『べらぼう』を雑に振り返る 8月編
☆第29回「江戸生蔦屋仇討」
意次を失い恨みの権化となってしまった誰袖。蔦重はそんな彼女を救うため、意次の敵討ちとして「江戸生浮気樺焼」という黄表紙を上梓する。
意次レクイエム編完結編。重苦しいムードが続いていましたが、1作の黄表紙を丸々劇中劇として再現するという大胆な構成。そのとんでもな内容に凍りついていた誰袖の心もようやく人間らしい感情を取り戻します。
佐野善左衛門の刃傷はどうして『忠臣蔵』ほどの伝説にはならなかったのか? 諸説あると思いますが、やっぱり「松の廊下」によく似てて二番煎じっぽかったことと、『忠臣蔵』でいえば内匠頭が切腹したところで終わってしまうので盛り上がりに欠けるためかな…と。当時はそりゃ大変な事件だったでしょうけどね。
「江戸生浮気樺焼」の挿絵のキャラが矢本悠馬に似てるから佐野役に彼が起用されたのでは…なんて説がXでは噂されてましたが、本当だったら面白い。
☆第30回「人まね歌麿」
新作の売れ行きも好調な中、蔦重はここらで本格的に歌麿を売り出そうと策を巡らす。だが歌麿は見捨てた母親のことがトラウマで未だに夢でうなされ続けていた。
夏らしい怪談調のお話。昔は特撮でも夏になると無駄に怪談的なエピソードやってたような。
これもXの受け売り(…)なんですけど、なるほどと思ったのは蔦重は人を集めたりとか宣伝の才は抜きんでているものの、創作の方は自分でも認めてたようにいまいちなところがる、ということ。だから創作の苦しみにウンウン苦しんでる歌麿の問題を解決してあげることは出来ない。それが出来るのは同じ絵描きである石燕先生だった…という流れ。
かくして無事蔦重の元に戻って来た歌麿ですが、一皮むけるために彼の元を離れることに。なんだか『北の国から』みたい。歌麿が去って寂しそうな蔦重を寂しそうに見るおていさんがちょっとかわいかったです。
☆第31回「我が名は天」
度重なる異常気象のため、江戸では米不足が深刻な問題に。めぐりめぐってそれがささやかな幸せを育んでいた新之助一家に悲劇をもたらしてしまう。
打ちこわし編前編。これまでで一番辛い回でした。善意で蔦重が与えていた米が遠因で、ふくさんと赤ちゃんが犠牲になってしまう。こんなことなら吉原足抜けのところでそのままフェードアウトしちゃえばよかったのに… 「鬼の森下脚本」の噂は度々聞いていましたが、その真骨頂を見せていただきました。鬼!! そして普通なら復讐の鬼と化しそうなところで、下手人と自分を重ねてしまう新さんがまた悲しい。
十代将軍徳川家治さんもこの回がクランクアップ。悪の首領である一橋治済に詰め寄るシーンは鬼気迫るものがありました。それでも悪の方がだいぶ長生きしてしまうのが史実の悲しいところ。アホと思われてた将軍が新解釈で描かれていたのは『篤姫』の堺雅人を思い出したり。
☆第32回「新之助の義」
さらに加速していく米不足。しかし幕府の政争や米問屋たちの企みのために問題は一向に収束の兆しを見せない。貧しい人たちの怒りはついに頂点に達する。
打ちこわし編中編。恐らく2,3年前から書かれているであろう本作ですが、令和7年のあれやこれやとシンクロすることがあまりにも多く、今回の米問題にいたっては「森下先生って予言者?」とささやかれるほど。
町人の身でありながらなんとかことを穏便に運ぼうとする蔦重。しかしお上の怠慢のせいで空回りして長屋のみんなからボコボコにされてしまいます。それでも全くめげずにまた長屋に来るあたりすげえと思いました。そういやこの人ボコボコにされるの割と得意?だったわ… そんな彼の打たれ強さに改めて感心。
本格登場となった松平定信(ウルトラマンタイガ)、長屋の感じ悪いヤンキー(仮面ライダーパラド)と、特撮出身者の活躍が目立った回。『キングオージャー』でブレイクした「丈右衛門だった男」矢野聖人氏の暗躍ぶりもヒートアップ。コンビで芝居してる妙に顔のいいホームレスは誰だ?…と思ったら悪の首領・一橋治定でした。ヒマなのか趣味なのか…
残りもいよいよ3分の1となりました。なのに写楽が一向に出る気配がない(笑) 終盤駆け足になりませんように。


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