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September 22, 2024

2024年7月に観た映画

暦は秋ですがいまだ猛暑がつづいております。猛暑初めの7月に観た映画の記憶をたどってみました

 

☆『ルックバック』

人気漫画家藤本タツキ氏の短編をアニメ化。知ってる話だったのでスルー予定でしたが、評判が良いので気が変わりました。上映時間約一時間なのに、料金は1700円限定というストロングスタイル。金はともかくは尺はこれで正解でした。これ以上伸ばすとシンプルな原作にどんどん余計なものが足されていってしまうので。

アニメになって特に良かったと思えたのは、京本ちゃんのかわいらしくたどたどしい方言。あとラスト机にむかう藤野の背景が時間が経つにしてゆっくり変化していくシーン。あれは映画だからこそ出来る表現では

 

☆『フェラーリ』

フェラーリ創業者エンツォ・フェラーリの、家庭でも仕事でも特に大変だった1957年の出来事を描いた作品。マイケル・マンの作品はイマイチ乗り切れないことが多いのですが、この映画は車を題材にしてるせいかなぜかスッと入り込めました。

この映画の主な題材のひとつとなっているのが、当時人気を博していたミッレミリアという公道レース。自分が知らんだけで今も続いてるのかな?と思っていたらこれが最後の開催だったことがわかります。その歴史に幕が降ろされた理由が、「あ~、これじゃ仕方ねえだろ~」と心から思える凄惨なものでして。事実は小説よりも厳しいな…とひしひしと感じました。

アダム・ドライバーがイタリアの実在の名士を演じ奥さんとゴタゴタするあたりは『ハウス・オブ・グッチ』の姉妹編みたいでした。

 

☆『潜水艦コマンダンテ 誇りある決断』

これまたイタリアの「本当にあった話」を題材にした作品。第二次大戦における潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号と、そのクルーが経験した「ラコニア号事件」を基にしております。

戦争映画というのは大体壮絶で残酷で悲惨なものですが、こちらはのどかなイメージのある製作国のせいか、バトルの合間にゆったりのんびりしたお話が挿入されます。あと敵国の兵でも海で漂流していたらつい助けてしまう…という非情になりきれない人間の一面が描かれています。

観てる内にクルーに感情移入してしまい、どうにか生き延びてほしいな…と思いながら観ていたのですが、この映画が終わった時点でまだまだ大戦の初期ということで、彼らの行く末は想像がついてしまいました。切ねい。あと観終わった後すごくポテトフライが食べたくなります。

 

☆『キングダム 大将軍の帰還』

2019年から続く映画『キングダム』シリーズのひとまずの完結となる作品。2022年からは3年連続で本当にお疲れさまでした。主人公が憧れていた秦の大将軍・王騎の最後の戦いが語られます。

これまた原作に大変忠実に作られていて悪くはなかったのですが、この辺自分が漫画版で特に思い入れがあり感銘を受けたところだったせいか、その時の高揚感にはちと及ばなかったかな…というのが正直な感想です。

そんな自分の印象とは裏腹にシリーズ最大の売上を達成し、現在での日本における実写映画のトップにもなっています。少し前まで実写邦画のドル箱といったらドラマの劇場版か感動ものがほとんどだったのが、ここ5年くらいでアクションものも売れるようになりそれは喜ばしいことではあります。さらなる続編の噂も聞きますけど、山崎君&佐藤監督はこの辺で『キングダム』から開放してあげたいかも(そして今度は『ゴールデンカムイ』に束縛される山崎君)

 

☆『デッドプール&ウルヴァリン』

本年度最も楽しみにしていた作品。2000年より続く映画「X-MEN」シリーズの最終作にして、約一年ぶりのMCU最新作。やはりおったまげるのは「そこからひっぱって来たのか…」といちいち唸らされるカメオ出演の数々。そのほとんどが監督ショーン・レヴィの作品に出ていた方々で、彼の人柄・人脈の広さがうかがえます。あとショーン・レヴィのお笑いって子供向けの品のいいイメージがあったので、「デッドプール」は向かないのでは?と思ってたましたが、そんなことはま~ったくありませんでした。がんばりましたねえ。

この映画の最大の問題点は、一番感動するところがエンドロールだというところ。ついこないだのようにも感じられたあの映画やあの映画の公開から、気が付けば四半世紀経っちゃったんだなあ…と。海よりも深く感傷的になってしまいました。みんな忘れないからね。たぶん。

 

☆『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ』

名匠アレクサンダー・ペイン監督の最新作で、本年度アカデミー賞作品部門候補のひとつ。雪深い街でクリスマスに帰れず寄宿舎に残ることになってしまった問題児と、おもり役を任された変人教師の交流を描いた作品。いい映画にはよくあるパターンに、最初はイライラさせられた登場人物たちが、ストーリーを追ううちにだんだん愛おしく思えてくる、というのがあります。この映画もそうです。

ほぼほぼお笑いムードで進んでいたのに、ほろ苦く転調する終盤。自分が思春期のころ好きだった『いまを生きる』を思い出しました。やっぱりギムナジウムものっていいですね

 

☆『めくらやなぎと眠る女』

村上春樹の幾つかの短編をむりやり一つにまとめた作品。…って『ドライブ・マイ・カー』じゃん! ただしこちらは外国人監督によるアニメ映画です。

主に妻に出ていかれたイケオジの物語と、なぞのカエル人間に「世界を救ってくれ」と迫られるハゲおやじの話が並行して続いていきます。インパクトがあるのはどうしても後者のほうで。村上さんってこんな素っ頓狂な話も書いてたのですねえ。でもカエル君を思って涙するハゲおじさんの姿にはちょっともらい泣きしてしまいました。

「巨大ミミズが災厄をもたらす」というあたり『すずめの戸締り』みたい…と思ったらハルキストの新海監督はこれの原作からアイデアを拝借してたことを後で知りました。同じ原作から派生したアニメでこんだけ仕様に差があるのが面白いですね。

 

次回は『温泉シャーク』『怪盗グルーのミニオン超変身』『インサイド・ヘッド2』『ツイスターズ』『フォールガイ』『ゼーガペインSTA』『モンキーマン』について書きます。

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September 01, 2024

大体2024年6月に観た映画

子どもたちももう夏休みが終わりなころですね… 2か月遅れでだいたい6月に観た映画を記録しておきます。

 

☆『マッドマックス:フュリオサ』

本年度の世界待望の1作…だったはずなのに、蓋をあけてみると「あれ?」というか賛否両論の『マッドマックス』スピンオフ。

予想ほど盛り上がらなかった一因は、マッドマックスって劇中で扱ってる時間がせいぜい数日くらいのスピーディな話だったのが、1人の英雄の半生を描いたために妙にまったりした流れになってしまったせいでしょうか。

それでも『怒りのデスロード』のあの世界の風景がまた観られる、というだけでも一見というか十見の価値はありました。ウォーリグのお尻からアメリカンクラッカーみたいな装備がブンブン出てくるところとかね。本当にああいうのよく思いつきますね。

悪役のディメンタスが演じてるのがクリス・ヘムズワースだったため、妙にキュートで憎みにくかったのには困りました。

 

☆『ボブ・マーリー:ONE DAY』

「レゲエの神様」ボブ・マーリーの伝記映画。彼についてはほとんど知らなかったので半ば勉強のために観にいきました。

そしたらびっくりしたのがボブさんってかなり宗教色強めの方だったということ。曲の中でも「ラスタの神様をたたえよう」みたいなことをバリバリ歌ってらっしゃって。そんな曲が全米を始め世界中でヒットしたというのが謎です。メロディーがキャッチーなら歌詞とかはあんまし関係ないということでしょうか。

ボブさんの功績と並行して困った面(家庭にルーズなあたり)などもけっこう描かれてまして、そういう意味では公平な伝記でした。

 

☆『ドライブアウェイ・ドールズ』

つい『ドライブアウェイ・ガールズ』と書いちゃいそうになりますが、『ドールズ』です。20世紀末(だったか?)、レズビアンの女の子二人(恋人同士ではない)が、事情で遠くの町に荷物を運ぶバイトをすることに。ただその荷物がけっこうヤバげなもので…というストーリー。

数々の映画賞をものにしてきたコーエン兄弟の弟の方の単独作。これがえらく肩の力の抜けた、文芸には程遠い下ネタまみれの珍作でして… まあ疲れてる時などにはこういうのも気分転換でいいかもしれません。

この手の「殺し屋に狙われつつ広いアメリカを旅する映画」、最近だと『モンタナの目撃者』『マークスマン』などがありました。で、そういう話って殺し屋が怖そうであればあるほど緊迫感が増すのですが、この作品の殺し屋コンビはなかなかに間が抜けていて、まったく怖くありません。そんなまったりさ加減がそれはそれで心地よい映画でした。

 

☆『男女残酷物語:サソリ決戦』

1969年、イタリアで作られた幻のカルトムービー。予告で流れていたビビッドでヘンテコな映像にひかれて、ちょっと厚木まで足を伸ばして観てきました。ミソジニーをこじらせた名士が気に入らない女性を支配下に置こうとあれこれやってるうちに、いつの間にか力関係が変わって来て…というストーリー。予想ほどぶっとんだ話ではなく、それなりに筋の通った小気味よいミステリといった感じ。日本の作家で例えると乱歩と星新一を足してわったような。

最近年齢が大台に乗ったせいか、以前より自分が生まれたあたりの年代のお洒落な映像にふらふら心ひかれます。それも鑑賞した理由のひとつ。

 

☆『クワイエット・プレイス DAY1』

「音を立てたら即死」が決めフレーズのホラー映画シリーズ『クワイエット・プレイス』の前日談。前2作を観てないのにいきなり鑑賞しました。

観ようと思った動機のひとつは、「猫がえらく活躍する・かわいい」と聞いたこと。もうひとつは主人公が「末期がんの女性」という設定に興味を持って。普通ホラーの主人公というのはまだまだ生きていきたいから怪物から必死になって逃げるわけじゃないですか。なぜそんなサバイバルモチベーションだだ下がりの設定にしたのか、その辺がどうにも気になって。これがね~ ああ~そういうことだったのか~と観ていて大変腑に落ちました。これは実際に映画を観てご自分で確認してほしいところです。

実に『シックス・センス』以来のしみじみ泣ける感動ホラー。ビビりのわたしが観てもあんまり怖くなかったところもよかったです。

 

☆『イケボーイズ』

これまた本年度屈指の珍作品。オクラホマ州に住む日本のサブカルオタクが留学生の女の子を救うために、世界滅亡を企む秘密結社と戦う…という話。いかにも、といった風で微妙にずれてるロボ?や怪獣の造形が古き良き昭和の郷愁を掻き立てます。

わたしは観たことないんだけど、時々映画館の予告で流れる「幸福の〇学」系の映画ってこんな感じなんだと思います。こちらは宗教色とか全くないですけど。日本からの特別出演である釈由美子さんが相変わらずお綺麗でした。

 

次回は『ルックバック』『フェラーリ』『潜水艦コマンダンテ』『キングダム 大将軍の帰還』『デッドプール&ウルヴァリン』『ホールドオーバーズ』『めくらやなぎと眠る女』について書きます。

あと今年の半分までの記録をつけ終わったので、上半期ベストも記しておきます。

 

①鬼平犯科帳 血闘
②コヴェナント 約束の救出
③アイアンクロー
④デューン砂の惑星PART2
⑤クワイエット・プレイス DAY1
⑥碁盤斬り
⑦マッドマックス フュリオサ
⑧アーガイル
⑨カラオケ行こ!
⑩リンダはチキンが食べたい!
ズゴック賞 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

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