October 18, 2017

烈轟忍法帖 チャーリー・ビーン 『レゴ・ニンジャゴー・ザ・ムービー』

Lng11『レゴRムービー』『レゴバットマン・ザ・ムービー』と連続して傑作を世に送り出したレゴ映画シリーズ。しかし第3弾のこれはどうなんだ…?と心配しながら観に行ったのですが、全くの杞憂でありました。今回もめちゃくちゃ面白い! そんな『レゴ・ニンジャゴー・ザ・ムービー』ご紹介します。

そこは香港と西海岸を足して割ったような街、ニンジャゴーシティ。豊かな自然に囲まれたにぎやかな都市だが、ひとつ難点があるとすると、それは定期的に悪の魔王ガ―マドンが侵攻してきてなんでもかんでもぶっ壊していくこと。幸い街には守り手たる正義のニンジャたちがおり、ガ―マドンは毎回彼らに敗北しては去っていく。ニンジャたちを人々は称賛するが、実はリーダーのグリーンニンジャはガ―マドンの息子であり、父親が悪者であることに人知れず悩んでいた。

ちなみに同名のTVシリーズがすでに数シーズン放映されていますが、そちらとは設定の異なるパラレルワールドの関係だということ。それでは面白い点を片っ端からあげていきましょう。

①最初に目を引くのはやっぱり主人公のロイドが駆るドラゴン型ビーグル(上画像参照)。ダイレンジャーの龍星王とか好きだったんでこいつはたまりませんわ… 他のメンバーのビーグルも正統派からヘンテコなものまで個性派ぞろいです。

②主人公のロイドことグリーンニンジャ。お父さんが悪の帝王であるがゆえに学校ではハブにされてるという泣けるけど笑える設定。ただ現実にも親父が町内きっての問題児で家族が肩身の狭い思いをしてる…という例はあると思います。他のメンバーがきらびやかな属性を持ってるのに彼には特にそういうのがない、というのも泣けます

③悪の帝王ガ-マドン。CVが山寺宏一さんのため闇落ちしたレゴバットマンに見えて仕方ない。4本ある腕で色々変わった芸を見せてくれます。あと最近の流行に合わせてかサメ型のメカがお好きみたい

④ガ-マドンの持つ「最終兵器」。その威力はこちらの予想の遥か斜め上を行く。レゴ風の核弾頭のようにも見えるが…(下画像参照)

⑤メンバーの中でとりわけ異彩を放つのがホワイトニンジャ。R・田中一郎のような天然っぽい発言が目立つが、実はその正体はロボ。機械らしい薄情な一面もあり。

⑥ジャッキー・チェン。どこまでもいつも通りのジャッキー・チェン。

⑦ガ-マドン配下のなぜか魚介系で統一されてる将軍たち。いらんことを言っては豪快に粛清されていく様子が哀れであり、おかしくもあり。

⑧キラキラこまごましてて抒情性あふれるニンジャゴーシティの風景。前二作とはまた違った味わいがあります。

…とまあざっとあげただけでこんだけ魅力あふれる要素があります。すごいでしょう。
そしてどこまで作り手が意識してるかわかりませんが、レゴムービー、レゴバットマンと共通するテーマも幾つかあります。

ひとつめは孤独や疎外感。主人公は一見楽しくやっているようで、心に満たされない空洞を抱えていたりします。

ふたつめは親子の絆の話であるということ。『レゴ・ニンジャゴー』は特にそれが強調された作品でありました。

みっつめは悪者への深い愛情と理解。どうしてこのシリーズは悪者にこんなに優しいのか。嫌われ者を排除するのではなく、温かく迎えてあげよう!という点でこの上ない教育映画だと思います。

あと山寺宏一。もうミスターレゴムービーといっても過言ではないと思います。

Lng4これほどまでに面白くて感動する『レゴ・ニンジャゴー・ザ・ムービー』ですが、日本ではやっぱり大爆死してますcryingcryingcrying 一般の方々が「なぜレゴをわざわざ映画館で見ねばならんのだ?」という気持ちもわかります。でもどうか、だまされたと思って観てほしい… こんな調子だといよいよ次の『レゴRムービー2』は日本ではDVDスルーになってしまうかも。そうならないために、焼け石に水とわかっていても自分はこの映画を必死に応援し続けます。
『レゴ・ニンジャゴー・ザ・ムービー』は一応まだ全国の映画館で上映中。タイムリミットはあと10日か… 少しでも興味を持たれた方、猫・レゴ・ジャッキー・チェン、いずれかが好きな人はぜひごらんください!


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September 12, 2017

おいでよ杜王町 荒木飛呂彦・三池崇史  『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

Jjkb1約30年の歴史を誇る人気漫画が、鬼才三池崇史の手によりとうとう実写映画化。吉と出るか凶と出るか、鬼が出るか蛇が出るか… そんな『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』ご紹介します。

風光明媚な日本の一都市杜王町。しかしその町にはサイコキラーが潜んでいるらしく、行方不明者や殺人の被害者が近年増加し続けていた。そこへ引っ越してきた平凡な高校生・広瀬康一は、奇妙なヘアスタイルの東方仗助という少年と知り合う。たまたま彼と居合わせた際、宏一は仗助が「スタンド」と呼ばれる操り人形にも似た超能力の持ち主であることを知る。

自分もいい年なので恥ずかしながら『ジョジョ』の連載が始まったころのことが記憶にあります。『ドラゴンボール』や『北斗の拳』が人気絶頂だった「少年ジャンプ」において、突如現れた「世界名作劇場」のような漫画。はやいうちに打ち切られるだろう…という予想を裏切り、現在もまだ掲載誌を変えて続いているから驚きです。
自分が本格的にはまったのは主に中東を舞台とした第3部のあたりから。単行本も最初から買い揃えたのですが、現代日本が背景のこの第4部の途中で脱落しちゃいました。ははは(第5部は最近廉価版で全部読みました)。そんな中途半端なファンですが、それだけにあまりこだわりなく実写版を鑑賞することが出来ました。

いろいろ危ぶまれた三池監督の『ジョジョ』ですが、けっこうがんばっていたのではないでしょうか。つか、三池さんも宇宙や未来が舞台でなければそれなりにちゃんとやる方だと思います。春の『無限の住人』も力作でしたし。
わたしがこの映画で気に入ったのは仗助がきちっと主人公をこなしていたということ。原作の第4部は康一君や岸辺露伴、吉良吉影という立ちまくりのキャラに押されてしまってどうも仗助の影が薄かった印象があります。しかし劇場版では露伴も吉良も登場せず、仗助が最もかっこよかったエピソードをメインにしてるのでかなり輝いておりました。いまひとつ朴訥な演技の山崎賢人君も、それがかえってぼーっとした仗助のキャラにあっておりました。
自分の敵を助けた際、第3部の主人公である承太郎は「俺にもよくわからねえ」と答えるのですが、仗助は「別に。何も死ぬこたあねえと思っただけだよ」と言います。この自然で力の入ってない「人助けの理由」、第4部でとりわけ気に入ってたとこなので、映画でも取り入れてくれたのは嬉しゅうございました。

そんな山崎君とある意味対照的だったのが虹村億泰役の最近改名した新田真剣佑君。これまで割と少女マンガ系の出演が目立ってましたが、今作ではガラッと雰囲気を変えて少年漫画の三下的なキャラをガラ悪く熱演しておりました。まあガラはともかくとして、彼はお父さんがサニー千葉だけに武術の心得もある俳優さんなんですよね。優男役が多くてもったいないなーと思っていたのですが『ジョジョ』ではようやくその辺が生かされて「待ってました」という感じでした。

あと他に原作ファンとして(ぬるめですが)よかった点はいかにもCGでしたが、「現実に動くスタンド」が見られたことです。これはやっぱり漫画でもアニメでも味わえない、実写版ならではの強みです。特に億泰の持つ「ザ・ハンド」などはデザインも忘れてたのですが、そのなんにも考えてなさそうなフェイスがとてもかわいく、この度魅力を再発見いたしました。
Photoというわけで意外とよかった実写版『ジョジョ』ですが、ワーナーその他の思惑が大幅にはずれ、興行的にはこけちゃっているようです。同時期に公開してる『銀魂』は大ヒットだったのに… まあ考えてみればこのジョジョ4部も二十年以上前の漫画ですからね。一般の若い子たちにはなじみが薄かったかなあ。
そうなると心配なのはこの後の展開。最低あと2作は必要と考えてましたが、なんとかあと1作で〆る方向でがんばらねばならないかも。せっかく「第1章」と銘打ったんだから、これっきりで終わりということだけはやめてください。
幸い成績不振にも関わらず公開から一か月経ったいまもまだ公開してます。というか今週が山場だと思うので少しでも興味を持っている方はぜひごらんください。


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September 05, 2017

バンガボンの名前 トム・ムーア 『ブレンダンとケルズの秘密』

Bdkz1昨年の『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』が好評を博したのか、2009年に製作されやはりアカデミー長編アニメ部門にノミネートされたトム・ムーア監督の前作が、この度ようやっと日本でも公開されることになりました。まあもう始まって一か月くらい経ってるんですけど… そんなわけで今回はその『ブレンダンとケルズの秘密』をご紹介します。

9世紀のアイルランド。ある僧院に暮らす少年ブレンダンは、院長である叔父のもと、バイキングを防ぐための城壁作りに日々励んでいた。そんなある日僧院に高名な修道士エイダンがやってくる。彼が作る美麗な書物「ケルズの書」にすっかり魅せられたブレンダンは、エイダンとともに書物を完成させることにのめりこんでいく。だがその間にもバイキングの脅威は僧院に刻一刻と迫っていたのだった。

まず子供向けアニメなのに舞台が主に「僧院」というところが渋いですよね。寺院系の建物とそこで暮らす人々が中心のアニメというと、他には『一休さん』くらいしか思い当りません。しかしまあ、中世のころの僧院とか修道院ってなにやらロマンをかきたてるものがあります。

あとこのアニメを際立たせているのは、ケルズの書が開かれたり、森の木々がざわめいたりするときにぱっと画面を覆う万華鏡のようなきめ細かい装飾表現。『ソング・オブ・ザ・シー』と共通してるようで、また少し違うタッチを楽しむことができます。独特のキャラクターデザインも面白いですね。特に要所要所で活躍する猫「バンガボン」は口元のXが変わってて印象に残ります(下のイラスト参照)。

僧院に隣接する森のあれこれにもわくわくさせられます。。この時代、森というのは人間にとって最も身近な異界だったわけで。人知を超えた存在がそこには息をひそめております。わたしがこの映画で特に心惹かれたのは、ブレンダンと森にすむ謎の少女のつかの間の交流。子供のころだったからこそ通じ合えた儚い絆が中年男の胸をうつのでした。

で、ここからは八割方ネタバレですが

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これ、ディズニーのアニメであれば、ケルズの書のスーパーパワーか何かで悪者たちがズドーン!とやっつけられてめでたしめでたしとなると思うのです。しかしこの作品はその点ファンタジー系のアニメでありながら大変現実的でシビアです。生きていく上で、苦難や悲劇はどうしても避けられない。ではどうやってそれを乗り越えられるのか? そんな問いかけがなされてるような気がしました。そしてそんなごまかしのないストーリーだからこそ心に深く残るものがあります。
Bdkz2『ブレンダンとケルズの秘密』はそろそろメイン館の恵比寿ガーデンシネマなど第一陣が終了の模様。そのあと全国各地の劇場でポツポツとかかっていくようです。くわしくは公式サイトをどうぞ。
トム・ムーア関連作品としては製作を務めている『The Breadwinner』(イスラム系少女の脱出劇?)や、監督作『WOLFWALKERS』(狼少女と人間少女の友情物語?)などがスタンバイしてるようです。この勢いなら日本でもそんなに間を置かず公開されるかなー


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August 30, 2017

恐怖のバナナ軍団VS80年代から来た男 カイル・バルダ&ピエール・コフィン 『怪盗グルーのミニオン大脱走』

Photoまだまだ続く夏休み映画特集。本日は今夏最大のヒット作となるであろうイルミネーション・エンターテイメント最新作『怪盗グルーのミニオン大脱走』をご紹介します。

子どもたちのため犯罪者を引退し、反悪党同盟のエージェントとして活躍していた元怪盗グルー。だが手ごわい泥棒のバルタザール・ブラットに後れをとったために、妻のルーシー共々組織を首になってしまう。失意を味わうグルーの前に、一人の老紳士が現れる。彼はグルーの生き別れの兄弟・ドルーの執事だった。

1作目で親となり、2作目で妻を得、どんどん人間的成長を遂げていってるグルーさん。3作目ではもしかして子供たちの巣立ちが描かれるのでは…と思いましたが、さすがにまだはやかったようです。今回スポットがあてられるのはあとから加わったルーシーがどのようにして本当の母親になっていくかということと、初めてあうグルーとドルーが兄弟としてうまくやっていけるかということ。こうやって書くとなんか普通にさわやかなファミリードラマみたいですなあ。

ただ前作の時点で既に問題となっていたことですが、グルーさんってやっぱり悪党の時の方が輝いてたし生き生きとしてるんですよね… 悪の誘惑にかられながらも「俺には家族が」とこらえるグルーさん。えらい! でもキャラとしては微妙! スタッフもその辺に限界を感じてるのでかつてのグルー的なドルー(ややこしい)というキャラを用意したのかもしれません。
新ライバルのバルタザールが主人公より断然個性的なのも問題です。彼はもともと世界的に有名な子役スターだったのですが、大きくなったらすっかり人気がなくなってしまい、世間を恨んでヴィランになってしまったという設定です。黄金時代であった80年代が忘れられず、その時代の音楽とファッションで華麗に悪事を働くバルタザール。なんて面白いやつなんだ… そういえば先の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でもふんだんに80年代オマージュがささげられていましたが、いまちょうどそのころ子供だった世代が映画産業の中心になってるということでしょうかね。

グルーさんの分の悪いところはまだあります。このシリーズいまやすっかり日本でも大人気になってしまいましたが、注目を集めているのは彼ではなく子分のミニオンたちだということです。グルー不在の『ミニオンズ』が大大ヒットをおさめてしまったことが、皮肉にもそれを証明してしまいました。『アナと雪の女王』を「アナ雪」と言うがごとく、本作品を「ミニオン」としか言わない一般の皆さん。とうとうTVCMまでタイトルコールのところで「怪盗グルーの」を省くようになってしまいました。なんてかわいそうなんだグルーさん…! ま、実際ミニオンたちの方が見ていて楽しいのだから仕方ないやね(あっ)

本作品にはミニオンの他にもいろいろかわいいものが出てきて癒されます。ドルーの島のブタさんたち、バルタザールの子分のロボット(声:宮野真守)、ユニコーンっぽいある動物など。三姉妹たち…特に末っ子のアグネスも相変わらずいい子でかわいいですね。声をあてていた芦田愛菜女史も7年の間に成長してしまい、さすがにかつてよりは大人っぽい声になってしまいました。バルタザールと違って立派な大人になってくれることを祈るばかりです。

Photo_2これで完結となるかと思った『怪盗グルー』シリーズですが、ちょいバレするとまだまだ続きが作れそうなENDでした。とりあえず次はスピンオフ第二弾である『ミニオンズ2』が3年後の2020年に予定されています。ますます薄くなるグルーさんの影… がんばれ!

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August 23, 2017

エンジンは今日も上々だ マック・フィー 『カーズ クロスロード』

Photoここんとこライバルに押されてる感もあるものの、変わらずに堅実に作品を作り続けているCGアニメのパイオニア・ピクサー。本日はその最新作で11年続いたシリーズの完結編(となるかもしれない)『カーズ クロスロード』をご紹介します。1作目の紹介はこちら。2作目の紹介はコチラ。

そこは車たちが楽しく暮らす不思議な世界。デビュー以来常にトップを走ってきたレーシングカーのマックイーンは、年を経たせいかその走りに次第に陰りが見えてくるようになる。コンピューターにより精密なドライビングをこなす若手たちに後れをとることが多くなった彼は、焦りからとうとうクラッシュ事故を起こしてしまう。なんとか傷を癒しサーキットに戻ることを決めたマックイーンだったが、その道は想像を越えて険しいものであった。

わたくし『カーズ』ってそんなに好きな作品でもなくて(嫌いでもない)。1作目は『トイストーリー』や『モンスターズ・インク』などと比べるとなんだか地味な話に思えたし。2作目は世評とは裏腹に前作よりも楽しめましたが、それでもそんなに心に残る映画でもなく。これまでピクサーのアニメはすべて映画館で鑑賞してたので、それを切らさないために観ていたようなものでした。
しかし今回不穏な空気が漂う予告編を見た時、これまでとは違う強く引き付けられるものを感じたのです。

かつて「いくら頭を柔らかくしても車に感情移入するとか無理だから!」と思ったわたしですが、今回はコンテナの中で「俺は早い!」とつぶやいているシーンからどっぷりとマックイーンになりきってしまいました。
さらに去っていく仲間たち、認めざるをえない肉体?の衰え、時代遅れになっていくことへの焦り…こうした感情がいい年になった自分にビンビンと突き刺さっていきます。このテーマ完全に子供たちおいてけぼりですよ。

これがわかりやすいエンターテイメントであればマックイーンが年齢を無視した奇跡的な走りを見せて、生意気な若造をぎゃふんと言わせるのでしょうけど、この映画は一種のファンタジーであるにも関わらずそういう安易な方向には逃げません。1線を退かねばならなくなった者が本当にすべきことはなんなのか。黄金時代の栄光にしがみつくことなのか? それに関してとても厳しく、しかし温かい答えを用意しております。

そのヒントとなるのが1作目でマックイーンの師であったドク・ハドソンの思い出。2作目では声の担当のポール・ニューマンが亡くなったことを受けてはやくも故人…というか故車になっています。ゆえにそちらではえらい影が薄かったのですが、『クロスロード』では彼と同じ立場になったマックイーンの脳裏に絶えず浮かび続けます。前々作でははっきり明かされなかった彼の思い、かつて共に過ごした懐かしい記憶。そういうのが出る度に「く…くるまのくせに! 機械のくせに!!」と思いつつも号泣しておりました。わたしがそういうのに弱いこと知ってて(知るわけがない)、何度も何度も本当に卑怯よ!と叫ばずにはいられませんでした。

「2作目は1作目の60%の出来であれば成功」と言われます。3作目に至っては1作目の20%であればいいわけです(それくらい駄作になることが多い)。しかしこの『カーズ クロスロード』はまさにこのために1,2があったのだ思えるくらい、シリーズで最高のドラマを見せてくれました。
地方ではアニメは字幕版がほとんどないので今回も吹替えでしたが、主演の土田大氏の演技もさらに深みを増して素晴らしいものでした。メジャーな俳優さんが声をやることが多いCGアニメにおいて、彼の決してでしゃばらない、しかし力強いアクトはかえって光るものとなっております。ごく最近もともと「カクレンジャー」のブルーで人気を博したことを知りました。11年目にしてようやっと気づく真実。どうも申し訳ございません。

Cscr2というわけで自分としては7月中のベストムービーだった『カーズ クロスロード』ですが、日本での人気は完全に『ミニオン(怪盗グルー)』にかなわないのが辛いところです。幸いまだもう少し上映してるようですので、中高年になり四十肩やぎっくり腰など体にガタが来ているおっさんは「子供向け」という先入観にとらわれずぜひごらんください。奥田民生の歌がまた素晴らしいのです。♪国境を越えたって~

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May 19, 2017

プラと呼ばないで クリス・マッケイ 『レゴバットマン・ザ・ムービー』

1491803297468上半期最も楽しみにしてた1本だったのに、感想書くのがモタモタしているうちに完全に公開が終わってしまった~~~! とほほ…
何の力添えもできず大変申し訳ないかぎりですが、遅まきながら『レゴバットマン・ザ・ムービー』、ご紹介いたします。

そこは全てがレゴでできた世界。犯罪都市ゴッサムシティで活躍するヒーロー・バットマンは、今日も惨事を未然に防ぎ、声援をあびながら秘密基地に戻る。だが広大な邸宅で彼を待つのは執事とコンピューターだけ。孤独に晩飯をチンしてくつろぐバットマンに、執事はそろそろ家族を作ってはとすすめるが…

本作品は2014年に公開された『レゴ(R)ムービー』の姉妹編というかスピンオフのような位置づけ。あちらにもすっとぼけたバットマンがサブキャラとして登場します。ただ今回の映画と同一人物なのかというと、そんな気もするし、違う気もする大変あいまいな設定です。まあこんなゆるさがレゴ映画の魅力のひとつとも言えます。

バットマンといえばまず『ダークナイト』を思い浮かべて、暗くてハードでシリアスなイメージをもっておられる方も多いことでしょう。確かにいまのバットマンに関していうなればそれは間違いではありません。しかしなにせ約80年もの歴史を持つシリーズですから、その間にはギャグ調に振り切れた時期もあったのです。いい例が今回もちらっと出てきた60年代に作られたTV版。そんな黒歴史も含めて、バットマンの長い長い歩みと本質を総括した内容となっていました。

バットマンの本質とはなんぞや。それは彼がスーパーヒーローで世界最高の探偵であると同時に、子供で偏執狂であるということです。子供のころ目の前で両親を殺されたというトラウマが、犯罪と戦う原動力となっている反面、未だに彼の内面を子供のままとどめてしまっている。言うなればごつくて暗いピーターパンのようなもの。まあ普通ちゃんとした大人は犯罪と戦うにしてもあんなコスプレしたり、不眠不休で訓練したり働いたりしないものでしょう。自分のペースと家族を大事にしたうえでやるものだと思います。
だからブルース・ウェインが普通の大人になる…幸せになって孤独感を感じなくなったら、『バットマン』という物語は終わるのだと考えます。実際映画『バットマン&ロビン』や『ダークナイト・ライジング』はそんな感じでしたし。
では肝心の原作はと申しますと、いまバットマンには養子・実子含めて3人の息子がいます。それとは別にぐれて勘当したような子供までいます。そんだけ子供に囲まれてブルースが立派なお父さんになったかといえば、これがはなはだ微妙でして… どの子どもたちにもちゃんとコミュニケーションを築けてないようですし、その上しょっちゅう死んだり失踪したりしてます。まあウェイン氏が本当にまともな大人になってバットマンを卒業してしまったら、DCコミックスとしては大変な痛手になるでしょうからそれはまだまだ先のこと…というか実現しないような。コナン君が半永久的に元の姿に戻れないのと一緒です。

もうひとつバットマン世界…というか多くのヒーローものに関して言える本質としては、「ヒーローとヴィラン、ふたつそろってて初めてお話が成立する」ということです。建前としては悪者なんかいないほうがいい、ということになってますが、もしあの世界にコスをまとっているのがバットマンだけで、ほかに珍妙な格好をした悪役がいなかったとしたら、そもそも物語としてなりたちません。まさにヒーローがいるからこそヴィランがいて、ヴィランがあってこそのヒーローであります。『レゴバットマン』では普通はごまかされそうな、そんな二者の絆が微笑ましく描かれておりました。これを通常のバットマンでやったら白けるか、めちゃくちゃ皮肉っぽくなると思うんですけど、二頭身のレゴの世界ならばみんなが幸せになれるというとてもほっこりした仕上がりになっております。
ちなみにいまコミックのマーベルではどちらかというとヒーロー同士が主義主張をめぐって激突するという話がとても多く、悪役の影がとても薄くなっています。その方が現実的でテーマも深くなるのでしょうけど、ここんとこの売上がぱっとしないところを見ると、もう少しバランスたもってやった方がいいんじゃないかな~と1ファンとしてはお思うわけです。

まわりくどい理屈ばかり書き連ねてしまいましたが、『レゴバットマン』はこんな面倒くさいことなど考えなくても…というか考えない方が楽しめる映画です。仏頂面でかっこ悪いバットマンに笑い、邪険にされるジョーカーに腹をかかえ、DC以外からもやってくる大量のカメオ出演に興奮し、文字通り血の一滴も出ない活劇ににんまりする。ああ… こんなに面白い映画なのに日本ではなぜ大コケしたんだ!! 世の中いろいろ間違いが多すぎる!!

Lgb2そんな『レゴバットマン・ザ・ムービー』、8/2にDVDが出ます。観られなかった方はそれからでも観てください。そしてこれだけレゴ映画が不振なのに秋には新作の『レゴ・ニンジャゴー』が公開決定してます。あまりにも無謀すぎるチャレンジ。わたしはもちろんお布施と思って観に行きますよ!


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May 15, 2017

伊藤系の計画 伊藤計劃・村瀬修功 『虐殺器官』

Gsk1去年くらいからですかね。早逝の天才・伊藤計劃氏の一連の代表作をアニメ化しようというプロジェクトがありまして、これが一応ラストになるのかな? 本日は氏のデビュー作にして最高傑作とも誉れ高い『虐殺器官』のアニメ映画版を紹介します。

米軍特殊部隊に所属するクラヴィスはある任務で某国の独裁者を追う中、様々な国で虐殺を扇動していると思われるジョン・ポールなる男の存在を知る。米政府は彼をとらえるべく潜伏先と思われるチェコへクラヴィスを差し向ける。そしてクラヴィスはジョンの元恋人ルツィアに接触するが、任務を越えた感情を彼女に抱くようになる。

原作は2,3年くらい前に読みました。知り合いのあるお方が激賞してたのと「衝撃の問題作!」みたいな帯にひかれて読みました。まず印象に残ったのは巧みなストーリーテーリングもさることながら、その徹底して乾いた文体。
読者も主人公も突き放したような本作のうすら寒いムードは、日本のエンターテインメントには珍しいものでした。ハードボイルドを通り越してハードコールドとでも申しましょうか。ほかにはその道のマニアである伊藤先生の映画ネタや、なかなか想像しづらいSFメカ?「肉の鞘」、そして本作の要となるアイデア「虐殺の文法」などに興をそそられながら読んだのを覚えています。

さて、劇場版はどうだったかと申しますと、こちらではまるでガラス細工のような透明感あるキャラデザが目を惹きました。クラヴィス君は小説を読んでいてたぶんイケメンなんだろうな…とは思っていたんですが、そのあまりの美形っぷりは完全に趣味の世界の領域でありました。普段ハリウッド映画を見慣れているものとしては、軍人といえば筋肉ムキムキのいかついタイプが念頭にあったので、それなりに違和感を覚えたのは確かです。一方でその生気や感情に乏しい造形が原作の冷え切った空気になかなかマッチしてるな…とも思いました。
監督は村瀬修功氏。わたしとしては『ガンダムW』や『アルジェント・ソーマ』などの作画でなじみ深い方です。ただ今回は村瀬氏自身ではなくredjuice(れっどじゅうす)という変わったペンネームの人がデザインを担当されたとのこと。

そんなギリシャ彫刻のような美男子たちがスクリーンでアップになるだけで、それはそれで目の保養にはなります。ただSFアクションを期待していくと、動く時は動くものの、止まってる場面もけっこう多かったりしてフラストレーションがたまるやも。まあ原作がもともと薀蓄や科学理論でふんだんに彩られた小説なので、語りの部分が多くなるのは致し方なきことかもしれません。
あと前日に観た『ハードコア』にひきつづき、こちらもかなり人体グチャグチャ描写がくどくて、またしても胸焼けに襲われました。鑑賞後、無性に小動物のモフモフしたかわいらしい動画が観たくなりましたよ…

もっとも気になってた「肉の鞘」ってのがどんなものなのか見られたのはよかったけれど、『虐殺器官』ってやっぱりあまり映像化向きではなかったかも…とも思いました。ここんとこ『君の名は』や『この世界の片隅に』など、生活感にあふれたロマンスあふれるアニメ映画が続いてて(この2作はわたしも好きですが…)、「アニメはやっぱりメカだろう? SFだろう? ここら辺でそういうアニメの王道たる映画を…」と感じてた身としてはこの映画には大いに期待していました。まあ決して失望したわけではないんですけど、うーん… もう一歩なにか突き抜けるようなものがほしかったというのが正直なところです。去年日本を席巻した先の二作品には、確かにそれがありましたからね。
41prk9iwxpl__sx336_bo1204203200_ですから日本のアニメクリエイターたちには、日常系・ロマンス系に負けずに熱くド派手なSF映画をここらで一発作っていただきたい。月村了衛氏の『機龍警察』を実力あるスタッフで映像化したら面白いと思うんですが… どないでしょう。

ちょいとくさしてしまいましたが、アート系の作品として見ればそれなりに楽しめると思われる劇場版『虐殺器官』。こちらは遅れてかかってたので完全に公開が終わりました。まだ発売日は不明ですが、ぼちぼちDVDが出るのではないでしょうか。


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April 24, 2017

イルミネーション系のど自慢 ガース・ジェニングス 『SING』

20170415_162223今年の春休みシーズンを征したのは、驚くべきことにドラえもんでもなくディズニーでもなくイルミネーション・エンターテインメントのこの作品でした。『SING』、紹介いたします。

動物たちが暮らす街で劇場のオーナーをしているコアラのムーンは、人格にやや問題はあるもののショービジネスに対して並々ならぬ夢と情熱を抱いていた。いよいよ劇場がピンチになった時、ムーンは起死回生の案として町の住民たちによる歌唱コンテストを企画する。しかし秘書のカメレオンがうっかり賞金の額を一桁多く書いてしまったため、コンテストは早くも波乱含みに…

予告を見た時にはそれほどそそられなかったこの作品。だって動物たちののど自慢大会って、いまひとつ花がないというか地味というか。去年派手に楽しませてくれた『ズートピア』があっただけにね。
それがなぜ観に行ったかといえば、ひとつには単に評判がいいから。もうひとつには『銀河ヒッチハイクガイド』『リトル・ランボーズ』のガース・ジェニングスが監督を務めていると聞いたので。日本で作品が公開されるのはかれこれ7年ぶり。最近どうしてるのかな~って時々思ってたんですよ。ただ『銀河ヒッチハイクガイド』との共通点を一生懸命探してはみたんんですが、皮肉っぽくてカラッとしたギャグセンス以外あんまり見当たりませんでした。『リトル・ランボーズ』の方とは「障害にあっても夢を諦めない」ストーリーが多少似てはおりましたが。

それはともかく実際に鑑賞してみたら予想以上の出来に感心してしまいました。確かに地味には地味なのです。我々と変わらぬ様々な悩みを抱えた等身大の人物…じゃなくて動物たちが織り成す物語なのでね。しかしそれだけに個々のキャラがきわめて身近に感じられるし、彼らが目標の実現のためにがんばる姿には理屈抜きで応援したくなります。ところがこの映画、中盤過ぎまではかなりサド的というか、キャラクターたちへの追い込みっぷりが半端じゃありません。そのあまりの非情な展開に「こりゃどう考えてもライブ開催は無理だろ」と、あきらめのいい人生に疲れたおじさんは思ってしまいました。

あと目立っていたのはムーンさんとネズミの歌手・マイクの問題児っぷり。まあなんというかイルミネーションの主人公たちは反社会的な輩が多いですね。それこそがディズニーとちょっと違うところであり、アカデミー長編アニメ部門から敬遠される所以なのかもしれません。ただムーンさんは欠点と同じくらい良い特質ももっていますし、劇中にある体を張った洗車シーンを見てしまったら、もう愛さずにはいられません。マイクの方は「愛すべき」とまではいきませんが、主人公サイドなのに最後まで成長せずに嫌味を垂れまくるそのキャラは異彩を放っていました。

そしてなんといっても見事なのは『SING』 という題だけあって歌唱シーンが大変楽しい。ずっと地味臭かった話がクライマックスのステージで一気に花開いていいきます。どの歌も大変聞いていて心地よかったですが、自分がとりわけ気に入ったのはなぜかヤマアラシのアッシュちゃんがトゲを飛ばしながら歌う「Set It All Free 」だったりして。劇中で好きなナンバーであるクイーンの「Under Pressure」が流れたのも嬉しゅうございました。

Kanbanそれにしてもイルミネーションのアニメが公開されるたびなんでこんなに日本でうけているのか、いまひとつ謎であります。この社名、まだそんなにこちらでは浸透してないと思うんですが。それとも「ミニオンのスタッフが贈る!」と言われると、一般のファミリー層はぐっとひきつけられるんでしょうかね。とりあえず『SING』はまだ大ヒット公開中。夏には『怪盗グルー』の第3作もスタンバイしております。

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April 12, 2017

頓狂ディズニーシー ロン・クレメンツ ジョン・マスカー 『モアナと伝説の海』

1『アナ雪』以降、ジブリ不在ということもあって完全に日本での巻き返しに成功した感のあるディズニーご本家。本日はその最新作で快進撃を続けている『モアナと伝説の海』をご紹介します。

南洋の平和な島で長の娘として健やかに暮らしてきた少女モアナ。しかし彼女は出ることを禁じられている外の海への憧れを、ずっと抑えながら日々を過ごしていた。そんな折、島では魚が取れなくなったり、穀物が急に枯れたりと不吉な現象が続く。その原因が外海の魔神の呪いにあると知ったモアナは、精霊に導かれるまま広い世界へと漕ぎ出すのだが…

公開されるや否や映画ファンの間で「マッドマックスっぽい」と評判を呼んでいた本作。確かにそれらしいところもちらほらあります。しかしわたしが思い出したのは昨年日本でようやく公開された『ソング・オブ・ザ・シー』。禁じられた海へと惹かれていく少女。その少女を誘う精霊。古の災いにより呪いをかけられてしまう巨神…といったモチーフが共通しています。片や大資本で作られた南洋の神話、片や独立系のスタジオで作られた西欧の伝説ですからイメージもストーリー展開もだいぶ違いますが、それでもこういう民話にはある種の定型があるのか、似通った部分があるのが興味深いです。

で、マッドマックスにも例えられてるようにこの話、かなり男子の冒険物語っぽいところもあるのです。モアナは宮崎アニメのコナンかパズーのように人並み外れた大ジャンプを見せますし、次から次へと現れる海の魔物にもひるまず果敢に立ち向かいます。そして助け手となる神マウイと一緒にいても、一向にロマンスが芽生える気配がない。まあマウイは一応人の形をしていても神様なんで、人間のもつ恋愛感情とか超越しちゃってるのかもしれませんが。それ以前にキャラデザの時点でラブコメ向きではない気もします。ともあれ、喧嘩しつつも仲良く冒険を続けるマウイとモアナはカップルというより気心知れた友人、あるいは兄弟のようでした。

ではなぜモアナは男子ではなく女の子としてこの物語に選ばれたのか。女子たちを映画館によぶため…という目的もあるかと思いますが、彼女には能天気な男の冒険児にはない特質があります。それは挫折した時に見せる内面の弱さであったりとか、恐ろしい魔物をも思いやる心であったりとか。そういった女子ならではの柔らかい性質と男の子らしいたくましい冒険心が混ざり合って、実に中性的でバランスのとれたエンターテイメントになっておりました。

ポリネシアの民話を下敷きにした独特な背景や妖怪、アイテムも魅力のひとつであります。思えばこの辺を舞台にしたアニメ映画って今までこれといってなかったような。ミッシェル・オスロなども世界各地の昔話のアニメ化を精力的に行っているので、短編かなにかでやっているかもしれませんが。まあとにかく西洋ファンタジー世界とは一風違った南洋のセンスが目に楽しゅうございました。
1491803284646というわけで予想通り大ヒットを続けている『モアナと伝説の海』ですが、驚いたことにさらにこれを越えて売れている海外アニメが同時公開中です。次の次くらいにその作品について取り上げる予定です。下のイラストはウシ先生が描いてくれた赤ちゃんモアナ。か~わい~な~~


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March 06, 2017

お熱いドッグがお好き コンラッド・ヴァーノン&グレッグ・ティアナン 『ソーセージ・パーティー』

Sp1いまや全然珍しくもなくなったフルCGアニメーション。「こういうの、前にも観たなあ」と思うことが多くなってきました。しかし先ごろとびっきり個性的で珍妙でお下劣なCGアニメが登場いたしました。『ソーセージ・パーティー』、ご紹介しましょう。

そこはとある町のスーパーマーケット。食品たちや製品たちは、いつか神(お客さん)に選ばれて、店の外へ出ていくことを夢見ていた。そこはきっと素晴らしい楽園に違いないという伝説を信じて。ソーセージのフランクもその一人というか一個だった。そしてあわよくば隣で売られているセクシーなパンと楽園で結ばれたいという妄想にもふけっていた。だがその甘い夢は奇跡的に外から戻ってきたハニーマスタードの証言により打ち砕かれる。彼が言うには外界は神が食品を貪り食い、商品を消費する恐ろしい世界だというのだ… 

まあなんで主人公がソーセージかというとですね。いわゆるなにかの比喩なわけですね。そしてソーセージを挟むパンも何かの象徴なのです。そしてソーセージとパンが合体するということは… ああ、もうこれ以上はちょっと言えません!
かようによくこんな下品なこと思いつくなあ、そしてそれをアニメでやるなあ…とあきれ果てるのですが、テーマが何もないかといえばそんなことはなく、意外と考えさせられるお話になっています。飽くことなく必要以上にモノを買い、食べる人々の姿が実に醜く目にうつるのですね。こうはなりたくはないなあ…と思いつつももうすでにそうなっているのかもしれません。

お話は最初こそピ○サーの名作のようなムードで始まります。というかやはりこの映画、下ネタをぶち込んだ『トイ・ストーリー』のような趣があります。主人公たちが人間たちとコミュニケーションが取れなかったり、おとぎ話を信じ込んでるあたりとかね(そして現実は厳しい…)。あらためてかの作品の偉大さに感じ入りました。
そして世界の真実が明らかになったあたりから、今度は途端にホラー調になります。これがまあやっぱり絵柄はそのまんま漫画調なんですけど、妙にシュールな怖さがありまして。メシ・フロ、済ませたあとのレイトショーなのでちょっとうとうと来てたんですが、そのあたりから急にしゃきっといたしました。

食べられるしかないと運命を悟ったソーセージたちは果たしていかなる決断をくだすのか。そこから先が本当に想定を超えるというか、ぶっとんだ展開を見せます。R15指定ならではの残酷描写や下ネタもバンバンヒートアップしていきます。クライマックスの一シーンなどは劇場全体にすごく気まずいムードが漂ったりもしました(笑) しかし、まあそれをさしひいても一見の価値がある…と言っていいのか。大変人を選ぶ映画であることも確かです。

Sp2で、この『ソーセージ・パーティー』、こちらで上映されたのもだいぶ遅れてからだったので、もう明後日にはDVDが出ます。ご興味おありの方はぜひお子様の目の届かないところでご覧くださいまし。セス・ローゲン、エドワード・ノートン、ポール・ラッド、ジョナ・ヒルなど声優陣がなかなか豪華なのも見どころ…というか聴きどころです。


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