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August 31, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 7月編

☆第25回「灰の雨降る日本橋」

あきらめかけた日本橋の店が、ひょんなことから蔦重の手に入ることに。そんな折浅間山が噴火。江戸の町に灰が振り始める。

前回から続く蔦重結婚編の中編。これまでのベストエピソードのひとつでした。

日本橋に異様な風体でやってきた蔦重が、次から次へとアイデアを繰り出して、カチコチ頭だった人たちを次々と虜にしていくあたりがめちゃくちゃ痛快。その活躍ぶりにまずメガネ女子のおていさんが落ち、ついで難攻不落だった鶴屋さんがついに陥落。蔦重の婚宴にお祝いの品を持ってきて「歓迎します」とおっしゃってたくだりには劇中の面々同様こちらもアホみたいに泣いてました。

この回の『風雲児たち』ポイント:浅間山噴火の様子。天明年間は災害が多かったようで。

この回の使える中国史ポイント: は確か呉越の興亡に出てくる人物。『キングダム』のもっと前の時代ですね

 

☆第26回「三人の女」

晴れて夫婦となった蔦重とてい。だが二人はまだ色々とぎこちなく… そこへ蔦重を捨てた実の母がひょっこりと飯をあてに戻って来る

蔦重結婚編完結編。自分に価値がないと思ってた人が「そんなことはない!!」と力説される話に弱いものでこの回も号泣でございました。おていさんが蔦重をどんどん見直していく過程が小説版ではもう少し詳しく描かれています。

蔦重の実母役を演じるは高岡早紀さん。昔はそれなりに憧れたことがあったような… 「ババアババア」と連呼されるのがちょっと悲しい。いまやすっかり貫禄ある名女優となりました。

この回の使える江戸知識:江戸時代の人々はお数が少ないせいで米ばっかり食ってたとか。鬼平犯科帳とはちょっと違うイメージ

 

☆第27回「願わくば花の下にて春死なん」

互いの仲を深めていく誰袖と意知。蝦夷地への方針も進み順風満帆だった意知に、突然の凶刃が迫る。

意知レクイエム編前編。田沼意知殺害に向けてばらまかれていた伏線が、この回のクライマックスで一気に結実していきます(しなくていいのに)。

その下手人となる佐野善左衛門、『風雲児たち』ではひたすら身勝手で勘違いなアホ野郎として描かれていましたが、『べらぼう』では不器用で父親思いだったところを一橋側に上手に利用されて…という風になってました。この辺に森下先生の優しさが感じられます。お互いを想う二組の父子の対照的な様子が印象深い回でした。

意知に刃が降りかかる直前で「次回」のテロップ。そして次週は参院選のためこの状態で2週待たねばならなかったという…

 

☆第28回「佐野世直大明神」

田沼意知、江戸城内にて切り付けられ、ほどなくして死去。若すぎる死を悼む人々をよそに、田沼をさらに追い詰める陰謀が進んでいた。

この回はやはり大切な人を失って慟哭する意知と誰袖の姿が辛すぎました。前回があまりにもハッピームードだったゆえに…

善左衛門の凶行の流れは『風雲児たち』とほぼ一緒。江戸城内では刃傷沙汰が幕政が続いた期間7回もあったそうです(城外付近を含めればもっと)。これを「あり過ぎ」と考えるべきか、「2百数十年も続いたんだからこれくらいは」ととらえるべきか。

意知の葬列に石が投げられるくだりも『風雲児たち』にありました。政治は庶民が中心でなければなりませんが、とかく庶民というものは扇動に操られやすい。自分も庶民の一員として気をつけていきたいです。

陰で暗躍する「丈衛門だった男」。『鎌倉殿』の善児を彷彿とさせます。演じるは『キングオージャー』で目的のため悪者のふりをしていた「ラクレス様」こと矢野聖人氏。こちらでの結末は果たして

 

 

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August 03, 2025

大体2025年6月に観た映画

このあたりはえぐかったりこわかったりする映画をよく見てました。そういうのむしろ苦手だったりするのですが

☆『サブスタンス』

先のアカデミー賞でヘアスタイリング&メイクアップ部門を受賞 …とは思えないくらい趣味の悪い映画。だいぶいい年になってしまった往年の人気タレントが、若さと美しさを兼ね備えた自身の分身を生み出すという話。『笑うせえるすまん』にいかにもありそうな。こんな底意地の悪い話よくおもいつくなあと。

確かに発想と展開は独創的で面白いんですけど、鑑賞中はひたすら不快でした。ただ一晩経って「もしかして壮大な冗談だったのかな?」と思えてきて、多少許せる気分になってきたりして。

 

☆『JUNK WORLD』

個性的なアートと作風で世界から高い評価を受けた『JUNK HEAD』の続編。というか前日談。1作目が寓話というか落語というかファンタジー味が強かったのに対し、今回は同じ世界観の話でありながらややシリアスでハードSF的な要素が強い感じでした。

その硬派なムードを粉々に壊してくれるのが2バージョンあるうちの片方の「字幕版」(もしくはゴニョゴニョ版)。未来の人間・生物がその時代の言葉でしゃべっている、という設定なのですが、「ガッテンショウ」とか「スイヨウドウデショウ」とか明らかにふざけまくった現代日本語なのでそっちに気をとられてしまって困りました。滅法面白いのですが…

自分は字幕版だけ見る予定でしたが、渋滞に巻き込まれた関係で冒頭が観られず、頭に来てすぐ次の吹替え版も観ました。こちらはすっきりストーリーと画面に集中できるので吹替→字幕という鑑賞がおすすめです。

 

☆『見える子ちゃん』

人気ホラー漫画原作。人に見えない幽霊がつい見えちゃうという困った体質を持つ女の子が、やばい霊につかれてしまった友人を救うべく奮闘する話。このヒロインが鬼太郎みたいなオバケとバトルする力とかもってるわけではないので、自前で色々調べて霊を追っ払おうとする姿が健気でした。

某名作をほうふつとさせるオチがあるのですけど、そのまんまパクってるのではなく応用を効かせて数パターン持ってきたあたりが見事でした。あと霊の怖さよりも原菜乃華さんはじめ若い女優さんたちのキラキラとしたまぶしさの方が勝っていました。

 

☆『Mr.ノボカイン』

無痛症の青年が強盗にさらわれた恋人を助けようとがんばる、いわゆる「なめてたやつが〇〇だった」ジャンルの変奏曲。ただ彼の持ち前の武器は「痛さを感じないこと」くらい。体がいくらズタズタのぐちゃぐちゃになっても戦うことをやめないので、観ているこっちが目をそむけたくなるという… 「痛さを感じないっていいな」と思いがちですけど、それはそれで大変なことがたくさんあり、痛覚の大切さや無痛症の苦労がよくわかる作品になっております。

脚本のひねり具合や、人生の渋みと甘味がバランスよく描かれてるところが好感が持てました。

 

☆『メガロポリス』

先のラジー賞で最低監督部門に輝いた名匠コッポラの最新作。古代ローマになぞらえられた未来都市を舞台に一人の建築家の苦悩が描かれる…という話だったんだろうか? 彼に時間停止能力があったり、未来が舞台ななのにそんなに現代と変わらなかったり、唐突にハッピーエンドになったりと、「???」となる要素が幾つかあります。

印象に残る映像もそれなりにあり、つまらなくはなかったのですが、途中ちょっと眠くなりました。

 

☆『罪人たち』

『クリード』『ブラックパンサー』などアフリカ系をよくテーマにするライアン・クーグラーの最新作。今回は人種差別と音楽と吸血鬼を無理やり1本の映画にぶちこむという実験に挑んでます。なんかこれ、明確な意図があるんやるか…とそれなりに考えて思いついたのは、アフリカ系アメリカ人とアイルランド人(吸血鬼)には

・陽気でさわがしい音楽が好き ・キリスト教はよそから植え付けられたもので微妙な感情もあるけれど、今となっては愛着の方が上

という共通点があることくらいでしょうか。

主人公が兄弟二人なんですけど、別々にキャスティングするのではなく双子という設定にして両方マイケル・B・ジョーダンにやらせるあたり、監督のMBJ愛がさらに強まってる…と感じました。そこまでくるとちょっと重くないか

 

次回は『かたつむりのメモワール』『スーパーマン』『ヘルボーイ ザ・クルキッドマン』『F1』『鬼滅の刃無限城編1章』『ファンタスティックフォー ファーストステップ』あたりについて書く予定です。

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