February 22, 2021

2021年1月に観た映画①

50日ぶりの、そして本年最初の更新です… とりあえず年明け早々に見た映画の短い感想をば。

☆『燃ゆる女の肖像』

フランス製作。お見合い肖像?を描くために孤島の邸宅に呼ばれた女流画家が、そのモデルと恋に落ちて…というお話。おフランスは英国に比べると同性愛にも比較的寛容だったと聞きますが、この題材で時代物というのがちょっとめずらしい。監督(女性)はこの映画の撮影直前まで令嬢役の方と恋人同士だったのが、発展的にお別れしたとのこと。そういう話を聞くとなんかいろいろしんみりしてしまう内容でございました。ほとんどBGMがないため、ただ2回だけ音楽が流れるシーンがことさら印象に残ります。

監督さんは私が好きなコマ撮りアニメ『僕の名前はズッキーニ』の脚本も手がけておられるのですが、さびしげなムード以外これといって共通するものが見当たらず、そういうところがかえって面白かったりします。

 

☆『新感染半島 ファイナル・ステージ』

韓国製作。「韓流ゾンビもの」という新たなジャンルを切り開いた『新感染 ファイナル・エキスプレス』の続編。韓国映画ってどんなにヒットしても続編が作られることはほとんどないので、この点がまず異例。ただまっとうな続き物というよりかは、同じ設定を利用して作ったもう一つの物語…と言った方が正しいかも。

惜しむらくは前作が色々革新的だったのに対し、こちらはベタベタ王道のパニックアクションだったため、その分新味に欠けるというか印象が薄くなってしまったこと。前半の伏線を上手に回収していくとことか、正編と同じオチにしなかったとこは良かったと思いますけど。あと監督が『AKIRA』の大ファンで今回はかなりそれを意識して作ったとのこと。わかるようなわからないような。

 

☆『キーパー ある兵士の奇跡』

イギリス・ドイツ合作。実話に基づく映画。英国の捕虜となった元ナチス兵バート・トラウトマンが、収容所近くの草サッカーで助っ人に呼ばれたことから注目を浴び、そのまま有名クラブにスカウトされることに。しかしまだ終戦直後だったため、当然彼の起用は多くの国民からブーイングを浴びることになります。そんな逆境も奥さんの愛とひたむきながんばりで乗り越えていく…という綺麗ごとで押し切るような作りかと思いきや、ちゃんと彼の犯した罪も突きつけるプロットになっていました。そんなわけで後半は見ていて凹みましたが、鑑賞後の後味は悪くなかったです。凹んだといえば「困難を夫婦の力で乗り越えた」という感じで終わってるのに、調べたら「その後別れてた」という実話映画に時々あるパターン、これもなかなか凹みます。

 

次回は『エヴァンゲリオン』旧劇場版、『ハニーランド』、『エイブのキッチンストーリー』などについて書きます。

 

 

 

 

 

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December 30, 2020

2020年、この映画がアレだ!!

今年は中盤さぼりまくった当ブログですが、なんとか恒例の映画ベストにたどり着くことができました… それでは張り切ってまいります。順序よくどん尻から。

☆ワースト

…と書いたけどワーストと言えるほどのワーストはないな。強いて言うなら『デ〇ド・ド〇ト・ダイ』とか『狂〇蔵』がちょっとアレでした。

 

☆リバイバル部門

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今年は新作供給が少ないこともあって色々リバイバル企画がございましたが、そのうちの

●『機動戦士ガンダム』3部作

●クリストファー・ノーラン祭り

に賞をあげます。

『ガンダム』は子供のころ映画館で観られなかった悔しさを解消すると共にまた新たな発見がありました。ノーラン祭りも大画面で彼の特異な才能を再認識させられました。特に『インターステラー』と『ダークナイト』は初見時より今回の方がなんか感動しちゃいましたね。

 

では続いてキリ悪く27位から11位までバババッと発表いたします。

●27位 『音楽』 古武術対古美術!

●26位 『9人の翻訳家』 あったらいいなホンヤクコンニャク!

●25位 『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』 鼻より男子!

●24位 『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』 一人でもできるアンコールワット!

●23位 『2分の1の魔法』 わけもわからずに らんまらんまで日が暮れる!?

●22位 劇場版『メイド・イン・アビス 深き魂の黎明』 人の心が無い

●21位 『ウルフウォーカー』 夜歩く!

●20位 『フォードvsフェラーリ』 上層部VS現場!

●19位 『とんかつDJアゲ太郎』 ノーライフ・ノーとんかつ!

●18位 『初恋』 で、どの辺が「初恋」だったんですかね?

●17位 『マーティン・エデン』 君も純文作家になれる!

●16位 『ソニック・ザ・ムービー』 青い稲妻がハゲを攻める!

●15位 『ある画家の数奇な運命』 事実はフィクションよりも奇なり!?

●14位 『ワンダーウーマン1984』 好きな人と64年くらい続きますように!

●13位 『エクストリーム・ジョブ』 作ってみたいカルビ風チキン!

●12位 『ミッドサマー』 日本語版主題歌はTUBEが良かった

●11位 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 今年の「タイトルは長いけど面白かった」大賞!

 

さて、いよいよトップ10の発表です。

●10位『ストレイ・ドッグ』

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いかにもハードボイルドと思わせておいて、確かにそうなんだけど、それだけでは終わらない上質のミステリー映画。普段綺麗なだけにニコール・キッドマンの痛々しさが半端ないです。

 

●9位『レ・ミゼラブル』

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本年度社会派部門大賞。そして「ラストシーンが突き刺さる」部門大賞。タイトルがアレですがユーゴー原作のあの小説とはほぼ関係ありません。ちょこっとオマージュはしてるそうですけど。

 

●8位『ドロステのはてで僕ら』

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本年度実写邦画大賞。ぶっちゃけTV画面で見ても支障ないというか、むしろTVサイズの方が臨場感高まりそうな映画なんですが、とにかく多くの人に観てほしい。これ以上は言えない。

 

●7位 『パラサイト 半地下の家族』

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ま、これは今更持ち上げるまでもないというか。本年度アカデミー作品賞受賞作。初の韓国映画受賞ということで映画史の歴史を塗り替えちゃったマイルストーン的な作品になってしまいました。来年早々には金曜ロードショーにも登場。あのシーンは大丈夫なのか!?

 

●6位 『盲目のメロディ』

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今年は脚本に唸らせられる映画に色々出会えたのですが、ベスト1となるとコレ。お話が二転三転どころじゃなく七転び八起きくらいする恐ろしさ。そういえば日本でも佐村河内さんなんて人がいたなあ…なんてことも思い出したり。

 

●5位『マロナの幻想的な物語り』

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車で1時間40分くらいかけて観に行ったのですけど、十分その甲斐があった素晴らしいアニメーション。アート的にもぶっ飛んでますがやはり心に残るのは犬という動物の健気さ。種類は違えどわたしももっと猫を大事にしようと心に固く誓うのでした。

 

●4位 『TENET』

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本年度SF大賞。やっぱり三日戻るには三日かかる、みたいな恐ろしく効率の悪いタイムトラベルを思いついたところがすごい。『ダンケルク』でそのまま文芸畑に行っちゃうのかな…とも思ったノーランがちゃんとこっちの方に戻って来てくれたのも嬉しかったですね。

 

●3位 劇場版『鬼滅の刃』無限列車編

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20年ぶりの日本映画興行記録更新、まことにおめでとうございます。そこそこ売れるだろうとは予想してましたが、まさか『千と千尋』を越えるとは夢にも思いませんでした。これ原作読んだときはそれほど泣かされたわけじゃなかったんですが、映像と音楽の力で見事に持っていかれてしまいました。これが映画の力ってやつですかね。

 

●2位『野性の呼び声』

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今年はジャック・ロンドン作品が2本も日本で映画公開されるという、長年のファンには大変嬉しい年でした。こちらは原作からはアレンジされてる部分も少々ありますが、これはこれでアリです。ロンドン世界でよく描かれる20世紀初頭のクロンダイクを映像で観られたのに本当に興奮いたしました。主人公バックの成長ぶりも痛快です。

 

そして本年度のトップ1。

●1位『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』

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昨年の原語版に続き、今年吹替版が公開された本作品。ポスターは本国版なんですけどこのデザイン好きなんであえてこっちを貼りました。昨年は4位に選びましたけど、日本語版の方が良かったというわけではなく、バージョン関係なく見れば見るほど好きになるという本当に不思議で素敵な作品です。現在まだ一部で絶賛公開中。コロナで心が沈みがちな今だからこそ多くの人に届いてほしい映画です。

 

映画館が一時完全休業してしまうという異例な年であった2020年ですが、例年と変わらずいっぱいいい映画に出会えました。早くこの状況が良くなって、心おきなく劇場に行けるようになりますように。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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December 28, 2020

2020年12月に観た映画を振り返り②

今年の感想、今年のうちに…というわけで本年度最後の振り返りです。つい先週見てきたばかりのほやほやの4作品です。

☆『ミッシング・リンク 英国紳士の秘密の相棒』

ストップモーションアニメの王者ライカスタジオ最新作。007のようなモンスターハンターのような紳士が友達の雪男とともに世界を駆け回る破天荒な物語。大人が主人公だったりホラーテイストが弱めだったり、これまでのスタイルから脱却しようと試みてる感があります。ただこの種のバディものはピクサーのお家芸ですし、最近雪男物のアニメが2本作られたこともあってインパクトはやや弱め。冒頭のあの怪物との対決や客船での大バトルとかは本当に楽しかったですけど。

結局一番すげえのはエンドロールで早送りで見せてくれるメイキング風景。『ボックストロール』でもそうでしたが恐ろしいほどの手間隙のかけっぷりに気が遠くなります。

☆『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』

原題はシンプルに「Edmond」。戯曲の最高傑作のひとつである『シラノ・ドベルジュラック』。その誕生の瞬間が作者エドモン・ロスタンの苦闘と共に描かれます。と言っても感動的に、というより『チコちゃん』の「たぶんこうだったんじゃないか劇場」的にふんだんにユーモアをまぶした作風。いい時の三谷幸喜作品のようでもありますが、三谷さんと比べると登場人物の「いい人」度が高いです。

そんなドタバタ調ではありますけど、困難を乗り越えて無事上演されるくだりにたどりつくと苦楽をともにしてきたような感動に包まれます。原典はジェラール・ドパルデュー版を観た事がありますが再観賞したくなっちゃいましたね。

☆『劇場版仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』

あ、去年も映画締めに観たのが仮面ライダーだった… 同時上映で現在放映中の『仮面ライダーセイバー』の短編もありましたがそっちはほとんどPV。『ゼロワン』では滅亡迅雷NETとの戦いに決着がついたあとの、主人公たちの新たな試練が描かれます。本編ではAIがテーマだったのに対し、劇場版ではまた別のテクノロジーがモチーフとして使われててうまいところに目をつけたな、と思いました。思い返せば『ゼロワン』ってシリーズの中でも特に現実的なお話でしたし。

あとTVシリーズは途中ややダレたこともあってそんなに思い入れが強くなかったんですが、その終盤で起きた悲劇にもう一度向き合うくだりにはちょっともらい泣きいたしました。我ながらちょろいです。

☆『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』

キアヌ・リーブス若き日の傑作が時空を越えてカムバック。過去や地獄を旅したお気楽コンビの、おっさん・子持ちになってからの新冒険がえがれます。前2作は「なんか面白いらしい」ということしか知りません。あと『レディプレイヤー1』でちょこっと引用がありましたっけ。とりあえずいきなりの3作目でも十分面白かったのですが、やっぱ予習しといた方がもっと楽しめたかなーという感は否めません。ダメオヤジたちにも優しい娘たちが健気でかわいく、高性能なはずなのにウッカリミスを連発する殺人ロボが愉快でした。にしても『バッドボーイズ』とか『ゴーストバスターズ』とか久しぶりの3作目が続きますね

よっしゃー! なんとか全部まとめきった! あとは年内ベストを決めるだけ。明日か明後日にはUPしたいところですが…

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December 15, 2020

2020年11月に観た映画を振り返る

師走もあと半分。今年のうちに振り返りきろうとがんばって更新いたします。今日は先月11月に観た映画のまとめをば。

 

☆『ある画家の数奇な運命』

『ローマ』とヴェネツィア金獅子賞を争ったドイツ映画。序盤はなかなか画家の話にならず、ナチス支配下で悲劇に見舞われたある女性の半生が描かれます。で、その女性の甥が画家になるわけですが、序盤のお話はどういう意味があったのだろう…と考えていたら思わぬところでズバーン!!とつながってきてたまげました。

まさに「数奇な運命」の物語なのですが、あまりにも偶然が過ぎるゆえにてっきりフィクションだと思い込んでいたら、これ実在の芸術家がモデルになってるそうで(ゲルハルト・リヒターさん)。まあ創作部分もいっぱい混じってるでしょうけどね… ちなみに当初協力的だったリヒターさんは完成品を観るや大激怒されたとか。

戦後まもなくのドイツの流れや前衛芸術の黎明期については良く知らなかったので、その辺は面白く勉強させてもらいました。

 

☆『異端の鳥』

こちらは『ジョーカー』と金獅子賞を争ったチェコ・スロバキア・ウクライナ映画。映画祭の上映中退出者が続出したといういわくつきの作品。

第二次大戦下の東欧のどこか。保護者である祖母を失ったユダヤ人の少年は、たった一人で戦火と虐殺が跋扈する地獄の世界をさまよい続ける。

いやあ、聞きしに勝るひどい映画でした。年端もいかぬいたいけな子供が行く先々でひたすら痛くてひどい目に遭い続ける話なので… モノクロ作品で刺激が抑えられているのがせめてもの救いです。でもきっと今も世界のあちこちでこういう惨状が繰り広げられているのでしょうね。

原作は1972年にイェジー・コシンスキーという作家が書いた小説で、作者の経験を元にして書いたのでは、なんてことが言われてます。で、作者のその後を調べるとまたなんとも切なくなります。

 

☆『とんかつDJアゲ太郎』

前の作品との落差がアレすぎる… 直前に二人の逮捕者を出しながらもなんとか公開を実現させた奇跡の作品。一発芸的なネタ映画かと思いきや、それなりにちゃんとした青春音楽ムービーとなってました。アホ丸出しの元気な若者が失敗を重ねて、仲間と恩師たちに助けられ、成長しながら周りをハッピーにしていく… そんなお話です。

特筆すべきはクライマックスにおけるクラブのグルーブ感と、揚げたてのトンカツのジューシー感。五感をフルに刺激してきます。

あと映画版『バクマン』そうでしたが、「女の子に好かれるために始めたのに、いつの間にか純粋にその魅力に取り付かれていく」という『スラムダンク』パターンにわたし弱いんです。

 

☆『ストレイ・ドッグ』

「ニコール・キッドマンが美貌をかなぐり捨てた」ということで話題を呼んだ作品。LAのはぐれ刑事エリンにはかつて潜入捜査において凶悪犯を取り逃がし、犠牲者を出してしまった苦い過去があった。十数年を経て因縁の標的が戻ってきたことを知った彼女は自分の手で決着をつけようとする。

女刑事のハードボイルドものであると同時に、よく練られたミステリーでもあったり。あまり書くとネタバレになってしまうのでやめときますが、この脚本のテクニシャンぶりにはうならされました。またびっくりするだけでなく、表題のようなヒロインの傷だらけの人生に胸がヒリヒリとさせられます。

邦題は邦題でいいと思うんですが、原題は『DESTROYER』となっております。観終った直後は「?」となりましたが今はなんとなくわかるような。

 

あとこの月は吹き替え版で全国公開となった『羅小黒戦記』を2回観ました(通常版と4DX版)。字幕版とあわせて1年の間に通算4回観たことになるわけですが、このアニメ、観れば観るほど好きになりますね。拡大公開されたことでさらに多くの人々の目にふれ絶賛されてるのが嬉しい限りです。

 

 

 

 

 

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December 11, 2020

漫画実写化邦画ベスト

人気ブログ『男の魂に火をつけろ!』 で毎年開催されてるジャンル別映画ベスト。今年は面白そうなテーマだったので2,3年ぶりに参加してみます。何かと風当たりの強い「漫画実写化邦画ベスト10」。では参ります。

 

 

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1位 『寄生獣 完結編』

原作既読。邦画監督の中でも風当たりの強さでは上位ランカーの山崎貴監督。でも自分は彼の作品、わりかし好きなものが多いんですよね… そんな山崎作品のマイベスト。10巻に及ぶ原作を上手に取捨選択し、ラストは美しく忠実に映像化。血しぶき飛び交うモンスター映画なのに、同時に底知れぬ優しさが込められていて鼻水がブシュッと噴出したのでした。

 

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2位 『キングダム』

原作既読。作品によって評価が極端に上下する佐藤信介監督。これはどっちかというと邦画の悪いところがけっこう出ちゃった例なんですが、ツボにはまる場面がいっぱいあって昨年のベスト2位にあげました。特に蓑虫みたいな橋本環奈さんが「立ってよ! 天下の大将軍になるんだろ!」と叫ぶ場面はいい意味でダメでした。

 

 

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3位 『ピンポン』

原作未読。『IWGP』『GO』に続くクドカン×クボヅカシリーズ第3弾。自分の好きな映画ってあんまり人に勧められないことが多いのですが、これは自信をもって推奨できます。若さ弾けてたころの井浦新や異様な迫力を放つ中村獅童、さらには神技「一人卓球」を披露する竹中直人など、主要人物がどなたも忘れがたい魅力を有しております。

 

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4位 『デスノート THE LAST NAME』

原作既読。このラインナップの中では最も安定したベテラン監督の金子修介氏。これまた原作を忠実・巧みにアレンジして、結末に至ってはオリジナルを超えたカタルシス・寂寥感を生み出しておりました。ヒロインは昨日結婚されたばかりの戸田恵梨香さん。心よりお祝い申し上げます。

 

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5位 『魁!! クロマティ高校 THE MOVIE』

原作既読。ギャグの実写化というのもなかなか難しいものですが、コチラはオリジナルのシュールなテイストをドタバタ風に改変し、それはそれで面白く仕上げた稀有な例。ただ同監督の『珍遊記』はものの見事に失敗してたのでやっぱりギャグの実写化はハードルが高いです。

 

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6位 『ちはやふる 上の句』

原作15巻くらいまで既読。「上の句」「下の句」「結び」とありどれも良かったですが、普通の作品ならモブになりそうな「机君」の葛藤がまぶしかった第1作が最も好みです。あと3作通じて天然なんだか計算ずくなんだかわからない、ちはやちゃんのあざとさが気になりました。

 

 

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7位 『いぬやしき』

原作既読。にもかかわらずあまり思い入れが無く、ラストに関してはイラッとしたくらいなのですが、その中でわりと気に入ってたシーンを映画では順序を入れ替えて大変いいところで使ってくれたので好感度が爆上がりしました。すいません、奥先生、こちらに限っては原作より映画の方が傑作と自信を持って言えます。

 

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8位『猫なんてよんでもこない』

原作既読。これは猫好きにはあるあるすぎてランクインさせざるを得ませんでした。主につらいシーンで。嗚咽をこらえて観ていたら後ろのおばさんが豪快に「ごぶっ」とえずいていたのが忘れられません。猫さんたちの名演技も実にお見事。

 

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9位 『アイアムアヒーロー』

原作は最終回だけ既読。佐藤信介作品3つ目でえこひいきもいいとこですね… で、今回あげた3作の中では最も完成度が高い作品かと。大泉洋氏が普段の変な人ぶりを完全封印し限りなく普通の人を演じてるのが面白い。プリンで作ったという精巧な脳みそもみどころ。

 

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10位 『進撃の巨人』

原作5巻まで既読。今回あげた10本の中で一番「へ?」といわれそうな作品。でもなんかこれ好きなんですよね… 少なくとも「個性的な作品」であることは確かかと。ただ樋口監督はやっぱり特撮に徹して、お話は別の総監督にやらせた方がいいのでは…ということがよくわかります。

 

惜しくも入らなかったのは『カイジ』『少年時代』『無限の住人』『ブリーチ』『GANTZ』『ヒメアノ~ル』など。地雷率も多いですが、映画館をにぎわせてくれるのはこういう「漫画実写化邦画」であることも確かなので、引き続きこのジャンルにも期待しております。

 

 

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December 02, 2020

2020年9月に観た映画を振り返る

そんなわけで今年もとうとう師走に突入です… 本日は9月に観た映画を振り返ってみます。この月は久々にハリウッドからのアクション大作の供給がありました。そうです。『TENET テネット』です。

時間の巻き戻し現象が起きている世界で、破滅から未来を救うべく奮闘するスパイとその組織の物語…とでも言えばいいのか。予告の時点でちんぷんかんぷんでしたが、本編を見てもなかなかよくわかりません。全体の大まかなストーリーがつかめるだけ。その後色んな解説を読んで2回目に臨むと、もう少し色々理解できるようになります。

わたしが感心したのはやはり「時間を空間のようにみなす」という思いつきそうでつかないアイデア。秘密装置を使えば過去に遡ることも可能なんですけど、3日前に戻るには同じ3日分の時間がかかるという。ドラえもんのタイムマシンに比べるとえらい不便ですが、この「手間と犠牲を伴う超科学」というのがノーラン作品の醍醐味ですね。

あと特にひかれたのは名前すら明かされない主人公の人物造形と主題。「テネット」には「主義」という意味があるそうですが、自身の利益等一切求めず目的を果たすため、また罪無き人を守るため、迷い無く戦い続ける「プロタゴニスト」にスパイというより現代のサムライの姿を見た気がしました。

7月からこの『テネット』にあわせてクリストファー・ノーラン作品のリバイバルが相次ぎました。『ダンケルク』(これのみ見逃し)、『ダークナイト』、『インセプション』、『インターステラー』… 実はわたしそんなにノーラン監督に思い入れがあった方じゃないんですけど、大作洋画が少ない時期にこうやってスクリーンをにぎわしてくれたことには大変感謝しましたし、ぐっと好感度が上がりました。また前は

『インセプション』>『ダークナイト』・『インターステラー』

だった自分の評価がこの度のリバイバルで

『ダークナイト』『インターステラー』>『インセプション』

と逆転してしまったのは意外でした。『インセプション』ももちろん大傑作なんですけどね。

 

 

この月にはもう一本洋画大作で『ミッドウェイ』がありました。

先の大戦において日本が敗北したのは物量や人員の差もありましたが、まずこの戦いで制海権を奪われてしまったから…ということがよくわかる映画。情や悲惨さを訴える映画はいっぱいありますが、この辺の理屈を描いた作品ってあまり見かけなかったので勉強になりました。

制海権を奪うにはより多く敵方の空母を沈めなきゃいけない。で、空母を沈めるには先に敵の位置をつかんで看板に爆弾を落として来なきゃいけない…という流れが上手に物語を通して説明されます。ただ人工衛星もドローン兵器もなかった時代なので、今となってはもう使われることのない戦法でありますね。

日本でのヒットも期待していたのか、旧日本軍を露骨に悪役に描かないあたり「気を使ってるなあ」というのが偲ばれました。

 

戦争関連では大林宣彦監督の遺作となってしまった。『海辺の映画館 キネマの玉手箱』もありました。舞台となる街がそれほど前面に出ていないものの、大胆でファンタジックな演出と力強い反戦メッセージは晩年発表された「戦争3部作」の第4作と言えるかもしれません。

高橋幸宏氏が短パンで宇宙船に乗ってるオープニングには目が点になりますが、その後はユーモアも交えながら戦争の悲劇がオムニバスっぽく語られていきます。監督自身遠からぬ死を予期していたのか、しばしばおっかない死神の少女が登場して不安な気持ちにさせられました。また監督お気に入りの常盤貴子さん、山崎紘菜さん、成海璃子さんといった女優陣が華やかで儚いヒロインたちを好演してました。

 

この月もう一本?観たのが『人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン』。前者は学研漫画ひみつシリーズをそのまんまアニメ化したような、「ためになる」学習マンガでした。わたしの目的は後者のロボコンの方。公開されるや否や「不条理と狂気の乱れ撃ち」的な感想が散見されてましたが、評判どおりのシュールで不可解な作品でした。旧作ののんびりしたムードはかけらもありません。ただ原作はロボコンのサービス精神が暴走して、家主家族に迷惑をかけまくるブラックユーモアの濃い漫画だったので、そういう意味では忠実な実写化と言えるかも。ひとつ不満を言わせてもらうと目当てだったのに30分しかなかったこと。変に話題になったので続編にも(あれば)期待してます。

 

 

 

 

 

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November 26, 2020

2020年8月に観た映画の振り返り

というわけでコロナも夏も真っ盛りだった8月の映画について。ハリウッドの新作供給が乏しかったから仕方ないんですけど、アニメを除けばアジア映画ばかり観てた月でした。

☆『ドロステの果てでぼくら』

とあるカフェの店長が2階の自室でくつろいでいると、突然モニターから話しかける声が。その声の主はほかならぬ店長自身で、彼は2分後の未来から語りかけてるというのだが…

いやー、この脚本には本当にうならされた。タイミングとチャンスさえあれば一昨年の『カメラを止めるな!』に匹敵するほどのブームになったと思うのですが、コロナ下であったのが不幸というほかありません。というわけでそのうち配信されたら多くの人にぜひ見てほしい一本です。ちゃんとアイデアの元ネタについて劇中で言及してるのにも好感が持てました。

 

☆『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

7月にファースト3部作を制覇した後、折りよく4DXでリバイバルされたので観てきました。これも劇場では初観賞。これ、間に『Z』『ZZ』を挟まないほうがシャアとアムロ二人に焦点が絞られてすんなりつながる気がします。

二十年ウンぶりに見返して特に印象に残ったのはシャアの老獪な政治手腕とか、主要キャラたちの超あっさりした死にっぷりなど。特にこれで死亡したことにされてる主役二人ですが、突然ぴかっと光ってそのままエンディングになってしまうのであれじゃ何がどうなったんだかよくわかりません。

前の記事にも書きましたが、これはやっぱりファーストの後の「幾つかある未来のひとつ」として考えたいなあ。ちなみに一番感動したのは最後に流れ出したTMネットワーク主題歌「BEYOND THE TIME」でした。

 

☆『イップマン 完結』

香港製。ドニー・イェン氏がハマリ役を演じた人気シリーズ、今度こその完結編。愛妻を看取ったイップ師匠に残された最後の試練はドラ息子の更正。師匠は彼に広い世界を見せるべくアメリカへ留学先を探しに行きます。

世界中どこででもチャイナタウンをこしらえてしまうたくましき中国人。でもそれにはやっぱり色々な苦労があるんだなあ…ということがわかります。本当ならイップ師匠この映画の時点で70代なんですが、「異様に若作りだった」と考えて見過ごすことにします。

特にテンションが上がったのは序盤のブルース・リー大活躍のシーン。4部作どれも面白かったですけど、自分はやはり最初の2本がお気に入りです。

 

☆『2分の1の魔法』

春から公開を待たされていたピクサー最新作がようやくお目見え。妖精たちが魔法を忘れ、科学文明の元で暮らす世界の物語。『ロード・オブ・ザ・リング』の未来の話…とも見られなくもないですが、人間だけが登場しません(絶滅したのか?)

これの予告で「父さんは二度と生き返れない!」というセリフを聞く度、「いや… 普通はいっぺんだって生き返れねーだろ」とつっこんでました。が、本編を見るとだいぶ印象が変わります。「せっかく生き返ったのに24時間限定なうえ、下半身しかない」という実に面白絶望的な設定なんですね。そんなわけでリミットが来る前に上半身も蘇らせようとする妖精兄弟の奮闘が描かれます。

あんまり期待してなかったんですけど、それも手伝ってラストの意外な決着には大変感動いたしました。慣れない魔法を少しずつ使っていくうちにだんだん上手になっていく過程も面白かったです。

 

☆『悪人伝』

韓国製。いまをときめく筋肉スター、マ・ドンソクが、犬猿の仲の悪徳刑事と手を組んで、自分を襲ったサイコキラーをふん捕まえようとする話。

普通サイコキラーというのはか弱い女子供を狙うものですが、この映画では地球最強といってもいい男をしとめようとするあたりイカレっぷりが天元突破しています。刃物をがあれば何とかなると思ったのかな?

これまた大変面白い映画でしたが、なぜか覚えてることがあんまりありません。あ、終盤の二転三転ぶりはなかなか巧みな脚本でした。

 

☆『狂武蔵』

日本製。日本で有数のアクション俳優坂口拓氏が、宮本武蔵最大の死闘である「一乗寺下り松の決闘」を映画化。武蔵が100人以上の相手をほぼワンカットでバッタバッタと切りまくるのですが、観ている内に坂口さんも観客もどんどん疲弊していきます。えー… とりあえず坂口さんお疲れ様でした! 以上。

 

次は9月に観た映画と7月から続いていた「ノーランIMAX祭り」について適当に書きます。

 

 

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November 19, 2020

2020年7月に観た映画を振り返る

本日はコロナがちょっと落ち着いたころの7月に観た映画について書き記してみます。

☆『ドクター・ドリトル』

ホームズ、アイアンマンと演じてきたロバート・ダウニーJr氏が3度目に挑んだ天才は、動物の言葉を解するドクター・ドリトル。おそらくこれまででで最も子供向けの作品かと。

謎の病に倒れた女王陛下を救うため、引きこもり気味だった先生は一念発起してゆかいな仲間たちと特効薬を探す旅に出ます。これ、普通に楽しかったんですがあんまし印象に残ってるものがありません。強いてあげるならシャアの声でゴロニャンする虎とか、一度撃たれかけてPTSD気味になってるリスくらいでしょうか。あと水槽の中だけで事件解決に貢献してたタコもよかった。

 

☆『ソニック・ザ・ムービー』

SEGAの名物キャラクター「ソニック」を『E.T.』風味で映画化した作品。トレイラーのCGの評判があまりにもひどくて急遽作り直されたという曰くつきの映画だったのですが、これが意外とツボにはまりました。まあどう見てもソニックが漫画で縫いぐるみなんですけど、「今まで寂しかったんだ」みたいないじらしい事を言ったり、仲間のために傷だらけになったりしてると中年の涙腺はそれだけでズキューンと刺激されてしまうんですね(ちょろい)。ジム・キャリー演じる悪の博士(名前忘れた)もモラルのかけらもないトニー・スタークみたいで愉快でした。

ちなみにこの翌月に観た『2分の1の魔法』でも青い顔のキャラが「やりたいことリスト」をチェックしてたんですが、流行りなんでしょうか。

 

☆『WAVES/ウエイブス』

意欲作を次々と送り出しているA24スタジオ製作。フロリダを舞台に若い兄妹の青春と苦しみを描いた作品。ポスターを見ますといかにも純愛ストーリーみたいな感じですけど、これが中々の詐欺案件でした。前半は部活や恋人との関係がうまくいかない兄のストーリーが描かれるのですが、「こうなってほしくないなあ」という方向に面白いように進んでいきます。後半はその兄の犯した罪のために自分を責める妹がメインとなって語られていきます。この主人公が途中でスイッチする構成が独特ではありますね。

予告では「新たな音楽映画の傑作誕生!」とかうたわれてたんですが、お話があまりに重苦しくてスコアが全然頭にはいってきませんでした。ともあれ「犯罪者の家族」というものについて色々考えさせられる1本。

 

☆劇場版『メイド・イン・アビス ー深き魂の黎明ー』

つくしあきひと氏のコミックを原作としたアニメ映画。これに先立つ全13話のTVシリーズがあります。巨大な縦穴「アビス」が中心となっている世界で、アビスの底へ母を追い求め秘境に挑む少女リコと、その相棒のロボットレグの冒険が描かれます。

これが滅法面白くて感動するんですけど、同時に恐ろしく残酷で、とても作り手に人の血が通ってるとはとても思えません(すいません)。まずアビスの設定がどうしたって生きて帰れない地獄そのものであり、今回リコたちが相対する敵?ボンドルドは子供たちを研究素材としか考えてない筋金入りの人非人であります。その毒牙にかかった子供たちは数知れず。唯一の長所はすごい褒め上手で、自分の目的を妨げるリコたちでさえ「素晴らしい素晴らしい」と語彙の限りを尽くして褒めまくることくらい。

今大ヒット中の『鬼滅』映画が子供に見せるべきか、ということが議論されてますが本当に見せていけないのはこっち。というかPG15指定なので小さなお子様は見られません。

ちなみに原作がまだ絶賛連載中なので劇場版も普通に途中で終わります。この先またしんどい描写が待ってるんだろうけど続きが気になって仕方ないのでした。

 

この月は先月に引き続いて『機動戦士ガンダム』の劇場版ⅡとⅢも観ました。映画館では初鑑賞。子供のころから何度も観てるアニメではありますが、観るたびに新しい発見があり、同時にノスタルジックな気分にも浸らせてくれます。

今回改めて感じたのは、この「ファーストガンダム」は偶然居合わせた若者たちが衝突したり協力したりを繰り返して「家族」になっていく話だったんだな、ということ。実は最終決戦においてほとんどのメンバーは無理してついていくことないんですけど、苦労を共にした仲間を見捨てられず激戦地まで付き合うのですよね。ご存じのようにこの後もキャラクターたちの苦労は続いていくのですが、ここで世界が平和になってアムロたちが幸せに暮らす平行世界があってもいいよな~~~と思いました。ていうか、あれ。

 

二日連続更新に成功したのでなんとか年末までにまとめ切れるかな? 次は8月に観た映画について書きます。

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November 18, 2020

2020年5・6月に観た映画を振り返る

いやあ、ブログ書くの何ヶ月ぶりだろう… なんか緊張しますね! 今年もぼちぼち終わりそうなんで今のうちに記録を残しておこうと思います。とりあえずコロナ一波から映画館が再開した5月後半と6月に観た映画から。

☆『スピリット・オブ・ジ・エア』

『ダークシティ』『キング・オブ・エジプト』などで知られる鬼才アレックス・プロヤス監督のデビュー作。荒廃した地で飛行機作りに夢中になっている発明家と、その妹。ある日そこへなぞめいた風来坊がやってきて、二人の間に波風を立て始める…というお話。予算ゆえか今の監督のような派手さは全くなく、よくいえば詩的、悪く言えばあっさりした話。ただ独特の美術センスはこのころから光るものがあり、それが評価されたからこそ今の地位があるんだろうなあ…と思います。ていうかキンエジから4年経ってるんですけど次回作はまだですかね、プロヤス

 

☆『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』

実話。19世紀から20世紀にかけて、フランスの片田舎で郵便配達をしながらコツコツコツコツ33年かけて、アンコール・ワット風の宮殿を建てた男の半生。このシュヴァルさん、奥さんが亡くなった時でさえ涙もろくにこぼさないくらい感情に乏しい人なのですが、後妻が産んだ娘にだけはメロメロになっていて幼女って最強だなあと思いました。そしてその前にこさえた長男はとっとと丁稚にやられてろくにケアもしてないのですが、この長男がまた大変出来た青年でして。普通だったらグレますよ… それはともかくフランスの田園や自然の風景、徐々に風格を増していく「理想宮」が目を楽しませてくれる1本。

 

☆『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』

音感を高めるために盲目のふりをしているピアニストのアーカーシュは、ひょんなことから殺人直後の現場に立ち入ってしまう。「死体は見てないだろう」ということで犯人から口封じされずに済んだアーカーシュだったが、事態は予想外の方向へ進んで行き…

単なるワンアイデアものかと思いきやファーストシーンからラストシーンに至るまで様々な仕掛けが張り巡らされ、ストーリーも二転三転どころでなく五転六転くらいころがっていく見事な工芸品のような映画。あんまり話題になりませんでしたが、これはもっと脚光を浴びても良かったんじゃないでしょうかねー インド映画にしては珍しくほとんど踊るシーンがないのですが、それでいてボリウッドの重要な特色である「音楽」に深い愛情を込めた作品でもあります。

 

☆『デッド・ドント・ダイ』

まったりしたアート映画で長年活躍しておられるジム・ジャームッシュが驚くべきことにゾンビものに挑んだ作品。予告を見ると滅法面白そうで、小奇麗な田舎の町並みに、人を食った風で憎めなさそうな住人たち。どっちかというとウェス・アンダーソンが撮りそうなビジュアル。そんな材料で『ゾンビランド』か『ショーン・オブ・ザ・デッド』みたいなお話をやるのかな…と思いきや半分あたり、半分はずれでした。結末を見るにやっぱジャームッシュさんはアート畑の人だなあと思いましたがああいうラスト自分は嫌いです。同じくアダム・ドライバーが出てる前作『パターソン』の方が好き。

 

6月は新作が少ないためにリバイバル作品も多く上映されていて、自分も『シビルウォー』、『パシフィック・リム』(5回目)、『ハンターキラー』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(3回目)、『機動戦士ガンダムⅠ』(映画館では初見)、『千と千尋の神隠し』など観賞したりしてました。次は7月に観た映画について書きます。っていうか続くかどうか。

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June 24, 2020

4月前半に観た映画の振り返り 『AKIRA』『新喜劇王』『レ・ミゼラブル(2019)』『ピーナッツバター・ファルコン』

それではコロナでバタバタ映画館が休業していった4月前半に観た映画を振り返ってみます。

 

☆『AKIRA』

21世紀の預言書とまで噂されている大友克洋氏の超名作アニメ(コミック)。映画も漫画も断片的にしか観てなかったので、この度ようやくきちんとした形で鑑賞いたしました。ネットなどでみんなの印象に残っているのはどちらかというとこの映画版のような気がします。

舞台や設定はやたらスケールがでかいですが、核となっているのは金田と鉄雄の関係なんだろうなあと。危険を冒して鉄雄を助けにきたのに、「お前なんかいらない」と言われた途端躊躇なく彼を殺そうとする金やん。かと思えばパニックに陥った友達が頼ってきたらすぐにまたお助けモードに切り替わるという… そんな金田君の割り切りの良さがかえって小気味良かったです。

ムードが全然異なる『天空の城ラピュタ』『天気の子』『羅小黒戦記』にも重なるところが色々あって楽しかったです。オタクはそういうリンクを見つけると勝手にウヒウヒ喜ぶのです。

 

☆『新喜劇王』

『少林サッカー』のチャウ・シンチーが自身の作品『喜劇王』をリメイクした映画。エキストラでさんざんな扱いを受けながらもいつかは大女優に…と夢見るヒロインの奮闘が描かれます。まあとにかく主人公の忍耐するパートというか我慢タイムがとっても長い。その中でシンチーお得意のギャグも色々盛り込まれるんですが、とにかく彼女がかわいそうで笑えない。シンチー作品なのでかわいそうなまま終わらないであろうことは予想つくのですが… 主演女優さんが本当に無名に近かったのにこの映画で一躍脚光を浴びたというエピソードには心温まりましたけど。

 

☆『レ・ミゼラブル(2019)』

このタイトルなのですが、ビクトル・ユーゴーの名作とは全然違うお話。では完全に無関係かというと微妙にオマージュを捧げているという… ああ! まぎわらしい! アフリカ系の住民が多く住む現代フランスの団地を舞台に、そこに赴任した刑事が「悲惨な人々」との関わりの中でキリキリ舞いするというストーリー。フランス・団地・犯罪社会という三要素は少し前の『ディーパンの戦い』を彷彿とさせます。

ネタバレになっちゃうかもしれませんが

 

 

 

 

まるでこちらに真の結末を放りつけてくるような、それでいて弾丸さながらに心を打ちぬいてくる実に衝撃的な幕切れでありました。精一杯の善意も、人種間の軋轢や皮肉な運命の前には何の力もないのだなあ…と深く打ちのめされます。それだけにズシンと心に残る映画。

 

 

☆『ピーナッツバター・ファルコン』

レスラーを夢見る障害者の青年と、おいたをやらかして故郷を飛び出してきたおっさんが、二人で南部アメリカを旅していくロードムービー。『レインマン』やマキャモンの小説『遥か南へ』なども思い出させますが、わたしが特にツボだったのは(たぶん)ミシシッピ川をゆるゆると川下りしていくというマーク・トウェイン的な世界。実際はいろいろ大変なこともあるでしょうけど、毎日ちまちまと世知辛い仕事をしている身としては二人の「冒険」がとってもまぶしく見えまして。

先の「レ・ミゼ」じゃない『レ・ミゼ』とは対照的に「嘘とも思えるような夢も、願い続ければもしかしたら…」というファンタジックなお話がコロナ疲れでまいっているハートに沁みました。

 

 

次回は映画館再開後に観た『スピリッツ・オブ・ジ・エア』『シュヴァㇽの理想宮』『盲目のメロディ』『デッド・ドント・ダイ』について書く予定です。

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