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December 15, 2020

2020年11月に観た映画を振り返る

師走もあと半分。今年のうちに振り返りきろうとがんばって更新いたします。今日は先月11月に観た映画のまとめをば。

 

☆『ある画家の数奇な運命』

『ローマ』とヴェネツィア金獅子賞を争ったドイツ映画。序盤はなかなか画家の話にならず、ナチス支配下で悲劇に見舞われたある女性の半生が描かれます。で、その女性の甥が画家になるわけですが、序盤のお話はどういう意味があったのだろう…と考えていたら思わぬところでズバーン!!とつながってきてたまげました。

まさに「数奇な運命」の物語なのですが、あまりにも偶然が過ぎるゆえにてっきりフィクションだと思い込んでいたら、これ実在の芸術家がモデルになってるそうで(ゲルハルト・リヒターさん)。まあ創作部分もいっぱい混じってるでしょうけどね… ちなみに当初協力的だったリヒターさんは完成品を観るや大激怒されたとか。

戦後まもなくのドイツの流れや前衛芸術の黎明期については良く知らなかったので、その辺は面白く勉強させてもらいました。

 

☆『異端の鳥』

こちらは『ジョーカー』と金獅子賞を争ったチェコ・スロバキア・ウクライナ映画。映画祭の上映中退出者が続出したといういわくつきの作品。

第二次大戦下の東欧のどこか。保護者である祖母を失ったユダヤ人の少年は、たった一人で戦火と虐殺が跋扈する地獄の世界をさまよい続ける。

いやあ、聞きしに勝るひどい映画でした。年端もいかぬいたいけな子供が行く先々でひたすら痛くてひどい目に遭い続ける話なので… モノクロ作品で刺激が抑えられているのがせめてもの救いです。でもきっと今も世界のあちこちでこういう惨状が繰り広げられているのでしょうね。

原作は1972年にイェジー・コシンスキーという作家が書いた小説で、作者の経験を元にして書いたのでは、なんてことが言われてます。で、作者のその後を調べるとまたなんとも切なくなります。

 

☆『とんかつDJアゲ太郎』

前の作品との落差がアレすぎる… 直前に二人の逮捕者を出しながらもなんとか公開を実現させた奇跡の作品。一発芸的なネタ映画かと思いきや、それなりにちゃんとした青春音楽ムービーとなってました。アホ丸出しの元気な若者が失敗を重ねて、仲間と恩師たちに助けられ、成長しながら周りをハッピーにしていく… そんなお話です。

特筆すべきはクライマックスにおけるクラブのグルーブ感と、揚げたてのトンカツのジューシー感。五感をフルに刺激してきます。

あと映画版『バクマン』そうでしたが、「女の子に好かれるために始めたのに、いつの間にか純粋にその魅力に取り付かれていく」という『スラムダンク』パターンにわたし弱いんです。

 

☆『ストレイ・ドッグ』

「ニコール・キッドマンが美貌をかなぐり捨てた」ということで話題を呼んだ作品。LAのはぐれ刑事エリンにはかつて潜入捜査において凶悪犯を取り逃がし、犠牲者を出してしまった苦い過去があった。十数年を経て因縁の標的が戻ってきたことを知った彼女は自分の手で決着をつけようとする。

女刑事のハードボイルドものであると同時に、よく練られたミステリーでもあったり。あまり書くとネタバレになってしまうのでやめときますが、この脚本のテクニシャンぶりにはうならされました。またびっくりするだけでなく、表題のようなヒロインの傷だらけの人生に胸がヒリヒリとさせられます。

邦題は邦題でいいと思うんですが、原題は『DESTROYER』となっております。観終った直後は「?」となりましたが今はなんとなくわかるような。

 

あとこの月は吹き替え版で全国公開となった『羅小黒戦記』を2回観ました(通常版と4DX版)。字幕版とあわせて1年の間に通算4回観たことになるわけですが、このアニメ、観れば観るほど好きになりますね。拡大公開されたことでさらに多くの人々の目にふれ絶賛されてるのが嬉しい限りです。

 

 

 

 

 

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Comments

伍一くん☆
「異端の鳥」と「とんかつアゲ太郎」が並んでいるのがなんともふり幅の広い選択ね!?
「異端の鳥」は原作の方が辛い事がさらに多いと言うのが、一番の驚きでした~

Posted by: ノルウェーまだ~む | December 16, 2020 03:51 PM

>ノルウェーまだ~むさん

この2本同じ日に続けて見たのですが、『異端の鳥』を後にしてしまったので非常に暗い気分で帰りました。
原作がつらいというか、原作者の人生がしんどいのです

Posted by: SGA屋伍一 | December 24, 2020 10:30 PM

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