『べらぼう』を雑に振り返る⑥ 6月編
☆第21回「蝦夷桜上野屁音」
蝦夷へと関心を向ける田沼親子。その密談が吉原で行われたことから、誰袖は意知に急接近していく。一方後輩の政演にお株を奪われた春町は酒席で不満を爆発。きまずい場面で窮地を救ったのはなんと…
おなら編前編。この回から蝦夷を治める松前藩がクローズアップされていきます。凶悪な藩主を演じるのは元名子役のえなりかずき氏ですが、悪代官的な役がとてもはまっておりました。
誰袖は蔦重に熱を上げていたのにあっさりと意知にシフト。この辺の移り気なところは瀬川との差別化でしょうか。
もしかすると次郎兵衛兄さんが最も役に立ったかもしれない回。おならをネタに歌いながら踊る当時の文化人たち。その中に人気声優水樹奈々さんまで混じっているのがなんとも豪華?
この回の『風雲児たち』ポイント:松前藩と『赤蝦夷風説考』。あと島津重豪
☆第22回「小生、酒上不埒にて」
とことんまで機嫌を悪くしてしまった春町は絶筆を宣言。撤回してもらうべく蔦重たちは心を砕くが…
おなら編後編。このドラマを観るまで恋川春町という人のことを知らなかったのですが、すっかり「面倒くさい人」としてインプットされました。まあ愛すべき面倒くささではあります。演じる岡山天音君は『キングダム』の尾平が印象的でしたけど、この不器用な作家を見事に熱演というか怪演しておられました。
おならの借りをおならで返すのはミが出そうでヒヤヒヤしましたw でも作家同士の嫉妬とかリスペクトで春町と政演が和解するのはなんだかとても微笑ましくてちょっと泣きそうになっちゃいました。日本漫画では絵も話も作家がやるのが普通ですが、当時の戯作者たちではこの二人くらいだったんですね。
悩みもそれなりにありつつ、この頃が蔦重にとって最も幸せな時代だったのかも。この後のバックラッシュがちょっと怖い。
☆第23回「我こそは江戸一利者なり」
太田南畝と共にブレイクした蔦重は一躍江戸の有名人となり、耕書堂は大繁盛。周囲の人からも進められて、彼は日本橋への進出を決意。だがそれが養父の駿河屋との対立を招くことに。
いままで殴られっぱなしだった蔦重が、とうとうコワモテのおとっつあんに正面切って立ち向かうことに。遅すぎた反抗期とも言うべきか。しかし彼の「吉原者のステータスを上げるため」という目的が、差別されてきた駿河屋の心を動かします。それを転げ落とされた階段を登りながら言うシーンが象徴的でした。流星君の気迫もあってこのドラマ有数の名場面になったと思います。
高橋克実氏演じる駿河屋はいつも怒るか怒鳴るか、という描かれ方ですがウィキを見ると文芸系の著作もあり、なかなかの文化人の一面もあったようです。
この回の『風雲児たち』ポイント:蔦重が「風雲児、風雲児」と連呼されているのはやっぱり『風雲児たち』を参考にされているからですか!? 森下先生!?
☆第24回「げにつれなきは日本橋」
吉原の後ろ盾を得て、本格的に日本橋へ店を探すことになった蔦重。だが吉原者への差別、鶴屋の妨害、そして候補の店の主人・ていが筋金入りの堅物であることなどから計画は難航する。
後に蔦重の夫人となるおていさんが本格的に登場した回。綺麗系の橋本愛さんが特長的なごつい眼鏡を装着したビジュアルがインパクト大ございます。残念な(笑)行き違いもあって蔦重の渾身のプロポーズは大決裂してしまうわけですが、ここからどうやって結婚までもっていくのか森下先生の描く大逆転劇に期待です。
しかしこの蔦重の顔も頭もいいし、その上色里の育ちなのに自分の色恋はからっきし…というキャラクター本当にいいですね。でもちょっと腹立つ。
この回の『キングダム』ポイント:韓非子、こないだ出てきてすぐ亡くなりましたね…
話数的にはこの辺がちょうど半分かと。ただお話し全体のターニングポイントは次回あたりのような気がします。
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