July 20, 2021

4~6月に観た個性的なアニメ映画について

忘れたころのブログ更新… 今回は春ごろに観たアニメ映画4作品についての備忘録であります。

 

☆『RED LINE』

10年前に作られたSFアニメ。そんなにメジャーでもないのに今回10周年記念上映などやっていたので「それほどのものなのか…」と思い観てきました。手短に紹介すると宇宙を舞台にした『チキチキマシーン猛レース』ですね。それに恋愛と友情と怪物と国家の陰謀と男の意地やらなんやらが絡んで大したてんこ盛り状態でした。

とはいえメインとなるのはあくまでレース。多少の物理法則は気合と勢いで全てふっとばす、迫力に満ちた作画と動きを堪能させてもらいました。このノリ、いかにもTRIGGERっぽいな…と思ったらやっぱりスタッフに今石洋之氏やすしお氏の名前がありました。というわけでプレTRIGGER的な作品としても楽しめるかも。

 

☆『JUNK HEAD』

日本ではめずらしいストップモーションアニメ。製作に7年を費やしたそうです。人類が生殖能力と引替に無限の寿命を得た世界で、一人の青年の秘境と化した地下世界での冒険が描かれます。ギレルモ・デル・トロやシュバンクマイエル、『エイリアン』に通じるグロセンスに加え、それらに独特なキュートな造形も混じっているところに強い個性を感じました。

万人に受ける作品じゃないと思うんですが「お好きな人にはたまらない」ものがあり、自分などはついつい3回も観に行ってしまいました。そういう一種の中毒性を有しております。

ちなみに3部作構想とのことで今回はお話の途中で突然ぶつっと終わります。続編を待望する一方でこのまま終わったらそれはそれで美しいかな、とも

 

☆『トゥルーノース』

フルCGスタイルで北朝鮮の強制収容所の実態を描いた異色の作品。なんで実写でやらんのか…と思いましたが、実際に収容所のセット作ったりたくさんの朝鮮系のモブキャストを集めるよりかはこの方が安上がりだったからかもしれません。

どうしても戦後まもなくっぽいような印象を受けてしまいますが、これ21世紀に入ってからの時代設定のようで。父が反政府活動を行っていたために地獄のような環境に放りこまれながらも、純粋さを失わず他の人のために行動する兄妹の姿に心打たれます。

完全な実話ではないものの、多くの人の証言を元に作られた映画だそうで。希望を捨てないことがテーマとなってはおりますが、彼の地で苦しんでいる人たちがいつか解放される時代は来るのだろうか…と重い気分にさせられました。

 

☆『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

上半期最も楽しみにしていた作品のひとつ。日本を代表する大河アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズの最新作です。

鑑賞前に原作を読んだとき「これ、映像というか娯楽にはむかない話だよなあ…」と思いましたが、原作にかなり忠実であるにもかかわらず絵の美麗さに圧倒されてしまって、気がついたら1時間半経ってしまいました。ガンダム=ロボアニメの方式というより京アニの文法で作られております。

監督がインタビューで「ロケハンに行けてないので2作目の進行が遅れている」とおっしゃってたのですが、ガンダムにロケハンって必要なのか??と思わずにはいられませんでしたw まあこれまでのシリーズはされおいて、『ハサウェイ』はそれが必要不可欠なスタイルで作られているということですね。ですから宇宙空間の未来未来した光景はごくわずかで、あとの背景は我々の世界とそんなに変わりが無く。唯一の違いはその世界に時々モビルスーツが大暴れすることです。

主人公がいわゆる「テロリスト」である点も思い切った要素のひとつです。主人公は純粋なんですがその過激な行動は「2.26事件」か日本赤軍のそれを連想させます。対する連邦政府は連邦政府で骨の髄まで腐敗しきっていたり。そんなどこにも正義のない戦いにひきながらも、いきいきとしたキャラクターたちの躍動に目を奪われてしまいました。

これまた3部作の1作目。できれば「衝撃の結末」は変えてほしいんですが、これを見た限り監督さんは原作どおりやる気満々のようです。む~~~ん…

 

次回は4,5月に見た作品でまだ感想を書いてない『21ブリッジ』『ジェントルメン』『ファーザー』などについて書く予定です(いつのことやら)

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December 24, 2020

第17回SGA屋漫画文化賞

2020年もあとわずか。本日は17年も続いてるのに誰も知らない漫画賞「SGA屋漫画文化賞」を開催します。例によって賞品も賞金もありません。むしろわたしがほしい。では参ります

 

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☆スポーツ漫画部門 コージィ城倉(原案:ちばあきお)『プレイボール2』

今年の「またか」案件その1。巨星ちばあきおの遺産を直球で引き継ぐこのシリーズも10巻目となりました。この巻ではいよいよ第1部ラストでケチョンケチョンに負けた谷原高校と公式戦にて相対することになります。果たして墨谷は甲子園に行けるのか… ってか、行かんでどうする。同時進行で連載されてる『キャプテン2』の単行本化も早くお願いします。

 

 

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☆アクション漫画部門 原泰久『キングダム』

今年の「またか」案件その2。長寿連載となったこの漫画も、ここに来て大きな節目を迎えます。宿敵であった龐煖との決着。そして主人公信にとうとう姓が与えられます。もしかしてやはりライバルである李牧が由来に関わってくるのかな?と予想してましたが全然違いました。中華統一まであとどれくらいかかるかなー

 

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☆恋愛漫画部門 をの ひなお『明日、私は誰かのカノジョ』

日がなスマホばかり見ていると広告につられて漫画を読み始めてしまうことがしばしばあります。これもそのうちの1作。正直自分には似つかわしくない作品ではありますが、恋愛と執着と商売のわかりやすそうでわかりにくい境界が非常に丁寧に描かれています。あとろくなオッサンが出てこないので反面教師として勉強させていただいてます。

 

 

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☆格闘漫画部門 丸山恭右 『TSYYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

スマホ広告につられて読み始めた漫画その2。一見オタク風の冴えないコンビニ店員が、実は世界各国が垂涎して求める神にも等しい格闘者だった…というストーリー。第1部はほとんどギャグでしたが第2部に入ると彼をめぐって対決する選手たちの過去がどれも重苦しく、それだけに応援したい気持ちがたかまっていきます。そしてそれをただ傍観している主人公…というちょっと異様な状況。でもこれが何でかすごく面白い! 年明けから始まる第3部にも大いに期待してます。

 

 

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☆ドラマ漫画部門 吉田秋生『詩歌川百景』

一昨年堂々の完結を迎えた『海街diary』。海の次は山だ!とばかりに今度は山間の温泉街を舞台とした一人の青年の成長ドラマが描かれます。ドラマ言うてもお話の起伏はさらに淡々としていて、どこにでもあるような人々の哀歓が実につつましく綴られていきます。だけどこの静かさ、シンプルさが非常にいいんですよね… 人情の機微を描写することには定評のある吉田先生のひとつの到達点。

 

 

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☆SF漫画部門 松本直也『怪獣8号』

これまたウェブで話題を呼んでる作品ですが、ジャンププラスにて掲載された第1話からTwitterトレンドでバズリまくった異例中の異例とも言えるコミック。怪獣が災害として普通に跋扈する世界で、超常の力を手にしてしまった男の戦いと友情。恐らく『デビルマン』『寄生獣』「新劇の巨人』と続く「異形系」の系譜に連なる漫画でありながら、それらにありがちな暗いムードが(今のところは)ほとんどありません。『仮面ライダークウガ』や『パシフィック・リム』の影響も見受けられますが、ちゃんと自分の個性の中にそれらを落とし込んでるのが見事。間違いなくいま最も面白い漫画のひとつ!です!!

 

そして今年のベストワンであります。

 

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☆大賞 吾峠呼世晴 『鬼滅の刃』

まったく面白くもなくすこぶる順当な結果でありますが、大賞は2020年列島を騒がせまくったこの作品といたします。大正時代、母のように優しい主人公という少年漫画にしては異例の設定でありながら読む人を次々と虜にしていく魔性のコミックであります。

私自身も今年は鬼滅に踊らされた一年でありました。ほぼ年明けくらいに読み始め、あっという間に単行本を買いそろえ、五月に完結を目撃し、秋に映画に涙し、年末に最終巻をゲット…という。「漫画・本屋・紙の本はオワコン」という声が囁かれる中それらをバコーンとひっくり返してくれたのが誠に痛快でありました。願わくばこの作品をきっかけに本・漫画・書店の隆盛がもう少し続きますように。

 

 

今年は停滞しまくった当ブログですが、もう少ししたら恒例の映画ベストを書きます。誰にも求められてなくとも(笑) それをもって2020年の締めくくりといたします。

 

 

 

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February 03, 2020

年末アニメ祭り②白と黒の衝撃 『ひつじのショーン UFOパニック!』『羅小黒戦記』

Farmageddon_20200203204601 まだ年末の話が終わりません… 2019年はどん詰まりに来て年間ベスト級のアニメ映画が立て続けに公開されて大変困りました(いや、別に困ることはないか)。1本目は『ひつじのショーン UFOパニック!』。英国ののどかな農村を舞台にしたTVシリーズの劇場版第二作。今回はETよろしく地球にやってきた迷子のエイリアンをめぐって町全体…どころか宇宙規模の大騒動が巻き起こります。恐らく『ひつじのショーン』最大のスケールかと思われます。が、中心となるのはあくまでいつもの農場。このギャップがなんともいえません。

そして特筆すべきは前作 と同じように「フゴフゴ」「フガフガ」という意味不明語のみで1時間半押し通すこと。それでいてちゃんと話は通じるししかも面白い。これね、相当な離れ業ですよ… まあ正直言うと前半は「標準くらいの面白さだな」と思いながら観てました。ですが中盤くらいでさすがにこれは我らがショーンでもどうにも出来まい…という大惨事が生じてしまいます。しかしそれでも普通に解決しちゃうんですよね、ショーンは。一介のひつじであるのにおおよそ不可能なことはないという恐ろしいキャラクターです。でも本人?の頭にあるのは日々を楽しく過ごし、愉快な遊びを探すことだけという。こんな兄貴分いたらいいなあ…と思わずにはいられません。ひつじだけど。

もう1本の『羅小黒戦記』もかわいらしい姿なのに、実は無敵な小動物が主人公のアニメ。住処の森を追われた黒猫の妖精「小黒(シャオヘイ)」」が、人間界と妖精たちの争いに巻きこまれていくというストーリー。『平成狸合戦ぽんぽこ』に異能力バトルを混ぜ合わせたようなスタイルなのですが、この作品の魅力はなんといっても小黒のキュートなデザイン。特に猫好きにはハートを錐で突き刺すくらいの威力があります。だからもう小黒が悲しい声を出せば泣きたくなるし、嬉しそうにしてると鼻水が垂れ流れてきます。ただ先にも書いたようにこの小黒、かわいいだけでなく実はとんでもないパワーを秘めた言わば「神」に近い存在。だのに本人?はいたって無自覚というところもショーンに通じるものがあります。

この2本そんな風に似てるところもありますが、作品のベクトルは好対照です。『ひつじのショーン』はそれはもうすがすがしいくらいに、人を笑わせ、楽しませることを目的とした作品。観終わったあとそんなに心に残るものはないかもしれませんが、それはもう清々しく幸せな気分に包まれます。一方で『羅小黒戦記』はやはりエンターテインメントでありながら、現代中国の抱える問題をやんわりと風刺しております。お堅いかの国でもこういう映画が作られ、しかもそれがヒットしたというのは喜ばしきことですね。そしてこちらはこちらで鑑賞後ほっこりとした暖かい気持ちにさせられます。

個性と完成度の優れたこの2作品ですが、日本ではあまり注目を浴びなかったり上映館が少なかったりするのは残念なことです。配信・発売が開始されたら一人でも多くの人に見ていただきとうございます。また『羅小黒戦記』の方は阿佐ヶ谷の小さな映画館「ユジク阿佐ヶ谷」にて未だに満席のロングランを続行中。お近くにお住まいで興味をもたれた方はぜひスクリーンで小黒に会いに行ってみてください。

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January 28, 2020

年末アニメまつり①さよならは別れの言葉じゃなくて 『アナと雪の女王2』『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

Olaf_getty まだ年末の話をします。昨年の暮れはそっち方面の注目作がいっぱいあったのでアニメ映画ばかり観ておりました。本日はその中の3本をほぼネタバレ大全開で語ってみます。

ひとつは今もなお大ヒット公開中の『アナと雪の女王2』。世界的、とりわけ日本で記録的興行を打ち立てた新時代のディズニープリンセス映画の続編。絆の力で試練を乗り越えた姉妹の前に、新たな危機が訪れます。

Sakuhin017589_1 ふたつめは『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』。たれぱんだ、リラッくまなどで知られるサンエックスがまたしてもど派手にあてたかわいらしいキャラクターたちの劇場版。わたくし全然知らなかったのですが、ツイッターで「なんか映画版はすごいらしい」「まどか☆マギカを彷彿とさせる」という評判を読みつられて観にいっちゃいました。

5549_item01 みっつめは『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』。2010年に日本公開され、大人の事情で2作目が劇場スルーされたシリーズが奇跡的にスクリーンに帰ってきました。わたしの知る限りこんな例は他には『トリプルX』くらいしかありません。多くの冒険を繰り広げてきた少年と竜のコンビが、竜のハンターたちや移住問題と戦います。

この3本どれも楽しく鑑賞させてもらいました。で、気づいたのはどれも最後に「お別れ」が待ってるということでした。夏にやってた『トイ・ストーリー4』、昨年の『シュガーラッシュ・オンライン』もそうでした。そういえばわたしが子供のころなじんでた名作アニメにはそういう切ない話が多かったなあ。『銀河鉄道999』『ルパン三世 カリオストロの城』『ドラえもん のび太の恐竜』『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』などなど。ただ昔の作品の場合は「もう二度と会えない」的な胸にツーンとくるものが多かったのですが、最近のものは「会おうと思えばたまには会える」的なものが多いですね。

あとそれぞれのお別れも似てるところもあれば違うところもあり。『アナ雪2』の場合は「え!? そんなにあっさりでいいの!?」というくらい淡白でしたが、この作品と『ヒックとドラゴン』は「お互いの種族のために最善の道を選ぼう。離れていてもこころはひとつ」という感じでした。クリエイターとしては「いつまでも一緒にべったりだと共依存になってしまう。絆を保ちつつそれぞれ自立しなければいけない」ということを訴えたいのかなあ。ただ『ヒクドラ』1作目の結末が好きだった者としては「ずっとずっと隣にいたっていいじゃねえかよ!」と思ってしまうのでした。いいとしこいて独りもんだからでしょうか。

対して『すみっコぐらし』は「一緒にいたいのに生まれもった性質ゆえにそうできない」というハートがキリキリするようなものでした。小さなお子様も観るだろうになんと容赦ない… それはともかくメインキャラである「すみっコ」たちがほとんどしゃべらず、ナレーター二人の語りだけで進行していくスタイルはなかなか独特でした。

やっぱりなにもかもがハッピーエンドの作品よりは、切ないお別れ的な結末の方が心に残るものです。 だからといってそちらの方が優れているというわけでもなく… 結局おれは何が言いたいんだ! ふんがーー!!(飲酒中)

次は年末アニメ祭り後編として『ひつじのショーン UFOフィーバー!』『羅小黒戦記』について書きます。

 

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December 29, 2019

第16回SGA屋漫画文化賞

今年も残すところあと2日。誰も存在を知らないこの漫画賞の発表でございます。例によって賞品も賞金もありません。むしろ欲しい。では参ります。

Photo_20191229222601 ☆少年漫画部門:板垣巴留 『BEASTERS』

お友達の激押しに動かされて読んでみた作品。少年誌において動物が主人公の学園ドラマという恐ろしく挑戦的な内容。にも関わらず人気を博しアニメ化までされました。わたしゃまだ3巻までしか読んでませんが、高校生ながら優しくハードボイルド道を突き進むルゴシ君のキャラクターに惹かれます。

51rs9e4rd2l__sx345_bo1204203200_ ☆少女漫画部門:帳六郎 『千年狐』

中国の志怪小説集『捜神記』をベースに、妖怪と人間の交流をキュートに描いた作品。作者のモフモフ描写にはなみなみならぬものがあり、見ているだけでその柔らかさが手に伝わってくるようなタッチ。ギャグ調でありながら泣かせるところはしんみり泣かせてくれます。

91nsc3ncyul ☆青年漫画部門:原泰久  『キングダム』

もうこれはいまさら紹介するまでもありませんが、『プレイボール2』『ハンチョウ』と並んで今年も最も多く元気をもらった作品なので。年末ギリギリのところで大一番的な激闘が繰りひろげられ、大変ヤキモキハラハラさせられました。映画版も大ヒットしめでたいことであります。

9784065177259_w ☆中年漫画部門:萩原天晴・上原求・新井和也 『1日外出録ハンチョウ』

そういうわけでオヤジ部門は当然この作品です。というかこの漫画が終わるまでこの部門は自動的にこれが受賞する感じです。最新第7巻では「上野科学博回」と「筋肉自慢回」が特にツボでした。福本ワールド関連では『新・黒沢』も盛り上がりました。

Photo_20191229225801 ☆ギャグ漫画部門:野中英次・井野壱番 『クロマティ高校職員室』

なんとあの脱力ギャグの金字塔『クロマティ高校』が約13年の時を経て復活。作画こそ別の方ですがムードも面白さも全然変わって無くて嬉しくなっちゃいました。「続編だかスピンオフだか決めてないのでスピンオフ続編ということにしてください」とそんな投げやりなところもクロ高らしい。

Kvteaser3 ☆アニメ部門:今石洋之『プロメア』

2019年は国内だけでも意欲的なアニメ映画がいっぱい公開されましたが、わたし的ナンバー1はこれ。今石広之&中島かずきの『グレンラガン』コンビ最新作と来たらこれが燃えずにいられましょうか。堺雅人氏演じるクレイのぶち切れたシャウトは各界で絶賛を浴びました。

そして栄えある大賞は

565712w300☆『バットマン ディテクティブ・コミックス』

邦訳部門と合わせてダブル受賞です。今年はバットマンが「発明」されてからちょうど80年という大変記念すべき年でした。画像の「ディテクティブ・コミックスはそれにあわせた通算1000号。2019年は映画的にはさびしいバットマンでしたが、代わりに宿敵の作品『ジョーカー』が予想を覆して大ヒットしましたのでそれで良しとしておきましょう

明日は姪っ子たちが来る中隙を縫って映画ベストの記事を書きます。それをもって2019年のブログ締めといたします。

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October 30, 2019

北極点に進路を取れ レミ・シャイエ 『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』

こないだから子猫を引き取ってしまったので更新が滞りがちです… 今回は名だたる賞に輝きながら3年もの間日本未公開だったアニメ映画『ロングウェイ・ノース 地球のてっぺん』ご紹介します。

19世紀ロシア。北極点を目指して消息を断った探検家の祖父を追い、貴族の少女サーシャは北の海へ旅立つ。世間知らずの身ゆえ苦労を重ねながらも、サーシャはようやく目的を果たすための船と乗組員を手に入れる。だが行く手には荒海と極寒と氷壁が待ち受け、さらに果てない苦難が少女たちを襲うのだった。

まず帝政末期のロシアが舞台というのがアニメでは珍しい(他は『アナスタシア』くらい?)。ほんでもって制作はデンマークとフランス。丸っこいキャラデザと淡い色調は『ソング・オブ・ザ・シー』などで知られるトム・ムーア作品を思い出させます。あちらよりはまだ頭身が伸びやかではありますが。

映画を観る前はサーシャちゃんは根っからのお転婆娘なのかと予想していましたが、実際はかなり育ちのいいお姫様でございました。そんな箱入りのお嬢さんがおじいさんのために慣れない仕事をがんばってこなし、ついには荒くれどもも舌を巻く冒険家になっていくのですが、その成長ぶりにおじさんはただただ感心するばかりでした。

一方で男どもはどいつもこいつも問題児ばかり。一番人格者の船長さんでさえ堅物すぎるところがあるし、その弟は悪いやつじゃないんだけどチャランポランな野郎であります。サーシャを慕う下っ端の少年も肝心なところで彼女を責めたりします。でもまあダメンズたちもそれぞれに反省し、最後には一丸となって目的を果たそうとがんばる姿は微笑ましゅうございました。

児童文学と冒険小説を見事に融合させたようなそのストーリーはどこまでもまっすぐで、ひたすら気持ちがよかったです。これからロシア貴族たちは大変な時代を迎えるわけですが、サーシャさんならば気丈にその激動を乗り越えていけることでしょう。

このアニメは普通の映画館ではなく恵比寿の写真美術館というところで鑑賞いたしました。こちらとすぐ近くの恵比寿ガーデンシネマ、そして阿佐ヶ谷のユジク阿佐ヶ谷の3館はがんばって欧米の個性的なアニメを上映してくれてるので地方の身ながら感謝しております。『ロングウェイ・ノース』も写真美術館では公開が終わってしまいましたが、ユジク阿佐ヶ谷でひきつづき上映が決まっておりますので気になった方はそちらでごらんください。

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October 10, 2019

ベル・エポックを君と ミシェル・オスロ 『ディリリとパリの時間旅行』

『キリクと魔女』『アズールとアスマール』などで人気の高いフランスのアニメ作家ミシェル・オスロ氏の最新作。本日は19世紀末のヨーロッパで元気な女の子が冒険を繰り広げる『ディリリとパリの時間旅行』について書きます。

パリの万国博覧会で故郷を紹介するためにニューカレドニアからやってきた少女ディリリは、会場で郵便配達の少年オレルと知り合う。パリについてもっと知りたいと願うディリリは、オレルに頼んで町の様々なところを訪れ、数多くの研究者・芸術家と出会う。折りしもそのころ世間では少女の誘拐事件が続いていた。さらわれた女の子たちを助けるため、ディリリとオレルは犯人グループの所在を突き止めようと奮闘する。

オスロ監督といえば民話や昔話のアニメ化をずっとてがけておられましたが、今回は近代と現代の境目あたりの、かなりわたしたちに近い時代のお話となっております。「時間旅行」とありますがタイムマシンが出てくるわけではありません。21世紀のわたしたちをいわゆる「ベル・エポック」の時代に連れて行ってくれる、というわけでこのような邦題がついたものと思われます。キュリー夫人からピカソにプルースト、ロダンにギュスターブ・エッフェルなど、わたしでさえ知ってるような歴史上の偉人が次々と登場。まさに「石を投げれば有名人に当たる」状態。歴史ファンにはたまらないものがあるかと思われます。パリ万博が舞台で黒人の女の子が地元の少年とレトロな乗り物で追跡劇を展開するあたり、おっさんのアニメファンとしては『ふしぎの海のナディア』第一話を思い出したりしました。

「ヨーロッパのアニメだなあ」と強く感じたのはヒロイン・ディリリの奇抜なヘアスタイル(下画像参照)。当時のニューカレドニアの平均的な髪型だったのでしょうか。まるで幅広のリーゼントのようです。ただ一生懸命ぴょこぴょこ動いているディリリちゃんを見ているうちにかわいく見えてきました。大人にもはっきりと意見を述べる一方、誠実に向き合ってくれる人にはドレスの両端をつまんでおじぎする姿が大変キュートでした。レジェンドたちと対面するたびに「研究者になる!」「芸術家になる!」「発明家になる!」と触発されまくるのですけど、「君なら全部なれるよ…」と励ましてやりたくなりました。

そんないたいけな少女を狙う誘拐集団の目的・手段がなかなかにエグくて、この辺は正直ひきました… けれど過酷な仕打ちをうけながらもまっすぐなこころをうしなわないディリリちゃん。ますます応援したくなるのでした。

これまでのミシェル・オスロのスタイルを踏襲しながらも、さらに作り込まれた美術も堪能させていただきました。華やかなパリの街がきめ細かく精密に書き込まれていて、実写なのか絵なのかわからない背景も多々ありました。たぶん絵だと思うんだけど… またクライマックスで夜の街を滑空する飛行船の描写も息を呑むほどに美しゅうございました。

『ディリリとパリの時間旅行』はかれこれ一月ほど前に見たのですが、まだ今月下旬まで恵比寿ガーデンプレイスで上映中。その後もぽつぽつと各劇場を回るようです。今年は小規模ながら、『ロングウェイ・ノース』『アヴリルと奇妙な世界』『ブレッドウィナー』と勇ましい少女を主人公とした欧州アニメの公開が続いております。『ロングウェイ・ノース』も見てきたので近々レビューいたします。

あとどうでもいい話ですが、この映画見た日台風が関東を直撃して、家まで帰るのにけっこう苦労しました(笑) みなさん、明日からの大型台風にどうぞお気をつけくださいー

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August 20, 2019

傷だらけの… 新海誠 『天気の子』

『君の名は。』でジブリに匹敵するほどのブレイクを成し遂げた鬼才・新海誠。言うまでもありませんけど、その待望の新作が現在公開中であります。『天気の子』、紹介いたします。

わけあって離島から東京へ家出してきた少年・帆高。ネカフェ難民として苦しいくらしを続けた後、彼は怪しげなフリーライター須賀に拾われ、怪しげな都市伝説を調査する仕事を見つける。なんとか仕事も板についてきたころ、帆高はチンピラにつきまとわれていた少女陽菜と出会う。彼女はなんと帆高が取材の際うわさを聞いた「空を晴れさせる能力を持つ少女」だった。

前作のあまりの大ヒットぶりに置いてかれた元からのファンが、「おれたちの新海が帰ってきた!」と喜んでいる本作品。たしかに『君の名は。』よりも直情的というか、作家性が強く表れた映画となっていました。でもやっぱりこの二作で新海監督は大きく変わったと思うんですよね(自分はまだ未鑑賞作品もあるなんちゃって新海ファンですが)。以下にその理由を述べます。

以前の新海作品の主人公はすかした感じのかっこつけた少年がほとんどで、心の中はともかく表面上はエッチなことなど全く考えてないようでした。が、帆高くんと瀧くんは普通におっぱいに興味があるようです。そのことを指摘されて真っ赤になって否定するシーンもあったり。こんなにかっこ悪い姿を以前の新海作品の主人公が見せることはなかったように思います。

もうひとつは「ムー」です。まさか二作続けて新海さんがこの雑誌をキーアイテムとして用いて来ようとは夢にも思いませんでした。胡散臭さの点では東スポに匹敵する「ムー」(すいません)が恋愛ものの小道具として用いられた例は、わたしは他には『ぼくの地球を守って』しか知りません。ちなみに監督は地方の建設会社の御曹司で「ムー」の愛読者だったそうなので、キャラ的には『君の名は。』のテッシーに近いようです。

さらにもう一点ありますが、それは後に回します。

『天気の子』ではこの作品独自の要素も幾つかあります。新海作品といえばキラキラピカピカしたビジュアルが特徴ですが、本作品ではそれよりむしろ薄暗くドバドバ降り続く雨のシーンが多い。それでもかびくさい感じはせず、清潔感・透明感にあふれているのが彼らしいですけど。

あと貧乏描写もこれまでには観られなかった点です。前作でがっぽがっぽ稼いだはずなのに、なぜこれほどまでにジャンクなご飯描写が真にせまっているのでしょう。「貧乏」といえば、実は自分がこの映画にとりわけ感心をひかれたのは、懐かしの名テレビドラマ『傷だらけの天使』のオマージュなのでは?と思うところが幾つかあったからでした。まず『傷だらけ~』の舞台であった代々木会館がこちらでも重要な建物として登場します。また、主人公たちは無垢な人たちのために奮闘し、貧乏でありながら安い食べ物をおいしそうに食べ、明るい未来が全く見えない中でも懸命あがきつづける、そういう姿も通じるものがあります。さらに『傷だらけ~』のオサムと同じく『天気の子』の須賀には離れて暮らす幼い子供がいたり。明確なソースはございませんが、監督はけっこう意識してたのでは、と思い込んでおります。

『天気の子』は不思議な偶然というか、まさに今の時期にぴたりと合わせて公開されたような作品でもあります。ずっと長雨が続いてて、ようやく晴れたその日が公開日だったり、先の代々木会館が封切りからまもなくしてとうとう取り壊されたり。またこの映画の本当に直前に京都アニメーションの悲しい事件がありました。図らずもこの映画はその悲劇に対する鎮魂歌であり、亡くなった方たちの遺志を継ぐ決意表明となってしまった気がしてなりません。それなりに映画を観続けておりますが、こんなにも「時」に呼ばれてきたような例はちょっと記憶にありません。

以下は結末に触れてるのでご了承ください。

 

 

 

 

『君の名は。』以降で変わったな、と思った三つ目の点は、「ハッピーエンドに対するこだわり」です。前作も今作も物悲しい結末にしようと思えばいくらでもできたはずなのに、強引にベタなハッピーエンドに落とし込んでいます。でもそんな優しい新海監督の方が自分は好きです。ヒロインが『秒速5センチメートル』とおなじ「きっと大丈夫」というセリフをいうところに一抹の不安を感じないでもないですが…(あちらは全然大丈夫じゃなかったので…)

というわけで『天気の子』は予報通り現在大ヒット公開中です。前作には及ばないでしょうけど、おそらく本年度最高の売上を記録するのでは。今の時期は『トイストーリー4』『ライオンキング』『ワンピース』などもあり、ここ3年くらいで最も映画館に人があつまっている気がします。そんな盛況が嬉しいわたくしでございました。

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August 08, 2019

玩具の神様 ジョシュ・クーリー 『トイストーリー4』

Ts 本年度最速と言われるほどに収益を稼いでおきながら、ネットでは賛否両論大激突となっているシリーズ最新作。本日はそんな『トイストーリー4』について語らせていただきます。9年前に書いた前作『3』の感想はこちら。

長年の友アンディと別れ、新たな所有者ボニーのオモチャとなったウッデイたち。だがボニーはほどなくしてウッデイに飽き、自分がゴミでこしらえたフォーキーに夢中になってしまう。それでもボニーのためと健気にフォーキーの世話に励むウッディ。そんなある時ボニー一家がバカンスに訪れたあるレジャー施設で、ウッディは離れ離れになった恋人のランプ、ポーと再会する。

すいません… 今回もまたのっけからネタバレ全開で。以下は「絶対に観ない」「すでに観た」という方だけごらんください。

 

 

思えば何から何まで完璧だった『トイストーリー3』。まださらに続けると聞いた時、「それはいるのか?」とわたしも思いました。ただ前作でたったひとつ不安になったことをあげるならば、それは「ボニーが大きくなった時、ウッディたちはまた同じ悲しみを経験するんだろうな…」ということ。でもまあ、それはまだ先のことだろうと予想していたら、本作の冒頭で早くもウッディに飽きているボニー。(現実世界では9年の歳月が流れていますが)まあ、なんと残酷なお話を思いつくのでしょう。ですが、子供というのは本来ああいう飽きっぽい生き物です。アンディのように何年も同じオモチャに愛情を注いでる方が少数派でしょう。わたしたちも胸に手をあてて思い出せば、買ってもらった当初はお気に入りだったのに数日で飽きてしまったオモチャを色々思い出せるのではないでしょうか。そしてこの『トイストーリー』は1作目から一貫して、様々な形で「子供の残酷性」をやんわり描いておりました。

それでもボニーのために、隙あらばゴミ箱に戻ろうとするフォーキーを諭すウッディ。1作目でお気にいりの地位を奪ったバズを陥れようとしてたころから比べると、驚くほどの成長ぶりです。そんな風に同じことを繰り返しているようで、決してマンネリには陥らないのが『トイストーリー』の真骨頂であります。ウッディは今回「いずれ手放されると知りつつ所有者の元に戻るべきか?」という「2」と同じ選択を迫られるわけですが、以前とは違う決定をくだします。

「おもちゃであるのならば、やはり自分から持ち主の元を離れるべきではない」「それはウッディらしくない。『トイストーリー』らしくない」という意見もよく聞きます。しかしこの度は『2』の時とは状況が違います。あの時はウッディはまだアンディに愛されてたからあえて「戻る」決断をしたのでしょうが、今回は別にボニーに必要とされてるわけではありません。見向きもされなくなっても、おもちゃであるならばそれに耐えていかねばならないのか? すでに同じ悲しみを味わっている彼に、わたしはとてもそんなことは言えません。そりゃウッディは確かにおもちゃかもしれませんが、1作目からずっと映画館で観続けているわたしからすればもう彼は映画のキャラクターというより24年来の親友であります(これまた一方的な友情ではありますが)。

とりあえずこれでウッディは「いつかは手放される」というオモチャの宿命から解き放たれたわけで。新たな門出に立った友達をわたしとしては心より祝福したい。残されたバズたちがちょっと心配ではありますが、ウッディの姿を見た仲間たちもしかるべき時にそれぞれ決断をくだすことでしょう。バズといえばこのシリーズはもともと「究極に面白いバディものを」という発想で作られた作品でしたが、バズとの出会いを始まりとし、別れで幕を閉じるとするならば1・2・3・4で見事に起・承・転・結に符号しておりました。

あととりわけ興味深かったのは、「おもちゃが誕生した瞬間」が見られたこと。新キャラクターのフォーキーはもともとは廃棄物でありましたが、ボニーがおもちゃとして作り上げた瞬間に自我が芽生え別の存在へと生まれ変わります。ここからこの世界ではメーカー製でなくとも、子供が遊ぶ対象として作られた時点でそれが「おもちゃ」となることがわかります。ただフォーキーは由来がゴミであるせいか、一生懸命ゴミ箱の中に戻ろうとするあたりに腹がよじれました。そんなフォーキーにウッディはオモチャとしての心得をこんこんと説きます。おもちゃというのはいつも子供たちに寄り添い、励まし、元気をくれる存在なんだと。こうなるとこの世界におけるオモチャは単なる物体の枠を越えてもはや守護天使といっていい存在にまで高められております。ただその愛情が必ずしも報われるわけではないあたり、あまりにも哀れな守護天使ではあります。

このフォーキーもそうですが、新キャラがいちいち魅力的すぎたり小ネタが充実しまくってるあたりも、「4」はまごうかたなき『トイストーリー』でした。特に忘れられないのはCMの演出が派手すぎたゆえに辛酸をなめることになったスタントレーサー、デューク・カブーン。変身ベルトを巻けば仮面ライダーになれると信じていたのに、現実はそう甘くなかったことを思い知らされた幼い日の記憶がよみがえります。射的ゲームの景品としてぶら下げられてた趣味の悪い色のウサギとヒヨコもシュールな漫才でにぎやかしてくれました。

大人たちはついあーでもない、こーでもないと議論してしまいがちですが、わたしが観た回でははじめてスクリーンでウッディやバズを観るお子様たちがおおはしゃぎで作品を楽しんでました。『トイストーリー』はおそらくこれからまだまだ子供たちに愛され続けるアニメとなるでしょう。おじさんも引き続き愛していきます。

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June 21, 2019

地球兄弟 五十嵐大介・渡辺歩 『海獣の子供』

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怪獣の次は海獣の話。文化庁メディア芸術祭漫画部門を受賞した五十嵐大介氏のコミックを、『鉄コン筋クリート』などのSTUDIO4℃がアニメ化。『海獣の子供』、紹介します。

海辺の町に住む少女琉花は夏休みに父の勤める水族館を訪れたことがきっかけで、海と空という不思議な兄弟と出会う。彼らは3歳まで主に海中でジュゴンに育てられたのだという。常識にとらわれない二人に翻弄されながらも、兄弟のことがどんどん気になっていく琉花。やがて彼女は海と空が「祭り」と呼ばれる地球規模の現象の中心であり、彼らに残された時が少なくなっていることを知る。

原作は未読なのですが、ぱっと見た限りとても動画にはしにくそうな絵柄。しかしSTUDIO4℃の超絶技巧によって、その繊細な線画が忠実に再現され、かつびゅんびゅんと動いておりました。また、その絵柄と調和して色合いも淡い水彩画のような趣があります。そんなタッチで描かれた海や星空、夕焼けの背景はためいきが出るほど美しい。元はといえば原作の絵なんでしょうけど、アニメを腐るほど観てる自分にもちょっと似たものが思いつきません。後半においてはさらに自然を超えたカタストロフィ的なヴィジュアルが暴走気味に展開されます。

恐らく評価が分かれるだろうな…と思うのはこのクライマックスの展開。中盤までの夏休みの雰囲気や、海辺で戯れる琉花たち、夏祭りや台風の風景などは現実感や郷愁が伝わって作品世界にじんわりひたれたのですが、そっからのぶっ飛ばし具合が半端ないもので頭の固いおじさんはちょっと振り落とされました(笑)。ま、こういうの日本アニメではありがちな流れですけどね。十代の少年少女の葛藤を描きながら、それが世界や宇宙にまでスケールアップしていき、抽象的で不可解な心象風景がぐるぐると描かれていくような。名作『エヴァ』や先の『プロメア』にもそういうところはあるのですが、これらは最初から非現実的な話とわかってたせいか普通についていけました。が、『海獣の子供』は現実の描写も極め細かすぎたゆえに、そのギャップがちょっと気になってしまいました。

でもまあ、本当に美術力という点ではものごっつい作品です。ジブリや新海監督ともまた違ったこのアート的なスタイルをSTUDIO4℃にはこれからも継続していってほしいものです。昨年の『ムタフカズ』 もアホらしくてクールでかわいくてとても好きなんですが、あまり話題にならなかったのが残念です。

ちなみにこの映画、先ごろ結婚で話題になった蒼井優さんも声優で出ておられます。だんなさんとうまくいってない奥さんの役でしたが、現実世界では円満な夫婦生活を送られてください!

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