« February 2026 | Main | April 2026 »

March 29, 2026

2026年2月ごろ観た映画を振り返る

☆『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』

3部作とうたわれている『閃光のハサウェイ』の、実に5年ぶりの第二部。第一部ではそれなりにさっそうとしていた主人公ハサウェイですが、今回はその実けっこう苦悩していた様子が描かれます。そりゃ『逆襲のシャア』であれだけのことをやっちゃってるわけですし…

シンプルながら深みのあるセリフに、情緒豊かな実在する風景。なんだか欧州の文芸作品をそのままアニメにしたようでもありますけど、要所要所でロボはちゃんと出てくるという変な作品。原作を読んでるにも関わらず意味不明な個所も多いのですが(ギギがマンションのリフォームをするくだりをなぜあんなに丁寧に描くのか、とか)、2回観たらそれなりに自分の中で腑に落ちたような。

『機動戦士ガンダム』1作目と地続きの作品であるのに、ずいぶんとかけはなれたタイプの作品になってしまいました。それはこれがプログラム的なTVアニメではなく、一応「小説」を原作としているからかもしれません。不穏しかなさそうな完結編はもう少し早めのリリースをお願いします。

 

☆『HELP/復讐島』

ホラーの名匠サム・ライミの手によるいわゆる『流されて…』テーマの作品。邦題では「復讐」とうたってますが、これ復讐というより自分を馬鹿にしてたイケメンバカ若社長に執着しつづける話だと思います。そしてその執着から開放される話…なのかな?

清楚美女のイメージだったレイチェル・マクアダムスが、体を張って痛々しい役を演じておられてなかなかの衝撃でした。気になるのはこれ少し前の『逆転のトライアングル』と色々似てしまっている点。もしかして原案なのか?と思って調べたけどそうでもないようだし…

 

☆『ランニング・マン』

かなり前『バトルランナー』というタイトルも内容も全然違う形で映画化されたスティーブン・キング原作作品。今回はなかなか原典に忠実に作られてはいますが、監督エドガー・ライトと主演グレン・パウエルのカラーのゆえか、小説版のひたすら重苦しかったムードに、ややファンキーな空気が混じってるように感じられました。

エンターテインメントとしてよく出来てはいるのですが、原作の悲壮なラストに思い入れのある身としては改変された結末に少々モヤモヤしたり。「新約版」で明るい方に変えられた『Zガンダム』のラストに感じたアレです(なんでもガンダムで例えるのはやめましょう)

 

☆『ブゴニア』

変な映画ばかり作っているヨルゴス・ランティモス監督最新作。『地球を守れ!』という韓国映画のリメイクだそうで。

某会社のCEOを宇宙からの侵略者だと思い込んだ二人組が、彼女を誘拐し宇宙人のボスに会わせろと迫るというぶっとんだあらすじ。誘拐犯の主張があまりに常軌を逸していて笑うに笑えないというか。時折監督お得意のゴア描写もちょいちょい挟まれたり。

なんというかか藤子Fと藤子Aを足してわったようなユーモア感覚でありました。あとランティモスはいつもエマ・ストーンをひどい目にあわせて趣味が悪いな…と思うのですが、エマさんも毎回付き合うあたりそういうのが好きなのかもしれません。

 

☆『クライム101』

『犬の力』などで知られるドン・ウィンズロウ原作の犯罪サスペンス。マイケル・マンの『ヒート』を手本にした作品はこれまでも幾つかありましたが、これもそのひとつかと。ただウィンズロウって小悪党に対してはなんか同情的に描くことが多く、これもまたそんな彼の優しい目線が随所に感じられました。貧困層からのしあがろうとする主人公に対してもそうだし、真面目にずっとやってきたのに道を踏み外してしまいそうになるハル・ベリーに対しても。

最近『長安のライチ』や『しあわせな選択』など「いいとこにお家をかまえる」ことが幸福の条件のように語られる作品がなぜか続きました。でも大体それが大体苦労を背負うことになり…という流れ。築ウン十年のボロ家で自分は満足しときます。

 

☆『木挽町のあだ討ち』

なんとなく見とくか…くらいのモチベーションだったのに、これが大した大当たり。ミステリーであり、チャンバラ時代劇であり、当時芝居小屋を社会科見学させてくれるような趣もあり(料理描写が細かいは池波正太郎遺伝子でしょうか)。

そしてキャスト陣が誰一人としてはずれがない大はまり。女装姿からさらっと若侍に変身する長尾謙杜君。ユーモラスな役が多い印象でしたが、説得力たっぷりに剣の達人になりきっていた滝藤賢一氏。これまでのキャリアを逆手にとったような役柄の北村龍平氏。怖そうだけど情に篤い女形を好演していた高橋和也氏。しかしなんといっても一番光っていたのは食えないようで温かみのある江戸の名探偵を演じていた主演・柄本佑氏。このキャラが事件の謎を解く続編がもう2,3本観たいとこですが、ストーリーの都合上難しいかな…

「長唄で送ってやろうじゃねえか」というラストのセリフがなんともさわやかでした。

 

先月はなんでか登場人物が極限状況に追い込まれるような映画ばかり観てました。なんでだろう

次回は『ナースコール』『しあわせな選択』『マーティ・シュプリーム』『アメリと雨の物語』『私がビーバーになる時』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』について書く予定です。

| | Comments (5)

March 15, 2026

『べらぼう』を雑に振り返る⑬ 総集編

『豊臣兄弟!』も10回くらい進んだいまごろになってですが、最後の〆として『べらぼう』の個人的に好きな場面・とりわけ印象に残ったシーンを列挙してみます。怪しい記憶頼りなので細部違うところもあるかと思われますがご容赦ください。

☆第2話 「このドラマ面白えよ」と唸らされた平賀源内本格登場のエピソード。ひとしきり笑わせてもらった後で、男装した花ノ井に稽古してるような踊りを頼み、かつての恋人を偲ぶシーン。この時代人の命は儚かったのだなあと。

☆第5話 蔦重に「隠してることはないか?」と問われ、精一杯の笑顔を浮かべる唐丸。すごく辛いのに一生懸命平気なフリをする姿って自分ダメなんです。しかも子役

☆第10話。身請けが決まった瀬川が吉原を去る場面。薄く紅がさした空の下、豪華絢爛な花魁の行列がゆっくりと進んでいく様は幽玄というか夢幻というか。大河ドラマってすげえなあと思いました。

☆第12話。俄祭りのどんちゃん騒ぎのその最中、松の井姉さんに背中を押されて神隠しのように姿を消す新さんとうつせみ。これまたファンタジーのような情景でした。この後二人には艱難辛苦が待ち受けているのですが、最高に幸せだったであろうこの場面を思い出すと慰められます。

☆第18話。まあさんのアレがアレになっちゃってなんでか大蛇が暴れ出すシーン。貴重なCGをこんなエピソードのために使いやがって、国民から徴収したお金をなんだと思ってるんだ(許す)

☆第22回。ヘソを曲げてた春町先生が反省し、京伝にわびたら芝居でもなんでもなく素で「なんのこと?」と言われるくだり。京伝さんも軽薄なキャラではありましたがこういうところは本当にいい子だなあと。二人のからみでは春町先生の「お前はこっち側の人間だ! 来い!!」も良かった。

☆第25回 この回はまあどこをとっても名場面なんですが、やっぱりとりわけ感動したのが蔦重の婚礼の席にお祝いの品を盛って来る鶴屋さん。ずっとずっと憎たらしいキャラだったのにずるいよ鶴屋さん…と思いながらTVの前でむせび泣いてました。

☆第33回 「わしは世を楽しくする男を救うために生まれて来たのだ」 優しくへたれだった新さんが最後はかっこよくこの世を去ります。視聴者を慰めるかのような歌麿の「新さんってすごくいい人生だったんじゃねえかな」のセリフにまた泣かされたり。

☆第38回 言葉が話せなかったおきよさんが、ただ一度だけ「わたしもそうだったから」と微笑んで口を開く場面。それは歌麿の夢に過ぎなかったのか、あるいは…

☆第43回 さんざひきとめた歌麿をあきらめ、そっと手紙で別れをつげる蔦重。相手を思いやる手紙の文がモノローグ的に語られるのって自分ダメなんです。

☆第47回 この回も名場面の超連発でしたが、自分がやっぱり好きなのは一件落着したあと蔦屋を訪れる定信公のくだり。「一度来てみたかったのだ」「あがった凧を許せれば全てがちがった」本当に最初からこうできてればよかったのに… でも二人が笑って語り合える時が来て本当によかった…と鼻水を吹き飛ばしながら観てました。

☆第48回 蔦重臨終の場面。感動的に盛り上げたりせず、屁踊りに囲まれながら軽いギャグと共にこの世を去る蔦重。こういうの、なかなかないと思います。

 

『鎌倉殿の13人』『新選組!』に並ぶマイ大河ドラマBEST作品でありました。森下佳子先生はじめとするスタッフ、横浜流星君はじめとするキャストのみなさんに心より御礼申し上げます。

 

| | Comments (2)

March 01, 2026

2026年1月に観た映画

あけましておめでとうございます(2か月遅れ)。年明け早々に観た映画のまとめです

☆『ワーキングマン』

二年連続で年明け一発目がジェイソン・ステイサム。あらすじはまあいつもと同じなんですが、昨年の『ビーキーパー』の超人的な強さと比べると今回は一応人間的にアリくらいの強さで2割減というところかと。

原題からわかるようにステイサムの役どころが現場作業員。なので大工道具とかでアクションするのかと思いきや、そういうのは本当に最初だけであとは普通に銃をぶっぱなしてました。子持ちだったり勤め先の娘さんを救いにいったりと、守るべき存在がいるのにホッコリしたりハラハラさせられたり。『ビーキーパー』ではそういう存在がいきなり死んじゃいましたからね。

 

☆『ロストランズ 闇を狩る者』

『バイオハザード』夫婦コンビによるダークファンタジー…というよりディストピア&スチームパンク。この映画、観る前にちょっと疲れちゃってて評論家の点数も低くてもうお家帰っちゃおうかな…とも思ったのですが、がんばって鑑賞しました。そしたら赤茶けた画質というか背景や、朽ちかけた鉄道や陸橋などのビジュアルがけっこう好みでやっぱ観てよかったです。でも人に勧められるかといえば(略)

ただ興行的には日米共に悲惨な結果に。かつて天下を取ったバイオ夫婦がそんな現状なのはなかなかに寂しい。

 

☆『コート・スティーリング』

主人公が追い詰められる系の作品が多いダーレン・アロノフスキー監督最新作。ただ今回は「追い詰められる」点は変わらないものの原作の雰囲気ゆえか人を食っているというか、飄々としているというか、けっこうお笑い混じりの作品となっております。

何の後ろ盾もない貧乏青年が、完全なるとばっちりでマフィアを一人で相手にしなきゃならない…というあたりは去年の『ナイトコール』を思い出させます。でも『ナイトコール』の青年に一応「鍵開け」という特技があったのに対し、こちらも武器は「足が多少はやい」くらい。そんなんで二時間殺されないで果たしてもつのかゲラゲラ笑いつつも心配になります。

あと猫が非常によかった。まあ悪い猫などいませんが、猫映画としてよかった。

 

☆『ウォーフェア 戦地最前線』

実録戦記もの。それも割と最近。実際にあった作戦をほぼ時間同時進行でカメラマンとなって見守ろう、というコンセプト。

この作戦というのがまず謎で、中東のどこかの民家を夜中に突然占領して立てこもるという、何が目的だったのかよくわからないものなんですが、結局敵対勢力にばれて四方から銃撃を浴びることになってしまいます。家の持ち主からしてみたら傍迷惑にもほどがある、という話です。

そんな米軍の身勝手さにモヤモヤはしますが、もし家を武装勢力に包囲された際、どうやって脱出するか?というところは勉強になります。結論:航空支援がないと厳しい

 

☆『長安のライチ』

唐の玄宗皇帝の時代を舞台にしたお話。1日で色が変わるライチを馬で30日かかる長安まで腐らせずに運ぶという無理難題を押し付けられた木っ端役人が、知恵と工夫と算術を駆使して成功に導く…という『プロジェクトX』みたいなストーリー。前半は。

後半は中央役人の高慢さに主人公らが苦しめられ、それでもどこまで意地を通せるか?という山田風太郎によくある流れになっていきます。面白うて、やがて悲しき…というやつでしょうか。見かけは美しいけれど腐敗が避けられないライチ長安が重なります。

 

あとこの月はTVアニメ『ガンバの冒険』を編集した『冒険者たち ガンバと七匹の冒険』リバイバルも観ました。ダイジェスト感は否めませんが、スクリーンで見るとあらゆるものが巨大なので一層ネズミになった感覚を味わえます。何度も観た・読んだ話ですが今回になって「あれ… 一番の功労はガクシャでは?」ということに気づきました。

その日会った友人たちに「さっき『ガンバの冒険』のリバイバル観てきたんすよ!」と言ったら、みな口々に「あー、あれね。ノロイが怖かった〜」と。わかるけどもっと他にないすか?

 

次回は『復讐島』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女』『ランニング・マン』『ブゴニア』『クライム101』について書きます。

| | Comments (3)

« February 2026 | Main | April 2026 »