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December 30, 2023

2023年、この映画がアレだ!

というわけでアレです。ベスト発表に移る前にリバイバル、えこひいき、ワースト各部門から参ります。

 

☆リバイバル賞:『空の大怪獣 ラドン』

今年のリバイバルは『ラドン』『地球防衛軍』『キングコング対ゴジラ』と東宝特撮しか観てないのですが(わかりやすい)、その中で頭一つ抜けて「面白い」と感じられたのが『ラドン』でした。どうですか、東宝さん。ここらで一発『ラドン-1.0』とか…(無茶よ!)

 

☆えこひいき賞:『聖闘士星矢 The Beginning』

「ちょっとアレなんだけど何らかの賞をあげたい」という作品に贈られます。どんなにアレな実写化にも常に全力で挑む新田真剣佑氏。『ワンピース』実写化でようやく評価されておじさんは嬉しいです。

 

☆ワースト:『イノセンツ』

これは映画自体は見応えありましたが、やはり「〇がひどい死に方をする」という時点でダメでした。監督は呪われなさい

 

ではベスト発表に移ります。よさげだった作品をチョイスしていったら大体30本だったので今年はベスト30で。まずは同率25位の作品を6本。

・インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

・雄獅少年/ライオン少年

・グランツーリスモ

・名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

・キリエのうた

・マーベルズ

なんとなく少年少女が過酷な現実に抗うような作品が並んでしまいました(『インディ』は老年ですが)。獅子舞、レース、路上ライブ、スーパーヒーロー… みんなそれぞれがんばってください。

 

続きまして同率19位の作品を6本。

・バビロン

・アントマン&ワスプ クアントマニア

・逆転のトライアングル

・怪物

・窓ぎわのトットちゃん

・PERFECT DAYS

最初の2本はネットで評判イマイチ…というか悪かったですけど、わたしは好きです。安藤サクラ、柄本佑、役所広司、杏各氏の活躍が目立つ年だったなあと。

 

以下ははっきり順位をつけて18~11位まで

☆18位 『かがみの孤城』 厳密には昨年公開作品。ことし最初に観た映画でした。

☆17位 『君たちはどう生きるか』 本当に…どう生きたらいいのでしょう

☆16位 『ザ・クリエイター/創造者』 今調べたらちょっと赤字っぽい。負けるな、ギャレス!

☆15位 『マイ・エレメント』 久々のピクサー大爆発。『インサイド・ヘッド2』も期待していいか?

☆14位 『イニシェリン島の精霊』 指切りげんまんを地で行くような話でしたねえ…

☆13位 『グリッドマンユニバース』 今年のマルチバース映画四天王の、円谷代表。続き期待しとるで

☆12位 『クリード 過去の逆襲』 マイケル・B・ジョーダンのアニメオマージュが炸裂した1本。いつか幕ノ内一歩と戦ってほしい

☆11位 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』 確実に名コメディアンへの道を歩み続けているヒュー・グラント。それでいいのよ!

 

それではいよいよベスト10です。

☆10位 『世界の終わりから』 紀里谷和明監督引退記念。でもいつでも軽率に復帰していいから

☆9位 『イコライザー THE FINAL』 今年度「なめてたおじさんが殺人マシンだった」映画大賞。とりわけ悪役に同情したくなった1本

☆8位 『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』 これまた「ネットでは評判悪かったんだけど俺は好きだぜ!」な1本。シリーズの興行成績最高記録を更新したそうでおめでとうございます。

☆7位 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 いまやってるコミケでは人気が大爆発でコーナーに超長蛇の列が出来てるとか。世の中何が突然ブレイクするかわかりません。

☆6位 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』 今年度MCU大賞。動物の可哀そうな話で感動させようとするのは反則だと思います。国際法で取り締まるべきかと。でもよかった…

☆5位 『ザ・フラッシュ』 今年度DC大賞。内容モロかぶりの『スパイダーバース』と日本公開日までかぶってしまったのは愉快なお祭りでございました。

☆4位 『BLUE GIANT』 今年度アニメ大賞。『どうする家康』に『ゴジラ-1.0』と山田裕貴君の活躍が目立った一年でした。ジャズっていいよね! よくわかってないけど!

☆3位 『シン・仮面ライダー』 荒野を渡る風 ひょうひょうと ひとりゆく ひとりゆく 仮面ライダー 2016年から続いたシン・シリーズもこれで終わりなのでしょうか! イヤ!!

☆2位 『仕掛人・藤枝梅安』(2部作) 江戸を舞台にしたフィルム・ノワールであると同時にご飯がとてもおいしそうというグルメ映画の側面もあるシリーズ。あまり儲からなかったようですが来年連動企画として『鬼平犯科帳』も映画化される模様。大丈夫か!(応援してます!)

 

そして栄えある1位は

『ゴジラ-1.0』

でございます。浜辺美波さんの出演作がベスト3中2作品入ってしまいましたが、べ、別にファンってわけじゃないんだからね!

普通に大好きですし楽しんだ映画ですけど、久々に実写邦画が北米で高く評価されたということも記念して。庵野監督も太鼓判押してましたがなんとか次につながりそうでよかったよかった。

「次は誰の『ゴジラ』がいいですか?」と問われて「次も俺がやる!」と息巻く山崎監督。その意気や良し。ただこの作品の主人公カップルはもうそっとしておいてあげましょう。ゴジラさんも今度こそ空気を読みましょう。

 

上位3作品が全て実写邦画という異例の事態となりました。ストライキやフランチャイズ疲れなどもあったかと思いますが、来年はもっと洋画も頑張りましょう。それではみなさん良いお年を。

 

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December 29, 2023

2023年11月に観た映画

2023年も残すところあと数日。やばいぜ… 悪あがきのように11月に観た映画の寸評を書いてみます。

☆『オオカミの家』

チリ製作のストップモーション・アニメ。かの国でかつて栄えた「コロニア・ディグニダ」というカルト組織をモチーフにしております。この教団に関してはエマ・ワトソン主演の『コロニア』という映画を観ていてちょっとだけ知っておりました。

ホラーの名手アリ・アスターが大絶賛したということで「そんなに怖いのか…」とビクビクもので臨みましたが、トラウマになるほどではなかったです。でもまあ確かに話といいグニャグニャした画風といい趣味は悪い。単に絵的なセンスだけだと『ポプテピピック』内で多くの視聴者を当惑させた「ボブネミミッミ」とちょっと似てます。

この映画は久しぶりに鎌倉方面のパン屋さんと兼用で営業されてるミニシアター「シネコヤ」さんで観ました。席数が限られてるとはいえなかなか盛況だったのでなんか嬉しかったです。

 

☆『ゴジラ-1.0』

すいません、大体ネタバレで… 本年度邦画界における最大の話題作の1本。舞台は初代ゴジラが現れた1954年より数年前。ライバル怪獣も超兵器もなさそげな中、あの怪獣王をどうやって倒すのか…というのが大事なポイントのひとつです。もう一つの重要ポイントは神木隆之介君演じる主人公が特攻隊の生き残りだということ。こないだの『クリエイター』もそうでしたが、やっぱりみんな「誰かが身を犠牲にしてみんなを守る」という話が好きなんですよね。日本だけでなく世界的に。しかしそれを元特攻兵にやらせるのはとてもイヤだな…と思っていたので、一応否定する形で終わったのにとても満足しました。

満足したといえばクライマックスにおいて〇が吹っ飛んだゴジラのビジュアルが見られたのも良かったです。映画館に何故行くかといえば、でかいものがでかく見えるからであります。今回はビッグスターゴジラさんの初めて見るあんな映像、こんな映像がいっぱいあったのでそれだけで大興奮でした。あと決戦における「やったか!」「ダメか…」の繰り返しは3ループくらいがベストですね。それより少ないと物足りないし多いとダレる。この辺は洋画の子たる山崎貴監督の真骨頂でありました。

ただいかにも朝ドラ然とした丁寧な?お芝居、脚本が苦手に思った方も多数おられるようです。自分は朝ドラにも慣れてるからいいけれど、この辺やっぱりどんなに白米(映像)が上級でも、上に納豆をかけられちゃうと拒否反応が出ちゃう人もいるということなんでしょうね。

一方でこの作品、既に米国でも公開され、売り上げも評価も邦画としては近年稀に見る数字をたたき出しています。日本人からするとくどく見えるお芝居も、向こうの方々にはあまり気にならないようで。自分も欧米や韓国の映画観てる時、あまり「おおげさだなあ」とは感じませんしね。むしろ「向こうの人だったらやっぱこれくらい怒るよな」とか思います。

 

☆『キリエのうた』

長年映画ファンを自認している身ではありますが、実は岩井俊二作品初挑戦。岩井ファンに言わせるとこれは彼のキャリアの中でもイレギュラー的な映画だそうで。現役シンガーが主演ということで勝手に流しギタリストロードムービーみたいなものを予想してました。が、だいぶ違いました。ずっと集中して観てられたのですが、何故か体感時間は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』より長く感じました。個人的には主人公二人が砂浜で寝そべってるところで終わった方がいいんじゃないか…と思いましたがまあこれは好みの問題ということで。

ベスト恋愛映画に『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』をあげていた岩井さん。そういえば先のガンダム最新作もシスターフッドの話で主題歌がアイナ・ジ・エンドさんでした。単なる偶然だとは思うのですが

 

☆『マーベルズ』

マーベル・シネマティック・ユニバース最新作。スーパーヒロイン3人組が宇宙をまたにかけて活躍するお話。心身共に人間離れしたキャプテン・マーベルと、彼女に憧れるキャピキャピした女子高生のミズ・マーベル、そしてそんな二人に挟まれて色々苦労するモニカ・ランボーさんという取り合わせが観ていて愉快でした。能力を使うたびに彼女らの座標がという設定も独特でよかったです。

ただこの作品、ディズニープラスのドラマのあれやこれやを観てないと色々脳内補完が必要だったりします。全部観てる自分のような者からすれば「これがあれにつながるのか!」とご褒美が満載なのですが、ライトな映画だけしか観てないファンにとっては「ついていけんわー」となってしまった模様。

今年はアメコミ映画の(主に商売的な面で)衰退が強く感じられた年でした。自分は最後の瞬間までつきあいますけどね… あとドラマ『ミズ・マーベル』はパキスタンのこちらではあまり知られてない歴史をわかりやすく説明してくれるのでおすすめです。

 

☆『スラムドッグズ』

ひどい飼い主に捨てられたワンコが、愉快な仲間たちを得て主人に復讐する話。全編にワンコのモノローグが流れながら進行していくのですが、とにかく下ネタが多い。あと製作にフィル・ロードとクリス・ミラーが入ってるので当然のようにドラッグネタがあります。

もしかしてワンコを捨てた後で人間がその大切さに気付いたりするのかな…と甘っちょろい期待を抱いていましたが、そんなことは全くなく。映画史上最低最悪の飼い主と言っても過言ではないかと。毒親を愛していた子供が自分の思いに踏ん切りをつけて、その呪いから自由にされる話なのかもしれません。そんな毒親を下半身丸出しで熱演してたのはコメディアンでもあるウィル・フォーテ。『ネブラスカ』では親を思う優しい息子を好演していたのに…

あとマギーという雌犬の声を上品そうな女性が声をあてておられました。下ネタの多い脚本だったので大変だったのではなかろうか…と労りの気持ちで日本語版エンドロールを確認したらモデルのマギーさんでした。お疲れさまでした。

 

☆『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

この児童書のようなタイトルに「どうしよっかなー」と鑑賞をためらっていたのですが、観てみてびっくり。「鬼太郎」を題材にしながらも、まるでパルプフィクションのように絶望的かつ美しい友情物語に仕上がっておりました。大沢在昌先生は「ハードボイルドというのは自分にとっては無関係だった二人がつかの間に触れ合い,そして別れていく物語」とおっしゃってましたが、そういう意味では上質のハードボイルドとも言えます。

パルプフィクションといえば戦争の影がまだ色濃く残る時代に、心に傷を負った男が権力者たちのスキャンダルに入り込んでいく…というところも共通しています。ルックスはだいぶ違いますが自身戦争で筆舌に尽くしがたい経験をされた水木先生の人生も「水木」に反映されております。

自分は鬼太郎関連でいうと元祖とも言える『墓場鬼太郎』が好きなのですが、あれはけっこう「水木」が悲惨な役回りなのでこちらを観た後に「墓場」を鑑賞するときついかも。「墓場」は完全なる別ギャグバージョンとして楽しみましょう。

 

12月の記録を年内にまとめるのはあきらめました。明日は2023年の映画ベストを発表いたします。そうできたらいいなあ(弱気)

 

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December 03, 2023

2023年10月に観た映画

暦の上ではディセンバーとなりました。今年の記録、今年のうちに…ということでまず10月に観た映画の覚書です。

 

☆『キングコング対ゴジラ』

1962年公開作品。秋に行われた「熱海怪獣映画祭」にて鑑賞。シリアスなムードだった前2作と比べてややのんきなムードが漂う映画です。たぶん人間たちがゴジラを倒すのをキングコングさんに丸投げしちゃってるのでどこか他人事感があるんでしょうね。割り切って観ればなかなか楽しい作品です。

ゲストに4K版修復を行われた方が来られたのですが、お話によると状態のいいフィルムをあちこちからパズルのようにつなぎあわせ、「これが限界かなあ」というところでまたどこかから欲しかった部分が見つかり… そんなことの繰り返しだったようです。ドラマですね。

企業の新発明が解決の糸口になったり、最後ゴジラが相模湾に沈んでくところは現在公開中の「マイナスワン」へのオマージュかもしれません(可能性薄)。

 

☆『イコライザー THE FINAL』

元秘密工作員のマッコールさんが必殺スキルでボランティアにいそしむシリーズ第3作。今回は舞台が風光明媚なイタリアの漁村となっております。アクション映画なのにあえてカタルシスよりも情緒を優先してるようなところがあり、そこが評価の分かれ目かと。自分はもちろん肯定派です。

 これまでもちょっと怖い所があったマッコールさんですが、今回は正義の味方であることは変わりないもののサイコパス的な部分がだいぶ前面に出てきてびびります。ただそんなマッコールさんを村の人が普通にうけいれちゃうのが心和みます。わたしもこれくらい広い懐を持ちづづけていたいもの。

先の『ジョン・ウィック』シリーズに比べればこちらは「FINAL」とついてるものの一応続編が出来そう。フークア監督によれば「デンゼルがやる気になることがあれば」とのことです。

 

☆『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

マーティン・スコセッシ渾身の3時間30分作品。1920年代、油田の利権がらみで起きたネイティブ・アメリカンの連続殺人事件が題材となっております。予告からネイティブの女性とディカプリオの『ロミオとジュリエット』的な悲恋物語を想像してたのですが、全然違いました。むしろ調子こいた男が犯罪に手を染めてだんだん転落していく、松本清張的なお話であります。そういう暗い話を長時間観ているのは辛くはありましたが、つまらなくはなかったです。自分、この時代のアメリカの風景・風俗が好きなもので。あと尿意も大丈夫でした。

それにしても前作『アイリッシュマン』(配信作品)も長尺だったゆえ「最後まで視聴した人が全体の18%しかいなかった」という結果が出たにも関わらず、全く懲りずに同じ尺の映画をぶっこんで来るスコセッシはさすがだと思いました。引き続きお元気で。

 

☆『ザ・クリエイター/創造者』

ウェットなSFドラマを得意とするギャレス・エドワーズ監督最新作。AIを仲間と信じるアジア系と、人類の敵とみなす北米系の勢力とでいつ果てるともわからぬ戦いが続けられている近未来。その戦いで傷を負った主人公が、AIたちの救世主と呼ばれる存在の捕獲を命じられて…というストーリー。欧米では基本的に人工知能というのは「得体の知れないモンスター」ととらえられてるフシがありますが、アジアではド〇えもんひとつとっても「愉快なお友達」というポジションなんですよね。なぜそのような違いが生じるのか… 一考してみようかと思いましたが面倒くさいのでやめます。

ギャレスさんってこう、その場その場の思い付きでストーリー進めてるんじゃないか?という傾向がありましたが、この作品では伏線とか小道具の使い方が突然うまくなっていて感心しました。あと同時期にシネコンで親子主演の作品がかぶっていた(デンゼルさんが『イコライザー』で、ジョン・デイビッドがこちらで)のは珍しい事例だと思います。

 

☆『SISU/シス 不死身の男』

幸福度の高いフィンランドでロッテントマト満足度98%をたたき出したバイオレンス・アクション。終戦間際の彼の地でナチスに狙われたおじいさんが何度も何度も殺されかけるのですが、これがなぜかどうやっても死なない。超能力とか持ってるわけでもないのに… ある方が『装甲騎兵ボトムズ』のキリコに例えていましたが、まさにそんな感じです。

自分、監督の前作『ビッグゲーム』をたまたま観ていたのですが、あちらは子供が主人公なせいかアクションなのにだいぶソフトな印象でした。その時色々やりたりなかったんでしょうか。今回は人体バラバラがほぼ一時間半切れ目なく続きやりたい放題でした。また前作の主人公の男の子が非常にしょぼい役で出ていてちょっと複雑な気持ちになりました。

 

☆『ドミノ』

ロバート・ロドリゲス監督、ベン・アフレック主演のSFがかったサスペンス作品。予告からとにかくかく「どんでん返し&どんでん返し! あなたは絶対だまされる!」ということが強調されていたのですが、本国での評判が芳しくないあたり、「意表を突く展開を連発したはいいけど着地に失敗した感じかな」と予想しておりました。大体そんな感じでしたw これ、20代の頃の自分だったら「すげえ映画だ! 面白過ぎる!」と驚喜したと思うのです。おっさんになった今では「うん。なかなか面白かったし頑張ったよね」という感じ。おっさんっていやですね。あと何気に今年ベンアフレック3本目でした。

 

次回は11月に観た『ゴジラ-1.0』『オオカミの家』『マーベルズ』『キリエのうた』『鬼太郎誕生』『スラムドッグス』について書きます。

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