『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑫ やっとこ12月編
すでに『どうする家康』が始まって一月以上。いまさら感が半端ないですが、マイBEST大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の感想を〆とうございます。
第45回「八幡宮の階段」
雪の中行われた実朝の右大臣拝賀式。階段を下りていく彼を物陰から狙う公暁。目の前で今まさに将軍暗殺が実行されようとしていることを知りながら、しかしそれを止めようとはしない義時。そして運命の時が訪れた。
ある意味『鎌倉殿』の真のクライマックスとも言える回。頼朝の血筋が絶え、名実ともに北条が武家社会の頂点に立つことになります。刀を下げた公暁を前に、あえて逆らわず命を投げ出す実朝。血を血で洗い生き馬の目を抜く鎌倉にあって、彼は勝ち残るにはあまりに優しすぎたのでしょう。実朝登場からこの回が来るまで毎週が本当にしんどかったですが、シリーズ最大の悲劇が終わってなんだかホッとしてしまったのも事実です。
一方で素っ頓狂な散り際を見せてくれた源仲章氏。やけくそに「寒いんだよおお!!」とがなる姿はジーパン刑事の最後を彷彿とさせました。
こんなに大事な回なのにワールドカップの日本ーコスタリカ戦と重なってしまったために視聴率が最低だったというのもまた悲劇でした。
終わりに登場する運慶×義時の会話も印象深かったです。「お前は俗物だ。だからお前の作るものは人の心を打つ」
この回の重要なアイテム:血で読めなくなった公暁の弾劾文とポイ捨てされた実朝の小太刀
第46回「将軍になった女」
1219年。鎌倉では次なる暗闘が始まっていた。自分の息子阿野時元を次の将軍に据えようとした実衣だったが、その陰謀はもろくも崩れ去る。絶体絶命の彼女を救うべく立ち上がったのは子供をすべて失い悲嘆に暮れていた政子だった。
『鎌倉殿』最終章の開幕にしていわゆる「尼将軍」誕生の回。政子のことを「稀代の悪女」と評する向きもあるようですが、1人でも十分つらいのに4人もの子供に先立たれた心情を思えばあまりに気の毒でありません。そしてどん底から妹を助けるためもう一度立ち上がるその姿が凛々しくもやはり悲しい。「田舎の行き遅れが」と連呼されてたのもちょっと悲しく、少し笑えました。
実衣の方はなんというか自業自得だし懲りないしであまり同情できないのですが、耳たぶひとつ切られず無事で済んだのはまあよかったですね。
この回の重要アイテム:無事だったミイさんの鼻と耳たぶ
第47回「ある朝敵、ある演説」
1221年。鎌倉で最高権力者となった義時に、ついに後鳥羽上皇が刃を向ける。彼一人を引き渡せば兵は出さないと諸将に文を送る上皇。幕府を守るため自ら朝廷に身柄を預けようとする義時だったが、姉はそんな彼を見捨てなかった。
義時と言う人も本当に不思議な人で、ここに至るまでに権力欲にとりつかれたマックロクロスケのような男になり果ててしまいましたが、彼の欲って金とかスケベ心とかにはいかないんですよね。あくまで主導権を握ることだけに邁進し続け、他に熱心に取り組んでることといえば仏像や寺を作ることくらい。ある意味めちゃくちゃストイックな男とも言えます。そんな彼だからこそ鎌倉(そして息子)を救うためには迷いなく命を投げ出します。「あの親子はぶつかり合うほどに絆を強くしていく」というのえさんの評、聞いてる方は微笑ましいんですけど、彼女にとってはねたましくてしかたなかったのでしょうね。
『東京リベンジャーズ』の如く坂東武者に「ひよってるやつはいるかああ!!」とぶちかます政子。非道をつくしてきた自分でさえまだかばってくれる人たちがいる… 涙する義時の姿にちょっぴり白味が戻ったラストでした。
この回の重要なアイテム:「記念にほしい」とトキューサに言わせた上皇様のお手紙
第48回「報いの時」
そして始まる承久の乱。尼将軍パワーに奮い立たされた坂東武者に雅な京の侍たちはなすすべもなく、戦いは短期間のうちに幕を閉じた。これで今度こそ歯向かうものは誰もなくなった北条義時であったが、死は意外なところから忍び寄っていた。
「アガサ・クリスティの作品からヒントを得た」と三谷さんが言っていたラストシーン(結局どの作品だったの?)。小栗さんも小池さんも特番で「すげえすげえ」と興奮していたその終幕はどんなものだったのだろう…と固唾を飲んで見守っておりましたが、予想を上回る衝撃に打ちのめされました。ちなみにこの放送時間、自分は某宅で忘年会に呼ばれていて、酒盛りに一人背を向けてTVに見入っておりました。
前回助けてくれた姉にとどめをさされてしまう義時があまりにやるせない。でもあれは復讐や処刑ではなく、永くない弟にこれ以上罪を重ねさせないための処置だったのでは。思わず駆け寄ってしまうところとか、「もっと似てる人がいるわ」という言葉からそれを感じますし、宮沢りえさんも全く同じ意見だったのに慰められました。
もう少し余韻とか残された人たちの反応とか見たかったところですが、あそこでバサッと終わるのがやはり美しいのかも。脳内を「ゴッドファーザー 愛のテーマ」がただただ流れていきました。
この回の重要なアイテム:書き上げられた御成敗式目・毒(キノコ由来?)
最後こそ遅れましたが無事全話感想書き上げられてホッと一息です。ただ「13」が強調されたドラマだったので、あともう一回くらいなんか書きたいですねえ(挫折する可能性高し)
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