2023年1月に観た映画を振り返る
ようやく今年最初の映画まとめ記事であります。
☆『空の大怪獣ラドン』
本当は昨年に「午前十時の映画祭」で観ました。近年リバイバルで『ゴジラ(1954)』『モスラ(1961)』も鑑賞しましたが、その中ではこの作品が一番面白かったように思えます。ミステリーのような導入部、今は失われた炭鉱の風景、メガヌロンのホラー的な描写、そしてラドンの大暴れ…などなど楽しめる要素が色々詰まってまして。まだ先の話ですが今年の年末は『地球防衛軍』をかけるようでこれまた楽しみです。
☆『かがみの孤城』
『オトナ帝国』の原恵一監督最新作。前作『ハッピバースデー・ワンダーランド』が氏にしてはかなりファンタジー要素の強い作品で、いまいちその持ち味が感じられなかったのに対し、今回はしんどい現実に立ち向かわざるを得ない子供たちの姿にその本領を見ました。というわけでけっこう見ていて辛い・切ないところもありますけれど、最後には爽やかな後味を残してくれるところも原テイストでした。
ストーリー上のある「仕掛け」に関しては私にしては割と早々に気づきました。ただこれは自分が鋭いというよりは少し前に同じ発想のアニメを見ていたから。
☆『仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』
良かった点…『龍騎』関連はみな良かったです。
悪かった点…ラスト付近、一輝が願いをかなえられる場面で「何もないよ」と微笑んで言うところ。そこはバイスの復活を願ってあげるべきではないのか…
☆『ケイコ 目を澄ませて』
耳の聞こえない女子プロボクサー・ケイコと彼女を支える人々の物語。ただスポ根的ムードはなく、主人公が属するジムの閉鎖がストーリー上最も大きなヤマ場であったりします。現在の都会を舞台にした作品であるのに、出てくる風景がいちいち郷愁を誘うような懐かしさに溢れています。あと彼女が会長と行うミット打ちの「バシュ!」という音がとても心地良いのですが、それも本当は彼女の耳には届いていないわけで。
最後の試合はどうしてこんな風にもってったんだろ…と思いましたが、これ、一応実話を下敷きにした作品だったのですね。現実の結果に倣ったというとこでしょうか。
☆『ノースマン 導かれし復讐者』
西暦9世紀の北欧が舞台。叔父に父を殺され、母を奪われた男の復讐譚。『ハムレット』の原型となった「アムレート」という人物の叙事詩を元にしてるそうです。
復讐ものには2通りあります。復讐が遂げられてスカっとする話と、復讐の陰惨さにゲンナリする話です。こちらはどっちかというと後者。ラスボスのおじさんがあまり強くなさそうなところからもそれはうかがえます。ただそんなカタルシスの乏しそうなお話ではありましたが、ストーリー自体は意外にも面白く観ることが出来ました。これまで「脇の人」という印象が強かったアレクサンダー・スカルスガルドさんは、これで堂々たる主演の「代表作」をゲットできたのでは。
☆『エンドロールのつづき』
インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』。いつものインド映画と雰囲気が少々違うな…と思ったらフランスとの合作でした。
主人公の少年のものすごい行動力にとにかく圧倒されます。映画を自分で上映したい…という目的のために平気で盗みまでしたりして、悪い方向に進んだら犯罪組織のボスにまで上りつめてしまうのでは…と心配になりました。
劇中に登場するお母さんのお弁当が肉とかあまり入ってなくてほぼ香辛料と野菜が主体なのですが、それでもすごくおいしそうで、晩御飯を後回しにしたお腹には少々堪えました。
☆『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』
少し前リバイバルがあった『HEAVEN AND EARTH』の直後の物語。つまり『蒼穹のファフナー』シリーズの中で最も平和だったころのお話。その後のエピソードで散ったキャラ達もまだ元気な姿を見せていて、戦闘シーンはなく、よってロボの出番もほぼないのですが、ファンの満足度はめちゃくちゃ高いという不思議な作品。もうこれが真の完結編ということにして、『EXODUS』以降はなかったことにしませんか… 真壁指令の中の人のつぶやきによると、竜宮島のモデルはやっぱり尾道みたいですね。そんなわけで尾道観光の疑似体験もできる一本
☆『イニシェリン島の精霊』
『スリー・ビルボード』監督による今年のアカデミー賞作品部門候補の1本。前日まで仲良くしていた友人から突然絶縁を迫られた男が、狭い島の中で悩みまくるというお話。ほかの映画でアクの強い役を多く演じているコリン・ファレルが「退屈極まりない男」を演じているのが無理があるんですけど、まあそれは置いといて交友関係・対人関係において色々勉強になるお話です。できるだけ他の人を楽しませたい・面白いやつだと思われたい…という願望は誰にでもあると思うのですが、これがなかなか難しいのですよね… あとリアルではあまりないけれど、ネットではいきなりバサッと縁を切られてしまうというのは時々あること。あれはこちらでは唐突に感じられるけど、向こうにしてみれば積もり積もった「こいつうざいな」メーターがとうとう極に達したということなのかもしれません。
最後の方すごい状態になってしまったコリンの友人と、平然と学生さんたちがセッションしてるのは明らかに無理があると思いました。
次回は『仕掛け人 藤枝梅安』『鬼滅の刃 ワールドツアー』『バビロン』『アントマン&ワスプ クアントマニア』『BLUE GIANT』についてちょっとずつ書きます。
Comments
「ラドン」
ラドンは怪獣として無駄にシンプルだから、単体になるくらいしかクローズアップがかからない。複数の怪獣が出る時でも添え物扱いでメイン張ったりしない。不憫だよなあ。ジラースみたいに襟巻を付けてみるか。高速で飛べないよ。
Posted by: ふじき78 | June 28, 2023 12:46 AM
「ガラスの孤城」
原恵一監督もすっかりこういう辛い話が主戦場になったけど、しんちゃんのオトナ帝国より前とか、もっと娯楽娯楽してたのだから、そっちはダメなのかしら? 作らせてもらえなさそうだなあ。
Posted by: かがみの孤城 | June 28, 2023 12:57 AM
「ノースマン」
サウスマン、ウェストマン、イーストマンを連れてこい。
Posted by: ふじき78 | June 28, 2023 01:38 AM
>ふじき78さん
すいません、3ヶ月ぶりの返信です…
ネプチューンのネタで「センターマン」てのはありました
Posted by: SGA屋伍一 | October 01, 2023 04:37 PM
>かがみの孤城さん
恐らくこちらもふじきさんですよね…
宮崎さんもそうだけど年を取るごとに単純で痛快なエンターテインメントって作りにくくなっていくのかな
Posted by: SGA屋伍一 | October 01, 2023 04:39 PM
>ふじき78さん
あ、もうひとつあった。ラドンはやっぱり温泉のゆるキャラとして売り出していくのが人気回復のきっかけかと
Posted by: SGA屋伍一 | October 01, 2023 04:40 PM