July 17, 2018

蝙蝠忍法帖 水崎淳平 『ニンジャバットマン』

20180623_152143なにかと斜め上から攻めてくるDCコミックスの最新映画は、『~VS鷹の爪団』につづく日本のアニメスタジオとのコラボレーション。『ニンジャバットマン』(すげえタイトル…)、ご紹介します。

ゴリラのマッドサイエンティストの実験により、中世の日本に飛ばされてしまったバットマンとその仲間たち、そして宿敵たち。ジョーカーをはじめとするヴィランたちは諸国の戦国大名になりかわり、天下統一を果たさんとしのぎをけずる。時間も国も違う状況ながら、それでも正義を貫くバットマンは、ファミリーとともに「ヴィラン大名」に敢然と戦いを挑む。

どうですかこのいかれまくったストーリー… わたしはてっきりDCでいう「エルスワールドもの」(もしバットマンが異なる時代に生まれていれば…みたいな話)かと予想していたのですが、一応バットマン正史にも無理やり組み込めなくはない話でした。
で、脚本がアメコミにも造詣の深い中島かずき先生なので、意外とキャラクターたちは原作の設定を忠実に踏襲していたりします。『フラッシュ』から珍妙な悪役のゴリラグロットをひっぱってきたり、別に全員出さなくてもよいのに歴代のロビン兄弟のそろい踏みをさせたり。その辺から先生の並々ならぬこだわりがうかがえます。ちなみにロビン軍団を初見の方たちに簡単に説明すると

ナイトウイング…初代。チャラいようで苦労人。サーカス出身
レッドフード…二代目。一度死んでヴィランになったことも
レッドロビン…三代目。頭脳・技術派。一番普通
ロビン…現役。最年少だが暗殺技術を習得してる

という感じです。
ただ一方で中島先生の別な趣味も大暴走してました。この方はロボット系にもめっぽう愛情を注いでる方なんですよね… それをこの『ニンジャバットマン』でもいかんなく発揮しておられました。クライマックスなどは「バットマン」ではなく別の何かを見ているような錯覚を覚えたほどです。
わたくしこの作品を舞台挨拶付きで鑑賞したのですが、その時のスタッフのお話によると「半ズボンの小学生6年生あたりが一番観ていて楽しい映画」とおっしゃってました。あと「明らかにおかしい状況でも作中では誰もつっこまない。つっこむのは観客の皆さん。だから無言で観られるととてもつらい」とも。幸いその願いがかなって応援上映の企画もポツポツ行われているようです。
あと『鷹の爪団』の時はとにかく「お金がない」ということが強調されてましたが、今回はわりと潤沢な資金があったようです。その甲斐あってか菅野祐悟先生の勇壮なスコアが鳴り響き、『ポプテピピック』とは全く異なる「神風動画」の本気の超絶技巧が拝見できます。途中ちょっぴり「AC部」になってたところもありましたが、それはそれでご愛嬌。
たとえ周りのすべてがボケようとも、己のポリシーを曲げずに正義を貫くバットマン。金も地位もスーパービーグルも失いながら、自分を自分たらしめているのはその肉体と精神なのだ…ということは決して見失いません。そしてなによりバットマンって意外と日本刀がめちゃくちゃ似合うのです。そのチャンバラのためだけでもこの映画は観る価値があります。

20180623_170607『ニンジャバットマン』は上映劇場が少ないので近くでやっている方は大変ラッキーです。そろそろ一陣は公開が終わりそうなのでだまされたと思ってこの映像ドラッグを味わってきてください。本当に「だまされた!」と思われたらその時はすいません。隣の画像は舞台挨拶の時の様子。まめつぶみたいだなー


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July 04, 2018

犬神家の獄門島 略して ウェス・アンダーソン 『犬ヶ島』

Igs1「すでに公開終了している映画」の紹介第二弾は、異才ウェス・アンダーソンが二度目のコマ撮り映画に挑んだ『犬ヶ島』でございます。

架空の日本。犬を憎むメガ崎市の市長コバヤシは、伝染病を媒介する原因として市内のすべての犬を離れ小島の「犬ヶ島」に隔離してしまう。だが自分に尽くしてくれた愛犬を諦めきれない市長の養子アタリは、単身犬ヶ島に潜入し、その犬「スポッツ」を救出しようと試みる。たまたまアタリと出会った4匹の犬たちはその心意気に打たれ、スポッツを探す旅に同行する。

最初に設定を聞いたとき首をひねりました。なぜ日本なのか。なぜ犬なのか。そこに理由はあまりないと思いますがたりない頭で考えてみました。

ウェスさんはアニメのオールタイム・ベストの1位か2位に『AKIRA』をあげておられました。ジブリ作品などもけっこうお好きなようです。つまり自分の手で好きな「日本のアニメ」を作ってみたかったのではないでしょうか。それがどうしてこうなったのかは謎ですが。正直AKIRAよりもジブリよりも、70年代的な風景やドタバタしてる時の表現などから『ド根性ガエル』や『天才バカボン』に近いセンスを感じました。

そしてなぜ犬なのか。外国の人が抱く日本のイメージのひとつに「侍」があります。しかし現代日本にサムライはいません。そこでどうしてもサムライ的なものを出したいウェスさんは、「忠義に熱い」「かっこいい」「戦闘力が高い」ということで代わるものとして「犬」を選んだものと思われます。劇中には『七人の侍』へのオマージュらしきシーンもありますし、島に捨てられた犬たちは主君を失った浪人と非常によく似てます。

ウェス作品ではよく犬猫などの小動物がひどい目にあいますが、『犬ヶ島』はその集大成的な映画でもありました。人形(犬形?)の映画ということで愛護団体からの抗議もないので、その点やりたい放題でした。動物が嫌いなわけではないと思うんですよね。好きなゆえにちょっかい出したり、小突きたくなってしまうようなそんなゆがんだ愛情かと。アニメとはいえ犬たちはいい迷惑です。

あとやっぱり「犬が喋る」ということや彼らが徒党を組んで冒険に挑むところは、高橋よしひろ氏の『銀牙』を思い出さずにはいられませんでした。この漫画はフィンランドではガラパゴス的な人気があるそうですが、ウェス氏もどこかで読んでいたのでしょうか? それとも単なる偶然か。
ちなみに今『銀牙』のシリーズは3作に渡る続編を経て最終章に突入。長年の敵である熊と戦うか和解すべきかという面倒くさそうな展開になっています。

話がそれました。少し前まで「毒にも薬にもならない」という作風だったウェスさんですが、前作『グランド・ブダペスト・ホテル』に引き続き『犬ヶ島』でもちらっと社会風刺的なメッセージが込められておりました。大人になっちゃったんですかねえ、ウェスさん。でも正直今回は素っ頓狂な日本描写やエキセントリックなキャラ達のせいでその辺はだいぶかすんでました(笑) 訴えたいことがあるなら、もう少しシリアスな映画でやった方がよいかと思われます。

Igs2『犬ヶ島』は現在ほぼ公開が終了。こんだけ日本愛を注いでくださったにも関わらず、興行の方はぱっとしなかったようで申し訳ない限りです。
まあ近々DVDが出るでしょう。この映画はぶっちゃけテレビ画面で観てもあんまり醍醐味とかは変わらないと思います。ワンちゃんの好きな人はぜひ。

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June 19, 2018

シン・メカゴジラ 静野孔文 瀬下寛之 『GODZILLA 決戦機動増殖都市』』

Gkk1史上初となるアニメ映画版ゴジラ三部作。本日はその第二部となる『GODZILLA 決戦機動増殖都市』を紹介いたします。第一部の記事はコチラ

ゴジラアースの圧倒的な破壊力の前に大敗を余儀なくされた人類軍。意識を失ったリーダーのハルオは人類の末裔らしき原住民の少女に介抱される。なんとか生き残った仲間たちと合流した彼は周囲を探検しているうちに、かつて人類軍の切り札であった機動兵器「メカゴジラ」がまだ機能していることを知る。なんとかシステムを復旧させ、さらに改良を重ねたハルオたちはアースゴジラにリターンマッチを挑む。

今年の春はスクリーンに二度もメカゴジラが登場した異常な時期でした。一本はスピルバーグのアレで、もう一本はこちらです。ただこの「メカゴジラ」の解釈がなんというかこう… 「そう来たか!」という感じでw
二作目にいたってようやく自分、スタッフが何を目指したのかわかった気がします。彼らは怪獣映画を作るというより、ゴジラを題材にしたハードSFがやりたかったのでしょう。だからか今回ゴジラさんの出番は終盤のみに限定されております。
まあそれはそれで面白い。今回の前半は「ウン万年たった地球がどんな風に変化したのか」という秘境探検ものとして、前作以上にワクワクしましたし、メカゴジラを形成するナノマシンの特徴や、ハルオたちに協力する宇宙人・未来人の考え方の違いなどもいちいち興味深い。
ただ「ゴジラ映画」を期待していった従来のファンたちはちょっときつかったかもしれません。わたしが思い出したのは『機動戦士ガンダム』を原作とした『フォー・ザ・バレル』という小説。『ガンダム』の子供っぽいところ、けれんみの強いところを徹底的に排除しSFとしての完成度をひたすら追求した作品。それはそれでオシャレで不思議な魅力があったのですが、本来のガンダムからはだいぶかけ離れてしまったような。
でもわたしとしては何かしら新しい試みをした方がコンテンツは自由になるし、さらに発展していくと思うので今回のこの試みも大いに賛同しております。
新しいといえばこれまでのゴジラ映画は大抵1作で片づけなければならないという不文律がありましたが、「3作かけないと倒せない」ということでいまだかつてないゴジラの無敵さが際立っているような。というかこんな感じだと3作目でも倒せるかどうかわかりません。
あと前の記事で自分は「虚淵さんの真骨頂はむしろストーリーの中盤あたり。だいたいその辺で主人公の世界観を根底から揺るがす衝撃的な事実が明らかになり、お話がどう解決するのかさっぱり予想がつかなくなります」と書きましたが、珍しいことに大体この予想が当たっておりました。まあ虚淵さんは残酷なようで心根は優しい方なので、この三部作も一応希望を残す形で終わるんじゃないかと思います。

この映画公開直前に刊行された本編を補完する小説の第二作『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』も前作『怪獣惑星』同様相変わらず面白い。忘れられた東宝特撮のマイナーネタがこれでもかと詰め込まれ、そしてひたすら破滅に突き進んでいく珍妙な作品です(笑) 映画版第3作の前にこちらももう一冊出していただけると嬉しい。

Gkk2『GODZILLA 決戦機動増殖都市』はもう終わったかと思ってましたが、まだ月末までは公開してるようです。近々ネットフリックスでも配信されるでしょう。そして11月には完結編『星を食らうもの』が公開。今度はゴジラの宿敵であるアレが登場するようで。ハルオ君たちの戦いを最後まで見届けたいと思います。

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June 11, 2018

恐怖箱男 グラハム・アナブル アンソニー・スタキ 『ボックストロール』

Hakocoverゴールデン・ウィークに観た映画の感想を今頃書いています… 本日はストップ・モーション・アニメの雄、ライカスタジオの作品で唯一日本未公開だった『ボックス・トロール』について紹介いたします。連休中に恵比寿の写真美術館で特別上映されたのでようやく拝むことができたのでした。

昔々あるところに、夜な夜な箱をかぶったトロールが徘徊する街があった。トロールは危険ということで市長は駆除業者のスナッチャーを雇い、一匹、また一匹とトロールを捕獲していく。トロールに育てられた男の子エッグズは仲間たちが捕まっていくのを涙を呑んで見守るほかなかった。だがやがてエッグズはトロールを助けるために勇気を出してスナッチャーに立ち向かっていく。

一応原作はアラン・スノウという方の小説『Here Be Monsters』。ただ550ページもある大長編ゆえかなりのアレンジがなされたものと思われます。
トロールといえばファンタジー世界では人を襲う怪物であったり、それなりに愛嬌のある妖精であったり、作品ごとにまちまちでありますが、この映画では後者のイメージで描かれています。よくわからないのはなぜ箱をかぶってるのか、ということ。それは作品を観ているうちにわかりました。単純に面白いからです。まず箱をかぶっていると擬態しやすい。さらに寄り集まって合体しやすい。他にもさまざまな箱アクションが披露されます。
あとこの「箱かぶり」というのがこの作品のトロールの性質をよく表しているのですね。人一倍臆病なために駆除業者が襲ってきても、逃げるよりも立ち向かうよりもまず箱にこもってじっと身をひそめることを選ぶという。わたしも日頃からびくびくして生きているので彼らに感情移入せずにはいられませんでした。

そんなトロールたちの窮状を打開すべく奮闘するエッグズが魅力的なのはもちろんですが、この映画にはもう二人異彩を放つキャラクターが登場します。
1人は市長の娘でエッグズに興味を示すウィニー(声はエル・ファニング)。いわば童話におけるお姫様ポジションでありながら、なかなかに乱暴で自己顕示欲の高いやや壊れたヒロイン。でも心の底にはあったかいものを秘めていて、エッグズを懸命に助けようとがんばります。こういう型にはまらない「お姫様」、いいですよね。
もう1人は駆除業者のスナッチャー。彼はトロールが実はおとなしい生き物であることを知っていて、自分の野望のためにそれを隠してエッグズたちを迫害します。この男はチーズのアレルギーを持っているのですが、「出世するためには町の有力者たちのようにチーズ通でなければならない」と思い込んでいて、無理やり苦手なそれに慣れようとします。その際の描写が思いっきりグロテスクで、やけに力が入っておりました。ライカ作品はみな多かれ少なかれホラー的な要素がありますが、『ボックストロール』は怖いというより、このグロ方向に思い切り振りきれておりました。

そんなちょいと悪趣味なところはありますが、ライカ歴代二位の売上を記録し(それでも赤字ですが)、第87回アカデミー賞の長編アニメ映画賞とゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされ、アニー賞では9部門にノミネートされ声優賞と美術賞を受賞したくらいですから一級品のエンターテインメントであり、ストップモーションアニメの大傑作であります。先に話題になった『KUBO』などは動きがなめらかすぎてもはやCGと区別がつかないくらいでしたが、こちらはまだ人形独自の温かみのある質感がよく伝わってきました。そしてエンドロール後にはそんなコマ撮りアニメに費やされる恐ろしいほどの手間暇が、メタ的な演出で明らかにされます。本当にこんなろくろく儲けにもならないような作業をそれほどな苦労をかけて作っているとは… すばらしい(笑) あらためてこれからもコマ撮りアニメを応援していこうと心に固く誓いました。

41jx92krjl__sy355_当然特別上映は終了してしまいましたが、『ボックストロール』は現在普通にDVDで観られます。ご興味おありの方はどうぞ。
コマ撮りアニメの新作としては現在ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』が絶賛上映中。来月にはアードマンの『ア―リーマン』も待機しています。


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May 30, 2018

サイボーグじいちゃんI 奥浩哉・佐藤信介 『いぬやしき』

Inuyashikie1460137240369これももう鑑賞からまる一か月経っちゃってますけど、まだ辛うじて公開中『GANTZ』『変』で知られる奥浩哉氏のコミックを、『アイアムア・ヒーロー』の佐藤信介監督が映画化。『いぬやしき』、ご紹介します。

癌で余命わずかな中高年サラリーマン・犬屋敷壱郎と、内に暗いものを秘めた高校生・獅子神皓はある晩たまたま同じ公園にいたところ、宇宙からの謎の物体の直撃に遭い、体をスーパーパワーを持つロボットに改造されてしまう。人助けのためにその力を使う犬屋敷と、欲望の赴くままに殺戮を続ける獅子神は、やがて当然のように対決の時を迎える。

原作は連載時だらだらと読んでました。よくもわるくも『GANTZ』と同じ特徴が出た漫画で、発想もビジュアルもまことに面白いんだけど、全体の構成とか完成度は非常に適当と申しますか。ひたすらノリで突き進んでエネルギーが切れたらさっさと終わりにしてしまった、そんな印象(奥先生ごめんなさい)。

だもんで映画もあまり期待してなかったのですが、これがとてもよかった。まず全10巻の漫画を2時間にまとめたことで主人公二人の対比とかテーマがぐっと際立った気がします。
犬屋敷さんは家庭でも会社でもつまはじきにされ、唯一慕ってくれるのは犬だけという非常に悲しいおじさんなのですが、それでもどこまでも善人であり続ける男。ヒーローらしくないのは老化著しい外見と気弱な性格くらいです。対して宿敵の獅子神は美形だしそれなりに何人かから愛されてるにも関わらず、「父から捨てられた」というコンプレックスを捨てきれず凶行に走ります。
以下、中バレで

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このあと一度は救ったお母さんがネットやメディアで責められて自殺を遂げ、獅子神の怨念はさらに増幅していくわけですが、この辺が実に現代的なテーマだなあと感じました。「叩いていい」と判断されると全く関係ない人たちまでこぞって鬼のようにバッシングする…というのをよく見かけます。もちろん犯罪や不祥事は正されてしかるべきですが、そういうのは感情的にではなく理性に乗っ取って然るべき立場の人たちが冷静に裁くべきだと思うのですよね。まして多少の失言や失敗などは誰にでもあることではないでしょうか。獅子神母を演じているのが先日不倫でやり玉にあげられていた斉藤由貴だからかよけいにそんなことを思いました。

そういった深刻な題材とは裏腹に、奥先生独特のメカデザインが十二分に再現され、大都会をバックに思う存分暴れる映像は胸躍ります。漫画でももちろんかっこいいのですが、色がついて音がついてバリバリ動くとさらに魅力が増します。佐藤監督が以前映像化した『GANTZ』 の時よりその点さらに洗練されておりました。

どうしても原作disになってしまって申し訳ないのですが、あの結末がどうも納得いかなかったわたしにとって、こちらのENDは実に気持ちよく心和むものでした。そしてエンドロールの途中のシーンがまたよかった。わたしが原作で一番気に入ってたくだりを、さらにさわやかにアレンジして最後の最後に持ってきてくれたので。『アイアムア・ヒーロー』もそうでしたが、本当に原作を愛しその上でよくまとめアレンジした「実写化」の成功例になっていたと思います。
Inuyashiki2e1460137490559本当によく働かれる佐藤監督はやはり人気漫画原作の『BREACH!』を夏に公開されるとのこと。彼はどっちかというと小市民を主人公にした方がいいお仕事をされるので若干の不安を感じるのですが、余裕があったら観ておこうと思います。


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May 07, 2018

ゼロの指導者 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュⅡ 叛道』

Cghr21放送終了後10年を経て総集編の劇場版三部作が公開されている『コードギアス 反逆のルルーシュ』。本日は第二部にあたる『叛道』について思ったことをつらつら書いてみます。第一部『興道』の感想はこちら

捨てられた復讐のため、妹ナナリーの居場所を作るため、仮面をかぶり武装組織「黒の騎士団」を立ち上げた大国ブリタニアの王子ルルーシュ。偶然手に入れた特別な力「ギアス」と持ち前の兵法の才能で、旧日本「イレブン」において彼の勢力は増していった。だがブリタニアで人気の高い皇女ユーフェミアが黒の騎士団に和平条件を提案してきたため、事態は意外な方向へ進み始める。振り上げた拳をひっこめてナナリーのために仇の国と和睦すべきか。ルルーシュは思い悩んだ末、決断をくだす。

TVシリーズ一期の終盤と二期の序盤(というかほとんど前半)が扱われた本作品。やはり最大の山場はシリーズ最大の悲劇であるユーフェミアの虐殺。リアルタイムで観てた時は「なんて残酷で意地悪なこと思いつくんだろうなあ…」と画面の前で崩れ折れたものでした。さすがはやる時は徹底的にやりすぎてしまうことで定評のある谷口悟朗監督です。10年経ってるしどうなるかも知っているので、初見時よりはショックが和らぐかな…と思いながら鑑賞してましたが、辛い展開があるとわかっていながら観ているとそれはそれでかなりこたえるものでありますね。
『叛道』で第一部よりさらにエスカレートしてるのがこの『はだしのゲン』なみの残酷描写。老若男女、幼い子供ですら平等に戦火の中で散っていく様子が丁寧にネチネチと描かれていきます。これを露悪的と見るか、リアリズムと見るか(ロボや超能力が活躍する作品でリアリズムもないもんですが…)。ともかく、単なる娯楽作品の中では納まりきらない強烈な毒がこのアニメには含まれております。

話は変わりまして。第一部『興道』はほぼTV版の忠実な総集編でしたが、第二部では途中からかなり独自の展開が増えてまいります。まるでどこかの『エ○ァン○リオン』みたい。古いファンを飽きさせないためか、はたまた噂されてる新シリーズへの布石なのか。その意欲は買いますが、あまりにもその辺が矢継ぎ早だったためか、大変わかりやすい入門編であった第一部に比べ、第二部はTV全話観ていたわやしですらよくわからない仕上がりになってしまったような(単に脳の退化でついていきづらくなった…という考え方もできますけど)。これも『エ○ァ』がアニメ残していった影響のひとつですが、精神の内面を描いたシュールな描写は高尚に思えるかもしれませんけど、観ている側には混乱を招くばかりではないでしょうか。

…といろいろ詰問するような文章になってしまいましたが、今回も色々力が入っていたことは認めざるを得ません。特に中盤スザク視点から話を追うことで、本当にルルーシュの記憶がよみがえったのかつつみくらますように持っていく展開はうまいと思いました。学園のみんながナナリーのことをどうして忘れてしまったのか…という謎も補完されましたし。オミットされたのは中華連邦のゴタゴタを黒の騎士団が収めるあたりくらいでしょうか。あと偽の弟ロロ君の存在感がだいぶ小さくなってるような。彼の活躍?は第3部に持ち越しというところでしょうか。

Cdhr22大都市では今月末にも第3部であり完結編の『皇道』が公開予定。いまんとこ劇場一覧にうちの近くの映画館の名前はありませんが、1・2部はやってくれたのでたぶん大丈夫でしょう…!(そう信じたい)
そしてそのあとはいよいよ魔神君が復活するのでしょうか? 期待半分、不安半分でシリーズの行方を見守っております。


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April 11, 2018

メキシコ地獄編 リー・アンクリッチ エイドリアン・モリーナ 『リメンバー・ミー』

Rmbm1ディズニーご本家と両輪のように良作のCGアニメを作り続けているピクサー・スタジオ。その最新作はメキシコの「死者の日」をモチーフにしたミュージカル風作品。本年度アカデミー賞長編アニメ部門でオスカーを獲得した『リメンバー・ミー』、ご紹介します。

メキシコに住むミゲルはギターと歌が大好きな少年。だが彼の一族は何代か前に、歌手を夢見て家族を捨てた不心得者がいたという理由で音楽を禁忌としていた。けれども歌うことをやめられないミゲルは、「死者の日」に行われる音楽コンテストにこっそり出場することを試みる。それで壊されてしまったギターの代わりに、記念館に展示されている地元の大スター、デラクルスの名品をこっそり拝借するのだが、それを奏でた途端彼の体に異変が起きる。なんとミゲルは生きながらにして死者たちの領域に入り込んでしまったのだ。

「死者の日」とはメキシコのお祭りで、亡くなったご先祖様の霊が現世に帰ってくるのでそれをお迎えしようというもの。…まるっきり日本の「お盆」じゃないですか! 映画『007/スペクター』や『エンドレス・ポエトリー』では骸骨の仮装をした一団がパレードを行なったりしてましたが、地域によって差があるのかこちらではそういうのはなく、普通にご馳走を食べたり音楽を奏でたり、お墓にお供えをしたり花びらで道を作ったりしてました。

メキシコというのも思えばなかなか縁遠い国です。本格的に舞台になってる映画もいろいろあるんでしょうけど、自分は昔の『荒野の七人』や『ボーダーライン』、それにDVDスルーになった『ブック・オブ・ライフ』くらいしかぱっと思い出せません。R・ロドリゲスの「マリアッチ三部作」というのもありますがそっちは未見…
ともかく、『リメンバー・ミー』を通して彼の国の文化や習慣を色々学ぶことができます。家族の絆が強いこととか、ご先祖様や年長者をとても敬っていることとか。こんなところも一昔前の日本とよく似ています。このアニメでミゲルの他に重要な位置を占めているキャラは彼のおばあちゃんとひいおばあちゃん、それに霊になってるご先祖様たちであります。そして主人公の両親もちゃんといるのに影がとても薄い。そんなところがキッズアニメとしてはなかなか変わっております。

あの世の描写もかなり華やかで独特です。普通死後の世界というのはどんより暗くて辛気くさく描かれるものですが、こちらではキラキラと美しくて複雑に入り組んだ、見たこともない歓楽街のような世界を映しだしています。アカデミー長編アニメがここ数年ずっとディズニー系が独占してしまっているのはやはり問題なのでしょうけど、受賞も納得の美術力でありました。
あとご本家ディズニー映画には頻繁に歌が挿入されますが、「歌」そのものをテーマにした作品はほとんどなかったのでは。邦題ともなっている「リメンバー・ミー」という曲、宣伝で何回も聞かされましたが、よくある男女の別れの曲かと思いきや鑑賞後ではがらっと雰囲気の変わるところが心憎いです。途中主役コンビが演奏する「ウン・ポコ・ロッコ」という曲もなかなかよかった。自分は時間の都合で吹替え版で観たのですが、ミゲルをあてている男の子の歌声がとても朗々としてて思わず聞きほれてしまうほどでした。

中盤過ぎからはあの世の青年?ヘクターとのバディものになるところも楽しい。やっぱりピクサーの王道はバディものでありますよね。あと自分は青年と少年が対等のパートナーで冒険するという話が好きなので、そこらへんも高ポイントでした。

Rmbmここんとこ日本ではディズニーご本家やドラえもんに押されていた感のあるピクサーですが、『リメンバー・ミー』は歌を前面に押し出したのが効いたのか、『グレイテスト・ショーマン』と並んで粘り腰のヒットを続けております。タコスをかじりながら踊りたくなる快活な1本でした!

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March 26, 2018

チャドの黒豹 ライアン・クーグラー 『ブラックパンサー』

Bp1♪乾いた土地の 片隅で お前は何を 探すのか (略) 男の怒りか 男のアフリカ
失礼しました。現在北米にて大旋風を巻き起こしているマーベル・シネマティック・ユニバース最新作、チャドウィック・ボーズマン主演『ブラックパンサー』、紹介します。

アフリカの一国「ワカンダ」の王子ティチャラは、テロ事件で父を失い、正式に国王に即位する。ワカンダには他国から隠されている秘密があった。国王は特殊なスーツを身にまとい、「ブラックパンサー」として国の治安を守る務めがあるということ。また、宇宙より飛来した特殊な金属「ヴィヴラニウム」の恩恵により、世界で最も進んだ文明を築いているということも。その秘密を知る謎の男キルモンガーの陰謀により、ティチャラとワカンダは窮地に立たされる。

キャラクターとしてのブラックパンサーが誕生したのは1966年。『ファンタスティック・フォー』のゲストとしてでした。メインストリームとしてはアメコミ初の黒人ヒーローの登場でありました。この名前は過激な活動で知られるブラックパンサー党から取られたのかと思ってましたが、マーベルの方がそちらよりも先だったようです。「うちは関係ないよ」ということを示すため、一時期「ブラックレパード」に改名したこともあったとか。
もっともそれほどメジャーな方ではなかったようで、以後個人誌が創刊されたり終了したりを繰り返しながら、細々とマーベルユニバースの一画で生き永らえ続けます。90年代のアメコミ翻訳ブームの時もこの方はほとんど見かけなかったので、そのポジションがうかがい知れます。こちらでも多少話題になったのはX-MENのストームと結婚したことくらいでしょうか(のちに破局)。

そんなブラパンさん主演の映画が作られると聞いたとき、「それは果たして売れるのだろうか?」という思いが頭をよぎりまくりました。いくらのりにのってるMCUとはいえ、さすがにそろそろつまづいてしまうんじゃなかろうかと。
しかしプロデューサー、ケビン・ファイギの勘に間違いはなかったようです。『ブラックパンサー』は5週連続で全米の映画ランキングのトップを飾り、ついにはヒーロー映画史上NO.1の売上を誇っていた『アベンジャーズ』をも抜き去ったというからぶったまげです(日本ではそれほどでもないのに…)。いったいなにがそんなにあちらの人をひきつけているのか、足りない頭で考えてみました。

まずはいろんなところで言われてますが、これほどまでに黒人主体で撮られたヒーロー映画は初めてということですね。これまでも『スポーン』『ブレイド』『スティール』(…)などがありましたけど、これらは黒人社会についてそんなに踏み込んでいたわけではないし、メインは黒人でもその他の脇はだいたい白人だったりして。しかし今回はキャストのほとんどに黒人を起用し、世界とアメリカにおける彼らの立場にまで踏み込んだ内容になっています。
ただ映画を観てると米国の人口の半分くらいは黒人のように思えますが、実際は10%くらいなんだそうで。大ヒットの理由は他にもあるかと思われます。
舞台がアフリカ、ということもそのひとつかもしれません。『ジュラシックワールド』『ジャングルブック』『キングコング』、そして『ジュマンジ』新作とあちらの方ではけっこうジャングルもの・秘境ものってヒット率が高いのですね。この『ブラックパンサー』も一風変わった「秘境もの」と言えなくもありません。そして超科学技術とアフリカの文化が融合したこれまでにない「秘境」を作り出しています。こういう鉄板の題材に目新しいものをまぶしたことが光ったのだと思います。
あともうひとつ重要な点として「猫萌え」があります。これはアフリカもアメリカも日本も関係ありません。猫愛はすべての国民に均等に響くのです。

ひとくちに黒人文化といってもアフリカだけでも様々な国や民族があり、さらに欧米のそれぞれの土地で根付いたグループもある。当然それぞれに意見や主張があるわけですが、クーグラー監督はそれらをなんとかひとつにひっくるめることを試みておりました。リンカーンが奴隷解放宣言をしたのちも差別や衝突は続き、いまも米国でそうした事件が起きています。それでも他の人種と手を取り合い、前に進んでいこう…というメッセージです。いささか理想がすぎるようにも思われますが、ヒーロー映画というのはなんせ子供たちに絶大な影響力があるので、この映画のテーマが国や民族の垣根を越えて、子供たちの目標になったらいいな…とおじさんは願うのでした。

ちょっと不思議だったのはMCUの前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』と色々かぶってしまってたところ。存在を知らなかった親族がヴィランとなって現れたりとか、お父さんの過去の罪を知って気落ちしたりとか。片やお笑いムード、片やシリアスムードなのでだいぶ印象は違いますけどね。『インフィニティ・ウォー』で合流した際、この二人はたぶん気が合うのでは、と思われます。

MCUおなじみのSFガジェットの数々や、いかにもアフリカといわんばかりの衣装・風俗もみどころです。『動物のお医者さん』の漆畑教授がなぜあそこまでアフリカを愛していたのか、ちょっとわかったような気もします。

Bp『ブラックパンサー』は日本ではだいぶ客足が落ち着いてきちゃいましたが、まだ全国の映画館で上映中。もう約一ヶ月後にせまったMCUの総決算『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』への序章としてファンなら押さえておかなくてはならない1本です。本当に2018年もアメコミ映画が元気で何より。


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March 06, 2018

哀しき野菜生活 クロード・バラス 『ぼくの名前はズッキーニ』

Bnz1昨日はアカデミー賞で大いに盛り上がりましたが、前回のアカデミー長編アニメ部門にノミネートされた傑作コマ撮りムービーが先日ようやく公開されました。『ぼくの名前はズッキーニ』、紹介します。

酒浸りの母と二人暮らす「ズッキーニ」と呼ばれる少年は、ある日起きた事故により身寄りのない子供たちが住む養護施設に引き取られることになる。そこにいるのはみな複雑な事情を抱えた児童ばかり。最初は壁を作ったり衝突したりしていたズッキーニだったが、共に過ごすうちに次第に彼らの「家族」となっていく。

どうでしょう、この重苦しいストーリー… ふつうストップモーションアニメというのは動物が主人公だったりファンタジックな話であることが多いですが、こちらではどこまでも現実的で深刻な物語。コマ撮りアニメで人間ドラマを丁寧につづったものといえば『メアリー&マックス』などもありましたが、あちらはもう少し語り口がユーモラスだった気がします。

本当に切ないことに世の中には親からも愛されない子供がいますし、すべての子供に温かい家庭があるわけではありません。しかしそうしたシビアな現実を突きつけるのは、普通こういうアニメを見る小学生以下のお子さんにはさぞショックだろうと思います。だもんでどちらかといえば十代以上の皆さんに観てほしい作品。ポスターもタイトルもキャラクターも、いかにも幼児向けっぽい感じなんですけどね…

コマ撮りアニメにも色々あります。アートで突き抜けたシュバンクマイエルの作品群、ポップでコロコロしたアードマン作品、リアルすぎてCGにしか見えないライカ作品などなど。
『ぼくの名前はズッキーニ』のモコモコっとしたフエルトっぽい質感や温かみのある積み木のような街並みは、製作国は違いますがロマン・カチャーノフの『チェブラーシカ』を思い出させます。主人公の頭がやたらでかかったり、どことなく物悲しいムードが漂ってるところも似ております。

わたくしなんでわざわざこんな題材をコマ撮りアニメでやろうと思ったのか不思議だったのですが、そんなETVで夕方にやってるようなビジュアルで語られると、お話のきつさも多少やわらげられるような効果がありました。
あと繰り返し「重い、悲しい」と書いてますがそれだけの作品ではありません。世の中にはちゃんとした情愛深い人たちも確かにいる、ということも含められておりました。
特に強い印象を残すのは序盤はタチの悪いいじめっ子にしか思えなかったシモン。この直後に観た『グレイテスト・ショーマン』にもあったんですが、最初すごく意地悪だった人が終盤ぽろっと優しさを見せるというの「ずるいよなあああ」と思いつつ弱いです。やめてください、本当にもう…

Bnz2というわけでこれまたできるだけ多くの人に鑑賞していただきたい良作アニメなのですが、昨年秋に公開された『KUBO』などと比べるとあまり話題になってないのが切ないところです。おまけに第一陣はそろそろ公開終わりそう… この映画も日本公開までこぎつけるのはさぞや苦労があっただろうに。近くでやっててちらとでも興味のある方は、ぜひ足を運ばれてください。劇場一覧はこちら

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February 05, 2018

鉄の城、再浮上 永井豪 志水淳児 『マジンガ―Z INFINITY』

Mgz1永井豪先生の画業50周年ということでいろいろ盛り上がっておりますが、これもそのうちの1本。スーパーロボットの代名詞がスクリーンによみがえった『マジンガ―Z INFINITY』、ご紹介します。

Wマジンガ―がミケーネ帝国を退けてから十年。光子力研究所のある富士のふもとでいまだかつてないほどの巨大なロボットが発掘される。それと呼応するように復活する悪の天才科学者Dr.ヘル。彼の率いる機械獣軍団を迎え撃つため、かつての英雄・兜甲児は再び戦場に復帰する。

マジンガ―Zといえば鉄人28号、ガンダム、エヴァンゲリオンと並ぶロボットアニメのトップスター。そういうのに疎い人でも名前くらいは聞いたことがあるはず。放映当時の人気はすさまじく、以後しばらく同種の作品が雨後の竹の子のように量産されました。
わたしは残念ながらリアルタイムで観た記憶があるのがこの続々編の『UFOロボ グレンダイザ―』からなのですが、繰り返し放映されてた映画『マジンガ―Z対デビルマン』『マジンガ―Z対暗黒大将軍』などで親しんでおりました。

その後アニメ、漫画などで何度かリメイクされたりしてましたが、今回はTVアニメ第二作『グレートマジンガ―』からの直結の続編という形を取っております。先に述べた海外でも人気の高い『グレンダイザ―』は存在を抹消された形になってしまいましたが、あれも含めると話が大宇宙にまで広がってしまい、収めきれなくなってしまうのでやむなき処置だったのでしょう。

かつての『マジンガ―Z』は大変わかりやすく子供たちの快感を充足させるためにのみ作られたアニメでした。すなわちヒーローであるマジンガ―はとても強く、どこまでも正しく、人々はマジンガ―を両手をあげて応援します。一話一話のストーリーも単純明快なものでした。
しかし今回のマジンガ―は、やはりガンダム、エヴァ以降の言ってみれば面倒くさいテイストが色々含まれています。ややこしい専門用語や科学的考証、人間は果たして守るべき価値があるのか…という倫理的なテーマなどなど。まあそれはそれで楽しませていただきました。
あといい年になった兜甲児が長年の恋人である弓さやかと、いまひとつ結婚に踏み切れてないという、『レゴバットマン』でもあったような問題に直面したりしてます。まるでスタッフから「君たちもいい加減アニメにうつつを抜かしてないでちゃんとした家庭を持ちなさい」と諭されているかのようでした。まあかつてマジンガ―に熱狂した子供たちのほとんどはもうちゃんとそうなってると思うのですが、一人でロボアニメを身に来てるような大人はやはり… いや、この話はやめましょう(笑)

そういったテーマもありますが、ロボアニメとしては一番大事な豪快なアクションにも大変力がこめられていました。すべての戦力が失われたかに思えた時、満を持して登場するあたりや、たった一機で無数の敵を吹っ飛ばすカタルシス、ズタズタのボロボロになりながらもそれでもなお立ち上がるマジンガ―、そしてクライマックスにおけるまさかの隠し技とおなじみの必殺技… こういうものを見せられてはやはり童心に帰るしかありません。しごいんだ! 大きいんだ!! ぼくらのロボットマンだ!!!

バトルだけでなく新海誠ばりにキラキラした背景や、ボスの作るラーメンの作画にも無駄に精緻に描かれてたりして。そうそう、懐かしい面々にたくさん再会できましたが、一番いい年の重ね方をしていたのはこの「ボス」だったように思います。

091009_132119『マジンガ―Z INFINITY』はそのあまりのターゲットを絞った作風に広く一般には勧めづらいですが、もしあなたがロボアニメが好きなら、心の中に小学生男児が住んでるなら、迷わず観に行ってください。
あと現在ネットフリックスにてやはり永井先生の名作の現代版『デビルマンcrybaby』が配信中。まるで『マジンガ―Z INFINTY』の合わせ鏡のようなストーリーになってますのでこちらもぜひ興味ある方はご覧ください、


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