May 07, 2018

ゼロの指導者 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュⅡ 叛道』

Cghr21放送終了後10年を経て総集編の劇場版三部作が公開されている『コードギアス 反逆のルルーシュ』。本日は第二部にあたる『叛道』について思ったことをつらつら書いてみます。第一部『興道』の感想はこちら

捨てられた復讐のため、妹ナナリーの居場所を作るため、仮面をかぶり武装組織「黒の騎士団」を立ち上げた大国ブリタニアの王子ルルーシュ。偶然手に入れた特別な力「ギアス」と持ち前の兵法の才能で、旧日本「イレブン」において彼の勢力は増していった。だがブリタニアで人気の高い皇女ユーフェミアが黒の騎士団に和平条件を提案してきたため、事態は意外な方向へ進み始める。振り上げた拳をひっこめてナナリーのために仇の国と和睦すべきか。ルルーシュは思い悩んだ末、決断をくだす。

TVシリーズ一期の終盤と二期の序盤(というかほとんど前半)が扱われた本作品。やはり最大の山場はシリーズ最大の悲劇であるユーフェミアの虐殺。リアルタイムで観てた時は「なんて残酷で意地悪なこと思いつくんだろうなあ…」と画面の前で崩れ折れたものでした。さすがはやる時は徹底的にやりすぎてしまうことで定評のある谷口悟朗監督です。10年経ってるしどうなるかも知っているので、初見時よりはショックが和らぐかな…と思いながら鑑賞してましたが、辛い展開があるとわかっていながら観ているとそれはそれでかなりこたえるものでありますね。
『叛道』で第一部よりさらにエスカレートしてるのがこの『はだしのゲン』なみの残酷描写。老若男女、幼い子供ですら平等に戦火の中で散っていく様子が丁寧にネチネチと描かれていきます。これを露悪的と見るか、リアリズムと見るか(ロボや超能力が活躍する作品でリアリズムもないもんですが…)。ともかく、単なる娯楽作品の中では納まりきらない強烈な毒がこのアニメには含まれております。

話は変わりまして。第一部『興道』はほぼTV版の忠実な総集編でしたが、第二部では途中からかなり独自の展開が増えてまいります。まるでどこかの『エ○ァン○リオン』みたい。古いファンを飽きさせないためか、はたまた噂されてる新シリーズへの布石なのか。その意欲は買いますが、あまりにもその辺が矢継ぎ早だったためか、大変わかりやすい入門編であった第一部に比べ、第二部はTV全話観ていたわやしですらよくわからない仕上がりになってしまったような(単に脳の退化でついていきづらくなった…という考え方もできますけど)。これも『エ○ァ』がアニメ残していった影響のひとつですが、精神の内面を描いたシュールな描写は高尚に思えるかもしれませんけど、観ている側には混乱を招くばかりではないでしょうか。

…といろいろ詰問するような文章になってしまいましたが、今回も色々力が入っていたことは認めざるを得ません。特に中盤スザク視点から話を追うことで、本当にルルーシュの記憶がよみがえったのかつつみくらますように持っていく展開はうまいと思いました。学園のみんながナナリーのことをどうして忘れてしまったのか…という謎も補完されましたし。オミットされたのは中華連邦のゴタゴタを黒の騎士団が収めるあたりくらいでしょうか。あと偽の弟ロロ君の存在感がだいぶ小さくなってるような。彼の活躍?は第3部に持ち越しというところでしょうか。

Cdhr22大都市では今月末にも第3部であり完結編の『皇道』が公開予定。いまんとこ劇場一覧にうちの近くの映画館の名前はありませんが、1・2部はやってくれたのでたぶん大丈夫でしょう…!(そう信じたい)
そしてそのあとはいよいよ魔神君が復活するのでしょうか? 期待半分、不安半分でシリーズの行方を見守っております。


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April 11, 2018

メキシコ地獄編 リー・アンクリッチ エイドリアン・モリーナ 『リメンバー・ミー』

Rmbm1ディズニーご本家と両輪のように良作のCGアニメを作り続けているピクサー・スタジオ。その最新作はメキシコの「死者の日」をモチーフにしたミュージカル風作品。本年度アカデミー賞長編アニメ部門でオスカーを獲得した『リメンバー・ミー』、ご紹介します。

メキシコに住むミゲルはギターと歌が大好きな少年。だが彼の一族は何代か前に、歌手を夢見て家族を捨てた不心得者がいたという理由で音楽を禁忌としていた。けれども歌うことをやめられないミゲルは、「死者の日」に行われる音楽コンテストにこっそり出場することを試みる。それで壊されてしまったギターの代わりに、記念館に展示されている地元の大スター、デラクルスの名品をこっそり拝借するのだが、それを奏でた途端彼の体に異変が起きる。なんとミゲルは生きながらにして死者たちの領域に入り込んでしまったのだ。

「死者の日」とはメキシコのお祭りで、亡くなったご先祖様の霊が現世に帰ってくるのでそれをお迎えしようというもの。…まるっきり日本の「お盆」じゃないですか! 映画『007/スペクター』や『エンドレス・ポエトリー』では骸骨の仮装をした一団がパレードを行なったりしてましたが、地域によって差があるのかこちらではそういうのはなく、普通にご馳走を食べたり音楽を奏でたり、お墓にお供えをしたり花びらで道を作ったりしてました。

メキシコというのも思えばなかなか縁遠い国です。本格的に舞台になってる映画もいろいろあるんでしょうけど、自分は昔の『荒野の七人』や『ボーダーライン』、それにDVDスルーになった『ブック・オブ・ライフ』くらいしかぱっと思い出せません。R・ロドリゲスの「マリアッチ三部作」というのもありますがそっちは未見…
ともかく、『リメンバー・ミー』を通して彼の国の文化や習慣を色々学ぶことができます。家族の絆が強いこととか、ご先祖様や年長者をとても敬っていることとか。こんなところも一昔前の日本とよく似ています。このアニメでミゲルの他に重要な位置を占めているキャラは彼のおばあちゃんとひいおばあちゃん、それに霊になってるご先祖様たちであります。そして主人公の両親もちゃんといるのに影がとても薄い。そんなところがキッズアニメとしてはなかなか変わっております。

あの世の描写もかなり華やかで独特です。普通死後の世界というのはどんより暗くて辛気くさく描かれるものですが、こちらではキラキラと美しくて複雑に入り組んだ、見たこともない歓楽街のような世界を映しだしています。アカデミー長編アニメがここ数年ずっとディズニー系が独占してしまっているのはやはり問題なのでしょうけど、受賞も納得の美術力でありました。
あとご本家ディズニー映画には頻繁に歌が挿入されますが、「歌」そのものをテーマにした作品はほとんどなかったのでは。邦題ともなっている「リメンバー・ミー」という曲、宣伝で何回も聞かされましたが、よくある男女の別れの曲かと思いきや鑑賞後ではがらっと雰囲気の変わるところが心憎いです。途中主役コンビが演奏する「ウン・ポコ・ロッコ」という曲もなかなかよかった。自分は時間の都合で吹替え版で観たのですが、ミゲルをあてている男の子の歌声がとても朗々としてて思わず聞きほれてしまうほどでした。

中盤過ぎからはあの世の青年?ヘクターとのバディものになるところも楽しい。やっぱりピクサーの王道はバディものでありますよね。あと自分は青年と少年が対等のパートナーで冒険するという話が好きなので、そこらへんも高ポイントでした。

Rmbmここんとこ日本ではディズニーご本家やドラえもんに押されていた感のあるピクサーですが、『リメンバー・ミー』は歌を前面に押し出したのが効いたのか、『グレイテスト・ショーマン』と並んで粘り腰のヒットを続けております。タコスをかじりながら踊りたくなる快活な1本でした!

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March 26, 2018

チャドの黒豹 ライアン・クーグラー 『ブラックパンサー』

Bp1♪乾いた土地の 片隅で お前は何を 探すのか (略) 男の怒りか 男のアフリカ
失礼しました。現在北米にて大旋風を巻き起こしているマーベル・シネマティック・ユニバース最新作、チャドウィック・ボーズマン主演『ブラックパンサー』、紹介します。

アフリカの一国「ワカンダ」の王子ティチャラは、テロ事件で父を失い、正式に国王に即位する。ワカンダには他国から隠されている秘密があった。国王は特殊なスーツを身にまとい、「ブラックパンサー」として国の治安を守る務めがあるということ。また、宇宙より飛来した特殊な金属「ヴィヴラニウム」の恩恵により、世界で最も進んだ文明を築いているということも。その秘密を知る謎の男キルモンガーの陰謀により、ティチャラとワカンダは窮地に立たされる。

キャラクターとしてのブラックパンサーが誕生したのは1966年。『ファンタスティック・フォー』のゲストとしてでした。メインストリームとしてはアメコミ初の黒人ヒーローの登場でありました。この名前は過激な活動で知られるブラックパンサー党から取られたのかと思ってましたが、マーベルの方がそちらよりも先だったようです。「うちは関係ないよ」ということを示すため、一時期「ブラックレパード」に改名したこともあったとか。
もっともそれほどメジャーな方ではなかったようで、以後個人誌が創刊されたり終了したりを繰り返しながら、細々とマーベルユニバースの一画で生き永らえ続けます。90年代のアメコミ翻訳ブームの時もこの方はほとんど見かけなかったので、そのポジションがうかがい知れます。こちらでも多少話題になったのはX-MENのストームと結婚したことくらいでしょうか(のちに破局)。

そんなブラパンさん主演の映画が作られると聞いたとき、「それは果たして売れるのだろうか?」という思いが頭をよぎりまくりました。いくらのりにのってるMCUとはいえ、さすがにそろそろつまづいてしまうんじゃなかろうかと。
しかしプロデューサー、ケビン・ファイギの勘に間違いはなかったようです。『ブラックパンサー』は5週連続で全米の映画ランキングのトップを飾り、ついにはヒーロー映画史上NO.1の売上を誇っていた『アベンジャーズ』をも抜き去ったというからぶったまげです(日本ではそれほどでもないのに…)。いったいなにがそんなにあちらの人をひきつけているのか、足りない頭で考えてみました。

まずはいろんなところで言われてますが、これほどまでに黒人主体で撮られたヒーロー映画は初めてということですね。これまでも『スポーン』『ブレイド』『スティール』(…)などがありましたけど、これらは黒人社会についてそんなに踏み込んでいたわけではないし、メインは黒人でもその他の脇はだいたい白人だったりして。しかし今回はキャストのほとんどに黒人を起用し、世界とアメリカにおける彼らの立場にまで踏み込んだ内容になっています。
ただ映画を観てると米国の人口の半分くらいは黒人のように思えますが、実際は10%くらいなんだそうで。大ヒットの理由は他にもあるかと思われます。
舞台がアフリカ、ということもそのひとつかもしれません。『ジュラシックワールド』『ジャングルブック』『キングコング』、そして『ジュマンジ』新作とあちらの方ではけっこうジャングルもの・秘境ものってヒット率が高いのですね。この『ブラックパンサー』も一風変わった「秘境もの」と言えなくもありません。そして超科学技術とアフリカの文化が融合したこれまでにない「秘境」を作り出しています。こういう鉄板の題材に目新しいものをまぶしたことが光ったのだと思います。
あともうひとつ重要な点として「猫萌え」があります。これはアフリカもアメリカも日本も関係ありません。猫愛はすべての国民に均等に響くのです。

ひとくちに黒人文化といってもアフリカだけでも様々な国や民族があり、さらに欧米のそれぞれの土地で根付いたグループもある。当然それぞれに意見や主張があるわけですが、クーグラー監督はそれらをなんとかひとつにひっくるめることを試みておりました。リンカーンが奴隷解放宣言をしたのちも差別や衝突は続き、いまも米国でそうした事件が起きています。それでも他の人種と手を取り合い、前に進んでいこう…というメッセージです。いささか理想がすぎるようにも思われますが、ヒーロー映画というのはなんせ子供たちに絶大な影響力があるので、この映画のテーマが国や民族の垣根を越えて、子供たちの目標になったらいいな…とおじさんは願うのでした。

ちょっと不思議だったのはMCUの前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』と色々かぶってしまってたところ。存在を知らなかった親族がヴィランとなって現れたりとか、お父さんの過去の罪を知って気落ちしたりとか。片やお笑いムード、片やシリアスムードなのでだいぶ印象は違いますけどね。『インフィニティ・ウォー』で合流した際、この二人はたぶん気が合うのでは、と思われます。

MCUおなじみのSFガジェットの数々や、いかにもアフリカといわんばかりの衣装・風俗もみどころです。『動物のお医者さん』の漆畑教授がなぜあそこまでアフリカを愛していたのか、ちょっとわかったような気もします。

Bp『ブラックパンサー』は日本ではだいぶ客足が落ち着いてきちゃいましたが、まだ全国の映画館で上映中。もう約一ヶ月後にせまったMCUの総決算『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』への序章としてファンなら押さえておかなくてはならない1本です。本当に2018年もアメコミ映画が元気で何より。


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March 06, 2018

哀しき野菜生活 クロード・バラス 『ぼくの名前はズッキーニ』

Bnz1昨日はアカデミー賞で大いに盛り上がりましたが、前回のアカデミー長編アニメ部門にノミネートされた傑作コマ撮りムービーが先日ようやく公開されました。『ぼくの名前はズッキーニ』、紹介します。

酒浸りの母と二人暮らす「ズッキーニ」と呼ばれる少年は、ある日起きた事故により身寄りのない子供たちが住む養護施設に引き取られることになる。そこにいるのはみな複雑な事情を抱えた児童ばかり。最初は壁を作ったり衝突したりしていたズッキーニだったが、共に過ごすうちに次第に彼らの「家族」となっていく。

どうでしょう、この重苦しいストーリー… ふつうストップモーションアニメというのは動物が主人公だったりファンタジックな話であることが多いですが、こちらではどこまでも現実的で深刻な物語。コマ撮りアニメで人間ドラマを丁寧につづったものといえば『メアリー&マックス』などもありましたが、あちらはもう少し語り口がユーモラスだった気がします。

本当に切ないことに世の中には親からも愛されない子供がいますし、すべての子供に温かい家庭があるわけではありません。しかしそうしたシビアな現実を突きつけるのは、普通こういうアニメを見る小学生以下のお子さんにはさぞショックだろうと思います。だもんでどちらかといえば十代以上の皆さんに観てほしい作品。ポスターもタイトルもキャラクターも、いかにも幼児向けっぽい感じなんですけどね…

コマ撮りアニメにも色々あります。アートで突き抜けたシュバンクマイエルの作品群、ポップでコロコロしたアードマン作品、リアルすぎてCGにしか見えないライカ作品などなど。
『ぼくの名前はズッキーニ』のモコモコっとしたフエルトっぽい質感や温かみのある積み木のような街並みは、製作国は違いますがロマン・カチャーノフの『チェブラーシカ』を思い出させます。主人公の頭がやたらでかかったり、どことなく物悲しいムードが漂ってるところも似ております。

わたくしなんでわざわざこんな題材をコマ撮りアニメでやろうと思ったのか不思議だったのですが、そんなETVで夕方にやってるようなビジュアルで語られると、お話のきつさも多少やわらげられるような効果がありました。
あと繰り返し「重い、悲しい」と書いてますがそれだけの作品ではありません。世の中にはちゃんとした情愛深い人たちも確かにいる、ということも含められておりました。
特に強い印象を残すのは序盤はタチの悪いいじめっ子にしか思えなかったシモン。この直後に観た『グレイテスト・ショーマン』にもあったんですが、最初すごく意地悪だった人が終盤ぽろっと優しさを見せるというの「ずるいよなあああ」と思いつつ弱いです。やめてください、本当にもう…

Bnz2というわけでこれまたできるだけ多くの人に鑑賞していただきたい良作アニメなのですが、昨年秋に公開された『KUBO』などと比べるとあまり話題になってないのが切ないところです。おまけに第一陣はそろそろ公開終わりそう… この映画も日本公開までこぎつけるのはさぞや苦労があっただろうに。近くでやっててちらとでも興味のある方は、ぜひ足を運ばれてください。劇場一覧はこちら

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February 05, 2018

鉄の城、再浮上 永井豪 志水淳児 『マジンガ―Z INFINITY』

Mgz1永井豪先生の画業50周年ということでいろいろ盛り上がっておりますが、これもそのうちの1本。スーパーロボットの代名詞がスクリーンによみがえった『マジンガ―Z INFINITY』、ご紹介します。

Wマジンガ―がミケーネ帝国を退けてから十年。光子力研究所のある富士のふもとでいまだかつてないほどの巨大なロボットが発掘される。それと呼応するように復活する悪の天才科学者Dr.ヘル。彼の率いる機械獣軍団を迎え撃つため、かつての英雄・兜甲児は再び戦場に復帰する。

マジンガ―Zといえば鉄人28号、ガンダム、エヴァンゲリオンと並ぶロボットアニメのトップスター。そういうのに疎い人でも名前くらいは聞いたことがあるはず。放映当時の人気はすさまじく、以後しばらく同種の作品が雨後の竹の子のように量産されました。
わたしは残念ながらリアルタイムで観た記憶があるのがこの続々編の『UFOロボ グレンダイザ―』からなのですが、繰り返し放映されてた映画『マジンガ―Z対デビルマン』『マジンガ―Z対暗黒大将軍』などで親しんでおりました。

その後アニメ、漫画などで何度かリメイクされたりしてましたが、今回はTVアニメ第二作『グレートマジンガ―』からの直結の続編という形を取っております。先に述べた海外でも人気の高い『グレンダイザ―』は存在を抹消された形になってしまいましたが、あれも含めると話が大宇宙にまで広がってしまい、収めきれなくなってしまうのでやむなき処置だったのでしょう。

かつての『マジンガ―Z』は大変わかりやすく子供たちの快感を充足させるためにのみ作られたアニメでした。すなわちヒーローであるマジンガ―はとても強く、どこまでも正しく、人々はマジンガ―を両手をあげて応援します。一話一話のストーリーも単純明快なものでした。
しかし今回のマジンガ―は、やはりガンダム、エヴァ以降の言ってみれば面倒くさいテイストが色々含まれています。ややこしい専門用語や科学的考証、人間は果たして守るべき価値があるのか…という倫理的なテーマなどなど。まあそれはそれで楽しませていただきました。
あといい年になった兜甲児が長年の恋人である弓さやかと、いまひとつ結婚に踏み切れてないという、『レゴバットマン』でもあったような問題に直面したりしてます。まるでスタッフから「君たちもいい加減アニメにうつつを抜かしてないでちゃんとした家庭を持ちなさい」と諭されているかのようでした。まあかつてマジンガ―に熱狂した子供たちのほとんどはもうちゃんとそうなってると思うのですが、一人でロボアニメを身に来てるような大人はやはり… いや、この話はやめましょう(笑)

そういったテーマもありますが、ロボアニメとしては一番大事な豪快なアクションにも大変力がこめられていました。すべての戦力が失われたかに思えた時、満を持して登場するあたりや、たった一機で無数の敵を吹っ飛ばすカタルシス、ズタズタのボロボロになりながらもそれでもなお立ち上がるマジンガ―、そしてクライマックスにおけるまさかの隠し技とおなじみの必殺技… こういうものを見せられてはやはり童心に帰るしかありません。しごいんだ! 大きいんだ!! ぼくらのロボットマンだ!!!

バトルだけでなく新海誠ばりにキラキラした背景や、ボスの作るラーメンの作画にも無駄に精緻に描かれてたりして。そうそう、懐かしい面々にたくさん再会できましたが、一番いい年の重ね方をしていたのはこの「ボス」だったように思います。

091009_132119『マジンガ―Z INFINITY』はそのあまりのターゲットを絞った作風に広く一般には勧めづらいですが、もしあなたがロボアニメが好きなら、心の中に小学生男児が住んでるなら、迷わず観に行ってください。
あと現在ネットフリックスにてやはり永井先生の名作の現代版『デビルマンcrybaby』が配信中。まるで『マジンガ―Z INFINTY』の合わせ鏡のようなストーリーになってますのでこちらもぜひ興味ある方はご覧ください、


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January 29, 2018

はみだし画家情熱系 ドロタ・コビエラ ヒュー・ウェルチマン 『ゴッホ 最期の手紙』

Gst1並み居る印象派の巨匠の中でも、ひときわ著名な「炎の画家」ゴッホ。本日はその死に至る日々を油絵タッチのアニメで描いた『ゴッホ 最期の手紙』をご紹介します。

除隊して以来無為な毎日を送っていた青年アルマンは、郵便局に勤める父から、一年前に亡くなった親友の画家、ゴッホの手紙を遺族に送り届けてほしいと頼まれる。渋々承諾したアルマンはゴッホの遺族を探すうちに、彼が死の間際まで過ごしていた村オーヴェール=シュル=オワーズにたどり着く。そこで人々の話を聞くうちに、アルマンはゴッホの死にある疑念を抱き始める。

このアニメの特徴はなんといってもその独特のスタイル。見事にゴッホのタッチで人々が動き、話し、笑い、嘆く。120人の画家が62000以上の油絵を描いてそれを動画にしたというのですから、その労力にはほとほと頭が下がります。ただ油絵タッチなのはアルマンの視点で映し出される情景のみであり、過去の回想・推測などは写実的な絵柄で描かれます。どっちかというとゴッホの目を通した「過去パート」の方を油絵にしたほうがよいのでは…と思ったのですが、監督がこういう構成にしたのには何かしらの理由があるのでしょう。その理由とはどういうものなのかちょっとだけ考えてみましたが、いつも通り「よくわからない」という結論に達しました。もしかしたら単なるフィーリング… いや、そんなことはないと思うのですが。

ゴッホについてははるか昔子供向けの伝記で読んだことがありました。気性の激しい人だったこと、献身的に支えてくれた弟がいたこと、牧師を志して挫折したということ、生涯中作品はほとんど売れなかったこと、ゴーギャンと意気投合し一時期共同生活を送っていたこと、ハイテンションのあまり片耳を切り落とし、「ついていけん」とゴーギャンは逃げ出したこと、そして最後は自殺で亡くなったこと…などを覚えております。

しかしこの『ゴッホ 最期の手紙』を観て、その死には色々不自然な点があったことを知りました。普通は自殺では頭か胸を狙うのに、わざわざ腹を狙ったという点や、それに用いられた銃が見つからなかったという点(70年後に見つかったという話もあるようですが)がそれに当たります。
果たして自殺でなければ誰がゴッホを殺したのか… その真実に迫る!という風にお話は進むのですが、結局その辺はぼやかしたまま映画は終わってしまいました。おい! まあわたしが「こうじゃないかな~」と思ったことがウィキペディアの「ゴッホ」の項に書いてありましたので、気になる方は検索してみてください。

まあたぶん、監督らが主眼としているのは真犯人がどうこうということではなく、その謎を追う過程で浮かび上がるゴッホの飾らない人柄や、弟との強い絆、売れなくても絵画への情熱を失わなかったことなどなのでしょう。

この映画にはオーヴェール=シュル=オワーズに住む多くの村人が登場します。名士の医師とその娘、警察署長、宿屋の若い女、遊び人の若者などなど。てっきり架空の人物かと思って観ていたら、最後にみな実在の人物であったことを知ってたまげました。まあ歴史的に見れば限りなく平凡で名もないような人々ですが、ゴッホと少しでもかかわった故に記録されてしまったわけです。そんなところにゴッホという人物の鮮烈さを感じます。彼とて生前は同じようにほぼ無名の存在であったわけですが。

そして物語の語り手であるアルマンもまた本当にいた人物です。なぜ彼がこの映画の主人公に選ばれたのかも最後にわかります。それとゴッホの「いつかは自分は『何者か』になれるのだろうか」といったモノローグが特に心に残りました。

Gst2『ゴッホ 最期の手紙』(原題は『Loving Vincent』 「ヴィンセントより愛をこめて」でいいのかな?)は先に発表された第90回アカデミー賞の長編アニメ部門にもノミネートされ、ますます評価が高まっています。『リメンバー・ミー』に勝つのは難しいかとは思いますが健闘を祈ります。

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January 09, 2018

ゼロから始めりゃいいじゃない 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』

Cdg11少し前「外伝」の『亡国のアキト』が完結し、『コードギアス』もこれで収束かな…と思っていたら間を置かずに本編が帰ってまいりました。旧TVシリーズを劇場版に再編集した三部作の第一部『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』、ご紹介します。

大国ブリタニアが世界を牛耳っているもうひとつの「現代」。まだ幼いブリタニアの王子ルルーシュは目と足が不自由な妹と共に政治取引の材料として日本へ送られ、そこで首相の息子枢木スザクと友情を育む。
しかし穏やかな日々は長くは続かず、ブリタニアは日本に侵攻し力ずくで自国の領土としてしまう。自分の存在をないがしろにされたルルーシュは父とブリタニアへの復讐を誓う。
それから数年後、一介の学生として身分を隠しながら暮らしていたルルーシュは、偶然軍が極秘に護送していた謎の少女C.C.に出会う。そして成り行きから彼女と「契約」を交わしてたルルーシュは、悪魔の力「ギアス」を手に入れたのだった…

『コードギアス』第1期放映開始からはや11年と少し(もうそんなに経つのかよ…)。ここでもちょくちょく感想書いてましたけど、当時はそりゃあ夢中になって毎週観てたものでした。
今回は総集編ということで観ようかどうか迷っていたのですが、映画館の予告で主題歌の『COLORS』が鳴り響いたら懐かしさがどーっつ押し寄せてきて、結局鑑賞することにしました。
で、改めて思いましたけど、やっぱ面白いですわ、このアニメ。伝奇物語として、架空歴史ものとして、超能力SFとしてよく出来てる。そしておまけにオシャレなロボットまで大活躍するんですけど、実はこれ、ロボット出なくてもストーリーにほとんど支障ない気が… でもやっぱりロボがいた方が画面が華やかになりますしね! 出すことに決めた製作陣に大いに賛同いたします。

あともうひとつ感心したのは見事な編集ぶり。この込み入った全50話の物語を3作の映画にまとめるのってすごく大変なことじゃ…と思っていたのですが、非常に自然に「はしょった」感もなく、約1/3にあたる17話くらいまで一気にまとめあげておりました。同じくギアス保持者であるマオとの戦いのくだりはばっさりカットされましたが、あそこはどちらかといえば脇筋で、なくても特に問題ありませんし。あと総集編でありながら、これをいきなり観た人でもちゃんと話が、面白さがわかるようになっていたのも偉かったです。

話は変わりますが、ちょうどいまネットフリックスで『デビルマン』の新作『crybaby』が配信中。これの脚本が『コードギアス』と同じ大河内一楼氏なのですね。大河内氏は『革命機ヴァルヴレイヴ』でも人情家タイプと冷徹な天才タイプの友情とぶつかり合いを描いておりましたが、もしかしたらその源流は『デビルマン』にあったのかなあ…と憶測しております。

2017best12はやくも来月には第2部『叛道』が、5月には第3部『皇道』が予定されている劇場版『反逆のルルーシュ』(うちの方は少々遅れて公開される可能性が大ですが)。次はストーリー中最大の悲劇が訪れるあのくだりをやるのだろうなあ…と思うとちょっと気が重いです。観ますけどね。
そして全3作が完結したそのあとは、TVシリーズのその後が作られるという… いったいどうやって?と首をひねらずにはいられませんが、しばらくはこれまでのルルーシュ君の歩みをもう一度見守っていこうと思います。

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December 27, 2017

第14回SGA屋漫画文化賞

昨年は仕事が修羅場で年始にずれこみましたが、今年は平和なので年内にマンガベストを発表できます。限りない自己満足で継続しているSGA屋漫画文化賞。今回で14回目です…
例によって賞金も賞品も授賞式もありません!! ではまいりましょう。


2017cm1☆少年漫画部門 ちばあきお・コージィ城倉 『プレイボール2』

まさかあの『プレイボール』の続きが読めるとは… 38年前の終了場面のすぐ後から始まる奇跡の続編。
そしてなにより驚くのはコージィ城倉氏の再現力。あのころと変わらない谷口君、丸井君が確かに紙面で躍動しております(イガラシはまだちょっと大人しいかな?)。迷作『砂漠の野球部』のことは喜んで忘れましょう。
欲を言うならコージィ先生、『キャプテン』の近藤君のつづきも読みたいです。

2017cm2☆少女漫画部門 吉田秋生 『海街diary』

今年は少女漫画はこれしか読んでないので自動的にこれが受賞という… すいません。
香田さんちのお姉さんも次から次へと良縁にめぐまれ、あとはすずちゃんが我が静岡県へやってくるだけとなりました。さすがにあと1巻で完結かな…
名作『BANANA FISH』のアニメ化も発表され、吉田先生周りがにぎやかになってきましたね。

2017cm3☆青年漫画部門 田中芳樹・藤崎竜 『銀河英雄伝説』

『封神演義』の藤崎先生が青年誌らしい熱さで描く21世紀版の新『銀英伝』。週刊連載だけあってサクサク進んでいるようにも見えますが、開始2年でまだ原作の1巻部分しか進んでおりません。でもやっぱり面白い! がんばれ! 
余談ですがつい先日、田中先生の代表作のひとつである『アルスラーン戦記』が30年かけて完結いたしました。めでたかったが辛かったですね…

2017cm4☆中年漫画部門 原作:萩原天晴・漫画:上原求、新井和也・協力:福本伸行 『1日外出録ハンチョウ』

「悪魔的スピンオフ第2弾!理外の飯テロ漫画!!」 このコピーがすべてを物語っております。『カイジ』本編を読んでなくても映画の1作目だけ観てればだいたいわかる親切設計。与えられた24時間の枠内で五官をフルに発揮して、その街を・飯をいかに味わい尽くすかという人生の教科書。こちらを大賞にしようかとも思ったのですが… ああ! はやく3巻が読みたい!!

2017cm6☆漫画家漫画部門 平松伸二 『そして僕は外道マンになる』

『ドーベルマン刑事』『ブラック・エンジェルズ』など、「ダークヒーローが外道をぶっ殺しまくる」作品でよく知られる平松先生が異常なまでの話の盛りっぷりで楽しませてくれる自伝的作品。…だったのですが、最近ではこの作品の単行本があまり売れてないことを苦にしてどんどん暗黒面に落ちていってる先生がちょっと心配(それはそれで面白いんですが)。先ごろ増刊的な『グランドジャンプ プレミアム』から本誌の『グランドジャンプ』に移籍したばかりですのでまだまだ続くと思うのですが。

☆ウェブ漫画・猫漫画部門 桜井海 『おじさまと猫』
いつまでもペットショップで売れ残っているブサイクな猫。「どうせ誰もわたしにゃんかほしがらない」 そう諦めきっていた彼女の前に現れたのは… こちらのまとめから読むことができます。来年2月22日には単行本も発売。

2017cm5☆翻訳部門 フランク・ミラー ジェフ・ダロウ 『ザ・ビッグガイ&ラスティ・ザ・ボーイロボット』

突如東京に現れた大怪獣。立ち向かうのはア○ムをチンチクリンにしたような少年ロボット・ラスティ。だがその戦力差はいかんともしがたく… 肉味噌・血みどろ描写を得意とするフランク・ミラーが何を思ったか突然手掛けたポップでキュートな作品。長年翻訳を待ち望んでいましたがようやく今年実現しました。おそらく『ベイマックス』に深い影響を与えた…と勝手に思っています。今年は他に通販限定の『アベンジャーズ・プライム』、悪趣味描写満載の『ザ・ボーイズ』などが印象に残りました。

2017cm7☆アニメ部門 長井龍雪 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

春に完結を迎えたこちらが二年連続の受賞…というか、今年はテレビアニメをこれくらいしか観てませんでした。
あまりにも悲壮な終盤の展開に打ちひしがれたファンも多かったようで。わたしも大変複雑な気持ちでしたが、ともかく鉄華団の少年たちのことを忘れたくなくて…
長年続いた週末夕方のTBSアニメ枠もこの作品をもって終了。これまたさみしいことであります。

そしてトリです。
2017cm8
☆大賞 野田サトル 『ゴールデンカムイ』

日露戦争の地獄を生き抜いた帰還兵「不死身の杉元」は、幼馴染の病を治すため、砂金を求めて北海道へ渡る。そこで彼が遭遇したのは奇妙な刺青を掘られた脱獄囚たちだった。彼らの刺青はつなげるとひとつの地図になり、アイヌの残した金塊のありかが書かれているという…

今年『ハンチョウ』と並んでもっともはまった漫画。吉村昭の渋いネタをこれでもかこれでもかとぶちこんでおきながら、若者たちをもとりこにするほどの一大エンターテインメントに仕上げております。本筋にはあまり関係ない北海道の野生の珍味描写も読みごたえたっぷり。これまた春にはアニメ化されるそうですが、どちらかというと骨太な役者さんたちでの実写版が観とうございます。

というわけで本年もいっぱい面白い漫画に出会えて感謝。週末に映画の方のベスト記事を書いて今年のブログ〆といたします。

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December 14, 2017

超人・半神・機人・金持ち (一応)ザック・スナイダー 『ジャスティス・リーグ』

Jsa_2MCUに追いつき追い越せとばかりに奮闘するもうひとつのアメコミ映画世界「DCFU(DCフィルムズ・ユニバース 最近DCEUから改名したみたいです)」。その総決算たる大集合映画が先日満を持して公開されました。『ジャスティス・リーグ』、紹介します。

お話は『バットマンVSスーパーマン』の直後から始まります。異世界からの侵略がせまっていることに気づいたバットマン=ブルース・ウェインは、スーパーマン亡きあとの地球を守るべく、特別なパワーを持った超人たちを探す。だがそのうち二人はブルースの要請にすんなりと応じようとはせず、チーム結成には暗雲が漂う。そうこうしているうちに侵略者「ステッペンウルフ」が無数の兵士を連れて来襲。地球を改造する力を秘めた3つの「キューブ」を求め、それらを守る者たちに容赦ない攻撃をくだすのだった。

「アベンジャーズの後追い」なんてことも言われてますが、コミックのジャスティス・リーグの歴史はそれよりもっと古かったりします。まず1940年に前身である「ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ(JSA)」が誕生。そして「アベンジャーズ」登場の3年前である1960年にJSAをリニューアルさせた「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ」が創刊。以後この名前で一旦のリセットを経て、様々なメンバーが入れ替わりしながら50年活動します。
そして2011年再びのリセットイベント「NEW52」に際しチーム名が「ジャスティス・リーグ」に変更。

現在コミックではこの本家の他に米国政府指揮下にありかつての同タイトルとは違う立ち位置の「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ」(ややこしい…)、魔界担当の「ジャスティス・リーグ・ダーク」、国連が作ったけど終了したっぽい「ジャスティス・リーグ・インターナショナル」、よくわからない新チーム「ジャスティス・リーグ・ユナイテッド」などがありなかなかにカオスであります。

では今回映画に出て来るメンバーを「なにをいまさら…」というキャラも含めて紹介します。

☆スーパーマン…言わずと知れた(雑誌形式では)世界最初のアメコミヒーロー。怪力・飛行なんでもできちゃう。MARVELとDCの最大の違いは「MARVEL宇宙にはスーパーマンのような圧倒的な大黒柱がいない」ということかも。真っ先にあげちゃったけど今度の映画に出るかは一応不明(白々しく)

☆バットマン…アメコミで最高の人気を誇るキャラ。特殊能力は金と推理。バットマン一派の人気が突出しすぎてるのがDCの悩みどころかも。時々「何の超能力もないの?」と揶揄されるが時間さえあれば宇宙の最高神にも勝てる男。ただゴッサムシティの治安は永久に解決できない

☆ワンダーウーマン…世界最初のアメコミヒロイン。怪力と嘘発見がスペック。キャリアの割に伸び悩んでいたが、先の映画で大ブレイク。DCのいまひとりのアイドル・スーパーガールと比べると「お母さんみ」が強いのが特徴か。好物がアイスクリームなのが萌える

☆フラッシュ…光速で駆けるスピードスター。一応アメコミの第二黄金期のきっかけとなった重要なキャラで、現在映画とドラマが並行してる唯一のヒーロー。時々物理を越えたスピードを出してしまい、並行世界にいったり現実改変を招いたりするのが玉にきず

☆アクアマン…今回映画とコミックで一番風貌が変わったキャラ。海底人と地上人のハーフで、水や魚類を操ることができる。それゆえ水のないところでは手持無沙汰になってしまうという、サイボーグ008的な問題を抱えている。日本での愛称はサバ夫(?)

☆サイボーグ…実は一番よく知らないキャラ。特殊能力は変形・飛行・ネット検索。若手ヒーローチーム「ティ―ン・タイタンズ」に加入してから人気が上がり、少し前JLのメンバーに大抜擢される。恐らく「黒人一人くらい入れとこう」というPC的配慮かと思われます。風呂にどうやって入るのかが謎


さて、肝心の内容の方ですが、『BVS』や『スーサイド・スクワッド』と同じくDC世界の奥行きを感じさせるネタが色々入っていて、コミックファンとしてはまことに楽しゅうございました。逆にそういうDC愛がない人には、ちょっとあっさり風味に感じられるかもしれません。こう言ってはなんですが、本当に予想範囲内のことしか起きないので。
そしてやっぱりちらつく『アベンジャーズ』の影。監督がジョス・ウィスドンに変わる前から決まってたことだと思うんですけど、「宇宙の果てからマッチョな悪者が軍勢を率いて攻めてくる」というプロットはもうちょっと変えられなかったのかと。そしてまたキーアイテムがサイコロだと来ている(三つに増えてましたが)。
一方で『アベンジャーズ』よりも良いところもあります。尺が短くなった分テンポがよくなったりとか。超人たちがかみ合わなくてギスギスしてるパートが短かったのも好印象でした。これはエズラ・ミラー演じるフラッシュの性格に負うところが大きいですね。本当にひとりムードメーカーがいるだけで場の空気というものはずいぶん変わるものです。

今年は『パワーレンジャー』や『スパイダーマン ホームカミング』などヒーローものと『ブレックファスト・クラブ』をかけあわせた作品が目立ちましたが(『ブレックファスト~』観てないんですけどね…)この『ジャスティス・リーグ』もカーストの違いを乗り越えていく学園ドラマと似たところがありました。
バットマンは過去のあやまちをひきずってる先生、ワンダーウーマンは以前の失恋を乗り越えられない級長、アクアマンはやたらとイキりたがる番長、フラッシュは寒いギャグを連発するお調子者、サイボーグは怪我で夢断たれた体育会系…といった具合です。それぞれに悩みを抱えてる面々が、ディスカッションしたり一緒にクラブ活動に精出したりしてるうちに、やがて自分の殻を打ち破っていく、そんなムードが大変さわやかで好みでした。

Photoただ『ワンダーウーマン』の好調にのって大ヒットとなるかと思いきや、全米ではDCFU中もっとも低調なスタートで赤字はまちがいないとのこと。やっぱりメリケンの映画ファンは常に何か目新しいものを求めているということですかね… ここでくじけないでDCFUにはさらにがんばって残りの企画を面白いものにしてほしいものです。とりあえず現在ほぼ確定してる企画は『アクアマン』と『ワンダーウーマン2』、そして『フラッシュ(ポイント)』というところでしょうか。あと一応『スーサイド・スクワッド2』『ザ・バットマン』『バットガール』『シャザム』『グリーンランタン・コァ』『サイボーグ』『ジャスティス・リーグ・ダーク』といった企画も上がっている模様。果たしてどこまで実現できるでしょう。


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December 12, 2017

星を奪うもの 静野孔文 瀬下寛之 『GODZILLA 怪獣惑星』

Photo昨年『シン・ゴジラ』の大ヒットで大いに復活の兆しを見せた東宝怪獣映画。今年はアニメの三部作という変化球で攻めてまいりました。『GODZILLA 怪獣惑星』、ご紹介します。

突如として巨大怪獣の出現が頻発するようになった世界。人類はなんとかそれに対抗しようと戦いを続けていたが、それまでの怪獣をはるかに超える存在「ゴジラ」の登場により敗北を余儀なくされる。宇宙に新天地を求めて旅立った人類だったが、先の見えない旅に次第に消耗していき、ついには地球への帰還を望むようになる。その先陣を切る若者ハルオは激しい怒りと科学的な理論をもってゴジラ殲滅のプランを練り上げたのだが…

まず語っておきたいのが公開前に出版された前日談となる小説『GODZILLA 怪獣黙示録』。映画ではナレーションで済まされた人類衰亡の歴史をインタビュー形式でつづったものなのですが、これが滅法面白くて。カマキラスやらドゴラやらオルガやら、存在をすっかり忘れていたマイナー怪獣が次から次へと出てきて破壊の限りを尽くすという内容。滅亡の危機が迫っているというのに団結も出来ず決定的な対抗兵器もなく、ただただ絶望しかない『パシフィック・リム』みたいな暗い話なんですが、登場怪獣の顔ぶれの懐かしさに楽しさしか感じないという奇天烈な1作でありました。

しかし今回は映画の前にこれを読んでしまったのがよくなかった。なんでかというと『怪獣黙示録』に比べると『怪獣惑星』はあまりにも登場モンスターの種類が限られていて、ちょっと派手さに欠けるところがあるからです。どうせ3部作でやるならこの『黙示録』を1作目にして映像化すりゃよかったのに…と思わずにはいられませんでした。

ただ映画本編もまったくつまらなかったわけではなく。むしろ小説を先に読んでなかったら普通に楽しめたと思います。
特に印象に残るのはゴジラよりも彼?に鬼気迫る憎しみを抱き、「何が何でも絶対殺すマン」と化している主人公のハルオ君。ふつうあんな山みたいな怪獣を目にしたら一目散に逃げ出したくなるのが普通の人間です。しかしハルオ君は恐怖などまったく表に見せず、「ゴジラ―!! ぶっころーす!!」と何度も何度もあの巨体に向けて特攻していくあたり頭の配線が2,3本ぶっとんでるとしか言いようがありません。でもまあこれくらいエキセントリックなやつでないとゴジラとの真っ向勝負はできないでしょう。芹沢博士や矢口蘭堂に並ぶ怪獣キラーになれるかどうか、これからの成長に注目です。というか『進○の巨人』のエ○ン君とよく似ておりますね。

あと主人公を絶望に追い込む脚本虚淵玄氏お得意のストーリー展開に今回も引き込まれました。ただ虚淵さんの真骨頂はむしろストーリーの中盤あたり。だいたいその辺で主人公の世界観を根底から揺るがす衝撃的な事実が明らかになり、お話がどう解決するのかさっぱり予想がつかなくなります。というわけで1作目終盤のアレもまだまだ前フリにすぎず、本当のショックは2作目あたりに待っているものと思われます。ハルオ君のさらなるあがきに期待しましょう(ひどい)

Photo_2とりあえず次はもう少しいろんな種類の怪獣が出てくると嬉しいですね… ちなみに2作目『決戦・起動増殖都市』のポスターにはメカファンには嬉しい「アレ」の姿がちらっと描かれております。その辺にまんまと踊らされるワタクシ。『シン・ゴジラ』に比べるとあんまり売れてないようなので無事完結までたどり着けるか少々危なっかしいですが、東宝を信じて応援していこうと思います。というわけで第二部は来年5月の公開。そして丸一年後の11月あたりで完結編…という計画なんでしょうか。なんとかついていくのでスタッフのみなさんがんばってくだされ

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