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March 31, 2024

2024年1月に観た映画

またしても3ヶ月ばかり観た映画の感想がたまってしまいました。いつも以上にやっつけで参ります

☆『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』

今年初鑑賞作品。原作は全部読んでおります。令和のこの時代に東西冷戦スパイもののパロディ漫画が子供たちにまで人気を博すとは、いったい誰が予想しえたでしょう。

ただ劇場版の方は普通に楽しみましたけど本当に印象が薄いというか可も不可もない…といった出来栄えで、すでに記憶が薄れかけております。姪っ子二人と楽しんで鑑賞できたのはよかった。上の子はもう中一なのでそろそろおじさんと映画につきあってもらえなくなるかも。

脚本は『コードギアス』や『水星の魔女』などドロドロした人間ドラマが多い大河内一楼氏。こういううっかりちゃっかりした作品も書けるのですね

 

☆『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

今年初洋画。『チャーリーとチョコレート工場』の前日談で、若き日のウォリー・ウォンカがサクセスするまでを描いた作品。ただバートン版は原作にややアレンジを加えているため、あちらとは微妙につながらなかったりします。明らかにウォンカが変人だったバートン版に対してこちらはさわやかな美青年だったりしますし。まあ面白ければよいのです。

大好きな『パディントン』のポール・キング監督ということで観てきました。多少はじけぶりが大人しい気はしましたが楽しませていただきました。最近のヒュー・グラントはどんどんコメディアンになっていってますが、これでさらに芸域が広がった気がします(コメディアンとしての)。あとこの監督はお話の中に主人公が辛酸をなめる「我慢パート」を設けるのが好きですね

 

☆『市子』

今年初実写邦画。プロポーズされて幸せの絶頂だったその直後、突然恋人の前から姿を消したヒロイン「市子」の謎を追うストーリー。「謎を追う」と書きましたが、ミステリー的な面白さよりも「戸籍」というものの有無がもたらす悲劇の方が強調されていて、観終わった後どんよりとしたやるせなさが胸に残りました。

『ちはやふる』3部作で「机くん」を好演した俳優さんが、そのまんまっぽいキャラで出てきてます。これがまた色んな意味で悲しい青年でして。自分に通じるところもあるので鑑賞後彼についてもっとこうできなかったのか…とウダウダ考え続けてしまいました。無償の愛で終われれば一番かっこいいのだけど、払った犠牲が大きければ大きいほどそう簡単にはいかなくなるというか

 

☆『アクアマン/失われた王国』

今年初アメコミ映画。2013年から続いたDC映画ユニバースの最終作となる作品。手練れのジェームズ・ワン監督が撮っているゆえ一定のレベルには達しているのですが、なんかいろいろ不満が感じられてしまいまして。

・前作と比べスケール的に広がったわけでもなく、そんなに目新しい要素もなかった。作中でアーサーも「ロキ」とか言っちゃってたけど既存のあれこれともかぶってたり

・これ前作でも思ったけど地球規模のピンチなのにどうしてジャスティス・リーグの面々は助けに来ないのか。ワン監督がユニバース設定とか嫌いなんでしょうか

・約10年続いた映画シリーズのラストが「〇〇食べて終わり」というのはあまりにもさびしい

あんまり映画の愚痴言うの好きじゃないんですが… いいところはなんかなかったかな… あ、タコは良かった。

ジェームズ・ガン(似ていて紛らわしい)のもとDC映画は一新されるとのことですけど、10年後くらいにこちらのユニバースもパラレルワールドということで再利用されそうな気がします

 

☆『カラオケ行こ!』

和山やま原作の漫画を山下敦弘監督&野木亜紀子脚本で映画化。合唱部の中学生である聡実くんとヤクザの青年狂児の奇妙な友情ストーリー…だとずっと思ってたんですけど、この劇場版や続編の『ファミレス行こ。』を読むと、アレ?これもしかして恋愛ものだったのか?と思えて来たり。堅気の男の子がアウトローの相方にひかれてしまうという粗筋はほんわかした『BANANA FISH』のようでもあります。

原作にないキャラであったやたら面倒くさい聡実君の後輩とか、同級生の映画部の部長とか脇役の子たちもみんなキラキラ?していてよかったです。珍しくコメディエンヌをやってた芳根京子の「ももちゃん先生」も大層かわいらしかったです。

この映画に影響されて先日カラオケで「紅」歌ってきました。1回目でのどが死にました

 

☆『ゴールデンカムイ』

野田サトル原作の人気漫画を映画化…ってこの月、漫画関連の映画ばかり観てるなー 映画化発表当時はブーイングがかなり多かった印象ですが、出来上がったものを見ますと原作の悪の強いキャラたちが非常に見事に再現されていて絶賛ムードに好転。やっぱり映画というのは出来てみないといろいろわからないものですね。

実写になってよかったのは、やはり北海道の雄大な雪景色が持つ圧倒的な説得力でしょうか。あと実写になったことで作品の持つ西部劇感が一層増した気がします。

原作は全部で31巻あるのですが、今回扱ってるのは2巻少々。これ続きどうすんだろ…と思ったらWOWOWのドラマ配信でやっていくそうです。映画の企画も引き続きあるそうなので、ヤマ場だけ劇場でやっていく感じでしょうか。大長編漫画の完全実写化って中途半端な形で終わることが多いので、こういう取り組み方もありかと思います。

 

☆『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

長年生きてたんだか死んでたんだか不明だった『機動戦士ガンダムSEED』の映画化企画が昨年突然復活。めでたく20年越しの実現となりました。いや、めでたい。なつかしの忘れ去られたようなあんなキャラこんなキャラも取りこぼしなくみんな顔を見せてくれて、さながらよく出来た同窓会のようでした。

内容の方はともうしますとTVシリーズはそれなりに戦争と平和について真面目に考えていたと思うんですけど、新作劇場版は(特に後半)ラブ&ピースに走り過ぎてドラッグをキメているような印象でありました。ただこれも脚本を務めていた監督夫人の故・両澤千晶さんへのレクイエムなのだとしたら、ちょっと感慨深いものがあります。

シンエヴァ上映終了時はしみじみとした感動が場内を包んでいたのに対し、今回はまったりとした照れ笑いが占めていたように感じます。そんなところもオタクたちの「同窓会」的なところがありました。

ガンダムって超メジャーでロングセラーなコンテンツでありながら、こと映画となると今ひとつ突き抜けにくいところがあります。しかし今回はガンダム史上最高の売上となる40億以上を達成いたしました。さらなるSEEDの続きが出来てしまいそうで楽しみなような、不安なような

 

次回は『哀れなるものたち』『劇場版仮面ライダー555』『ボーはおそれている』『劇場版ハイキュー!!』『コヴェナント』『マダム・ウェブ』について書きます

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March 03, 2024

2023年12月に観た映画

2024年ももう3月に入ったというのに、いまごろ年末の映画の感想をまとめてみます。今年もこんな感じでダラダラと続くのか、それともとうとう更新が止まるのか…

師走は前半は醜い権力争いの映画を、後半はハートウォーミングな映画を観てました。

☆『首』

実は北野武作品を映画館で観るのは初めて。家でも『アウトレイジ』1作目くらいです。彼の映画ってこうじくじくぐちぐち痛そうな描写が多くて、それでつい敬遠してしまうのですよね。この作品にもやっぱりちらほらありました。ただ残酷には残酷だったけど、意外にもコメディタッチだったので思ったより観やすかったです。時に見苦しく、時にあっけらかんと有名無名の武士たちが片っ端からバタバタ死んでいく流れは仕事明けに疲れた体をひきずって観に行ったせいもあって、どんよりと虚しさがつのりました。

明智光秀の首を前にした秀吉のシーンは大河ドラマ『どうする家康』でもあったのですが、どっちもとても印象的で良かったです。

 

☆『ナポレオン』

リドリー・スコット×ホアキン・フェニックスの『グラディエーター』コンビが送る王道史劇。ナポレオンの波乱過ぎる人生を2時間半で収めるのは厳しかったと思いますが、最初の妻ジョゼフィーヌとのドラマを中心に据えることで良いダイジェストになっておりました。

リドスコはナポレオンを決してかっこよくも肯定的にも描いてはいないのですが、それでもなんとなく親しみを感じてしまうのはホアキンさんのキャラ・演技によるものでしょうか。

この時代戦争の決め手となるのは主に大砲の使い方だったようで。そんな19世紀ごろの戦いを知る上で勉強になりました。

 

☆『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』

魔夜峰央先生の漫画を派手に映像化して大ヒットを飛ばした『翔んで埼玉』の続編。最近漫画の映像化に関して痛ましい事件がありましたが、こちらは二作ともオープニングで魔夜先生が楽しそうに出演してらしたので、お互いにとって良い実写化だったのかな…と。

内容的には前作の埼玉を滋賀に置き換えたくらいの感じで、面白いっちゃ面白いんですけどどうにも二番煎じ的な印象はぬぐえませんでした。『チャーリーとチョコレート工場』のパロディをやったら江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』みたくなってしまったのは強烈でしたが。

『キングダム』3作目に『TOKYO MER』、そして本作品と杏さんは昨年邦画の売上に最も貢献された女優さんだったと思います。

 

☆『窓ぎわのトットちゃん』

黒柳徹子さんの自伝をアニメ化。自分ずっと黒柳さんが仕事がなくて悩む…みたいな話だと思い込んでいたのですが、全然違いました。当初は全く観る気がなかったのですけど、あまりに評判が良かったので鑑賞して参りました。

トットちゃんがトモエ学園で過ごす楽しい日々に、やがて戦争の影がしのびより、彼女の大切なものがひとつ、またひとつと消えていくその様子があまりにも切ない。消えた理由をはっきり描かないあたりがまたしんどいです(駅員さんやお父さん、ペットの犬など)

特にハラハラと泣けたのは戦争と関係ないけど縁日でトットちゃんが買ってもらったひよこのエピソードと、ラストでトットちゃんが立派なお姉さんになって弟(妹?)をあやしてる姿。自由奔放だった彼女まだ子供なのに、厳しい環境のため無理やり大人にさせられてしまったようで、なんだか無性に悲しかったのでした。

 

☆『PERFECT DAYS』

巨匠ティム・ヴェンダースが役所広司を主演に据え、東京でトイレ清掃員として働く男の生きざまを描いた作品。第96回アカデミー賞、国際映画長編部門にノミネートされております。

日々の些細なことに喜びを見出し、様々な趣味を楽しむ主人公・平山の姿は漫画『ハンチョウ』のようで確かに微笑ましく、ちょっと羨ましいなと思います。ただ映画ではトイレの匂いまでは伝わって来ませんし、途中同僚がトンズラしたことからもわかるように実際やったらきつい仕事なんでしょうね。自分も以前体力勝負のルーチンワークをやっていましたが、精神的には楽でしたけどやはり肉体的には厳しかったです。両方とも楽で儲かる仕事があれば一番いいんですけど、世の中そんなに甘くはありません。

ひとつ気になったのは平山さん写真も本も音楽も好きなのに、映像にはほとんど興味なさそうなんですよね。単に好みの問題かもしれませんが、これ映画なんだから映画も少しくらいネタにしてほしかったかも。平山さんのあの部屋にTVが置いてあったらちょっと高尚さが薄れる気もしますが… 映画館は映画館でちょっとお金かかるしね

 

☆『屋根裏のラジャー』

ジブリ亡き?後日本のアニメを盛り上げるべく結成されたスタジオポノック最新作。ただこのスタジオ世間的にいまいち知名度が低く、今作品がコケたら解散となるかも…という状況で放たれた最後の勝負的な1本。けれど去年の暮れは鬼太郎、トットちゃん、スパイファミリーとアニメの傑作・人気作がひしめいていてあまりにもタイミングが悪かった… 当初の予定通り夏に公開されていたらそれはそれで本家『君たちはどう生きるか』とぶつかることになったわけですが。しかしその後の情報によりますとポノックはネットフリックスのサポートが入ったようでひとまず消滅は免れたようです。良かったですね!

で、作品の内容の方はピクサー『インサイドヘッド』を思わせる設定。子供の想像上の友達「イマジナリー」とヒロインの友情が描かれます。美術は申し分ない美麗さで個々のアイデアの独創性、見せ方もとても良かったですが、クライマックスの盛り上げがもう少し欲しかったかな… とはいえスタッフの真摯な姿勢には心から感銘を受けました。

安藤サクラさんの出演作は昨年3本観たのですが、どれも未亡人役だったのはちょっとどうかと思いました。旦那さんの健康を願わずにはいられません。

 

今月もちいと忙しいのですがなんとか1月の感想くらいはまとめたいところ。次回は『スパイファミリー』『ウォンカ』『市子』『アクアマン 失われた王国』『カラオケ行こ!』『ゴールデンカムイ』『ガンダムSEED FREEDOM』について書きます。

 

 

 

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