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June 29, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る⑥ 6月編

☆第21回「蝦夷桜上野屁音」

蝦夷へと関心を向ける田沼親子。その密談が吉原で行われたことから、誰袖は意知に急接近していく。一方後輩の政演にお株を奪われた春町は酒席で不満を爆発。きまずい場面で窮地を救ったのはなんと…

おなら編前編。この回から蝦夷を治める松前藩がクローズアップされていきます。凶悪な藩主を演じるのは元名子役のえなりかずき氏ですが、悪代官的な役がとてもはまっておりました。

誰袖は蔦重に熱を上げていたのにあっさりと意知にシフト。この辺の移り気なところは瀬川との差別化でしょうか。

もしかすると次郎兵衛兄さんが最も役に立ったかもしれない回。おならをネタに歌いながら踊る当時の文化人たち。その中に人気声優水樹奈々さんまで混じっているのがなんとも豪華?

この回の『風雲児たち』ポイント:松前藩と『赤蝦夷風説考』。あと島津重豪

 

☆第22回「小生、酒上不埒にて」

とことんまで機嫌を悪くしてしまった春町は絶筆を宣言。撤回してもらうべく蔦重たちは心を砕くが…

おなら編後編。このドラマを観るまで恋川春町という人のことを知らなかったのですが、すっかり「面倒くさい人」としてインプットされました。まあ愛すべき面倒くささではあります。演じる岡山天音君は『キングダム』の尾平が印象的でしたけど、この不器用な作家を見事に熱演というか怪演しておられました。

おならの借りをおならで返すのはミが出そうでヒヤヒヤしましたw でも作家同士の嫉妬とかリスペクトで春町と政演が和解するのはなんだかとても微笑ましくてちょっと泣きそうになっちゃいました。日本漫画では絵も話も作家がやるのが普通ですが、当時の戯作者たちではこの二人くらいだったんですね。

悩みもそれなりにありつつ、この頃が蔦重にとって最も幸せな時代だったのかも。この後のバックラッシュがちょっと怖い。

 

☆第23回「我こそは江戸一利者なり」

太田南畝と共にブレイクした蔦重は一躍江戸の有名人となり、耕書堂は大繁盛。周囲の人からも進められて、彼は日本橋への進出を決意。だがそれが養父の駿河屋との対立を招くことに。

いままで殴られっぱなしだった蔦重が、とうとうコワモテのおとっつあんに正面切って立ち向かうことに。遅すぎた反抗期とも言うべきか。しかし彼の「吉原者のステータスを上げるため」という目的が、差別されてきた駿河屋の心を動かします。それを転げ落とされた階段を登りながら言うシーンが象徴的でした。流星君の気迫もあってこのドラマ有数の名場面になったと思います。

高橋克実氏演じる駿河屋はいつも怒るか怒鳴るか、という描かれ方ですがウィキを見ると文芸系の著作もあり、なかなかの文化人の一面もあったようです。

この回の『風雲児たち』ポイント:蔦重が「風雲児、風雲児」と連呼されているのはやっぱり『風雲児たち』を参考にされているからですか!? 森下先生!?

 

☆第24回「げにつれなきは日本橋」

吉原の後ろ盾を得て、本格的に日本橋へ店を探すことになった蔦重。だが吉原者への差別、鶴屋の妨害、そして候補の店の主人・ていが筋金入りの堅物であることなどから計画は難航する。

後に蔦重の夫人となるおていさんが本格的に登場した回。綺麗系の橋本愛さんが特長的なごつい眼鏡を装着したビジュアルがインパクト大ございます。残念な(笑)行き違いもあって蔦重の渾身のプロポーズは大決裂してしまうわけですが、ここからどうやって結婚までもっていくのか森下先生の描く大逆転劇に期待です。

しかしこの蔦重の顔も頭もいいし、その上色里の育ちなのに自分の色恋はからっきし…というキャラクター本当にいいですね。でもちょっと腹立つ。

この回の『キングダム』ポイント:韓非子、こないだ出てきてすぐ亡くなりましたね…

 

話数的にはこの辺がちょうど半分かと。ただお話し全体のターニングポイントは次回あたりのような気がします。

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June 22, 2025

2025年5月に観た映画

恐ろしいことに今年もぼちぼち半分終了です。5月はメジャー系の洋画をよく観てました。

 

☆『サンダーボルツ*』

MCU最新作。原作最初期は悪者たちがヒーローチームを偽装していたら、そっちの方が気持ちよくなっちゃって善玉に路線変更した…という流れだったと思います。映画版はこれまで出て来たやや後ろ暗い過去のある脇役たちが、闇落ちしたスーパーマンみたいなキャラと戦うことになる…という内容。このサンダーボルツの面々がそんなにすごいパワーがあるわけではなく、少々肉体改造されたようなメンバーばかりなのでどうしたって分が悪い。ただ相手側は善悪の間をふらついてるようなキャラ(セントリーと言います)なので、戦いながら一生懸命「いい子ちゃんに戻れよ!」と説得するわけです。この辺先の『キャプテンアメリカBNW』とかぶってしまった感はありますが、精神世界を舞台としたクライマックスはなかなか面白かったです。

残念だったのは予告やポスターでバーンと映っていたタスクマスターが序盤であっさり…となってしまったこと。演じるオルガ・キュリレンコさんも多忙なようなのでなんか事情でもあったんでしょうか。

 

☆『マインクラフト ザ・ムービー』

子どもたちを中心に世界的な人気を誇るブロックゲーム?の実写映画化。実写といっても背景の半分以上はCGですが。ゲームが原作で現実世界から架空世界の危機を救うために冒険するという内容や、髭のおやじの二人組がいるところなどはこないだのスーパーマリオのアニメ映画とよく似てます。

ただこちらは生身の人間が演じてるので、もじゃもじゃ度が一層アップ。さらに架空世界のキャラがみなカクカクしてるので毛深さがどうしたって強調されてしまいます。今頃の季節見たら暑苦しいでしょうが、ゴールデンウイークだったのでまだよかった。

お子様と一緒に笑いながら見る分には十分な出来。このゲームのファンの姪っ子がとても楽しんでくれたのでよかったです。

 

☆『パディントン 消えた黄金郷の秘密』

名作童話を原作とした『パディントン』シリーズ8年ぶりの3作目。…もう前からそんなに経つのかよ。今回パディントンはロンドンを飛び出し生まれ故郷のペルーへ、おばさんを探す旅に出ます。

これまた普通によく出来たファミリームービー。あとメジャー映画でペルーが舞台というのが珍しい。まあそれだけで十分なんですけどやっぱりパディントンにはロンドンの街並みの方がよく似合うなあ、と。あと子供たちが二人ともでかくなってしまい、『トイストーリー3』の時のアンディを見るような寂しさを感じてしまいました。弟くんとかこの映画以外に特に出演ないみたいですが、ずっと付き合ってくれてえらい。

日本ではマイクラとぶつかってしまったのが不運な成績でしたが、2027か28 に既に4作目が公開予定とのこと

 

☆『ミッション・インポッシブル ファイナル・レコニング』

1作目だけ映画館で観てませんが、実に約30年の長きに渡ってつきあってきたミッション・インポッシブル完結編。というか前作と合わせてひとつの大きなエピソードになってるので、正確には完結編の後編ですね。

先のクレイグ版007がああいう形で終わったので、イーサン・ハント死んじゃうのでは…とドキドキしながら観てました。実際はどうだったかというと(以降白字)引退もせず代替わりもせず、普通にこれまで通りという変わった形の完結編となりました。1作目から皆勤賞で出てた主人公の相棒は亡くなりましたが…

とりあえずこの30年のシリーズが走馬灯のようにばーっと思い出されたのと、さわやかに手紙でしめくくられるラストに感極まったのでよかったです。自分はBANANA FISHとかメイズランナー完結編とか手紙のモノローグで終わる話に弱いんです。

 

☆『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

お笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介氏が書いた恋愛小説を映画化。大学になじめない陰気な青年の出会いと別れを描いた内容。

重要なモチーフとしてスピッツの「初恋クレイジ―」という彼らの中ではマイナーな曲が使われてるのですけど、これがとても印象的で観終わるとしばらく耳から離れなくなります。

序盤は自分もぱっとしなかった大学時代を思い出したりしてノスタルジー的に観てましたが、中盤ドキッとするような展開があり、主人公がどんより落ち込むあたりからしんどいのに目が離せなくなっていきます。そしてようやく持ち直したかな…と思ったらさらに重いもう一山があったり。

いま大活躍中の河合優実さんも存在感ばっちりでしたが、それよりも忘れがたいのは伊東蒼さんの切なすぎる長回し。彼女は私が観た範囲では可哀そうな役ばかり演じてるので、次はバカバカしいコメディとかに出てほしいです。公開前から「これはすごい」と聞いていたのですが、その評価に間違いはありませんでした。

 

次回は『サブスタンス』『JUNK WORLD』『見える子ちゃん』『Mr.ノボカイン』と、観られたら『メガロポリス』か『F1』について書く予定

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June 08, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 5月編

☆第17回「乱れ咲往来の桜」

瀬川や源内への恩に報いるため、「日本一の本屋」を目指すことを決意した蔦重。そんな彼のところへ久しぶりにうつせみと共に姿を消した新之助が訪ねて来る。

まだ吉原限定でしか本を出せない蔦重が、販路拡大のため見出したジャンルが江戸の外での学習本。地方の庄屋さんに関わらせることで「これ、俺がスタッフだったんだよ!」と自慢させてあげることが出来るという… 庄屋さんの気持ちわかるなあ。ダチョウ倶楽部の人も版木を抱きしめながら「俺の娘」と言ってたし、本って作った人にとっては本当に宝物なんですね。そういう感覚、いっぺんくらい味わってみたいものです。

この回で特に和んだのはもう何回目かの次郎兵衛兄さんが蔦重をわしゃわしゃするシーン。戦国か源平大河だったら次郎兵衛は追い込まれて蔦重と戦になって敗死しそう。江戸時代でよかった。

この回の『風雲児たち』ポイント:田沼様は地元の領民に大層慕われてたというエピソード。吉良上野介とちょっと似てます。

 

☆第18回「歌麿よ、見徳一炊夢」

耕書堂に持ち込まれたある本の絵を見て、蔦重はそこに自分の元から消えた唐丸のタッチを思い出す。この作者はもしや唐丸では…と絵師を探す蔦重。一方そのころ朋誠堂喜三二に最大のピンチが迫っていた。

というわけで唐丸=歌麿が確定した回。てっきり彼は写楽になるものとばかり… ただ歌麿は歌麿で出自とかほとんどわかってない謎の人だったようですね。そんな「べらぼう」版歌麿の地獄のような生い立ちが語られます。まるで『ベルセルク』のガッツみたい… NHKでここまでよくやりましたね… そんな歌麿の兄貴となり光となる蔦重。調べたら弟分のはずの染谷君の方が流星君より4つ上(32)でしたがヨシとしましょう。

地獄話と並行してまあさんのアホらしいエピソードが進行していきます。この落差がすごすぎた… 夢で×××が断ち切られるシーンは一瞬「ファンタジー要素も取り入れちゃうのか?」と焦りました。

 

☆第19回「の置き土産 」

唐丸と念願の再会をはたし、ますます上り調子となる蔦重。そんな彼の耳に因縁浅からぬ鱗形屋の苦境の知らせが入って来る。煮え湯を飲まされた相手ではあるが、負い目もある蔦重はなんとか力になろうと動くが…

というわけで意外にもしぶとかった鱗形屋さん、とうとう今度こその退場回。蔦重がどうしても彼を憎めなかったのは、やはり「本」への愛情がある人だったからでは…と思います。「最初に小遣いで買った本」を前に二人が和解するシーンは本ドラマ中屈指の名シーンでした。

恋川春町先生が「あんたは古い」と鶴屋からいろいろ注文されるくだりは、『ブラックジャック』を書き始めたころの手塚治虫先生を思い出したり。あと家治様が田沼様をめちゃ高く評価するシーンもよかったですね。家治様は『風雲児たち』ではアレな描かれ方でしたが、将棋は上手かったそうです。

  

☆第20回「寝けて候」

耕書堂の評判は江戸市中でもうなぎ上りに。ついには鶴屋に従っていた本屋仲間からも、耕書堂から本を仕入れたいという声が上がり始める。

このころを代表する文化人たちが一挙にドバっと登場する回。ただ当時の文化人というはちょっとかわってて、くだらないことをいかにも高尚に言うのが「粋」だったようで…(そこがいいんじゃない!)

クライマックスは鶴屋さんのところに自ら乗り込んでいく蔦重。口喧嘩ってのは怒った方が負けなんですよね。そういう意味ではいい勝負でしたが、蔦重の方がやや優勢でした。

この回の『風雲児たち』ポイント:大田南畝とか土山宗次郎とか工藤平助とか… 南畝初登場シーンはいかにもで笑いました

しかし特に意味なく声優さんたちを多く起用するのは何か狙いでもあるのかな?にぎやかでいいけど

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June 01, 2025

2025年4月に観た映画

二ヵ月遅れの映画感想。この月はなぜかアクション系の映画ばかり観てました。

 

☆『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

そんな中、これは唯一ほぼ戦ってない映画。あの『レゴ・ムービー』シリーズ久々の最新作(なのか?)ということで観てきました。タイトルのファレル・ウィリアムスさんについてはほとんど知らず。でも劇中でかかってた超有名な曲「HAPPY」はさすがに聞き覚えがありました。

実在ミュージシャン映画の定型どおり、ファレルさんもサクセスして後、売れないころとはまた別の悩みを抱えることになります。お金目当てのビジネスマンたちに取り囲まれてしまうのですね。ただファレルさんの人柄かレゴで再現されてるゆえか、他のミュージシャン映画ほどには落ち込みパートがエグくありませんでした。その分いまいち印象が薄くなってしまったり。難しいですね。

 

☆『アンジェントルメン』

ここんとこイマイチ話題にならないガイ・リッチー監督の1年遅れの公開作(自分『コヴェナント』とか大好きですけど)。第二次大戦中スパイ活動に従事し、後にMI6の基礎を築いたメンバーの「実話に基づいた話」ということですが、確実に特盛くらいにお話を盛ってるものと思われます。

ベテランのガイさんの作品なので、全編普通に楽しい。問題は一番楽しくて気持ちよかったのが冒頭のパートだったというところです。あとナチスドイツ兵の命が紙切れよりも軽い。まあナッチだから仕方ないか…とは思いつつちょっとかわいそう。

 

☆『サイレントナイト』

ジョン・ウー久しぶりの公開作(そしてこちらは2年遅れ…)。ギャングに愛息を殺された男が決死の復讐に挑む物語。珍しいのは主人公が声帯をやられてしまったゆえか、全編ほぼセリフがないという。ただストーリーがこれ以上ないくらいどシンプル(よく言えばわかりやすく、悪くいえばよくある話)なので、言葉がなくても普通についていけます。

ジョン・ウーといえばグラサンにコートでキメキメの主人公が華麗に銃をぶっぱなし、ついでにハトも飛んだりする作風で知られてますが、この映画はあまりそういった「ウースタイル」が見かけられず、もっと泥臭く痛々しい仕上がりになってます。ウー監督ももう79才ということですが、そんなお年になってもこんなぎらついた映画が作れるのはすごい。

不満は去年の『モンキーマン』もそうですが、(白字反転)ラストで復讐を遂げたあとに自分も死んでしまうところ。多くの人を巻き込んだのだから彼もまた罪の報いを、ということなのかもしれませんが、可哀そうな目にあったんだから安らかな余生をあたえてあげましょうよ。

 

☆『アマチュア』

これまた主人公が組織に対し単身復讐を挑む話。本当に最近そういうの多いっすよね… ただ各作品さすがにその辺わかってるのか、自分たちなりの特色を打ち出そうとしています。この『アマチュア』の場合、ヒーローが腕っぷしはてんで弱いもののIQとIT技術が超人的で、計算とその場その場の機転でピンチを切り抜けていくところが痛快でした。

ほんでこの映画も『サイレントナイト』と同じく泥臭いところがあって、「みんなぶっ殺したるわー!」と息巻くものの、こないだまで一般人だった人間がいざ殺しに関わってしまうと、やはりとてつもない負担が胃に来る描写などありました。うん、そうよ… やっぱり復讐は何も産まないのね… でもフィクションでは割り切ってスカっとさわやかにやり遂げてほしいわ…

主演が『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック氏だったせいか、この時期のアクション作品が興行的にどれもパッとしなかった中、この映画だけはそこそこヒットしました。

 

☆『プロフェッショナル』

ここんとこ主演のアクション作品がトマトで低スコアを連発していたリーアム・ニーソン。でもこの映画は久しぶりになかなかの高評価となっています。舞台はIRAの活動が盛んだったころのアイルランドの小さな村。殺し屋を引退して静かな生活を送ろうとしていた主人公。しかし村にテロリストのグループが隠れ住むようになったことから彼の望みに暗雲が垂れ込めて来ます。

この作品の特色は一応アクション映画ではあるものの、あえてカタルシスを弱めてある点。リーアムさんはベテランの殺し屋だけど決して無双な人ではないし、敵対するIRAの女リーダーもいかん人ではあるけれど、罪の意識や可哀そうな過去があったり。

色々とやるせない話ではあるのですが荒涼としつつも穏やかな村の風景や、幕切れがとても爽やかだったこともあって後味は良かったです。『ゲーム・オブ・スローンズ』でひどい役を演じていたジャック・グリーソン君が、こちらでもいけすかない主人公の同僚を役をやっているのですが、彼とリーアムさんの交流にもホロホロと泣かされました。

 

というわけで今月の「男がほぼ一人で組織に戦いを挑む系」の映画、お気に入り順に並べると プロフェッショナル>アマチュア>サイレントナイト となります。ほんでこのジャンル、来月も『Mr.ノボカイン』があり、公開未定のものも含むと『ザ・コンサルタント2』『Mr.ノーバディ2』『ワーキングマン』などが続きます。USAの人は本当にこういうの好きですね…

次回は『サンダーボルツ』『マインクラフト ザ・ムービー』『パディントン 失われた黄金郷の謎』『今日の空が、まだ一番好きと言えない僕は』『ミッション・インポッシブル ファイナル・レコニング』について書く予定です。

 

 

 

 

 

 

 

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