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May 28, 2023

2023年4月に観た映画を振り返る

近年まれに見る更新スピードです。がんばれ俺

☆『逆転のトライアングル』

第75回カンヌ映画祭において最高賞のパルムドールに輝いた作品…の割に、わかりやすく所々お下品。一組のカップルのバカンス旅行を通じて格差社会の問題を描いている…わけではないか。突発的なアクシデントにより立場が「逆転」してしまった人たちの、「運命の皮肉」が主なテーマかと。

「三角形」と呼応してるのか、三幕構成となっております。一幕目は知らん美形カップルの痴話げんかに巻き込まれてるようであまり面白くないのですが、二幕目で舞台が豪華客船に移ると「趣味悪いなあ」と思いつつそのアナーキーな展開に楽しませてもらいました。お下劣な『タイタニック』のようでした。三幕目に入っても面白さは持続しますが、こちらは同時に物寂しくなったり、緊張感溢れる人間関係にハラハラしたり。

セレブモデルのヤヤ役の女優さんはこの出演後ほどなくして不慮の病で亡くなったそうで。そんなところにも運命の皮肉を感じます。

 

☆『仕掛人・藤枝梅安 弐』

2月に1作目が公開された『藤枝梅安』二部作の第二弾。前作はずっと江戸が舞台でしたが、こちらは半ば過ぎまで京までの旅物語となっております。またそこはかとない慰めが感じられた1作目と比べると、こちらは無常感が強調されていて観終わった後ひしひしと虚しさが押し寄せてきました。「梅安」はハードボイルドでもヒーローものでもなく、ノワールなんだなあ…ということを改めて感じ入りました。

そんなニヒルなムードの癒しとなるのが、梅安を世話する近所のおばさん役の高畑淳子さん。彼女が出るとものすごくホッとします。高畑さんのベストアクトと言ってもいいかと。あとクライマックスの「卵かけごはん」VS「醤油焼きおにぎり」の息詰まる対決。ある著名料理家は料理対決の時塩むすびで挑んだそうですが、究極のグルメというのは限りなくシンプルになっていくものなのかも。

死への願望を抱きつつもギリギリのところで生を選んでしまう梅安さん。そういうところは「いいことをしながら悪いことをする」池波正太郎の矛盾した人間観をうかがわせます。

 

☆『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』

「梅安」と同じ日に観ました。図らずもアウトローつながり。長年親しまれてるテーブルトークのRPGを原作としたファンタジー映画。ぱっと見世界観やガジェットはそんなに目新しくないのですが、陽気で能天気なキャラクターたちと、魔法のアイテムの使い方・見せ方でべら棒に面白い映画となっていました。難点をあげると観てる間の面白さに全力を注いだため、観終わったあとほとんど残るものがないということ。まあたまにはこういう映画も必要です。

出番があまりないキャラがTwitter上で大人気というのも面白い点。最初はセクシーさが駄々洩れしてるパラディンさんがぶっちぎりだったのですが、さらに登場時間が少ない「ジャーナサン」という鳥人間の人気がだんだん肉薄しつつあります。謎です。

 

☆『AIR』

ベン・アフレック久々の監督作。盟友マット・デイモンを主演に据えて、NBAの伝説的プレイヤー、マイケル・ジョーダンとナイキが契約を結ぶまでの苦労を描いた「実話を基にした」作品。サスペンスやアクションばかり撮っていたベンアフですが、こちらは血が一滴もも流れない、平和でほっこりする映画となっております。

OPから矢継ぎ早に繰り出される80年代の音楽・風俗に懐かしさで死にそうになりました。ここで「この頃はよかったな…」とか感じてしまうと老人の仲間入りを果たすことになってしまいます。危ないところでした。あとスポーツ用品の製造会社にとっては、有名プレイヤーと契約を結ぶことが社運を左右するほどの一大事になるのですねえ。

Amazon製作のせいか1か月ほど公開した後間髪入れずにすぐAmazonプライムビデオで配信が始まりました。これからはこういう例も増えていくのですかね。

 

☆『聖闘士星矢 The Beginning』

80年代人気を博した少年漫画『聖闘士星矢』をハリウッドが実写化!…したはいいのですが、興行的には近年まれに見る爆死作品となってしまいました。何がいけなかったのでしょう。

個人的にはそれほど悪くなかったと思うのです。監督の原作愛も伝わって来るし、誠実に作られてます。ただ、アクション大作というのは「悪くない」だけでは良くないのです。巨額の製作費を回収できなくなってしまうので。

副題からわかるように何部作かに分けて、少しずつキャラを増やしていく予定だったのでしょうか。しかし『星矢』の魅力ってカラフルなキャラが勢ぞろいするところにあると思うのです。メンバーを出し惜しみした結果画面が地味になってしまったのが敗因かなあ…

ファムケ・ヤンセンやニック・スタールといった久しぶりに見る俳優さんたちが元気そうにしてたのは良かったんですが。

 

次回は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』『スーパーマリオブラザーズ』『TAR』『世界の終わりから』『ワイルドスピード ファイヤーブースト』『65』『クリード 過去の逆襲』あたりの感想を書きます。

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