『べらぼう』を雑に振り返る 1月編
前から期待はしてましたが、始まってみると予想を越えてべらぼうに面白い大河ドラマ『べらぼう』。加えて『風雲児たち』ファンには見逃せないところも色々あり、3年ぶりに大河レビューを再開いたします。果たして完走できるでしょうか。
☆第1回 ありがた山の寒がらす
吉原大火から始まる第1回(吉原はよく燃えたらしい)。彼の地の案内所で働く青年蔦谷重三郎は、かつて世話になった元花魁が困窮の果てに亡くなったことに衝撃を受け、吉原に勢いを取り戻すために知恵を絞る。
恐らく登場時で22才ほどの蔦重。彼は決して長生きした方ではないんですが、さらに幼少時を回想3分で消化するというストロングスタイル。
この回のキーパーソンはやはり時の老中田沼意次。渡辺謙氏が演じているゆえイメージよりややかっこいい感じですが、賄賂も受け取りつつ私欲よりも国益を優先させているやり手の政治家として描かれていました。あと先走った蔦重が親分から喰らった「桶伏せ」の刑が面白かったです。
この回の『風雲児たち』ポイント:明和9年は「迷惑」に通じる
☆第2回 吉原細見『嗚呼 御江戸』
吉原に客を呼ぶにはガイドブック「細見」をいいものにすること、と思いついた蔦重は、人気作家平賀源内に序文を書いてもらおうと考える。だが平賀源内はなかなか見つからない。
平賀源内という人間の面白さがとりわけ印象に残る回。正体を隠して蔦重を翻弄するあたり時代劇の『暴れん坊将軍』か『水戸黄門』のよう。男色一筋だった、というのは知りませんでした。かつての恋人を思い目をうるませる姿にはホロリとさせられたり。
1回目から出てる鬼平は池波正太郎版よりちゃらい感じ。ひいきの花魁に気に入られるためにお金をばらまく姿は現代の配信者への「投げ銭」とよく似てます(スパチャって言うの?)
この回の『風雲児たち』ポイント:コマーシャルソングの先駆け「漱石香」の歌
☆第3回 千客万来『一目千本』
来客があったため冒頭12分ほど見逃し。江戸城内で権力をめぐる暗闘があったっぽい。
細見は良い出来だったが、いまひとつ吉原への客足が伸びない。文章だけでなく絵を載せたら…と蔦重は思いつく
人気の女郎たちをそれぞれ花に見立てるというアイデアはキャラに属性をあてはめるカードゲームのよう。苦労が多いのにみんなで理想の本を作るのがめちゃくちゃ楽しそうなあたりは同人誌作りのようでした。自分同人誌作ったことないけど。
今の蔦重が必死になってるのは、吉原に客を呼んで食うにもこと欠く女郎たちを食わせること。ただ彼が後世に名を馳せているのは吉原の大店の主としてではなく、写楽や八犬伝を世に送り出した本屋さんとして。自分のやり方に限界を感じ方向転換をすることになるのか?…は見続けてみないとわかりません。
鬼平はお金が尽きたのでいったん退場。名実共に「鬼平」となって再登場か。
☆第4回 『雛形若菜』の甘い罠
『一目千本』が大当たりし、ひとまず吉原に活気が戻る。親方衆は次なる一手として錦絵を載せた本を出せば勢いが続くのでは…と考え、その出版を蔦重に丸投げする。
冒頭で忘八の親方衆がなぜかみんな猫を抱えてニャアニャア言ってたりして、何を見せられてるんだ…とは思いましたがかわいかったからよし。そしてこの回では猫が大事な下絵を台無しにしてしまうという猫あるあるな現象も描かれます。ここで発揮されたのが蔦重のサイドキック唐丸のスーパー模写パワー。のちの写楽はこの子で確定でしょうか。
版元になる夢を抱くも組合の掟に阻まれ手柄を横取りされてしまう蔦重。西村まさ彦が西村屋をやってるのはスタッフのギャグでしょうか。
この回の『風雲児たち』ポイント:『放屁論』と『解体新書』。「田安家を絶やすけ」
老眼に鞭打ってまた一年がんばろうと思います。
Comments
まいどです。
大河レビュー復活ですか?
実は見てない割には割と期待してます。
実は「鎌倉殿〜」完走してから「どうする〜」にドン引きして
ちょっとこの所大河に距離置いてます。
なんせ「麒麟」の信長が最後の最後に人のせいにするあかんたれやったし
去年は1回目でいきなりまひろの母斬られるシーンには
家族一同大ブーイングで
私は道隆に「こいつ絶対殺す」的な殺意&正義の炎
燃えたぎらせました(笑)。
これって、NHKのコンプラより脚本家やシリーズ構成の
倫理観の方が問題だと認識した次第(異論はあろうが異議は認めない:爆)
インパクトばかり求めて一家で見るテレビ番組の認識欠落。
田沼さんに謙さん起用で割と安心してます。
昔、修善寺旅行した折に電車の高校生の会話で
「田沼の賄賂の悪名は松平定信の策略」と言う会話云々
を聞いて、妙に腑に落ちた事を覚えてはや20年(笑)。
・・・・・・・・$それは「風雲児たち」と出逢った年です。
Posted by: まさとし | February 08, 2025 01:18 PM
>まさとしさん
ども。『光る君へ』の最初のあれはいくらなんでも話作り過ぎだろ…とは思いました。ただまああれのおかげでほとんどのひとが記憶にないであろう藤原道兼という人がみんなに覚えられたのはよかったかもしれません。絶対あんなことやってないと思うけどねw
『べらぼう』では田沼&源内が『風雲児たち』のそれにかなり近くて嬉しいです。脚本家先生読んでるんじゃないかな… 田沼様は一応わが県の人物でもあるので、こちらでは再評価の高まりに盛り上がってます
Posted by: SGA屋伍一 | February 09, 2025 05:28 PM