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November 24, 2024

2024年10月に観た映画

お、一月前に追いついて来た。今年はなかなか優秀であります。では10月に観た映画の覚書を

 

☆『トランスフォーマー ONE』

最近「宿命のライバルが昔は仲良しだった」という路線が人気なんですが、その先駆け的な作品。長年因縁の対決を繰り返してきたコンボ…じゃなくてオプティマスとメガトロンは元々親友だった!という出だしから始まる本作。ブラック企業から搾取される若者たちの苦労話なあたりはちょい前の『エイリアン ロムルス』ともかぶっております。

CGアニメだったらスルーでいいか…という気分だったわたしを動かしたのは、これが3DIMAXで観られると聞いたので。最近めっきり減りましたよね、3D作品。キャラクターが広大な都市を背景に宙を落下したり縦横無尽に飛び回ったりする映像は大変3Dの大画面にマッチしていて見応え十分でした。悲しいのはその大画面のスクリーンの観客がわたし一人だったということです。

トランスフォーマーと言えばトラックや乗用車といった実際にある地球の乗り物に変形するのが特長。今回は彼らが地球に来る前なので、それっぽい未来メカみたいなのに変形しててごまかしてたのはご愛敬でした

 

☆『憐みの3章』

春にオスカー関連で話題を呼んだ『哀れなるものたち』が記憶に新しいヨルゴス・ランティモス監督最新作。今回もなかなかにぶっとんだ作風で、しかも不条理具合にさらにアクセルがかかっておりました。

それぞれに独立したと思しき三つの物語。ただ同じ役者さんがそれぞれのエピソードで違う役で出てきたりするので、章がおわるごとに頭を切り替えていかねばなりません。で、この3幕がどれも底意地が悪いというか、悪魔的というか、痛々しい話で正直不快感をぬぐえませんでした。でも面白いかつまらないかといえば、ちょっと面白いのが困ったところです。

そんなわけであまり好きなタイプの作品ではないのですが、3編の意外な共通項が明らかになるラストカットだけはなかなか可愛らしくて気に入りました。

 

☆『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

2週連続不穏なジェシー・プレモンス。個性的なアイデアのアート系作品を多く輩出しているA24の最高収益を達成したという作品。恐らく来年のアカデミー候補は間違いないかと(はずれたりして)

独裁者が大統領になってしまったため、壮絶な内戦が勃発してしまったUSA。その最前線をカメラでおさめるべく、現地を旅するジャーナリスト一行が我々の目となります。最初から最後までずっとヒリヒリした緊張感が続くのかと思いきや、のどかな風景と穏やかな楽曲のせいか、意外と心休まる場面も色々ありました。

あらすじだけ読んで今の戦争が絶えない世界への批判的なものでもこめられてるのかな…と予想してましたが、そういう社会風刺よりも、ジャーナリストたちが目的のために徐々に人でなしになっていくような、人間の暗部の方がメインとなっております。この辺やっぱり『エクスマキナ』『MEN』といったやはり意地の悪いアレックス・ガーランドの色が出ておりました。

それにしてもアメリカがこんなファシスト的な国になるかねえ…と思ってた矢先に某氏が大統領に返り咲いてしまったのでたまげました。映画のようになりませんように。

 

☆『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』

アメコミ映画でありながらカンヌを沸かせ、日米ともに大ヒットを記録したあの『ジョーカー』の続編。収監されたジョーカーが運命の恋人に巡り合って再び覚醒。息詰まる法廷劇へと発展していきます。

これが公開されると米国ではめちゃくちゃ評判が悪く売り上げも壊滅的。前作の神がかりぶりはなんだったのか…という評判が聞こえてきました。ところが日本でのみなさんの感想を聞くと「つまらないけど嫌いになれない。むしろ好き」という方がいっぱいいて。こういうこともあるから映画ってやつは面白いですね。

自分は普通に予想のつかないストーリーが面白かったし、ジョーカーが法定で「復活」するところは大興奮でした。ところがそこからストーリーはどんどんカタルシスを否定する方向にすすんでいくのですね。ジョーカー(アーサー)が刑務所も司法もぶっこわして、悪のカリスマとしてさらに凄みをましていく… みんなが見たかったのはそういう話では。でもそれでは前作の「なぞり」でしかなくなってしまう。監督が今回やりたかったのは分不相応な男がカリスマに祭り上げられてしまったら、そのあとどうなるか…という話っだったのだと思います。

観終わったあとなんかむなしい気持ちにはなりましたが、自分もやっぱりこの映画が嫌いになれません。不思議な作品でした。あとレディ・ガガの歌う『クロース・トゥ・ユー』が良かったです。

 

☆『ボルテスV レガシー』

オタクなら誰でも知ってる、一般の人はあんまり知らない、そんな往年のスーパーロボットアニメ『ボルテスV』が、なぜか大ヒットしたフィリピンのスタッフの手によって大体そのまんま実写化されてかえってきました。ただ今回劇場でかかったのは92話に及ぶテレビシリーズの本当に序盤だけなので、壮大なるプロローグだけしか観られなかったりします。

なんせガンダム以前の熱血主人公が中心だったころの作品なので、ムードが全体的に熱(苦し)い。その上フィリピンのお国柄スパイスがふんだんにまぶしてあってさらに熱(苦し)い。この辺多少の耐性が必要かとおもわれます。

一方で最新のCG技術で再現された合体シーン、巨大ロボ戦は本当にいい意味で熱い。なぜ映画館で映画を観るのかと言われれば、それはでかいものをなるべくでかく観るためです。その意味では十分に映画館向きな映画でした。全編劇場でやるのは無理でしょうけど盛り上がる完結編はスクリーンで観たいものです。

 

☆『カミノフデ』

特撮界の造形カリスマ・村瀬継蔵氏が監督を務めている特撮怪獣映画。一般的には夏に公開されたのですが、自分は10月に行われた第7回熱海怪獣映画祭にて鑑賞して来ました。大変残念なことにこの映画祭の少し前に村瀬監督が亡くなられ、この映画が遺作となってしまいました。

とある造形作家の追悼展から始まるストーリーが、図らずも現実とシンクロしてしまったというか、このことを予見していたのか。そんなわけでややしんみりした形で鑑賞することとなってしまいました。怪獣映画と書きましたが、怪獣よりも十代の少年少女の冒険や世代を越えた絆と和解の方がメインかもしれません。

最近めっきりマンホール女優のイメージが強くなってしまった釈由美子さんがやはりマンホールに興味を持っていたり、翌日飛び入り参加された樋口真嗣監督がちょっとぎごちない演技をされてたり、マニア的な視点でくすくす笑えるところがあり。追悼式に不謹慎でもうしわけございませんでしたが、直前に怪獣イラストコンテストの授賞式もあって多くの笑顔に包まれていて、こういう見送り方もいいんじゃないかと思いました。

 

次回は『ヴェノム ザ・ラストダンス』『十一人の賊軍』『八犬伝』『グラディエイターⅡ』『最後の乗客』『リトル・ワンダーズ』『ザ・バイクライダーズ』について書きます。

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November 03, 2024

2024年9月に観た映画

今年も残すところあと2ヶ月… この月は個性の強い邦画をよく観てました。

☆『モンキーマン』

これもいわゆる「なめてたやつが殺人マシンだった」系になるのかな? 理不尽な暴力に翻弄されるだけの役が多かったデヴ・パテルが驚異的な肉体改造を行って壮絶な復讐に挑む作品。これまでの役に鬱憤でもたまってたのでしょうか

この映画独自な点としてはインドが舞台ということで、悪徳宗教がのさばっている社会問題を扱っているとことか。あと復讐のカタルシスよりも潔く散る美しさに重点がおかれてたような。昔の松田優作作品によくあるような。

主人公に重ねられるのはハヌマーンという猿の神様。かつてウルトラ兄弟と共に戦ったこともあるという。で、今年はもう一本ハヌマーンをモチーフにした映画が作られたりしてます。そっちは未鑑賞

 

☆『箱男』

超難解と言われる阿部公房の原作をベテラン鬼才の石井岳龍氏が真正面から映画化。動く郵便ポストのように段ボールをかぶって街を徘徊する「箱男」と、それをめぐる陰謀を描いた作品…でいいのか?

永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市といった名だたる名優がシュールなコントを大真面目に演じているように見えて、当惑したまま約二時間が終了。彼らに比べるとぐっと若いヒロインが体当たりでがんばっていてちょっと心配になったり。調べてみたら仮面ライダーアマゾンズS2のカラスアマゾンちゃんでした… おじさんちょっと衝撃

ラストのオチの「箱男はお前たちだ!!!!」というのはなかなか感心しました。 

 

☆『サユリ』

個性派漫画家押切蓮介氏のホラー映画を、これまた頓狂な作風で知られる白石晃士監督が映画化。自分怖い映画苦手なんですけど、こちらは後半ものすごく痛快でスカっとする!という噂を聞いてオムツをはいて鑑賞に挑みました。

明確な実態がなく、人智を超えた霊に普通の人間がどうやって戦うのか… それは要するに「気合」ということを名優根岸李依さんが見事な太極拳で教えてくれます。主人公の家族に臨む悲劇は本当にひどくてやるせない話なんですが、自然災害等で幸か不幸か自分だけ生き残ってしまった…という例は現実にあるんですよね。勝手ながらそういう方たちが元気に生きてくれればと思いました。

 

☆『エイリアン ロムルス』

お久しぶりねのエイリアンシリーズ最新作。今回は監督さんが熱いエイリアンファンだったということもあり、なるたけ1作目に近いムードで、現在の技術を使ってどこまで出来るか…ということに挑んでる印象でした。ただ2~コヴェナント関係のオマージュもちょこちょこあり、長年のファンにはニヤニヤしちゃうような出来になっています。あと毎度前座ですぐ退場するフェイスハガーへの愛が熱い。どんな生き物にもそれなりに愛好家はいるものですね…

続編を匂わせることなく、「あとは自分で想像して!」とスパっと終わったのは好感がもてました。

 

☆『侍タイムスリッパ―』

公開館2館から始まり、話題が話題を呼んで全国公開が決定。今年有数の話題作のひとつ。幕末の会津藩士が現代の京都映画村にタイムスリップ。時代劇の切られ役として生きていくことを目指す…という作品

ブームの経緯が『カメラを止めるな!』と似ているのですが、あちらのようにどんでん返しがキモの映画ではなく、時代劇への愛を真摯に込めたストレートな作品。クライマックスで「本物の侍がいる…」というセリフがあるのですが、まさに主演のお二人の鬼気迫る演技に感じる観客の気持ちを代弁しております。みなもと太郎の『風雲児たち』ファンとしては主人公が会津藩の部屋住みというあたりがツボでした

 

☆『ラストマイル』

いま人気・実力共に脂がのっておる野木亜紀子氏脚本の人気ドラマ2本が、新作映画で合流する…!というふれこみで話題を呼んだ作品。ただ見てみるとその前作シリーズはあくまで添え物であって、中心となっているのはいかにもア〇ゾンをモデルとした巨大流通産業をモチーフとした1本の独立した映画でありました。いや、本当にサスペンスとして、社会派ドラマとしてよく出来てる。この問題に現代日本に生きる我々も少なからず関係してるわけで、ちゃんと考えるきっかけになるというか。

自分頭悪いのでロッカールームのメッセージとかよくわからなくて、観た後ネットの感想を読み漁って腑に落ちたりしました。そういうちょっと謎を残しておくあたりも大衆映画としては挑戦的。あとイケメン俳優がいっぱい出てる中、さもないおっさん二人組が一番いいとこをもってくのが好きです。

 

次回は『トランスフォーマーNEO』『シビルウォー』『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』『ボルテスV レガシー』『カミノフデ』について書きます。

 

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