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April 06, 2025

2025年2月に観た映画

恒例の2か月遅れ映画感想。2月はなんか戦ってる映画を多く観てました。

☆『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』

日本での上映館はそれほど多くないものの、熱心なファンの支持によりいまだに公開が続いている香港(中国)映画。

大陸からいい暮らしを求めて世紀末の香港に渡って来た青年が、貧民街「九龍城砦」で新たな家族を得てその場所を守るために戦うというあらすじ。

自分は「どこにも居場所がなくてさまよってた若者がやっと安住の地を得る」という話に弱いので、そこが特にツボにはまりました。でも香港はこの数年後に返還されいまはもうかなり様変わりしてしまった模様。かつて「中国」とはまた違う混沌と活気に満ちた「香港」という町があったんだな…なんてことを思い出し、おじさんは郷愁にひたってしまったのでした。

映画とともにひそかなブームを呼んでるのが劇中に登場する「叉焼飯」。そのうち中華街あたりで探して実際に賞味したいものです。

 

☆『アンダーニンジャ』

ヤングマガジン連載の人気コミックを妙なお笑いセンスで定評?のある福田雄一監督が映画化。令和になおも存続していた忍者組織の暗闘を描いた作品。

青年誌のバトル漫画を山崎賢人主演で実写化…となるとやはり『キングダム』や『ゴールデンカムイ』を思い出しますが、こちらはあんなにダイナミックな作風ではなく、アクションはあるもののムードはゆるく予算もそんなにかかってなさそう。一部では評判の悪い福田ギャグも自分は3割くらいの確率で笑わせてもらいました。ただお笑いの感覚って人それぞれなんで、合わなそうと思った方は避けてください。

ハイテク手裏剣とか透明スーツとか、現代に合わせてアレンジされて忍者ガジェットが面白かったです。

 

☆『野生の島のロズ』

本年度アカデミー賞アニメ長編部門にもノミネートされたドリームワークスのCG作品。万能お手伝いロボが飛行機事故で人間のいない島に落ち、そこで新たな家族を得てその場所を守るために…あれ?

原作はジュブナイルらしく、SFと童話が融合したような作風になっているのが独特。ロボが島の動物たちと普通に会話しながら絆をはぐくみ、侵略者に立ち向かうあたりは昔懐かしのアニメ『星の子チョビン』を思い出しました(あれはロボでなく宇宙人でしたが)。独特といえば洋画アニメにおける主人公ロボって大抵男性・少年属性なものですが、こちらの「ロズ」はCVがルピタ・ニョンゴ(吹替は綾瀬はるか)ということもあり女性属性であり「お母さん」なんですよね。その辺がなかなか目新しかったです。

明らかに「続編を待っててね!」という感じではなく「この後はみんなで想像してね」という幕切れも上品で好印象でした。

 

☆『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』

MCU最新作。ここのところ宇宙やマルチバースを扱うことが多かったMCUではひさしぶりに地に足のついた作品(主人公よく飛びますけど)。初代から盾と称号を受け継いだ二代目キャプテン・アメリカ=サム・ウィルソンが大統領を巡る陰謀に巻き込まれていきます。

どうしても大傑作『ウィンターソルジャー』と比べたくなってしまうのですが、サムはまだ伝説ではなくその途上にある男。既に伝説であるスティーブとは違い、これから成長していくわけで。同じようにBNWも前シリーズと比べないでこれはこれで温かく見守っていきたいと思います。

あと一応世界のリーダーたるアメリカが激情を制し対話で解決しなければ…というメッセージはやはり大事だと思いました。現実に怒りっぽそうな大統領が就任してしまっただけに。この辺は偶然シンクロしてしまったんでしょうけど。

 

☆『ブルータリスト』

本年度アカデミー賞長編部門ノミネート作品。ホロコーストを生き残ったユダヤ人の建築家が移住したアメリカで苦労したりスポンサーの富豪から歪んだ愛情をぶつけられてしまうというストーリー。

タイトルの「ブルータリスト」とは「文化的要素が低く無骨な意匠を建物の外観に多用する。建築資材の質感が強調された建築様式」の「ブルータリズム」から来ています。もっともらしい入場特典のせいもありてっきり実話かと思っていたら、これモデルは何名かあるものの巧妙なフィクションでした。そのいかにも本当にありそうな歴史秘話を作る才能に感服させられます。

全200分という長尺ながら休憩が15分あったせいか長さは苦痛ではなかったです。最近バトル系のわかりやすい映画ばかり観てたので、独特なストーリー運びに当惑させられつつ楽しみました。

監督さんは調べてみたら子供の頃から俳優としても活躍してて、あまりパッとしなかった人間版『サンダーバード』で主演つとめたりしてた方でした。何かのインタビューで「アカデミー賞にノミネートされても食えない監督はいっぱいいる。この映画も儲けはちょっと」みたいなことを言っててちょっぴり切ない気分になりました。

 

次回は『アノーラ』『名もなき者』『FLOW』『教皇選挙』『ベターマン』『ミッキー17』について書きます。

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Comments

ブルータリスト

ハッピーエンドじゃないのはそうね、そういう時代だしね、と思うけど、誰一人として幸せになった人がいないようなのはしんどい。神様は頼りにならないし。

Posted by: ふじき78 | May 10, 2025 12:56 AM

>ふじき78さん

>ブルータリスト
名作文学にはそういうの多いですよね。イスラエルに帰った姪っ子さんも今頃は苦労してそう

Posted by: SGA屋伍一 | May 11, 2025 04:16 PM

「トワイライト・ウォリアーズ」

居場所の物語と言うなら、主人公だけでなく、食べ物屋のちっちゃい子と娘さんも自然にみんな助け合う感じでよかった。

Posted by: ふじき78 | June 01, 2025 08:56 PM

「アンダーニンジャ」

福田雄一監督作品は実際に面白かったつまらなかったは別にして、「面白かったと言うと恥ずかしい」が付いて回るようになってしまった。

あと平田満好き。

Posted by: ふじき78 | June 01, 2025 09:10 PM

野生の島のロズ

綾瀬はるかの声いいすなー。
女でロボットって言うと永井豪のロボットガールズ思い出してしまうオタクの私です。

Posted by: ふじき78 | June 01, 2025 09:21 PM

「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」

> あと一応世界のリーダーたるアメリカが激情を制し対話で解決しなければ…というメッセージはやはり大事だと思いました。現実に怒りっぽそうな大統領が就任してしまっただけに。

「ミッション・インポッシブル」の最新作では大統領が黒人女性で極めて理性的な人でした。確かにあの映画で大統領がトランプもどきだったらお話にならない感じだったでしょうけど。現実世界でも、赤ハルクでもトランプでもなく、あんな感じの大統領がいいなあ。

Posted by: ふじき78 | June 01, 2025 09:41 PM

>ふじき78さん

>トワイライト・ウォリアーズ
食べ物屋のおじさんは教え方が早すぎて不親切でしたが、まあよしです

>アンダーニンジャ
それはありますね。でも年末の幕末伝もたぶん観ます

>野生の島のロズ
永井豪のロボットガールズ… おたく、オタクでしょう!

>キャプテンアメリカ
ミッションインポッシブルの大統領がトランプさんだったら速攻で核ボタン押してたでしょうね。カマラさんが当選してた世界線でした

Posted by: SGA屋伍一 | June 15, 2025 03:32 PM

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