June 21, 2019

地球兄弟 五十嵐大介・渡辺歩 『海獣の子供』

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怪獣の次は海獣の話。文化庁メディア芸術祭漫画部門を受賞した五十嵐大介氏のコミックを、『鉄コン筋クリート』などのSTUDIO4℃がアニメ化。『海獣の子供』、紹介します。

海辺の町に住む少女琉花は夏休みに父の勤める水族館を訪れたことがきっかけで、海と空という不思議な兄弟と出会う。彼らは3歳まで主に海中でジュゴンに育てられたのだという。常識にとらわれない二人に翻弄されながらも、兄弟のことがどんどん気になっていく琉花。やがて彼女は海と空が「祭り」と呼ばれる地球規模の現象の中心であり、彼らに残された時が少なくなっていることを知る。

原作は未読なのですが、ぱっと見た限りとても動画にはしにくそうな絵柄。しかしSTUDIO4℃の超絶技巧によって、その繊細な線画が忠実に再現され、かつびゅんびゅんと動いておりました。また、その絵柄と調和して色合いも淡い水彩画のような趣があります。そんなタッチで描かれた海や星空、夕焼けの背景はためいきが出るほど美しい。元はといえば原作の絵なんでしょうけど、アニメを腐るほど観てる自分にもちょっと似たものが思いつきません。後半においてはさらに自然を超えたカタストロフィ的なヴィジュアルが暴走気味に展開されます。

恐らく評価が分かれるだろうな…と思うのはこのクライマックスの展開。中盤までの夏休みの雰囲気や、海辺で戯れる琉花たち、夏祭りや台風の風景などは現実感や郷愁が伝わって作品世界にじんわりひたれたのですが、そっからのぶっ飛ばし具合が半端ないもので頭の固いおじさんはちょっと振り落とされました(笑)。ま、こういうの日本アニメではありがちな流れですけどね。十代の少年少女の葛藤を描きながら、それが世界や宇宙にまでスケールアップしていき、抽象的で不可解な心象風景がぐるぐると描かれていくような。名作『エヴァ』や先の『プロメア』にもそういうところはあるのですが、これらは最初から非現実的な話とわかってたせいか普通についていけました。が、『海獣の子供』は現実の描写も極め細かすぎたゆえに、そのギャップがちょっと気になってしまいました。

でもまあ、本当に美術力という点ではものごっつい作品です。ジブリや新海監督ともまた違ったこのアート的なスタイルをSTUDIO4℃にはこれからも継続していってほしいものです。昨年の『ムタフカズ』 もアホらしくてクールでかわいくてとても好きなんですが、あまり話題にならなかったのが残念です。

ちなみにこの映画、先ごろ結婚で話題になった蒼井優さんも声優で出ておられます。だんなさんとうまくいってない奥さんの役でしたが、現実世界では円満な夫婦生活を送られてください!

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June 14, 2019

燃やしていいのは体脂肪だけ 今石洋之・中島かずき 『プロメア』

Pma2一ヶ月後の健康診断を控えひそかにジョギングを続けているわたくしですが、それとはまったく関係なく、本日は『天元突破グレンラガン』『キルラキル』のコンビが贈る劇場アニメ『プロメア』を紹介いたします。

精神により発火できる能力を持つ新人類「バーニッシュ」が誕生した近未来。世界ではバーニッシュによる被害を食い止めるため各地で特殊消防隊「バーニングレスキュー」が活躍していた。その一員である血気盛んな青年・ガロは、テロ集団マッドバーニッシュとの戦いの中で、彼らのリーダーである若者リオと出会う。激しくぶつかり合う二人だったが、やがてガロはバーニッシュたちの哀しい運命や自分が所属する都市プロメポリスの裏面を知り、葛藤するようになる。

まあやっぱり最初に思うのは「これ、『グレンラガン』の二時間版別バージョンじゃん」ということですね。そもそも主人公のガロが『グレンラガン』の主要キャラであるカミナによく似ている。他にも『グレン~』を思わせる要素があちこちに散りばめられておりファンとしては「たまんねえぜグへへ」という感じでした(品のない表現だなあ)。

ただこれまでの中島・今石作品と違うのはこれが1本に映画であるということと、恐らく実在の役者さんを想定して、それからキャラを膨らませていということ。三谷幸喜さんが好んで用いている「あて書き」というやつですね。メインの3人である松山ケンイチ氏、早乙女太一氏、堺雅人氏はそれぞれ中島かずき先生の舞台に出ておられたとのことなので、恐らくその時彼らの演技を見ながら先生は「こういうキャラが活躍するアニメを作ったら面白かろうな」と思われたのかもしれません。とりわけそれが爆発していたのが主役二人の前に立ちふさがる執政官クレイを演じていた堺さん。普段はニコニコ穏やかな表情を浮かべているのに、尻尾をつかまれた途端別人のようにブチ切れる様子が最高でした。普通悪者が居直るところってイライラしそうなものなのに、なんでかすごい爽快だったんですよね… そういえばドラマ『新選組!』の時に聞いた堺さんのエピソードで「最初は山南さんのようにソフトな笑みを浮かべながら飲んでいたのに、酔いが回ってきたらボロボロ毒を吐き出してきた」というのがありました。まさにこのクレイは堺さんにうってつけのキャラだったと言えるでしょう。

あと同じことを繰り返してるようで、少しずつ色を変えてるのが中島・今石コンビ。彼らの作品には少なからずダイナミックプロの影響があると思うのですが、その線で行くと『グレンラガン』は『ゲッターロボ』の、『キルラキル』は『キューティーハニー』のオマージュっぽいところがありました。そして『プロメア』は原作の『デビルマン』が根底にあったんじゃないか…という気がします。まあ途中あからさまに絵柄を意識してるシーンがありましたし。「怪物」と異分子を排除している政府が、実は怪物以上の怪物だったというあたりはまさに『デビルマン』でありました。威勢がよくワイルドなガロは不動明を、中性的でクールなリオは飛鳥涼をイメージしているようにも思えます。でもまあ『プロメア』はとにかく元気で世界の破滅も気合で吹っ飛ばすようなノリなので、その辺は『デビルマン』とは全然違いますね。

絵柄の特色はと申しますと、とにかく三角と四角が目立ちます。無数の角ばった図形が画面いっぱいを縦横無尽に駆け巡る映像暴力と申しましょうか。ここんとこのアニメ映画は美術的にも恐ろしく力の入ったものが続いていますが、『プロメア』はそんな痛快なキュビズムでもって炎と氷の戦いをこれでもかという感じで描き切って、観る者を翻弄します。

そしてロボです。予告を見た時、「今回はロボはどの程度出るのだろう。おまけ程度かな」と感じていたのですが、ドカーンとやってくれやがりました。今の日本で出来る最高峰のロボアニメでございました。先日の映画秘宝のインタビューで中島先生は「レオパルドンを出していたら『スパイダーバース』はアカデミー賞を取れなかっただろう」とおっしゃっていましたが、『プロメア』からは「賞なんかどうだっていいわ! わしゃ巨大ロボが好きなんじゃあああ!」という魂の叫びが聞こえてきました。信じてたぜ… かずき…(敬称略)。わたくしそろそろ中島先生には本腰入れてゲッターロボのリメイクをやってほしいと思ってるのですが、この願いどこかのお金持ってる会社に届きませんでしょうか。

『プロメア』は残念ながら日本全体ではそんなにヒットしてないのですが、都内近郊の良い設備の劇場では満席続出という局所的なフィーバーを巻き起こしております。この映画はたぶん伝説になる… ので観られるところにいる人は今のうちに観ておいたほうがいいぜ?

2019のアニメ映画フィーバーは現在公開中の『海獣の子供』、近日封切り予定の『きみと、波に乗れたら』『天気の子』と続きます。『プロメア』と違ってオミズ系の話が多いようで。

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May 28, 2019

猫の意趣返し 柏葉幸子・原恵一 『バースデー・ワンダーランド』

更新をさぼってるうちに公開が終わってしまった映画がまた1本… いまさらという気もしますがわたしが日本アニメ界で最も信頼を置いてる作家のおひとり、原恵一氏の最新作『バースデー・ワンダーランド』ご紹介します。

友達を上手にかばうことができずに落ち込んでいた小学六年生の女の子・アカネは、自分の誕生日にまだ若いおばさんのところへお使いにやらされる。アカネがおばさんが営む風変わりな雑貨屋でくつろいでいると、突然床下からヒポクラテスという紳士然とした男が現れる。ヒポクラテスは自分の世界が危機に瀕していて、それを救う力を持つアカネに共に来てほしいと懇願する。わけもわからぬままアカネとおばさんは不思議な世界に連れて行かれ、冒険の旅に出ることになるのだが…

いま非常にはやってますよね、「なろう系」っていうファンタジーのジャンル。平凡な主人公が異世界に転生したらチートな力を授けられて無双の活躍をするという話。ただこういうのってジュブナイルや童話などでもむかーしから原型があったりするので、別段目新しいものでもなかったりします。ちなみにこのアニメの原作は1981年に柏葉幸子先生が著した『地下室からのふしぎな旅』という児童文学。さっとあらすじを見たところ大筋は一緒のようですが、「世界を救う」とかそういう話ではないみたい。もうひとつちなみに柏葉先生は『霧の向こうのふしぎな町』という作品を書いておられるのですが、これがあの『千と千尋の神隠し』の原型になってるんだとか。

さて、本編のほうですが、さすがは原監督というか作品内の落ち着いた色彩の豊かさには目を見張らせられます。特に『カラフル』でも発揮させられた食い物描写には恐ろしいほどの吸引力を感じました。あともうひとつツボだったのが原監督にしては珍しい猫描写。異世界の猫は喋ったり立ったりするんですが、それでもいかにも猫らしいしぐさにいちいちなごませてもらいました。悪役の1人(1匹?)に「だもんね~」が口癖の黒猫がいるんですが、こいつがまた小憎らしいながらもかわいらしゅうございました。

ただ残念ながらとういうべきか、最も印象に残ってしまったのがメインの柱ではなく装飾にあたるその2点だったというのがちょっと物足りなかったような。原監督のこれまでの傑作というのはごくごくありふれた日常の世界の中に、異常な存在が介入してくるものが多いのですが、今回はそれが逆転していてまるっきり非現実的な世界に日常的な存在が迷い込むというコンセプト。それでなにか大きなインパクトとか、他の多くの異世界冒険ファンタジーと比べて傑出したところがあるかといえばあまり感じられなかったというのが正直なところです。強いて言うなら冒険のパートナーとなるのが気ままなおばさんというのが少し珍しいかな? 

と、ちょっとくさしてしまいましたが、お話のテーマは本当にまっすぐで、他の人を思いやる心の大切さとか、それにはちょっと勇気を出して前に踏み出すことが必要なんだ…ということはよく伝わって来ました。アカネと同じくらいの子供たちがこの映画を観て、そういうことを感じ取ってくれたらそれでいいんだと思います。問題はそういう子供たちが大体『名探偵コナン』や『名探偵ピカチュウ』にもっていかれてしまったことですね。主人公が探偵だったらよかったのだろうか…

ここ2,3年、ジブリの後を継げとばかりに作家性の強いアニメ映画が色々作られてますが、大体こけていて安定してるのは細田守監督くらいでしょうか。それでもなおも作られ続けているのがありがたいことでございます。2019年はひきつづき『海獣の子供』『君と、波に乗れたら』といった意欲作が待機中。『君の名は。』でメガヒットを飛ばした新海監督の『天気の子』も控えています。わたしの一押しは現在公開中の『プロメア』。これまた興行が苦しそうですが、現在の日本アニメの最高峰とも言える出来なので気の向いた方はぜひご覧くだされ~

 

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May 15, 2019

中華で一番! 原泰久・佐藤信介 『キングダム』

Sga2 9年前から当ブログで推していた一大歴史コミックが、とうとう映画化となりました。ちょっとおっかなびっくりでしたが、こりゃ観に行かないわけにはいかんでしょう!! というわけで『キングダム』ご紹介します。

時は紀元前の中国春秋戦国時代。秦国の奴隷の少年・信と漂は貧しい身分から抜け出して剣で出世するため、日々二人で武術の稽古に励んでいた。ある日都の貴族の目に止まった漂はその才能を見込まれ、王宮に使えることになる。一人残された信はくじけず下働きと修行を続けていたが、そんな彼の元に都にいるはずの漂が血まみれで転がり込んで来る。それをきっかけに信は秦国を揺るがす騒乱へと巻き込まれることになるのだが…

というわけでこれは「秦の始皇帝」を題材にした物語でございます。始皇帝・嬴政といえば世界史的には超メジャーな人物でありますが、その苛烈な政策などからどちらかといえば悪役として扱われることがほとんどのような。またお話の主人公としてはその死後台頭してきた項羽と劉邦の方がよっぽど務める数が多い気がします。始皇帝がどのようにして青春時代を過ごし、やがて中華統一を成し遂げたか…ということはあまり知られていないのでは。『キングダム』はその辺にスポットをあてた作品となっています。

ただ主人公を務めるのは始皇帝ではなく、彼に仕える信という少年。後の「李信将軍」であることはまちがいないのですが。これまた紀元前ゆえに謎が多い人物です。『キングダム』はそんな未知の部分が多いのをいいことに、存分に空想の翼を広げた一大活劇となっております。まあぶっちゃけやがて嬴政が列強を打ち破って中華を統一するのはわかりきっているわけですけど、それでも読んでいてハラハラさせられますし、毎週続きが気になって仕方ありません。ここから原泰久先生のストーリーテーリング力がなみなみならぬものであることがうかがえます。

ちなみに原作は現在54巻を数えていて、ぼちぼち全体の6割くらいはいったかな…というところw 映画版はその本当の序章となる5巻までを扱っております。映画版でまず感じたのはその予告編 の出来のよさ。原作ファンとしてはその映像の美しさと叙情性に心打たれて公開前から何べんも何べんも繰り返し見ておりました。こりゃ今までの日本映画の殻を破るような大傑作になるかも…と期待していたのですが、ふたをあけてみたらよくも悪くも日本映画らしい仕上がりとなっておりましたw そんなわけで非常に泥くさい部分も多いんですが、やっぱり若い子たちがボロボロの姿で一生懸命やってる姿を見てるとおじさんとしては胸が熱くなってしまうわけです。特に原作より際立っていたのは信と漂の絆の部分。お話の大切なところで必ず信は漂を思い浮かべるんですが、そういうのずるいぞ!と思いながら鼻水をずるずるとすすっておりました。

信と政の間柄が徐々に変わっていくあたりも感慨深いものがありました。最初は「殺してやる」「利用するだけだ」と言い合っていた二人ですが、苦楽を共にするうちにいつしか双方にとって大切な存在となり、クライマックスで「まちわびたぞ」「おれがついていく」と言葉をかける場面はなんとも言えんものがありました。このあたりがあまりに気持ちよかったので先日二回目を観に行ってしまったほどです。さらに大沢たかお、橋本環奈、長澤まさみといった面々もキャスティングを知った時は「?」と思いましたが、それぞれ原作のキャラを生かしつつ独自の存在感を出していて大変良うございました。また、アクション面では『アイアムア・ヒーロー』『いぬやしき』ほかの佐藤信介監督が本領を発揮し、特に主演の山崎健人君とラスボス坂口拓氏の対決では息をのむほどのチャンバラを展開しております。

最近少年・青年漫画原作の映画が次々と映画化されていますが、正直『銀魂』以外はどれもぱっとした成績をおさめていなくて、今回の『キングダム』も心配しておりました。ところが『コナン』や『アベンジャーズ』といった強豪の下で現在35億という興行収入を達成しております。佐藤監督も山崎君もこれまでで最大のヒット作となったのではないでしょうか。好調の要因は「中国の時代劇」という題材が中高年にもとっつきやすかったことと、やっぱり原作のヒットが示すように元のお話が普遍的に面白いものだったから…と考えております。

はやくも続編の声を望む声が上がっている『キングダム』ですけど、大長編ゆえに次はどこまでやるかが難しそう。とりあえず連載も負けずに引き続きもりあがってくれることを望みます。あと30巻くらいかな…??

 

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April 23, 2019

二段ソファの逆襲 マイク・ミッチェル 『レゴRムービー2』

Lgm1thumb1 すべては最高~ みんないいかんじ~♪ あのC調の曲とともにさえないミニフィグのエメット君が帰ってまいりました。つぶつぶの世界の冒険を描くシリーズ最新作『レゴRムービー2』、紹介します。第1作の感想はこちら

冒険の末にお仕事社長と感動的な和解を果たしたエメットたち。だが直後にデュプロ星人の猛攻を受け、レゴシティは壊滅。完全にマッドマックス状態になってしまう。それから数年後ひと段落した街に再び宇宙から奇妙な客がやってくる。わがまま女王の使者と名乗るその来訪者は、女王の結婚式に招くためと言って強引にエメットの仲間たちを連れ去ってしまう。大事な友達を救うためエメットも後を追って宇宙へ飛び出すのだが…

えーー、今回は最初からネタバレ全開で…

第1作から実に5年後。もっとはやく作れなかったのか?と思いましたが、おそらく間を空けた理由はスピンオフの企画があったのと、お子様の成長に合わせて…ということもあったのかもしれません。エメットの魅力とはなんぞや。それは純真で誰にでも優しくてアホなことばっかり考えているということです。実在の人物でいうと林家木久扇師匠がかなり近いと思われます。前作の実写パートの坊やフィン君もまさしくそんなエメットのようなお子様でした。しかし子供の成長は早いもので、5年の間に坊やは自分が男子であることを意識するようになり、かつて自分を叱ったお仕事大王のようなポジションにおさまってしまっています。そんなフィン君の心の変化がレゴ世界に深刻な影響を及ぼしていきます。とはいえかつての無邪気な部分も彼の中にはちゃんと残っていて、それが世界崩壊を防ぐ希望にもなっているわけです。

この度エメット君の敵?になるのは正体不明の「わがまま女王」(まあ大体想像つくけれど)。ご本人は不定形で素っ頓狂でありますが、仕える者たちやご住まいはいちいちキュートだったりキラキラしていて主人公たちを翻弄します。なにより恐ろしいのはそのルビドコ療法のような音楽テロ攻撃。無限に繰り返される「この歌あたまにこびりつくよ♪」というメロディと歌詞が客の脳をあっという間に侵食していきます。最初に観てからほぼひと月たってようやくわたしの耳からもあの曲が消滅した気がします。この歌頭にこびりつくよ、この歌頭にこびりつくよ… ハッ!! youtubeにはこの曲が10時間ぶっ続けで流れる動画もあるとのことなので、我こそはという方はぜひチャレンジされてください。この辺のラリリ具合はやはりフィル・ロード&クリス・ミラー製作であります。キッズ映画と言えどもトリップ描写には手を抜かない。まったく恐ろしいやつらです。

もう一人新顔で印象深いのはエメットの助っ人として現れるレックス・デンジャーベスト。カウボーイであり、宇宙海賊であり、恐竜の調教師でもあり… まあ中の人クリス・プラットの人気キャラを無理やり一つに詰め合わせたようなやつです。で、ここでまた容易に正体に想像がついてしまいます(笑) わたしが『2』で特に笑ったシーンが彼のタイムスリップのシーンで、とりわけ泣かされたのが同じくタイムパラドックスのくだりでした。後者は最近『仮面ライダービルド』で良く似たエピソードがありまして。ああいう風にひねてたやつが微笑みながらさわやかに退場していく話に弱いんです。

「今度こそ終わり」と言われてしまった『レゴムービー2』。果たしてさらなる展開はあるのでしょうか(『レゴバットマン』の続編企画が進行中という噂は聞きましたが)。もし仮に3が出来たとしても『トイストーリー3』ように「いい年してレゴで遊ぶのはやめよう」…という話にはならないでしょうね。あのうちはお父さんですらレゴに熱中してたわけですから。これからも幾つになってもレゴ・おもちゃで遊び続ける「いい大人」でありたいです。 

1作に十分ひけをとらなかった本作品。しかし日本では大幅にスクリーンを減らされ、多くの劇場では明日終了だそうです。未見の人、まだ間に合います! 『アベンジャーズ/エンドゲーム』にすべてが呑み込まれる前にこちらもぜひご覧ください!

 

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April 02, 2019

大いなるキャラには多くの分身が伴う ボブ・ペルシケッティほか 『スパイダーマン/スパイダーバース』

Photo Photo 本年度アカデミー作品部門受賞作品の次は長編アニメ部門をゲットした映画について語ります。長年のディズニー独占にくさびを打ったそのタイトルは『スパイダ―マン/スパイダーバース』。例によってあらすじから。

蜘蛛の力を持つ超人「スパイダーマン」が活躍する世界。彼にあこがれている少年マイルズ・モラレスは遺伝子操作された蜘蛛に噛まれたことにより、その世界における二番目のスパイダーマンになってしまう。さらにある悪漢が自分の願望をかなえるため次元を操作する実験を行ったことから、様々な時空のスパイダーマンがマイルズの世界に転送されてしまう。

映画ファンにとってスパイダーマンといえばまず思い出すのはピーター・パーカーでしょう。しかし誕生して58年、このキャラにはたくさんのバリエーションが作られ続けてきたのでございました。わたしも最初に触れたのは東映が作った特撮版だったし。アメコミヒーロー数あれど、ここまで幅広くアレンジされまくったのは他にバットマンくらいしかいないのでは。

マイルズ・モラレス君もそうした傍流のスパイダーマンの1人。2000年代マーベルは一見さんが入りやすくするため、それまでのユニバースとは別の、一から設定を刷新した「アルティメット・バース」という世界を立ち上げました。このアルテイメット・バース、従来のマーベルとの差別化のためか、ヒーローのエゴが強烈だったり重要な人物が突然無残に死んだりなどきついストーリー運びで話題を呼びました。小学館プロダクションから出てる『アルティメッツ』という作品を実際に読んでいただけるかと思います。

スパイダーマンも例外ではなく、アルテイメット世界ではピーターがある事件で命を落とすというショッキングな展開を迎えます。普通ならすぐ生き返りそうなものなのに、本当に完全に死んでしまいました。その後を継いだのが『スパイダーバース』主人公のマイルズ・モラレス君だったというわけ。スパイダーマンの映画も幾つも作られ、ファンもそろそろ飽きが来そうなところへなかなかうまいところへ目を付けたと思いました。

この映画ではそれだけにとどまらず、さらにスパイディの歴史から様々なヘンテコキャラを呼び寄せております。正史では悲劇の死を迎えたヒロインが蜘蛛のスーツをまとっているスパイダーグウェン。戦前ハードボイルド風の世界からやってきたスパイダーマン・ノワール。美少女とロボットのコンビであるペニー・パーカー&SP//dr 。動物アニメの中から抜け出たブタ風のスパイダーハムなどなど。正直ペニーやノワールはアメコミファンを自称するわたしも存在を知りませんでした… ノワールは白黒のグラフィックノベル調、ペニーは日本のアニメ風、ハムはバッグズバニーのようなカートゥーンタッチと様々な画風のキャラを無理やり同画面に収めてるあたり大したカオスであります。でもめちゃくちゃ楽しい。

そして忘れちゃいけないのがこの映画オリジナルかと思われる中年スパイダーマン、ピーター・B・パーカー。ヒーロー稼業の孤独に耐えかねて堕落し(といっても不摂生を重ねているだけ)、おなかがボヨンと膨らんでしまった情けないキャラ。それだからこそ体型も含めてものすごく共感できてしまいえろうつろうございました。

そんな挫折ばかりだったおっさんヒーローが不安と戦いながら前に進もうとするマイルズ君と出会い、お互い励ましあいながら共に成長していくという。映像的実験を果敢に繰り返すだけでなく、こんなしっかりした人間ドラマをつむいでるところもオスカー審査員の琴線に触れたのではないしょうか。いつもラリッてるような作品ばかり世に送り出してるフィル・ロード&クリス・ミラーにしてはずいぶん健康的で生真面目でありました。やればできるのね… ラリッた映画も好きですけど。

ちなみにフィル&クリスさんは今回製作と脚本(フィルのみ)でありまして監督は別に三人おられます。『リトル・プリンス』脚本のボブ・ペルシケッティ、『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』監督のピーター・ラムジー、『22ジャンプストリート』脚本のロドニー・ロスマンさんです。いったいどういう風に役割分担してたのか謎ですが、個性が強烈そうな彼らを上手に組み合わせて采配してたのはやっぱりフィルさんクリスさんだったのでは…と思わずにはいられません。

世界最高峰と言っても過言ではないこのアニメ、残念ながら日本ではそれほどぱっとしない売れ行きのようです。『レゴバットマン』もそうでしたが、実写アメコミ映画は観るけれど、アニメにしちゃったら見ない…という層がけっこういるようで。仕方ない…と思う一方で大変くやしい。なんとかして興味をもってもらうにはどうしたらよいのか、足りない頭でぐるぐると考え続けております。フィル&クリス製作のアニメは現在ではもう一本『レゴRムービー2』も公開中。これまたべらぼうに面白いのに苦戦中のようで… があッ!! 及ばずながらこれからも心から応援していこうと誓うのでした。つか、製作だけじゃなくそろそろ監督もやろうな!?

あと先日世界での好評を受けて続編の企画が立ち上がっているというニュースも入って来ました。今度こそ巨大ロボット・レオパルドンがスクリーンでおがめるか?

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April 01, 2019

シャーリーに首っ引き ピーター・ファレリー 『グリーンブック』

かつて『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』などのおバカ下ネタ映画で好評を博したものの、近年すっかり話題を聞かなくなってしまったファレリー兄弟。久しぶりにその兄貴の方のニュースが入ってきたと思ったらなんとアカデミー作品賞にノミネートされ、見事受賞したというからぶったまげです。そんな『グリーン・ブック』、ご紹介いたします。

1962年、ナイトクラブで用心棒をしていたトニーは金が必要になり、あるつてから高額の仕事を引き受ける。それは著名な黒人ピアニスト、ドン・シャーリーを差別問題の激しい南部のツアーに運転手として連れて行くことだった。元々黒人に偏見もあった上にシャーリーが友好的ではなかったため、トニーは渋々仕事をこなしていたが、それでも旅を続けていくうちに二人の間には奇妙な絆が芽生えていく。

ロードムービーでバディムービー。それをベテラン監督と実力派俳優が扱うわけですから、これはもうつまらなくする方がむずかしい。それでもダメになってしまう時はダメになってしまうのが映画の怖いところですが、この作品はさすがオスカーをもってっただけあっておかしくて、ほっこりして、でもホロリとさせる憎らしいくらいうまい作品になっていました。

ただ違和感を感じないでもありませんでした。かつてあれほど下ネタを巻き散らかしたファレリー兄と、何かとオール・ヌードが多いヴィゴ・モーテンセンが組むとなったらこれはもう確実にチンコ丸出しシーンがあるだろうと。ところがお笑いはお笑いでも、かつての監督に比べるとずいぶん上品な感じに仕上がってたりして。音信が途絶えている間自身公の場でモロだしして怒られたり、弟の家族に不幸があったりでファレリー兄さんも色々心境の変化があったようです。

あと物議を醸してるのが白人監督の作品ゆえに黒人側から多少なりとも反発があるということ。どちらとも縁遠いわたしたちからすれば「人種を越えた微笑ましい友情物語」と感じられるわけですが、被害者側の黒人さんたちからすれば色々納得がいかんところがあるようで。ことにやはり作品賞に『ブラック・クランズマン』でノミネートされてたスパイク・リーは結局『グリーンブック』がオスカーを受賞した時、憤っていたという話もあります。後ほど『ブラック・クランズマン』も観たのでいずれ感想を書きますけど、確かに毛色が違うところもあるものの、どちらにも一人二役というかシラノ・ド・ベルジュラック的な要素があったりしていろいろ共通する部分もあったような。

以下は結末までネタバレしてるのでご了承ください。

わたしがとりわけ嬉しかったのはラストシーン。クリスマスを一緒に過ごそうと言うトニーの誘いをドンは一度断ります。しかし寂しさに耐えかねて思い直し、彼の家を訪ねると温かく迎えられます。多少違うところもありますけどこのくだりが大好きな『メリーに首ったけ』のオチを彷彿とさせて、どばっと鼻水が吹き出てしまいました。チンコこそ出さなくなりましたが、「人はみなさびしい」ことを温かく描いてる点でファレリー兄はかつてと変わってないんだな…と。

近年アカデミー作品賞受賞作は日本ではあまり客が入らないことが多いですが、『グリーンブック』はそこそこ好評をもって迎えられ、ゴールデンウィークには追加で作られた字幕版も公開されるということです。これを機にまたファレリー兄弟の作品が普通にこちらでもかかるようになるとよいですね。

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March 04, 2019

死んだはずだよ王子様 谷口悟朗 『コードギアス 復活のルルーシュ』

一昨年からひっぱり続けて来た『コードギアス』リファインプロジェクトもいよいよ大詰め。待望の完全新作の公開とあいなりました。『コードギアス 復活のルルーシュ』ご紹介します。ついでにこれまで書いた総集編の感想を貼っておきます。
☆第一部 興道
☆第二部 叛道
☆第三部 皇道

悪虐皇帝ルルーシュの死により世界に平和がもたらされてから2年。復興の立役者である仮面の男・ゼロとブリタニア皇女のナナリーが、中東の小国ジルクスタンで何者かにより拉致されるという事件が起きる。かつてゼロの下で活躍した凄腕の戦士カレンは、事件解決のためジルクスタンに潜入。彼女はそこで思いもよらない人物と再会する。

…とぼやかして書きましたが、タイトルで既にばれちゃってますね。TVシリーズ終了時必死になってルルーシュが生きているヒントを探してみましたが、どっかで谷口監督の「確実に死なせた」という発言を読んでがっくりきたものでした。監督のうそつき!
それはともかく今回の映画、一言でいうと「よく出来た同窓会」という感じでした。あのキャラ、このキャラ、生き残った連中はみなそれぞれに成長し今の生活を楽しんでいる。その辺の様子を眺められてだいぶほっこりいたしました。激しく憎しみ合って命のやり取りをしてた者同士がテーブルを囲んで談笑してるあたりは「おや?」と思わんでもなかったですが、現実には難しい話ことに虚構の中ならばこういう和解があってもいいじゃないか…と考え直しました。

そしてまさかのルルーシュ復活に狂喜する面々の姿は、ずっとこのシリーズを追っかけてきたファンの心情そのまんまだなあと。こいつ、けっこうとんでもないこといっぱいやらかしてる少年ではあるんですけどね~

作者が若気の至りでやりすぎてしまった悲惨な結末を、年を重ねてから懺悔のように改変する例って時々ありますよね。永井豪先生の『デビルマン』、富野由悠季氏の『Zガンダム』、庵野秀明氏の『エヴァンゲリオン』… あ、こんなもんか。ネットで数年後に付けたしのような動画がUPされた『エウレカセブンAO』のような例もあります。それらはショッキングだったから歴史に残ったということもありますし、穏やかに作り直すことはかつてのテーマを否定することにもなりかねないのですが、自分のようにぬるい人間は昔のトラウマがいやされるようでこういうのけっこう好きです。あと谷口監督は若気の至りというより一応計算ずくであのラストに持っていったと思うのでけど、それでもいくばくかの迷いがあったのでしょうね。なんにせよこういう風にオリジナルに沿った形で結末を作り直せるというのは人気作だけに許される特権だなあと。

で、ここからまた再び長い物語が始まるのかと思いきや見事に収束してしまった『コードギアス』。まあまたえんえんと追いかけるのも大変なのでそれもいいかという気もしますが、やっぱりせっかく再度ここまで盛り上げたのにもったいないんじゃないでしょうか。ラストシーンから察するに今度はルルーシュに代わる次世代の主人公が登場する…という展開も予想できますが。続きを作るならできるだけキャラを不幸にしない方向でよろしくお願いしますね!(無理)

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January 09, 2019

ワイスピバトルでつかまえて リッチ・ムーア/フィル・ジョンストン 『シュガー・ラッシュ:オンライン』

世界を制覇せんばかりの勢いで次々と力作を贈り続けるディズニー帝国。その最新作は5年前TVゲームを題材にして好評を博したあの映画の続編です。『シュガーラッシュ オンライン』ご紹介いたします。前作の紹介はこちら

前作での出会いと冒険からしばらく後。壊し屋のラルフとレーサーのヴァネロぺはますます仲良しになり、二人は毎晩ゲームセンターの色々な機械に潜り込んで楽しい日々を過ごしていた。だがいつしかヴァネロぺは決められたコースを走ることに退屈を覚えるようになる。そんな彼女のためにラルフは強引に新コースをこしらえるのだが、そのことがきっかけでヴァネロぺのゲーム「シュガーラッシュ」はクラッシュしてしまう。二人は店主が新たに備え付けたWifiを利用して、ネットの世界でゲーム機を修理する方法を探すのだが…

というわけで今回の舞台はインターネット。「物質でない世界を可視化する」という試みはピクサーの『インサイド・ヘッド』でも行われておりました。あちらはあちらですごかったですが、やはりオタクにとっては様々な見知ったキャラがうろつきまわってるこちらの方が楽しい。また普段利用してるあのサービスやSNSがいかにもといった形で表現されていていちいち舌を巻かされました。「どんなに人気を得ようとしても、結局は猫動画がトップ」とかね(笑)

相変わらずのゲームパロディにも爆笑させられました。ディズニーのプリンセスがグランド・セフト・オートのようなバイオレンスゲームに迷い込んだらどうなるか… これがけっこうそれなりに自然に溶け込んでたりして。予告でうざいくらい流されてた「大きな男の人に幸せにしてもらった?」というアレですが、「現代のお姫様は男に頼らなくたって十分活躍できる」ことへの逆説的なギャグだったようです。

さて、以下は結末までネタバレで。

そんなわけで一見にぎやかで愉快そうに見える『シュガーラッシュ オンライン』ですけど、芯の部分は題名とは裏腹に相当ビターでございました。ラルフとヴァネロぺの関係はいろんなものに重ねあわせることができるかと思いますが、自分はやはり「親友」という言葉が一番しっくり来ると思います。その無二の親友が自分とは違うことを望んでいたら?というお話なんですね。このままの安定を望むラルフ。新しい世界へ旅立つことを願うヴァネロぺ。どちらも決して悪いわけじゃないのだけど、ずっと一緒にいることはどちらかに無理を強いることになってしまうわけです。こういうのって現実にも実際にありそうな例ですよね。

で、こういう時つらいのはより深く相手に依存してる方。要するにラルフです。元嫌われ者でかわいくもないおっさんが奇跡的にプリンセスとお友達になれたのですから、そりゃべったりになるのは当たり前でしょう。だけど本当に親友ならさびしくても相手の望みを優先してあげなくてはなりません。そこでトチ狂って親友に執着しすぎると、それこそ友情がぶちこわしになってしまいます。いまなら友達が遠くに行ってしまっても、それこそオンラインでいろいろ使えるサービスもあるわけですし。
…とえらそげに書いてみましたし、それが正しいことは十分わかっているのですが、ラルフの身になって考えるとさびしすぎるしつらすぎる。それでも男は(女も?)耐えなくちゃいけない。こんなシビアな現実をつきつけてくれるとはにくい… にくいぜディズニー…!! エピローグでの様々な悪ふざけはこのさびしさをまぎらわそうという狙いだったのかもしれませんが、全然中和されてねーから!! 思えば1作目も「どんなになりたくてもなれないものがある」というきついテーマだったしなあ~ ここ最近のディズニーの定番であった「一見親切そうな人が黒幕」というパターンから脱却したところは評価しておりますけど。

こんなほろ苦いお話、子供たちにうけるんかいな、と思いましたが、カラフルな世界を愉快なキャラが駆け回るだけで十分楽しめるのか、本作品は日本では公開から3週連続のトップを飾っております。こうなるともう売れたもの勝ちでしょう。いろいろ申しましたが大傑作なことには間違いないと思います。

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December 29, 2018

第15回SGA屋漫画文化賞

2018年もあと2日とちょっと。恒例の漫画ベストと映画ベストをもって〆たいと思います。本日は漫画ベストの方を。第15回SGA屋漫画文化賞参ります。賞金も賞品もありません。むしろくれ。

2018c1☆少年漫画部門:ゆうきまさみ 『究極超人あ~る』

リアル中二のころ夢中になったあ~る君が30年ぶりに帰ってきたとあったら、そりゃ受賞させないわけにはいかないでしょう。
それにしてもあ~る君も登坂先輩もほんと変わんないねえ。その辺に安心したり、自分だけがオヤジになってしまったことがちょっとさびしかったり、
ゆうき先生、またちょこちょこ読みきりで続き描いてくださいねー


2018c2☆少女漫画部門:吉田秋生 『海街diary』

二年連続受賞であります。理由は他の少女漫画をほとんど読んでないのと、12年に渡る連載がめでたく完結されたので。
いやあ、すげえあっさり終わりましたが、それがかえってよかった。あと巻末の番外編的な短編「弟」も胸にしみじみと沁みいるお話でした。
吉田先生はもう1作鎌倉を舞台にした作品を構想されてるそうで、そちらも期待してます。


2018c3青年漫画部門:ちばあきお・コージィ城倉 『プレイボール2』

昨年は少年漫画部門でしたが、今年はこちらで。
ついに始まった谷口君最後の夏大会。今年もっとも続きが楽しみだった漫画。
「ちば野球漫画」を忠実に再現しながらも、現代的な見方も取り入れてあるのが興味深いです。

青年系では他には『キングダム』『ゴールデンカムイ』『銀河英雄伝説』といったヤンジャン系が相変わらず熱いです。


2018c4☆中年漫画部門:原作:萩原天晴・漫画:上原求、新井和也・協力:福本伸行 『1日外出録ハンチョウ』 

これまた2年連続受賞。今年も辛いとき悲しいとき、わたしのささえとなってくれたのはこの漫画の「いかに物事を楽しむか・いかに楽しみを見つけるか」というスピリッツでした。ああもう、大槻さん抱いて…!!
オヤジ系漫画ではやはり福本関連の『新・黒沢』が熱い展開になってきております。あとここ数年楽しみにしてた『銀牙 THE LAST WARS』が終わってしまってちょっぴりショック。


2018c5☆その他部門:矢部太郎 『大家さんと僕』

芸人が描いた漫画が手塚治虫文化賞とはなにごとじゃーーーーーい!! と斜に構えた姿勢で読み始めましたが、最後まで目を通して納得…というか降参いたしました。
大家さんと矢部さんのコンビは『こぐまのケーキ屋さん』の店長&店員さんとよく似ています。大家さんが強風にさらわれそうになるとこなんか特に。

その他系では安達哲先生の『総天然色バカ姉弟』の新刊が出たのもよかったっす。


2018c6☆邦訳部門:ピーター・J・トマシ, ホルヘ・ヒメネス 『スーパーサンズ』


スーパーマンの息子ジョンとバットマンの息子ダミアン。何から何まで対照的な二人が角突き合わせながら繰り広げる冒険コメディ。それをサポートする二人の父ヒーローのやり取りがまた面白い。
今年読んだ邦訳アメコミは他に『バットマン:ザ・ラストエピソード』『バットマン/フラッシュ ザ・ボタン』『バットマン メタル・プレリュード』など。バットマン関連ばっかりじゃー


2018c7☆アニメ部門:雨宮哲 『SSSS.GRIDMAN』

25年前ごくごく一部で人気を博した特撮ヒーロー『電光超人グリッドマン』が、平成も終わろうといういまこの時にアニメになって帰ってきた…!
このアニメは何を語ろうともネタバレになってしまうので、興味ある方はさっさとネトフリに入ってごらんください…! 『ウルトラマンネクサス』『仮面ライダーW』などを手がけてこられた長谷川圭一先生の最高傑作であります。

アニメでは他に超珍作の『ポプテピピック』やあの名作のリメイク『デビルマンcry baby』が印象に残っております。


2018c8☆大賞:徳丸正弘 『もっこり半兵衛』

下ネタ漫画を得意としておられた徳丸先生がギャグセンスはそのままに江戸の人々の情愛や哀感を高らかに歌い上げた傑作時代劇漫画。
特に2巻冒頭の「伊助の武芸指南」が大変素晴らしく、シンプルながら交わされる会話の一つ一つが力強くかつ切ないエピソードでした。思い出しただけでも鼻水が垂れ流れます… チンコネタが苦手でなければ自信を持っておすすめいたします。

本年もいっぱい面白い漫画に出会えて感謝。来年も積極的に面白き漫画を発掘していきたい所存にございます。では。


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