« November 2021 | Main | January 2022 »

December 30, 2021

2021年、この映画がアレだ!!

はい、アレです。今年スクリーンで鑑賞した映画のうち上位30本とその他少々を振り返ってみます。まずは順序良くどん尻から。

__20211230112601

☆ワースト:『ビバリウム』

この映画が公開された時期は何本か主人公たちが無理ゲー的状態に追い詰められる作品があったのですが、それらには大体登場人物への「愛」がありました。対してこの映画には全くそれが感じられません。作品の出来や美術はともかくそういった意地悪極まりない視点が嫌いです。

ワーストで思いつくのはこれくらいかな… 

つづいて特別賞

0001scaled

☆リバイバル部門 川本喜八郎・岡本忠成特集上映

人形アニメーションのレジェンドお二人のそれぞれ没後10年・30年を記念し、4K修復された作品群の特集上映。特に岡本先生の『チコタン』は改めてトラウマを刻みなおされ、『おこんじょうるり』は涙と鼻水を搾り取られました。本当に(いい意味で)ひどい。企画スタッフに感謝でございます。

 

では上位30本を下から順に

第30位 『夏への扉』 今年の猫映画ベスト

第29位 『ジャスト6.5 闘いの証し』 麻薬はイラン!

第28位 『モンスターハンター』 君たちの戦いはこれからだ!

第27位 『燃えよ剣』 試衛館から五稜郭まで2時間半1本勝負!

第26位 『ゴジラvsコング』 ウホッ いいゴジラ! 豪雨の中ビビりながら観に行きました…

第25位 『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』 風間くん、まだ生きてる!

第24位 『アイス・ロード』 リーアム・ニーソン寒冷地三部作完結編(かどうかは知らない)

第23位 『キーパー ある兵士の奇跡』 奇跡のあとはトラウマが待ってます…

第22位 『ガンズ・アキンボ』 ハリー・ポッターと死の遊戯

第21位 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』 デッドショットさんのことも時々は思い出してください

第20位 『とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー』 ♪ぷいぷい~ かけまわれ~ ぷいぷい~ べそをかけ~

第19位 『クーリエ 最高機密の運び屋』 あの雑誌とは関係ありません

第18位 『ノマドランド』 本年度アカデミー作品賞受賞作。競った『ミナリ』も車がおうちの話でした

第17位 『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 現場で足場を壊されると大変困ります!

第16位 『コンティニュー』 バトル・アクションとタイム・リープの見事な融合

第15位 『ドライブ・マイ・カー』 観ておいて、よかったとは思っているよ。やれやれだ

第14位 『東京リベンジャーズ』 ヤンキー・アクションとタイム・リープの見事な融合(またか) 日本でタイムリープすると大体青春が絡んできますね

第13位 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 2部の予定、はよ!!

第12位 『返校 言葉が消えた日』 かえってきた『ク―リンチェ少年殺人事件』。台湾も昔から和やかな国ではなかったという…

第11位 『シャン・チー』 つかもうぜ! ドラゴンリング!!

 

この辺は割と順位決め適当で特に16位~30位あたりは数日後考えたらまた順位変わってるかもしれません。

ではいよいよベスト10です。

187929_02

第10位 『マトリックス レザレクションズ』

色々ロングシリーズが終わった2021年。これもその1本…というか18年前に一応終わってたんですが、ひょっこり付けたしのように戻ってこられました。兄弟監督が姉妹監督になったり、そんで今回は姉のみが関わってたり、作風がずいぶん丸くなってたりするあたりに時の流れを感じました。

182538_02

第9位 『エターナルズ』

今年を代表する監督を一人選ぶとしたらクロエ・ジャオ監督になるかと思います。オスカーを獲得した『ノマドランド』や『ザ・ライダー』とはだいぶ毛色の違った作品のようで、根底に流れている暖かな視点や雄大な自然を背景とする美術には確かに通じるものを感じました。アメコミ映画の新たなる可能性を切り開いた1本でもあります。

181862_06

第8位 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

2006年から始まったダニエル・クレイグの007もこちらで完結となりました。コロナ禍で1年延期になってしまいましたが、じらされた分かえってこの結末が一層感慨深くなってしまった気はします。アマゾン・プライムで配信中のドキュメンタリー『ジェームズ・ボンドとして』と併せて観るとさらにこみ上げてくるものがあるかもしれません。ボンド役に彼が決まった時、本当に非難轟轟だったのですね… それを実力で跳ね返しシリーズに革新をもたらした功績に拍手。でも次回作でもクレイグさん続投を希望します。この際CGでもいいです。

Visual  

第7位 『DUNE/デューン 砂の惑星』

今年の秋は二時間半くらいのポンポさんが怒りそうな話題作が立て続けに公開されたのですけど、その中で自分が一番好みの作品を挙げるとするならこれかなあと。「続きは1作目の売上次第」という製作にもサンドウォームの襲撃と同じくらいスリルを感じました。またこれと併せて伝説の(笑)リンチ版も見たのですが、35年の技術の差と同じ話でこうも演出が変わるんだなあ…ということが感じられて大変面白い映画体験となりました。

Aec169eeec5eabc708c573e675621a29

第6位 『ブラック・ウィドウ』

約2年の空白の後、ついにスクリーンに帰ってきたMCU。その間自分がいかにこのシリーズに支えられてるか…ということがよくわかりました。これを皮切りに下半期はどやどやとアメコミ映画が公開されましたが、「おかえりなさい」の感動が大きかった本作品が今年のアメコミムービー第1位です。スカーレット・ヨハンソン(スカヨはん)も卒業おめでとう&訴訟お疲れさまでした。

6m8

第5位 『劇場版 呪術廻戦0』

昨日観たてホヤホヤの映画。それだけにまだ正式な評価があまり定まってない気もするのですが、今年の〆にふさわしい興奮と感動を与えてもらったので勢いで第5位。邦画お得意のジャンルにアニメ、純愛、伝奇アクション、ホラーがありますが、それらを全部混ぜ合わせてしかも面白い。原作既読の身でもそう感じました。

30000000006393

第4位 『ラーヤと龍の王国』

公開時TOHOとデ〇ズニーが大喧嘩したためあおりをくって注目をあびなかった不遇の作品。最近のD社の作品は土壇場で「いい人が実は極悪だった」と明かされるパターンが多いですが、こちらはそれを前提としてるという新しい試み。ラーヤが「わたしが一歩を踏み出す」というシーンは思い出すだけで鼻水が垂れます。おじさんこういうのダメなんです。

186424_02

第3位 『竜とそばかすの姫』

本年度興行収益も第3位。細田監督の作品というのはいびつな部分も欠点もそれなりにあるんですが、不器用ながらもいま一番情熱と本音が伝わってくるアニメ作家であります。この作品を通じ中村佳穂さんの透き通る歌声にあえたのもよかったです。来年は新海監督の新作がスタンバイ。ジブリの衰退が著しい今、この二人に加えもう一人ビッグスターの登場が欲しい所です。そいで1年ごとにローテーションが組めたら理想なんですが。

H210327_junkh_poster

第2位 『JUNK HEAD』

ポッコリーノ ペッコリーナ ポッコリーノ ペッコリーナ サーイ ナーイ タイカイ ゼー ダンボー! ビンビンパンパン ビンビンパンパン ビンビンパンパン ビンビンパンパン…

 

そして2021年度のトップです。

2201200_202107220102981001626941840e

第1位 シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

傷ついた友達さえ 置き去りにできるソルジャー…ってなかなかひどい歌詞ですよね。いや、そうじゃなくて。

やっぱりTVシリーズ1話からリアルタイムで観てた身からすると、このエヴァがちゃんと誰からも祝福される形で完結したというのが2021年の何よりもビッグイベントだったのでした。この25年間、「エヴァの完結編が微妙だった」という悪夢に何度悩まされたことか… 公開日の『エンドゲーム』以来の超殺伐としたネットの空気も懐かしく思い出されます。

『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』も控えている庵野監督。10年後くらいに『劇場版シン・シン・エヴァンゲリオン』でまたなつかしい面々に会えますように(やめましょう)

というわけで1~5位までがすべてアニメ作品になってしまいました。自分ももうかなりいい年ですしもう少し情操とか教養とか身に着けたいものです。

まだコロナウィルスが予断を許さないところではありますが、来年もいい映画、楽しい映画に出会えますように。では皆さまよいお年を。

 

| | Comments (8)

December 29, 2021

第18回SGA屋漫画文化賞

とうとう18回を迎えたSGA屋漫画文化賞(どこの誰も読んでないというのに)。1回目の時に生まれた世代がもう高校卒業なわけですよ。ふううう… 気を取り直してまいりましょう。例によって賞金も賞品もありません。むしろわたしがほしい。では去年に引き続いて私を今年支えてくれた3作くらいから。

Captain2

☆スポーツ漫画部門 コージィ城倉(原案:ちばあきお)『プレイボール2』『キャプテン2』

今年完結を迎えた『プレイボール2』。甲子園への道が危うくなったクライマックスのあたりとか、読んでて具合が悪くなるくらいでした。で、これで谷口君ともまたお別れか…と感傷的になっていたら、なんと並行連載されてた『キャプテン2』に引き続き彼も登場するという超絶ギミック。アメコミとかならともかく、野球漫画では前例のないことでは。というわけで来年も期待してます。

 

61qudn7vswl

☆格闘漫画部門 丸山恭右 『TSYYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

「なめてたコンビニ店員が史上最強の男だった」を地で行くこの漫画も第4部に突入。そのあまりの強さ故とうとう国家権力を敵に回してしまった川畑強。一個人では無敵でも絶対的な社会のシステムに対しその強さはどこまで通用するのか…? 納得のいかないことが多いこの世の中に川畑さんの必殺拳が炸裂することを願ってやみません。

 

51c2ryzapes

☆日常漫画部門:萩原天晴・上原求・新井和也 『1日外出録ハンチョウ』『上京生活録イチジョウ』

完結した『トネガワ』の後を受け新たに始まった『カイジ』スピンオフ新作が画像の『イチジョウ』。若いころなれない一人暮らしや都会での生活をした経験のある人なら「あるあるあるある」と言いたくなるネタが目白押しです。ただ楽しい反面おっさんが読むと、輝かしき青春時代を思い出してちょっぴり切なくなってしまうかも。それに対して『ハンチョウ』はひたすら癒ししかありません。ネタが尽きたらハンチョウの独特な視点で映画・マンガレビューなどしてほしいな…と思うわたくしでした。

 

続きまして今年に入って初めて読んだ4作品。

51v0z88anes

☆アメコミ関連部門:宮川サトシ/後藤慶介 『ワンオペJOKER』

『デッドプールSAMURAI』や『スーパーマンVS飯』などゆるいアメコミ関連ジャパコミが目立った2021年。その中で1作選ぶならこれを。事情で赤子になってしまったブルース・ウェイン。自分の生きる目的を失ってしまったジョーカーは「なら俺がバットマンに育てりゃいいじゃん!」という発想の大回転をかまします。そんなアホらしい話でありながら1話に1回はほっこりするハートウォーミングな作品。それでいいのかジョーカー(面白いからいいです)

 

71longptcnl

☆人間ドラマ部門 和山やま『カラオケ行こ!』

『女の園の星』も人気の和山先生の1巻完結のコミック。そのコンパクトさがいいよね! 実はこれ『アメト―――ク』の「漫画芸人」特集でどなたかに7割方ストーリーをばらされてしまったのですが、そしたら結末が気になってしまい翌日書店で買ってきてしまいました。どう考えても接点のなさそうな二人のすれ違いドラマ、みたいなのが好きな人におすすめ。

 

516tfiazihl

☆ギャグマンガ部門 酒井大輔 ゴリせん~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師~』

こういうタイトルになってますが本当にすぐ死んだら漫画は1話で終わってしまうわけで。普通なら瞬殺されてしまいそうな状況を異常な頑丈さで死亡フラグを叩き折っていく…という内容です。なぜか次々と怪物、宇宙人、殺し屋襲い来る学校で、己の教師人生を邁進しつづけるゴリせん(本名明らかになってたっけ?)。自分もこんな熱くてあったかい先生に教わりたかったな。

 

A1pyaop0dis-1

☆時代・歴史漫画部門 松井優征 『逃げ上手の若君』

時は室町黎明期。南朝により滅ぼされた鎌倉幕府執権の遺児である北条時行は、諏訪神社の助力を得て足利尊氏らに戦いを挑む… 言うても主人公の特技は「逃げる」ことなので、それを武器にどうやって逆転するのか…というのがこの漫画のキモのひとつです。

あと天下の少年ジャンプでこんなマイナーな時代のマイナーな人物を扱うとは、それだけでも応援したくなります。幸い現時点ではそこそこ人気ある模様。打ち切りにならずに無事ちゃんとした完結まで行けますよう。まあわたし検索して時行君の生涯読んでしまったのですが、歴史を踏襲するのか改変してしまうのか。

 

こちらはマンガじゃないのですが

811c0wig3al

☆漫画関連書籍部門 萩尾望都 『一度きりの大泉の話』

幻想コミックの大家萩尾望都先生が、若き頃交流してた竹宮恵子先生率いる「大泉サロン」を振り返った自伝。若き二人の天才の意気投合、切磋琢磨、そしてすれ違いは本当にドラマチックでございました。萩尾先生はこの本を「大泉での話を封印するために著した」とのことですが、これはかえってあのサロンの伝説性を高めてしまうのでは。駆け出しのころの萩尾先生のエピソードもひとつひとつが興味深かったです。

 

そして大賞です。

71r3p8ifyl

☆大賞 みなもと太郎 『風雲児たち』『風雲児たち 幕末編』

今年は終盤に来てさいとう・たかを先生、白土三平先生、平田弘史先生といった巨星が次々とこの世を去られましたが、このロングシリーズ『風雲児たち』を描き続けておられたみなもと太郎先生もお亡くなりになってしまいました。

多くのピンチを乗り越えて明治維新の数年前までた来ていたこの作品、きっとまた先生と共に復活するであろうことを心待ちにしていたのですが… この緻密な歴史模様をギャグで表現するという手法、継承できる人を見つけるのは至難の業ではあると思います。しかし誰か先生の遺志を継いで、たどり着いたであろう結末までひっぱってくれることを切望いたします。そして微力ながら先生が残した多くの遺産を次世代に向けて語り継いでいきたいとおもっています。

 

少ししんみりしてしまいました。明日はこれまた恒例の映画ベストをまとめます。

 

 

 

 

| | Comments (2)

December 21, 2021

2021年12月前半に観た映画

2021年もあと10日。心なしか除夜の鐘が聞えてきたような(まだはやい)。とりあえず見たてほやほやの今月前半に鑑賞した作品の感想をまとめます。今回は割りと結末近くまでばらしちゃってるのでご了承ください。

 

☆『ほんとうのピノッキオ』

一昨年イタリアで公開され、名だたる映画賞にノミネートされまくった作品。内容はというと、タイトルの通り誰もが知ってるあの童話を忠実に映像化したものとなっております。『ピノキオ』の映像化といえば昔のディズニー版やTVアニメ『樫の木モック』などが思い浮かびますが、今回はVFXを多用してるものの一応実写。そしてあのエグみたっぷりのファンタジー『五日物語』のマッテオ・ガローネが手がけるといぅ。どんなダークで残酷なピノキオになるのかと思いきや、なんとか子供たちが観ても楽しめる・ためになる映画になっておりました。「勉強もせず遊びほうけてばかりいると悲惨な目にあう」という教訓も非常に強く伝わってきましたし。ガローネ監督もやればできるじゃないですか。

ただ実写になったことで、ファンタジーなのに現実のきびしい面もよく描写されておりました。法の規制がしっかりしてない社会では、保護者のいない子供はずる賢い大人たちからひたすら酷使され、搾取されるしかないという。そういう点では昨年の『異端の鳥』なども思い出されました。

 

☆『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

ソニー独自のアメコミ世界「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の第二作。宇宙からやってきた陽気な寄生生物「ヴェノム」と、適当なジャーナリスト・エディのお気楽コンビが、自分たちのサイコパス・バージョン「カーネイジ」と激闘を繰り広げます。

わたしが昔読んだヴェノム初登場のコミックでは、この寄生体ってもっと冷血というかマシン的で無感情なキャラだったんですけど、この二部作ではすっかりかわいげのあるゆるキャラと化してしまいました。ま、映画のヒット具合や面白さを考えますとそれが正解だったといわざるを得ません。

ただ人外と人間のコンビというのは最後にかなしいお別れが待ってるもの。『うし○ととら』しかり、『寄○獣』しかり、『キル○キル』しかり(例外は『ド根性○エル』)。ヴェノムとエディもそうならなければいいな…と心配しながら観てました。嘘です。まだまだ2作目ですしドル箱であるこのシリーズをソニーさんがそう簡単に手放すわけはないんです。そんなわけで今年有数の安心感と共に一人と一匹の活躍とコントをたのしませてもらいました。

半善半悪であるヴェノムに対し、全く同情の余地も善性もないのがカーネイジ。その凶悪っぷりに、自らが生み出された存在なのにも関わらずノムさんはすっかりビビッてしまって「あいつは赤いから勝てない」などと言ったりします。なぜ… 赤いと3倍速いから? ともかくこの自分たちのスペックを上回る強敵を、ヴェノム&エディが彼らにしかない強みで逆転するくだりは燃えました。これは恐らく石川賢先生の名作コミック『ゲッターロボ対ゲッターロボG』のオマージュであるかと思われます。間違いあるけどない。

 

☆『アンテベラム』

☆『ラストナイト・イン・ソーホー』

この2本は共通点多かったのでまとめて。『アンテベラム』は現代に生きる黒人女性が南北戦争の時代にワープし、『ラストナイト~』は2020年代に生きる女の子と1960年代の幻想が時を越えて結び合わされます。ほんで先回紹介した『マリグナント』もそうなんですけど、非力な女性がすごく理不尽な目に合わされ、それでも最後は自分の力で決死の抵抗を試みるという流れ。途中であっと驚く意外性が用意されてるところもおんなじ。わたしそんなに怖い映画観てないんですが、最近のホラーの傾向なんでしょうか。

もちろん各作品それなりに差異もあります。一番幻想味が濃いのが『ラストナイト~』。島田荘司先生が提唱する「本格ミステリー」的なのが『アンテベラム』。ギリギリSFなのが『マリグナント』といった感じです。

『ラストナイト・イン・ソーホー』はエドガー・ライト監督の出世作『ショーン・オブ・ザ・デッド』を思い出させるところもあり。ロンドンが舞台の友情物語であったり、一応ホラー風味であったり、ほっとするようなぞっとするようなオチなどなど。面白く観ましたが終盤あまりにも殺伐としてたので口直しにそれこそ『ホット・ファズ』など観ていやされたくなりました。

 

次回は『マトリックス:レザレクションズ』『皮膚を売った男』『キングスマン:ファーストエージェント』あたりの感想となるか、先に本年度漫画ベスト・映画ベストの記事となるか。

| | Comments (8)

December 13, 2021

2021年11月に観た映画。

今年の感想、今年のうちに… というわけで11月に観た映画の感想です。

☆『エターナルズ』

劇場でのMCU最新作。伝説で語られていた神々が、実は太古地球にやってきた宇宙人だったら…というストーリー。

わたしこういう話好きなんですよね。はるかとおい昔と現代のつながりを綺麗に描いている物語。あくまでフィクションではありますが、想像するだけで気が遠くなるような太古の時代がぐっと身近に感じられる気がして。

悠久の時を生きてる神々たちがやけに人間くさく、お互いくっついたり離れたりを繰り返してるのが違和感ある人もいるようですが、それはたぶん本ネタのギリシャ神話の神々が欠点含め人間に近い存在…というかやらかしばかりだからですね。まだエターナルズの皆さんの方が元ネタの神々よりちゃんとしてると思います。

監督は春にアカデミー作品賞・監督賞をゲットしたクロエ・ジャオ氏。『ノマドランド』と同じく俳優の素の性格に合わせてキャラを形作っていったとのことですが、そんな三谷幸喜的な「あて書き」でアメコミ映画を撮ったというのがなんとも面白いじゃないですか。

無理にMCUに組みこまずとも一本の作品として成立できたのでは…とも思いますが、そうでなければ企画が成立しなかっただろうし、ここまで注目もされなかっただろうし。そもそも原作マーベルですし。むずかしいところであります。

 

☆『アイの歌声を聴かせて』

こういうタイトルですが歌うのはアイちゃんじゃなくてシオンという名のAI。そして主人公は彼女じゃなくサトミさんという普通の高校生…というところがちょっとややこしいです。

このアニメはスルー予定だったのですが、ネットの評判があまりによかったので半ば流される形で鑑賞しました。あと共同脚本が『コードギアス』『プラネテス』の大河内一楼氏だったから、という理由もあります。彼は本当に気落ちしてる時に自分の大切な人に暴言を吐いて傷つけてしまう…というシチュエーションが好きですね… それはともかく私が気に入ったのはイケメン優等生の「ごっちゃん」に関するくだり。なんでもそれなりに出来ちゃうために物事に対する情熱が抱けない、『桐島、部活やめるってよ』の東出君みたいなキャラ。「親友がいない」と寂しげに語る彼がシオン、サトミらと事件に巻きこまれていくうちに、本当の友達を得ていくのがなんとも微笑ましく。それは主人公のサトミちゃんもそうなんですけど。

少し前の『竜とそばかすの姫』と共通する要素も幾つかありましたが、あちらのテーマがネットであるのに対し、こちらはAIであるのが監督の嗜好を表わしてる気がします。

 

☆『アイス・ロード』

ついつい観てしまうリーアム・ニーソン主演のアクション映画。今回はカナダの氷上で『恐怖の報酬』じみたミッションに挑みます。といってもトラックにニトロを積んでるわけでもなく、いつ割れるかわからない凍った湖の上をひたすらぶっ飛ばすお話です。カナダには実際に冬季限定のそういう道があり、暖かくなると当然通行禁止になるんですけど、タイミングよく?ギリギリ封鎖の時に人命救助のため走らなければならなくなるという。そういう面白い設定を見つけてきたところをまず評価します。

これ、海外の評論サイトではなかなかきびしい点がついていますが、たぶんむこうでは配信限定だったからでは…と思います。巨大なトラックの爆走音も、分厚い氷がバキバキ割れていく迫力も、テレビサイズではどうしても半減しますからね。スクリーンで観てこそ映える作品です。

ただ氷の上を走るだけだと100分もたないので、もたせるための工夫が幾つかあります。その辺を「よく考えた」と取るか「よけいな要素」と取るかで意見が分かれそう。自分はもちろん前者です。

 

☆『マリグナント 凶暴な悪夢』

『ワイルドスピード/スカイミッション』『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が制作費をぐっとおさえて(前2本の1/4くらい)、それでも赤字になってしまった作品。だのにホラーファンからは大絶賛という… ホラー苦手なんですけど、こちらもネットでの評判に押されて観ました。つくづく流されやすい人間です。

そんなわけでビクビクもので臨みましたが、やたらとにぎやかだったせいか、あまりびびらずに楽しめました。いざブツが出て来る時にはBGMで心の準備をさせてくれたり、息抜きのコメディパートがあったのもチキンにはありがたかったです。そして怪物の正体がとうとう明らかになるシーンでは失礼ながらちょっと笑ってしまったり。その一発ネタを明かすまでの話の運び方がなかなか上手だったと思います。

感心したのは主人公を一生懸命支えようとする妹さん。本人は悪くないとはいえ、あんな明らかに尋常じゃないお姉さんの秘密を目の当たりにしたらドンびきしそうなものですが、それでも彼女への愛に一点の曇りもないという。一昔前だったらこういう役回り、イケメンの恋人が担ったんでしょうね。というかつい一昨日観て来たホラーはそうでした。

 

☆『カオス・ウォーキング』

厳密にいうとこれは12/1に観た作品。監督にダグ・リーマン、キャストにトム・ホランド、マッツ・ミケルソン、デイジー・リドリー…といった布陣でいかにも鉄板そうだったのにこれまた大赤字となってしまい、日本では遅れた上にやや小規模公開となってしまいました。

思考が周囲に駄々漏れになってしまう惑星の、男だらけの開拓村に、久方ぶりに母星からの女性がやってきて…という話。発想はユニークだしストーリーも誠実なんですけど、「宇宙SFなのにほぼ背景が森林と農村」だったのが敗因のひとつかと。原作が真面目なジュブナイルSFだと時々起こる現象です。なぜかひたすら地味になってしまう。『ギヴァー』とか… あれ、ほかにもっとなんかあったような。

それでもトム・ホランド演じる純朴な少年が傷つき、それをヒロインのデイジーさんが慰めるシーン等は少々鼻水を搾り取られました。そのホランド君が傷ついた原因については大激怒でしたが。えー、トータル的にはこれも鑑賞料金くらいには楽しめました。

 

11月に観た作品は『エターナルズ』以外はそんなに楽しみにしてたわけでもなく、ちょっと消化作業に近いモチベーションではありましたが、そのせいかどれも期待以上に楽しかったので良かったです。次は『本当のピノッキオ』『ヴェノム レット・ゼアー・ビー・カーネイジ』『アンテベラム』『ラストナイト・イン・ソーホー』について書きます。

 

| | Comments (5)

« November 2021 | Main | January 2022 »