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September 21, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 8月編

☆第29回「江戸生蔦屋仇討

意次を失い恨みの権化となってしまった誰袖。蔦重はそんな彼女を救うため、意次の敵討ちとして「江戸生浮気樺焼」という黄表紙を上梓する。

意次レクイエム編完結編。重苦しいムードが続いていましたが、1作の黄表紙を丸々劇中劇として再現するという大胆な構成。そのとんでもな内容に凍りついていた誰袖の心もようやく人間らしい感情を取り戻します。

佐野善左衛門の刃傷はどうして『忠臣蔵』ほどの伝説にはならなかったのか? 諸説あると思いますが、やっぱり「松の廊下」によく似てて二番煎じっぽかったことと、『忠臣蔵』でいえば内匠頭が切腹したところで終わってしまうので盛り上がりに欠けるためかな…と。当時はそりゃ大変な事件だったでしょうけどね。

「江戸生浮気樺焼」の挿絵のキャラが矢本悠馬に似てるから佐野役に彼が起用されたのでは…なんて説がXでは噂されてましたが、本当だったら面白い。

 

☆第30回「人まね歌麿」

新作の売れ行きも好調な中、蔦重はここらで本格的に歌麿を売り出そうと策を巡らす。だが歌麿は見捨てた母親のことがトラウマで未だに夢でうなされ続けていた。

夏らしい怪談調のお話。昔は特撮でも夏になると無駄に怪談的なエピソードやってたような。

これもXの受け売り(…)なんですけど、なるほどと思ったのは蔦重は人を集めたりとか宣伝の才は抜きんでているものの、創作の方は自分でも認めてたようにいまいちなところがる、ということ。だから創作の苦しみにウンウン苦しんでる歌麿の問題を解決してあげることは出来ない。それが出来るのは同じ絵描きである石燕先生だった…という流れ。

かくして無事蔦重の元に戻って来た歌麿ですが、一皮むけるために彼の元を離れることに。なんだか『北の国から』みたい。歌麿が去って寂しそうな蔦重を寂しそうに見るおていさんがちょっとかわいかったです。

 

☆第31回「我が名は天」

度重なる異常気象のため、江戸では米不足が深刻な問題に。めぐりめぐってそれがささやかな幸せを育んでいた新之助一家に悲劇をもたらしてしまう。

打ちこわし編前編。これまでで一番辛い回でした。善意で蔦重が与えていた米が遠因で、ふくさんと赤ちゃんが犠牲になってしまう。こんなことなら吉原足抜けのところでそのままフェードアウトしちゃえばよかったのに… 「鬼の森下脚本」の噂は度々聞いていましたが、その真骨頂を見せていただきました。鬼!! そして普通なら復讐の鬼と化しそうなところで、下手人と自分を重ねてしまう新さんがまた悲しい。

十代将軍徳川家治さんもこの回がクランクアップ。悪の首領である一橋治済に詰め寄るシーンは鬼気迫るものがありました。それでも悪の方がだいぶ長生きしてしまうのが史実の悲しいところ。アホと思われてた将軍が新解釈で描かれていたのは『篤姫』の堺雅人を思い出したり。

 

☆第32回「新之助の義」

さらに加速していく米不足。しかし幕府の政争や米問屋たちの企みのために問題は一向に収束の兆しを見せない。貧しい人たちの怒りはついに頂点に達する。

打ちこわし編中編。恐らく2,3年前から書かれているであろう本作ですが、令和7年のあれやこれやとシンクロすることがあまりにも多く、今回の米問題にいたっては「森下先生って予言者?」とささやかれるほど。

町人の身でありながらなんとかことを穏便に運ぼうとする蔦重。しかしお上の怠慢のせいで空回りして長屋のみんなからボコボコにされてしまいます。それでも全くめげずにまた長屋に来るあたりすげえと思いました。そういやこの人ボコボコにされるの割と得意?だったわ… そんな彼の打たれ強さに改めて感心。

本格登場となった松平定信(ウルトラマンタイガ)、長屋の感じ悪いヤンキー(仮面ライダーパラド)と、特撮出身者の活躍が目立った回。『キングオージャー』でブレイクした「丈右衛門だった男」矢野聖人氏の暗躍ぶりもヒートアップ。コンビで芝居してる妙に顔のいいホームレスは誰だ?…と思ったら悪の首領・一橋治定でした。ヒマなのか趣味なのか…

 

残りもいよいよ3分の1となりました。なのに写楽が一向に出る気配がない(笑) 終盤駆け足になりませんように。

 

 

 

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September 14, 2025

だいたい2025年7月に観た映画を振り返る

この月はアメコミ映画とアニメ映画ばかり観てました。アメコミ映画を観ることは自分にとっての義務なので…

 

☆『かたつむりのメモワール』

2011年マイベスト作品であった『メアリー&マックス』のアダム・エリオット待望の新作。今回も一人の悩める少女が、自分の繊細な内面と厳しい現実をどうやって渡り切っていくか…という話。しんどい内容を柔らか味のあるコマ撮りアニメで、お笑い混じりに語っていくスタイルも一緒。

ただ今回は精神疾患や変態性欲に関するエピソードも出てくるので、ギリ子どもも観られたであろう前作と比べると若干えぐみがきつい気がしました。えぐみが増したのはモノクロだった『メアリー~』にくらべ、今回は淡いながらもフルカラーだったせいもあるかも。

それでもまあ彼女の苦労が報われる優しい結末には大層ほっこりいたしました。今年度のアカデミー賞長編アニメ部門にもノミネート。

 

☆『スーパーマン』

新DCユニバースの第1弾となる作品。既に何度か映画化されてるキャラということもあり、今回はオリジンはすっ飛ばしてもう地球に色々超人たちがはびこっていて、スーパーマンも活動して何年か経っているところから始まります。

異国の紛争といえど人命が関わっていたなら立場に関わらず救助に行くべきでは?という現在の世界情勢を反映したような内容になっていますが、脚本が書かれたのは恐らく数年前のことなのでここ最近の中東の事情を意識していたのかというとやや微妙であります。

あと『ドラゴンボール』の悟空の出自はスーパーマンを模倣したようなところがあるのですが、今回は「元々地球を征服するための先兵だった(かもしれない)」というあたりはもしかしたら逆に『ドラゴンボール』をオマージュしているのかもしれません。出自はどうあれ、育った環境と本人の資質でいくらでも「ヒーロー」になれるというお話は気持ちよかったです。

あと犬と無駄にムーディーな異次元クラゲがお気に入りです。

 

☆『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』

4度目の映画化、2度目のリブートとなる「ヘルボーイ」。北米では配信限定だったのに、なぜか日本では小規模ながらも劇場公開してくれてありがたい限りです。

原作ヘルボーイは長編と短編があり、長編がスペクタクル調なのに対し短編は『ゲゲゲの鬼太郎』のような民話テイストの作品となっております。で、今回は短編の方のカラーを再現していて、「オバケはヨモギを焚くと逃げる」みたいな民話のシュールな部分が大事にされています。

なのでこういう世界が好きな方にはたまらないでしょうが、そうでない人にはこぢんまりした印象を受けるかも。自分は嫌いじゃないですが、全体的に暗めのシーンが多いので少々眠くなりました。

 

☆『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

もう知らない人はいないくらいの超絶大ヒット作品。先日『千と千尋』も越えたそうですし、日本の歴代の興行成績のワンツートップを「鬼滅」が占めることになりました。おそろしや。

ここ最近映画館でかかった「遊郭編」「刀鍛冶の里編」が「無限列車編」と比べるとまったくパッとしない成績だったゆえに、「鬼滅ブームもだいぶおちついたよな」とか思ってたんですが… やっぱり「TVの再編集」と、「劇場でしか観られない」の違いでこんなにも差が出るということなんでしょうか。

改めてこの作品って教訓的というか、この歳でも学ばされたり共感する言葉が多いです。「幸せの箱云々」とか。あと原作もそうでしたが激しいバトルの応酬の後に山本周五郎になるところが好きです。

エンドロール後に当然第2章の予告があるかと思ってたら何もありませんでした。こりゃ続きは当分先になりそう… 無限城のCGはそりゃすごいですけど、あれでべらぼうに時間がかかるのであればもっと手を抜いてもいいんですよ!

 

☆『F1』

こちらはぐっとシンプルなタイトル。文字通りF1を題材にした映画。20世紀末活躍したF1ドライバー(セナとかシューマッハと同年代?)が、友人に請われ心残りを解消するためもあって、低迷を続けるチームに加入するというお話。

モータースポーツものって力作・傑作が多いですけど、日本ではいまひとつヒットしないことが多く。ところがこちらは珍しく20億円という大健闘。ブラピ主演だから?…とも思いましたが彼主演でも伸びなかった作品はいっぱいあるし。それとも「『トップガン マーヴェリック』のスタッフ」というところに惹かれた人が多かったのか。いずれにしても迫力・ストーリー・カタルシス共に申し分ない作品でリピーターもいっぱいいた模様。

自分としてはどんなにひどいことを言われてもヘラヘラしてて熱血漢とは程遠いのに、チームのこととなると激しく怒る主人公像が面白いな、と。あとジョセフ・コシンスキー監督は本当におじさん世代が若い世代に何かしら継承させていく話が好きですね。

 

☆『ファンタスティックフォー ファーストステップ』

これまた4度目の映画化で2度目のリブート。そしてMCU最新作。特色としてはこれまでのマーベル世界とは別の並行宇宙であり、レトロチックな60年代の世界を舞台にしているところ。自分が生まれる前の古いながらも心安らぐ風景を、当時の作家が考えたような「未来メカ」が活躍する映像が好みでした。

また2作目でモヤモヤしたエネルギー体のように描かれていたギャラクタスが、今回はちゃんとリアルな大巨人になっていたのがよかった。終盤彼がNYを蹂躙するシーンは怪獣映画のようで興奮いたしました。そんな星をも食うような巨人をどうやって退けるのか。この辺をFFの面々が苦しみながらも考えだしていくプロセスも興味深かったです。

赤ちゃん一人を救うために地球を丸ごと危機にさらしてもよいのか…というテーマもあります。現実的にはまずありえないながらも、だからこそ世界の人々が彼らを応援するくだりにはしんみりしたり。

アメコミ映画としてはスーパーマンの直後で、映画館的には鬼滅ブームの真っ只中で影が薄くなってしまったのが悔やまれます。

 

次回は『告白』『星つなぎのエリオ』『ジュラシックワールド 復活の大地』『クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』『劇場版タローマン』について書きます。

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