網島家最大の危機」:ケイタの両親の不仲に「離婚・離婚♪」とはしゃぐゼロワン
そんで夫婦仲が修復すると、「ちっ」と舌打ちして、人んちで勝手に充電するゼロワン

第二十七話「失恋のカクリツ」:ネット心中をそれなりに風刺した一本。紆余曲折を経たカップルを見て「いいカップルになるぞ」と言うセブンに対し、「典型的なつり橋効果だ。長くはもつまい」と評するゼロワン
ああ・・・ ゼロワン!! なぜ死んだ!!crying

第三十七話「ケイタとタツロー」:ある事件がきっかけで、久々に再会した親友タツローとすれちがってしまうケイタ。落ち込む彼を、「きっとタツローはさびしかったんだよ」と懸命に慰める御堂ちゃん。こんなかわいい子に心底心配してもらえて・・・ 網島くんは自分がいかにめぐまれているか、本当にわかっていない
ゼロワンのフォローもあり、ケイタに対しまた笑顔を見せるタツローだが・・・・ 「今のお前のバディは、オレじゃないんだな」 その言葉に泣きそうになるケイタ。格闘シーンなどほとんどないエピソードですが、全編の中で最も印象に残ったお話のひとつ

第四十話「桐原とサード」:謎だった桐原の過去が明かされる。復讐心に我を忘れた桐原に対し、一度も感情的になったことのないサードが初めて激怒する。普段温厚な人?が怒った時ほど、怖いものはない

第四十四話「ゼロワンの解」:無数のジーンからケイタを守りきった後、物陰で崩れ折れるゼロワン
「だが満足だ。オレはバディ殺しなんかじゃない・・・・」
その顔の上に雨が降りかかり・・・・
この辺でもうすでに鼻水大噴出だったのですが、遅れて駆けつけてきたケイタくんのせいでさらにダメ押し
ああもう!! わたしこういうのダメなんです!!crying

最終回「明日未来 ~来るべき時代の大人たちへ」:力を振り絞って人類の危機を救ったセブンは、ドロドロに溶け、透明な結晶と化してしまう
「こいつ・・・・ オレの相棒なんだ・・・」
さびしげに笑うケイタ
見終わった直後は「みいけー!! ゆるさーん!!」と思ったけど、いつかあの結晶からセブンが蘇ると信じて、許してあげることにしました

090428_182013仲間たちの壮絶な殉職、組織の崩壊と、まるで七十年代のドラマにような壮絶な結末を迎えた『ケータイ捜査官7』。
ですがプロジェクトはこれで終るわけではなく、五月からは番外編的ストーリー、『ケータイ捜査官7NEXT(ネクスト)』が公式HPから配信される模様
http://www.b-ch.com/contents/feat_k_tai7/

そんなわけで、また会おうぜ! バディ!

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April 25, 2009

クイズ百万ドルに賭けました ダニー・ボイル 『スラムドッグ$ミリオネア』

090425_200052本日は本年度アカデミー賞作品賞、監督賞、その他もろもろに輝いた『スラムドッグ$ミリオネア』を紹介いたします。

インドの人なら誰もが見てる人気番組「クイズ・ミノモンタ」。その超難関の最終ステージに、今一人の青年が進もうとしていた。彼の名はジャマール。スラム育ちの貧しい青年で、今は電話交換室のお茶くみをやっている。司会のミノはいぶかしむ。無学な彼が、なぜ今までの難問を次々と答えることができたのか? 

A:天才だった 
B:超能力者だった
C:未来から来たタイムトラベラーだった
D: はらたいらだった

この映画を見ていてまず思い出したのは、十年前閃光のようなマサラ・ブームを呼び起こした『ムトゥ・躍るマハラジャ』。インドでは毎年それこそ膨大な数の映画が作られていると聞きますが、そのほとんどは「貧乏な青年がサクセスして大金持ちになった」とか、「下位のカーストの者が、実は上位のカーストの生まれだった」という内容のものだとか。そうした現状はインドの多くの人々が、貧しさにあえいでいることを示しています。
経済成長により一見夢をかなえつつあるように見えるインド。しかし英国出身のダニー・ボイルは作品を通して、「金持ちになること=幸せなのか?」という疑問を投げかけています。

もう一つ思い出したのはボイル監督の出世作『トレイン・スポッティング』。以下はラストまで完バレしてますんで、未見の方はご注意ください・・・・

どん底の境遇にありながら、変に明るさを失わない主人公像・・・ そんな点でこの二作品は共通しています。それがよく表れているのが、両作品に出てくるトイレにダイブするシーン。
普通の人なら死んでもゴメンだと思うような行為ですが、意を決して飛び込んだ二人の顔は、不思議なことにとても晴れやかです。
ウンコまみれになりながらも、スターのサインをゲットするジャマール。その大切な宝物を勝手に売り払ってしまうサリーム。今から思えば後の二人を予示するかのようなシーンです。
ひどい兄貴だと人によっては思うでしょうけど、きっとサリームは弟の、夢をつかみ取る一途な力強さがうらやましかったんだと思います。

そう。全ての子がジャマールと同じようになれるわけではありません。歌が下手糞だったために目をつぶされた少年は、ジャマールと再会したとき別人のように歌がうまくなっていました。
「よかったね、ジャマール。偉くなったんだね」
わずかな嫉妬や羨望さえないその笑顔があまりにもすがすがしく、そして哀しくて。わたしは涙を抑えることができませんでした。

話をジャマールとサリームに戻して。兄弟が無賃乗車やインチキガイドをして強かに生きるくだりは、この映画で一番楽しい部分でした。ケンカもするけれど、時には命をかけてまで助け合ってきた二人。ですがサリームが銃を手にした時から、二人の道は分かたれます。

「一生許さない」と言い放つジャマール。「わかっている」と呟くサリーム。
ですが最後の難問にぶち当たった時、ジャマールはサリームに電話をかけます。
「そこしか番号を知らないんです」
それは兄が命と引き換えに渡した、文字通りの「ライフライン」でした。
そして兄がまさにこの世から旅立とうとしている時、ジャマールは答えます。

「A。なんとなくそう思うんです」

彼は気づいていたのでしょうか。「A」「sarim」の字を並び替えると、「Aramis」となることに。
(などともっともらしいことを書いてましたが、ある方のご指摘によりサリームの正しいつづりはSalimであることが判明しました。あー恥ずかし。まあRとLは発音が似てるということで勘弁してくださいcoldsweats01

スティーブン・キングはこの映画を「友情の結びつきについて、これだけ感動させられる力強い映画を観せられたのは、いつ以来だろう…」と評しました。
この映画は純愛と兄弟の絆を描いた作品であるけれど、ジャマール、サリーム、ラティカ、それぞれの友情を描いた物語でもあると、わたしも思います。

20080328132459それでは最後にもう一問。
今年のアカデミー賞をにぎわせた『ベンジャミン・バトン』『チェンジリング』、そしてこの『スラムドッグ$ミリオネア』
次のうち三作品全てに出てこないものは一体なんでしょう?

A:母子家庭
B:電気ショック
C:チ○コがおかしい
D:電話交換室

ファイナルアンサー?

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April 21, 2009

新赤かべ物語・後編 ジョン・ウー 『レッドクリフ PART2』

090420_135825ション! ミン! ションミン!
ション! ミン! ションミン!(わたしの耳にはこう聞こえる)
ジョン・ウーが手がけた「新約三国志」。その後編であります。
前編の記事はコチラ
ついに火蓋が切っておとされた、レッドカーベットの料理対決。だがショウユをリーダーとする連合軍は、提出メニューをめぐって意見が割れ、食の粒穀玄米らは同盟から脱退してしまう。
さらに膨大な数の試食者のため、十万本の箸を用意せねばならなくなったり、ショウユの妻ラーユが実家に帰ってしまったり、連合側の苦難は続く。
だがとうとう、一人残った食の軍師・塩カツ小梅は、伝説の食神が生み出したという高級料理「爆発・小○団子」の開発に成功する。あとに残された課題は料理の味を最も左右するもの、すなわち火力。ソースー軍を凌駕するほどの莫大な火力を得るため、小梅はTNT加薬を用いることを思いつくのだが・・・・

ブラボー!!

えー。後編に入り最初から最後まで合戦シーンが続くのかと思ったらさにあらず。「PARTⅡ」前半では孔明と周瑜による頭脳戦、それにすごくよくひっかかる曹操、敵陣に潜入する孫権の妹・尚香などがメインとなります。また後半では周瑜の妻である小喬が物語を大きく左右します。

これ面白いですね。PART1で活躍した武人たちはバックに退いて、女性や腕力のなさそうな孔明がお話の中心となっていくわけです。それに伴い、お話のムードも「正義超人の友情パワーで、悪の曹操軍を打ち破るぞ!」から、「やっぱ戦争ってむなしいよね」という風に変わっていました。
迫り来る脅威であった曹操軍。しかし一人一人の顔をクローズアップしてみると、彼らとてわれらと同じ人間であることがわかります。病気になって気弱になったり、遠く離れた家族のことを思ったり。先の展開をしっている身としては、魏の連中が哀れでしょうがありませんでしたcrying
こういう変化に多少戸惑わないでもなかったですが、個人的には「2」の方の主張に賛同いたします。

もちろん派手な場面もたくさんあります。特にこの映画で目立っていたのが、後半えんえんと続く炎上シーン。
CO2の排出しすぎで地球環境に影響が及ぶのでは?と心配になるくらい、よく燃えてます。
こんなに炎上シーンばかりの映画、ほかには『タワーリング・インフェルノ』くらいしかないんじゃないでしょうかねえ(古)
そうした荒涼とした美術センスや、厭戦的なムードは黒澤明の作風と似てなくもないです。

以下はラストをばらしてます。未見の方はご注意ください。

spa

spa

spa

spa

spa

最後の周瑜の選択については、観客の皆さん、恐らく総ツッコミを入れるものと思われます。しかし歴史をまげてしまうわけにもいかんので、ああいうケリのつけ方となったのでしょう。
ただ、この辺は原典の方がスムーズな流れとなっていました。敵勢に囲まれた関羽が、曹操にわざと逃してもらったシーンを覚えておられるでしょうか。あれが重要な伏線となっています。

また、わたしはこの映画で周瑜の最後まで書ききるのかと思ってましたが、そこまではやりませんでしたね。
チューのできそうなほどの距離でみつめあい、親友のまま別れる孔明と周瑜。わし、この後の展開知ってるねんけど、ここはあえて書かないのがイキってもんでしょう(つか、PART1の記事で書いちゃったけど)

090420_135849なかなか難しいとは思いますけど、できればこの後のお話もジョン・ウーに作って欲しいです。どっちかといえばハッピーエンドなこのパートより、「男たちの挽歌」が奏でられていく以後の部分の方が、彼にはむいてるんでは、と思うのですが。
今作が予想以上の大ヒットとなったことを考えると、それもあながち不可能ではないかな?

ション! ミン! ションミン!


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April 15, 2009

人間、中身で勝負 ダーレン・リン・バウズマン 『REPO!』

090415_141007時は近未来。奇病が流行したため、臓器移植も大流行している世界。なかでも大企業ジーンCO.は、「あなたのお好みに内臓をコーディネイトheart」することで飛躍的発展を遂げる。だが医療費の返済が滞ると、彼らの派遣したスゴ腕取立て屋「レポマン」が、強引に臓器を回収していってしまう。
17歳の少女シャイロは、先天的な病気のため生まれてからろくろく家の外に出た事がなかった。だがなぜかジーンCO.の社長ロッティから、自分のもとに来るようにという招待状が送られてくる・・・・・


のっけからなんですが、自分、ミュージカルってむいてないような気がします(笑) 実は『マンマ・ミーア!』の時も少し思ったんですが、わたしがミュージカルを嫌いなんじゃないです。ミュージカルがわたしを嫌いなんです。きっと。
ではなぜむいてないと知りつつこの映画を観にいったのか? だって、オレ、男だから・・・・いや、そういうことではないな。
この映画の存在を知ったのはmigさんとこの映画ブログ我想一個人映画美的女人blog で。そちらで「一般評論家たちはD+。でも観客たちの評価はなんとA」と紹介されていて、「なんか面白そうだ!!」と猛烈に思ったのでした。そんで公式予告編を見てみたらヴィジュアルがなかなかいかしているわ、おまけにアンチヒーロー「レポマン」は出るわとういうことで、鑑賞決定。
が、劇場情報ではそのとき上映館がたった二つしか上がっておらず、「これは・・・地元にはこないな」ということで東京まで出張して見てきたのでした。

うーん。すごかったっす。すごすぎて時々おいていかれたっす(笑) どうすごいのかというと、もう全編に渡って血液と内臓と人間の生け作りみたいなものがドバドバ出てきます。当分レバ刺しとモツ鍋はいいやって感じです。
しかしまあ決して怖くはなく。むしろ笑える(わらい)。たまに言われるけれど、お笑いと恐怖って実はけっこう近いものだと思うんですよね。普通ならおっかないはずのことでも、やりすぎるとなぜかお笑いになってしまう。チラシを見ますと「シャイロ、眩い世界はこんなにも残酷で哀しい。」 とロマンチックshineな文章がつづられていますが、だまされてはいけません。

で、タイトルにある『REPO』。劇中では「内臓回収」みたいな意味で使われていたのですが、本来はどういう意味なのか高校のころ使っていた「プロシード英和辞典(1988版)」で調べてみました。が、出ていない(笑)
おそらく制作側が勝手に作った造語なのだろうと思い、色々考えてみました。もしかしたらOPERATION(手術)の最初の4文字を逆さにしてみたのかなーとか。うん。きっとそうだ! 間違いない! さすがオレ!
でもね・・・・ さっき念のためgoo辞書で調べてみたらちゃんとでてましたよ。「他動:〔支払い滞納{しはらい たいのう}が生じた商品{しょうひん}・資産{しさん}などを〕回収{かいしゅう}する」って。あはははは・・・・

ただひっくりかえしてみて思ったンデスが、これ「OPER(A)」の逆さでもあるのかな、と。なんせ副題にも「The Genetic Opera」とありますし。
たぶん作り手はスプラッタ+スラップスティックで『オペラ座の怪人』がやりたかったんじゃないでしょうかね。『オペラ座の怪人』、見たことないねんけど(おーい)。あ、でもそれを元ネタにしたカルト名作『ファントム・オブ・パラダイス』だったら見ました。仮面をかぶった怪人、悪魔のような男との契約、汚れを知らない美少女、血塗られていく劇場・・・・ そういった要素は『ファントム』とよく似てます。

そんなわけで、時々置いていかれながらも、少女に対する怪人の愛情にはホロリとさせられました。純情のようでいて、ちょっと歪んでいたりもするんだけど(笑)
あとまるでお人形さんのようなアレクサ・ヴェガの美しさや、異様に太ももにこだわったファッションスタイルも特筆に価します。

090415_141032さて、先ほどもう一度公開劇場一覧をみてみましたら、上映館が6つに増えてました。ただ、ふしぎなのはなぜかその半分が大阪にあるということ。
・・・なぜこの映画、大阪でばかりこんなに厚遇されているんだ? まあ確かに、このベタベタ・コテコテなお笑いセンスは吉本新喜劇にも通ずるところがあるかもしれません。
難波の皆さん、思う存分この映画を楽しまれてください。もうかりまっかー! ぼちぼちでんなー! 

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April 08, 2009

いきなりゴレンジャー 中村義洋 『フィッシュ・ストーリー』

200607071444522012年。人類は巨大白色彗星の接近により、滅亡の危機に瀕していた。
1982年。合コンに向かう気弱な大学生がいた。彼は車の中で友人から、『フィッシュ・ストーリー』という曲にまつわる怪談を聞かされる。
2009年。うっかり船をのりすごして泣きじゃくっていた女子高生は、船のコックから「正義の味方として育てられた」話を聞かされる。
1975年。時代に早すぎたパンクバンド「逆鱗」は、最後のレコーディングに万感の思いをこめて、『フィッシュ・ストーリー』という曲を作り上げる。

これらの物語に一体いかなるつながりがあるのか? 観客の思いをよそに、脈絡もなく語られていくストーリーズ。
キーワードは「謎の無音部分」と「ゴレンジャー」・・・・・

例えるなら締め切り間際の漫画家を抱えた編集者のようなものでしょうか。タイムアップまであと少しなのに、漫画家はチンタラしているようにしか見えない。「今週は『作者急病のため休載』かな」と諦めかけたとき、なんと漫画家が「できたよ」と言う。しかも驚くことに見事な傑作に仕上がっている! ・・・そんな感じの映画であります。まったく見事な脚本マジックでありました。

そこはかとなくつながっているような、主人公の異なる一連のエピソード。こういうスタイル、一昨年多くの映画ファンに混乱をもたらした『バベル』を思い出します。しかし『フィッシュ・ストーリー』は『バベル』よりもっとわかりやすく、バカバカしく、そしてスカッとする作品。
「ホラ話ってくだらないけどすばらしいよね!」と、心の底から思わせてくれます。

原作は近年人気を博している伊坂幸太郎。彼の作品というのは、深い意味があるようでないような、それでいて心がほっこりするようなものが多いです。でも、やっぱりそれなりに意味はあると思うんですよね。んで、この映画からはこんな想いが込められているような気がしました。

「あなたは自分が嫌いかもしれないけれど」「あなたは自分のやっていることに意味があるのか、不安を感じているだろうけれど」「あなたがいることには」「あなたがやっていることには」「確かな意味がある・・・・・かもしれないよ?」

この「絶対にあるんだ!」ではなく、「かもしれないよ?」というあたりが絶妙です(笑)


さて。最近隆盛を誇っている日本映画界。その背景にはテレビ局による出資が大きく関わっています。ただその宣伝力と財力にモノを言わせて強引に作品を売り出す姿勢を、憂う声もちらほら聞きます。
わたしとしては「面白ければそれでいーじゃん」という立場なんですが、単純な感動大作やテレビドラマの映画化なんかには、あまり気乗りがしないのも確か。
そんなわたしが最近「これはいい!」と思った邦画は、『キサラギ』『アフタースクール』『パコと魔法の絵本』『少年メリケンサック』、そしてこの『フィッシュ・ストーリー』・・・・ んで、あとで気づいたのですが、これらの作品、『アフタースクール』をのぞいて全て「テレビ東京」さんによる制作でした。

これは明らかに日テレやフジの「大作感動路線」とは違いますね。言うなれば「低予算うっかりちゃっかり路線」です(笑)

090408_184357中には『おろち』とか『釣りキチ三平』といった微妙なチョイスもありますが、これからもテレ東さんにはがんばって個性的な作品を作り続けていただきたいです。
あなたたちのやっていることには、きっと意味がある!・・・・かもしれないよ?

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April 05, 2009

森で生きている エドワード・ズウィック 『ディファイアンス』

090405_190316『ワルキューレ』でドイツ人を勉強したから、今度はユダヤ人を・・・・ ってわけでもないんですが、今日はこの作品を。『ラストサムライ』『ブラッド・ダイヤモンド』のエドワード・ズウィックが手がけた、「真実に基づく物語」。首都圏より一ヶ月ばかり遅れての上映です。

第二次大戦時、東欧に侵攻したナチスドイツは、そこでもユダヤ人狩りを行います。貿易を営んでいたトビア・ビエルスキは兄弟や仲間たちと森に隠れ住み、「何が何でも生き延びる」ことでナチスに抵抗することを誓います。しかしその森は一度足を踏み入れた者は二度と生きて出られない、魔物の棲む森であったのでした・・・(ここウソ)

えー、この映画、わたしがレビューしてもいいのかなあ、という思いがちょっとあります。なんでかと言うと、劇場に向かう途中渋滞にはまって、冒頭二十分ほど見逃したから(笑) 
幸い予備知識があったので、話にはついていけました。わたしが見始めたのは、もう森にある程度のコミューンが出来ていて、そこに気難しそうな教師のじいさんがやってきたあたり。支障があったことというと、主人公の親友だと思っていた男が、実は弟だったことになかなか気づかなかったことくらいでしょうか。だって弟の方がガタイがでかい上に、顔立ちが全然違うんだもん。

さて、他には上に挙げた二作品くらいしか見てないのですが、どうもエドワード・ズウィックという人は、醜い殺し合いと美しい自然をコラボレートするのが好きな方のようで。この映画でもけっこう大量に死人が出るのですが、東欧の緑豊かな背景のせいで、多少えぐさが緩和されているような気がしました。
あとこの監督は人種間の衝突ネタもスキですね。『サムライ』『ダイヤ』は衝突から和解に至るまでが描かれていたのに対し、こちらでは衝突したまんまで終ってしまったあたり、現実の厳しさを感じます(別の形での「和解」はありましたが)。

感想は「生きていくって大変だな~~~」と、その一言につきます。

食料の乏しい森で何百人という人間が生きていくには、近隣の農家から作物を強引に徴収するほかありません。はやい話がかっぱらいです。ドイツ軍の追っ手とも絶えず戦わなければなりません。それらに加えて冬の寒さや病気、内輪もめもあり・・・・

生きていくということは、時として奇麗事だけではすまないことがあり。「生き伸びるためには仕方ないんだ」「ぼくら選ばれた民だし」 そう懸命に蛮行を正当化しようとするトビヤですが、彼らが「自分たちの行いを世間に喧伝しなかった」のは、やはりそうした行為に後ろめたさを感じていたからではないでしょうか
盗んだり殺したりせずに生きていけるということは、実はとっても恵まれてることなんだな・・・・ そう思います。

キリストを迫害して以降、世界中で嫌われてきたユダヤ人。考えてみればこの第二次大戦直後くらいが、一番みんなの同情を集めていたころかもしれません。
090405_190342以前『ミュンヘン』の記事で「日本もアジアにおいては今のところ憎まれ役NO.1です。憎まれ役の大先輩であるユダヤ人の例から、色々学べることは多いのではないでしょうか」と書きました。しかしビックリ。先ごろ世界56か国12万人を対象に実施されたアンケートによりますと、世界の好感度ランキング第1位は、なんと「日本」でした。
http://www.recordchina.co.jp/group/g30174.html

この結果に調子こいたりして他国を侵略したりせず、さらなる人気者になれるよう努めてまいりましょう。


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April 03, 2009

超人観察日記 ザック・スナイダー 『ウォッチメン』(劇場版)

090403_175557本日はとうとう二十年越しの「映画化」を実現させた『ウォッチメン』について語るであります。いやー、すごいな。これ、本当に公開してるんだなー
なぜすごいのかということに関しては原作の記事に書いてありますんで、そちらをご覧ください。あらすじもそっちに書いてあります。

監督はやはりコミック原作の『300』で名高いザック・スナイダー。彼がこの「アメコミの最高傑作」を手がけることになったのは、次のような経緯だったそうです。

会社 「ねえ、ザッ君、今度『ウォッチメン』作るんだけど、君、監督やんない?」
ザク 「『ウォッチメン』!? ああ、あれはさすがのオレでも無理無理paper
会社 「あそ。じゃあこの話はほかに回すわ」
ザク 「・・・・一応聞いておくけど、どういう風にするつもりなの?」
会社 「もっと話をシンプルにして、最後はヒーローがスカッと勝利をおさめて、売り上げがよければパート2、パート3を・・・・」
ザク 「待て! そんなにすんだったらオレがやる!」

このやり取りからもわかるように、ザク監督は『ウォッチメン』に多大なるリスペクトを抱いているようです。さすがにあの分厚いコミックのすべてを端から端まで映像化することはかないませんでしたが、原作ファンも納得の忠実さ&再限度であります。
唯一オリジナルともいえるオープニングがまたすばらしい。戦前から80年代までのウォッチメン世界を、実際のアメリカの歴史とシンクロさせて一気に見せてくれます。この辺は原作では補足資料の中に文字だけで書かれていた部分です。

『300』の際にも「オレの絵なんざ要らん! フランク先生の絵を忠実にコピれ!」と言ったザッ君ですが、今回も自分の考えは押し殺して、原作のメッセージをそのまま伝えることに腐心しております。
「誰もオレの解釈なんて聞きたくない。みんなが聞きたいのはアランの解釈なんだ」
というわけで、ザク監督にはこれといって特に訴えたいことがあるわけではないようです。彼はただ、『ウォッチメン』が本当に好きなだけ。 しかし彼が原作者の意思をそのまま伝えたことにより、二十年前の警告が今もなおあてはまってしまうことが証明されてしまいました。すなわち、人間の最大の敵は宇宙人でも天変地異でもなく、自分たちの飽くなき闘争本能・破壊衝動にある、ということです。

この映画を観終ったとき、多くの方はきっとなんともいえない「もやもや~」としたものを感じると思います。それは原作がそういう話なんで仕方がないのです(笑)。アラン・ムーアの手がけるコミックの多くは「毒」に満ちています。「ページを閉じたらハイ、サヨナラ、ではすまさへんでー」という作者の執念がこめられているのです。従来のヒーローものと同じようなカタルシスを期待していたら、きっと予想外の展開に動揺されることでしょう。

一方で、この映画はムーアの思い描いたヴィジュアルを余すことなくスクリーンに映し出し、観る者を思い切り楽しませてくれます。それはマスクの上をうねうねと動く「ロールシャッハ」の模様であり、夜空をぼよよ~んと飛ぶフクロウ型メカ「アーチー」の姿であり、Dr.マンハッタンが火星の上に築くガラスの巨城であり・・・・ それらは、長い間原作ファンが「見たい」と熱望してきたもの、そのものであります。

強いてザク監督のカラーが表れているところというと、クライマックスにおける演出の微妙な違いのあたりでしょうか。以下は徐々にネタバレしてます。

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clock

clock

clock

clock

正直原作のヒーローたちって、どいつもこいつも性格に難があって、あまり好きになれるような連中ではないのですよ(笑) しかし映画版ではザク監督の愛情のせいか、みんなもう少し感情移入しやすいキャラに仕上がっていたような。ロールシャッハの最後の悲壮なセリフも、原作では「やけのやんぱち」みたいなイメージだったのが、映画では「世界のために自分を殺してほしい」そんな真摯な願いのように聞こえました。

あと原作では本筋と関係ない「作中作」(この世界で売られている海賊もののコミック)のパートがけっこうあるのですが、その辺はそっくり削られてました。まあこの部分はなくても話はわかるのでいいと思います。ただ劇場版『ウォッチメン』には三時間半のバージョンもあるそうなので、もしかしたらそっちの方で見られるかもしれません。

ちなみに原作者アラン・ムーアはこれまでの自分の映画化作品に対し、ことごとく激怒(笑)。この『ウォッチメン』に至っては「絶対に見ない」と言っているそうです。これに対しザッくんはこう語っています。
「いつかムーアが気まぐれにこの映画のDVDを見て、『意外とがんばってるじゃないか』、そう言ってくれるのがボクの夢なんだ」

なんてけなげなんだ・・・ザック・・・・ いつかその夢がかなうといいね!
あとザッ君はこんなことも言ってます。「一度『ウォッチメン』にはまってしまうと、もう『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』には戻れない」

いや・・・・ わたしは普通に戻れますけど・・・・

090403_175641それでは最後はその『X-MEN エイジ・オブ・アポカリプス』における頼もしいセリフでもって締めるといたしましょう。

「確かにこの世界はまともじゃない」
「あるべき姿とはとても思えん」
「だからこそ戦うのさ」
「これが俺たちの世界なんだから」

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March 27, 2009

アドルフに告いじゃう ブライアン・シンガー 『ワルキューレ』

090327_182243本日は最近すっかりアメコミ監督となっていたブライアン・シンガーの最新作『ワルキューレ』を紹介いたします。

第二次大戦もたけなわのドイツ。暴政を極めるナチス党を憂いた一部の将校は、ヒトラーの暗殺を計画する。だが未だヒトラーの周辺は堅牢であり、計画は困難を極めた。そんな中、一人の男が前線で負傷しベルリンに戻ってくる。彼は名をシュタウフェンベルクと言い、やはりナチスに強い反感を抱いていた。グループは彼を新たな計画「ワルキューレ作戦」の遂行者に任命し、今度こそヒトラーの命を奪わんと画策するのだが・・・

アドルフ・ヒトラーは1945年4月30日ベルリンにて自決。この歴史的事実は動かせないわけです。となると、お話の結末はおのずと限られてきます。
①見事に大失敗して全員極刑
②成功するが、すぐに影武者が後を次いで暗殺の事実は闇に葬られた
③世で知られてるヒトラーの自決は、実は暗殺を偽装したものだった
④この世界はパラレルワールドで(略)

というわけで、史実の間隙を縫ってどう意外な展開を用意してくれているか・・・・ ワクワクしながら見てたわけですが。さすがに途中であることに気がつきました。

「あれ? これ事実をもとにした話だったのか?」

ガチョーン。となると、もう結末はわかったも同然ですね・・・・ というわけでそっからあとはなんとなく流し見になってしまいました。だってシンちゃんったら今までずっとエンタメ畑の人だったじゃない!? いきなり「今度のは人間の本質を描いた歴史ドラマだから」って言われても、アタシにだって心の準備ってものが・・・・ バカ!
でもまあ、知られざる歴史秘話を教えていただいたという点では勉強になりました。ハイ。

さて、ドイツといえば第二次大戦を描いたドラマでは、極悪非道の連中として描かれることが通例でした。国民一人残らずヒトラーに忠誠を誓っている、まるで感情のない冷血サイボーグのような描かれ方。ところがジャック・ヒギンズの冒険小説『鷲は舞い降りた』のあたりからでしょうか。「ドイツの中にもそれなりにいいヤツはいたんだよ」という作品がポツポツと出てきます。
この『ワルキューレ』も、そうした作品の一つと言えます。ただ面白いのはそれを作ってるのがドイツ人ではなく、むしろ彼らに迫害されたユダヤ系のシンガーだということ。「ボクはナチスは許せないけれど、当時のドイツの人全てが悪人だとは思っていない。立派な人もいた」 ・・・・そういうことが言いたいのかな? その公平な見方には、まったく同意であります。シンガーはゲイでもあるので、「○○はみんな○○だ」という考えに怒りのようなものを感じるのでしょう。

一方で、この映画を見ていると、なんとなくドイツ人の気質みたいなものもおぼろげながら伝わってきました。何度も立てられたヒトラー暗殺計画はなぜ失敗したのか。幾つかの不運な状況もありましたが、それよりも彼らがルールや手順、もしくは理想型にこだわりすぎたからでは・・・・と思わずにはいられません。
二度の大戦における敗因の一つも、「より高性能な兵器作るべく開発にばかり力を入れすぎたら、質より量&ガッツで攻めてきた連合側におされてしまった」という説があります。
まあ理想が高いこと、完璧を期すことはいいことです。しかしそれも過ぎると本来の目的が果たせなくなってしまうわけで。反面、シュタウフェンベルク(いいにくい名前だ・・・)らがわが身も顧みず決起したのは、やはりこの「理想を重んじる」という気質から来てるのかな、とも思いました。

090327_182313そんなわけで「ドイツ人ってこんな人たち」ということを教えてもらったという点でも、勉強になりました。
でもわたしがこの映画で学んだ最大の教訓は「事後確認はしっかりやっておこう」ということ。
いいですか? 遠足はお家に帰るまでが遠足、暗殺は死体を確認するまでが暗殺です。

なんか今日はけっこう過激なこと書いちゃったなー。公安さん、シャレですから、シャレ。

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March 23, 2009

やられても×2 なんともないない♪ 三池崇史 『ヤッターマン』

090323_182157♪うーーーー わんわんわん!
うーーーーー チ○チ○チ○!

・・・・いきなり失礼しました。本日はメガヒット中の劇場版『ヤッターマン』を紹介します。
あらすじは・・・別にいいか。どこをどう切ってもあの『ヤッターマン』です! あの世界が見事に再現されています!

実は『ヤッターマン』というのは『タイムボカンシリーズ』の一作であり、この前に『タイムボカン』という作品があるのですが、わりとみんなの記憶に残ってるのはこの『ヤッターマン』の方。今回アニメに映画にリメイクされてるのにそれがよく表れています。その理由はたぶん『ヤッターマン』の方がより「下品」だから(笑)
「子供っていうのは、やっぱり股間にものがあたった時の金属音が好きなんだよね」(三池崇史・談)
あと子供にとっては変身する・しないというのも大きな要素かと。

血みどろバイオレンス職人(だと思ってる)三池崇史監督のところに、なぜこののんきなアニメの企画がもちこまれたのか。『映画秘宝』によりますと、実は最初にオファーが来たのは『ガッチャマン』の映画化だったとか。ところが三池氏の返答は次のようなものだったそうです。「『ガッチャマン』をやるのであれば、『ダークナイト』級のスタッフが必要。残念ながら、今の日本にそれだけのスタッフはいない。だが『ヤッターマン』であれば、今の我々にしか出来ないものができるはず」
ふんふん、なるほど。っつか、三池さんってアニメお詳しいんですね・・・・ しかし世界にこういうのが日本のスタンダードだと思われるのも・・・・ ま、いいか。それはそれでgood

それはともかく今回のこの作品、かなりアニメ版に忠実に作られております。ドロンボーのインチキ商売→ゲストキャラの人情話→肉弾戦→巨大メカ戦→小型メカ戦といったフォーマットはもちろん、「ヤッターマンが勝利しているのは実は実力ではなく、ドロンボーが勝手に自滅してるため」というとこまでキッチリやってあります。
わたしが一番興奮したのはヤッターワンが中盤あんなことになってしまって、どうするのか・・・と思っていたらなんと○○○○○○○が××××こと! いやー、こんな経緯、わたしもすっかり忘れてました。

「ちょっと三池さんってお笑いむいてないんじゃないかなあ」と思ってしまったところもないでもないですが、冒頭に述べたように子供さえウケてればそれでいいのかもしれませんね。ただお父さんお母さんはお子さんと一緒に見ていると、少々きまずい思いをする場面もあるやもcoldsweats01
あとキャストにお笑い素人が多かったので、少し演技が固かったかなーと。そんな中、生瀬勝久演じるボヤッキーだけがやけに超自然体でした。この世界は、彼のためにあると言っても過言ではありません。
深田恭演じるドロンジョさまも、本当なら杉本彩あたりが適任なんでしょうが、そしたらR指定入っちゃうかもしれないし。ご本家よりもキュートながらあれはあれでありかと。っつか、割烹着着て豆腐買うシーンには不覚に萌えたし(笑)。きっと家庭環境が悪くて悪の道に足を踏み入れてしまったんだろうけど、彼女が望んでいるのは巨万の富とかではなく、平凡な家庭の幸せなんだろうな・・・・ そう思うとなんだか悲しくなってきちゃいましたcrying

不満もちょびっと書いちゃいましたけど、この『ヤッターマン』は『ドラえもん』『ドラゴンボール』という春休みの強敵を抑えて、現在堂々二週連続の1位を獲得。こうなると、もう売れたもん勝ちとしかいいようがありません。
わたしもここまで来たら、ヤッターペリカン&ヤッターアンコウの揃い踏みも見たくなって来ました。
もしあなたが『ヤッターマン』に、そして巨大メカに少しでも愛情があるのなら、この作品はぜひ劇場でごらんください。そうでない人は別にいいですcoldsweats01

090114_183017ちなみに最近よくあるエンドロール後の映像、今回は劇場でしか観られないとか。
そんなこと言いながらDVDにちゃっかり収録されてたら、怒りますよ! 三池さん!

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March 15, 2009

南の虹のドロシー バズ・ラーマン 『オーストラリア』

090315_182218これはまだ、『X-MEN』が結成されるはるか以前の物語である・・・・

ヒロインは後に「ミセス・ブス」と呼ばれることになるイギリスの伯爵夫人サラ。彼女は夫がいつまで経っても出張先のオーストラリアから戻ってこないことに豪を、もとい業を煮やし、自ら彼の地に赴いて連れ戻そうとする。
豪州に着いた彼女を出迎えたのは、夫がつかわした荒くれの牛追い男「ドロンボー」だった。
ブスとドロボーが運命の出会いを果たしたとき、オーストラリアを舞台に雄大で激しい恋と冒険の物語が幕を開ける・・・・

オーストラリアといえば観光地として日本でもすっかりおなじみのところですが、考えてみたらかの地を舞台にしたお話ってほとんどなかったような。ぱっと思い出せるところでは、忘れられがちな世界名作劇場の名作『南の虹のルーシー』、アボリジニの子供たちの隔離政策を描いた『裸足の1500マイル』(未見)・・・・ あとは『ファインディング・ニモ』のクライマックスとか。田中邦衛主演の『タスマニア物語』というのもあったか。とにかく圧倒的に少ないですね。

「ならワシが作っちゃるわい、おんどれりゃー!!」とオーストラリア出身のバズ・ライトイヤー(違)監督が言ったかどうかは知りませんが、この映画は珍しく彼の地を舞台にした波乱万丈の娯楽大作となっております。知られざるオーストラリアの近代史を知る上でも、貴重な作品と言えるでしょう。

なんでもラーマン監督は最初この映画に、恋愛映画の定番的な二つのエンディングを用意していたそうです。で、結局どちらも採用せず、「これまでにない」三つ目のエンディングを新たに作ったとか。そのエンドがどれほど意外なものなのかは、皆さんの目で確かめてみてください。

ただ確かに恋愛映画でもあるんですが、わたしが良かったのはこの映画の真の主人公がサラでもドローヴァーでもなく、白人とアボリジニに生まれた少年・ナラだったということ。とりあえずわたしはそう解釈しましたcoldsweats01
最近トシのせいか、子供ががんばってる姿に弱いのです。

以下から徐々にネタバレしていきますので、未見の方はご注意ください。

taurus

taurus

taurus

taurus

そんなわけで特に気に入ったのは、中盤で黒人の子供になりすましたナラが、たどり着いた街で映画『オズの魔法使い』に見入るところ。「映画が観たい」という前からの願いがかない、しかもその題目がサラから聞いた『オズ』だったとわかった時、彼の胸はどれほど高鳴っただろう・・・と思うと、ついついにやけてしまいます。

そしてクライマックス。太っちょの会計士の残したハーモニカ、共に働いた仲間の犠牲、おじいちゃんの神通力、サラが教えた『OVER THE RAINBOW』、子供たちと共に生きていくことを決意したウルヴァリン・・・・
彼ら一人一人の願いと決意が一つになって、どん詰まりだったナラの前に虹の道を開いていきます。こういうの、スバラシイですよね。

それでは今回は『南の虹のルーシー』主題歌「虹になりたい」と共にお別れします。

090315_181602忘れないわ 星降る夜に 誓った言葉 このともし火を 消しはしないと
忘れないわ 茜の朝に 誓った言葉 若葉に染まる春を 呼ぼうと
斧撃つ響き 道開く歌声
こだまが胸に 弾んでくるの
この大空の 虹になりたい
希望に届く 虹になりたい

・・・エエ歌や・・・・ 富士山には月見草が似合うと申しますが、豪州には虹がよく似合うようです。

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March 11, 2009

今度のウィルは戦いません ガブリエレ・ムッチーノ 『7つの贈り物』

090311_180549その球体を7つ集めると、どんな願いでもかなえることができる・・・というのはまた別の話。ウィル・スミスが『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノと再び組んだ『7つの贈り物』を紹介いたします。

これもいわゆるネタバレ厳禁系の映画でして。ただネットの波を泳いでいると、どうしてもバレとぶつかってしまうものなんですよね。そういうわけでチョイバレくらいの状態で鑑賞いたしました。でもメインとなっているのは、意外な真相よりも、主人公の心の葛藤と、彼が選んだ「手段」。ちなみに宇宙人から職不足まで、いっつも何かと戦っているウィル・スミスですが、今回は特に何とも戦いません。ちょっとさびしい・・・・

すんごく気をつけて書くと、見ず知らずの人々にビッグなプレゼントを贈って回っている男がおりまして。一体彼はなんでそんなことをやってるのか、その最終目的はなんなのか・・・というお話。いわれなき善意+少しずつ謎が明らかになっていく構成は、ミミ・レダー監督の『ペイ・フォワード』などを思い起こさせます。

じゃあ早々とネタバレいきます。避難はいいですか? それじゃカウント・ダウン!

seven

six

five

four

three

two

one

たーいむぼかーん!impact

・・・・失礼しました。昨年は『つぐない』『ミスト』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』など「贖罪」をキーワードとした映画が目立ちましたが、これまた「罪とか罰とか」をテーマとした作品です。

主人公はあることで重大な罪を犯してしまいます。彼が人々に善行を施して回っているのは、そのつぐないのためだったのでした。
我々から見ると、彼の行動(特に最後のもの)は「筋違い」と感じられるかもしれません。もっとほかにやりようがあるんではないかと。よいか悪いかはひとまず置いといて、彼がそうした理由というのは、聖書をもとにして考えると、いろいろ納得できます。

この映画には、ちょこちょこキリスト教に関連した表現が出てきます。例えばタイトルの「7」という数字。聖書では神が設けた取り決めに関して、この数字がよく使われます。冒頭で「神は七日で世界を作った」というモノローグがありますし、「七つの大罪」なんて言葉もあります。
また登場人物の一人エズラは、ユダヤ人であることが察せられます。聖書にもエズラという名の模範的な人物が出てきますが・・・ ま、これは偶然の一致かも。

そして聖書には「目には目を、歯には歯を」という言葉があります。これはよく「やられたらやりかえせ」みたいな意味で使われてますが、実際は古代の刑法の一つで、ある人物が誰かの体の一部を傷つけたなら、加害者は等価のものをもってあがなわねばならい、というおきてです。
主人公が奪ってしまったものは七人の命でした。彼は自分一人の体で、どうやったら七人の命をあがなうことができるか懸命に考えます。

恐らく彼は強迫観念にも似た義務感で、これらの贖罪を行っていったんだと思います。序盤でエズラと話た後、取り乱していたことにそれがよく表れていました。その姿はあまりにも痛々しく、それだけだったら確かに歪んだつぐないのように見えます。

でも彼の最後の最後の行動だけは、自分の純粋な願い・・・・心から「そうしたい」と思ったゆえなんではないでしょうか。わたしは彼のそんな願いを、否定する気にはなれません。

090311_180609この映画で特にほめたいのは、「こんなに悲しいラブストーリーがあっただだろうか!?」とか「今年一番泣ける愛の物語!!」とかそういうコピーで売り出してないところですね。配給さんもやるじゃないですか。

ただそのせいか客足の方はいまひとつな模様・・・・ 難しいもんですね~wobbly


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March 06, 2009

悲しみのアンジー クリント・イーストウッド 『チェンジリング』

090306_184729副題は「イーストウッドをほめちぎる!」ということで。珍しくお茶ラケなしであらすじいってみましょう。

1920年代のLA。シングルマザーのクリスティンは、電話の交換手をして一人息子を懸命に育てていた。あるとき彼女のその最愛の息子ウォルターが、忽然と姿を消してしまう。
数ヵ月後、クリスティンは警察から息子が見つかったとの報せを受け、狂喜する。だが彼女の前につれてこられた子供は、明らかにウォルターとは別人だった。それでも「あなたのお子さんです」と断言するLA市警。その少年までもが彼女のことを母と呼ぶ。果たしてウォルターはどこへ消えてしまったのか・・・・

フィクションではたま~にこういう話ありますよね。考えられる真相としては「政府の陰謀」「宇宙人と取り替えられた」「ヒロインは実は仮想現実世界の住人で、プログラムにミスが生じたために(略)」などがありますが、驚くべきことに、これ実話だったりします。

クリント・イーストウッドはわたしが最も信頼している監督の一人であります。かようにまず拾ってくる話のネタ、およびそのアプローチの仕方が興味深い。『ミリオンダラー・ベイビー』では女子ボクシングというマイナーな世界を扱い、『硫黄島二部作』では知られざる歴史秘話を紹介するとともに、ステレオ形式で日米双方から第二次大戦を描くという実験を試みていました。

次いで映画として非常にスリリングであります。この『チェンジリング』は実はかなりくたびれた状態で鑑賞し、最初の方はうとうとしかけていたのですが、見ているうちに見事に眠気が消し飛びました。登場人物がどうなるのか、話がどこに向かっていくのか・・・・ 結末を見届けられずにはいられない。こういう「物語」の「基本」がきっちりなされています。

そして訴えかけてくるメッセージが奥の深いもので、非常に明快であります。それでいて決しておしつけがましくはなく。
彼の作品を見ていると、「人が一人いなくなるということに、命が失われるということに、どれほどの重みがあるのか」「あまりにも非情な境遇にあって、果たして人は己の尊厳を保ちつづけることができるのか」いつも考えさせられます。
本当にハリー刑事のころにパンパンジャンキーたちを撃ち殺していた人と同一人物とは、とても思えません。

以下はぼちぼちネタバレしはじめます。未見の方はご避難ください。

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薄幸のヒロインを演じるのは「世界の姉御」アンジェリーナ・ジョリー。しかし今回はマシンガンをぶっ放すわけではなく、なよなよ、はらはらと泣き崩れる演技が目立ちます。クレジットに名前がなかったら、到底彼女とはわからなかったことでしょう。
しかし中盤においてとうとうブチ切れた彼女が、「言うべきことを言ってやるぜ!」と啖呵を切る場面があり、そこからは「ようやくいつもの姉御が帰ってきた!」と思いました(笑) やはり母は強しというべきか。 

暮れに見た『永遠のこどもたち』でも非情によく似たシーンがありました。みなが「もう終ったことだから」と言う中、一人ヒロインだけは「今もあの子の存在を強く感じるんです」と言う。母が子を思う気持ちは、いつの時代も万国共通なんですね。一方で最近ではやりきれない事件も時々あり・・・・

わたしがこの映画で一番感動したのは、一度逃げかけたウォルター少年が、共に捕まっていたデヴィッド少年を助けに引き返すくだり。あれほどの恐怖を味わいながら、彼は人としての優しさを失っていなかったのだな、と。そしてわずか10歳の少年にどうしてこれほどの強さが備わっていたのか・・・・と。

普通なら「終わり」となりそうなところで、この映画、なかなか終りません。途中から大体どういう結末か予想がついてしまったので、「もういいじゃないですかー」と思ったのですが、最後まで見ると、監督がそこまで続けた意味がわかります。

現実はいつだって重く厳しいものです。だからこそ希望が必要なんでないの?ということをイーストウッドは訴えます。
そうです。どんなに重いテーマを扱っていても、最後はさわやかに締めてくれるから、自分は彼の作品が好きなのです。

090306_184748そのイーストウッドの次の作品は、退役兵とアジア系移民の心の交流を描いた『グラン・トリノ』。今回は主演も努めております。日本公開は来月・・・・て早!
ささやかれていた俳優引退説も撤回され、彼のこれからの活躍にますます期待してしまいます。


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March 01, 2009

ギターでは殴るものではない 宮藤官九郎 『少年メリケンサック』

090301_175413ぼく パンク・ロックが好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
ああ 優しいから好きなんだ
ぼく パンク・ロックが好きだ
(THE BLUE HEARTS 『パンク・ロック』)

SPEED、ユニコーン、バービー・ボーイズ、リンドバーグ・・・・ なぜかここに来て音楽界に押し寄せている「再結成」ブームの波。そしてあの伝説のパンクバンド「少年メリケンサック」も25年ぶりに復活が決定した。ただ問題は、誰もそれを「復活」だと思っていなかったことにあった・・・

某レコード会社のダメOL、かんなは・・・ってまた「かんな」ですか! 最近流行ってるんですか? この名前 ・・・某SNSの動画コーナーで、成層圏まで突き抜けたあるバンドを発見する。彼らの名は「少年メリケンサック」。そのパワーに魅了されたかんなと社長は正式に契約もしてないうちから、彼らの全国ツアーを決定。だがメンバーの一人にあってかんなは驚愕する。なんと彼女が見た動画は25年前の解散ライブのものだったのだ。

それでも強引にメンバーをかき集めるかんな。だがギターとベースは犬猿の仲で、ドラムは重度の痔、ボーカルは身体障害者、そして演奏は超ど級の下手っぴい。果たしてこのツアーは無事成功するのか?(するわけない)


えー、まずパンクロックとはなにか。すいません。よくわかりません。
いろんなところから聞いてきた適当な情報によると、70年代に誕生したセックス・ピストルズを始祖とする音楽ジャンルで、過激な歌詞とファッション、パフォーマンスなどをウリとしている。ただヘビメタと違うのは、彼らの音楽には大抵社会へのメッセージがこめられているとか。詳しい方、間違ってたらバシバシつっこんでやってください。

わたしがパンク・バンドと聞いてまず思い出すのは、80年代後半人気だったTHE BLUE HEARTS。異常にクビのすわりが悪く、目をむき出し、舌を突き出して声を張り上げるメリケンサックの姿は、まさしくブルーハーツのスタイルそのまんまでした。あるいは、こういうのがパンクのスタンダードなのか。忌野清志郎さんもこんな感じですよね。
周りにブルーハーツのファンが多かったので、わたしもいつの間にか彼らの曲が好きになったりして。って言うか、メチャクチャ下手糞なコピーバンドまで組んでたの・・・・ ああああああ!! 顔から血が出そうだ!ヾ(.;.;゚Д゚)ノimpactimpact


えーと、映画の話ね(_ _;
わたしがこの映画を見たかった動機・・・ それは「壊れた宮崎あおいが見たかった」。それに尽きます。その点期待は十分に応えられました。
出世作『ユリイカ』(見てないけど)を初めとして、深刻な役が多かった彼女だけど、なかなかどうして、コメディエンヌもいけるじゃないですか。あるいは、昨年一年全然違う演技を見ていたから、余計に面白く感じられるのか。
なんでも彼女は『篤姫』で死ぬほど忙しかったのにも関わらず、本作品への出演を熱望したそうです。
・・・・・こいつバカだ。

しかし「バカな子ほどかわいい」とはよく言ったもので、そんなバカ丸出しな彼女が、メチャクチャかわいい。『篤姫』の時の三倍はかわいい。ぴょこぴょこ跳ねてるあおいちゃんを見ているだけで、とってもしやわせな気分になれます。そして彼女にベタベタとさわりまくるオヤジどもを、片っ端から叩き殺したくなりますannoy
だのに映画を見ていると、いつの間にかろくでなしで不潔で屁臭くて脂っこいオヤジたちに、肩入れしている自分がいました。このノリはチャウ・シンチー作品や『俺たちフィギュアスケーター』にも通ずるものがありますね。

ヘンテコなロードムービーとしても楽しめますし、登場する楽曲がそれにさらに輪をかけてヘンテコ。
「ん、このメロディ、ナイスフィーリング♪」という曲より、「なんじゃあ!! こりゃあ!!」と頭が破裂しそうな曲の方がかえって耳にこびりついたりするもんですよね(そして気がつくと口ずさんでいたりするshock)。そんな歌のオンパレードです。

090301_175444『真夜中の弥次さん喜多さん』で轟沈した自分には、久々にヒットしたクドカン作品でした。
「いまの音楽業界はふにゃらけている!」とお怒りの皆さん、ぜひご覧ください。

しかしこれ、地上波放送はまず不可能でしょうね・・・・


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February 25, 2009

さよならだけが人生か デビッド・フィンチャー 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

090225_182716「赤ん坊老人ブラピちゃん」「僕のニクタイは逆回転」というのも考えました・・・・
毎年この時期になると立て続けに公開される、オスカー関連作品の先駆け。病んだ世界を描くのを得意とする、デビッド・フィンチャーの最新作『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を紹介いたします。

第一次大戦がいまだ続いているころの、アメリカはニューオリンズ。ボタンの製造で大もうけしているバトン家で、一人の奇妙な赤ん坊が生まれる。なんとその赤子は生まれたばかりなのに、よぼよぼのしわくちゃで、まるで老人のような体だったのだ。
「神様、送り先が違います」。そう結論した父親は、その赤子を老人ホームの前に捨ててくる。幸い赤子はその施設の愛情豊かな介護師に拾われ、ベンジャミンと名づけられた。
最初は奇妙な新入りくらいにしか思ってなかったジジババたちだったが、年月が経つにつれ、ひとつの奇妙な事実に気づく。なんとベンジャミンは歳を重ねるにつれ、次第に若くなっていく「巻き戻し人間」であったのだ・・・

原作は『華麗なるギャッツビー』だけがよく知られているF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説。わたくしザザーッとナナメ読みしてみたのですが、「歳をとるほど若返る」というコンセプト以外は全然別のお話でした。最初の逆回転する時計のエピソードもないし、ベンジャミンは普通に実の両親に育てられております。全体的に「不条理」という言葉がよく似合うカフカの『変身』にも似た味わいの小品。

この映画、最初はあまり見る意欲がわきませんでした。あらすじを聞いて、それほど面白いとは思えなかったし、ポスターはなんか地味だし、デビッド・フィンチャーってそれほど好きな作家ではないし。てゆーか、自分にとっては微妙な作品が多い人だし。
あと、やはり自分にはイマイチだった『フォレスト・ガンプ』によく似ていると言う(脚本家は『ガンプ』と同じエリック・ロス)。両作品の共通点をあげつらった比較ムービーまで、某動画サイトにアップされたとか。

でもなんとなく観にいったところ、感動してしまいました。そのあまりのヘンテコさに(笑)。そう、これは『フォレスト・ガンプ』よりもかなりヘンテコなお話です。主人公のベンジャミンがヘンテコなのはわかってましたが、彼が歩む人生、彼を取り囲む人々、そして時折挟まれる落雷のシーン、全てが実にヘンテコでありました。後半そのヘンテコさが、ややなりを潜めてしまったのがやや残念。ま、これはあっしのわがままです。というわけで、一番気に入っている部分は、そのヘンテコさが頂点に達した船乗り時代のパートです。
個人的には「奇妙な男の信じられない話」ということで、『ガンプ』よりもトルトナーレ監督の『海の上のピアニスト』などを思い出しておりました。

もちろん単にヘンテコなだけでなく、しみじみと考えさせる要素もいろいろありました。我々はみな下り方向に向かって走る列車のようなものかもしれません。時にはつながって走ることもあるでしょうけど、基本的に行き先や走る時間はさまざまであります。その点、人は誰も孤独な存在であります。ただベンジャミンは一人だけ上り方向に向かって走っているため、その孤独感も人一倍強いわけです。出会いや人の一生が、どんなにつかの間ではかないものなのか、否応なしに思い知らされる。そういう意味では、『ガンプ』邦題の「一期一会」という言葉は、この作品にこそふさわしいものだったのかもしれません。
せめてもの慰めは、そのベンジャミンに一生かけてすれ違える相手がいた、ということです。

サイコな人物・怪物が多く登場するフィンチャー作品で、こんなさびしくも暖かいムードを味わえるとは実に意外でした。彼の作品にありがちな赤茶けた画質が、いつもは荒涼感を覚えさせるのに対し、今回は郷愁を呼び起こさせるような感覚を覚えました。人間の感覚なんていい加減なもんですね。
ブラッド・ピット演じるベンジャミンも、これまでのフィンチャー映画ではかなり異質な存在。彼からは執着や欲望といったものが一切感じられません。生涯で一番愛した女性でさえ、彼女の幸せのために身をひいてしまう。その諦めのよさは、最初から老人であったがゆえなのでしょうか。

奇妙な呪いのゆえに人とは違う人生を歩むこととなったベンジャミン。その元凶となった時計が壊れたことで、彼も普通の赤子として生まれなおせるといいのですけど。

090225_182824左画像は作品に度々出てきたハチドリ(だと思ってください)。
たぶん「我々と同じ空間にいながら、違う時間の流れを生きている」ベンジャミンの人生を表していたんではないかなーと思うんですが。

ちなみに「雷に七回当たった男」の話は以前聞いたことがあります。最後は落雷ではなく、失恋が原因の拳銃自殺だったとか。この映画に出てくる老人と同一人物なのかどうかは、はっきり言って謎です。
そういえば雷が電気であることを体を張って証明した男の名は・・・・

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February 23, 2009

日落ちる処の剣士 アグスティン・ディアス・ヤネス 『アラトリステ』

090223_120741その男は誰よりも勇敢だった。
時に神の手を操り、時にマスコミに噛み付き、今またアルゼンチンを率いて世界に挑もうとするその男。
彼の名はディエゴ・マラドーナ・・・って、あれ?

スペインの著名な冒険小説を、ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化した作品。
エリザベス・ゴールデンエイジにボロ負けして、斜陽の一途をたどるスペイン。その中にあって、己の誇りを胸に戦場を駆け続けた剣士、アラトリステの半生が語られます。

大概スペクタクルものというのは、主人公が国を動かすくらいの英雄で、わかりやすい起承転結があったりするもの。しかしこちらの主人公アラトリステは架空の人物の上、晩年にいたるまで一兵卒に毛が生えた程度の地位でしかありません。ですから当然歴史を左右したりもしません。お話も彼の関わった事件・戦いを順々に追っていくような構成。なんだか連続ドラマの総集編のような趣であります。
しかしそんなペーペーな貧乏侍の、日常をも混ぜた話だからこそ、アラトリステという人物がとても親しみやすく感じられます。山田洋二監督の「がんす三部作」にも通ずるテイストですね。
剣さばきに関しては無類の器用さを見せながら、処世術や金儲けにはてんで疎く、好きな女をいつまでも諦めきれないアラトリステ。そのスタイルとあいまって、エドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」なども思い出しました。あるいは「不器用ですから・・・」とつぶやく高倉健か。
そんなアラちゃんの人生を、成り行きで預かることになった戦友の遺児や、彼を慕うマドリードの女優、一癖ありそうな謎の剣客などが彩ります。

ストーリーよりも、雰囲気を味わうような映画。幼少のみぎり『三銃士』に親しんだ身としては、つば広の帽子に細身の剣で、マントを翻しつつチャンチャンバラバラをやられるとそれだけで燃え上がってしまうものがあります。
ただ剣豪ものというよりかは、「ハードボイルド」という言葉の方がしっくりくる作品。
「後ろ盾など何一つ無い身でありながら、権力者には決して屈しない」「信念のためには友とも戦うことも辞さない」「薄暗い夜の街での死闘」「勝利を得ても栄光には程遠い」「共に命をかけた仲間との友情」
そんなハードボイルドの醍醐味がパンパンにつまっておりました。
そしてアラトリステの哀愁を帯びた背中に、スペインの歴史ある町並みや、雄大な自然の風景がとてもよく似合います。

当時の戦争の非常にリアルな描写もありますので、史劇ファンはそういったところも楽しめるかと思います。大砲が絶えず鳴り響き、時には真冬の川や、毒ガスの漂う坑道にまで入っていかなければならないshock
わたしは屋外の肉体労働なんで、雨の日なんかは「かったりーなー」と思ったりするのですが、アラちゃんの職場に比べれば、まだ全然マシでした(笑)

090223_120807アラゴルンに続いて、アラフォーくらいの剣豪を演じたヴィゴ・モーテンセン。この調子で行くならば、次は三銃士のアラミスか、三十六人斬りの荒木又衛門あたりだと思うのですが、いかがでしょう。
個人的には荒木さんの方を希望。
もう大体上映終っちゃったみたいなんで、興味を持たれた方はDVDが出るまでお待ちください・・・

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February 21, 2009

カンナさん、大盛況です! 堤幸彦 『20世紀少年 第二章 最後の希望』

20080222182420東京が火の海に包まれた「血のおおみそか」から15年。日本は怪人「ともだち」の支配する国となっていた。
ロボットに立ち向かい行方知れずとなったケンジは、希代のテロリストとして、人々に記憶されていた。そんな中、一人「ともだちは間違っている!」と叫ぶ少女がいた。彼女の名はカンナ。ケンジの成長した姪だった。
彼女の周囲には事件が絶えない。やがてカンナはともだちに関わる大きな陰謀に巻き込まれていく。
カンナとともだちとの間にいかなる関係があるのか。そしてかつてともだちと戦ったケンジと仲間たちは、今どうしているのか・・・・

浦沢直樹原作の人気コミックを、ほぼ完全に映画化。今日は全三部のうち第二部を紹介します。第一部の記事はコチラ

ちかごろ何かと「パート2」の多いこのごろ。その「パート2」にも本当に色々ありますが、大きく二つに分けられると思います。
一つはとりあえずその作品の中だけで決着をつけなきゃならないパート2。もう一つは既に三作目を作ることが決定していて、そちらへつなげなければいけないパート2。
さらに後者も、一作目が好評だったので後付け的に制作されたものと、最初からトリロジーでやることが決まってるものにわけられます。
『20世紀少年』はその点後者の後者にあてはまります。ただこういう形式って、今までそれこそ『ロード・オブ・ザ・リング』と『スター・ウォーズ』くらいしかなかったような(^^; もしかして日本では初めての試みでしょうか? 『ラ○ラ』や『エ○ゴン』のように三部の途中でぽしゃってしまった企画もあります・・・・

第二部というのは往々にして地味になりがちなんですよね。はっきし言ってしまえば「つなぎ」ですから。『スクリーム』では「二作目はよりスケールアップする」なんて言われてましたが、あれは個別に作られた続編の話。
しかしつなぎはつなぎで重要だったりします。野球でも中継ぎ投手がかなり重要であったりするように。
第一部での熱気を保たせたまま、完結編へ導いていかなければならない。これ、けっこう難しいことなんじゃないでしょうか。

んで、この度の『最後の希望』、この役割を十分に果たしていたと思います。第一部の「巨大ロボット大暴れ!」みたいな派手さはないですけど、ピンチにつぐピンチの展開で、観るものを飽きさせません。
ともだちの正体は誰なのか? ケンジと仲間たちはどうしているのか? 彼らの少年時代に何があったのか?
こういう1部からひっぱってきた謎も興味を掻き立てます。第1部と第2部で主役が異なる、という趣向も面白い。

まー原作を途中まで読んだ身としては、改めて「『20世紀少年』って、本ッッッッ当に強引な話だよなー」とも思いましたけどね(笑) マンガの時はあんまり考えないで読んでたからそんなに気にならなかったけど、映画でもう一度見てみると腑に落ちない箇所がいろいろ出てきました。ともだちランドのボーナスステージって、気が狂うほどのものか?とか、サダキヨは一体何の目的で小泉響子のクラスに赴任してきたんだ?とか、そもそもマンガ世界の住人たちは、あんな見るからに怪しいヤツ(ともだち)をどうして普通に信じられるのか?とか(笑)

しかしまあ、浦沢&堤氏のストーリーテーリングのおかげで、そういう疑問もなんとか乗り越えることができました。「細かいことが気になる」コロンボタイプの人には、この映画、むいていません。

特筆しておきたいのは、女優陣が特に元気だったということ。ボーイッシュな魅力で物語をひっぱるカンナ役の平愛梨さん。シリアス?なお話に一抹の笑いを添える響子役の木南晴夏さん。そして鬼コーチ高須役の小池栄子さん。かつてはそのバディで日本中の男子を悩殺しまくった小池さんですが、最近ではすっかり性格女優の地位を固めた感があります。『接吻』や『パコと魔法の絵本』でもそうでしたが、目がいっちゃってる女を演じさせたらいま日本一かもしれません。

090220_183842第1部が「少年たち」の話で第2部が「少女たち」の話であるなら、第3部は「大人たち」の話となるんでしょうか。
果たして日本の未来は?(ウォウォウォウォウ)、そして「あの男」は返ってくるのか?
完結編となる第三作は七月公開予定。このくらいのスパンがありがたいですね。あおるだけあおっといて「続きは1年後、2年後」というアレは本当勘弁してほしいですから。

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February 13, 2009

ハニハニ・マニマニ・チキチータ フィリダ・ロイド 『マンマ・ミーア!』

090213_202359アバの曲をモチーフにして、世界的に大ヒットしたミュージカルの映画版。『マンマ・ミーア』とは「オー・マイ・ゴッド!」と似たニュアンスの言葉で、イタリア語で「母ちゃん、そりゃねえよ」くらいの意味。
でも舞台はギリシャで、アバはスウェーデン人で、しゃべってる言葉は英語で・・・・
ま、ま、いーや。

ギリシャの小さな島でホテルを営んでいるドナは、かつて凄腕のスパイとして恐れられた007と付き合っていたことがあった。だがボンドのあまりの身持ちの悪さに、二人は破局。そののちドナは女の子をみごもる。
それから二十年。ドナの娘ソフィは、結婚を控え実の父親を知りたいと願っていた。それをつきとめるべく母の日記を読んだソフィは驚愕した。なんとドナはボンドと同時期にダーティ・ハリーと堀江謙一ともつきあっていたのだ。
混乱したソフィはとりあえず全員式に呼びつけることにする。そして三人の父親候補が島に到着した時、第一の惨劇が・・・・(おきません)

最近の若いみなさんはアバというグループをご存知でしょうか。わたしもよく知りません。若いですから(←無理スンナ)。
ただ前にも書いたように『ジェット・ストリーム』をよく聞いていたので、『ダンシング・クイーン』くらいは知っていました。けれどほかの曲は滅多にかかることがなく、てっきり一発屋なのかと思ってました。
そののち野島伸司のドラマ(途中で見るのやめちゃったけど)で『チキチータ』『SOS』が使われ、「ほかにもいい歌歌ってたんだ」ということにようやく気がつきます。
で、今回この映画にたくさんアバのナンバーが使われてると聞き、鑑賞することにしたのでした。こういうラブコメっぽいの、自分のガラではないんですが。

というわけで、今回はこの映画で気に入った曲のベスト10など書いてみます。

10位 Money, Money, Money
本当は9曲までしか思いつかなかったんだけど、それではキリが悪いので、なんとなくインパクトのあったこの曲を選びました

9位 式の前にドナが歌う「あなたとは終ったのよ~」という曲(The Winner Takes It Allというタイトルでした)
女の悲しい一生に涙を誘われる・・・のは数分だけ

8位 Mamma Mia
主題曲? ♪テケテケテケ・・・という前奏がここちよい

7位 Super Trouper
なんとなくSFっぽくてよい

6位 ソフィとパパンズが船の上で歌う「あの夏の日~」という歌(Our Last Summerという題でした)
加藤登紀子の『時には昔の話を』みたいでよい

5位 「わたしの指の隙間からこぼれおちてしまったあの子~」という歌(正確にはSlipping Through My Fingers)
どんだけちっちゃい子なんだと。というか、子供が死んでしまった歌のように聞こえるのはわたしだけでしょうか

4位 Dancing Queen
定番中の定番 予告での使われ方がよかった

3位 最初と最後でソフィが歌ってた歌(正しくはI Have a Dream)
この映画で一番幻想的なシーンに使われてました

2位 SOS
やっぱ好きな曲なんで。ただブロスナンの声が野太かったのがイヤだった・・・

1位 Chiquitita
やっぱ好きな曲なんで。ただトイレから始まるに泣いた・・・


映画のことも少し書いておきますcoldsweats01
なんとなく若い人向けの映画のようですけど、これ、どちらかというと中高年向けの映画だと思います。♪老い先みじかし 恋せよ乙女 みたいな。
特にマンマを演じるメリル・ストリープが元気でした。もういいお年のはずなのに、脚をかっぴろげて大ジャンプとか。あんなのわたしには出来ません。ほかにもドナの友人二人がはっちゃけまくって、濃厚な熟女アブラをまき散らかしまくってました。それに比べて、熟男の方は終始押されっぱなしだったような。
ただ熟女が張り切れば張り切るほど、その分ソフィ役のアマンダ・セイフライドのピチピチぶりが際立ってしまったのは皮肉です。
090213_202417映画では最近『アクロス・ザ・ユニバース』がありましたが、こういう既存の楽曲を使ったミュージカルのことを「ジュークボックス・ミュージカル」というんだそうで。んで、特に一アーティストの曲だけを限定して使ってるものが多いようです。
次はクイーンでやったら面白いんじゃないかな、と思ったらそういうのはもうありました(笑) 『ウィ・ウィル・ロック・ユー』というんだそうで・・・ 考えることはみんな一緒だなー


 

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February 10, 2009

バットメン・フォーエヴァー 『仮面ライダーキバ』を語る⑤

090210_125244すでに終了して三週間が経ってしまいましたが、平成ライダー第九作『キバ』を振りかえってみます。

脚本家井上敏樹氏の傾向については第三回でいろいろ書きましたが、特に『仮面ライダー』においてあった重要な特色をひとつ忘れていました。それは最初と最後で、明らかに主人公が変化しているということ。
特に『キバ』の紅渡は「ひきこもりで人嫌いでこの世アレルギー」として登場した分、終盤において立派になった姿には目を見張るものがありました。
もっともその成長とて階段をかけのぼるようにスタスタ行ったわけではなく、「三歩歩いて二歩下がる」状態を何度も何度も繰り返した後に到達できたもの。視聴者たちの中にはこのスロースピードにイライラした人もいるようですが、人間というのはそうそうグイーン!と急変化できるわけではありません。一年かけてゆっくりとその成長を描くスタイルは、そういう点では大変リアルでした。


ではぼやけた記憶を奮い起こして名場面を幾つか

・第4話 ガルルフォーム初登場。剣を口に加えて斬る、という極めて斬新なアクション。元ネタは『銀牙』だろうか
とてもかっこいいのにその後一・二度しか使われなかったのが残念
・第6話 スパイダーファンガイア糸矢大活躍の巻。過去と現在のザッピングが一番うまくいった回だったかも
ガルルさんの初変身もインパクト大でした
・第10話 音楽を愛するフロッグファンガイアの哀しき末路。これまでただのアホかと思ってた音也の地位がアップした
・第16話 チェックメイト・フォーのルーク登場のエピソード。記憶を取り戻した途端、よくしてくれた人々を瞬殺してしまうルーク。この辺の情け容赦無さが井上カラー
・第17・18話 この部分だけ脚本を米村正二が担当してるのですが、なかなかギャグが走っていてよかったです
「なぐごはいねがあ!」とか「バガニー二って本当に修行でトイレ掃除やったの?」「んなわけねーだろ」というやり取りとか
・第24話 もう一人の可哀想ファンガイアのエピソード。人間の女を愛してしまったあるファンガイア。だが彼女は不治の病にかかっており・・・ ベタだが彼女の墓の前で砕け散る怪人の姿に泣いた。
ファンガイアが恋や音楽に目覚めて「人間らしくなる」あたりはなんだか『寄生獣』っぽい
・第36話あたりから 最初はクールだった名護さんが、イクサの資格を失ったことでただの面白い人になってしまう
 「この753Tシャツを着るんだ!」とかイクサナックルに画鋲を貼り付けたり・・・・ その様は哀れでもあり、おかしくもあり
・第40話 音也暗殺をキングから命じられた次狼。しかし彼はすでに音也を殺せなくなってしまっていた。お風呂場で涙ぐむガルルさんに大爆笑。
・第41話 ずーっとひっぱってきたケンゴと渡の友情エピソードが、この回でようやく決着を見る。井上氏のことだから悲劇的な方向へ持って行くのではなかろうかと気が気じゃなかったが、もとのケンゴくんに戻ってよかったよかった
・第42話 嶋の身元を引き受けた後、嬉しそうに花を買う太牙。「ようやく嶋と本当に家族になれた」という彼の気持ちが伝わってきて、ホロリときてしまいました
・第43話 死の覚悟を決めて、カフェ・マル・タムールを訪れる嶋。嶋ちゃんとマスターのベストシーン
 この回は刺されながらも深央をかばう太牙のシーンも痛々しかった。その思いがようやく伝わったかと思いきや・・・
・第45話 キングの支配に苦しむキャッスルドランを、飛翔体に変身して解放するキバ。全編でもっともよくできたアクションシーンのひとつ
・第46話 音也臨終の場面。個人的にはここが『キバ』の中でもっとも印象深いくだり
「(息子を頼むとの言葉に)おれたちゃバケモノだぜ? お前の息子を食っちまうかもしれねえぞ?」
「・・・・頼んだぞ、次狼」
(少しの間)
「・・・・行っちまったか・・・・」

これまでの積み重ねがあるからこそ、このシンプルなやりとりにも深みがあります

・最終話 兄・太牙との激闘の果てに、渡は自分の真意を明かす。普通なら死なせるであろう太牙というキャラをあえて救ったところを評価したいです
そして最終決戦において渡に語りかける音也。やはりこの場面こそが『キバ』一年の総決算だと思います。

090210_125525商業的には決して大成功、とは言えなかった『キバ』。しかしわたしは「二つの時系列を同時進行で」という構成を、見事一年やりきっただけでも評価に値すると思っています。恐らくこの作品が正当な評価を受けるのは、今から3,4年後ではないでしょうか。
『ディケイド』ではどんな風に活躍するのかも、引き続き楽しみにしております。

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February 07, 2009

ゲバラ FINAL WARS スティーブン・ソダーバーグ 『チェ 39歳 別れの手紙』

090207_1914312009年は「ねえ、君」で始まり、「バハハーイ」で終る? 制作・主演ベニチオ・デル・トロ、監督スティーブン・ソダーバーグが送る『チェ』二部作。その後編です。前編『28歳の革命』の記事はコチラ

革命が成って10年余。キューバで重職についていたゲバラは、突如として姿を消す。国民の疑問に答えるため、ゲバラから送られた「別れの手紙」を朗読するカストロ。その時すでに、彼は悪政で名高いボリビアの地へ渡っていた。この地においても、彼の理想とする世界を実現するために・・・・

前回ではキューバにおいて見事革命を成し遂げるまでが描かれましたが、今回はボリビアの地で夢破れ、その生涯を終えるところまでが語られます。
時系列がザッピングしない以外は、前半は『28歳』とほぼいっしょ。ジャングルで組織を作り、訓練に励んだり、落伍者を怒ったり。

しかし後半に入るとどんどんおいつめられていくゲバラたち。なんでキューバでは成功したのにボリビアではダメだったのか? それに関しては本当にさまざまな理由があるわけですが、映画から読み取れるのは、まずボリビアではゲバラ以外にグループに強力なリーダーシップを取れるものがいなかったということ。そしてゲバラ自身も、もしかしたらカストロのような有能な司令官の下で、初めて真価を発揮できるタイプだったのかもしれません。

他にも何度か煮え湯を飲まされたアメリカが、かなり本気になってしまったこと、バティスタ政権より時のボリビア政府が確固としていたことなどもあります。あと、「革命」というもの自体がそもそもそう簡単に成し遂げられるものではありませんし。先のキューバ革命などは「近代史における一つの奇跡」とまで言われております。

ただ、そんなのはあとの時代の人間だからこそ言えることで、一度成功を味わったゲバラとしては、ボリビアの時も自信満々だったと思います。実際出だしはキューバの時よりも断然有利だったわけですから。
キューバ上陸直後に仲間のほとんどを失ったにもかかわらず「俺たちは“17人も”生き残った。これでバティスタの野郎の命運は尽きたも同然だ!」と言い放ったカストロの、すさまじいまでのポジティブ思考も彼に影響を与えていたと思います(それを聞いた直後は「彼は狂ったと思った」そうですが)。

先の記事で「明るくほがらかな人だと思っていた」と書きましたが、そのもう一つの理由は終わりの方だけさーっと読んだ『ゲバラ日記』にあります。もうかなりジリ貧な状況なのに「○○を食ったが大変美味だった」とか、「××が泣き言ばかり言うのでみんなで笑った」なんてけっこうのんきなことが書いてあります。
映画ではそういったユーモラスな部分は描かれませんでしたが、ゲバラのポジティブ思考は「どんなに不利になっても諦めない」というところに表れていました。その彼がついに生を諦めた経緯は、とても感慨深いものがありました。

わたしがこの映画で特に好きなのは、ファーストシーンとラストシーン。
冒頭でカストロが読み上げる「別れの手紙」。映画というものは出来るだけ真実に近づこうとしても、どうしてもウソが混じってしまうものですし、わたしもそれでいいと思っています。ただ、この手紙の文章一言一句は、紛れもない「真実」でありました。
そしてラストシーン。「世紀のカリスマ」、「赤いキリスト」、「伝説のゲリラ」、革命家、著述家、写真家、弁舌家・・・・ 様々な肩書きを持つチェ・ゲバラですが、その中からあえてただ一つを選ぶとするなら、それは「旅人」だったんではないかな、とわたしは思います。

先の記事で「たぶん風貌変わってないと思うけど」と書きましたが、ベニチオ・デル・トロ氏、実に見事な老けっぷりでありました。その熱演には心から敬意を表しますが、わたしには未だに彼があんまりゲバラに似てるとは思えません。有名な肖像写真のゲバラを見ると、なんかこう、ギュイーンと貫くような眼差しをしてるじゃないですか。それに比べると、ベニチオ氏の眼差しはなんとも穏やかで。彼はむしろゲバラよりも古谷一行に似ています。

090207_191320この映画を見てさらにゲバラについて知りたくなった方には、最近原書房より出版された『グラフィック・バイオグラフィー チェ・ゲバラ』という本をおすすめします。マンガなんでとにかくわかりやすいです。
映画では語られなかったゲバラの少年・青年時代、そして二つの作品の間にどんなことがあったのか(キューバ危機とか)、詳しく書かれております。


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February 02, 2009

慰めてぶん殴る マーク・フォスター 『007/慰めの報酬』

090202_134045「明るくオシャレでマンガチック」から、「暗くワイルドなリアルスタイル」へとシフトチェンジした007。その第二作であります。

英国情報部の腕利きスパイ、ジェームズ・ボンド。学校を七年留年したという経歴のため、人は彼をダブり王セブンと呼ぶ。かつて七曲署にボンという刑事がいたが、一応別人らしい。
前作で最愛の恋人をなぞの組織に殺されたボンは、上司に内緒で彼女の復讐を誓う。そんな彼の前に現れた一人の女、オルガ・キュウリレンコン。彼女はボリビアで有機農法を広める夢を抱いていた。オルガに心奪われたボンは、あっという間に前の彼女のことを忘れてしまう。大体もう二年も前の話だし。
しかしそれではお話が盛り上がらないので、とりあえず元カノの復讐を果たしにいくボン。カタキの名はジャン・ドミニク・ボビー・グリーン。戦闘的で兆の金を持つ男。エコロジストを気取ってはいるが、実はエゴイストのエコノミストであった。幸い現カノのカタキが彼とつるんでいたため、一石二鳥と張り切るボン。果たしてボンは元カノとの思い出に決着をつけ、現カノと仲良くやっていけるのか。

いつもさぶいけど今回のさぶさは格別ですな・・・(じゃあ普通に書けばいいのに)
シリーズ初の続き物という新たな試みにチャレンジした本作品。巷では概ね「がっかりだよ!」とスケバン恐子状態。いったいなにが悪かったのでしょう。
まずひとつはみんな前作での経緯をほとんど忘れてしまっていた、ということ。単純な話ならまだしも、『カジノ・ロワイヤル』ってけっこう入り組んだ話でしたからねえ。みんながみんな予習がしてるわけじゃないし。
もうひとつは作風をガラリと変えた前作はかなりのインパクトがあっったんですが、今回は「同じ路線」ということもあってそれを越える衝撃がなかったような・・・・ あと従来のオシャレセブンを懐かしむ声も多いみたいです。

でもわたしはまずまず楽しみました。どっちかというとこっちの作風の方が好みだし。修羅場の中にあってもクールな表情を崩さないダニエル・ボンドはやっぱしかっこええ。最近のアクション映画は主人公が「ひょええ死んじゃううう」と始終テンパってるものが多いだけに。

リアル重視のアクションとか亡き恋人のことをひきずってるあたりは、『ボーン』シリーズからの影響でしょうか。ただボンさんがボーンと違うのは、「敵を殺す時にまったくためらわない」ということshock。それこそマシンのようにさくさくスパスパ障害となるものを抹殺していきます。一方で自分の大事な人間が危機に陥ると必死になったりする。
ちょっと人命差別しすぎじゃないかという気もしますが、人間なんてしょせんそんなもんです。

あと前作では派手なアクションがやけに前半に偏っていましたが、今回は全体的に均等に割り振られておりました。

以下はネタバレ気味で思うところをダラダラ書き連ねていきます。これから見ようかという方は避難されてください。








bomb今回特に気に入ったアクション。瓦屋根を蹴立てて滑り降りて、その勢いでジャンプするシーンと、ゴムボートにナイフを突き立ててボン!と吹っ飛ばすシーン。特に後者はいっぺんやってみたいです。
壮大なオペラが行われている舞台裏での追跡劇も、珍しかったです。いつボンドが舞台をぶちこわすのかとワクワク、いやハラハラしました。

bomb一番印象に残ったシーンは、ボンドが旧友を看取るところ。穏やかな老後を送れたはずなのに、危険な場所へ戻ってきてしまったマティス。「戦場で自分を見つけてしまった者は、戦場でしか死ねない」そんな言葉が思い浮かびます。そして亡骸をゴミステーションに放り投げていくボンshock まさに「死して屍拾うものなし」(あ、収拾車のオッサンが拾ってくれるか)。ボンさんはそこに将来の自分の姿を見たのかもしれません。

bombボンさんがいささか若く描かれているせいか、ジュディ・デンチ演じるMとの関係が、『傷だらけの天使』におけるオサムちゃんと岸田今日子のそれに似てきました。

bomb敵組織は国家を超えた「お金大好き人間」の集まり・・・というのはリアリティがありました。きっとこういう連中が原油の値段を吊り上げたりしてるのでしょう。許しがたい極悪人どもです。

bomb今回はとうとうボンさんとガールが最後までエッチしませんでした。ただ話に出て来なかったところで一戦交えてる可能性は大いにあります。パターンといえば、一通り追いつ追われつした後、ガールと二人で敵の秘密基地に乗り込んでいくというアレ。前回でやめたのかと思ったら復活してました。

090202_134023噂によりますとダニエル・クレイグはあと二作ジェームズ・ボンドを演じる予定だそうで(降りたがってるという話も聞きますが・・・)
もし四作がそれぞれ「起」「承」「転」「結」にあたるなら、今回おとなしめになってしまったのはやむなきことかも。
というわけで、ビッグなサプライズが待ち受けているであろう「転」三作目に勝手に期待します。
例えば・・・・MI6解散とか。

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January 28, 2009

かなり、ゲバラのせい スティーブン・ソダーバーグ 『チェ 28歳の革命』

090128_1740192009年は、デルトロとカストロで始まる。
精力的に作品を撮り続けるスティーブン・ソダーバーグが、「世紀のカリスマ」と呼ばれた革命家、チェ・ゲバラの生涯を映画化。その第一弾です。

1964年。キューバ革命の功労者チェ・ゲバラは国連の演壇に立っていた。アメリカの行いを猛然と批判するゲバラ。そのスピーチは彼の名を世界に鳴り轟かせた。
それと交差するように、織り込まれる革命への軌跡。ジャングルを転々とし、時に攻め、時に逃げまどい、時に交流を深め、時に訓練に励む日々。その年月の中で、彼はいったい何を思っていたのか?(ということは、直接的には語られないんですけどcoldsweats01

チェ・ゲバラ。彼の名を最初に聞いたときわたしが思ったのは、「それは・・・ 人間の名前か?」というものでした(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
ご存知の方も多いでしょうが、「チェ」というのは愛称です。正式名称はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。たぶん「お前、名前長すぎだよ! もうチェでいいよ、チェで!」ということで、こうなったんじゃないかと。気持ちは大変よくわかりますが、幾らなんでもたった一音というのは横着しすぎではないでしょうか。
その「チェ」というのは舌打ちしてるわけではなく、向こうの言葉で「やあ」とか「ねえ、君」という意味なんだそうで。ゲバラはいつもこういう風にみんなに話かけていたので、自然とそれが彼の呼び名になったというわけ。なんかやっぱり、日本とはセンスが違いますね。

ともかくそうしたエピソードから連想されるのは、「明るくほがらかで、フレンドリーな人物」というもの。そう思った理由はほかにもあるのですが、それは後編の時に書きます。

で、今回ソダーバーグ氏が描いたゲバラ氏はどうだったかというと、決して暗くはなかったですけど、とりわけ明るくもありませんでした(笑) この映画で特に多かったのは、ジャングルで座りながら何かしてるシーン。本を読んでたり、日記をつけてたり、背中をなでてもらったり、人々を教えたり診療したり。そうした姿は先のイメージとも、「伝説のゲリラ」とも違うものでした。「ひたすら生真面目で仕事熱心なおっさん」という感じです。
感情の起伏もそれほど激しくはありません。怒る時もありますが、ちゃんと正当な理由を述べてから、それから怒ります。

そんなおとなしめの人物がなぜ「世紀のカリスマ」と呼ばれるようになったのか? 少なくともキューバ革命が実現した時には「功労者の一人」であったはず。ですからその名が伝説となっていったのは、革命後・・・・国連での勇ましい演説や、その晩年の生き様が世間に知れ渡ってからのことなのでしょう。
ですからこの第一部は、「カリスマになる途上」を描いた作品と言うことができます。

自分が抱いていたイメージとは異なるゲバラに、少なからず意外な思いを抱きました。もちろんこの映画の「ゲバラ」もまた、本人ではなく、スタッフのフィルターを通して描かれたもの。真実とは異なるところもそれなりにあるでしょう。ただ主演・制作のベニチオ・デル・トロは七年の歳月をかけてゲバラを調べあげ、かのカストロからも話を聞いたということ。少なくともわたしなんかのイメージよりかははるかに実像に近いはずです。

ソダーバーグ監督は「ゲバラを神格化することは避けたかった」と語っておりました。それが全体的にドキュメンタリー調の、淡々とした作風となって表れています。戦闘場面もドラマチックに盛り上げるわけではなく、ロングにひいた絵の中に、比較的少人数でパンパンとやっています。
またゲバラたちはキューバ上陸の直後、バティスタ軍の急襲を受け82人の仲間のうち70人を失うのですが、普通ならはずさないであろうこのエピソードなどはナレーションのみで済まされています。ですから戦闘シーンの苦手な人も、落ち着いて見られるのではないでしょうかcoldsweats01

そんな風に極めて客観的に描きながらも、作り手は「ゲバラのことが好きなんだな」というはよくわかりました。キューバ出発の直前に、静かに、しかし力強く夢を語るゲバラ。たぶんベニチオやソダーバーグがひかれたのは、武人や弁舌家としての彼ではなく、そんな混じりけのない少年のようなところだったんだと思います。

090128_174043 と、いうわけで今週末からは早くも完結編『39歳 別れの手紙』が公開。たぶん10年後の彼も外見変わってないと思うけど、この際それには目をつぶりましょう。ゲバゲバ


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January 25, 2009

走れ不正直者 リドリー・スコット 『ワールド・オブ・ライズ』

090125_201521そろそろ公開最終週でしょうか。監督リドリー・スコット、主演レオナルド・ディカプリオの「手堅いコンビ」が贈る、中東を舞台にした諜報戦スリラーです。

今回のデカプリコはCIAきっての釣り名人。狙った獲物はだいたい逃がさない。今狙っているのは、中東のテロ組織の親玉アル・サリーム。情報を集め、策を巡らし、ターゲットに迫るカプリコ。だが獲物が近づいたその途端、育児の片手間に仕事している上司がやってきて、「いいからよこせよ」と釣竿をひったくってしまう。そして獲物を逃がす。
おまけにこの上司のマナーが最悪なため、カプリコまで漁場から入場禁止を食らってしまう。果たしてカプリコはお荷物な上司の妨害をくぐりぬけて、ターゲットを捕まえることができるのでしょうか?

・・・・・
えーとね。

『アメ・ギャン』の記事でも書きましたが、リドリー氏はわずかな例外を除けば、基本的には「男の戦い」そして「痛みの伝わる暴力」を描く方だと思います。が、共通点というと本当にそれくらいで、かなり作品によってばらつきのあるひと。燃えたぎるような感情が伝わってくる作品もあれば、徹底してクールな作品もある。ロマンスがかなり重要な作品もあれば、全く出てこない作品もある。
その辺、わたしには長年の疑問だったのですが、最近あるインタビューを読んで疑問が解けた気がしました。

「『エイリアン』『ブレードランナー』のころは全て自分でやろうとしてかなり消耗した。だからそれ以降はかなり人に任せるようにしている」

そうか・・・ ばらつきがあるのは「人任せ」のせいだったのか! たぶんストーリーはほとんど脚本家の書いた通りに作って、暴力描写だけ気合込めて撮ってるんじゃないかと。・・・ま、あくまで勝手な想像ですけど。

この作品はこれといって目新しいところが見つけられなくて、鑑賞を迷っておりました。カプリコが諜報活動って『ディパーテッド』みたいだし、中東との対テロ戦は『キングダム 見えざる敵』を思い出させるし。でっぷり太ってやさぐれたラッセル・クロウは、『アメリカン・ギャングスター』での役となんかかぶってるし。そういや最近リドリンとラッシーってやけに仲いいですよね。できてるのか?
でもまあ結局見ましたcoldsweats01 さすがはベテランと芸達者。それなりにしっかりしていて、楽しめる作りになっておりました。単なる娯楽作品だけにとどまらず、社会に向けてちゃんとしたメッセージも発していますしね。

強いて目新しい点をひとつあげるとするなら、カプリコ演じる主人公がやけに親中東派である、ということ。向こうの人にも敬意を払い、親しく接し、「ここに住んでもいいかな」なんて言う。
彼みたいなアメリカ人というのはどっちかっていや少数派だと思うんですよね。実際ラッセル・クロウ演じる上司は向こうの人の命なんて屁とも思ってませんし、先に述べた『キングダム』の主人公も、ついノリで「ヤツラを皆殺しにしてやる」なんて言っちゃってましたし。

カプリコがそんな風に思うようになった理由は、はっきりと語られませんでした。恐らくそれは先の説と矛盾するようですがcoldsweats01、リドリー監督の心情が反映されているような気がいたします。
リドリンは2001年に『ブラック・ホーク・ダウン』を中東で撮影した際、現地の人々と接していて、彼らに大いに親しみを感じたそうです。が、その公開の直前、9.11事件が勃発。アメリカと中東の関係は最悪なものとなります。
リドリー氏はそれを痛んで、2005年に『キングダム・オブ・ヘブン』を制作。アラブの人も欧米の人も同じ人間であることを訴えました。それと同じテーマが、今回でも語られていたと思います。
たぶんアカプルコ演じる主人公も、現地で生活し、共に接していくうちに中東の人々の素朴で純粋な気風に魅かれるようになったんじゃないでしょうか。なんにしても実際に接してみないとわからないものです。まあわたしも向こうの人の知り合いとかいるわけじゃないので、本当にそうなのかはわかりませんけどねcoldsweats01

ジャイアントカプリコについても少し。最近神経をすり減らしたり、ウソばかりついてるような役が多い彼ですが、その演技には鬼気迫るものがあります。わたしにとってもてる男はすべて敵ですが、そうした頑張りぶりをみているとコイツは認めてやってもいいかな、という気がしました。
あと「認めてやる」(←偉そうだな)と思った理由はもう一つ。それは彼が筋金入りのオタクくんだからです。
「空港に降りた途端にライディーンとメカブトンを買っていった」とか、「コミコンにさっそうと現れてデビルマン限定フィギュアをゲットしていった」とかその手の話題には事欠かない彼。先日日本のコミック『AKIRA』と、アニメ『獣兵衛忍風帖』の制作を発表しました。『AKIRA』はともかく『獣兵衛忍風帖』って・・・ そんなマイナーな作品、オレでさえ見たことないぞ!?

090125_201545『AKIRA』に関しては「彼が主人公の金田を演じるのか?」という噂がありましたが、「自分は本当に納得のいくものが作りたいので、制作に徹して主演はしない」と明言しておりました。うん、なかなかわかってるじゃないか。

オタク同士がわかりあうように、人類すべてがわかりあえる時代が、早く来ればよいのですが。


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January 21, 2009

フレンチ・コンコン リュック・ジャケ 『きつねと私の12か月』

090121_141314久々の三日連続更新。ムダにがんばってます! 本日は現在主要諸都市で細々と公開中の『きつねと私の12か月』を紹介します。

フランスの山地に住む少女リラ(お金の単位みたいな名だ)は、あるとき学校帰りの道の途中で、一匹のきつねに会う。それ以来、リラの頭に浮かぶのはきつねのことばかり。「なんとかして仲良くなりたい」その一心で、来る日も来る日も山に通いつめるリラ。やがてその苦労が実り、きつねは次第にリラの前に姿を現すようになる。果たして少女ときつねは友達になることができるのでしょうか。

これまでに一番繰り返し見てる映画は何か、と問われたら、自分は『スターウォーズ(新たなる希望)』と『皇帝ペンギン』と答えます。なんででしょうね~ 何度見ても飽きないんですよ、これが。
そのペンギンの方の監督、リュック・ジャケの新作ということで張り切って観て来ました。『皇帝ペンギン』は完全なるドキュメンタリーでしたが、こちらは一応物語であります。ただ野山を闊歩する生き物たちは当然演技をしているわけではなく、極めて「自然体」なので、自然を巧にフィクションに組み合わせた映画、ということができるでしょう。
中にはいったいどうやって撮ったのか、思わず首をひねってしまうようなシーンもあります。公式ブログを読めばその撮影方法がいくらかわかるかな、と思ったのですが、監督の言葉は「教えてあげないよ! じゃん!」でした。ケチ!
ただ主役のきつねは、多少は人間の言うことを聞いている模様。いま一人の主役を演じるベルティーユ・ノエル=ブリュノーちゃんは、きつねと親しくなるために、赤ちゃんのころから哺乳瓶で牛乳を与えていたとか。頭がさがります。

実は少女がなんでそこまできつねに魅かれるのか、ちょっと理解しがたいところもありました。きつねってそんなに子供が好きになるような動物かな、と。ずるい、こすからい、というイメージがあるし、何よりそんなに愛らしい形をしているとも思えないし。
でもこういう感情というのは、言葉では説明できないものなのかもしれません。「とにかくすっごくかわいいこでさ、オレもうぞっこん」というから「どれほどの・・・・」と思って見てみたら、「え?」ということも世の中ではままありますし。

野山の風景や珍妙な動物たちに心安らぐ反面、時折自然の怖さが垣間見えるシーンもあります。
特に印象深かったのは次の二つ

・山猫に追いかけられるきつね・テトゥ。てっきり山猫VSきつねではきつねの方が強いのかと思ってました。それとも体格次第では、きつねが山猫を追いかけることもあるのでしょうか。

・きつねの交尾の場面。「まるで戦い」と形容されていましたが、ええ、本当に野獣のようなセックスシーンでした。っていうか、野獣なんだけど。

090121_141216起伏に富んでない話は苦手、という方もおられましょうが、都会の生活に疲れた心を癒すにはもってこいの映画です。実は見終わった直後はそれほど深い感動はなかったのですが、その後ラストのモノローグを思い起こすほどに、胸にじんわり、じんわりと来ます。

またしても予告編が見せすぎなので、これからご覧になろうかという方は、再生して20秒辺りで止めておきましょう。

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January 20, 2009

帰ってきた地獄くん ギレルモ・デル・トロ 『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』

090120_124357まずはさらっと前作のあらすじから。
第二次大戦末期、ナチスは戦局打開のために、魔界から怪物の子供を呼び出した。「ヘルボーイ」と名づけられた彼は心優しき科学者に育てられたため、いい年こいて恋にモジモジしてしまうような恥ずかしいオッサンに成長してしまう。なんとか告白に成功し、ついでに魔界の王位継承問題にもひとまずケリをつけたへルボーイ。彼にさらなる冒険が待ち受けていた・・・

いやあ、ギレルモ・デル・トロはすごいですね。『ブレイド2』『ヘルボーイ』ときて『パンズ・ラビリンス』のような作品を撮れるところがすごい。そしてまた『ヘルボーイ』に戻ってきてしまうところがさらにすごい(笑)
今回はヘルボの出自とかはあんまり関係なく、公害問題に憤ったエルフの王子様が、かつて人間を滅ぼしかけた不滅のからくり軍団を復活させようとする、というストーリー。当然ヘルボはその野望を食い止めるべく奮闘するのですが、王子から「お前は我々の側の存在なんだから味方になれよ」と言われて、ちょっと悩んじゃったりするわけです。またそれとは別に恋人のリズが抱えているある秘密も、ヘルボにプレッシャーをかけます。

本当は原作のヘルボーイは色恋のことなんかに全然興味のない、実にストイックなキャラクターでありまして。そのヘルボさんが「彼女がなんか怒っててボクどうしたらいいんだろう」なんて言ってるのには、正直違和感をぬぐえなかったりします。でも「ごつい顔してるわりにそういうところがカワイイじゃないheart04」という女性ファンもおられるようなので、まあよしとしましょう。

それにどっちにせよ、主人公の葛藤とかはあんまし印象に残りません。なぜかといえばそれはもう画面がにぎやかすぎて、お話にあまり注意が行かないからです。
とにかく背景、小道具、クリーチャーがいちいちよく作りこまれていて。ギレルモさんにせよ、ミニョーラさんにせよ、「なにもここまでやらくてもいいのに」と思ってしまうくらいです。でもやっちゃう(笑) そんな「絵描きバカ」のスピリットがビンビン感じられて、こちらもバカ面白かったです。

そしてヘルボーイの仲間たちがまた面白い。前作から引き続き登場のおっとり系半魚人エイブ。同じく前作にも出ていたヘルボの恋人リズ。ちょっと頭に来ると周囲のものを片っ端からパイロキネシスで燃やしてしまうという、危険極まりないヒロインです。
さらに本作から登場のオリジナルキャラ、ヨハン・クラウス。地球上なのにいつも宇宙服を着ているキャラクターなんですが、顔があるべき部分にはなんとただ蒸気がもわもわ漂っているだけ。本当にお前ら、どうしてこうそろいもそろってキャラ立ちまくりなんだと。
その上メイン・脇役に関係なく、誰かが画面の中でひっきりなしにネタをやっているので、まっこと油断なりません。

そんなわけで全体的にうっかりちゃっかした内容。作り手もそんなに深い意味は込めてないだろう・・・・と思いきや、監督のギレルモ氏は「『ヘルボーイ』には僕の自伝的側面がある」なんて語っていたりします。なんですとー!
あんた、やっぱり魔界の出身だったのか!
 ・・・いや、もちろんそういう意味ではなく。
一作目でのヘルボと育ての親との死別。そのシーンには97年、ギレルモ氏の父親が誘拐された時の心情が反映されているとのこと。まあ氏のお父さんは無事帰ってきたそうですけど。あれ?
そして今回のストーリーには、「自分が父になると知った際の戸惑い」をそのままヘルボに再現させているそうです。ほかにも知人が見ればすぐに「ああ、あの時のあれか」とわかるようなセリフが多くあるとか。ギレルモさん、あんたやっぱし、ちょっと変わってるよ。

えー、なんかうまく書けてないですけど、とにかくこの映画面白かったです! 少なくともこんなに絵作りの点で豪華な作品はそうないでしょう。

原作については前にちょこっと書いたことがありましたが、あれからまた新刊も幾つか出たので、新たにリスト書いておきます。

第一長編 『破滅の種子』
第二長編 『魔神覚醒』
(以上小学館プロダクションより)
第三長編 『妖祖召還』
第四長編 『人外魔境』
第五長編 『闇が来る』
(以上JIVEより)

第一短編集 『縛られた棺』
第二短編集 『滅びの右手』
(以上小学館プロダクションより)
第三短編集 『プラハの吸血鬼』
(JIVEより)

特別編 『バットマン/ヘルボーイ/スターマン』
(小学館プロダクションより)

第一、第二短編集、お呼び特別編以外は、現在すべてオンラインより入手できます。
090120_124418映画とはまた違ったシックな味わいな『ヘルボーイ』も、どうぞご覧になってみてください。
とりあえずは第一長編『破滅の種子』からどうぞ。

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January 16, 2009

ピクサーの13年間を振り返る ピクサー作品総括

090116_183005CGアニメの先駆者にして第一人者でもあるピクサー・アニメーション・スタジオ。今日はそのこれまでの歩みを振り返ってみます。といっても、もっぱらウィキぺディアで得た情報をもとに憶測を巡らしたものなんで、その辺ご了承くださいcoldsweats01

まずはピクサーがこれまでに作り上げた長編アニメのリストを。

1995年 - トイ・ストーリー (ジョン・ラセター)
1998年 - バグズ・ライフ (ジョン・ラセター)
1999年 - トイ・ストーリー2 (ジョン・ラセター)
2001年 - モンスターズ・インク (ピート・ドクター)
2003年 - ファインディング・ニモ (アンドリュー・スタントン)
2004年 - Mr.インクレディブル (ブラッド・バード)
2006年 - カーズ Cars (ジョン・ラセター)
2007年 - レミーのおいしいレストラン(ブラッド・バード)
2008年 - WALL・E/ウォーリー (アンドリュー・スタントン)

こうして見ると、ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン、そしてブラッド・バードがどうやらピクサーの三本柱であることがうかがえます。ただバード氏の『レミー』への参加はイレギュラー的なものであり、次回作もワーナーと共同の実写ものであることを考えると、ピクサーの中ではサブ的な存在なのかな、という気がします。

それに対してスタントン氏は初期五作全てに脚本、もしくは監督でからんでいますし、新作『WALL・E』でも監督を務めていますから、ピクサーにおける中心人物とみて間違いないでしょう。
ですがこのスタントン氏、いくら検索してもなかなか人となりの見えない謎の人物でもあります(笑) なんせグーグル二ページ目でここの記事が出てくるほどに、情報が少ない。わかるのはせいぜい「SFオタクである」ということくらい。関連本や英語サイト見ればもっと色々わかるんでしょうか。何かご存知の方、情報お待ちしてます。

さてリストに戻りまして、最初の三本・・・・『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』『トイ・ストーリー2』、この三本までがピクサーの「第一期」であると、わたしは考えております。
どれも監督ジョン・ラセター、脚本アンドリュー・スタントンで作られていますし、後の作品に続くおおまかな枠組みも、この三本で確立されております。またこれらの作品の成功により、「CGアニメは商売になる」ということが実証されました。

第4作『モンスターズ・インク』以降、ラセター氏は「製作総指揮」に回ることが多くなり、監督は複数の人物が入れ替わり立ち代り努めるようになります。これにより、ピクサーのラインナップはよりヴァラエティ豊かなものになっていきました。
このころから他社やディズニーご本家も積極的にCGアニメを作るようになり、ピクサーもあぐらをかいてはいられなくなるわけですが、現在までのところ、独創性、質の高さ、業績・・・・ どれをとってもやはりピクサーが一歩抜きん出ていることに異論はないでしょう。
さらに目に付く変化として、『モンスターズ・インク』までは脚本家が三人も四人もいたのですが、『Mr.インクレディブル』以降はほぼ監督が脚本を兼任するようになりました。より作家の個性が出しやすくなったのでは、と考えます。

さて、第一作からディズニー共同で作品を作り続けていたピクサーですが、2006年の『カーズ』を持っていったん契約が終了。ラセター氏は久々に自ら監督を努め、「ディズニー時代」の総決算とするつもりでいたのでしょう。
ところが両者はすっぱりお別れということにはなりませんでした。未だにどういう経緯かよくわからないのですが┐(´д`)┌ヤレヤレ ともかく2006年5月を持ってピクサーはディズニーの完全子会社となることが決定。ラセター氏がディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したことを考えると、一方的に言いなりになったわけではないとは思うんですが。

第8作『レミーのおいしいレストラン』(原題は『ラタトゥイユ』)は、こうしたごたごたの直後に作られました。おまけにこの作品は「監督が途中で降板する」というアクシデントにも見舞われたのですが、そいつをいったん仕切りなおしてあれだけのものを作り上げ、アカデミー賞まで持ってってしまうブラッド・バードの力量には、ほとほと感服するほかありません。

そしてようやく落ち着いた環境のもとで作られた最新作『WALL・E』。わたしはこれをもってピクサーの「第三期」が始まったと考えています。実写ともみまがうほどの背景には、「これまでとは違うよ~ん」という再出発への意気込みが感じられました。


話は変わりまして。
わたしのピクサーBEST5は

①Mr.オクレ ②トイ・ストーリー2 ③ニモ&ウォーリー ⑤チュウ公の多い料理店

といったところなのですが、『WALL・E』の記事でコメントいただいた方々の「一番好きな作品」を勝手に集計いたしましたら、次のような結果となりました。

3票:モンスターズ・インク
   ファインディング・ニモ

1票:トイ・ストーリー
   トイ・ストーリー2
   カーズ
   WALL・E

映画ファンの皆さんの間では、『モン・イン』と『ニモ』の評価が高いと見ていいのでしょうか。そういや『モン・イン』は松本人志も絶賛していたそうで。
その『モン・イン』監督のピート・ドクター、これ一本撮ったきりどこへ消えたのかと思っていたら(実際は短編とか製作とかやってたらしいです)、次回作『カールじいさんの空飛ぶ家』(原題は『UP』)では久々に監督を務めるそうです。
その予告編↓
http://jp.youtube.com/watch?v=I789Pr5wLUc
うしゃー これまたすんごい面白そう。ああ! もうアタシ我慢できない!ヽ(;´Д`ヽ)(ノ;´Д`)ノ
でも全米では5月公開なのに、こちらでは年末公開・・・・ このタイムラグを何とかしてください。

090116_183023さらにそのあとには唯一のシリーズ作品である『トイ・ストーリー3』も控えております。暗い時代だからこそ、ピクサーにはこれからもすばらしい夢を描き続けていってほしいものですね!

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January 14, 2009

ブタは肥えているか? ジョン・ハラス&ジョイ・バチュラー 『動物農場』

090112_124956わたしも最近知ったんですが、ジブリさんは知られざる名作アニメの発掘・紹介にも力を入れておられるみたいですね。この『動物農場』もその一本。1954年にイギリスで制作されたカラーアニメです。

舞台はとある農場。主人ジョーンズに虐げられていた家畜たちは、長老ブタ(メジャー)の遺言に従い、反乱を企てる。リーダーのスノーボール(白ブタ)の指揮の下、家畜たちは革命に成功。ここに動物たちの動物たちによる動物たちのための動物王国・・・じゃなくて動物農場が誕生する。家畜たちの将来は明るいように思えた。だが欲深いナポレオン(半黒ブタ)が支配者になるべく陰謀を企んだことにより、農場には暗雲がしのびよっていく・・・

原作は『1984年』が名高いジョージ・オーウェル。見かけこそそれなりに可愛らしい動物アニメですが、内容はかなりシビアです。具体的に言うと、内ゲバとか血の粛清とか、酷使されたあげくに処理工場行きとかshock
劇場にはジブリ関連ということでか、お子さんたちの姿もありましたが、きっとドンびきしてたと思います。

オーウェルの原作は、理想からだいぶかけ離れて、一部の者のみに富と権力が集中していたソビエト共産党への批判をこめて書かれたとのこと。
その線でいきますと
メジャー・・・・レーニン
スノーボール・・・・トロツキー
ナポレオン・・・・スターリン
ということになるんでしょうか。
ただ「ナポレオン」という名からもわかるように、このお話、フランス革命にもあてはめられるんですね。ですからソ連だけに限らず、歴史にありがちな光景を巧みに戯画化した作品ということができるでしょう。

あとアニメ版はコミュニズムを嫌っているのではなく、むしろその理想が達成されることを願っているように感じられました。 そしてそれを妨げている者たちの姿は、これ以上ないほどに醜悪に描かれております。
やっぱしいつの世もいるんですねえ。「基本的には子供向け」ということを承知の上で、自分の情念を叩きつけちゃう人が。アニメに(笑)

この作品に満ちている社会の不公正に対する怒りは、若き日の宮崎駿の心を強くとらえたようです。『未来少年コナン』などを見ていただけたらおわかりかと思いますが、この方は一時期やや左よりの思想に傾倒しておられたようです。ディズニー・手塚ではなく、東欧のアニメを主にリスペクトしていることもその表れなのかもしれません。
最近はその辺に関しては丸くなったんじゃないかな、と思っていたのですが、フライヤーを見るとなかなか過激なことをおっしゃってます。

「セレブって豚のことでしょ? 今、豚は太っていないんだよね、ジムなんかにせっせと通ってスマートだったりするから」
うっひょ~ きっつ~
でも確か宮崎さんも自画像ではご自分をブタに描いてはおられなかったか?
・・・・・・
天才ならではのニヒリズムってヤツなんでしょうか。よくわかりません。

まあ思想臭くてもいいんです。面白ければ。実際世の中には思想臭が濃くても、十分に面白い作品がたくさんあります。代表的な例で言うと・・・・ 『男組』とか?

090114_183017『動物農場』もそんな作品のひとつです。ちょいとストーリーにとストレスがたまる方もおられるでしょうけど、このアニメは実にエキサイティングでスリリングです。また映像的にもアニメならではの面白い表現がいろいろ使われておりました。かといってひろく一般にすすめられるかというと・・・ やや微妙なところなんですが。

とはいえ映像表現や古典アニメに興味のある方は、見ておいてまず損はないでしょう。『動物農場』は現在ひっそりとリヴァイバル公開中です。


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January 13, 2009

あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑰(完) 女の道はレヴォリューショナリー・ロードの巻

あつ姫 「あつ姫じゃ~ッッsign03
小松 「小松帯刀で~すsign03
西郷 「西郷隆盛にごわはんど~ッッsign03
あつ姫 「おう、みんな最後だけあって気合入ってんじゃねえか!」
西郷 「もちろんでごわす! これでようやく誰かから離れられ(グサッ) アウチ!」
あつ姫 「(ずぶずぶ突き刺しながら)んっとーにテメエは最後まで変わらんなー」
小松 「て、天璋院さま。実はお話が・・・・sweat02
あつ姫 「なんだ、言ってみろ。言っておくがこれ以上不愉快にさせんじゃねーぞ」
小松 「・・・・shock じ、実はバッキンガム宮殿もしくはベルサイユ宮殿移住の件、なかなかに難しく、未だにメドがたっていないのです・・・」
あつ姫 「ああ、あの話ならもういいよ」
小松・西郷 「ええ!! なんでまた。助かったけどcoldsweats01
あつ姫 「だって今の大河の面子見てみなさいよ! 妻夫木に小栗くんに城田優よ!? もうアタシ我慢できない。NHKにかけあって、是が非でもあっちに出してもらわなきゃ」
西郷 「おそれーながらー、天璋院さま。あちらは今から2百ウン十年前のお話でごわすよ。幕末のキャラが出るにはどうにも無理があるのでは・・・」
あつ姫 「『あずみ』だってまた幕末で仕切りなおしてるんだから、アタシが戦国に行ったっていいじゃない! 適当にご先祖様とかいうことにしてさー」
小松 「あと天璋院さまの正式な転生先はすでに決まっているのです。時は平成の『少年メリケンザック』という題目です」
あつ姫 「・・・・・納得いかねえな。タイトルからするといま流行のレトロヤンキー映画か? まあ最近はイケメンが主役やってることが多いから、出てやったっていいけどな。共演者はだれだ?」
小松 「・・・・・・佐藤浩市, 木村祐一, 田口トモロヲ, ユースケ・サンタマリア。こんなところですかね」
あつ姫 「shock ありえないsign03  何、そのクドすぎる面子sign03 アタシの・・・・アタシのイケメンはどこに行ったの? ああ・・・もうダメ・・・ あたし耐えられない・・・・」
小松 「もしもし? 天璋院さま?」
あつ姫 「wobbly(虚脱)」
西郷 「どうやら灰になってしまわれたようでごわす」
小松 「仕方ありませんね・・・・ 二人で一年を振りかえってみるとしますか。西郷さんにとっての一番の思い出は?」
西郷 「そうでごわすな・・・・ 奄美大島の台風はハンパじゃなかったでごわす」
小松 「coldsweats01 ・・・・でしょうね」
西郷 「あと何が悲しくて坊さんと心中せねばならないかと。どうしておいどんのそばにはオナゴがよってこないのかとcrying
小松 「それはお父さん譲りのそのお顔のせいではないでしょうか」
西郷 「ひどいでごわす! えなりかずゆきに言われる筋合いはないでごわす!」
小松 「ふふん。こう見えてもわたし一般ドラマでは人気ありますもんね~ ・・・・ただ『ラストフレンズ』とかぶってたときは、本当死ぬかと思いました」
西郷 「っていうかおいんどんたちもう死んでるでごわすし・・・・」
小松 「またそうやって話をややこしくするshock まあ最終回まで生きながらえられたことを感謝しましょう。そういや第一回から本当にたくさんの方を見送りびとしてきましたよね。調所亭笑左衛門さんに、バカ殿さまに、E大老に、千秋先輩に・・・・」
西郷 「どなたもこなたもイロモノばかりでごわすな。島津のナリアキさまに、水戸のナリアキラさまに・・・・」
小松 「? 島津がナリアキラさまで水戸がナリアキさまでは?」
西郷 「そうでごわしたか? まぎらわしいでごわすなあ。もうこの際両方成田アキラでよかでごわす」
小松 「やめましょうよ、そういう話は。なんかあちら・・・というかこちらか。ああややこし。悪口はよく聞こえるようにできてるみたいですから」
西郷 「・・・・・地獄耳、ちゅうことでごわすか。(トゥルルルルルmobilephone) ひいい! 待ち受けに骸骨が!」
小松 「いわんこっちゃない。ま、ほっときましょう。まあ結局一番最後に残るのは、一番しぶとい人、したたかな人ってことですよね」
西郷 「それに関しては全く同感でごわす」
あつ姫 「なんか言ったかお前らあsign03
小松 「ひいいい!!」
西郷 「ご、ご無事でごわしたかcoldsweats01
あつ姫 「当たり前田のクラッカーよ!!(古すぎ・・・) わかったぜ! 女の道は一本道! やっぱりこれからもイケメンゲットに向けて励めばいいのよ! 待ってろよ~ 水○ヒロに亀梨和○!」
090113_174314小松 「あ、あの、影ながら応援します。それではこれでおいとまを・・・」
あつ姫 「寝ぼけたこと言ってんじゃねえ! お前らは未来永劫アタシの奴隷として働く運命なんだから!」
西郷 「げえshock これでよか・・・ よか・・・・ よかねえええええsign03sign03
小松 「ずっと思ってたんですけど、この構成ってまんまドロンボー一味ですよね」
あつ姫 「それではみなさん! 一年のご愛顧ありがとうございました! 次は『少年イケメンゲッツ』でぜひお会いしましょう!」
クドカン 「タイトル変えないでーcrying
 

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January 10, 2009

大人になんかならないよ J・A・バヨナ 『永遠のこどもたち』

090110_181721『パンズ・ラビリンス』で一躍脚光を浴びたギレルモ・デル・トロが制作に回った作品。「異形を描く」デル・トロの作風とはまた違った趣がありますが、根底を流れているものは彼の過去の作品にも通じるものがありますた。『永遠のこどもたち』です。

養護施設を営むために、幼いころすごした孤児院に家族と共にやってきたラウラ。その場所で、息子のシモンは次第に奇異な振る舞いを始めるようになる。彼は「見えない友達」と遊んでいるのだと言う。子供の空想だとばかり思って取り合わなかったラウラだったが、シモンはやがて母親の前から姿を消してしまう・・・・

このお話、出だしはテンポがとてもゆった~~~りしていて、ごく普通の家族ドラマのように見えなくもありません。車のスピードでいうと時速5キロくらい。たまにはそんなドライブも悪くないかもしれませんが、「デル・トロ制作のファンタジー」を目当てにしていた者としては、「オラオラ道がつかえとるんじゃ! トロトロ走ってるんじゃねえ!」という気もちょっとしましたcoldsweats01
しかしシモンが姿を消したあたりから、お話は突然法定速度30キロオーバーくらいでぶっ飛ばし始めます。
シモンは生きているのか? 彼女の周囲に漂う、目に見えないものの気配。てがかりをつかもうと懸命に奔走するラウラ。答えを見つけたと思ったら、その先にはさらなる謎が・・・・・

こうした謎解きミステリーの面白さと、「見えないもの」の演出が二重のスリルを生み出しています。ちびるというほどでもありませんでしたが、思わず飛び上がってしまった場面が何度もありました。真相が知りたい反面、それを知るのがとてつもなく恐ろしかったり。

しかし作品を彩る最も濃い色は、こうした物語的な面白さよりも、息子をなんとか見つけ出そうする母親の愛情であります。
母子の愛情ものというとそれこそもうたーくさんのお話がありましたが、わたしが「おや?」と思ったのはラウラとシモンの間に血縁がないということ。それを知ってしまったために、シモンはラウラから距離を取るようになってしまいます。自分がどれほど母親から愛されてるのかも知らずに。
自分のおなかを痛めたわけでもないのに、どうしてあそこまで必死になるのだろう・・・ という疑問が頭をかすめないでもありませんでした。が、主演女優のべレン・ルエダさんの鬼気迫る演技は、そうした疑問をねじ伏せるだけの力がこもっていました。
それに、やはり親子の絆を決めるものは、血ではなく、共にすごした時間、そして何よりも愛情なのでしょう。昨今実の子ですら殺めてしまう親がいることを考えると、そんな風に思えてなりません。

・・・・重い話になってしまいました。話題を変えて。

ここにひとつの命題があります。すなわち「ホラーと『癒し』は両立できるか?」というもの。
「できるわきゃねーだろ」というのが大半の意見だと思います。それはまるで医者と殺し屋、消防士と放火魔、男と女を両立させるようなもの。到底不可の・・・・ あれ? それなりにできそうな気も・・・ ごほんごほんwobblydash ま、かなり難しいものと思われます。

わたしが知る限り、この命題にこたえた唯一の作品があります。それは皆さんもご存知の『シックス・センス』
あれこそはまさしくホラーとヒーリングを並び立たせ、なおかつビックリこかせるという奇跡の作品でありました。しかし(シャマランにとっても・笑)奇跡の作品であったゆえに、なかなかその系譜を継ぐタイトルが現れず、半ば孤高の作品と化してしまったきらいがありました。
で、今回のこの『永遠のこどもたち』は、まさに『シックス・センス』以来の「癒し系ホラー」の登場といえます。
(ここからややバレ)








飽くなきクエストの果てにラウラがたどり着いた場所・・・・ それはあまりにも哀しく、だけどどこか心安らぐ。この不思議な感覚は・・・・ そう、ちょうど『パンズラ』のそれとよく似ていました。

090110_182029
この映画は、あるオフ会で数名の方と一緒に鑑賞いたしました。女性陣が感動で涙ぐんでいたのに対し、男性陣は「(ポスター・タイトルに)騙された! 怖かった!!」とそっちの方で涙目になっていたのが印象的でした。
そう、男というヤツは存外臆病な生き物なのです。あまりいじめないでやってください。


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January 03, 2009

雑技団ひとり 佐藤嗣麻子  『K-20 怪人二十面相・伝』

090103_162357新年明けましての第1弾は、現在公開中の『K-20 怪人二十面相・伝』。江戸川乱歩の『怪人二十面相』を大胆に再構築した『怪人二十面相・伝』(北村想)を、さらに独自にアレンジした作品です。

そのころ帝都では、だれもが挨拶をかわすように、「怪人二十面相」という奇妙な泥棒の話をしておりました。その泥棒は変装の達人で、誰一人として素顔を見たことがありません。ある者はゴリラーマンに似てると言い、ある者は「料理の鉄人」のようだったと言います。
サーカスの曲芸師、遠藤平吉は身代わりを探すこの怪人の罠にかかり、官憲から二十面相として追われるはめになります。果たして平吉は自分の無実を晴らすことができるでしょうか・・・・・

わたしが「原作付き」の作品に望むことはただひとつ。「こだわるなら徹底的にこだわる! 壊すなら徹底的にぶっ壊す! 中途半端が一番よろしくない!」ということです。その線でいきますと北村氏の『怪人二十面相・伝』は、原作に徹底的にこだわり、なおかつ徹底的にぶっこわした奇跡の作品でありました。

で、今回の『K-20』はかなりよくぶっ壊しておりました(笑)。予想していた通り、原作とはかなりかけ離れたストーリーとなっております。オリジナルから生かされたのはサーカスとの関わりと、「二十面相は二人いた?」というアイデア。あとはそれはもう見事な『カリオストロの城』でございました。それにスパイダーマンのテイストを混ぜた感じ。
さらに途中『ALWAYS』に寄り道したりもします。この辺はアジア諸国の貧富の差に見て見ぬふりをする、日本への批判をこめたのかな・・・とも思いましたが、単に気のせいのような気もします。
そんなわけでいろんな作品からネタをひっぱってきた分、少し収まりの悪いところがありました。途中テンポがもたつくところもあるし、会話の流れもやや気になる箇所があったり。

しかしこの映画にはそうした欠点を補うだけの魅力があったと思います。まず二十面相の仮面のデザイン。既存のイメージを踏襲しつつ、それでいてはっきりと異なる新しい「二十面相」になっていました。
塀や塔の上で繰り広げられるアクロバット&ワイヤーアクションも見ていて惚れ惚れします。なんとかとネコは高いところが好き、と申しますが、やっぱわし、高いところ好きやねん!みたいな。
終盤における伏線の張り方もまずまず見事でございました。
あとぶっ壊してはありましたが、佐藤女史、正編だけでなく、続編も含めて原作を丁寧に読んでるんだな、というのがよくわかりました。原作の脇キャラや細かいエピソードが意外な形で流用されていて、原作ファンにはうれしかったです。

わたしが『K-20』 で特に魅かれたのは、平吉と二十面相の奇妙な関係。。ここから中バレします。避難はいいですか?






はい。本来平吉にとって二十面相は、いくら憎んでも飽き足りない相手のはず。ところが色々あって二人の間には奇妙なシンパシーが流れてしまいます。
終盤二十面相は平吉に「お前ならオレの片腕になれる。一緒に来い!」ともち掛けます。わたしだったらちょい迷いつつも、「ああ、わかった!」と手を握っちゃうところなんだけどな~~~

こういう激しくぶつかりあう間隙に、ちょろっと流れる連帯感、みたいなのに弱いんですわcoldsweats01

090103_162426そういえば東宝さんって昔『電送人間』とか『虹男』といったヘンテコ怪人シリーズも作ってたんですよね。今回の『K-20』はそういった一連の作品へのオマージュだったのかもしれません。二コラ・テスラの電送装置も出てきたし。
ここんとこコミックやテレビドラマの映画化にばかり力を入れている東宝さんですが、怪人や怪獣のこともどうか忘れないでほしい!と、強く願います。


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December 31, 2008

決定! 2008バカデミー賞! 幕内編

こんばんは! おスガです! 銀河系で三名もの方が注目している当ブログの映画賞、いよいよ上位発表です。ランキング圏外の作品は幕下編に書いてあります。
いっときますけどバカが選ぶからバカデミー賞なんであって、必ずしも選ばれる映画がバカというわけではありません。ちなみに過去の大賞受賞作品は

2004年 『CASSHERN』
2005年 『魁!! クロマティ高校 THE MOVIE』
2006年 『ドラえもん のび太の恐竜2006』
2007年 『アポカリプト』

・・・・つくづくバカですね

それじゃベスト33(半端だ・・・) 参りましょうか。まずは33位から21位までざざざーっと

20080810204626一応順位つけてありますけど、この辺はあまり大差ないです。明日考えたらまた入れ替わってるかも
第33位 『ハンコック』 グッジョブ!
第32位 『インクレディブル・ハルク』 スマーッシュ!!
第31位 『ウォンテッド』 ヤバウィッシュ!!
第30位 『ミラクル7号』 ナナちゃん大好き!!
第29位 『K-20 怪人二十面相・伝』(レビューは来年予定) 残念だったな、明智君!
第28位 『紀元前一万年』 マンモー!!
20080130182000第27位 『ルイスと未来泥棒』 前に進め!
第26位 『レンブラントの夜警』 暗いの怖い!!
第25位 『パコと魔法の絵本』
 ゲロゲーロ!!
第24位 『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』 君は人のために死ねるか!
第23位 『ダージリン急行』 兄弟は仲良く!
第22位 『デス・レース』 エンジンブルブル絶好調!!
第21位 『テラビシアにかける橋』 想像力は無限大!


・・・・・ハアハア。ちょいと息切れwobblydash

だがここからが本番だ!shock 続きまして20位から11位。一瞬でもマイ・ボルテージを最高潮までもっていってくれたブラボーな傑作群。
20080331192716第20位 『クローバーフィールド』 
アレが最後のアレだとは思えない! 実際続編作るそうですし・・・ 怪獣映画の新時代到来を予感させる一本。
第19位 『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』
人はなぜ絵を描くのか? なぜお話を作るのか? そんなことについて真剣に考えさせられますた
第18位 『アイアンマン』
ヒーローがオヤジで社長ってアリか!? アリだ!! 
第17位 『ノーカントリー』
第16位 『宮廷画家ゴヤは見た』
何気にハビエル・バルデム出演作品が二本続いてしまいました。彼には「2008年で最もくどかった俳優賞」を進呈いたします。(ウィル・フェレルやジャック・ブラックも捨て難いが・・・)
080908_173724第15位 『赤い風船/白い馬』 
「幻の名作」と言われた二本を抱き合わせで。上映してくれてありがとう! ジョ○ランド沼○!
第14位 『潜水服は蝶の夢を見る』
瞼しか動かすことができなくても、人は人でいられる。そんなことを教えてくれたジャン・ドミニク氏に感謝。
第13位 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
とにかくクマが良かった! 燃えた! 続編ってやっぱり流れちゃったんでしょうか・・・
第12位 『イントゥ・ザ・ワイルド』 
君の前に道はない 君のあとに道は出来る
第11位 『チェブラーシカ』
本年度リバイバル大賞。「そのうちきっといいことがある」 不況の今こそ、ゲーナの歌が必要です!


それではいよいよベスト10。実はけっこうすんなりと決まりました。
20080627182813第10位 『イースタン・プロミス』
本年度ベストヌード大賞・・・・ではなく
どうしようもなく残酷で無慈悲な世界にあって、それでも光を求めてしまう男と女の叙情詩。
第9位 『俺たちフィギュアスケーター』
・・・・とかっこよく決めたあとにこれかよ! 本年度おバカ・下ネタ大賞
こっちでは今年になってからやってたので、わたしにとっては今年の作品なんです
第8位 『スピードレーサー』
評判も売り上げもぱっとしなかったようだけど、このバカさ加減、わたしは大好きです。
クライマックスは燃えるしな~spa
081222_175441第7位 『ミスト』
本年度どん底大賞。ある意味オトナ版『漂流教室』
「感動とヒューマニズムの」フランク・ダラボンのイメージを、完全に粉砕してくれました。
第6位 『WALL・E』
本年度CGアニメ大賞。必ず期待を裏切らない、それがピクサー
ピート・ドクター久々の監督作となる『カールじいさんの空飛ぶ家』も期待しちょりもす!
第5位 『アフタースクール』
「つまらなくしてるのは学校じゃない。つまらなくしてるのはいつだって・・・」
本年度一般邦画大賞。こういう脚本に凝った邦画が、年に一作でもあればいいなあ。
20080517135611第4位 『つぐない』
本年度芸術系大賞。アカデミー賞関連でもこれがトップです。
うっかり書き走ったエロ落書きが、とんでもない悲劇へと
はっきり言ってストーリーは好きではないですけど、作品と映像の持つパワーに完全降伏いたしました
第3位 『ダークナイト』
本年度コミック原作大賞。アメコミだってここまで出来る! 
毎年三位は定番的な作品になってしまうんですよね・・・ これまでの歴代三位は『LOTR 王の帰還』『キング・コング』『硫黄島からの手紙』など
20080312163527第2位 『ジャンパー』

・・・・・やっぱりバカですね

瞬間移動の描写だけに全てを注ぎ込み、他のことはなんにも考えてない問題作
そのムチャさ加減がたまらなく好きです!
それだけに1位をくれてやりたかったんですが・・・・


そして、栄えある今年の第1位は!
080923_234459
『天元突破グレンラガン 紅蓮編』

ああ・・・ 聞こえる・・・・・

マジメな映画ファンのみなさんが津波の前の潮のように、
「ざざざざーっ」とひいていく音が・・・・wave

ですが・・・ ですが一言言わせてください。

「オレを誰だと思っていやがるッッッ!!!」

つか、今年の1位が「紅蓮編」なら、来年の1位は決まったようなもんじゃないのか?


・・・・というわけで、いつも読んでくださってる皆様、今年も本当にお世話になりました。いつまで続くかわかりませんが(それ、毎年言ってるよな)、来年もどうぞよろしくお願いします。

アディオス!


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December 30, 2008

決定! 2008バカデミー賞! 幕下編

こんばんは! おすがです!
太陽系で二名もの方が注目している「日本バカデミー賞」、いよいよ発表です。『ヤッターマン』でも同じ名前の賞が出てきたそうですが、先に思いついたのはこっちですから! あとで料金請求いたしますから!
2008年わたしがスクリーンで見た映画を、極めて不公平な審査のもと、格付けして参ります。
本日は「幕下編」と題して、惜しくも上位に届かなかった作品をあげていきます。ちなみに今年鑑賞した映画の数は約70本・・・・・ 
おかしいよ! 去年のいまごろ「来年こそ自粛する」とか言ってたのに、なんでまた増えてんだよ!
・・・・人間、あきらめが肝心ですかね。

それでは順序良くワーストから行きます・・・が、二本しかありません。今年は積極的に芸術系の映画も見たので、さらに自分の容量が広くなったのかもしれません。多少けったいであっても「こういうのもありか」と思えるようになったというか。
そんな日本海のような心をもってしてもカバー出来なかった二作品、続けて参りましょう。
20080617190932ブービー賞 『ハムナプトラ3 皇帝の失われた秘宝』
おかしいな、これ本来はわたしが好きなタイプの映画なはずなんだけど・・・・
なんかいまひとつ話の中に入っていけなかったんですよねー 自分のレビュー読むと割かしほめてあるのに(笑)

そして光栄の第一位は・・・・・『リボルバー』!! プロットをひねくり回しているうちに、監督にも話がよくわからなくなってしまったという、大問題作。あえて言います。みなさん、ぜひ見てください!!


お次は「どっちかっていや良かった」二本
(個人的に)限りなく「可も不可もなし」に近い作品です
20080302204637
『エリザベス・ゴールデンエイジ』
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
見てから半年以上経ってるということもあるせいか、特にコメントすることが思いつかない・・・・
・・・・
そういえば、二本ともなんか色々よく燃えてたspa
戸締り用心火の用心!

続きまして、「期待しすぎて期待が上滑りしてしまった」二本
20080217193900
「この人は悪くないの! 勝手に好きになったアタシがいけないの!」という作品ですね。
『L change the WorLd』
『デトロイト・メタル・シティ』
♪おーれー おーれー
マツケン サ・ン・バ!

『カムイ外伝』も期待してっから!
(やめとけゆーのに)


お次は「普通に面白かったけど、少々物足りなさも・・・・」という8本
20080531121602
「もうちょっと味付けをはっきりしてほしかったかなー」みたいな? ジャンクフードに舌が慣れちゃってるもんですから・・・
『エイリアンズVSプレデター2』
『迷子の警察音楽隊』
『ナルニア国物語第二章 カスピアン王子の角笛』
『ぜんぶ、フィデルのせい』
『崖の上のポニョ』
『20世紀少年』(第1部)
『イーグル・アイ』
『レッドクリフ PART1

変な生き物とか変な人間とか変な空気が出てる映画が並んでしまいました。そういや今年を象徴する感じは「変」だったっけ。
『20世紀少年』『レッドクリフ』は完結編まで見てから評価してあげるべきかも。


さらに行きます。「実験精神は大いに評価するけど、もう少しこっちに寄り添ってほしかったの・・・・」という三本
20080319132403
『バンテージ・ポイント』
『タクシデルミア ある剥製師の遺言』
『アクロス・ザ・ユニバース』

まあ実験というものはいつも大成功とはいかんもので
だからといって失敗を恐れてはいかんぞ! 次もまたがんばろう!


081126_193109
お次は「出来はそこそこいいけど、アタシこういうの嫌い!」という一本
『ブーリン家の姉妹』

ならびに「玉砕覚悟でいったらまあまあ楽しめた」という二本
『D-WARS』
『地球が静止する日』

福引でいうと・・・・4等くらい? 
『D-WARS』は今年の地雷賞。いい地雷に与えられます。

そして「十分楽しんだのだけれど、上位にはあと一歩お及ばず」という13本
20080125173657この「あと一歩」というのは、好みだったりインパクトだったり、「なんとなく」だったりします(シドいshock
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
『アメリカン・ギャングスター』
『ペネロピ』
『魔法にかけられて』
『フィクサー』
『幻影師、アイゼンハイム』
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
080930_213903『庭から昇ったロケット雲』
『ハプニング』
『落下の王国』
『トロピック・サンダー 地上最低の作戦』
『僕らのミライへ逆回転』
『永遠のこどもたち』

どれもその時の気分次第では、もうちょっと上に行くかもしれないタイトル(気分屋なんです)
特に『アメリカン・ギャングスター』『アイゼンハイム』『庭から昇ったロケット雲』『トロピック・サンダー』あたりは好み的にも申し分ないんだけど・・・・
『永遠のこどもたち』は年明け早々にレビュー予定(昨日見てきたんです)

「幕下編」のラストは毎年恒例の「えこひいき賞」で締めましょうか。「一本の映画としては明らかにアレなんだけど、目をつぶって賞をあげちゃうheart04」という賞です。
20080404190313『仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事』
『劇場版仮面ライダーキバ 魔界城の王』
『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』

おめでとう、平成ライダー! 前人未到の5年連続受賞達成です!
さらに今年は1シリーズで三作まとめての受賞となりました!

・・・・もうこの賞は、「平成ライダー賞」に名前を変えたほうがいいんじゃないかという気がしてきました。

残る上位の作品はキチンと順位を付けて明日発表いたします。今年もとうとうあと一日・・・・

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December 25, 2008

アイ・アム・エージェント スコット・デリクソン 『地球が静止する日』

081225_134144宇宙の誰かがふと思った
『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか…』
宇宙の誰かがふと思った
『人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるだろうか…』
誰かがふと思った
『生物(みんな)の未来を守らねば…』

そして宇宙の彼方からやってくる謎の球体。その中から現れた男は「カトウ」と名乗った

「どもども! カトちゃんです! ハ、ビバノンノー♪」

その壮絶なボケの前に総崩れとなる人類60億
だがその中にあってただ一人、みじろぎもせず立ち尽くす男がいた
そう、彼こそはカトウのかつての友であり、チョーさんの遺志を正当に受け継ぐ者
果たして彼は巨大ロボ・ジャンボマックスを倒すことが出来るのか。そして「あいーん」は地球を救うことができるのか

古典SFの名作『地球「の」静止する日』をリメイクした作品。皆さんの感想をざーっと見たところ、大抵「やや悪い」か「大変悪い」という評価で、相当の覚悟を持って鑑賞しました。そこまでしてなぜ鑑賞するのか? ここで一句

「男なら 迷わず進め 地雷原」

もう一句

「今年の地雷 今年のうちに」(←ソレ俳句ジャナイ)

そんなわけでいつどんな衝撃がくるかビクビクしながら見ていましたが
・・・・あれ? これ普通に面白いよ? なんかトクした気分! けなしてくれた皆さん、どうもありがとう!(←マジメに感謝してます)。

実はわたし、この話の原作ずいぶん前に読んだことがあります。児童向けにリライトされた「世界こどもSF全集」みたいなシリーズの一冊で。動機は単に「ロボットが出てくるから」。
この小説、最後にちょっとしたオチがあるんですけど、子供はバカなもんだからいきなり最後を読んじゃったりして(笑) だからかそのオチのことは今でも覚えてます(ちなみに今回はオミットされてました・・・)

話を映画に戻しまして。わたしが面白いと思ったのは、やはり主演の毛穴・リーブス演じる宇宙人です。なんせ宇宙人ですから、次に何をやらかすのか行動が全く読めない。そんでもってマジシャンのごとく多彩な芸でわたしたちを楽しませてくれます。
期待通り登場してくれた(!)ロボも、カトウ(正確にはクラトゥ)ほどではないにせよ色々やってくれます。このロボ、出てきた時点で絶対ひく人もいるかと思いますが、わたしはたぶんロボがなければ観にいかなかったことでしょう。

んで、お話の中盤あたりでようやくクラトゥの目的が明らかになります。これ事前に知らない方が映画を楽しめると思うんですけど、予告で思いっきりばらしてたのはひどかったなあ。・・・つか、この記事でも最初から半バレしちゃいましたけどwobbly ・・・・ごめんなさい。
このテーマ、SF好きなら中高生時代に一度は考えたことあると思うんですよね。『デビルマン』とか『寄生獣』とか読みながら、「そうだよなー 人類なんか滅んじゃえばいいよなー」って。じゃあお前は何類なんだ(笑)、ということはさておいて。忙しくしてるうちにあんまし考えなくなっちゃうもんですが、本当はいつも頭の片隅に置いてかなくちゃいけないことだと思います。

わたしがこの映画に寛容なのは、昔懐かし横山光輝マンガを彷彿させるからでもあります。電撃その他の超能力を繰り出すクラトゥはバビル二世みたいだし、シンプルすぎて手抜きかとも思えるロボはいかにも横山デザインって感じだし、そもそもコンセプトが『マーズ』と一緒だし。・・・・あ、そういえば『ジャイアントロボ』OVAの副題は「地球が静止する日」だったなあ(笑)

クライマックスでクラトゥが「人間を理解した」というくだり、確かに強引に感じられなくもないですが、E・Tやグレイのボデイではなく、人間の体・脳・感覚で下した結論ならばそれもありかと思いました。ほら、人間って感情に左右されやすくできてますし(笑)
というか、天から下って来た者が人間の体を身につけて生まれてくるって・・・ あ? もしかして「クラトゥ」って「クライスト」のもじりなのかな? だとしたらこの安直さ、まさしく50年代テイストの再現といえるでしょう。

ところで去年のこの時期も、「滅亡系古典SF」原作の『アイ・アム・レジェンド』がありましたが、これから人類が滅亡するのって毎年の恒例になっていくんでしょうか。そうすると来年は『地球幼年期の終わり』あたりかなあ。

081225_133207←代理

「炎」ではありません

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December 22, 2008

七百年の孤独 アンドリュー・スタントン 『WALL・E』

081222_175441度々申しておりますけど、わたしはピクサーが大好きです。はっきり言ってジブリより好きです。売国奴と呼んでもらってけっこう。
そのピクサーが初のSF、しかもロボが主人公の話を作ると来たら、こりゃあ燃えないわけにゃーいかんでしょうがーっ!!!
・・・・というわけでピクサー最新作『WALL・E』を紹介いたします。

人類が汚染された地球を捨てて宇宙へ旅立ってから700年。誰とていないはずの地表に、うごめくひとつの影があった。彼の名はWALL・E(ウォーリー)。全自動型ゴミ棄て用ロボット。誰かがスイッチを入れっぱなしにしていったため、七百年間ひたすらゴミを片付け続けていたのだった。
そんなウォーリーの日常が、ある日突然覆される。空のかなたから一台の新ピカのロボットがやってきたのだ。初めて見た自分以外のロボットに、ときめきを感じてしまうウォーリー。
ぎこちないながらも、そのロボット・イヴと意思を通わせ始めるウォーリー。だが彼女はかぐや姫の如く、いつかは天に帰らなければならない宿命を帯びていたのだった・・・

いくらなんでも700年も経ったらどんな高性能なロボでもぶっ壊れるだろ、などと言ってはいけません。ミライの科学力はすげえんだよ! ということでご理解してください。
上に書いたあらすじで、まだ全体の三分の一くらい。このあと波乱万丈の大冒険がゴミ棄てロボを待ち受けております。

ピクサーのナニがすごいかといえば、作品の中に、いつも何かしら斬新な要素があるということ。今回はなんと主人公二人が言葉をしゃべらない(!)。まのびした電子音で「うぉ~り~」「い~ぶ」と言うくらい。脚本家、楽でいいよなあ・・・・ と最初は思います。ですが、この形式でお話を作るのは相当大変なはず。しかもメインの客層たちはちびっ子たちで、上映時間だって五分や十分じゃなく約一時間半! ほぼ意味不明な機械音だけで現代の飽きっぽいお子さんたちを、その間ずっとひきつけておくことができるのか!?
その無理難題をかるがーるとやってのけちゃうところが、やっぱピクサーのすげえところですね。まあ後半は言語を喋る連中も色々出てくるんですけど。

つやつやしていて楕円形のイヴはIポッドを元にデザインされたということですが、最新型の携帯電話のように見えなくもありません。そしてウォーリーの方は機能の通り掃除機のようでもあり、昔なつかしの黒電話とも似ております(黒くないけど)。
そんな電話っぽい二人・・・じゃなくて二台が、言葉を話せないとはなんたる皮肉でございましょう。そのためにウォーリーはコミュニケーションを取るのに、エライ苦労をするハメになります。

ただこういう言葉に頼らない作劇法、実はかつてもあったんですね。そう、映画に音声が導入される前の、サイレント形式。きっとその時代のクリエイターたちも、必要最小限の言葉でもってできるだけ面白い話を作ろうと、懸命にアタマを悩ませたんでしょうね。
そして薄汚れた下層階級の主人公が、ドジを踏みながらもガッツでもってヒロインのハートを射止めるこのストーリー、まるでチャップリンかキートンみたいじゃないですか!
たぶんウォーリーの名前って彼が好きな映画『ハロー、ドーリー!!』から来てるんでしょうけど、もしかしたらチャップリンのファーストネーム「チャーリー」からも由来してるのかも・・・なんて思ったりして。

あとイヴにウォーリーの気持ちがようやっと伝わるくだり、ここ『キートンのカメラマン』という作品を思い出しました。
奮迅の活躍でもってヒロインを悪漢たちから助け出すキートン。しかし彼が助けを呼びにその場を離れている間に、恋敵の二枚目がやってきます。ずっと気絶していたヒロインは、彼が自分を助けてくれたものだと思い込んでしまいます。仲良く去っていく二人。ですがこのあと、実に意外な仕方でキートンの誠意が伝わるのです・・・
ツタヤかどこかで見かけたら、ぜひレンタルしてみてください。

言葉も確かに大事だけど、それ以上に大事なものがあるんでないかい? 

月並みな感想ですけど、ピコピコ言いながら七転八倒するウォーリーを見ていてそんな風に思いました。

新しいことにチャレンジすると同時に、先人たちの偉業にリスペクトすることも忘れない。いや~、ピクサーって本当にいいものですね!

ついでなんでマイ・ピクサー・ランキングでも書いてみます。

1位:MR.インクレディブル
2位:トイ・ストーリー2
3位:ファインディング・ニモ
4位:レミーのおいしいレストラン
5位:トイ・ストーリー
6位:モンスターズ・インク
7位:カーズ
8位:バグズ・ライフ

081222_182816単純に自分の好みで決めてみました。一応順序づけてありますが、上から下までの差はかなり短いです。
『WALL・E』をどこに入れるかは、現在思案中・・・

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December 21, 2008

S・A・G・A・サガ! 『仮面ライダーキバ』を語る④

081221_185603ファンガイアと戦い続けるキバ=紅渡。ある日渡は旧友の大河と再会する。予期せぬ出会いに喜ぶ渡だったが、その喜びは長くは続かなかった。大河はファンガイアの長たる「キング」だったのだ。さらに渡と大河は同じ女性を愛してしまう。二人の対決は避けられないのか。
一方過去では渡の父、音也に危機が訪れていた。ファンガイアのクイーンである真夜を愛したことで、先代のキングの怒りに触れたのだ。圧倒的な力を持つキングの前に、なすすべもない音也。彼の命運やいかに。

いよいよ最終回まであとわずかとなった平成版仮面ライダー第9作『キバ』。今回は『キバ』の自分が思うテーマについて語ります。そのテーマとは「父性」。

昭和世代やロボットものと比べて、平成ライダーで極めて希薄なのが親の存在。彼らとて人の子。木の股から生まれてきたわけではないはずです。ところがこのシリーズでは主人公たちの親に関しては、よくて詳細不明。悪くてすでに死亡。多少の差はありますが、作中で語られることはおおむねほんのわずかでした。
その「主人公の親」について初めて真っ向から語ったのが、『キバ』であります。
平成ライダーでは「副主人公」が重要な意味を持つ、ということは前にも書きました。今までの例でいうと刑事だったりライバルだったり。変り種では知り合いの少年とか、想像から生まれた怪人とか。
んでこの『キバ』における副主人公が、実は主人公の「親」であったりします。もっともこの親=音也は「現代」では消息不明(もしくは死亡?)なため、二人が共演するわけではありません(劇場版は除く)。二つの時間軸がえんえんと平行して語られるという、極めて特殊な形式がとられております。

普通「ヒーローの父」と言ったら、大抵の方は力強く頼もしい男を想像することでしょう。しかしそう一筋縄ではいかないのが平成ライダー・というか井上敏樹。
この音也という男、ちゃらんぽらんで大ぼら吹きで無礼千万な上、美女と見ればだれかれ構わず声をかける女ったらし。似たキャラというと諸星あたるとか、シティハンター冴羽僚とか。あるいは植木等など。本当にとりえといえばヴァイオリンの腕前くらいなものです。
ただそんな音也がたまーにマジメなことを言うと、すごくかっこよく見えてくるから不思議。普段はすっごくいい加減でも、大事なところはびしっと決める。そんなところが音也の魅力といえるでしょう。
そして音也の残した様々なものが、要所要所で渡くんを再起させる役目を果たしています。

主人公の渡くんは、本当によく落ち込む人間です。同じ気弱系でもシンのところはほとんど揺らがなかった野上良太郎と比べると、まことに対照的。「おっ 成長したな♪」と思ったら、次の週ではまた深く思い悩んでいたりします(笑)。
そんな渡をいつも立ち上がらせるのが、紅音也の遺産。彼が心血を注いで作った「 ブラッディ・ローズ」というヴァイオリン。渡をサポートする三匹のモンスターたち。彼を知る人の話。「人間には一人一人自分だけの音楽がある」という言葉。
そういった父親の残したものに触れることで、渡はまた戦う意思を取り戻します。
父親にとって大事なのはうわべではなく、子供にどれだけ良いもの(主にメンタルな部分で)を残せるか。そういうことじゃないのか? ・・・・そんな風に井上先生に問われているような気がします。

一方でこの父親の不在に苦しむのが、渡の兄であり親友である大牙。彼の実の父はおおよそ人間らしい感情を持たぬ怪物であり(だって人間じゃないしね)、育ての父はどこか恐怖を持って彼に接します。
そのせいか、大牙は強く「家族」を欲するようになります。その「家族」の中には渡も含まれていたのですが・・・・

081221_185851時を越えて、とうとう出会いを果たした渡と音也。彼らは果たして「キング」に打ち勝つことができるか。そして渡と大牙の間に友情はよみがえるのか。

『仮面ライダーキバ』、残りあと三回。ココロして見守っていく所存にてございます。

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December 19, 2008

塀の中の凝り性な面々2008 ポール・W・S・アンダーソン 『デス・レース』

20071207183710景気はやばくなってきたけれど、ガソリンの値段はだいぶ落ち着いてきた今日この頃。「今夜は自慢のマシンで久しぶりに峠でも攻めてみるか・・・・」
そんなあなたにオススメなのが、この映画。いまハリウッドで最も略し辛い名前のポール・W・S・アンダーソン最新作『デス・レース』デス。

「そのレースに名を連ねた者は、死ぬ」
大不況のため、犯罪が急増した近未来の米国。刑務所は囚人でオーバーヒート状態に(シャレにならん設定だ・・・)。手に負えなくなった政府は、その運営を民間企業に委ねます。企業は収益を上げるため、囚人たちに戦争まがいのレースをやらせて見世物にしておりました。それが『デス・レース』。
妨害・銃撃大歓迎。どうせドライバーは極悪人なんだし、死んだって別に問題なし(シドい・・・)。
その代わり見事レースで五回優勝したものには、晴れて無罪放免の栄誉が与えられます。法律はいったいどうなってるんでしょう? その辺がアメリカン・ドリームってヤツなんでしょうか?

無実の罪を着せられた主人公(元レーサー)は、愛する娘との平穏な暮らしを取り戻すべく、このレースに参加することを決めます。しかし彼が気をつけなければならないのは、凶暴なライバルたちだけではなかったのデスた・・・

この映画の特色はやっぱしこの「デス・レース」のけったいなルールデスね。道路上にボタンがあって、踏むと攻撃が可能になったり、煙幕が張れたり、おだてブタが飛び出てきたりします。
さらにレースがちんたらしていると、署長自ら秘密兵器を繰り出してレーサーたちにハッパをかけます。

監督のPWSA・・・もう「プゥサ」んでいいですね? は、これまでに『バイオハザード』(第一作)、『エイリアンVSプレデター』(第一作)、といった作品でヒットを飛ばした方。どちらもゲーム性と残酷風味の強いお話でありました。
今回は冒頭の描写などから「おっ 珍しく社会派テーマも盛り込むのか?」と思いましたが、そういうのは本当に最初だけでした(笑)

あと、この三作品、いずれも「一施設内で話が進んでいく」という点でも共通しております。んでその施設というのが入り口から出口までほぼトラップで埋め尽くされてまして、脱出率は約0.0000001%(さすがにおおげさか)。まあ主人公に限っては、その確率もぐーんと上がったりするんですけど。え~と、70%くらい?(差がありすぎ)。
きっとプゥサんは子供が箱庭でもこしらえるような感覚でもって、「ここはこうなっててね、ここにはこんな仕掛け作ってね」なんて無邪気に楽しみながら舞台をこしらえてるに違いありません。そういった様子を想像すると、まことに微笑ましい。ただ出来たフィルムは血飛沫ビショビショドバドバグチャグチャだったりして、「無邪気」にはほど遠かったりしますshock

ともあれ、この舞台の「徹底したいじり具合」がこの監督の特色だと思います。『バイオハ』も『AVP』(アダルトビデオ専用プレーヤーではない)も、監督を変えて続編が作られましたが、どちらもスケールが広がった(一都市)分、「仕掛けのこだわり」みたいなものは薄味になってしまいました。この『デス・レース』もやや大味な続編が作られそうな予感が・・・・ まあこの『デス・レース』自体以前作られた『デス・レース2000』という作品(未見)のリメイクなんですけど。自分で一から考えるのではなく、自分の好きな映画・ゲームを好きなように作り直す、というのもプゥサんの特色ですね。

わたしがこの映画でもひとつ好きだったのはジェイソン・ステイサム演じる主人公のキャラクター。この男、服役前はそれなりにごく普通の一般人だったと思うんですけど、ワナにはめられてからは凶暴極まりない人格に一変いたします。といって、狂犬のようにギャアギャアわめきたてるわけではなく、一度狙いを定めたら、「何があっても必ずそいつを仕留める」そんな狼のような残酷さ。「おねがいだよ~ 見逃してくれよ~」と言われても微塵も容赦しません。
その反面、愛する娘の写真にはとろけるような笑顔を見せたりします。そして「オレはいい父親になれると思う」と信じて疑わない(笑)。そんなアンバランスなところが魅力的でした。

あと強烈だったのが、黒幕である女署長のワルっぷり。わたしもわかりやすい映画色々見てますから、ちょっとやそっとのワルにはそんなに驚かなくなってますけど、この女署長には身震いさせられました。強面なおっさんではなく、美しい(トシはいってますが)キャリアウーマンだからこそ、その極悪さがひきたつのでしょうか。こんな女にズタズタのボロボロにされたいものデス。&ぜひナチのイルサさまと対決してほしいデス。
それにしても「刑務所での見世物レース」なんて、あんまりアラフォー世代の女性は興味を示さないものだと思うけど、明らかにノリノリでレースを演出してるあたり、「このヒトも変わりもんだなあ」と思わずにはいられません。

20080720195234そんな『デス・レース』デスが、公開三週目にして早くも公開縮小気味。まあこんな血みどろアクションが大ヒットしてしまったら社会的に問題だと思うので、ちょっとホッとしないでもありません。
日本もこの映画みたくなってしまったら怖いので、麻生さん、ぜひ景気対策のほうなんとかしてください!

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December 12, 2008

韓龍大決戦 シム・ヒョンレ 『D-WARS』

081212_183105本日は韓流ムービーの新たなる挑戦、『D-WARS』を紹介いたします。

むかしむかし。七つ集めるとどんな願いもかなえられる「ドラゴンボール」という宝玉があった。世界征服を企む悪の怪人キムチ書記長は、そのひとつが冬子という娘の体内に隠されていることをつきとめる。怪獣テポドンを操って冬子を襲おうとしたキムチ書記長だったが、冬子の恋人、ソナ太の捨身の行動により、その野望を阻まれたのだった。
時は流れ。LAで新しい生活を始めた冬子は、雪の降る夜、死んだソナ太とそっくりの男と遭遇する。しかし時を同じくして、キムチ将軍も世界を征服すべく、再び行動を起こしつつあった・・・

細部は異なりますが、だいたいこんな話だったかと。

わたしはバクチはしません。なぜか。むいてないからです。
家族で麻雀をやった時も、「お前はすぐ顔に出る」と、いいようにむしられておりました。あと昔パチンコにはまっていた友人がこんなことを言ってました。「何が何でも負けを取り戻そうとして、熱くなっちゃう人はやらないほうがいい。ダメな日はダメな日でさっとあきらめないと」 で、わたしはまさにその、引き際の悪いタイプだったりします。

そんなわたしがやるバクチめいたことといえば、食玩やガシャポンで目当てのものを狙うこと、そしてヤバ目な映画を観ることくらいです。

トレーラーや情報を見て、「良さそうだな」と思う反面、なんか危険な香りがする映画ってありますよね。そんで他の人のレビューを見ると、こぞって大不評だったりして。
それでも、いや、それだからこそあえて観にいく。友よ。男にはダメとわかっていても、行かなきゃいけない時があるのです。

で、結果から申しますとこの『D-WARS』、大変面白かった! ・・・・普通の意味でも、別の意味でも(笑)
どうやったらこの映画を十二分に楽しめるのか、不肖わたくしめが攻略法をお教えしましょう。

この映画主な舞台はLAなんですけど、冒頭で韓国の昔話が語られます。問題はその昔話に、なぜかスターウォーズのストームトルーパーが出てくるところ。そんで序章において語られた悲劇のカップルが、なぜかLAに転生してきたりします。普通は韓国で生まれ変わるのが筋だと思うが・・・・・
ほかにもこんな調子で、三分に一回は強烈なボケをかましてくれます。ですから元気な人はその度にすかさずつっこんでやってください(ただし、まわりの迷惑にならないように)。「そんなの面倒くせーよ」という人は、寝てていいです。ただ開始から40分くらいしたら目を覚ましてください。携帯のアラームでもセットしておいて(ただし、まわりの迷惑にならないように)。

そして全体の真ん中くらいで、この映画の最大の見せ場がやってきます。LAにどっと襲い来る怪獣軍団。一匹の巨大な怪獣が人々を襲う映画はたくさんありましたが、大小さまざまな怪獣がいっぺんに街をこわしまくる映画はなかなかなかったと思います。特にひきつけられたのが、一番のデカブツが高層ビルに襲い掛かるシーン。怪獣ファンにとっては感涙ものの映像です。
米軍もがんばってます。通例この手の映画では引き立て役になることが多い軍隊さんですが、この『D-WARS』においては『ゴジラ』の自衛隊の二割増くらいハッスルされてました。

しかしこの最大な見せ場も、実は本筋とはあんまり関係なかったりします(笑)

そんなわけで『D-WARS』、正真正銘掛け値なしの地雷ムービーであります。しかし個人的にはやけに気持ちの良い、踏み応えのある地雷でした。あなたがもし怪獣を愛しているのなら、勇気を持って思いっきり踏んでみてください。ただそうでないひとは まちがってもそばにいってはいけません。怪我します。

081212_183127あと去年『ベオウルフ』の時にも書きましたが、日本の冬は、やっぱり怪獣映画ではないでしょうか。ここのとこ海外勢にたよってばっかりですので、わが国でも気合の入った怪獣映画が復活することをココロより願います(←『ギララの逆襲』)。


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December 10, 2008

あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑯ さよなら大奥スペシャルの巻

あつ姫 「あつ姫じゃ~ッ ああいそがしいそがし」
小松  「小松帯刀です」
西郷  「西郷吉之助にごわはんど。天璋院さま、なにやらお忙しいようでごわすな」
あつ姫 「まったくだぜ。年末でただでさえあわただしいこのときに、引越ししなくちゃならなくなったんだからよー」
西郷  「はあ、なんでまた急に」
あつ姫 「(ケリfootを入れて)てめえんとこが城を明け渡せとかいうから、仕方なく準備してんじゃねえか! 覚えてろよ、西郷。この荷物運び終わったら地下の拷問部屋でたっぷりねっちょりかわいがってやるからなannoy
西郷 「shock お助けを天璋院さま~ おいどんとてやりたくてやってるのではありもはん。歴史という巨大な歯車に突き動かされてるだけなのでごわす! わかってたもんせ!」
あつ姫 「ふーん。よこしまな気持ちはこれっぽっちもないと申すか」
西郷 「当たり前でごわす! 大奥をゲットしたらまず最初は稲森いずみ殿にお相手願おうかなんて、そのようなことはぜんっぜん考えちょりもはん!happy01 えへ、えへへ。いけねヨダレ」
あつ姫 「西郷・・・ そちもつくづくわかりやすいヤツよのう。とりあえずエビ攻め・石抱き・吊るし攻めのスタンダードコースで行ってみるか」
西郷 「ひいいいいshock でもちょっとだけ楽しみheart
小松 「も~ あんまりいたぶるもんだから、そっちの道に目覚めかけてるじゃないですか~」
あつ姫 「(聞いてない)でも、そうね・・・ これも歴史の流れというものなのかしら。移り変わりの激しい世の中で、三百年の永きに渡って続いてきた徳川家。そして大奥。華は散るのがさだめなのなら、今こそが幕をひくべきときなのかしら・・・・shine
西郷 「ぽかーんcoldsweats02 どなたなのですか!? この方は」
小松 「ぼく思うんですけど300年ってちょっとサバ読んでません? 正確には264年でしょ?」
あつ姫 「まぜっかえすな! 今いいとこなんだから!angry
小松 「すすすすすいません!shock ・・・・それにしても『大奥もの』ってどうしてこんなに人気あるんでしょうねえ」
西郷 「小松さあ~ そりゃ決まってるでごわすよ~smile だって大奥ってハーレムのことでごわしょ? そこでやることっていったら・・・ ぐへへへ ぐふぐふ。ああもう! 我慢できもはん!」
あつ姫 「てめーはそれしか考えられんのか! だが、西郷の言うことにも一理ある。いつの世も庶民はセレブのスキャンダルってやつが大好きなのさ。『女性○身』『女性セ○ン』が廃れねえわけだ」
西郷 「スキャンダル・・・・ これまでなんかありもしたかのう」
小松 「上様がアホだった、とか」
あつ姫 「苦労したよな、あれにゃ」
小松 「でも本当は人並みだった、とか」
あつ姫 「そりゃスキャンダルっていうよか、『ちょっといい話』だな」
小松 「その嫁が凶状持ちだったとか」
あつ姫 「・・・・殺すぞ」
小松 「・・・・ その姑が、昔悪の組織の女幹部だった、とか」
西郷 「ああああああ! さっきから聞いてればどうでもよいネタばかりでごわす! もっとねちっこくて艶っぽい話はないのでごわすか!」
小松 「仕方ないでしょ。ここは天下のN○Kですよ? 不倫だのうっふんあっはんだの見せられるわけないでしょ? DJオズマだってあんなに怒られたじゃないですか!」
あつ姫 「だからあたしの周りからイケメンは遠ざけられ、病弱者とおばはんばかりで固められたのね・・・ こんなにも不幸な星のもとに生まれたなんて、なんてかわいそうなあたし。今度生まれ変わる時は絶対民放で生まれてきましょう・・・・weep
西郷 「『幕末ものはヒットしない』というジンクスを破って堂々の大勝利なんですから、それでいいではないでごわすか」
あつ姫 「幾ら視聴率が取れてもね、肝心のアタシがつまんなきゃ何の意味もないのよ!!impact
小松 「ところでここを出てどこへ行かれるのですか」
あつ姫 「まだ未定ね。でもどうせ出てくんだったらいまよか豪華なとこね。バッキンガム宮殿とかベルサイユ宮殿とか」
西郷 「・・・・ファッキンガム宮殿なら知っちょりもすが」
小松 「居住許可はどうやって取るんですか?」
あつ姫 「なにとぼけたこと言ってんだ! てめえらが力ずくでぶんどってくるんだろが! あたしをここから追い出すんだから、当然そのくらいはやってもらわないとね!」
小松 「ひえええええshock
西郷 「小松さあ、いまのうちの腹を切る用意をしといたほうがよかですかのう」
081210_180816
あつ姫 「なにごちゃごちゃ言ってる! とっとと行きやがれ! あ、大河ドラマ『篤姫』、次週いよいよ最終回でーす! お見逃しなくheart
SGA 「おれ、忘年会・・・・」


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December 08, 2008

俺たちゴーストバスターズ、ほか色々 ミシェル・ゴンドリー 『僕らのミライへ逆回転』

081208_184152首都圏より二ヶ月ばかり遅れて上映。軽妙で幻想的な作風で知られるミシェル・ゴンドリーの最新作。

偉大なるミュージシャン「ファッツ」の故郷パセーイク。どことなく古めかしいその街に住む若者は、みごとなまでにどなたもこなたも薄ら馬鹿ばっかり。その薄ら馬鹿の一人ジェリーは、ある夜発電所を破壊しようとして大感電。全身に磁気を帯びた「電磁波人間」と化してしまう。
彼が近づいた事により、レンタルビデオ店のテープは全て中身が消失。再生しても映るのは「砂の嵐」のみ。困った店長代理はジェリーと二人でバッタモンの作品をこしらえ、それを貸し出すことで窮地を逃れようとする。
するとなんたることか、そのバッタモンは好評に好評を呼び・・・

こうやって書いてみると、すげー強引なストーリーだということがよくわかります(笑)

作品では二つのキーワードが繰り返し出てきます。
ひとつは裏返し(反転)。店長がガラスの窓に書いたメッセージ。「昼を夜にしよう」として、加工した映像。そして・・・・ムニャムニャ。
もうひとつは「消えていくもの」。かつて街にいた偉人の記憶。取り壊される古い建物。ビデオテープ。映像そのもの、などなど。

この二つのキーワード、映画というものをよく表しているような気がします。
裏返しというのはコピー、あるいはフェイクです。ほんまもんじゃありません。
映画作品というのもよほど忠実なドキュメンタリーでもないかぎり、ほとんどはフェイクであり、嘘っぱちです。最近は「真実に基づく物語」とやらも多いですが、この「基づく」というのがけっこうクセモノだったりして(笑)。しかし時としてその偽物が本物を越える感動を呼び、人々の中で「本当」になっていきます。
また、映像というのは非常にはかないものです。網膜にぱっと映ったかと思ったら、瞬く間に過ぎ去っていく。それゆえどんな名作も、いつしかわたしたちの記憶から薄れていくもの。だからこそ、消したくない・・・ 残しておきたい。
そんなメッセージを、わたしは作品から受け取りました。

ジェリーとマイクが工夫と「ありもの」でリメイク業に精出す様子がまことに楽しい。わたしは特に超安全な落下シーンの撮影とか、微笑ましい「脳みそぶちまけ効果」に感心しました(笑)。
彼らが最初に手がけるのが『ゴーストバスターズ』『ラッシュアワー2』『ロボコップ』あたりなんですが、この辺がアメリカの一般家庭のスタンダードだと思っていいんでしょうか。単に監督の趣味ということも考えられますが。

作品の持つ上品な部分と、お下品な部分がうまくかみ合っていない気もします。ただ映画というのも深い感動を呼ぶ名作もあれば、話にするにも値しないメチャクチャくだらない作品もあるもの。ゴンドリー氏はその全てをひっくるめて愛している、ということなのかな? ・・・・例によって考えすぎでしょうかねcoldsweats01

こっから先はオチをネタバレしかかってるのでご了承ください。

081208_184210わたしのパパンの話によりますと、昔は「屋外上映」なるイベントが時々あったそうです。
神社の境内のような広い場所にスクリーンを張り、映写機を回す。
そうするとスクリーンの両面に映像が映るため、観客は両側に別れて映画を見ていたとか。
たまにはそんな風流なイベントがあってもいいかもしれませんね。寒さの増してきた今の時期は相当厳しいでしょうけど。


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December 01, 2008

爆笑三勇士 ベン・スティラー 『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』

081201_140226お茶の間のみなさま、こんばんは。映画のホットな情報をお届けするSGAシネマインフォメーションの時間です。今晩は現在東南アジアで撮影中の『トロピック・サンダー』についてご紹介しましょう。

ベトナム戦争最大の奇跡と言われた、「フォーリーフ救出作戦」。その当事者であるジョン・テイバック氏自ら書き上げたノンフィクションが、このたび待望の映画化となりました。
主人公である「フォーリーフ」ことテイバック氏を演じるのは、あのダグ・スピードマン。毎回滅亡の危機にさらされた地球を、たった一人で救うヒーロー『スコーチャー』シリーズで一世を風靡しました。代表作はほかに『リッキー』『コマンダー』『沈黙の軍艦』など。
たださすがに近年は「いつも話が同じ」「飽きた」という声が多いのもたしか。スピードマンもそのことを意識したのか、昨年の『シンプル・ジャック』で知的障害者を演じ、演技派への転向を図りました。ところが「きもい」「うざい」「素にしか見えない」とブーイングの嵐に見舞われることに。
「やはりオレにはアクションしかない」と思い直したスピードマンは、今年12年ぶりに『スコーチャー』の最新作を世に送り出しましたが、これまた評判はよろしくなく。
ラストシーンで爆炎とともに消えていったスコーチャー。生還を果たすか死にっぱなしなのかは、ぶっちゃけ『トロピック・サンダー』の成功いかんに関わっている、とのことです。

救出作戦の指揮を取るオサイラス軍曹役には、五度のオスカーに輝いたカーク・ラザラスがキャスティングされています。修道士たちの同性愛を描いた『悪魔の小路』はまだ記憶に新しいところ。そのほか『アポロ14』『チャップリン』『グッドファーザー』『タクシードランカー』などで、輝かしい出演歴を誇っています。
演技に対して異常なこだわりをもっていることはつとに有名。『ID4に生まれて』では車椅子の青年を演じるために両脚を切断しようとして、さすがに周囲から止められたとか。また感動的な抱擁シーンでリアリティを追求するあまり、ヨダレと鼻水をこすりつけてくるとのことで、共演者たちからは多数苦情が寄せられています。
このようなアート性の薄い作品のオファーを受けたことには疑問の声が上がっていましたが、本人は「これまで黒人を演じたことがなかったので」と答えています。なぜ白人の彼に黒人役が依頼されたのか、ということもこれまたよくわからないことですが、この点に関しては「プロデューサーが原作をろくに読んでいなかった」というのが真相のようです。

救出チームのメンバーの一人「ファッツ」役はジェフ・ポートノイ。二時間の間におならが二百発響き渡るという『ファッティーズ』で、良識派からは絶大なる非難を、オタクからはまあまあの賞賛を浴びました。出演作はほかに『デブ・レース』『脂肪遊戯』『屁スプレー』など。
この作品ではこれといって必要な役ではないのですが、「デブが一人いたほうがアクセントになる」ということで呼ばれた模様。野球で言えばキャッチャー、バンドで言えばドラム、ゴレンジャーで言えばキレンジャーといったところでしょうか。
さきごろポートノイは深刻なドラッグ中毒に陥っていることが明らかとなりました。現在交友のあるロバート・ダウニーJRに、どうやったら中毒を克服できるのか、アドバイスを受けているということです。

そんなわけで完成が待たれる『トロピック・サンダー』ですが、予想したとおり三人の歯車がまるでかみ合わず、撮影所は大混乱に陥っているとのこと。特にスピードマンは監督をさしおいてすぐに「カットしてくれ!」というので、スタッフからはかなり迷惑がられているそうです。彼は駆け出しのころ『太陽の帝国』でもこれをやり、「お前なんぞにフィルムをカットする権利はなーい!!」とスピルバーグから激怒されたとか。
先日も数百万ドルがかかった爆破シーンで肝心のカメラが回っていなかったという事故があり、プロデューサはカンカン。これ以上予算を要求できない監督は、作品をフェイク・ドキュメンタリー風に方向転換することを決定。ごくわずかなスタッフとキャストを引き連れてジャングルの奥地に踏み入っていったそうですが、ここ数日連絡が途絶えているとか。なんでも現地の人々によると、周辺ではゲリラじみた麻薬製造者たちがうようよしていて、とても危険な地域であるということです。

11p02このままだとお蔵入りになる可能性も十分にある『トロピック・サンダー』。無事作品が完成することを祈りましょう。
SGAシネマインフォメーションでした。

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