« May 2025 | Main

June 08, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 5月編

☆第17回「乱れ咲往来の桜」

瀬川や源内への恩に報いるため、「日本一の本屋」を目指すことを決意した蔦重。そんな彼のところへ久しぶりにうつせみと共に姿を消した新之助が訪ねて来る。

まだ吉原限定でしか本を出せない蔦重が、販路拡大のため見出したジャンルが江戸の外での学習本。地方の庄屋さんに関わらせることで「これ、俺がスタッフだったんだよ!」と自慢させてあげることが出来るという… 庄屋さんの気持ちわかるなあ。ダチョウ倶楽部の人も版木を抱きしめながら「俺の娘」と言ってたし、本って作った人にとっては本当に宝物なんですね。そういう感覚、いっぺんくらい味わってみたいものです。

この回で特に和んだのはもう何回目かの次郎兵衛兄さんが蔦重をわしゃわしゃするシーン。戦国か源平大河だったら次郎兵衛は追い込まれて蔦重と戦になって敗死しそう。江戸時代でよかった。

この回の『風雲児たち』ポイント:田沼様は地元の領民に大層慕われてたというエピソード。吉良上野介とちょっと似てます。

 

☆第18回「歌麿よ、見徳一炊夢」

耕書堂に持ち込まれたある本の絵を見て、蔦重はそこに自分の元から消えた唐丸のタッチを思い出す。この作者はもしや唐丸では…と絵師を探す蔦重。一方そのころ朋誠堂喜三二に最大のピンチが迫っていた。

というわけで唐丸=歌麿が確定した回。てっきり彼は写楽になるものとばかり… ただ歌麿は歌麿で出自とかほとんどわかってない謎の人だったようですね。そんな「べらぼう」版歌麿の地獄のような生い立ちが語られます。まるで『ベルセルク』のガッツみたい… NHKでここまでよくやりましたね… そんな歌麿の兄貴となり光となる蔦重。調べたら弟分のはずの染谷君の方が流星君より4つ上(32)でしたがヨシとしましょう。

地獄話と並行してまあさんのアホらしいエピソードが進行していきます。この落差がすごすぎた… 夢で×××が断ち切られるシーンは一瞬「ファンタジー要素も取り入れちゃうのか?」と焦りました。

 

☆第19回「の置き土産 」

唐丸と念願の再会をはたし、ますます上り調子となる蔦重。そんな彼の耳に因縁浅からぬ鱗形屋の苦境の知らせが入って来る。煮え湯を飲まされた相手ではあるが、負い目もある蔦重はなんとか力になろうと動くが…

というわけで意外にもしぶとかった鱗形屋さん、とうとう今度こその退場回。蔦重がどうしても彼を憎めなかったのは、やはり「本」への愛情がある人だったからでは…と思います。「最初に小遣いで買った本」を前に二人が和解するシーンは本ドラマ中屈指の名シーンでした。

恋川春町先生が「あんたは古い」と鶴屋からいろいろ注文されるくだりは、『ブラックジャック』を書き始めたころの手塚治虫先生を思い出したり。あと家治様が田沼様をめちゃ高く評価するシーンもよかったですね。家治様は『風雲児たち』ではアレな描かれ方でしたが、将棋は上手かったそうです。

  

☆第20回「寝けて候」

耕書堂の評判は江戸市中でもうなぎ上りに。ついには鶴屋に従っていた本屋仲間からも、耕書堂から本を仕入れたいという声が上がり始める。

このころを代表する文化人たちが一挙にドバっと登場する回。ただ当時の文化人というはちょっとかわってて、くだらないことをいかにも高尚に言うのが「粋」だったようで…(そこがいいんじゃない!)

クライマックスは鶴屋さんのところに自ら乗り込んでいく蔦重。口喧嘩ってのは怒った方が負けなんですよね。そういう意味ではいい勝負でしたが、蔦重の方がやや優勢でした。

この回の『風雲児たち』ポイント:大田南畝とか土山宗次郎とか工藤平助とか… 南畝初登場シーンはいかにもで笑いました

しかし特に意味なく声優さんたちを多く起用するのは何か狙いでもあるのかな?にぎやかでいいけど

| | Comments (0)

June 01, 2025

2025年4月に観た映画

二ヵ月遅れの映画感想。この月はなぜかアクション系の映画ばかり観てました。

 

☆『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

そんな中、これは唯一ほぼ戦ってない映画。あの『レゴ・ムービー』シリーズ久々の最新作(なのか?)ということで観てきました。タイトルのファレル・ウィリアムスさんについてはほとんど知らず。でも劇中でかかってた超有名な曲「HAPPY」はさすがに聞き覚えがありました。

実在ミュージシャン映画の定型どおり、ファレルさんもサクセスして後、売れないころとはまた別の悩みを抱えることになります。お金目当てのビジネスマンたちに取り囲まれてしまうのですね。ただファレルさんの人柄かレゴで再現されてるゆえか、他のミュージシャン映画ほどには落ち込みパートがエグくありませんでした。その分いまいち印象が薄くなってしまったり。難しいですね。

 

☆『アンジェントルメン』

ここんとこイマイチ話題にならないガイ・リッチー監督の1年遅れの公開作(自分『コヴェナント』とか大好きですけど)。第二次大戦中スパイ活動に従事し、後にMI6の基礎を築いたメンバーの「実話に基づいた話」ということですが、確実に特盛くらいにお話を盛ってるものと思われます。

ベテランのガイさんの作品なので、全編普通に楽しい。問題は一番楽しくて気持ちよかったのが冒頭のパートだったというところです。あとナチスドイツ兵の命が紙切れよりも軽い。まあナッチだから仕方ないか…とは思いつつちょっとかわいそう。

 

☆『サイレントナイト』

ジョン・ウー久しぶりの公開作(そしてこちらは2年遅れ…)。ギャングに愛息を殺された男が決死の復讐に挑む物語。珍しいのは主人公が声帯をやられてしまったゆえか、全編ほぼセリフがないという。ただストーリーがこれ以上ないくらいどシンプル(よく言えばわかりやすく、悪くいえばよくある話)なので、言葉がなくても普通についていけます。

ジョン・ウーといえばグラサンにコートでキメキメの主人公が華麗に銃をぶっぱなし、ついでにハトも飛んだりする作風で知られてますが、この映画はあまりそういった「ウースタイル」が見かけられず、もっと泥臭く痛々しい仕上がりになってます。ウー監督ももう79才ということですが、そんなお年になってもこんなぎらついた映画が作れるのはすごい。

不満は去年の『モンキーマン』もそうですが、(白字反転)ラストで復讐を遂げたあとに自分も死んでしまうところ。多くの人を巻き込んだのだから彼もまた罪の報いを、ということなのかもしれませんが、可哀そうな目にあったんだから安らかな余生をあたえてあげましょうよ。

 

☆『アマチュア』

これまた主人公が組織に対し単身復讐を挑む話。本当に最近そういうの多いっすよね… ただ各作品さすがにその辺わかってるのか、自分たちなりの特色を打ち出そうとしています。この『アマチュア』の場合、ヒーローが腕っぷしはてんで弱いもののIQとIT技術が超人的で、計算とその場その場の機転でピンチを切り抜けていくところが痛快でした。

ほんでこの映画も『サイレントナイト』と同じく泥臭いところがあって、「みんなぶっ殺したるわー!」と息巻くものの、こないだまで一般人だった人間がいざ殺しに関わってしまうと、やはりとてつもない負担が胃に来る描写などありました。うん、そうよ… やっぱり復讐は何も産まないのね… でもフィクションでは割り切ってスカっとさわやかにやり遂げてほしいわ…

主演が『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック氏だったせいか、この時期のアクション作品が興行的にどれもパッとしなかった中、この映画だけはそこそこヒットしました。

 

☆『プロフェッショナル』

ここんとこ主演のアクション作品がトマトで低スコアを連発していたリーアム・ニーソン。でもこの映画は久しぶりになかなかの高評価となっています。舞台はIRAの活動が盛んだったころのアイルランドの小さな村。殺し屋を引退して静かな生活を送ろうとしていた主人公。しかし村にテロリストのグループが隠れ住むようになったことから彼の望みに暗雲が垂れ込めて来ます。

この作品の特色は一応アクション映画ではあるものの、あえてカタルシスを弱めてある点。リーアムさんはベテランの殺し屋だけど決して無双な人ではないし、敵対するIRAの女リーダーもいかん人ではあるけれど、罪の意識や可哀そうな過去があったり。

色々とやるせない話ではあるのですが荒涼としつつも穏やかな村の風景や、幕切れがとても爽やかだったこともあって後味は良かったです。『ゲーム・オブ・スローンズ』でひどい役を演じていたジャック・グリーソン君が、こちらでもいけすかない主人公の同僚を役をやっているのですが、彼とリーアムさんの交流にもホロホロと泣かされました。

 

というわけで今月の「男がほぼ一人で組織に戦いを挑む系」の映画、お気に入り順に並べると プロフェッショナル>アマチュア>サイレントナイト となります。ほんでこのジャンル、来月も『Mr.ノボカイン』があり、公開未定のものも含むと『ザ・コンサルタント2』『Mr.ノーバディ2』『ワーキングマン』などが続きます。USAの人は本当にこういうの好きですね…

次回は『サンダーボルツ』『マインクラフト ザ・ムービー』『パディントン 失われた黄金郷の謎』『今日の空が、まだ一番好きと言えない僕は』『ミッション・インポッシブル ファイナル・レコニング』について書く予定です。

 

 

 

 

 

 

 

| | Comments (0)

« May 2025 | Main