2024年11月に観た映画
年の瀬ですなあ… 11月に観た映画のまとめ記事です。
☆『ヴェノム ザ・ラストダンス』
スパイダーマンの出てこないソニーのスパイダーマンユニバース第五作にして、『ヴェノム』シリーズの完結編。シンビオートの創造主であり最大の敵であるヌルが覚醒。その追っ手を振り払うべくヴェノムとエディは東海岸まで旅に出る。
思ったのですが、このシリーズってアメコミの中でもとりわけ藤子不二雄作品に近いところがあります。エディというのはいいおっさんでありながら、いまだにちゃんとした大人になりきれてない男。ファンとしては一人と一匹の愉快な活躍をいつまでも観ていたいところですが、少年が一人前になるためにはいつかはドラえもんなりオバQなりとお別れしなくてはいけないのです。
といいつつも今回の映画のヴェノムはよくできたキャラだったのでお別れはやっぱり寂しいし、このまま退場はもったいない。またそのうち復活してくれることを望みます(そういうことを言ってるからいつまで経っても自分はこどおじなのでしょうか)
☆『十一人の賊軍』
☆『八犬伝』
時代劇を2本まとめて。両者とも2時間半の大作でしたが、あまり長さは気になりませんでした。
前者は幕末の新発田藩で起きたあるエピソードを膨らませ、捨て石とされた身分の低い者たちが決死の作戦に挑む姿を描いた作品。この決死隊の戦いが上り調子の時はまことに観ていて痛快なのですが、後半になると話が「こうなりませんように…」という方へどんどん進んでいきます。
ですので鑑賞直後はやや微妙な気持ちだったのですが、よく考えたらこれわたしの好きな山田風太郎の黄金パターンでございました。権力者のいいように利用された者たちが、最後に人としての誇りを見せて一矢報いて散っていく。そしてあるかなしかの小さな希望を残していく。それを思い出したらなんか「これはこれでいいか」という気分になりました。いい加減なものです。
後者はもとから山田風太郎原作。有名な『八犬伝』のダイジェストと曲亭馬琴の半生がザッピングしながら語られていきます。原典を読むのがハードルが高いのでいまいち全貌を知らなかった『八犬伝』ですが、この映画のおかげで大体どういう話かわかりました。
こちらで山風テイストを感じたのは馬琴を鶴屋南北や渡辺崋山といった、当時の著名人とすれ違わせるあたり。特に「悪」「リアリズム」を重んじる南北との対話にはワクワクドキドキしました。悲惨なニュースばかりで気が滅入るこのご時世に、ニチアサヒーロータイムが存在する意義とは…を問うた作品でもあります。
☆『グラディエイターⅡ 英雄を呼ぶ声』
2000年の名作『グラディエイター』の実に24年ぶりの続編。数奇な運命に弄ばれた前作主人公マキシマスの息子が、父同様剣闘士としてローマに戻ってくるお話。なんというか作中のキャラ達も作り手の心情も本当にみんなマキシマス大好きなのね…ということがビンビン伝わってくる映画。脚本的にはローマ憎しだった主人公がコロッとローマ立て直しに転じたり、ラスボスであるデンゼルワシントンの行動に疑問を感じたりと、ひっかかるところが幾つかあるのですが、あのエンヤみたいな前作の主題曲を流されてしまうと強引に感動させられてしまうというか。適当なものです。
あとやっぱり剣闘士の映画ってなかなかないのであるだけ貴重です。
☆『最後の乗客』
『侍タイムトリッパ―』の好演で注目されてる冨家ノリマサ氏が、やはり異常な状況に巻き込まれて…という内容。世界の映画祭で幾つも賞を取っているということで全編55分というのに固定料金1600円というストロングスタイル(夏の『ルックバック』を思い出します)。果たしてその価値はあるか…と思いながら鑑賞に臨みましたが、料金以上の価値がありました。
このブログ基本感想を書く時はほぼほぼネタバレでやっていますが、この映画に関しては内容には触れないことにします。興味を持たれた方は観る機会が訪れた時にご自分の目で確かめてください。
☆『リトル・ワンダーズ』
最近のアメリカ映画なのにどこか一昔前のヨーロッパ映画のような雰囲気が漂う作品。子供ながら欲しいもののためには手段を選ばない「不死身のワニ団」の3人は、手に入れようとした玉子を先取りした男からそれを奪うことを計画。しかし男はプロの犯罪者集団の一員だった…という物語。ある種の児童文学と言えないこともないですが、とにかく主人公の少年たちの行動が教育的に悪すぎる。ですので児童向けというより、悪ガキの活躍が好きな大人向けの作品です。
年端もいかない子供たちが銃を扱う大人集団を敵に回すのでちょっとだけハラハラするのですが、全体的にゆるいムードなので「そうひどいことにはならんだろう」という安心感がありました。本年度まったりうっかり大賞をさしあげます。
12月の映画感想は年間の漫画ベスト・映画ベストを書いたのちに上げます。
Comments
伍一君☆
仕事納めも済んで一年間お仕事ご苦労様でした。
「グラディエーター2」だけ観てます。
全く同感だわ~マキシマス大好き過ぎと、私もデンゼルワシントンにはちょっと苦言を呈したいけど、皆さん彼をベタ褒めだったのでひかえているところですww
冷静に考えるとちょっとご都合主義なんだけど、圧巻の決闘シーンの連続で、しっかりペースにのまれちゃいました。
Posted by: ノルウェーまだ~む | December 30, 2024 12:08 AM
>ノルウェーまだ~むさん
グラディエイター2はプールのような闘技場もどういう作りなんだ??と疑問を感じましたが面白かったのでよしとします
デンゼルさんはまた『イコライザー』つくられるそうで、まだまだ元気そうでなによりです
Posted by: SGA屋伍一 | December 30, 2024 09:55 PM