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May 31, 2026

2026年4月ごろ観た映画

☆『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』

劇場版1作目とドラマシリーズを経ての劇場版第2作。アバンタイトルで問題のラッコ鍋のくだりが描かれるので、開始早々劇場内が当惑した空気に包まれたような。そのラッコ鍋と、クライマックスのガトリング大乱射の温度差に風邪をひきそうになりました。でも網走監獄ってなんかいいですよね。あの形にロマンをかき立てられます。あと無性に鮭イクラが食べたくなりました。はま寿司で我慢しました。

これ以後の製作スケジュールはまだ発表されてないのですが、『キングダム』もあるし、再来年の大河ドラマの主演もつとめるそうなので山﨑君が過労死しないか心配です。

 

☆『パリに咲くエトワール』

1910年代のパリを舞台に、画家とバレリーナを目指す二人の少女の青春を描いたアニメーション。スルー予定でしたが、評判が良かったのと、主人公の片方が美少女化した藤田嗣治説があると聞いて観てきました。『リヴァイアス』『スクライド』『コードギアス』熱中した身としては「谷口監督、結局あんたも宮崎ジブリライン行きたいのかい? 寂しいぜ?」と思っていたのですが、まあいいでしょう。認めてあげます。そう、谷口悟朗してはギスギスさが少なめ。老成というやつでしょうか。

『ゴールデンカムイ』とは同日に観たのですが、たまたま扱ってる時代が一緒だったのは面白い偶然でした。

 

☆『俺たちのアナコンダ』

90年代のB級パニック映画『アナコンダ』に憧れた二人のおっさんが、自分たちでリメイクしようと張り切ったら本物の巨大アナコンダが出て来てしまい…という粗筋。本当になぜジョーズでもトレマーズでもなくアナコンダにしたのか(それはSONYが権利を持ってるから)。

そのSONYのあまりの自虐芸に「どうした。もっと自信持っていこうぜ」と、肩を抱いて励ましてやりたくなりましたが、それはそれとしてちょうどいいくらいのくだらなさが気持ちいい映画でした。疲れてダラダラ飲んでる時の、缶ビールと柿ピーのような。

日本公開が遅れたのは本国他でコケたからか…と思っていたら、製作費の3倍くらい儲けてました。低予算が功を奏したか(『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の1/4くらい)。続編出来るかもしれません。

 

☆『ハムネット』

今年度アカデミー賞作品部門有力候補だった1本。シェイクスピアの早世した息子の名前が「ハムレット」とほぼ同じだった…という史実があり、その理由に独自の解釈を加えた作品。

・いい映画でしたがしんどい話でした。
・1作ごとに全く違うジャンルの作品をこしらえてくるクロエ・ジャオ監督はなかなかの芸達者
・とある田舎のボンクラ青年が聖書物語やギリシャ神話に迫るような戯曲群を1人でつむぎ出したというのは、考えてみれば不思議な話であります。他にこんだけ世界で親しまれてる名作を量産した作家ってちょっと思い当たりませんしね。

観ていて久しぶりにあの頃の英国も女性が舞台に上がることは許されず、「女形」が存在していたことを思い出しました。最初は滑稽でしたが、映画の力のせいか終盤は気になりませんでした。

 

☆『ARCO』

これまたアカデミー賞長編アニメ部門有力候補だった1本。ロボが普通に子守してくれてるような近未来の少女と、スーパースーツで時間旅行が出来るような遠未来の少年の友情を描いた作品。ラピュタの逆で少年が空から落ちてきます。欧州のアート的センスが独特で、アルコ君の虹マントがどうしても珍妙に見えてしまったり、『TAROMAN』の「未来人エラン」を思い出してしまったり。でもまあ、そのうちに馴染んできて少年少女の純真さや、子守ロボの健気さに胸を打たれました。

次回は『アギト 超能力戦争』『サンキュー、チャック』『ひつじ探偵団』『スマッシング・マシーン』『スターウォーズ マンダロリアン&グローグ―』について書く予定。

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May 03, 2026

2026年3月ごろに観た映画

☆『ナースコール』

昨年スイスで大ヒットを飛ばし、多くの映画祭でノミネートされた作品。内容はとある病院で夜勤に励む看護師の姿を追ったもの。様々な患者たちに真摯に勤勉に対応するものの、肉体の限界と数々のストレスに次第に追い詰められていき…と書いてるだけでいやになるような粗筋です。先日町中で水道がパンクして電話が鳴りやまなかった時のことを思い出しました(自分水道屋なので)。まあそれはせいぜい5日くらいでおさまりましたが、こういうのが通常の職場というのは本当に大変ですよね。自分がお世話になる時は極力看護師さんにわがままを言わないようにしようと固く決意いたしました。

せめてもの救いは色々あった末、患者さんたちもみな最後はちょっといい人になっている点。終始限定空間でお話が進んでいくスタイルも合わせて三谷幸喜氏の舞台に近いところもあります。

約20年ちょくちょく通わせていただいたシネマサンシャイン沼津さんで観た最後の映画となりました。本当にお世話になりました。

 

☆『しあわせな選択』

人を食ったミステリーを書くドナルド・E・ウェストレイクの小説を、これまたヘンテコな作品を多く手掛けているパク・チャヌクが映画化。リストラされた製紙会社のベテラン社員が、再就職の妨げとなるライバルを一人一人闇に葬っていく話。正々堂々と勝負しろよ!と言いたくなりますが、彼にも持ち家や家族の生活を守らねばならない事情があり…いや、そんなのは事情でもなんでもないな。主人公に1ミクロンくらいしか同情できないストーリーです。それにチャヌクお得意のひょうひょうとしたギャグが混ぜられて語られます。前々から思ってたけどやっぱり自分チャヌクとは相性よくないのかも。『オールド・ボーイ』とかは嫌いじゃないんですが。

主演はかつての韓流スター、イ・ビョンホン。冴えないお父さん役がだいぶ似合う様になっておりました。

 

☆『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

本年度アカデミー賞作品部門にノミネートされた1作。第二次世界大戦後まもなくの時代に、卓球で世界チャンピオンを目指す破天荒な青年の物語。てっきり実話を元にした話だと思いながら観てましたが、実在の人物をモデルにしたフィクションだそうで。騙しやがって! まあ本当の話だとしたらやばすぎるエピソードの連発で、「これ、絶対色々盛ってるよな」とは思ってました。あと金策に奔走するあまり途中なかなか卓球をしなくなるあたりは『稲中卓球部』を思い出しました。

面白いのは主人公のライバルとなるのが日本人でクライマックスの舞台も日本となるところ。こちらもモデルとなってる選手がいるそうです。

 

☆『アメリと雨の物語』

これまた戦後まもなくの日本の話(ただこちらは概ね実話)。ベルギーの外交官の家庭で生まれた少女アメリの目を通して、当時の神戸の風景が描かれます。輪郭線のない画風が独特で作品に温かみを添えております。また悲しい過去を持つ家政婦ニシオさんが外国の少女にむける包み込むような愛情が、観る者の胸をふんわりと打ちます。

幼少期怪獣のように暴れまわり両親を困らせていたアメリが、祖母のくれたチョコレートがきっかけで人間らしい自我を得るというくだりがなぜだか印象に残りました。

 

☆『私がビーバーになる時』

ピクサー最新作。自然保護活動に打ち込む女子大生が、ビーバーのロボットに乗り移って市の推し進める建設計画を阻止しようとするストーリー。こう書いただけでなかなかいかれた作品であることがおわかりいただけるかと。ピクサーの名作には多かれ少なかれ「いかれた」要素がありますが、今回は歴代の作品と比べてもトップクラスのいかれっぷりでした。

そんな狂気の物語と並行してちゃんと友情の大切さ・難しさや、自然保護と開発の両立はできるのか…といった問題もちゃんと描かれてるのがすごい。監督は一応『平成狸合戦ぽんぽこ』も意識してるとのこと。あとノンシリーズでありながら日本でもけっこうヒットしてたり。『ズートピア2』に続く「モフモフ路線」として売り出したのが功を奏したようです。

好きなところはいっぱいありますが、ロボットを通して見るとガン決まったように瞳孔をおっぴろげているビーバーが、人間目線だとつぶらな瞳のかわいいデザインになるところが特にお気に入りです。日本語版主題歌は昔懐かしのパフィ「愛のしるし」。なぜこれなのか理由はさっぱりわかりませんが、確かになんか微妙にマッチしておりました。

 

☆『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

本年度再注目作品の1本。予告編が公開された時に配給さんが「原作をまだ読んでないなら見るな! 読んでから見ろ!」みたいなことをおっしゃってて物議を醸しました。上から怒られなかったのだろうか… 原作は幾つかのびっくり箱をゆっくり開けていくような面白さがあって、映画予告だとすでにびっくり箱が空いた状態をいきなり見せられてしまう感があるのです。もう今ではネットでも映画館でもそのネタ宇宙人「ロッキー」の姿がバンバン溢れておりますね。以下こちらもネタバレで。

 

 

自分が思うに主人公グレースが最初必死で任務を拒否してたのは、本当に大切な存在を持てないまま死出の旅に出るのがイヤだったからでは。彼が幸運だったのは知的生命など人っ子一人いないはずの宇宙の果てでそれと巡りあえたことですね。その大切な誰かを得たから、失いたくないから、クライマックスでグレースは今度は進んで自分の命を投げ出そうとします。


あと連想したのは旧約聖書の「ヨナ書」。有名な話だけど一応あらすじを書いときますと、古代イスラエルのヨナという男が神から凶悪で知られるニネベの町の人々に、「この町はもうすぐ滅ぼされる」という予言を告げてこいと命じられます。そんなことをしたらたちまち自分は殺されてしまうだろうと思ったヨナは、船で遠くの町に逃げようとします。だがその船は神の起こした嵐により沈みそうになります。船員たちを巻き添えにしてはいけないと感じたヨナは、彼らに自分を海に放り込むよう頼みます。水中に沈んだヨナは巨大な魚に飲み込まれ、その腹の中で3日間反省し、決死の覚悟でニネベに赴きます。すると意外にもその町の人々は自分の行いを深く反省し、神はニネベを滅ぼすことをとりやめます。

もちろん違う点は多々ありますが、自分の本意でなかった(死が前提だし)任務を最終的にやりとげ、その結果多くの命が救われるという流れが似てるなあと。あと「巨大な魚」と宇宙船もなんとなく重なるものがあります。
「ロッキー」のデザインは最初ギョッとしますが、あの「顔」のないところがかえってよかったのかも。グレースの旅が片道切符だったことを知ったロッキーが、顔などないのにすごく悲しい顔をしてるように見えてホロホロと泣きました。
次回は『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』『パリに咲くエトワール』『俺たちのアナコンダ』『ハムネット』『ARCO』あたりの感想を書く予定。

 

 

 

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