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May 03, 2026

2026年3月ごろに観た映画

☆『ナースコール』

昨年スイスで大ヒットを飛ばし、多くの映画祭でノミネートされた作品。内容はとある病院で夜勤に励む看護師の姿を追ったもの。様々な患者たちに真摯に勤勉に対応するものの、肉体の限界と数々のストレスに次第に追い詰められていき…と書いてるだけでいやになるような粗筋です。先日町中で水道がパンクして電話が鳴りやまなかった時のことを思い出しました(自分水道屋なので)。まあそれはせいぜい5日くらいでおさまりましたが、こういうのが通常の職場というのは本当に大変ですよね。自分がお世話になる時は極力看護師さんにわがままを言わないようにしようと固く決意いたしました。

せめてもの救いは色々あった末、患者さんたちもみな最後はちょっといい人になっている点。終始限定空間でお話が進んでいくスタイルも合わせて三谷幸喜氏の舞台に近いところもあります。

約20年ちょくちょく通わせていただいたシネマサンシャイン沼津さんで観た最後の映画となりました。本当にお世話になりました。

 

☆『しあわせな選択』

人を食ったミステリーを書くドナルド・E・ウェストレイクの小説を、これまたヘンテコな作品を多く手掛けているパク・チャヌクが映画化。リストラされた製紙会社のベテラン社員が、再就職の妨げとなるライバルを一人一人闇に葬っていく話。正々堂々と勝負しろよ!と言いたくなりますが、彼にも持ち家や家族の生活を守らねばならない事情があり…いや、そんなのは事情でもなんでもないな。主人公に1ミクロンくらいしか同情できないストーリーです。それにチャヌクお得意のひょうひょうとしたギャグが混ぜられて語られます。前々から思ってたけどやっぱり自分チャヌクとは相性よくないのかも。『オールド・ボーイ』とかは嫌いじゃないんですが。

主演はかつての韓流スター、イ・ビョンホン。冴えないお父さん役がだいぶ似合う様になっておりました。

 

☆『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

本年度アカデミー賞作品部門にノミネートされた1作。第二次世界大戦後まもなくの時代に、卓球で世界チャンピオンを目指す破天荒な青年の物語。てっきり実話を元にした話だと思いながら観てましたが、実在の人物をモデルにしたフィクションだそうで。騙しやがって! まあ本当の話だとしたらやばすぎるエピソードの連発で、「これ、絶対色々盛ってるよな」とは思ってました。あと金策に奔走するあまり途中なかなか卓球をしなくなるあたりは『稲中卓球部』を思い出しました。

面白いのは主人公のライバルとなるのが日本人でクライマックスの舞台も日本となるところ。こちらもモデルとなってる選手がいるそうです。

 

☆『アメリと雨の物語』

これまた戦後まもなくの日本の話(ただこちらは概ね実話)。ベルギーの外交官の家庭で生まれた少女アメリの目を通して、当時の神戸の風景が描かれます。輪郭線のない画風が独特で作品に温かみを添えております。また悲しい過去を持つ家政婦ニシオさんが外国の少女にむける包み込むような愛情が、観る者の胸をふんわりと打ちます。

幼少期怪獣のように暴れまわり両親を困らせていたアメリが、祖母のくれたチョコレートがきっかけで人間らしい自我を得るというくだりがなぜだか印象に残りました。

 

☆『私がビーバーになる時』

ピクサー最新作。自然保護活動に打ち込む女子大生が、ビーバーのロボットに乗り移って市の推し進める建設計画を阻止しようとするストーリー。こう書いただけでなかなかいかれた作品であることがおわかりいただけるかと。ピクサーの名作には多かれ少なかれ「いかれた」要素がありますが、今回は歴代の作品と比べてもトップクラスのいかれっぷりでした。

そんな狂気の物語と並行してちゃんと友情の大切さ・難しさや、自然保護と開発の両立はできるのか…といった問題もちゃんと描かれてるのがすごい。監督は一応『平成狸合戦ぽんぽこ』も意識してるとのこと。あとノンシリーズでありながら日本でもけっこうヒットしてたり。『ズートピア2』に続く「モフモフ路線」として売り出したのが功を奏したようです。

好きなところはいっぱいありますが、ロボットを通して見るとガン決まったように瞳孔をおっぴろげているビーバーが、人間目線だとつぶらな瞳のかわいいデザインになるところが特にお気に入りです。日本語版主題歌は昔懐かしのパフィ「愛のしるし」。なぜこれなのか理由はさっぱりわかりませんが、確かになんか微妙にマッチしておりました。

 

☆『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

本年度再注目作品の1本。予告編が公開された時に配給さんが「原作をまだ読んでないなら見るな! 読んでから見ろ!」みたいなことをおっしゃってて物議を醸しました。上から怒られなかったのだろうか… 原作は幾つかのびっくり箱をゆっくり開けていくような面白さがあって、映画予告だとすでにびっくり箱が空いた状態をいきなり見せられてしまう感があるのです。もう今ではネットでも映画館でもそのネタ宇宙人「ロッキー」の姿がバンバン溢れておりますね。以下こちらもネタバレで。

 

 

自分が思うに主人公グレースが最初必死で任務を拒否してたのは、本当に大切な存在を持てないまま死出の旅に出るのがイヤだったからでは。彼が幸運だったのは知的生命など人っ子一人いないはずの宇宙の果てでそれと巡りあえたことですね。その大切な誰かを得たから、失いたくないから、クライマックスでグレースは今度は進んで自分の命を投げ出そうとします。


あと連想したのは旧約聖書の「ヨナ書」。有名な話だけど一応あらすじを書いときますと、古代イスラエルのヨナという男が神から凶悪で知られるニネベの町の人々に、「この町はもうすぐ滅ぼされる」という予言を告げてこいと命じられます。そんなことをしたらたちまち自分は殺されてしまうだろうと思ったヨナは、船で遠くの町に逃げようとします。だがその船は神の起こした嵐により沈みそうになります。船員たちを巻き添えにしてはいけないと感じたヨナは、彼らに自分を海に放り込むよう頼みます。水中に沈んだヨナは巨大な魚に飲み込まれ、その腹の中で3日間反省し、決死の覚悟でニネベに赴きます。すると意外にもその町の人々は自分の行いを深く反省し、神はニネベを滅ぼすことをとりやめます。

もちろん違う点は多々ありますが、自分の本意でなかった(死が前提だし)任務を最終的にやりとげ、その結果多くの命が救われるという流れが似てるなあと。あと「巨大な魚」と宇宙船もなんとなく重なるものがあります。
「ロッキー」のデザインは最初ギョッとしますが、あの「顔」のないところがかえってよかったのかも。グレースの旅が片道切符だったことを知ったロッキーが、顔などないのにすごく悲しい顔をしてるように見えてホロホロと泣きました。
次回は『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』『パリに咲くエトワール』『俺たちのアナコンダ』『ハムネット』『ARCO』あたりの感想を書く予定。

 

 

 

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Comments

アメリと雨の物語

戦後って言うと、同じ日本の上で菅原文太と金子信雄が血で血を争うヤクザ親子ゲンカをしてたと言う。空気感が違いすぎる。

Posted by: ふじき78 | May 04, 2026 08:11 PM

私がビーバーになる時

動物会議が出てきてからが、イカレ具合にターボかかって最高。基本、どの種族も自分優先で、みんな仲良くやろうとか丸く収めようとか一切考えてない所が、世知辛いと言おうか、うわああああ、と言おうか。リアル。

Posted by: ふじき78 | May 04, 2026 08:20 PM

伍一君☆
「マーティーシュプリーム~」観てます。
モデルになった人は調べて見たら、案外もっと?酷いみたいですよ。何しろヤバイかんじだから、実話ではなくモデルにしただけと言っているだけ…な気がしました。

Posted by: ノルウェーまだ~む | May 04, 2026 10:17 PM

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