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December 27, 2022

2022 年12月に観た映画

今月は後『ラドン』の4Kリバイバルを観る予定なのですが、とりあえずここで締めます。

☆『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

そのまんまですね。ギレルモさんがストップモーションアニメで表現した「ピノッキオ」。ネットフリックス製作ですが、幸い近くの映画館でもちょっとだけかけてくれました。ピノキオといえば去年の生々しく、原作に忠実な実写版が記憶に新しいところ。デルトロさんが差別化を意識されたのかはわかりませんが、今回はかなり独自のアレンジが効いておりました。戦時下のイタリアが舞台となっているので、戦争の悲しさや恐ろしさが強く伝わってくる内容となっております。キュートでコミカルなところもたくさんありますけどね。

思えばギレルモ氏が純粋に子供向けの映画を手がけたのはこれが初めてかも。観客に「あとはご自分で想像してください」と委ねるような結末は『パンズラ・ビリンス』や『シェイプ・オブ・ウォーター』を思い出しました。

 

☆『ブラック・アダム』

揺れ動き続ける(笑)DC映画ユニバース最新作。ブラック・アダムさんといえば『シャザム!』の名悪役の一人なのですが、今回はビリー君ちとは関係なく映画化。代わりにホークマンやドクターフェイトといったコミックでは古参なのにいまいちメジャーになりきれないヒーローたちがチーム「JSA」を組んで登場してきてたのしゅうございました。特にドクターフェイトのデザインはもろ好みでフィギュアが欲しくなります。

印象に残ったのはJSAが「ヒーローとかいう割に中東の問題は全く解決してくれない」とか皮肉られるところですね。これ、現実の米軍へのかなり痛烈な皮肉になっているのでは。あと『フライト・ゲーム』や『ロスト・バケーション』といった限定空間でのサスペンスを得意とするジャウム・コレット・セラ氏が監督でしたが、彼の持ち味はあまり生きてなかったような。題材が題材だけに仕方ないところでしょうか。

 

☆『THE FIRST SLAM DUNK』

90年代の名作スポーツ漫画を、原作者自らが映画化。この「原作者自ら」ということを知った時はたまげて記事を二度見しました。井上先生ってあんましアニメに興味ない人だと勝手に思ってたので…

正直あまり期待はしてなく、大好きな漫画だったのでまあ一応観とこう…くらいの気持ちでした。でもまあ、何度も読み返したあの場面、あのセリフが出てくると感極まって条件反射的に鼻水がブシューッと噴き出てしまうんですよね。今回のメインは湘北5で最も地味な宮城君で、出番が最も多いのは彼なのですが、自分はやっぱり桜木花道がここぞというところで活躍するところにテンション上がってました。

宮城君の性格が原作とはちょっと違っていて、原作者が作っているのに二次創作みたいなところがあります。多分先生はこのアニメを1本の映画、あるいは「現実(リアル)に近い作品」として仕上げたかったのでしょうね。ギャグ含めてコミックをそのまんま再現するとそこからかけ離れてしまう恐れがある。その辺を考慮に入れての改変だったのだと思います。

懐かしい面々にまた会えてよかった(あまり期待してなかったくせに)。大変でしょうけどぜひともTHE SECONDも作っていただきたい。こんなタイトルにしたんだからその辺責任とってください。

 

☆『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』

この十年間ずっと「やるやる」詐欺を繰り返していた『アバター』待望の続編。今回は惑星パンドラの海が中心となっていて、この水の3D表現が本当にすごい。デビュー作『殺人魚フライングキラー』から、『アビス』そして『タイタニック』と、キャメロンはやっぱり海を扱うのが本領の人…という思いを新たにしました。3D旋風を巻き起こした前作ですが、その後「すげえ立体映像を見せてやるぜ!」というのを第一目標として作られた映画が何かあったかというと、『怪盗グルーの月泥棒』くらいしかなかったんではないかと。「ゲーム画面みたい」という評価も聞きましたが、ゲーム画面はいかに美麗であろうと飛び出してはこないし、なにより大スクリーンでは観られないのです。

映像以外には海で活躍する悪役のメカ群とか、長男ばかりひいきされてないがしろにされる次男、その次男とクジラとの友情などもツボでした。しかしキャメロンは本当に̪シガ二ーと大佐が好きですねえ。この二人への肩入れがあからさまで今回前回の主人公ジェイクの影がちょっと薄かったです。

「3作目は何がなんでもやる」とのことなので、興行がたとえアレな結果になったとしても責任とって続けてください。

 

☆『MEN 同じ顔の男たち』

『エクスマキナ』のアレックス・ガーランド監督と聞いて観ました。あちらが一応条理的なSFだったのに対し、今回はかなり不条理なお話。タイトル通り同じ役者さんが管理人、牧師、警官、ホームレス…と風体を変えてヒロインの前に何度も現れるのですけど、そのことに関しては特につっこまない主人公。神経のまいってしまった人が見た幻覚とも、田舎の変な妖怪を目覚めさせちゃった話とも取れます。リンゴがいっせいに落ちるシーンとか、ヒロインが逃げ惑う中、背景の夜空がめちゃくちゃ綺麗だったりするところが印象に残りました。

 

☆『MAD GOD』

『スターウォーズ』『ロボコップ』『ジュラシックパーク』など名だたる娯楽巨編に関わってきたクリーチャー操演の神様フィル・ティペットが、一からオリジナルで作り上げたストップモーションアニメ。で、これがかなりシュールで難解でえぐい。アニメといえど子供に見せちゃいけない作品です。『JUNK HEAD』とかぶってるところも色々あるんですけど、こちらにはあちらにあった「かわいらしさ」というものが一片もありません。

その映像の力強さや作りこみには圧倒されながらも、共感を拒絶するような作りに「ポカーン」としてしまったのも事実。実はこれクリスマス・イブに一人で見たのですが、なんだか寒さとやるせなさが一層募った気がしました。

 

おお、なんとか超雑ではありますが、年内観た新作映画の一言メモを全部書き切りました。次は誰も注目してないであろう2022年映画ベストについて書きます。

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Comments

スラムダンク
次は「スラムダンク0」で安西先生の若い時か、湘北前世代描くとかやりそうだと思った。

Posted by: ふじき78 | January 02, 2023 10:15 PM

マッドゴッド

クリスマスイブの日に見るのに適していないのは「マッドゴッド」か「ブラックナイト・パレード」か? 福田雄一監督がせっかくシーズンに合わせて作ってくれたので、見には行きたいと思っているんですがね。TLで見たって報告を誰一人として聞かない。

Posted by: ふじき78 | January 02, 2023 10:21 PM

ブラックアダム
予告編やTVスポットで散々見たバールのような物で殴りかかってロック様にピンと弾き飛ばされる男が本当に単なるモブだったのが、面白かった。映画みるまで正義の4人組の技とか分からないのは良かった。

Posted by: ふじき78 | January 02, 2023 10:27 PM

>ふじき78さん

>次は「スラムダンク0」
花道の中学時代のヤンキー物になるかもしれません

>クリスマスイブの日に見るのに適していないのは「マッドゴッド」か「ブラックナイト・パレード」か

ブラックナイト…は確かに話題聞きませんね。最近ブラックタイトル続いたからみんな食傷気味なのかも

>ブラックアダム
わたしもあの飛ばされた人とか飛行バイクに乗ってた人とか、ヒーローチームの一員なのかと思ってました。絵に描いたような出オチでした

Posted by: SGA屋伍一 | January 10, 2023 09:43 PM

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