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July 03, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑥ 6月編

いつも『鎌倉殿』は地上波・BSと2回観ているのですが、先月はスケジュールの都合で1回ずつしか見られず。おぼろげな記憶をたどって頑張って書きます。

 

第22回「義時の生きる道」

突然の八重の死。義時は悲しみをこらえながら彼女が残した大量の子どもたちのワンオペ育児に励む。一方頼朝は都へ上洛。法皇と対面を果たし正式に征夷大将軍の位を授かる。

1190~1192年くらいの話。ずっと裏切り・暗殺・愛する人の死ときついイベントが続いてた『鎌倉殿』で、突然訪れたエアポケットのような癒し回。この回で生霊になったりピンポン玉で死を偽装したりしてた後白河法皇がとうとう本当にお亡くなりになります。「歴史をひっかきまわすだけひっかきまわして」というナレーションの落とし芸が冴えてました。

後半は義時が子供たちのケンカで頭を悩ませます。これとほぼ同じシチュエーションがモーニング不定期連載中の『ワンオペJOKER』であったばかりなんですが、偶然かぶっちゃったんでしょうね。弟が心配で屋敷をのぞきに来た政子さん。「むかし姉上によく首をしめられました」「そういえばよくしめてたわね」 まあ姉というのはそういうものです。

この回の重要でもないアイテム:保育業が大変ですっとんでった義時の烏帽子

 

第23回「狩りと獲物」

1193年、頼朝は御家人たちを集め富士で巻狩りを行う。それに乗じまたしても反乱を企む動きがあった。中心となったのはかつて父親を工藤祐常に殺された曾我兄弟。ここに後世に語り継がれる伝説の仇討が始まる…?

忠臣蔵、荒木又右エ門の鍵屋の辻、そしてこの曾我兄弟の仇討が日本3大敵討ちなんだそうですが、忠臣蔵がメジャーすぎて正直ほかの二つは「何?」という感じであります。で、美談とされてるこの仇討ちが、このドラマでは手違いの上に義時により脚色されたことになっていたり。

前半の巻狩りで印象的なのは鎌倉の時代を担う二人の若者。金剛=泰時は明らかに短期間で背丈が倍以上伸びてるのですが、「成長著しい金剛」のテロップで強引に納得させられました。いま一人の次期暴れん坊将軍・万寿=頼家は悪くない若者なんだけどいまひとつ頼りなさそう。鹿一匹狩らせるのに御家人たちも撮影スタッフも大変だったようです。

スケベ心が幸いしてまたしても難を逃れた頼朝公。しかし今回は「もうわたしのすべきことはないのかも」としょんぼり顔。いよいよ大物退場の序曲が流れ始めます。

この回の一応重要なアイテム:ダミー鹿。および義時と後妻の間を取り持つ鹿のウンコ(2回目)

 

第24回「変わらぬ人」

謀反は未然に防がれたが、その際不審な発言があったということで、範頼は半ば言いがかりのような形で修善寺へ流される。頼朝は自信の衰えを自覚してはいたが、それを認めず大姫を天皇と后とすべく運動を始める。彼女は未だ義高を忘れられずにいるというのに…

1193から98年初めくらいの内容。せっかく比較的ほのぼの回が続いてたのにまたどん底へ突き落される回。大姫に関しては自分も周囲(頼朝以外)もなんとか幸せな方向に導いてあげようとがんばるのに、結局初恋の人への思慕には勝てず…というのが辛すぎるお話でした。あと後白河法皇の未亡人の丹後局が怖かった。鈴木京香さんは『君の名は』(連ドラ)では姑からいびられる側だったのにいつも間にいびる方に…(いつの話だ)。全成殿のイタコ芸が数少ないギャグシーンでございました。

もう一人お気の毒だったのは源範頼公。ドラマでは大抵義経の引き立て役でしかありませんでしたが、『鎌倉殿』では不器用だけど実直で純粋な人柄に描かれてて大幅にイメージアップになったかと思われます。それだけにあの退場の仕方は残酷すぎる。このドラマを毎週見ている姪っ子(小6)のトラウマがまたひとつ増えたのではと心配です。

この回の悲しいアイテム:蒲殿が植える予定だった甜瓜

 

第25回「天が望んだ男」

さんざんナレーションで「最後最後」とあおられつづけた頼朝公。恐怖新聞に寿命を削られる鬼形君のように衰弱が著しくなっていく。それでも生きる望みをあきらめない鎌倉殿。数々の死亡フラグを乗り越えて、果たして生き延びることはできるか!?

…ま、歴史でこの時死ぬことになってるので、どうしようもないんですけどね。ただ上総之介や九郎の時と違い、さんざん笑いを振りまいて去っていくのが彼らしい。あんだけひどいこといっぱいやらかしてたくせに、この幕引きはずるいよ。演じてる大泉さんのキャラのせいで、いなくなったらやっぱり寂しくなるんでしょうね。

ちなみに今ニュース番組の司会もされてる三谷さん、その司会中堂々と脚本を書いてる姿がリークされてました。それを読むと頼朝が善児に必死に命乞いをしてるのですが、あれは完全なるフェイクでしたね。だまされました。

ひとりの英傑が去ろうとする時、彼に関わった者たちの耳に鳴り響く不思議な鈴の音。それが義時だけに聞こえなかったのはいかなる意味が…

あといつの間にか巴御前とだいぶ仲良くなってる和田殿は役得。

この回のまぎらわしいアイテム:頼朝の死をフライングさせかけた餅

 

というわけでなんとか半分までついていくことができました。残り半分もがんばります。たぶん

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Comments

不調が続いており遅くなりました。
>巻狩り
この回でおやっ!(? ぢゃないよ)と思ったもの
頼家が誓いを込めて放った矢が
比企のおっさんに当たるアレ。
流石に歴史探偵の司会でもこれは見抜けまい(笑)。
>範頼
過去にここまでまともに描いた
範頼も無かったろうけど
善児の鬼畜ぶりもここに極まれり・・・・と
殺人後の「アレ」
わざとだろ?
奴の結末はさすがにタダで
は終わらせませんよ・・・と思う。
>フライングさせかけた餅
コメディーにしかならないがこれで
ポックリでもよかったのでは?
・・・・いや月マガの「遮那王」では兄弟も平気で
殺す夫(の血縁)に絶望した
政子の差し金で暗殺されてしまい、
「馬から落ちた」とされちゃったので・・・・・・
・・・・・先の「フライング」もありえたかもね。

Posted by: まさとし | July 17, 2022 11:19 PM

>まさとしさま

またまた遅れてすいません。
富士の巻狩りというか曾我兄弟の仇討に関してはよく知らなかったので勉強になりました
善児のキラーぶりは相変わらず震えあがるばかりです。三谷さんは彼に『レ・ミゼラブル』のテナルディエあたりを重ねてるんじゃないかな…と思ったり
そういえば月マガで「遮那王」ありましたね… 既に完結して久しいですが、サンデーで始まった「ますらお」はまだまだ終わりそうもありませんw

Posted by: SGA屋伍一 | July 31, 2022 06:12 PM

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