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November 30, 2025

2025年10月に観た映画

この月はなぜか外国の痛々しいアクション系ばかりよく観てました。

☆『ワン・バトル・アフター・アナザー』

オスカー常連のポール・トーマス・アンダーソン監督最新作。彼の作品は『マグノリア』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』くらいしか観てなくて、両方とも性に合わなかったのですが、これは大変面白かった。独特な構成・絵作りに飽きさせないストーリーテーリング。そして小気味よいユーモアとアクション。

普通なら主演のディカプリオがどっかでかっこよく決める場面がありそうなのに、これが徹底してない。彼にとって大切な役割は非道な悪役たちを銃でなぎ倒すことでなく、傷ついた娘を優しく出迎えること…だったんでしょうかね。それがまた良かった。好演の続くディカプリオ氏ですが、今回もベストを更新した感があります。

 

☆『ハンサム・ガイズ』

名作ホラーコメディ『タッカーとデイル』の韓国リメイク作品。なので7割くらいはオリジナルと同じ内容なのですが、これはこれで大変面白く気持ちよかった。特に原典よりキュートさを増していたのが「デイル」にあたる「サング」君。見かけこそもっさりした不気味系ながら、その赤子のような純粋さがとても微笑ましい。たぶん観た人のほとんどは男女の別なく彼のことを好きになるのではなかろうかと。

韓国では大ヒットを記録したとのことなので、オリジナル版では事情のゆえに実現しなかった「2」を、こちらではなんとか形にして欲しいところです。

 

☆『ナイトコール』

地元で上映されるのはなかなか珍しいベルギー制作の映画。鍵屋の青年が騙されて犯罪組織の一員の部屋に入ってしまったことから、深夜のブリュッセルを逃亡しつつ真犯人を追跡するという研ぎ澄まされたサスペンス映画。最近「なめてたやつが殺人マシンだった」系のアクションばかり観てたので、こういう「鍵開け」と体力しかない青年が生き残りをかけて奮闘するスタイルが新鮮に感じられました。

舞台がBLMデモに沸く都市というのがまた独特。カタルシス溢れるエンタメとしてまとめるか、シニカルで現実的な結末に落とし込むのか最後まで読めずハラハラさせられました。

 

☆『トロン:アレス』

サイバー世界を舞台にした「トロン」シリーズの15年ぶりの新作(3作目)。これはもうとにかく特撮好きにはたまらないかっこいいメカと映像が目白押しで、ストーリーはそれにちょうどよい添え物が付いてるくらいの作品でした。特撮好きと言えば主人公のアレスが仮面ライダーとキカイダーを足して割ったようなキャラだったり。

最初時間の都合で通常版で観たのですが、後日ちょうどいいスケジュールがあったので3Dで観直しました。そしたらやっぱり赤いラインを基調とするビジュアルがめちゃくちゃ3D映えしててこちらの方が作品として望ましい形なんだろうな、と。

80年代育ちには懐かしいレトロチックなシーンがあったのもツボでした。残念なのはこんだけレベルの高い映像作品なのに興行的には大コケしてしまったということ。また十ウン年後くらいに復活するのを待ちます。

 

☆『Mr.ノーバディ2』

こちらはもう典型的な「なめてたやつが~」ジャンルの作品。ただ主演のボブ・オデンカーク氏がやや枯れた風貌で動作もそんなにキビキビしてないので、前作で実力はわかってるはずなのに巨漢たちと戦ってると「大丈夫か!?」とつい心配になっちゃったり。実際しがないチンピラに指を飛ばされたりしてたし… まあ最後は予定調和で終わるだろうというのはわかりきってるわけですが。その辺含めて1時間半楽しませていたっだきました。

舞台がずっとアメリカの地方のさびれた遊園地というのが、ビジュアル的に楽しかったです。あと往年のセクシースター、シャロン・ストーンさんがいかれた悪役を元気に演じていて、クリストファー・ロイド共々「このお年でもまだがんばってるんだなあ」とほっこりしました。

 

この月は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のリバイバルも観てきました。クジラと少年の友情とクラゲみたいなのがピカピカ光る映像に改めて感動しました。3作目も楽しみです。

 

次回は『劇場版機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』『爆弾』『羅小黒戦記2』『プレデター:バッドランド』『果てしなきスカーレット』『WEAPONS』あたりについて書きます。書くかもしれません。

 

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November 23, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 9月編

いつの間にやら2か月遅れ… がんばります、

☆第33回「打壊演太女功徳」

江戸の民の不満は最高潮に達し、とうとう打ちこわしが始まってしまう。無政府状態にならないように知恵を絞って奮戦する蔦重。そんな彼を陰から狙う者がいた。

「打ちこわし編」完結編。そして新さんの退場回でもありました。登場時はかっこ悪い場面が多かった新さん。ですがこの打ちこわし編では別人のようなかっこよさを見せます。でもそうならなくても良かった。かっこ悪いまま長生きしてほしかった。

歌麿がその生きざまを「すげえいい人生だった」と評します。悲しい出来事や結末もあったけど、それだけで人が不幸せとは限らない。そんな風に慰めてもらった気がします。

最後まで名前が明らかにならなかった「丈右衛門だった男」もこれにて退場。何も明らかにせぬまま歴史の闇に埋もれて死んでいく。非道の限りを尽くした男でありましたが、白土三平漫画の忍者のようでその最期には憐みの情を感じました。

この回の『風雲児たち』ポイント:打ちこわしの描写。江戸っ子らしく徹底して秩序だったものだった、と描かれていました。

 

☆第34回「ありがた山とかたじけ茄子」

田沼意次の政権はいよいよ幕を閉じ、その座は若き老中松平定信へと受け継がれる。打ちこわしを治めた功績を横取りしたように見えた蔦重は戯作者仲間を集めて定信への反抗を試みる。

この回で1話から重要な存在であった渡辺謙演じる田沼意次はクランクアップ。『風雲児たち』では失意のうちに退場という感じでしたが、こちらはさわやかな笑顔と共に去って行かれました。謙さんはインタビューで「彼は最後の最後まで希望を捨てていなかったと感じて演じた」みたいなことを語っておられました。謙さんと流星君はこのドラマに先立って『国宝』でも親子役で共演されてたせいか、二人の会話には全体的にあたたかいムードを感じました。

この回の『風雲児たち』ポイント:世の中に かほどうるさきものはなし ぶんぶぶんぶと夜も寝られず

あと土山様の凄惨な最期とか。

 

☆第35回「間違凧文武二道」

蔦重一同は定信の政治を批判するが、本意が伝わらず次なる策を講じることに。そんな折歌麿はおきよという女性と出会い愛を育んでいた。

凝った皮肉がそのまま受け止められてしまう…という流れ、『スターシップ・トゥルーパーズ』公開時、バーホ-ベン監督が右翼を風刺したら「この映画は右翼的だ!」と言われた話を思い出しました。そこでもっとわかりやすい過激な批判に方針転換…となるわけですが、ラストシーンの空中分解した凧が不吉な未来を予感させます。

一方で妻となる人を見つけ幸せ絶頂の歌麿くん。いまから思えば「ちゃんとしたい」というのは蔦重への思いをすっぱり断ち切って、それとは別に自分の幸せを見つけていこう…ということだったのかな。

片岡鶴太郎演じる石燕先生は今回でお亡くなりに。なかなかにホラーな退場でした。

 

☆第36回「鸚鵡のけりは鴨」

おちょくられたと知った定信は怒り心頭。蔦重とその仲間たちへの糾弾を始める。根が真面目な恋川春町は思い詰めてしまい…

大河ドラマの醍醐味のひとつはこれまで名前もしらなかった人物がこんなにも面白く、身近に感じられるようになること。恋川春町もまたそういう人物の一人となりました。「お前のためなら頭などいくらでもさげように」という殿の思いに涙し、「豆腐の角であたまをぶつけた」ように見せて最後の最後までネタを放っていく姿にクスリと笑い。ちょうど先日「ぐえー 死んだンゴ」という言葉を残し亡くなり、話題となった若者のことが思い浮かびます。この超堅物の春町と、いい加減そうなまあさんのコンビが絶妙でこれがまた好きでした。

自分が締め上げたにも関わらず訃報を聞きショックを受ける定信。この描写を見るにこの子も根は悪い子じゃないんだな…と。思いのかけちがえが多くの人を泣かせることになっていく。これが鬼の森下脚本なのでしょうか。

 

全48回だそうなので残りはあと1/4。放送の方は今日の回を含めてあと4回。いよいよクライマックスというところでしょうか。

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November 16, 2025

2025年9月に観た映画

2か月遅れ。この月は青年が無理難題に見舞われる映画をよく観てました。

☆『ChaO』

個性的な画風で知られるアニメスタジオ「STUDIO4℃」の最新作。予告を見ると甘ったるいラブストーリーのようで(実際そうでしたが)、全く観る気が起きなかったのですが、上映後噂を聞いたらなんとチャウ・シンチーへのオマージュがてんこ盛りだと言う。そういうことは早く言ってくれ… とりあえずその点は十分期待に応えていただきました。

あとデッサンの狂ったモブたちが町を横行している絵柄が楽しい。STUDIO4℃さんは作る作品ことごとく大赤字を叩き出してるのに、なぜ会社が存続していてアニメを作り続けていられるのか謎です。財界の大物とかがバックにいらっしゃるんでしょうか。

 

☆『8番出口』

人気の国産ホラーが多く公開された2025年。これも一種のホラーなのか? とはいえ怖いものが苦手な人でも普通に観られそうな作品。

「異変を見逃さずに見慣れた地下鉄通路のループから抜け出す」という不条理かつシンプルな設定が面白い。この功績は原作ゲームを作ったスタッフに負うところが大きいかと思われますが、監督・脚本もその題材によく合ったストーリーを用意していてお見事でした。

「おじさんおじさん」と連呼する主演二宮氏は、自身もいいおじさんですが普通に20代くらいに見えなくもないのがずるい。メインテーマがボレロというのが好みでした。

 

☆『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』

ウェス・アンダーソン最新作。彼の前作『アステロイド・シティ』がいまいちだったので、なんとなく「長い付き合いだから観てやるかー」くらいのモチベーションで観に行きました。結果は「前よりも多少よかった」という微妙なもの。オタク君から007へガラッと雰囲気が変わるマイケル・セラと「監督、もしかして『スラムダンク』読んでた!?」というシーンがあったのが良かったです。

翌月『ワン・バトル・アフター・アナザー』が公開されましたが、監督がアンダーソン姓だったりべニチオ・デル・トロが出てたり、伝説の男が娘との関係にあれこれ悩む話だったりで、なんでか共通項がいろいろありました。

 

☆『ヒックとドラゴン』

伝説のアニメ映画イヤー2010年に公開されたドリームワークスの『ヒックとドラゴン』を、完全なまでに実写リメイクした作品。15年前に一度観たきりで、細かいところを色々忘れてたので結構ハラハラしながら観られました。そしてなぜか前回よりも感動してしまったような? なんでだろ。

飛行シーンが大した迫力で出来ればIMAXか4DXで観たかったのですが、タイミングが合わず通常スクリーンで鑑賞。残念。

 

☆『チェンソーマン レゼ篇』

少し前放映されていた『チェンソーマン』TV版の続きとなる話。主人公デンジ君と謎めいた少女レゼのひと夏の恋を描いた話…なのか??

原作者が映画マニアのせいかジャンプ作品なのに前半はいろいろアート映画に観られるような実験的表現が散見されます。そんな文芸的な前半とジャンプらしいドッカンドッカンした一大バトルがどうにも嚙み合ってない気もしますけど、フィルムノワールみたいな抒情性ある幕切れについもらい泣きしてしまったのでよしとします。

ある意味恋愛詐欺にひっかけられた青年の物語と言えなくもないかも。こういうの年を取るとじわじわ痛みが来ますね。でも嫌いじゃないです。

 

ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝

サム・ライミ製作。アホなオリジナル邦題からよくわかるようにアホな『北斗の拳』みたいな作品です。アホな映画にも天然というか無自覚でやってるやつと、十分わかっててやってるやつとありますが、これは完全に後者の方。なのでそのお笑いのノリについていけるかが評価の分かれ目となるでしょう。お笑いなのに血がドバドバ出たり人体がグシャグシャになったりするのも人を選びます。

『チェンソーマン』とハシゴして観たのでもうゴア描写にゲップが出そうでしたが、これまたラストが妙にさわやかだったのは印象良かったです。何事も最後は大事なのです。

 

次回は『ワン・バトル・アフター・アナザー』『ハンサムガイズ』『トロン アレス』『ナイトコール』『Mr.ノーバディ2』について書く予定。

 

 

 

 

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