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September 29, 2021

2021年7月に観た映画 その2

ここんとこ2か月遅れが標準になってるな。もすこしペース上げていきたい…

で、7月後半に観た映画の感想です。

 

☆『竜とそばかすの姫』

現在新海誠監督と並び称されるヒットメーカー細田守監督の最新作。今夏最も観客を集めた作品となりました。

近年アンチもだいぶ増えた細田監督ですが、自分はやはりひきつけられるもの… 透明感のあるキャラ、美しい映像と音楽、独特な着想、どこに着地するかわからないストーリー …が多く、高く評価しております。

どこか収まりが悪く、一種いびつな要素もあることはありますが、そういうのも個性の一つと,してとらえております。不思議なことに海外での評価はだんだん高まっていってるんですよね。「あちらの評価が正しい」って言いたいわけではないですけど、もしかすると身近な日本人だからこそ監督のカラーにひっかかる人も多いのかな、なんてことを考えてました。

あとネットの世界で決着をつけた『サマーウォーズ』に対して、今回はあくまで現実の世界にクライマックスを持ってきたのに心境の変化的なものを感じました。

 

☆『スーパーヒーロー戦記』

少し前、東映さんが登場ヒーローはやたら多いけど脚本は超雑な「春映画」と呼ばれたシリーズ?がありました(公開時期が春だったので)。反省したのか路線変更したのかちょっと間がありましたが、その「春映画」が夏に帰って参りました。ただ今回は久しぶりなせいで見る目が甘くなっているのか、その力の抜けた感じがまあまあ心地よかったです。ライダー映画には映画限定の「謎の少年」が関わることが時々あるんですけど、今回のその正体には初めて驚かされました。

新ライダーである『リバイス』の特別編が丸々1話同時上映されるのがサプライズ。「悪魔と契約するライダー」と聞いていたので「おっ 今回はかなりシリアス路線でいくんだな」と思ってましたがそんなことは全く無さそうです。

 

☆『映画大好きポンポさん』

ネットで好評を博した漫画の劇場アニメ化。人脈と実力と資金力を併せ持つプロデューサー・ポンポさんと、大作の監督に抜擢された無類の映画好きの青年・ジーン君の、ひたすら楽しく時々しんどい作品作りの内幕が描かれます。

わたしもそれなりに映画観てますが、このアニメで改めて学ばされたのは「編集」の重要性。「映画は90分がベスト」ということで膨大な映像を取捨選択しなければいけないジーン君の苦労がよく伝わってきました。ただ個人的には映画の尺は2時間くらいが一番ちょうどいいと思います。

このアニメもここんとこの力作に引けをとらず、「背景力」「美術力」に唸らされるシーンが何度かありました(劇中劇の山麓の風景とか)。あと普通の作品ならイヤな性格になりそうなキャラがみんないいヤツなのにほこほこいい気分にさせられました。

 

☆『返校 言葉が消えた日』

台湾で大ヒットしたホラーゲームの映画化。自分不勉強で知らなかったのですが、かの国では戦後言論・思想が厳しく統制されていた時代があったそうで。その「白色テロ」のころが舞台背景となっております。

ですからホラーで怖がらせるというより、不幸な時代に懸命に生きた人を追悼するような作りになっております。ギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』に近い空気も感じます。

監督が言うにはあちらの方にとって何よりのホラーなのは、台湾がまた「白色テロ」の時代に戻ってしまうことなんだそうで。ちょうど今アフガニスタンでもそんな事態が進行しており、わが国でも決して起こりえないとは言い切れません。そんな風に考えると確かにぞっとするものがあります。

『ク―リンチェ少年』を意識したノスタルジックな風景、主人公が迷い込んだ場所は一体どこなのか…というミステリー、残酷なストーリーの中秘められた一抹のやさしさなど、こちらも惹きつけられるところがたくさんある作品でした。なんとなく興味本位で観に行ったら強烈なカウンターパンチを食らった感じです。

 

☆『とびだせ! ならせ! PUI PUI モルカー』

モルモットと車が融合した不思議な生き物モルカー。その活躍を描いたTVアニメに、3D・4D効果を付け加えて劇場公開したもの。といっても1話2分30秒で12話しかないため、全部ひっくるめても30分程度にしかならなという。それでも私が見た回はまあまあ埋まってたのでたいした人気であります。

この上映のポイントは特典として渡される「モルカーボール」。押すとモルカーのプイプイという鳴き声が発せられるのですが、これを上映中幾らでも好きなだけ鳴らしていいいという。案の定始めから終わりまで館内に響き渡るプイプイプイプイプイ… これが滅法たのしい。もちろん自分も童心に返って鳴らしまくりました。

それを抜きにしても発想・造形・ストーリー、どれをとっても面白すぎる作品。日本では影の薄いコマ撮りアニメがこんなに注目を浴びてることもうれしいです。作成に時間のかかるのはわかりますが早く2期をよろしくお願いします。

 

☆『サイコ・ゴアマン』

勝気な少女ミミが裏庭から掘り出した奇妙な石。それは最強最悪の魔王「サイコ・ゴアマン」を操ることのできる恐るべきアイテムだった… 予告からすごくくだらなそうな雰囲気がビシバシと伝わってきたのですが、どうしても観たかったので厚木まで足を伸ばして行って参りました。…うん。予想に違わぬくだなさでしたね。十分満足させてもらいました。

監督さんは80~90年代の日本特撮が好きだったそうで、CG全盛のこの時代に造形面ですごく手作りっぽい暖かい雰囲気が漂っておりました。お話も雨宮慶太監督が井上敏樹、もしくは浦沢義雄脚本で好き放題やらかした感じ。宇宙怪物が突然珍妙な日本語をしゃべりだすあたりなどは恐らくリスペクトだったのでしょう。

ゴア描写さえとっぱらえば普通にキッズムービーとして公開できただろうに…とも思いましたけど、まあ子供たちに観てもらおうとか考えてないんでしょうね。ひたすら自分の観たいものを作る、そのスピリットは見上げたものです。

 

今年もはやいものであと3ヶ月。次回は『ワイルドスピード ジェットブレイク』『クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園』『ザ・スーサイド・スクワッド』『フリー・ガイ』などについて書きます。

 

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September 05, 2021

2021年7月に観た映画その1

先々月は色々大変だったのですが、今年でいままでのところ最も多く映画館に行ってました(12本鑑賞)。なぜだ…

ともあれ本日は7月前半に観た作品の覚書をば。

☆『ゴジラvsコング』

今年最も待望していた映画のひとつ。内容は…内容はないな! うん!

公開が遅れたためにあの怪獣登場のネタバレが出ちゃったりとか、監督が「今回は決着でどっちかが死ぬ」とか言ってたのが大嘘だったりとか、ちょっと残念だったり騙されちゃったりということはありましたが、観たいものは十分見せてもらったのでOKです。

2014のシリーズ開始の時は妙に格調高いというか小難しいところがありましたけど、結果的に見事なバカ映画でいったん一区切りついてしまったモンスターバース。ただ前作『キング・オブ・モンスターズ』のマイケル・ドハティ監督が情熱の赴くままに狂っているのに対し、本作品のアダム・ウィンガード監督はそれなりに計算しておバカをやっているように感じられました。

最初に述べたようにこの映画を見た翌日すぐ近所でけっこうな惨事があったのですが、それはまた別の話。

 

☆『ブラック・ウィドウ』

今年最も(略)。コロナ禍のため1年以上お休みとなってしまったMCUがようやっと銀幕に帰ってまいりました。宇宙や異次元をも股にかけるMCUですが、今回はかなり現実寄りの世界観。まあそれがこのキャラには合っているんじゃないでしょうか。

わたくしこの作品でナターシャ・ロマノフ復活の希望みたいなものが語られるんじゃないかとちょっと期待してたんですけど、どうもそれはなさそうですね… 演じるスカーレット・ヨハンソンもきっぱり「卒業」とおっしゃってましたし。ただコミックではヒーローが死んだり生き返ったりということは本当に日常茶飯事なのでいつでも軽率に帰ってきていいと思います。

二代目と思しきフローレンス・ピューさんも大活躍。ナターシャ姉さんに愚痴ったりケンカしたりをさんざん繰り返した後に、笑顔で別れを告げてマシンに突っ込んでいくシーンなどはおじさん鼻水駄々洩れでした。

『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンターソルジャー』といったMCUのドラマ群ももちろん面白いんですが、やっぱ「映画」は自分にとって別格だなあ…ということを再確認。

 

☆『東京リベンジャーズ』

今大人気の少年漫画の映画化。ちょっと懐かしいジャンルになってしまった「ヤンキーもの」に時間SFの要素を取り入れたのが中々面白いコンセプトであります。

主人公の花垣武道君はしょぼかった学生時代で青春をやりなおし、そこで関羽・張飛みたいな豪傑に見込まれて共に戦うことになるわけですが、もちろんそれで急激にケンカが強くなるわけではありません。それでも弱いなりになんとか事態を打開しようとするあたりに手に汗握って応援させられてしまいました。

主演が北村匠海君で漫画原作で東京の底辺の若者たちを描き、ヘナチョコの主人公がどん底に落ちてから一年発起して立ち上がる…と昨年の『とんかつDJアゲ太郎』と重なるところが多々あります。だのに売り上げで大幅に差がついてしまったのはなぜなんだろう…

 

☆『夏への扉 -キミのいる未来へ-』

こちらはロバート・A・ハインラインの名作を日本に置き換えての映画化。『東京~』と同じ日に観たので図らずもイケメン主演のタイムスリップ映画をハシゴすることになりました。

原作はだいぶ昔に読んだのですけどもう細かいところはだいぶ忘れておりまして。それだけに新鮮な驚きと共に味わうことができました。あとで調べたら舞台設定以外はけっこう原作に忠実に作られていたようです。付け加えられた要素としてはどう見ても藤木直人のアンドロイド君。このアンドロイドのずれた会話や、私たちと同じ世界のようでちょっと科学が進んでいるパラレルワールドの描写がいちいち楽しゅうございました。

あと『夏への扉』といったらなんといっても猫であります。その点でもこの映画よく出来てました。ピートを演じる猫さんの髭が垂れ下がってリところとか、家で前飼ってた猫を思い出してしんみりしてしまいましたよ…

 

この月は車でちょっと遠出して、鎌倉近くにある「シネコヤ」さんという映画館で人形アニメの特集上映も観に行って参りました。

1本目は「川村喜八郎」特集。作品は『花折り』『鬼』『詩人の生涯』『道成寺』『火宅』の5作品。

NHK人形劇『三国志』も手掛けておられた方なのですが、あの精巧な人形でドロドロした情念が鬼気迫る演技で描かれ、背中をおぞ気が幾度も走りました。今回唯一の絵アニメである『詩人の生涯』は原作安部公房ということもあり、シュールで想像もつかない展開にニヤニヤ笑っちゃったりもしましたが。

2本目は「岡本忠成」特集。こちらは『みんなのうた』の『メトロポリタンミュージアム』などで知られている方。今回は『チコタン』『サクラより愛をのせて』『注文の多い料理店』『虹を渡って』『おこんじょうるり』というラインナップ。

川本先生と比べると優し気な作風ですが、一部でトラウマアニメとして伝説的の語られている『チコタン』はやはり強烈でした。終了後館内の空気が凍りついたかのようでした。一方で『おこんじょうるり』は「ソフトな『ごんぎつね』」とでも言いましょうか。限りなく優しく、かわいらしく、そして切ない宝石のような作品。ぜひ後世に語り継いでいかなくてはなるまい…と心に誓いながら涙と鼻水とよだれにまみれて鑑賞いたしておりました。

次回は『竜とそばかすの姫』『スーパーヒーロー戦記』『映画大好きポンポさん』『返校』『モルカー』『サイコ・ゴアマン』について書く予定です。

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