『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑦7月編
第26回 「悲しむ前に」
突如意識を失い重体となってしまった頼朝。医師の見立てではもう数日の命とのこと。悲嘆にくれる政子をよそに、御家人たちは次の「鎌倉殿」が誰になるのか思慮をめぐらせていた。
お茶らけ回だった前回とは打って変わり、沈痛なムードが続く26話。ネットでは「まだ死んでなかったの?」という反応がたくさん見受けられましたが…
周囲がさっさと見切りをつけてる中で、最後まで諦めようとしない政子様がつろうございました。あんなに浮気したり子を苦しめたりした男でしたが、それでも彼女は純粋に頼朝を愛してたのだなあと。そしてずっと「元グラビアアイドル」というイメージが抜けなかった小池栄子さん、このドラマが始まってからはその演技力に唸らせられっぱなしでしたけど、この回でそれがひとつの頂点に達した感があります。
あともう一人彼の死を悲しんでた義時。頼朝はもしかして彼に暗殺されたのでは…なんて予想もしてたのですが、それが外れてほっとしました。伊豆に引きこもろうとする彼を「ふざけんな」とばかりに引き留める政子様。いよいよこのドラマの「本編」が開幕いたします。
この回の重要なアイテム:政子が最後に頼朝にもっていった料理。結局あれって正体明らかになったんだっけ
第27回 「鎌倉殿と十三人」
母にはっぱをかけられて、二代目鎌倉殿となる決意をした頼家。しかしその一方で北条家と比企家は自分たちの勢力をより強くすべく、将軍の相談役の選出を競い合っていた。最終的に出そろったのは十三名。「十三人の合議制」の時代がいま、始まる…のか?
西暦1199年くらいの内容でようやくタイトルが回収?された27話。番組が始まる前はさぞかし頼もしい豪傑たちが一堂に会しババーン!と見栄を切るのかと思いましたが、実際見てみると小ずるそうだったり幸も影も薄そうなおじさんたちが大半であったり… 三谷さんが脚本である時点で予想すべきでした。
ちなみにわたしの13人の印象は次の通り
北条義時…主人公。ゴッドファーザーのマイケル
北条時政…主人公の父。いい加減
三浦義澄…時政の親友。佐藤B作
比企能員…権力大好きおじさん。佐藤二郎
和田義盛…脳筋。可愛いもの好き
梶原景時…義経のサリエリ
安達盛長…頼朝の爺や
八田知家…突然出てきたワイルド大工
足立遠元…得体が知れない人畜無害の人
大江広元…腹黒・讒言大将。一番怖いかも
三善康信…『古畑任三郎』の向島巡査
中原親能・二階堂行政…大江さんにくっついてきた文官。影が薄すぎる
当然こんなおじさんたちを頼家が信用しようはずもなく、事態は「元鎌倉殿の十三人衆」VS「現鎌倉殿の親衛隊5人衆」の対決へとなだれ込んでいきます。
この回の重要なテロップ:十三人がそろうたびに画面に出てきたカウント。数えやすくてよかったです。
第28回 「名刀の主」
頼家に取り入ろうとするも失敗した梶原景時。これまでの「告げ口役」という悪評も手伝って、急速に鎌倉での居場所を失っていく。そんな彼に朝廷からの誘いがあり、景時は鎌倉に見切りをつける決意を固める。だがそれが頼家に耳に入り…
梶原景時退場を丸々一話使って描いた29回。「義経を追い落とした」ということで全くいいイメージのなかった彼を、オーベルシュタインのような愛されキャラにまで持っていった脚本力に脱帽です。あと中村獅童氏は『新選組!』『いだてん』のようなひょうきんな役も上手ですが、やはり今回や『ピンポン』みたいな重厚な豪傑役の方がしっくり来ますね。その死が「想像してくれよ」と言わんばかりでオマケコーナーで語られる演出はあっさりというかお洒落というか。
今回初登場だった重要キャラはアバンタイトルで出てきた後鳥羽上皇。演じる尾上松也氏は見てるとどうしても「リブモ」CMの「なんですって、奥さん!」を思い出してしまっていけません。あと退場したのは三幡の死を悲しんで鎌倉を離れてしまった中原親能さん。存在感がないままの脱落となりました。そろったと思ったらもう2名いなくなってしまった「十三人」。『アルスラーン戦記』の十六翼将みたいです。
この回の重要で不穏なあいてむ:「善児」 そんなもんのこしてくんじゃね~~~!
第29回 「ままならぬ玉」
御家人の嫁を略奪しようとしたり、サッカーにかまけたり、頼家の悪評が止まらない。そんな彼を失墜させようと北条パパは婿である全成に「ちょっとだけ」呪うよう説き伏せる。ただ傍若無人に見える頼家ではあったが、彼は彼で内に不安と孤独を抱えていた。
先回で「こいつ駄目だわ」と見放した頼家公を、「やっぱりこの子かわいそう!」と思わせてしまう脚本に翻弄される回。演じる金子大地君は松田翔太氏にも似た危うさを感じさせます。でも同情しちゃうとこの先の展開が辛くなるわけで… こういうの本当にやめていただきたい。
一方でほっこりする二世がこの回で改名した北条泰時君。庶民の立場に立って政治を行ったり、女子に空気の読めてないプレゼントをつっかえされたりと好感度が爆上がりでした。ちなみに私がTwitterで行ったアンケートによるとそれなりの女子が「キノコ好き」と答えていて、義時説ももまんざら間違いではなさそう。問題は量と渡し方でしょうか。
コントのような井戸落ち(史実だそうです)から、心和む夫婦エピソード。しかしラスト直前で入る火曜サスペンス効果音。このヒキは『太陽がいっぱい』のオマージュだと思います。そしてこの回でまた二人合議制のメンバーが脱落(三浦義澄・安達盛長)。自然死だったのがせめてもの救いです。
この回の重要なアイテム:マリ(「しゅうぎく」って言うのね)・キノコ・縄・藁人形
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