January 15, 2018

正解の車窓から アガサ・クリスティー ケネス・ブラナー 『オリエント急行殺人事件』

Oksj1_2昨年の12月はスターウォーズがあったせいか洋画大作の公開がえらく少なかったんですけど、そんな中唯一果敢に真っ向勝負を挑んだのがこの作品。アガサ・クリスティーの代表作を、名匠ケネス・ブラナーがアレンジした『オリエント急行殺人事件』、ご紹介します。

世界的名声を誇る探偵のポワロはイスラエルで見事依頼された事件を解決し、休暇のためオリエント急行に乗車する。だが名探偵の宿命か、ポワロは列車の中で殺人事件に遭遇してしまう。ほとんどの乗客にアリバイがある中、ポワロは「灰色の脳細胞」を駆使して真犯人を暴き出すべく捜査を始める。

原作は「犯人が意外な推理小説ベスト」によくあげられる作品でして、これに並ぶものがあるとすれば同じくクリスティーの『アクロイド殺し』と、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』くらいでしょうか。そんだけメジャーな作品なのでミステリーの解説書には大抵「こういう人が犯人」と堂々たるネタバレが書いてあったりして…
倒叙物は別として、犯人がわかってるミステリーほどつまらんものはありません。ので、この映画もスルーするつもりだったのですが、時間が空いたのと、一応名作のストーリーくらい知っておいた方がいいかと思って観てきました。オリエント急行からの風景を眺めて旅する気分も味わえますしね♪(ほとんど雪景色でしたが)

結論から言うと肝心なネタが割れててもけっこう楽しむことができました。理由の一つはポワロというキャラクターの面白さにあります。当代随一の名探偵でありながら、やることがいちいち子供っぽいんですよね。たとえば朝食に食べる二つのゆでたまごはぴったり同じ大きさじゃないといやだとか。ほかにも我々だったらどうでもいいと思えることにやたらこだわります。特に「左右均等」であることには。あとおいしそうなものに目がなかったり、当時の大衆娯楽であるディケンズをゲラゲラ笑いながら読んでたり。ぶっちゃけて言っちゃうとすごく古畑任三郎っぽい。この辺はブラナー監督のアレンジがけっこう入っていると思われます。
ブラナー氏のアイデアといえば、ポワロの口髭がやたらでかいのもそのひとつ。なんでも自分をユーモラスに見せることで犯罪者たちを油断させる狙いがあるんだそうです。

一発アイデアものかと思いきや、けっこう人情ものっぽかったのはなかなか意外でした。そう、あんまりこういう言い方するとよくないですけど、『オリエント急行殺人事件』ってけっこう泣けるミステリーなんです。ただそういう情状酌量の余地がある場合でも法律を貫こうとするのがポワロ。彼が融通を利かせてくれるのかどうかがこの映画の山場のひとつだったりします。

雪景色ばっかりといえども、やっぱりオリエント急行の旅を疑似体験できたのも気持ちよかったです。オシャレな車内、美形ぞろいのお客たち、レトロな時代背景… 雪の中の脱線はちょっといただけないですけど、そういう時どうやって解決するか、というのも興味深かったです。

Oksj2そんなに話題になってるようには思えなかったんですが、『オリエント急行殺人事件』はすでに世界で製作費の5倍以上を稼いでいるため、すでに第二弾にゴーサインが出ました。監督・主演のケネス・ブラナーが続投で今度は『ナイルに死す』をやるんだとか。こちらは犯人を知らないので、2,3年後になるでしょうか楽しみに待ちたいと思います。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 10, 2018

学者・医師・僧侶・神・教師・風来坊 『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』

20180110_130307以前は熱心にチェックしていたのに、微妙な作品が多くてついつい足が遠のいていた仮面ライダー映画。しかし「今度のは違う…」と聞いて半信半疑…いや、2割信8割疑でひさしぶりに観てまいりました。『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』ご紹介します(相変わらずタイトル長い…)

巨大な壁により日本が3分割された世界。仮面ライダービルドこと桐生戦兎は怪人たちが現れたと聞いて相棒の仮面ライダークローズ=万丈龍我と共に現場に向かうが、謎の男「カイザー」の力により龍我は並行世界に飛ばされてしまう。そのもうひとつの世界で、龍我は同じように多くの「仮面ライダー」たちが存在していることを知る。やがてカイザーの企みが2つの世界を融合させ、消滅させてしまうことだと暴いたライダーたちは、次元を越えて手を組み、人々を守るために悪の帝王に敢然と立ち向かう。

最近のライダー映画には前作と放送中のライダーが競演する「冬映画」と、とにかくうじゃうじゃと全員集合する「春映画」、そして現行のライダーがピンで主役を張る「夏映画」があります。
いわゆる「春映画」に不評が多いのは、ライダー各作品の世界観がないがしろにされてしまうことが多いからでしょうか。「中の人」が出てくるのは全体のうちわずかで、ほとんどは変身しっぱなし。そして前の「彼ら」だったらやらないようなことを普通にやらかす。要するにガワは同じだけど中身は別人ぽいライダーが大量にうろちょろしてるだけのように見えてしまうのです。オタ…ファンはそういうところに厳しいのです。

ただこれには仕方ない事情もあります。いまや若手俳優の登竜門と化している東映特撮ですが、番組終了後中の人がブレイクしてしまうとギャラが高騰して(あるいは事務所の思惑で…)、「ライダー」として呼べなくなってしまうからです。佐藤健しかり、菅田将輝しかり。去年までは出られた竹内涼真君も今年は出られなくなったりとか。
しかし今回は大枚をはたいたのか、なんと久方ぶりに躍進著しい福士蒼汰君を「フォーゼ」として呼び戻すことに成功しました。他のライダー…オ―ズ、鎧武、ゴースト、エグゼイドらもみな放映時と同じキャストを集めております。オタ…ファンはこういうのに弱いのです。それは彼らの演告知のツイートが、東映映画公式Twitterアカウントの史上最高となる1日で5万リツイートと5万いいねを記録したり、ライダー映画としては何年かぶりかの週末1位を記録したことにも表れています。そしてさらに嬉しいのは、この映画が各シリーズのちゃんとした「後日談」になっているところ。

特に力を注がれていたと思しきは平成12作目となる『仮面ライダーオ―ズ』。主人公の映児のみならず、消滅したはずの相棒・アンクまで登場させてくれました。そしてこのアンク復活のくだりがなかなかよく考えられていたり、7年経った今でもコンビが全然変わっていないところに泣かされました。まあ全体からすれば彼らの登場場面は決して多いわけではないんですけど、それでもわたしにとってこの映画はウン年越しの『オ―ズ』の正統的な続編でありました。

各ライダーの主題歌が代わる代わる流れるエンディングがまたよかった。ろくろく観てない作品もあったけど(笑)、脳裏でここ数年の彼らの活躍がバーッとフラッシュバックしていくようでした。例によってストーリーは荒削りで強引なところもありましたが、そこは大事なところではないからいいのです。やればできるじゃないですか! 東映さん!!

さて、こんだけいいものを作ったあとで、問題の「春映画」はどうするのだろう…と思っていたら、今年はぐっと方針を変えてネット配信だった作品『仮面ライダーアマゾンズ』の劇場版をやるのだそうです。気になったので今更シーズン1をレンタルで鑑賞してみたら、これまた『寄生獣』の系譜につらなる大変な力作でした。劇場版の公開前に項を改めて感想を書くつもりでおります。
20180110_130212陛下も退位されることが決まり、「平成」ライダーたちの時代もそろそろファイナルを迎えつつあります。まあ元号が代わり、休止期間が訪れることがあっても仮面ライダーはこれからも戦い続けるのでしょう。ひきつづき応援してまいります。


| | Comments (2) | TrackBack (1)

January 09, 2018

ゼロから始めりゃいいじゃない 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』

Cdg11少し前「外伝」の『亡国のアキト』が完結し、『コードギアス』もこれで収束かな…と思っていたら間を置かずに本編が帰ってまいりました。旧TVシリーズを劇場版に再編集した三部作の第一部『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』、ご紹介します。

大国ブリタニアが世界を牛耳っているもうひとつの「現代」。まだ幼いブリタニアの王子ルルーシュは目と足が不自由な妹と共に政治取引の材料として日本へ送られ、そこで首相の息子枢木スザクと友情を育む。
しかし穏やかな日々は長くは続かず、ブリタニアは日本に侵攻し力ずくで自国の領土としてしまう。自分の存在をないがしろにされたルルーシュは父とブリタニアへの復讐を誓う。
それから数年後、一介の学生として身分を隠しながら暮らしていたルルーシュは、偶然軍が極秘に護送していた謎の少女C.C.に出会う。そして成り行きから彼女と「契約」を交わしてたルルーシュは、悪魔の力「ギアス」を手に入れたのだった…

『コードギアス』第1期放映開始からはや11年と少し(もうそんなに経つのかよ…)。ここでもちょくちょく感想書いてましたけど、当時はそりゃあ夢中になって毎週観てたものでした。
今回は総集編ということで観ようかどうか迷っていたのですが、映画館の予告で主題歌の『COLORS』が鳴り響いたら懐かしさがどーっつ押し寄せてきて、結局鑑賞することにしました。
で、改めて思いましたけど、やっぱ面白いですわ、このアニメ。伝奇物語として、架空歴史ものとして、超能力SFとしてよく出来てる。そしておまけにオシャレなロボットまで大活躍するんですけど、実はこれ、ロボット出なくてもストーリーにほとんど支障ない気が… でもやっぱりロボがいた方が画面が華やかになりますしね! 出すことに決めた製作陣に大いに賛同いたします。

あともうひとつ感心したのは見事な編集ぶり。この込み入った全50話の物語を3作の映画にまとめるのってすごく大変なことじゃ…と思っていたのですが、非常に自然に「はしょった」感もなく、約1/3にあたる17話くらいまで一気にまとめあげておりました。同じくギアス保持者であるマオとの戦いのくだりはばっさりカットされましたが、あそこはどちらかといえば脇筋で、なくても特に問題ありませんし。あと総集編でありながら、これをいきなり観た人でもちゃんと話が、面白さがわかるようになっていたのも偉かったです。

話は変わりますが、ちょうどいまネットフリックスで『デビルマン』の新作『crybaby』が配信中。これの脚本が『コードギアス』と同じ大河内一楼氏なのですね。大河内氏は『革命機ヴァルヴレイヴ』でも人情家タイプと冷徹な天才タイプの友情とぶつかり合いを描いておりましたが、もしかしたらその源流は『デビルマン』にあったのかなあ…と憶測しております。

2017best12はやくも来月には第2部『叛道』が、5月には第3部『皇道』が予定されている劇場版『反逆のルルーシュ』(うちの方は少々遅れて公開される可能性が大ですが)。次はストーリー中最大の悲劇が訪れるあのくだりをやるのだろうなあ…と思うとちょっと気が重いです。観ますけどね。
そして全3作が完結したそのあとは、TVシリーズのその後が作られるという… いったいどうやって?と首をひねらずにはいられませんが、しばらくはこれまでのルルーシュ君の歩みをもう一度見守っていこうと思います。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

January 08, 2018

チェコっとだけストレンジャー カレル・ゼマン 『ほら男爵の冒険』

Hdb1_2ようやく2018年最初の更新です… もう一か月前になりますが、久方ぶりのユジク阿佐ヶ谷で気になったるーい映画がかかっていたので観てまいりました。『ほら男爵の冒険』(1961、チェコ)ご紹介します。

時は多分20世紀半ば過ぎ。月へとたどり着いた宇宙飛行士は小じゃれたなりをした先客たちと出会う。「ほら男爵」と仲間たちである。ほら男爵は飛行士を天駆ける帆船にのせ、ともに地球へ帰還する。二人は中東、大海原、戦争中の城砦と、様々な場所へ冒険を続ける。

ついさっき調べたばかりなのですが、ほら男爵=ミュンヒハウゼン男爵は実在の人物なんだそうで。サロンでけったいなほら話をしてはみんなを楽しませていたので、そんな異名がついたのですね。彼の死後そのほら話に各地のいろんな民話がまざり、今でいう「ほら男爵の冒険」が出版されました。そのバリエーションは軽く100を越えるとか。
わたしがこの物語に最初に触れたのは星新一氏によるパロディ『ほら吹き男爵 現代の冒険』でありました。その後TVでテリー・ギリアムの『バロン』を観て大いにはまったりもしました。今回阿佐ヶ谷まで出向いたのもギリアム版みたいなのが観られれば…と思ったからです。

ちなみにこの映画、「ブルデチュカ映画祭」なるイベントで上映されておりました。イジー・ブルデチュカはチェコの脚本家でアニメ、西部劇など多彩なジャンルにわたって活躍されたそうで。そのブルデチュカさんが映像作家カレル・ゼマンと組んだのがこの1961年版の『ほら男爵の冒険』です。ウィキを見ますとゼマンさんは「特撮映画監督」と紹介されてますが、その技法は極めて独特です。わたしたちが思い浮かべる特撮とはかなり違う。主に人間は実物を使っているのですが、背景はセットだったり、緻密な精密がだったり、アニメだったり。文章で書いてもわかりにくいのでこちらの紹介動画を見た方がはやいと思います。CGが生まれる以前、こんな自由奔放で様式美溢れる「特撮映画」があったとはまことに驚きです。

ちなみにこの映画が出来た1961年はガガーリン氏が世界初の有人宇宙飛行に成功した年で、その8年後にアポロ11号が月に降り立ちます。人々の目が宇宙に向いていた時代だったんでしょうね。宇宙飛行士がちゃんとフード付きのヘルメットをかぶっている一方で、ほら男爵と仲間たちは月面で普段通りのファッションを貫いているあたりはなかなか人を食っております。

日本のみならず海外でもアニメと実写は完全に分けて作られることが多いですが、このカレル・ゼマンや他のチェコアニメの作家はその辺にはこだわらず、実写とアニメをシャッフルした奇天烈な映像世界を作りあげています。本当に変わっていますね、チェコのクリエイターは… でもそこが面白い。ゼマン氏が手掛けたというウェルズ原作の他の作品も観たくなりました。

Hdb2この『ほら男爵の冒険』は今では『悪魔の発明』と抱き合わせになったブルーレイが最も手に入りやすい様子。お値段は約7000円とちょっと張りますが興味ある方はどうぞ!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 30, 2017

2017年、この映画がアレだ!!

いよいよ2017年もきょうを入れてあと2日。毎年恒例の年間ベスト参りますか~!

ではリバイバル部門からいきます。
2017best6☆リバイバル賞 『クーリンチェ少年殺人事件』
エドワード・ヤン伝説の作品。4時間に及ぶ超大作でしたがあっというま…というわけではなくさすがにそれなりに長かったです。でも苦労して鑑賞してよかったと思える作品でした。
リバイバル系ではほかにユーリ・ノルシュテイン特集上映、『マッドマックス 怒りのデスロード ブラック&クローム・エディション』、『ほら男爵の冒険』(来年レビュー予定)などを観ました。

つづきましてワースト…
2017best5ワースト3位 ハードコア
ワースト2位 虐殺器官
この2本はいいとこもありましたが、全体的に肉味噌描写がくどくて悪酔いいたしました。連日続けて観たのもよくなかったです。
そしてワースト1位 哭声/コクソン
これも大変力作であることは認めてますが、あまりにもお父さんがかわいそうすぎて辛うございました… ひどいよクニムラさん!!

ではようやく本番。今年観た82本の新作の中から上位40作をランク付けしてみました。40位から11位まで一気に参ります。
2017best940位 フィッシュマンの涙 ギョギョッ!!
39位 DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団 島根よいとこ一度はおいで!
38位 オリエント急行殺人事件(来年レビュー予定) 世界の車窓から!
37位 仮面ライダー平成ジェネレーションFINAL(来年レビュー予定) 宇宙も地球もキターツ!!
36位 ジャスティス・リーグ  COME TOGETHER!!
35位 ワンダーウーマン ♪デデデデデデデデデデデーン!
2017best1234位 ブレンダンとケルズの秘密 ♪バンガボンボンバン~ガボン~
33位 コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道(来年レビュー予定) 王の力はお前を孤独にする…
32位 人魚姫 ♪ガンガンガンガン! 若い命が真っ赤に燃え~て~
31位 マイティ・ソー/バトルロイヤル ♪あああ~ アッ!
30位 ビニー 信じる男 鷹村さん、強いってなんですか!?
29位 マンチェスター・バイ・ザ・シー マンチェスターだけどアメリカです!
2017best428位 ムーンライト 今夜もいい夢見ろよ!
27位 バーフバリ 『伝説誕生』『王の凱旋』とありますが後編のレビューは来年で!
26位 ドクターストレンジ 世にも奇妙なお医者さん!
25位 KUBO/クボ 二本の弦の秘密 坊やよい子だねんねしな!
24位 ベイビー・ドライバー かわいいベイビー! ハイハイ!
23位 キングコング/髑髏島の巨神 「髑髏」って書くのむずかしいよね!
2017best222位 LOGAN/ローガン おつかれヒュー・ジャックマン!
21位 ボブという名の猫 幸せのハイタッチ ああ… おれも猫が… 肉球がほしいいいい!!
20位 ラ・ラ・ランド 惜しかったねアカデミー作品賞!
19位 ダンケルク Afternoon!
18位 パターソン ぼくらはみんなポエマー!
17位 ソーセージ・パーティー ち○ち○ぶらぶらソーセージ!
2017best116位 ゲット・アウト アウト! セーフ! よよいの…
15位 ヒトラーの忘れもの 地雷とゴミはお持ち帰りを!
14位 SING Sing~ Sing a song~ Sing out loud~ Sing out strong~
13位 IT/イット それが見えたら終わり 「終わり」と言いながら始まりの話!
12位 新感染 ファイナル・エクスプレス 走らないかん釜山まで!
11位 ナイスガイズ! 『バッドガイズ!』もお忘れなく!(観てないけど!)

というわけでいよいよベスト10です。
2017best710位 T2 トレインスポッティング あれから20年… 君たちはまだまだ走り続けているのかい? もう年だし心臓発作には気をつけようぜ!
9位 レゴバットマン・ザ・ムービー いい映画は黒で始まり、白で終わる。今年4本もあったDC関連映画で最もツボだったのはこれでした。
8位 ブレードランナー2049 各方面から高い評価を得たにも関わらず製作費がかさみすぎたために「こけた」と言われてしまった悲劇の作品。でも断言します。この映画は本家とともに30年後も残る…!
2017best87位 カーズ クロスロード トレスポ2と並んで40代のハートとボディに沁みる一本。俺も走り続けよう… 一週間に一回くらいは
6位 スターウォーズ 最後のジェダイ 最後やらファイナルやら今年いっぱいあった「最後」映画の中で、もっとも「終わる終わる詐欺」だった一本。ていうかエピソード9もあるしね…
5位 猿の惑星 聖戦記 「まあまあがんばってるよね」という印象だったマット・リーブス。この映画で評価を改めました。ごめんなさい! 本当にごめんなさい! バットマン新作も期待してます!
2017best34位 レゴニンジャゴー・ザ・ムービー 本年度アニメ大賞。大傑作でもあるにも関わらずほぼまったく話題にならなかった不遇の作品。でも僕は忘れない… 今後息ある限り応援し推薦しつづけます!
3位 マグニフィセント・セブン 大抵年初めにやった映画というのは印象が薄くなりがちなものですが、この作品のことは年末の今でも脳裏にギラギラと輝いております。カウボーイ道とは死ぬこととみつけたり。
2位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス 踊って笑って歌って泣かせる、本年度最高のエンターテインメントの1本。アベンジャーズ・インフィニティウォーでの活躍が今から待ちきれねえっす!
そして栄えある1位は…
5d5c5246スパイダーマン ホームカミングであります。
個人的にはこれまでのスパイダーマン映画の最高傑作。一人の少年の頑張りが暗黒時代にあったアベンジャーズの夜明けをもたらし、そして宇宙を統べる魔王との決戦にMCUは突入していくのです。おかげでまだまだ数年は映画のために生きていけそう

推定で銀河系で4名くらいの当ブログの読者の皆様、本年もどうもありがとうございました。来年もたぶん惰性でずるずると続いていくと思います。どうぞごひいきに。

| | Comments (18) | TrackBack (8)

December 26, 2017

続・新・惑星大戦争 ライアン・ジョンソン 『スターウォーズ 最後のジェダイ』

Sw81ここ3年、年末の恒例行事と化している『スターウォーズ』。今年もやってまいりました。新世代と旧世代の交錯を描く「続3部作」の第2弾。『最後のジェダイ』、紹介いたします。直接の前作となる『フォースの覚醒』の記事はこちら

巨大兵器スターキラーを破壊したはいいものの、結果ファーストオーダーからの猛追を受けることになったレイア率いるレジスタンス。圧倒的な戦力差により彼らは次々と艦を沈められていき、全滅も時間の問題かと思われた。レジスタンスの火の玉パイロット、ポー・ダメロンは昏睡から目覚めた戦友フィンと語らって一発逆転の奇計を練る。
一方彼らと離れて伝説の英雄ルーク・スカイウォ―カ―を探していた新世代のフォースの使い手・レイはついにその人と相対する。だがルークはレジスタンスに協力してほしいという彼女の願いをあっさりはねのける。どうしたものか考えあぐねていたレイの意識に、ある意外な人物の思念が飛んできた。

時代を越えた人気作ゆえ、ファンの数も膨大なスターウォーズ。それだけにその面倒くささも群を抜いています。まさにファンの数だけ理想のスターウォーズがあるというか。彼らすべてを納得させる作品があるとすれば、それは一番最初に作られたエピソード4『新たなる希望』くらいのものでしょう。そんな不利な状況の中で比較的多くのファンから好意的な評価を得たのが前作『フォースの覚醒』でありました。ところがこの度の『最後のジェダイ』は評論家筋からのウケはいいものの、一般のファンたちは賛否を巡って大激突。「正式なストーリーからはずすように」という署名活動まで行われていて、とんでもなくめんどくせ~~~状況になっております。

特に物議を醸してるのは、やはり旧三部作の主人公だったルークの描かれ方でしょうか。あ、ここからかなりネタバレしていくのでその点ご了承ください…

fullmoon
newmoon
fullmoon
newmoon

この度の新作、意外なことにシリーズの産みの親ジョージ・ルーカスは大変満足しているそうで。それは彼や監督のライアン・ジョンソンがルークを「神話の英雄」と考えてるからでしょう。旧約聖書、ギリシャ神話、北欧神話、その他多くの世界に伝えられている神話の英雄にはある種の定型があります。それは多くが「悲劇的な最期」「英雄的な死を迎える」というものです。あと彼らは決して完璧な存在ではなく、一時的な激情に駆られて取り返しのつかない失敗をしたりするものです。今回のルークはまさにそんな存在でした。

しかし子供のころから現在進行形で親しんでいるファンにとっては、それが許せないのだと思います。彼らにとってアメリカが産んだ最高の物語の主人公であるルークは暗黒面などまったくない、明るく汚れない人物でなければならないのでしょう。英雄であると同時に、キリストやスーパーマンのような聖人性も兼ね備えたキャラクターとしてとらえている。そしていつまでも明るくさわやかなアイドルでいてほしい。今回の大論争は特にこの辺の解釈の違いに端を発していると考えます。

他に興味深く思った点は昨年のサイドストーリー『ローグ・ワン』との対比でしょうか。あの作品は戦争につきものの「犠牲」の悲しさを描いていましたが、結果的に彼らの死が反乱軍に勝利をもたらしたため、その犠牲を肯定してるように思えなくもありません。
『最後のジェダイ』も割と中盤過ぎまではドバドバ犠牲を出しまくって同じ姿勢のように見えたのですが、途中から「やっぱ誰かの犠牲で勝利を得るのはいくない」ということを言いだします。ドンパチをやっている以上それは単なる理想論のようにも思えますが、そういうアンチテーゼを打ち出すことによって『ローグ・ワン』とのバランスを取っているように感じました。

あとキャラクターで特に面白いのはさらに深みを増した感のあるカイロ・レン。『フォースの覚醒』では「やたらとキレやすい」人という印象で、『最後のジェダイ』でも基本的にその辺は変わってないのですが、今回は前作よりも善性への迷いや優しさ、愛情を求める弱さなどが目に見えてくるようになりました。そういえばライアン・ジョンソン監督の前作『ルーパー』にも、ある出来事がきっかけで無垢な少年が超人的な「魔王」へと変貌してしまうエピソードが織り込まれていました。
正直ダース・ベイダ―が『ジェダイの帰還』で改心したのはやや唐突な感が否めませんでしたが、続三部作ではそれを反省してレン君の善悪の狭間でのぶらつきを丁寧に描こうという狙いなのかもしれません。さらに闇落ちして見苦しい死を迎えるという可能性も十分にありますが…

この度のフォースは今まで以上にあぶなっかしい、ちょっとした油断ですぐにダークサイドに転げ落ちるものとして描写されていました。主人公のレイ嬢にもちらっとそんな兆しがありましたが、それは本当に一瞬のことで、かつてのルークのようにまっすぐな心を失わないのがとても微笑ましい。そして明かされた彼女の意外な出自。
既にいろんなとこで言われてますが、ここに至ってようやくスターウォーズはスカイウォ―カ―という「血筋」から解放されつつあるのでしょう。しかしその「精神」は脈々と血統を越えて受け継がれていくのだと思います。そういうわけで「最後のジェダイ」はある意味「新たなる『新たなる希望』」であったと思います。

わたしひいきのR2-D2はディズニー体制に入ってようやくちゃんと動いてました。しかし寄る年波かその動きはやっぱりどこか億劫でありました。代わりに獅子奮迅の活躍を見せているのがBB-8.。もうレジスタンスのリーダーは彼しかいないんじゃないか、というくらいの無双ぶりです。さびしいことですがこんなところでも世代交代が見て取れました。

20171215_215510_001てんでまとまらない感想をダラダラ書き連ねてまいりましたが、自分のポジションはおごそかな確信をこめて「賛」であります。そして続三部作を完結へと導くエピソード9が今からとても楽しみです。
その「9」の公開は二年後の2019年ですが、その前に来年の夏はやくもスピンオフ第二弾『ハン・ソロ』が待機中です。はや!! ここんとこずーっと暗いムードだったSWに、久々にファンキーな空気が戻ってくるのでしょうか。こちらももちろん期待してます!


| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 20, 2017

ミート・ザ・モンスターペアレンツ ジョーダン・ピール 『ゲット・アウト』

Go12017年もだいぶ残りすくなくなってきました… 本日は来年のアメリカの賞レースを驀進してる風変わりな作品『ゲット・アウト』を紹介します。

クリス(黒人)とローズ(白人)は仲の良い恋人同士。二人は休暇にローズの実家にいくことになり、クリスは緊張を隠せない。ローズは「うちの両親は進歩的だから大丈夫」と彼を慰めるが… クリスの心配をよそにローズの両親・アーミテージ夫妻は彼をあたたかく迎えてくれた。ひとまず安心するクリスだったが、夜更けに全力疾走する使用人や、彼をこっそり観察しているメイドに不気味なものを感じ始める。やがて周囲の資産家があつまるパーティーがアーミテージ家で開かれ、事件は起きた…

最初にこの映画のことを知ったのはアメリカでヒットを飛ばしていた時だったでしょうか。で、どうやら主人公の黒人青年がじわじわいたぶられるストーリーらしいと知って、興味が減りました。自分、そういうサドっぽいお話ってあんまり好きじゃないもので…
でもたまたまなじみの映画館でかかることになったし、評論家がその年に選ぶベストムービーなどによく名を連ねたりしてたので、「観るだけ観てみるか…」と考え直したのでした(権威に弱い)

で、結論からすると予想とは裏腹に大変いい気持ちで映画館を出ることができました。いや、こういうこともあるから映画は実際に観てみないことにはわからんもんですね。
まず感心したのは異様なムードの出し方。シャマラン作品なんかも普通の映像を撮ってるだけなのに、突然何が起こるかわからない緊張感が常にみなぎってますが、『ゲット・アウト』にも田舎の綺麗な屋敷の中にそこはかとなく不気味で、「何かがおかしい…」というぞわぞわした空気が漂っております。特にインパクトを残すのがメイドさんの「泣きながら笑う」演技。怒りながら笑う竹中直人にも匹敵するすごワザでした。
この感じ、わたしたちと変わらない平凡な主人公がずるずるとのっぴきならない状況にはまっていく、藤子不二雄A先生のブラックユーモア短編とよく似ています。

序盤の意味ありげな伏線・映像にことごとくちゃんと意味があるのもすごいし、主人公が「トリップ」したりさせられたりする描写も独特で面白かったです。そして謎が明らかになると藤子F不二雄先生の「すこし不思議な」短編の方にムードがシフトしていきます。

そして特に自分が気に入ったのは要所要所で絶妙なユーモアがあり、最後にはとてもカタルシスを感じさせてくれたことです。一応これ「ホラー」というジャンル分けをされてるんですが、「したコメ映画祭」でも上映されておりました。確かにホラーでもあり、コメディでもあるんですよ。普通ホラーにお笑い要素を入れると全体的にギャグ映画になってしまうことが多いのですが、『ゲット・アウト』はその二つが見事に融合した稀有な作品となっておりました。ちなみに監督はもともとコメディアンが本業だったそうです。名前が「ジョーダン」ってえのがまた…(すいません)

実はこの映画、本当は別の結末が用意されていたそうですけど、世相を鑑みて監督がラストを変更したとのこと。そのもう一つのENDについてはウィキペディアの項目で読むことができますが、いやあこうならなくて本当によかった。


Go2というわけでかなり痛快な作品でありましたけど、こんな映画が大ヒットしちゃったらアメリカの人種問題が一層深刻になったりしないだろうか…と遠い国のことながら心配になるのでした。

自分が観たあとも『ゲット・アウト』はますます多くの賞にノミネートされ、この分だと来年のアカデミー賞も大いににぎわせてくれそうです。観られる人はいまのうちに観ておくことをお勧めいたします。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

December 18, 2017

ミルク色の夜明け すすんでく血塗られた道 エミール・クストリッツァ 『ミルキー・オン・ザ・ロード』

Motr2ユーゴ出身の個性派、エミール・クストリッツァが久々に「戦争」を描いた悲喜劇。『オン・ザ・ミルキーロード』、ご紹介します。

隣国と戦争状態のとある村。銃火の間をかけながらミルクを売り続ける男コスタは、村で一番の美女(ただし性格は荒々しい)ミレナに思いを寄せられていた。だがどこからか亡命してきた一人の女と出会った時、コスタはたちまち恋に落ちてしまう。その女がミレナの兄の婚約者であり、他国の将軍から命を狙われている身の上であるにも関わらず…

自分が観たクストリッツァ作品は『アンダーグラウンド』と『ウェディング・ベルを鳴らせ!』の2本のみ。それだけで語ろうとはいささかおこがましいですが、「にぎやかな音楽」「のんびりとした動物たち」そして「障害の多い恋」が彼の作品の特色である気がします。今回も羊、ハヤブサ、ロバ、ガチョウ、大蛇とおおむねかわいらしい動物が画面狭しといっぱい出てきて動物好きには楽しい反面、逆につらい場面もあったりして複雑な心境になりました。

二人の美女に言い寄られる主人公を演じるのは監督のクストリッツァ自身。なかなかずうずうしい…と思わないでもありませんが、確かに彼は(いいおっさんであるにも関わらず)なかなかかっこいい。苦労してきた半生が醸し出す哀愁とあいまって、女だけではなく動物もこぞって彼にメロメロです。この映画ではおまけに変わった鍵楽器の腕前まで披露してくれます。

戦争を題材にしているという点では『アンダーグラウンド』と重なるところも多い本作品。ただあちらが現実の歴史を背景にしたニヒリズムの濃い映画であるのに比べ、『ミルキー・オン・ザ・ロード』はもっとファンタジックでロマンに満ちたお話でありました。また『アンダーグラウンド』の3人がいかに相手を出し抜くか考えてるのに対し、こちらの男女はわりかし純粋でただただ自分の思いにまっすぐであります。

そんな恋物語に暗い影を落とすのが絶え間なく続く砲火の音。一度平和が訪れたかと思いきや、どこぞの将軍が派遣した特殊部隊が村を血で染めていきます。軍服のスタイルなどは某大国がリーダーの多国籍軍をつい思い出してしまうのですが、確たる根拠もないので考えすぎかな…とも思ったり。

いまなお各地で紛争がつづく世界を風刺している面もあるかとは思います。ただわたし自身はそういう社会派的なメッセージよりもちょっと夢見がかった悲恋話としてこの作品を受け止めました。あとあまりうまく言えませんがクストリッツァが伝えたいのは怒りとか非難よりも、悲嘆であり追悼である気がします。お笑いのオブラートにくるまれてはいますけどね。

Motr1『ミルキー・オン・ザ・ロード』はもう7割方公開が終わっているようですが、まだ残っている上映館もあり。気になった方は公式サイトの劇場一覧をごらんください。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 14, 2017

超人・半神・機人・金持ち (一応)ザック・スナイダー 『ジャスティス・リーグ』

Jsa_2MCUに追いつき追い越せとばかりに奮闘するもうひとつのアメコミ映画世界「DCFU(DCフィルムズ・ユニバース 最近DCEUから改名したみたいです)」。その総決算たる大集合映画が先日満を持して公開されました。『ジャスティス・リーグ』、紹介します。

お話は『バットマンVSスーパーマン』の直後から始まります。異世界からの侵略がせまっていることに気づいたバットマン=ブルース・ウェインは、スーパーマン亡きあとの地球を守るべく、特別なパワーを持った超人たちを探す。だがそのうち二人はブルースの要請にすんなりと応じようとはせず、チーム結成には暗雲が漂う。そうこうしているうちに侵略者「ステッペンウルフ」が無数の兵士を連れて来襲。地球を改造する力を秘めた3つの「キューブ」を求め、それらを守る者たちに容赦ない攻撃をくだすのだった。

「アベンジャーズの後追い」なんてことも言われてますが、コミックのジャスティス・リーグの歴史はそれよりもっと古かったりします。まず1940年に前身である「ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ(JSA)」が誕生。そして「アベンジャーズ」登場の3年前である1960年にJSAをリニューアルさせた「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ」が創刊。以後この名前で一旦のリセットを経て、様々なメンバーが入れ替わりしながら50年活動します。
そして2011年再びのリセットイベント「NEW52」に際しチーム名が「ジャスティス・リーグ」に変更。

現在コミックではこの本家の他に米国政府指揮下にありかつての同タイトルとは違う立ち位置の「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ」(ややこしい…)、魔界担当の「ジャスティス・リーグ・ダーク」、国連が作ったけど終了したっぽい「ジャスティス・リーグ・インターナショナル」、よくわからない新チーム「ジャスティス・リーグ・ユナイテッド」などがありなかなかにカオスであります。

では今回映画に出て来るメンバーを「なにをいまさら…」というキャラも含めて紹介します。

☆スーパーマン…言わずと知れた(雑誌形式では)世界最初のアメコミヒーロー。怪力・飛行なんでもできちゃう。MARVELとDCの最大の違いは「MARVEL宇宙にはスーパーマンのような圧倒的な大黒柱がいない」ということかも。真っ先にあげちゃったけど今度の映画に出るかは一応不明(白々しく)

☆バットマン…アメコミで最高の人気を誇るキャラ。特殊能力は金と推理。バットマン一派の人気が突出しすぎてるのがDCの悩みどころかも。時々「何の超能力もないの?」と揶揄されるが時間さえあれば宇宙の最高神にも勝てる男。ただゴッサムシティの治安は永久に解決できない

☆ワンダーウーマン…世界最初のアメコミヒロイン。怪力と嘘発見がスペック。キャリアの割に伸び悩んでいたが、先の映画で大ブレイク。DCのいまひとりのアイドル・スーパーガールと比べると「お母さんみ」が強いのが特徴か。好物がアイスクリームなのが萌える

☆フラッシュ…光速で駆けるスピードスター。一応アメコミの第二黄金期のきっかけとなった重要なキャラで、現在映画とドラマが並行してる唯一のヒーロー。時々物理を越えたスピードを出してしまい、並行世界にいったり現実改変を招いたりするのが玉にきず

☆アクアマン…今回映画とコミックで一番風貌が変わったキャラ。海底人と地上人のハーフで、水や魚類を操ることができる。それゆえ水のないところでは手持無沙汰になってしまうという、サイボーグ008的な問題を抱えている。日本での愛称はサバ夫(?)

☆サイボーグ…実は一番よく知らないキャラ。特殊能力は変形・飛行・ネット検索。若手ヒーローチーム「ティ―ン・タイタンズ」に加入してから人気が上がり、少し前JLのメンバーに大抜擢される。恐らく「黒人一人くらい入れとこう」というPC的配慮かと思われます。風呂にどうやって入るのかが謎


さて、肝心の内容の方ですが、『BVS』や『スーサイド・スクワッド』と同じくDC世界の奥行きを感じさせるネタが色々入っていて、コミックファンとしてはまことに楽しゅうございました。逆にそういうDC愛がない人には、ちょっとあっさり風味に感じられるかもしれません。こう言ってはなんですが、本当に予想範囲内のことしか起きないので。
そしてやっぱりちらつく『アベンジャーズ』の影。監督がジョス・ウィスドンに変わる前から決まってたことだと思うんですけど、「宇宙の果てからマッチョな悪者が軍勢を率いて攻めてくる」というプロットはもうちょっと変えられなかったのかと。そしてまたキーアイテムがサイコロだと来ている(三つに増えてましたが)。
一方で『アベンジャーズ』よりも良いところもあります。尺が短くなった分テンポがよくなったりとか。超人たちがかみ合わなくてギスギスしてるパートが短かったのも好印象でした。これはエズラ・ミラー演じるフラッシュの性格に負うところが大きいですね。本当にひとりムードメーカーがいるだけで場の空気というものはずいぶん変わるものです。

今年は『パワーレンジャー』や『スパイダーマン ホームカミング』などヒーローものと『ブレックファスト・クラブ』をかけあわせた作品が目立ちましたが(『ブレックファスト~』観てないんですけどね…)この『ジャスティス・リーグ』もカーストの違いを乗り越えていく学園ドラマと似たところがありました。
バットマンは過去のあやまちをひきずってる先生、ワンダーウーマンは以前の失恋を乗り越えられない級長、アクアマンはやたらとイキりたがる番長、フラッシュは寒いギャグを連発するお調子者、サイボーグは怪我で夢断たれた体育会系…といった具合です。それぞれに悩みを抱えてる面々が、ディスカッションしたり一緒にクラブ活動に精出したりしてるうちに、やがて自分の殻を打ち破っていく、そんなムードが大変さわやかで好みでした。

Photoただ『ワンダーウーマン』の好調にのって大ヒットとなるかと思いきや、全米ではDCFU中もっとも低調なスタートで赤字はまちがいないとのこと。やっぱりメリケンの映画ファンは常に何か目新しいものを求めているということですかね… ここでくじけないでDCFUにはさらにがんばって残りの企画を面白いものにしてほしいものです。とりあえず現在ほぼ確定してる企画は『アクアマン』と『ワンダーウーマン2』、そして『フラッシュ(ポイント)』というところでしょうか。あと一応『スーサイド・スクワッド2』『ザ・バットマン』『バットガール』『シャザム』『グリーンランタン・コァ』『サイボーグ』『ジャスティス・リーグ・ダーク』といった企画も上がっている模様。果たしてどこまで実現できるでしょう。


| | Comments (4) | TrackBack (2)

December 12, 2017

星を奪うもの 静野孔文 瀬下寛之 『GODZILLA 怪獣惑星』

Photo昨年『シン・ゴジラ』の大ヒットで大いに復活の兆しを見せた東宝怪獣映画。今年はアニメの三部作という変化球で攻めてまいりました。『GODZILLA 怪獣惑星』、ご紹介します。

突如として巨大怪獣の出現が頻発するようになった世界。人類はなんとかそれに対抗しようと戦いを続けていたが、それまでの怪獣をはるかに超える存在「ゴジラ」の登場により敗北を余儀なくされる。宇宙に新天地を求めて旅立った人類だったが、先の見えない旅に次第に消耗していき、ついには地球への帰還を望むようになる。その先陣を切る若者ハルオは激しい怒りと科学的な理論をもってゴジラ殲滅のプランを練り上げたのだが…

まず語っておきたいのが公開前に出版された前日談となる小説『GODZILLA 怪獣黙示録』。映画ではナレーションで済まされた人類衰亡の歴史をインタビュー形式でつづったものなのですが、これが滅法面白くて。カマキラスやらドゴラやらオルガやら、存在をすっかり忘れていたマイナー怪獣が次から次へと出てきて破壊の限りを尽くすという内容。滅亡の危機が迫っているというのに団結も出来ず決定的な対抗兵器もなく、ただただ絶望しかない『パシフィック・リム』みたいな暗い話なんですが、登場怪獣の顔ぶれの懐かしさに楽しさしか感じないという奇天烈な1作でありました。

しかし今回は映画の前にこれを読んでしまったのがよくなかった。なんでかというと『怪獣黙示録』に比べると『怪獣惑星』はあまりにも登場モンスターの種類が限られていて、ちょっと派手さに欠けるところがあるからです。どうせ3部作でやるならこの『黙示録』を1作目にして映像化すりゃよかったのに…と思わずにはいられませんでした。

ただ映画本編もまったくつまらなかったわけではなく。むしろ小説を先に読んでなかったら普通に楽しめたと思います。
特に印象に残るのはゴジラよりも彼?に鬼気迫る憎しみを抱き、「何が何でも絶対殺すマン」と化している主人公のハルオ君。ふつうあんな山みたいな怪獣を目にしたら一目散に逃げ出したくなるのが普通の人間です。しかしハルオ君は恐怖などまったく表に見せず、「ゴジラ―!! ぶっころーす!!」と何度も何度もあの巨体に向けて特攻していくあたり頭の配線が2,3本ぶっとんでるとしか言いようがありません。でもまあこれくらいエキセントリックなやつでないとゴジラとの真っ向勝負はできないでしょう。芹沢博士や矢口蘭堂に並ぶ怪獣キラーになれるかどうか、これからの成長に注目です。というか『進○の巨人』のエ○ン君とよく似ておりますね。

あと主人公を絶望に追い込む脚本虚淵玄氏お得意のストーリー展開に今回も引き込まれました。ただ虚淵さんの真骨頂はむしろストーリーの中盤あたり。だいたいその辺で主人公の世界観を根底から揺るがす衝撃的な事実が明らかになり、お話がどう解決するのかさっぱり予想がつかなくなります。というわけで1作目終盤のアレもまだまだ前フリにすぎず、本当のショックは2作目あたりに待っているものと思われます。ハルオ君のさらなるあがきに期待しましょう(ひどい)

Photo_2とりあえず次はもう少しいろんな種類の怪獣が出てくると嬉しいですね… ちなみに2作目『決戦・起動増殖都市』のポスターにはメカファンには嬉しい「アレ」の姿がちらっと描かれております。その辺にまんまと踊らされるワタクシ。『シン・ゴジラ』に比べるとあんまり売れてないようなので無事完結までたどり着けるか少々危なっかしいですが、東宝を信じて応援していこうと思います。というわけで第二部は来年5月の公開。そして丸一年後の11月あたりで完結編…という計画なんでしょうか。なんとかついていくのでスタッフのみなさんがんばってくだされ

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧