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July 17, 2022

2022年5月に観た映画

2ヶ月以上前の記憶を掘り起こして書きます。

☆『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

いまやMCUにおいて中心人物の一人となってしまった感のあるストレンジ博士、単体としては5年ぶりの続編。元カノの結婚式に意気沈々として向かった彼のもとへ、「多元宇宙」から逃亡してきた少女が現れる。ストレンジはその手の問題に詳しいワンダの元を訪れるが…

恐らく今回はコミックの『アベンジャーズ ディスアッセンブルド』を底本にしているかと思われます。当時人気の低迷していたアベンジャーズを、編集部が「一度ぶっこわすか!」ということでワンダを闇落ちさせ、チームを壊滅にまでおいやったというひどい作品です。そんなわけでコミックファンには前知識があるからいいけれど、映画ファン&お子様たちにはかなりショックな内容。原作と同じくまたヒーローとして復帰することを願ってやみません。

ショックと言えば久しぶりに映画監督として復帰したサム・ライミ氏が、MCUの世界観を尊重しつつも彼独特のグロ描写を惜しげもなく発揮しまくったことでも話題になりました。この辺彼のファンからは長年忘れていた「おふくろの味」に再会できたようでたまらなかったみたいです。

面白かったのは、この作品には4バージョンのストレンジ先生が登場するのですが、本家以外はみんな闇落ちしてるのですね。それくらいついダークサイドにいってしまいそうな下地がある人なのです。しかしそれは「素質がある」というだけで絶対的なものではない。先の『スパイダーマン』で悔いながらもピーターを救えなかった先生が、今回は同じ思いを繰り返さないために一人の少女のために奮闘します。そして「このストレンジのいる世界に来てよかった」と彼女が笑顔で言うところにおじさんの鼻水が噴き出ました。

一点不満というか要望を言わせてもらうとシュマゴラスという名前だったガルガントスというキャラクター、大きなお目目がかわいかったのにあっさりやられてかわいそうでした。こちらも次回は善玉として復活させてあげてください

 

☆『スパークス・ブラザーズ』

実に50年以上活躍している米国の兄弟バンドを題材に、『ショーン・オブ・ザ・デッド』などで知られるエドガー・ライトが監督したドキュメンタリー。わたし彼らのことはなんも知らなかったのですが、監督の映画が好きなのと近くでやってたので観てきました。そんなに洋楽には詳しくないんですけど、彼らはそんなに第1級メジャーというわけではないようで。「なつかしのオールディーズベストヒット」みたいな選集でも名前見たことないし。しかしこんだけ長く続いてきたのには、やはり一過性ではない魅力と、マンネリに陥らないよう試行錯誤を続けてきたからということがなんとなくわかりました。一時は本当に仕事が無い時もあったようですが、「ドラッグなどで散財せず堅実に暮らしてために生活に困らなかった」というのには感心させられました。

驚いたのは池上遼一氏が少年サンデーで描いてたマイナーなSF漫画『舞』を彼らが映画化しようとしていたこと。これたまたま読んでてあまり話題に上がったこともない作品だったので「???」となりました。残念ながらその企画は頓挫。それ以前のジャック・タチとの企画も中断となった彼らですが、昨年3度目の正直的にカラックスの『アネット』で映画音楽を担当。夢をあきらめてはいかんですね。

 

☆『バブル』

ネットフリックス先行公開し、一週間後に劇場公開という珍しい形式で発表された長編アニメ。しかし先行の時点でなかなか評判が悪く、びくびくしながら観に行きましたが、これが映像もアクションもストーリーも大変ツボにはまり、「TVサイズで観ないと真価が伝わらないのかな」と思っておりました。しかし劇場で観た人たちの感想も総じてあまりよくなく… 自分、映画を見る目があまりないのかな、と改めて思ったりしました(笑)

好きな点は全体的にりんたろう版『メトロポリス』を思い起こさせてくれたところ。あと十代の恋愛ものであるのに「うわっ これは不可抗力で…」「いやー! エッチ!バカー!!」みたいなコテコテのラブコメ描写がなかったところです。

 

☆『犬王』

湯浅政明×野木亜紀子×松本大洋という超強力布陣で製作された伝奇SFアニメ。先行してTV放映・配信された『平家物語』とそこはかとなく関係あるようなないような、やっぱりあんまりないかな?という作品です。

大胆なのは全体のほぼ半分近くが演奏シーンというほぼライブみたいな構成であること。その無茶な作りを森山未來君と女王蜂アヴちゃんさんとか迫力ある歌声で強引に持っていきます。

ただ突飛なようで根底には親から捨てられたような犬王と親を失った友有(友魚だったり友一だったり)のガキ同士の友情物語があり、その無邪気さが微笑ましかったり胸に沁みたりしました。一方で彼らを翻弄する時の権力者・足利義満には強い怒りを感じます。『一休さん』の「のんびりした将軍様」だったイメージが一気に急降下いたしました。時を越えてよみがえった二人の絆を見届けることで、鑑賞後はさわやかな気持ちになれましたけど。

『どろろ』や湯浅監督の『デビルマン cry baby』を想起させるようなところもありました。

 

5月は他に『シン・ウルトラマン』を2回観たり『鋼の錬金術師 完結編』第1部を観てました。ハガレンに関しては次回『ククルス・ドアンの島』『トップガン マーヴェリック』『FLEE』『ベイビー・ブローカー』などと一緒に書きます

 

 

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