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February 09, 2025

2024年12月に観た映画を振り返る

今頃暮れの映画について振り返ります。通常ペースに戻ったということですね。

☆『ザ・バイクライダーズ』

同名の写真集からインスパイアされた1960年代のバイカー集団の盛衰を描いた物語。まぎれもないフィクションなんですが、メンバーがめちゃくちゃ実際にいそうな人だったり、その死にざまがあっけなかったりといかにも本当にあったような話になっております。

自分このジェフ・ニコルズ監督の『MUD』という作品が好きだったんですけど、優し気なジュブナイルだったそちらと比べると、こちらはビターで感傷を突き放すような仕上りになっておりました。走り出したら止まらないような、オースティン・バトラー演じる主人公が強烈。彼のにやけ顔を背景にしたタイトルバックが特に印象に残りました。

 

☆『ロボット・ドリームズ』

俺は涙を流さない ロボットだから マシンだから だけどわかるぜ 燃える友情 君と一緒に 夏を待つ

同名のコミックを元に作られたアニメ映画。ポスターを見ててっきりロボが犬を飼う話かと思ったら逆だったという… 全編ほぼセリフなしで、そんな一匹と一台の切ない擦れ違いが語られていきます。ハッピーとはいいがたいけど、決してバッドでもない独特の後味が胸に残ります。

自分この監督の作品で残酷版『白雪姫』とも言える『ブランカニエベス』という映画も見たことあるのですが、こちらはそちらに比べると意地悪さはそのままに暖かさを増したような作りになっておりました。

特に「あるある」と思ったのはドッグとダックとのくだり。これでけっこう仲良くなったかな?と思い、実際気まずくなることがあったわけでもないけど、相手の方は…みたいな。ふう。人生はビターですね。

 

☆『クレイブン・ザ・ハンター』

スパイダーマンの出てこないソニーのスパイダーマン・ユニバース最新作にして最終作。ロシアン・マフィアのボンボンに生まれたクレイブン君が野性に目覚めちゃって悪人ハンターになるものの、最愛の弟が抗争に巻き込まれたりド悪人の父との関係に悩んだり…というお話。

自分はぬるい映画ファンなのでSSU6作品、どれも普通に面白かったんですよね。本作品もアーロン・テイラー・ジョンソンが体を張ってアクションをがんばってましたし。でもこの「どれも普通」というのがよくなかったのかもしれない。1、2本くらいは大傑作がないと。それでもダークユニバースに比べれば頑張ったよな…と、クレイヴン父役のラッセル・クロウを見ながら思いました。また10年後くらいにソニーのアメコミ映画総決算…みたいな映画が作られたらクレイヴンやモービウスとも再会できるやもしれません。

 

☆『モアナと伝説の海2』

あの冒険から数年後、外界との接触を探し求め続けてたモアナは、それを阻もうとする邪神から狙われることに。モアナは島の仲間とマウイと共に試練に立ち向かう。

いや、よく出来た続編でしたがもうだいぶ忘れてる… 加齢っていやね… 辛うじて覚えてるいいところは、前作で悪役だったココナッツの妖精みたいなやつがかわいくてがんばっててフィギュアが欲しくなったりとか。あとやっぱり巨大な怪獣とか海が大荒れしてる映像はCGアニメの大家ディズニーだけあって大層な迫力でした。

世界でも日本でもかなり売れたそうで、そんだけ子供たちから評価されてるということなのでしょう。わたしが観てた時近くの席でちびっこが「マウイかっこいいねー!」とはしゃいでいたのがかわいかったです。

 

☆『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』

ソニックの映画シリーズも早くも3作目。長年秘密研究所に囚われていた謎の宇宙生命体シャドウと、我らがソニックチームが対決。それと並行してミスター・ロボトニック親子とロボトニック助手の愛憎劇が繰り広げられていきます。

相変わらずソニックたちはぬいぐるみみたいだし、ロボトニックのギャグがいちいち脱力するほどくだらないのですが、シャドウの悲しい過去と暴走を反省するソニックの姿に泣かされてしまいました。自分の情緒も大概おかしいと思います。

ただモアナにもソニックにも最近のそういう作品全般に言いたいのは、最後に「戦いはこれからだぞ♪」的なエンドロール後のオマケを出すのはいい加減やめましょう。続きがいつ見られるかとか、そもそも無事作られるのかとかわかんないんだからさ!!! ソニックとモアナはけっこうヒットしたようなので大丈夫な気はしますが。

 

次回は『はたらく細胞』『ビー・キーパー』『カルキ』『機動戦士ガンダム ジークアクス』『室町無頼』について書く予定。

 

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February 02, 2025

『べらぼう』を雑に振り返る 1月編

前から期待はしてましたが、始まってみると予想を越えてべらぼうに面白い大河ドラマ『べらぼう』。加えて『風雲児たち』ファンには見逃せないところも色々あり、3年ぶりに大河レビューを再開いたします。果たして完走できるでしょうか。

☆第1回 ありがた山の寒がらす

吉原大火から始まる第1回(吉原はよく燃えたらしい)。彼の地の案内所で働く青年蔦谷重三郎は、かつて世話になった元花魁が困窮の果てに亡くなったことに衝撃を受け、吉原に勢いを取り戻すために知恵を絞る。

恐らく登場時で22才ほどの蔦重。彼は決して長生きした方ではないんですが、さらに幼少時を回想3分で消化するというストロングスタイル。

この回のキーパーソンはやはり時の老中田沼意次。渡辺謙氏が演じているゆえイメージよりややかっこいい感じですが、賄賂も受け取りつつ私欲よりも国益を優先させているやり手の政治家として描かれていました。あと先走った蔦重が親分から喰らった「桶伏せ」の刑が面白かったです。

この回の『風雲児たち』ポイント:明和9年は「迷惑」に通じる

 

☆第2回 吉原細見『嗚呼 御江戸』

吉原に客を呼ぶにはガイドブック「細見」をいいものにすること、と思いついた蔦重は、人気作家平賀源内に序文を書いてもらおうと考える。だが平賀源内はなかなか見つからない。

平賀源内という人間の面白さがとりわけ印象に残る回。正体を隠して蔦重を翻弄するあたり時代劇の『暴れん坊将軍』か『水戸黄門』のよう。男色一筋だった、というのは知りませんでした。かつての恋人を思い目をうるませる姿にはホロリとさせられたり。

1回目から出てる鬼平は池波正太郎版よりちゃらい感じ。ひいきの花魁に気に入られるためにお金をばらまく姿は現代の配信者への「投げ銭」とよく似てます(スパチャって言うの?)

この回の『風雲児たち』ポイント:コマーシャルソングの先駆け「漱石香」の歌

 

☆第3回 千客万来『一目千本』

来客があったため冒頭12分ほど見逃し。江戸城内で権力をめぐる暗闘があったっぽい。

細見は良い出来だったが、いまひとつ吉原への客足が伸びない。文章だけでなく絵を載せたら…と蔦重は思いつく

人気の女郎たちをそれぞれ花に見立てるというアイデアはキャラに属性をあてはめるカードゲームのよう。苦労が多いのにみんなで理想の本を作るのがめちゃくちゃ楽しそうなあたりは同人誌作りのようでした。自分同人誌作ったことないけど。

今の蔦重が必死になってるのは、吉原に客を呼んで食うにもこと欠く女郎たちを食わせること。ただ彼が後世に名を馳せているのは吉原の大店の主としてではなく、写楽や八犬伝を世に送り出した本屋さんとして。自分のやり方に限界を感じ方向転換をすることになるのか?…は見続けてみないとわかりません。

鬼平はお金が尽きたのでいったん退場。名実共に「鬼平」となって再登場か。

 

☆第4回 『雛形若菜』の甘い罠

『一目千本』が大当たりし、ひとまず吉原に活気が戻る。親方衆は次なる一手として錦絵を載せた本を出せば勢いが続くのでは…と考え、その出版を蔦重に丸投げする。

冒頭で忘八の親方衆がなぜかみんな猫を抱えてニャアニャア言ってたりして、何を見せられてるんだ…とは思いましたがかわいかったからよし。そしてこの回では猫が大事な下絵を台無しにしてしまうという猫あるあるな現象も描かれます。ここで発揮されたのが蔦重のサイドキック唐丸のスーパー模写パワー。のちの写楽はこの子で確定でしょうか。

版元になる夢を抱くも組合の掟に阻まれ手柄を横取りされてしまう蔦重。西村まさ彦が西村屋をやってるのはスタッフのギャグでしょうか。

この回の『風雲児たち』ポイント:『放屁論』と『解体新書』。「田安家を絶やすけ」

 

老眼に鞭打ってまた一年がんばろうと思います。

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