2023年6月に観た映画
実に3ヶ月ぶりの更新であります… ああ… では前の続きで6月に観た映画の覚書をば
☆『怪物』
その時によって観たり観なかったりする是枝裕和作品。こちらはなにやらミステリーっぽいということで鑑賞してきました。行きつ戻りつする時間軸。その繰り返しによって当初見えなかったものが見えてきたり、思っていたことが真実とは違っていたり…という構成になっています。絶えず空気が張り詰めているような繊細なムードと、透明感のある少年たちが織り成すドラマは萩尾望都先生の漫画を思い出させました。
ラストは現実だったのか、幻想だったのか、それともあの世だったのか。自分は少年たちの見ていた夢なのでは、と思っていますが。瑛太氏演じる若先生は悪い人じゃないのにあまりにも気の毒。
☆『フリークスアウト』
イタリア映画。サーカスで糊口をしのいでいた超能力者たち4人が、その力に目を付けたナチス高官から追われて、決死の戦いに挑むというお話。ただサーカス団の面々の珍妙さ故か、全体的にのんびりした空気が漂っています。で、監督さんの愛情が特に注がれているな…と感じたのが悪役のナチス将校。残酷なことをたくさんやってるんですが、先天的な不幸や、かなわぬ夢を追い求める姿を悲哀たっぷりに描かれるとついつい同情してしまったりして。おまけにピアノがめちゃくちゃ上手。真の主人公はどう考えてもこの人だと思います。
☆『ザ・フラッシュ』
☆『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
DCとマーベルの人気ヒーローが、自分の大切な人を守るため、平行世界の出来事を塗り替えてしまったために世界の崩壊が始まる…というストーリー。片や実写、片やアニメという違いはありますが、こんなにもかぶりまくってしまった2本が日本では同日公開になってしまったから驚きです。せめてどっちか一週ずらせや…!と思いましたが、今振り返ればこれはこれで滅多にないタフなお祭りでした。
で、共通点は多々あれどそれぞれ導き出した答えは正反対なところも興味深かったり。「家族を救うためなら世界を変えてしまってもかまわない」という結論と、「世界を救うために『家族の死』をあえてそのままにしておく」という答え。自分はどっちもアリだと思います。生ぬるい人間なので。
『ザ・フラッシュ』はヒーロー映画なのにクライマックスがヴィランを倒すのではなく、「お母さんにキチンと別れを告げる」というところに鼻水が垂れました。想像を超えたラストのカメオ出演にも度肝を抜かされました。
『スパイダーバース』は完結編が一応来年公開予定なのでそれから評価を定めたいと思います。最近多いね、こういうパターン…
☆『雄獅少年/ライオン少年』
現代中国を舞台にしたCGアニメ。獅子舞に憧れる少年たちが都会で行われる大会への出場を目指すのですが、その前に多くの困難が立ちはだかります。面白いのが中国における獅子舞という競技の独特さ。獅子の前部と後部、そしてなぜか太鼓係の3人でチームが構成されます。躍動感とリズム感溢れるその描写には思わず息を吞みました。しかし悲しいかなこの競技、それほどに人気を誇るにも関わらずほとんど儲からないようで… 大会の賞金とかないんでしょうか。というわけで彼らの障壁となるのは主に金欠というか貧乏だったりします。世界有数の華やかな都市の影で、食うや食わずの暮らしを続けている出稼ぎ労働者たち。そんな社会の厳しい現実の中で、ライオン少年たちには幸せをつかんで欲しいと願ってやみません。
3ヶ月ぶりなので気合が抜けなければ続けて7月の分もまとめます。
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