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September 06, 2026

2026年6月~8月前半に読んだ本

☆『締切と闘え!』 島本和彦 ちくまプリマ―新書

魂燃やして40数年、孤高の燃える漫画家・島本和彦先生が十代の若者たちに、自身の経験を交えて「締切」とどう向き合い、対処していくかを語った啓蒙書。

わたしの好きな氏の作品『燃えよペン』で、「目前に迫った締め切りを無視して謝恩会に出た結果、自分も編集も地獄のような思いをした」という実話を元にした回があります。それがこの本の中で繰り返し語られていて、「あの話って先生の中で本当にトラウマになってるんだなあ…」となぜかほっこりいたしました。わたしもギリギリにならないとエンジンがかからない方なので、なにかしら参考になれば…と思い拝読させていただきましたが、そういう面白エピソードばかり印象に残ってしまい教訓めいた文章はもうあんまり覚えていません。

 

☆『ロングウォーク』 スティーブン・キング 扶桑社ミステリー文庫

「キングが別名義で若き日に書いた作品」「ごく普通の若者が、国が開催する理不尽な競技に参加し、自分なりに抵抗する物語」「発表後40年以上経ってなんでか今頃映画化された」ということで『ランニングマン』の姉妹編とも言える小説。

「デスゲームの元祖」という紹介もありましたが『ランニングマン』の方はともかく、これはあまりゲームには思えなくて。書かれたのがベトナムの記憶が新しい70年代末。貴重な命をあっさり投げ出し、最愛の息子を死地に追いやることを家族も諦めのように感じてる。そして自分の不利になるとしてもどうしても他の参加者を助けてしまう… いろんな方が言ってると思いますけど、これはやっぱり「徴兵制」のメタファーに他ならないのでは。

艱難の果てに一人生き残った少年は果たして何を得たのか、そしてそのあとどこに行くのか。答えを読者に委ねるような結末が映画とはまた違った形で胸に残りました。

 

☆『写楽百面相』 泡坂妻夫 創元推理文庫

謎の絵師・写楽の正体を追う…というよりは、それに関係したあるスキャンダルと悲恋を描いた時代もの。『風雲児たち』や『べらぼう』で知った名がたくさん出てくるのは滅法楽しいんですけど、著者お得意の軽妙なトリックやどんでん返しを期待すると物足りないかも。

 

☆『異常「アノマリー」』  エルヴェ・ル・テリエ 早川epi文庫

2020年、フランスで発表された小説。あらすじのネタバレ厳禁ということなので本当に触りだけ書くと、ある旅客機に搭乗した一団が遭遇したありえない出来事を群像劇の形で語った作品。

筒井康隆だったらお笑い短編にしちゃうようなアイデアを、それなりにサスペンスフルな長編に仕上げてあります。タイトルがアレですけど猟奇的なエグい話ではないのでそういうの苦手な人でも大丈夫かと。楽しみましたが、読み終わったあとちょっとポカンとしちゃいました。

 

☆『銀河英雄伝説⑥ 飛翔編』 田中芳樹 創元推理文庫

物語も後編に突入。銀河はひとまず帝国の支配下となり、退役して悠々自適の生活を送るヤンだったが、その才能を恐れる者たちは彼を陥れる策をめぐらす。

序章の「地球衰亡の記録」は面白いんですけど地球軍の蛮行とか、植民星側の内ゲバとか色々胸糞悪い内容。でもこっちの方が本編よりリアルに近いんだろうなあ。キュンメルやレンネンカンプといった小人たちの顛末に自業自得と思いつつ、小物としてはつい同情してしまったり。人類の発展に地球にこだわる必要はない、という考え方は『逆襲のシャア』からの影響かと思いましたがこっちの方が3年早かったです。
☆『スミルノ博士の日記』 ドゥーセ 中公文庫
第二次大戦前のスウェーデンで発表された小説。これも『異常』と同じく「ネタバレ厳禁! あっと驚く!」みたいな宣伝コピーに乗せられて買った本(わかりやすい)。タイトルから『ドグラ・マグラ』みたいなファンキーな博士がウッキッキ〜とはしゃぐ内容かと思いましたが、もっと落ち着いた松本清張っぽい話であり、よく出来た本格ミステリでもあり。お盆休みで集中できたせいもあって、半日で300ページ一気読み出来るくらいの面白さはありました。
この後『三河雑兵心得 退き口仁義』『やし酒飲み』を読了。続いて『銀河英雄伝説⑦』『瓶の中の手記』『名探偵のいけにえ』『ハウスメイド』と読んでいく予定。




 

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