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October 29, 2023

2023年8月に観た映画

さよなら夏の日 いつまでも忘れないよ~

というわけで8月に観た映画を思い出していきます。

☆『地球防衛軍』

1957年の東宝作品。「午前10時の映画祭」で観てきました。日本の山村にいつの間にか宇宙人の侵略基地が作られてた…という出だしから始まるこの映画、たぶん東宝なりの『宇宙戦争』みたいなものを作りたかったんだと思います。ただ注目がいってしまうのはそういうSFドラマ的な部分よりも、独特な造形が愛らしい?ロボット怪獣モゲラ。全体的に面白く観ましたがモゲラの出番がもっと多かったらもっとよかった。

クライマックスは富士山麓のドーム状基地を世界各国の兵器が集中攻撃してぶっ壊す…という流れ。『エヴァンゲリオン』の「ヤシマ作戦」ってこの辺が元ネタだったりして。

 

☆『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

日本の玩具から生まれた人気SFシリーズの最新作。また1から設定を刷新したのか、と思い込んでいたのですが、どうもひとつ前の『バンブルビー』とはつながってる模様。

今回の売りはアニメ版の中興の祖とも言える『ビーストウォーズ』の面々が一部参戦していること。他にもロボがアーマー状になって主人公の青年が着こむようなギミックが登場したり、ラストであのシリーズとの関連性が示唆されたりと新要素を色々盛り込んでがんばってました。

でもやっぱりリアルタイムでアニメ版『ビースト』を観てた世代としては、あの声優さんたちの無茶苦茶なアドリブを期待してしまうのです。いや、それを映画でもやらかしたら本国からとっても怒られるであろうことは百も承知なんですが。お目こぼしいただいた?アニメ版声優陣の予告編がまたとっても面白く出来てたし… これはあの当時暴走しまくってた子安さんや千葉繁さんの責任ですね。責任とってください。

 

☆『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』

映画『クレヨンしんちゃん』の最新作。今回は構想を含めると7年もの歳月を有したというフルCG作品。「とべとべ手巻き寿司」に7年もかけるなよなw

で、なぜこの作品がフルCGかと申しますと、恐らくシリーズ屈指の作中作キャラ「カンタムロボ」の質感をリアルに再現するためではと思われます。確かに「カンタムロボ」の存在感・重量感は十二分に反映されておりました。それにしてもこのネーミング、そろそろ某アニメ制作会社から訴えられるのでは…

そんなわけでロボ描写だけでも満足しましたが、今回良かったのはこれがかつて「しんちゃん」が大好きだった青年たちに向けられた作品だったということですね。家庭と社会の不幸ゆえにねじくれまがって青年にも、やさしく手を差し伸べるしんちゃんにおじさんは鼻水が駄々洩れでございました。ネット上の評判とかは決してよくはないのですが、「しんちゃん」映画史上最高の興行収入を達成したとのことでホッとしました。

 

上記3本は同じ日に観たのですがいずれも「地球が未知の力により滅亡の危機を迎える」という内容でした。地球も大変です。

 

☆『リトル・マーメイド』

ディズニー100周年で作られた名作アニメの実写バージョン。夏休みで来ていた姪っ子たちのリクエストで観てきました。上の姪っ子は幼稚園のお遊戯で魔女役をノリノリで演じたことがあるのですが、本当はアリエルがやりたかったことをおじさんは知っています。そんな悲しい思い出を抱えていた姪と一緒に観られて、そして「面白かった」という感想を聞けて大変楽しい一日となりました。個人的にはラスト近くで波間を海坊主のように漂っていたハビエル・バルデムがシュールで笑えました。

 

☆『イノセンツ』

北欧4国の合作による不気味SF映画。ちなみに『イノセント』は1975年のヴィスコンティ作品で『イノセンス』は押井守監督のアニメです。

ある公営集団住宅に家族と越してきた少女。そこで出会った友達は、微かながら超能力を有していた。最初はそれでたわいもない悪戯を楽しんでいた子供たちだったが、次第に一人が暴走していき…というストーリー。

「大友克洋の『童夢』っぽい」という前評判を聞いていたのですが、なるほど、想像以上に『童夢』でした。実際監督もかなり影響を受けているようです。あと愛していた者が突然人格が変わってしまう恐ろしさなど、楳図かずお作品によく見られるモチーフも見られました。まず無理だとは思いますが、コミカライズされることがあれば楳図先生に描いていただきたいです。

前もって「猫が死ぬ」という情報を得ていて覚悟をもって臨んだのですが、やっぱりそこは大変きつかったです。作品は面白く観ましたが、その一点だけで本年度のワーストかも。

 

☆『MEG ザ・モンスターズ2』

5年前公開され好評を博した巨大ザメ映画『MEG ザ・モンスター』の続編。前よりもスケールアップしたぞ!とばかりに今回は巨大ザメMEGが3匹登場、さらには海中から陸上にやってきたヴェロキラプトルみたいな連中と、オオ蛸怪獣まで出てきます。本当にごちそうさまです。

終盤ではこれらの怪獣軍団とステイサム、さらに彼を仇と狙う悪漢がくんずほぐれつのバトルロイヤルを繰り広げます。悪役さんなんかわざわざこれに参戦しなくても、ステイサムが怪獣にやられるのを黙って見てればいいのに…と思うんですが、たぶん怪獣さんたちだけだと不安だったんでしょうね。実際全部敵に回して全部勝っちゃったし… あ。ネタバレごめんなさい。

そんな風に今回も無敵のステイサム。深海で素潜りまでやってのけます。水圧で潰されないのか?とツッコまれると「魚は服なんか黄てない!」とかわします。そんなアホな…と思いましたが確かに長年の疑問ではあるんです。なぜ深海魚は鉄の船でもつぶれてしまう水圧地獄の中でちょろちょろ平気で泳いでいられるのか。詳しい方いたら教えてください。

 

次回は『バービー』『マイ・エレメンツ』『ホーンテッド・マンション』『アステロイド・シティ』『グランツーリスモ』『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』『ジョン・ウィック コンセクエンス』『ミュータント・タートルズ ミュータントパニック!』について書く予定

 

 

 

 

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October 01, 2023

2023年7月に観た映画

というわけで続けて7月もいきます。この月は1本を除いてもっぱらメジャー系の大作映画ばかり観ていました。

☆『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

ハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズ、驚きのカムバック。しかもほぼ若返りCGのない役者さんそのままの年齢で。物語より中の人が大丈夫かハラハラしました(実際怪我したみたいだし)が、無事作品が完成したことを祝したいです。

この映画で感心したのはアイテムとタイムスリップの理屈でしょうか。よくそんなとんでも設定思いつくなあと。でも映画の中ではなんとなく説得力があるように感じられるのです。

終盤のインディの決断で「あ、これで本当にこのシリーズを終わらせるんだな」と思ったのですが、残念ながら博士の意思は強行的に中断させられてしまいました。ちょっとかわいそうな気もしましましたが、あれで良かったんだと思います。作ろうと思えばまた続き作れちゃいそうですけど。

 

☆『君たちはどう生きるか』

宮崎駿、驚愕のカムバック。公開前一切の情報がシャットダウンされ、提示させられたのは鳥人間のような男のイラストのみ。その内容が気になって公開2日目に観てきました。…まあ変な映画でしたね。たださすがは御大と言うべきか変であっても品があります。

特に近いと思ったのは『不思議の国のアリス』でしょうか。あれも不条理で難解なお話ではありますが、一応児童文学としても成立している。だから幼児は厳しいだろうけど児童ならある程度楽しめるかと思います。

宮崎御大が自分の人格を幾つかに分けて複数のキャラに投影してるように見えるのが面白いですね。主人公の少年はもちろんそうだろうし、閉ざされた世界の王のような老人にもその影が見えます。しかし監督が特に自分に近いと言及してるキャラはインコ大王なんだそうで… 謎です。

『千と千尋』が好きな自分にとっては幕切れが似た感じだったのがホッコリしました。

 

☆『ミッション・インポッシブル:デッドレコニングPART ONE』

トム・クルーズ主演のドル箱シリーズ最新作…にして完結編の前編。この映画の難点は予告でトムが崖からバイクごとダイビングするシーンを繰り返し見せられていたために、他がほぼ印象に残らなくなってしまったことですね… ヘイリー・アトウェル演じるほぼ峰不二子のような新ヒロインとか、サブレギュラーの悲しい退場などもありましたけど。

で、この映画のメイキングをIMAXの本編前に流してた時がありまして。スタッフがめちゃくちゃ緊張してる中、無事ダイビングの撮影が終わりみんなホッとしたのもつかの間、トムトムが「よかったけど直したいところがもう一回」とか言い出すわけです。そんなんCGで直せばいいじゃん! いや、出来てもそうしないのがトムトムなんでしょうけど… 後編が完成してシリーズが完結したらトムトムの「無茶アクションに挑みたがり病」も落ち着くのでしょうか。お願いですから無茶はほどほどにして天寿を全うされてください。世界中が心配してます。

 

☆『ヴァチカンのエクソシスト』

スルー予定だったのですが、ネットでの一部の異様な盛り上がりにひかれてビビりながら観に行ってしまいました。一応ホラーものに類する映画なのでしょうけど、エクソシストであるラッセル・クロウが抜群の頼もしさを発揮してたのであまり怖くありませんでした。あー、よかった。このおどろおどろしい現場に飄々と現れてユーモアを振りまいていく姿、石坂浩二演じる金田一耕助と似たものがあります。そう、どんなピンチにおいても忘れてはいけないもの、それはユーモアなのですよね。

もうひとついいなあ、と思ったのは事件の依頼者が解放されたらエクソシストコンビは大急ぎで彼らを逃して、またすぐ悪魔と対峙するのですけど、恐らくこの時お礼を言われてる暇もないのですよ。見返りなど何もないだろうし、せめてお礼くらい…と思います。でも彼らはそんなこと全く気にしてなさそうなのですよね。そんなどこまでも無私の精神を示す仏のような(クリスチャンだけど)師弟コンビに心温まりました。

 

☆『キングダム 運命の炎』

漫画原作の人気シリーズ第3作。今回は秦国の強敵である「趙」との因縁と合戦が描かれます。自分原作を大体読んでるので鑑賞しながら「このペースでいくと、思いっきりキリの悪いところで終わって『続く』となるんじゃないか?」と思っていたのですが、予想的中でした。本当に… 最近そういうの多いよ!! なぜでしょう。年を取るごとにそういうのが嫌いになっていきます。ちなみにこの2つ前に書いた『ミッション・インポッシブル』はそれなり一区切り付けてたしそもそも「PART ONE」となってたので多少は印象が良いです。

おまけに終わってからも次作の予告もなにもない(笑) 最近になってようやく第4作製作の発表がありましたが、あそこで終わっちゃったら本当にシャレになりません。

ともあれ、3作目も興行収入が無事50億を突破したそうで、実写邦画としては貴重なドル箱シリーズとなりました。でもまだまだ先は長いので(そもそも原作がまだ終わってない)どこら辺までやるかが難しいところではあります。

文句をたらたら書きましたが杏さん演じる紫夏のエピソードには鼻水が垂れました。杏さんは『TOKYO MER』もあったし、『翔んで埼玉』続編もたぶんヒットするので今年の邦画界に最も貢献した女優さんとなるでしょう。

 

次回は8月に観た『地球防衛軍』『トランスフォーマー ビースト覚醒』『しん次元 クレヨンしんちゃん』『リトルマーメイド』『イノセンツ』『MEG2』について書きます。いつになるか… 年内には何とか書きたいですね

 

 

 

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2023年6月に観た映画

実に3ヶ月ぶりの更新であります… ああ… では前の続きで6月に観た映画の覚書をば

☆『怪物』

その時によって観たり観なかったりする是枝裕和作品。こちらはなにやらミステリーっぽいということで鑑賞してきました。行きつ戻りつする時間軸。その繰り返しによって当初見えなかったものが見えてきたり、思っていたことが真実とは違っていたり…という構成になっています。絶えず空気が張り詰めているような繊細なムードと、透明感のある少年たちが織り成すドラマは萩尾望都先生の漫画を思い出させました。

ラストは現実だったのか、幻想だったのか、それともあの世だったのか。自分は少年たちの見ていた夢なのでは、と思っていますが。瑛太氏演じる若先生は悪い人じゃないのにあまりにも気の毒。

 

☆『フリークスアウト』

イタリア映画。サーカスで糊口をしのいでいた超能力者たち4人が、その力に目を付けたナチス高官から追われて、決死の戦いに挑むというお話。ただサーカス団の面々の珍妙さ故か、全体的にのんびりした空気が漂っています。で、監督さんの愛情が特に注がれているな…と感じたのが悪役のナチス将校。残酷なことをたくさんやってるんですが、先天的な不幸や、かなわぬ夢を追い求める姿を悲哀たっぷりに描かれるとついつい同情してしまったりして。おまけにピアノがめちゃくちゃ上手。真の主人公はどう考えてもこの人だと思います。

 

☆『ザ・フラッシュ』

☆『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

DCとマーベルの人気ヒーローが、自分の大切な人を守るため、平行世界の出来事を塗り替えてしまったために世界の崩壊が始まる…というストーリー。片や実写、片やアニメという違いはありますが、こんなにもかぶりまくってしまった2本が日本では同日公開になってしまったから驚きです。せめてどっちか一週ずらせや…!と思いましたが、今振り返ればこれはこれで滅多にないタフなお祭りでした。

で、共通点は多々あれどそれぞれ導き出した答えは正反対なところも興味深かったり。「家族を救うためなら世界を変えてしまってもかまわない」という結論と、「世界を救うために『家族の死』をあえてそのままにしておく」という答え。自分はどっちもアリだと思います。生ぬるい人間なので。

『ザ・フラッシュ』はヒーロー映画なのにクライマックスがヴィランを倒すのではなく、「お母さんにキチンと別れを告げる」というところに鼻水が垂れました。想像を超えたラストのカメオ出演にも度肝を抜かされました。

『スパイダーバース』は完結編が一応来年公開予定なのでそれから評価を定めたいと思います。最近多いね、こういうパターン…

 

☆『雄獅少年/ライオン少年』

現代中国を舞台にしたCGアニメ。獅子舞に憧れる少年たちが都会で行われる大会への出場を目指すのですが、その前に多くの困難が立ちはだかります。面白いのが中国における獅子舞という競技の独特さ。獅子の前部と後部、そしてなぜか太鼓係の3人でチームが構成されます。躍動感とリズム感溢れるその描写には思わず息を吞みました。しかし悲しいかなこの競技、それほどに人気を誇るにも関わらずほとんど儲からないようで… 大会の賞金とかないんでしょうか。というわけで彼らの障壁となるのは主に金欠というか貧乏だったりします。世界有数の華やかな都市の影で、食うや食わずの暮らしを続けている出稼ぎ労働者たち。そんな社会の厳しい現実の中で、ライオン少年たちには幸せをつかんで欲しいと願ってやみません。

 

3ヶ月ぶりなので気合が抜けなければ続けて7月の分もまとめます。

 

 

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