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August 28, 2022

2022年7月後半に観た映画

☆『炎のデス・ポリス』

『THE GREY』『コンティニュー』などのジョー・カーナハン監督作品。彼の映画が好きなのでただそれだけの理由で観ました。砂漠の孤立した刑務所にサイコ犯罪者が集結。モブの警官たちはサクサクやられてしまい、血の気の多い女子ポリスのみがほとんど独力で彼らと戦うことになります。サイコさんたちは比較的信用できそうな詐欺師(フランク・グリロ)、絶対信用できなさそうな殺し屋(ジェラルド・バトラー)、会話が成立しないサイコ中のサイコ(トビー・ハス←知らない人)の3名様。最後の一人は完璧に無理として、便宜上詐欺師と殺し屋のどちらかとは手を組まなきゃならない。だけど基本的にどっちにも勝ってもらっては困る… そんな『エイリアンVSプレデター』のようなジレンマが面白かったです。どっちかというと前作『コンティニュー』の方が好きだけど

 

☆『ミニオンズ・フィーバー』

ご存じ大人気シリーズ『怪盗グルー』スピンオフの第二弾。グルーと出会ったばかりのミニオンたちの活躍が描かれます。正直言うとスピンオフの方はグルーは切り離してミニオンだけのお話にしてほしかったような。前作『ミニオンズ』がそんな感じで滅法面白かったので。でもまあこれはこれで水準の面白さは保っておりました。どう見てもイーストウッドのような老ギャングとグルーの世代を越えた友情は微笑ましかったですし。

あとは70年代的なミュージックシーンとか、カトリックに怒られそうなエクソシスト・シスターとか、唐突に始まる燃えよドラゴンオマージュとか… 私は世代的にちょっと後ですけど、大人たちは当時を懐かしみながら観てもよいかも。最後のはっちゃけぶりも楽しませてもらいましたが、色々後発の『ソニック2』や『スーパーペット』とかぶってしまったのはなぜなんだろう。

 

☆『キングダムⅡ 遥かなる大地へ』

大ヒットコミックの映画版『キングダム』の続編。王宮の陰謀を阻止した奴隷の少年・信は、いよいよ大将軍への夢をかなえるため、初陣となる戦場へ赴くことになります。今回は原作の6~8巻あたりでしょうか。最初から最後まで秦と魏の合戦のみが描かれます。だから話としてはすごくわかりやすい。自分前作は年間2位にしたくらい好きな映画なんですが、それでも邦画にありがちな欠点…とにかくキャラが絶叫する等…が多かったことは否めません。ただ今度は広い平原で殺し合ってる話なので、むしろ絶叫してる方が自然だったり。そんなわけでややくどさが抑えられたような印象があります。あとやっぱり古代の戦車戦って滅多に見られないだけに燃えますね。『マッドマックス 怒りのデスロード』のオマージュ的なものも感じました。

特に好きなのは予告でも使われてた信とキョウカイの別れのシーン。かっこよく拳を突き出し合って決めるのかと思ったら…w そのあとキョウカイの笑顔がまたよかったです。

早くも来年第3作が公開予定。全編映画化するのは確実に無理なので、ドラマ化するか『ちはやふる』のように映画で独自に上手に終わらせるしかないと思います。

 

☆『神々の山嶺』

夢枕獏の小説を谷口ジロー氏が劇画化し、それをさらにフランスのスタッフがアニメ化した…というややこしい経緯のアニメ。小説の方は『エヴェレスト』の題で実写映画化されたこともありますね。伝説のアルピニストを追う雑誌ライターが、彼の足跡をたどるうちに共にエベレストを登ることになる…というストーリー。日本の70~80年代くらいの懐かしい街の景色がフランス風のお洒落なタッチで再現されていたのは、なにやら不思議な感覚でした。懐かしいのにどこが違う…みたいな印象。実際の70年代日本の映像にある、雑然として垢抜けないような空気が抜けちゃってるんですよね。それはそれでひとつの映像美として楽しみました。雄大な山々の風景に関してはただただ圧倒されるばかりでした。

で、この映画時々ホラー的な演出もチラチラ入るんですよね。それくらい登山には怖い一面もあるわけです。なぜそんな怖かったりしんどい思いをしてまである人たちは山に登りたがるのか。その結論を「わかんない」で〆ていたのは大変すがすがしかったです。

友を死なせた悔い」「極限へ挑戦」「次世代へ継承」そして「こういう生き方しかできない」という愚直な主人公像などは今大ヒット公開中の『トップガン マーヴェリック』にかなり近かったです。

 

☆『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

1993年から続く『ジュラシック・パーク』シリーズの完結編(前にも1回終わってたけど)。恐竜が人間社会に出現するようになってしまった世界で、新旧三部作の登場人物たちが新たな陰謀に挑みます。以後、完全ネタバレなのでご了承ください。

このシリーズをきれいに終わりにするとしたら、「人類が恐竜に淘汰される」「恐竜がまた世界から姿を消す」「今度こそ完全に安全なジュラシックパークが建造される…」というあたりかと思うんですが、そのどれでもありませんでした(笑)新三部作の主人公たちが家族として結ばれた…というとこだけなんとなく完結編っぽかったです。

今回の作品に期待したのは我々の身近な都市部でいろんな恐竜が暴れる映像。前半のヴェロキラプトルとのチェイスシーンは見事にその期待に応えてくれましたが、後半に入ったらまたいつもの研究施設内で右往左往する流れになってしまい… ただ恐竜の活躍が見られる映画ってほぼほぼこのシリーズしかないので、それでも貴重といえば貴重なのです。

新三部作の製作も務めたコリン・トレボロウ監督は「これで僕の役割は終わり」と言ってますが、ジュラシックパークでも他の映画でもいいので数年に一度は恐竜をスクリーンで拝みたいところです。

 

次回は『劇場版 Gのレコンギスタ』『三谷かぶき 風雲児たち』『ソニック・ザ・ムービー2』『バッドマン』『がんばれ! スーパーペット』などについて書きます。

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August 21, 2022

2022年7月前半に観た映画

7月はがんばって?10本も観たので2回に分けます

☆『ザ・ロストシティ』

サンドラ姉さんがディスコダンサーが着るようなキラキラした服でジャングルをさまよってて「大変そうだなあ」と思ったのと、突然お腹がアレになってトイレに行ったら不在の間にキャラが一人死んでたのが特に印象に残っております。

どなたかが「こういう毒にも薬にもならないような映画もこの世には必要」と評しておられました。本当にその通りだと思います。観ている間はとても楽しゅうございました。

チャニング・テイタムが沼の中でヒルに食いつかれるシーンは『スタンド・バイ・ミー』のオマージュですかね。

 

☆『エルヴィス』

言わずと知れたエルヴィス・プレスリーの一代記…であると同時に、矢吹丈の手綱を手放すまいと必死になる極悪な丹下段平の話でもありました。

こういうロックスター映画というのはサクセスすると大抵ホテルや邸宅で乱交にふけってたりするシーンがあるのですが、エルヴィスさんはストイックなタイプだったのかこの作品にはそういうのはありませんでした。お薬はガバガバ服用してたようですが、楽しみのためではなく不安を紛らわすためだったようですし。

そんな風に命を削ってステージで熱唱するシーンは圧巻でございました。主演のオースティン・バトラー君に脱帽です。あとB・B・キングとの友情のエピソードにほっこりしました。

☆『バズ・ライトイヤー』

あの『トイ・ストーリー』の名玩具「バズ・ライトイヤー」は、一体どんな映画を元にして作られたのか…という話。ユーモラスなメカ群、ウラシマ効果の悲哀、『トイ・ストーリー』ファンへのサービス、ピクサーお得意のお笑い要素など、全体的にソツなく上手に作られてるんですが、後発の『ミニオンズ・フィーバー』などと比べるとちょっと地味な印象がぬぐえません。基本的に未開の荒れ果てた惑星の周辺だけで収まっちゃってる話なので… まあたまにはこんな渋いSFアニメもいいかな、とは思いますが、日米ともに興行がイマイチ振るわなかったのが気の毒。

 

☆『モガディシュ 脱出までの14日間』

ようやく今年初の韓国映画。1990年、お互いの国際的を地位を高めるべく、北朝鮮と韓国の大使たちはソマリアで競争のようにロビー活動にいそしんでいた。しかしクーデターが勃発。彼らは武装ゲリラの攻撃かいくぐり、命からがら国外へ逃げ出さねばならなくなる。

『タクシー運転手』同様実在の事件に材を取った話…にしてはかなりエンターテインメント色が強く、恐らくそれなりに脚色がなされているものとは思いますが、それにしてもよくこんな面白い話を見つけてきたなあと。あと異国の地で現地の人を大量にエキストラをやとい、派手にドンパチを撮影できる韓国映画のパワーには圧倒されました。

最初角突き合ってた2グループが呉越同舟するうちにうとちけあってく…というのも定番といえば定番ですが、自分やっぱりそういうのに弱いのでアリです。あと最近観てなかったけど、この「南北分断」という問題、韓国ならではのテーマですよね。この3年後の話が『ブラックホーク・ダウン』になるようです。

 

☆『ソー ラブ&サンダー』

映画のMCU最新作。4作目にしてタイトルから「マイティ」の冠が外されました。シリーズの途中でさくっといなくなってたソーの元カノ・ジェーンが、元ハンマーのムジョルニアを携えて「新ソー」として復帰するというストーリー。お茶らけた作風のタイカ・ワイティティ監督だけあって隙あらばお笑いがねじ込まれてくるんですが、同時進行でヴィランやジェーンの悲しい背景も語られて観終わるとなんだかしんみりした気分になっちゃいました。

MCUのヒーローたちは大抵なにかしら大切なものを映画で失っていくのですが、特にそれが顕著なのがソー。シリーズが続くうちに故郷も友人も家族も最初のトンカチもことごとく失っていきます。それでもあんまり悲しみを引きずらず、ニコニコしながら次の冒険に向かうソーさんを観ていると元気をわけてもらったような気分になります。アベンジャーズのBIG3のうち二人が去り、もはやBIG1となってしまいましたが、役者さんもいやがってないようですし、いけるところまで出来る限りスクリーンに姿を見せてほしいものです。

今回特に印象に残ったキャラ?はマサカリのストームブレイカーさん。なかなか嫉妬深いということが判明。モノがモノだけにソーにズズズ…と詰め寄るシーンは迫力がありました。ギリシャその他多神教の適当な神様たちへのイジリにも笑わせてもらいました。

 

次は『ミニオンズ・フィーバー』『炎のデス・ポリス』『キングダムⅡ』『神々の山嶺』『ジュラシックワールド 新たなる支配者』について書きます。

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August 07, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑦7月編

第26回 「悲しむ前に」

突如意識を失い重体となってしまった頼朝。医師の見立てではもう数日の命とのこと。悲嘆にくれる政子をよそに、御家人たちは次の「鎌倉殿」が誰になるのか思慮をめぐらせていた。

お茶らけ回だった前回とは打って変わり、沈痛なムードが続く26話。ネットでは「まだ死んでなかったの?」という反応がたくさん見受けられましたが…

周囲がさっさと見切りをつけてる中で、最後まで諦めようとしない政子様がつろうございました。あんなに浮気したり子を苦しめたりした男でしたが、それでも彼女は純粋に頼朝を愛してたのだなあと。そしてずっと「元グラビアアイドル」というイメージが抜けなかった小池栄子さん、このドラマが始まってからはその演技力に唸らせられっぱなしでしたけど、この回でそれがひとつの頂点に達した感があります。

あともう一人彼の死を悲しんでた義時。頼朝はもしかして彼に暗殺されたのでは…なんて予想もしてたのですが、それが外れてほっとしました。伊豆に引きこもろうとする彼を「ふざけんな」とばかりに引き留める政子様。いよいよこのドラマの「本編」が開幕いたします。

この回の重要なアイテム:政子が最後に頼朝にもっていった料理。結局あれって正体明らかになったんだっけ

 

第27回 「鎌倉殿と十三人」

母にはっぱをかけられて、二代目鎌倉殿となる決意をした頼家。しかしその一方で北条家と比企家は自分たちの勢力をより強くすべく、将軍の相談役の選出を競い合っていた。最終的に出そろったのは十三名。「十三人の合議制」の時代がいま、始まる…のか?

西暦1199年くらいの内容でようやくタイトルが回収?された27話。番組が始まる前はさぞかし頼もしい豪傑たちが一堂に会しババーン!と見栄を切るのかと思いましたが、実際見てみると小ずるそうだったり幸も影も薄そうなおじさんたちが大半であったり… 三谷さんが脚本である時点で予想すべきでした。

ちなみにわたしの13人の印象は次の通り

北条義時…主人公。ゴッドファーザーのマイケル
北条時政…主人公の父。いい加減
三浦義澄…時政の親友。佐藤B作
比企能員…権力大好きおじさん。佐藤二郎
和田義盛…脳筋。可愛いもの好き
梶原景時…義経のサリエリ

安達盛長…頼朝の爺や
八田知家…突然出てきたワイルド大工
足立遠元…得体が知れない人畜無害の人
大江広元…腹黒・讒言大将。一番怖いかも
三善康信…『古畑任三郎』の向島巡査
中原親能・二階堂行政…大江さんにくっついてきた文官。影が薄すぎる

当然こんなおじさんたちを頼家が信用しようはずもなく、事態は「元鎌倉殿の十三人衆」VS「現鎌倉殿の親衛隊5人衆」の対決へとなだれ込んでいきます。

この回の重要なテロップ:十三人がそろうたびに画面に出てきたカウント。数えやすくてよかったです。

 

第28回 「名刀の主」

頼家に取り入ろうとするも失敗した梶原景時。これまでの「告げ口役」という悪評も手伝って、急速に鎌倉での居場所を失っていく。そんな彼に朝廷からの誘いがあり、景時は鎌倉に見切りをつける決意を固める。だがそれが頼家に耳に入り…

梶原景時退場を丸々一話使って描いた29回。「義経を追い落とした」ということで全くいいイメージのなかった彼を、オーベルシュタインのような愛されキャラにまで持っていった脚本力に脱帽です。あと中村獅童氏は『新選組!』『いだてん』のようなひょうきんな役も上手ですが、やはり今回や『ピンポン』みたいな重厚な豪傑役の方がしっくり来ますね。その死が「想像してくれよ」と言わんばかりでオマケコーナーで語られる演出はあっさりというかお洒落というか。

今回初登場だった重要キャラはアバンタイトルで出てきた後鳥羽上皇。演じる尾上松也氏は見てるとどうしても「リブモ」CMの「なんですって、奥さん!」を思い出してしまっていけません。あと退場したのは三幡の死を悲しんで鎌倉を離れてしまった中原親能さん。存在感がないままの脱落となりました。そろったと思ったらもう2名いなくなってしまった「十三人」。『アルスラーン戦記』の十六翼将みたいです。

この回の重要で不穏なあいてむ:「善児」 そんなもんのこしてくんじゃね~~~!

 

第29回 「ままならぬ玉」

御家人の嫁を略奪しようとしたり、サッカーにかまけたり、頼家の悪評が止まらない。そんな彼を失墜させようと北条パパは婿である全成に「ちょっとだけ」呪うよう説き伏せる。ただ傍若無人に見える頼家ではあったが、彼は彼で内に不安と孤独を抱えていた。

先回で「こいつ駄目だわ」と見放した頼家公を、「やっぱりこの子かわいそう!」と思わせてしまう脚本に翻弄される回。演じる金子大地君は松田翔太氏にも似た危うさを感じさせます。でも同情しちゃうとこの先の展開が辛くなるわけで… こういうの本当にやめていただきたい。

一方でほっこりする二世がこの回で改名した北条泰時君。庶民の立場に立って政治を行ったり、女子に空気の読めてないプレゼントをつっかえされたりと好感度が爆上がりでした。ちなみに私がTwitterで行ったアンケートによるとそれなりの女子が「キノコ好き」と答えていて、義時説ももまんざら間違いではなさそう。問題は量と渡し方でしょうか。

コントのような井戸落ち(史実だそうです)から、心和む夫婦エピソード。しかしラスト直前で入る火曜サスペンス効果音。このヒキは『太陽がいっぱい』のオマージュだと思います。そしてこの回でまた二人合議制のメンバーが脱落(三浦義澄・安達盛長)。自然死だったのがせめてもの救いです。

この回の重要なアイテム:マリ(「しゅうぎく」って言うのね)・キノコ・縄・藁人形

 

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