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February 28, 2022

2022年1月に観た映画

というわけで『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』以外の1月に観た映画の感想です。今年も一ヶ月遅れがデフォルトになりそうな感じです。

 

☆『レイジング・ファイア』

原題『怒火』。かつて警察組織に裏切られた男は復讐を果たし、同時に大金を得るため大胆かつ非道な犯行を繰り返す。その前に立ちはだかったのはかつて男が慕っていた先輩刑事だった。

この復讐と強盗の両方を一緒にやっちゃおうというのが少々無理があると思いました。案の定序盤こそジョーカーよろしく警察を翻弄していた男(ンゴウ)ですが、欲をかいたせいでどんどん追い詰められていきます。つか、アクション映画監督の皆さん、本当に『ヒート』お好きですよね。自分はたまたま地上波でやってた時片付けものしながら観てたので未だにその魅力があまりわかってないのですが。

ラストの対決場面、二人がえんえんとドつき合ってるのになかなか警官隊が到着しません。「思う存分戦わせてあげてから逮捕しよう」と物陰で待ってた疑いがあります。その優しさに涙しました。

 

☆『マークスマン』

☆『クライ・マッチョ』

2本まとめて。たまたま色々似通ってしまった映画です。メキシコ国境に住む老人があることから少年と共に旅をすることになり、自分の人生を見つめなおしたり、暴力沙汰に巻き込まれたり…というストーリー。

一応アクションもありますが、それぞれの主演(イーストウッドとリーアム・ニーソン)がお年を召されてるせいか、だいぶ控えめ。イーストウッドなんてもう90代ですから出来ることに限界があります。それに比べるとリーアムさんはもう少し動いてましたが、昨年暮れの『アイス・ロード』よりもいたわられてる感じでした。

でもまあお年寄りがよろよろしながら無頼漢を相手にがんばっているのを観てると、俄然応援したくなります。また「ジジイになったらもう家やカネに執着せず、断捨離して若い世代の助けになれや」みたいなメッセージがこめられています。自分はなかなかなモノが捨てられないタイプの人間なのでそんな風になれる自信は全くありませんが、そうできるよう努力はしてみたいです。

『マークスマン』はリーアムさんの去り際にホロホロと泣き、『クライ・マッチョ』は一昔前のメキシコの観光旅行を楽しませてもらいました。あと2作品見比べると今はものものしいメキシコ国境も、かつてはずいぶんのんびりしてたんだな…と感傷にふけってしまうのでした。

 

☆『サンダーバード55/GOGO』

60年大人気を博したSF人形劇『サンダーバード』。今回は残された朗読劇のレコードを元に、新たに3本の新エピソードをこしらえたというから驚きです。ビーグルよりもヒロインのペネロープの活躍が目立ってた気もしますが、まあよいでしょう。第1話の基地の超システムを社会科見学のように案内してくれるくだりなどは、自分の中の小学生がキュピーン!と目ざめて大興奮しちゃいましたし。そして何より「人形劇の映画」というのがワン・アンド・オンリーというかめちゃくちゃ貴重なのであります。

 

☆『ハウス・オブ・グッチ』

『フォックスキャッチャー』や『アメリカンスナイパー』のような「欧米の人々はみんな顛末を知ってるんだろうけど、我々は知らない」実録ものの1本。ブランドの帝王グッチ家の内部で、どんなドロドロしたスキャンダルが繰り広げられてたのだろう…と週刊文春のえぐい記事を読むようにワクワクして臨みました。で、大変面白かったのですが、そのあまりの無情さにどっと疲れました。やっぱ文春なんて読むもんじゃありません。

レディ・ガガ演じる嫁も、最初から富が欲しかったわけじゃないと思うのです。普通のアパートでのんびり暮らしてた時代はそれはそれでとても幸せそうでしたし。地位と莫大な財産が彼女を変えてしまったのか。やっぱお金は人を狂わせるな… でもお金欲しいな… でもお金は人を(繰り返し)

 

☆『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』

タイトルなげええええええよ!! 熱心なファンを持つウェス・アンダーソン監督の最新作。「フレンチ・ディスパッチ」という架空の雑誌の1号分をまるごと映画化するという、これまたキテレツな作品。雑誌と言っても文〇みたいな下世話なものではなく、『BURUTUS』みたいな趣味の世界に没頭しているような本…かな?

相変わらずおもちゃ箱のような凝った絵作りに感心させられます。ただ彼のおもちゃ箱というのはとっちらかってなくて、配置とか構図とか綿密に計算されてるんですよね。そういうところはアートでもあるのですが、自分はやはり遊び心の方を強く感じます。

そんなわけで今回も十分に楽しませてもらいましたが、オムニバス形式ゆえかシャッキリしてる時に観ないと猛烈な眠気に襲われるやもしれません。

ちなみに自分のアンダーソンベスト3は『グランド・ブダペスト・ホテル』『ダージリン急行』『ファンタスティックMr.フォックス』。『フレンチ~』はその次くらいに気に入りました。

 

次回は『鎌倉殿』レビュー2回目。そのまた次に『ゴーストバスターズ/アフターライフ』『大怪獣のあとしまつ』『鹿の王』『さがす』『アンチャーテッド』『シラノ』『ナイル殺人事件』の感想を一気に書けたらよいのですが。

 

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Comments

サンダーバード55

> そして何より「人形劇の映画」というのがワン・アンド・オンリーというかめちゃくちゃ貴重なのであります。

確か昔東宝チャンピオン祭りで「新・里見八犬伝」の映画版(短編)があった筈。ちなみにあるかと思ってググった「ひょっこりひょうたん島」も映画はあったが、TVのキャラクターを使った動画作品とのこと。それって随分面倒じゃね? そう言えば確か「プリンプリン物語」も映画化(短編)はされてる筈。あっ「サンダーボルト・ファンタジー」。何かオマケに映画館でも掛けてるみたいな奴ばかりになってしまった。

Posted by: ふじき78 | July 19, 2022 06:42 AM

>ふじき78さん

そういわれてみるとけっこうたくさんありますねー ご教示ありがとうございます。とりあえずいま人形劇を映画でやってどれほど客が入るかっていったら… 損得抜きにたまには作ってほしいですけどねw

Posted by: SGA屋伍一 | July 31, 2022 06:14 PM

ハウス・オブ・グッチ
「グッチの家」。ジャレッド・レトさんじゃなく、グッチ裕三さんでもよかった気がします。ガガさんはお金はともかく、失った愛を許せなかったんでしょうなあ。

Posted by: ふじき78 | August 11, 2022 01:49 PM

>ふじき78さん

最後にモト冬樹氏と若い出来たら感動ものですよね。ガガは我が強いと思います

Posted by: SGA屋伍一 | August 21, 2022 05:35 PM

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