« 2021年11月に観た映画。 | Main | 第18回SGA屋漫画文化賞 »

December 21, 2021

2021年12月前半に観た映画

2021年もあと10日。心なしか除夜の鐘が聞えてきたような(まだはやい)。とりあえず見たてほやほやの今月前半に鑑賞した作品の感想をまとめます。今回は割りと結末近くまでばらしちゃってるのでご了承ください。

 

☆『ほんとうのピノッキオ』

一昨年イタリアで公開され、名だたる映画賞にノミネートされまくった作品。内容はというと、タイトルの通り誰もが知ってるあの童話を忠実に映像化したものとなっております。『ピノキオ』の映像化といえば昔のディズニー版やTVアニメ『樫の木モック』などが思い浮かびますが、今回はVFXを多用してるものの一応実写。そしてあのエグみたっぷりのファンタジー『五日物語』のマッテオ・ガローネが手がけるといぅ。どんなダークで残酷なピノキオになるのかと思いきや、なんとか子供たちが観ても楽しめる・ためになる映画になっておりました。「勉強もせず遊びほうけてばかりいると悲惨な目にあう」という教訓も非常に強く伝わってきましたし。ガローネ監督もやればできるじゃないですか。

ただ実写になったことで、ファンタジーなのに現実のきびしい面もよく描写されておりました。法の規制がしっかりしてない社会では、保護者のいない子供はずる賢い大人たちからひたすら酷使され、搾取されるしかないという。そういう点では昨年の『異端の鳥』なども思い出されました。

 

☆『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

ソニー独自のアメコミ世界「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の第二作。宇宙からやってきた陽気な寄生生物「ヴェノム」と、適当なジャーナリスト・エディのお気楽コンビが、自分たちのサイコパス・バージョン「カーネイジ」と激闘を繰り広げます。

わたしが昔読んだヴェノム初登場のコミックでは、この寄生体ってもっと冷血というかマシン的で無感情なキャラだったんですけど、この二部作ではすっかりかわいげのあるゆるキャラと化してしまいました。ま、映画のヒット具合や面白さを考えますとそれが正解だったといわざるを得ません。

ただ人外と人間のコンビというのは最後にかなしいお別れが待ってるもの。『うし○ととら』しかり、『寄○獣』しかり、『キル○キル』しかり(例外は『ド根性○エル』)。ヴェノムとエディもそうならなければいいな…と心配しながら観てました。嘘です。まだまだ2作目ですしドル箱であるこのシリーズをソニーさんがそう簡単に手放すわけはないんです。そんなわけで今年有数の安心感と共に一人と一匹の活躍とコントをたのしませてもらいました。

半善半悪であるヴェノムに対し、全く同情の余地も善性もないのがカーネイジ。その凶悪っぷりに、自らが生み出された存在なのにも関わらずノムさんはすっかりビビッてしまって「あいつは赤いから勝てない」などと言ったりします。なぜ… 赤いと3倍速いから? ともかくこの自分たちのスペックを上回る強敵を、ヴェノム&エディが彼らにしかない強みで逆転するくだりは燃えました。これは恐らく石川賢先生の名作コミック『ゲッターロボ対ゲッターロボG』のオマージュであるかと思われます。間違いあるけどない。

 

☆『アンテベラム』

☆『ラストナイト・イン・ソーホー』

この2本は共通点多かったのでまとめて。『アンテベラム』は現代に生きる黒人女性が南北戦争の時代にワープし、『ラストナイト~』は2020年代に生きる女の子と1960年代の幻想が時を越えて結び合わされます。ほんで先回紹介した『マリグナント』もそうなんですけど、非力な女性がすごく理不尽な目に合わされ、それでも最後は自分の力で決死の抵抗を試みるという流れ。途中であっと驚く意外性が用意されてるところもおんなじ。わたしそんなに怖い映画観てないんですが、最近のホラーの傾向なんでしょうか。

もちろん各作品それなりに差異もあります。一番幻想味が濃いのが『ラストナイト~』。島田荘司先生が提唱する「本格ミステリー」的なのが『アンテベラム』。ギリギリSFなのが『マリグナント』といった感じです。

『ラストナイト・イン・ソーホー』はエドガー・ライト監督の出世作『ショーン・オブ・ザ・デッド』を思い出させるところもあり。ロンドンが舞台の友情物語であったり、一応ホラー風味であったり、ほっとするようなぞっとするようなオチなどなど。面白く観ましたが終盤あまりにも殺伐としてたので口直しにそれこそ『ホット・ファズ』など観ていやされたくなりました。

 

次回は『マトリックス:レザレクションズ』『皮膚を売った男』『キングスマン:ファーストエージェント』あたりの感想となるか、先に本年度漫画ベスト・映画ベストの記事となるか。

|

« 2021年11月に観た映画。 | Main | 第18回SGA屋漫画文化賞 »

Comments

『ラストナイト・イン・ソーホー』

下宿する女の子がニューハーフだったら「ラストナイト・イン・モーホー」だったりかもしれない。下着おじさん48が怖い。

Posted by: ふじき78 | December 26, 2021 10:23 PM

伍一くん☆
「ヴェノム2」は相変わらずの痴話げんかが面白かったですけど、1ほどの斬新さが無くてちょっと・・・でした。
「アンテベラム」見損ねちゃったけど、感想聞きたいデス!

Posted by: ノルウェーまだ~む | December 27, 2021 12:15 AM

>ふじき78さん

あー、なんかいまモーホーとか言っちゃいけないらしいですよ。下着おじさんたちは怖い反面パンツ一丁で滑稽でした

Posted by: SGA屋伍一 | December 29, 2021 10:33 PM

>ノルウェーまだ~むさん

ヴェノムは痴話げんかが楽しい反面、大切なものを窓から放り出しちゃうあたりとかヒヤヒヤしました。カーネイジとのバトルよりも

アンテベラムはネタバレにならないように紹介するのが難しい。途中で「ああ! そういうことだったのか!」とすごく納得する映画でした

Posted by: SGA屋伍一 | December 29, 2021 10:36 PM

ツイッターで「ノムさん」と言ってたの、これかあ。今となって納得。そして「カネやん」かあ。なるほど。カネやんの癖に赤ヘルかよ。

Posted by: ふじき78 | December 31, 2021 10:36 AM

>ふじき78さん

まあノムさんも黒ヘルじゃないし。最近は公開前にタイトルつぶやくとわざわざネタバレリプライをかましてくるやつがいるので、それ避けです。隠語ですね

Posted by: SGA屋伍一 | January 11, 2022 09:37 PM

ほんとうのピノッキオ

> 保護者のいない子供はずる賢い大人たちからひたすら酷使され、搾取されるしかないという。

保護者がいてもその保護者からひたすら酷使され、搾取される『エヴァンゲリオン』という話があってな。

Posted by: ふじき78 | July 22, 2022 12:24 AM

>ふじき78さん

ごもっとも~ 去年春ようやく25年経って酷使から解放されたのかな

Posted by: SGA屋伍一 | July 31, 2022 06:15 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 2021年11月に観た映画。 | Main | 第18回SGA屋漫画文化賞 »