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May 21, 2023

2023年3月に観た映画を振り返る

というわけで続けざまに3月に観た映画のまとめ記事です。アカデミー賞の時期でした。

☆『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

昨今流行りの「マルチバース」を題材にした1本。死体がおならをひりまくる『スイス・アーミーマン』の監督コンビがこの映画で作品・監督部門を含む7部門を受賞するようになるとは… 世の中本当にわからないものです。

正直自分この映画ぶっとびすぎててちゃんと理解できてるか怪しいのですが、そんなにむずかしく考えるようなものでもないのかも。とりあえず劇中で市井の主婦から世界の映画スターまで違和感なく演じてるのはさすがのミシェル・ヨー様でした。

以下好きだったポイントを列挙すると「セクシーコマンドーの映像化」「『レミーの美味しいレストラン』リスペクト(そしてアライグマが無事だった)」「岩の会話」「相手を幸せにして戦意をなくさせる攻撃」などです。

 

☆『フェイブルマンズ』

これまたアカデミー賞関連作品。スピルバーグ監督の自伝的内容で、監督が幼少期に影響を受けた映画が次から次へと登場するのかな…と予想してたのですが、主題となってるのはどちらかというと彼の両親の複雑な事情だったり。

スピルバーグと思しきサミー少年の両親には共通のベニーという気さくな友人がいるのですが、3人が3人ともお互いのことがすごく好きなために、「結婚できるのはうち二人だけ」という現実がのしかかってきてしまうのです。この辺ちょっと『タッチ』を思い出させます。

一度彼らと離れることに同意したベニーおじさん(演セス・ローゲン)が、サミーに押し付けるように高いカメラをプレゼントするシーンが好きです。

 

☆『シン・仮面ライダー』

今年最も待望していた1本。これに関してはひとつの記事で書きたかった気もするけどいかんせん映画の感想をため過ぎた…

現代を舞台にしてるのにまるで70年代のようなムード。一言でいうと、これ(東西冷戦のころを意識した)スパイものですよね。社会の影で人知れず戦い、人知れず散っていくエージェントたち。そんな名もなき彼ら彼女らにも人並みに人の温もりを欲する気持ちがあり。ラストに敵のアジトに乗り込んでいくのは007の名残かも。石ノ森先生には『009ノ1』というスパイ漫画もありますが。

そんな感じで映画全体を覆う寂寥感や荒漠としたムードや、わずかながら差し込まれるホッとするようなシーンが好みでした。『仮面ライダー』は漫画版とTV版でけっこうかけ離れた要素があり、今回はなんとかそれを融合できないだろうか…という意図があったように思います。結果として漫画版6:TV版4くらいの配合だったかと。すべて綺麗に混ぜ合わさったわけではありませんでしたが、そうした歪さもまた「シン・シリーズ」の特色だと思います。

 

☆『シャザム! 神々の怒り』

新体制への移行が決まったDCユニバース。今年はその前に決まった作品を消化すべく実に4本の公開が予定されてます(出来んのか…)が、第一弾がこの作品。姿は大人、心は子供のシャザムを主人公とした映画の続編となります。アメコミ版『ハリー・ポッター』のようなところもあるこのシリーズ、とりあえず子供たちがでかくなりすぎる前にもう一本撮れたのはよかったですよね。あと先の『アントマン』や『エブエブ』もそうですけど、映画にもかっこいいアクションを決めるおばあさんが増えたなあ…と感じました。

昨年末の『ブラックアダム』と深い関わりのあるキャラだけにそちらへの言及とかあるかな…と楽しみにしてたら何もなかったのは残念。逆にラスト付近での予想外のカメオ出演には素直にびっくり。またお茶らけが続く中で、ビリーと家族たちの絆が描かれるくだりにはホロリと来ました。もういい年なのでこういうのがあるのと条件反射的に涙腺に来てしまうんです。やめてください。

 

☆『グリッドマンユニバース』

TVアニメシリーズ『SSSS.グリッドマン』と『SSSS.ダイナゼノン』がとうとうクロスオーバーを果たした劇場オリジナル作品。これに関しては主題歌「ユニバース」が素晴らしすぎて… これだけ観てくれれば自分の野暮な感想などいらないかと思います。https://www.youtube.com/watch?v=m4vjI6InDJM

『ダイナゼノン』ラストで切ないお別れをしたガウマさんが超あっさり復活したのはアレですが良しとします。監督さんによりますと「初日3日間の興行で今後の続行が決まる」とのことでしたが、結局どうだったのだろう… もしあるとすれば次は原点である『電光超人グリッドマン』にもっと踏み込んだ話が観たいです。

 

☆『ベネデッタ』

エログロの巨匠?ポール・パーホーベンの新作。イタリアに実在した「キリストを見た」という修道女の騒動を描いた作品。戒律でがんじがらめのはずの身が、こっそり隠れて背徳的なことをしてる…というストーリーはヴァン・サン・カッセルのマイナーな映画『モンク 破戒僧』を思い出したり。どう考えても破滅にしか向かわなそうな暗いお話なのに、時折なぜかクスっと笑ってしまいそうなところがあるのは「これこれ、パーホーベンだよね」という感じでした。あと予想に反してそこまでバッドエンドでもなかったような…?

 

☆『アラビアンナイト 三千年の願い』

『マッドマックス 怒りのデスロード』から8年。ジョージ・ミラー待望の新作…のはずが話題も規模もこぢんまりしたような? それはそれとして現代のおとぎ話としてはまあそこそこ面白かったです。もうだいぶいい年のはずなのにティルダ・スィントンさんも相変わらずの美しさでしたし。ベネデッタ』と「バイオレンスな作風で人気を得た監督が老いて撮った、メロメロな愛の物語(でもちょっと変)」という点で共通してました。まあ無味乾燥な毎日を送ってますとたまにはいいですよね。メロメロな話

 

なんとか3月分まで書けました。次は一ヶ月以内に4月に観た映画…『逆転のトライアングル』『仕掛人・藤枝梅安 弐』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』『AIR』『聖闘士星矢』の感想を書ければと思います。

 

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