3月後半に観た映画を振り返る 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』『サーホー』『彼らは生きていた』『スウィング・キッズ』
いよいよコロナ禍が迫ってきた3月後半に観た映画についてダラダラと書きます
☆『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
あれこれまだ上映してるんじゃないの… コロナが押し寄せる前に公開された最後の洋画大作。DCユニバースで近年人気が急上昇してるヴィラン「ハーレイ・クイン」(ずっと俺、「ハーレクイン」だと思ってたよ…)を中心に、ゴッサムシティの女傑たちが事件に巻き込まれた少女を守って戦うストーリー。バーズ・オブ・プレイというのは確かバットガールとブラック・キャナリーが中心のヒーロー色の濃いチームだと思ったのですが、この度はハーレイを目立たせるためかバットガールは不在で、どっちかというとアウトロー寄りのグループとして描かれてます。
ので、ハーレイは基本的に正義の味方ではなく、自分の欲望の赴くままに行動してるだけなのですが、「ま、子供くらいは守ってあげないと」というなけなしの倫理観でもってさらに悪どいやつらと対決することになります。この子悪党と悪ガキのコンビの奇妙なパートナーシップがなんだかツボにはまりました。
ポリコレ的な観点で絶賛される本作ですが、それを抜きにしても「ひねりまくった構成」「立ち位置の違うメンバーたち」「決戦の舞台」などなど十分面白い映画だと思いました。あと死んだと思ってたアレが生きていたのが大変高ポイントです。
☆『サーホー』
『バーフバリ』でインドの映画記録を塗り替えたプラバースが、今度は現代の暗黒街で大暴れするお話。
得体の知れない風来坊が実は…という遠山の金さん的なキャラは今回も健在であります。まあこの無邪気で親しみやすい青年と、周囲を圧倒するカリスマの両方を自然に表現できるところがプラバースさんのスターたるゆえんなのでしょう。
わたしがこの映画を観ようと思った動機のひとつは、プラさんがジェットパックでビル街をギュイーンと飛んでく姿を予告で観てテンションが上がったからです。その辺は決して長くはありませんでしたが期待通りの映像でした。
あとインド映画で度々みられるように、この映画もお父さんを慕うお話なんですね。日本ではいい年こいた男が「やっと離れ離れのおとうさんと一緒に住める」とかあまりないと思うのですが(母親だったらありそう)、インドではそういう父孝行がむしろ普通なようですね。
☆『彼らは生きていた』
『ロード・オブ・ザ・リング』などで知られるピーター・ジャクソンが第一次世界大戦の記録映像をカラー化し編集したもの。約100年前の実際に存在していた人々が色彩を伴って蘇ってくるというだけでも価値ある作品。戦争なんでもちろん色々シビアだし人もいっぱい死んでるんですけど、現代のそれと比べると少々のんきな部分もあり。逆にたった100年で殺し合いはここまで進化してしまったのか…と考えると空恐ろしいものがあります。
とりわけきついな~と思ったのが衛生面に関することですね。しょっちゅう涌くシラミに悩まされたとか、紙がないから手で拭いた、とかね。あとなんか面白かったのが捕虜にした兵士が虐待されることもなく、すぐ仲良くなっちゃったとか。これも第一次大戦のちょっと独特なとこだと思いました。
☆『スウィングキッズ』
朝鮮戦争終結後の韓国側の捕虜収容所という変わったところが舞台の作品。北の思想に心酔し反抗を繰り返す青年ロ・ギスが、米軍の兵士から教わったタップダンスにひかれていき、チームを組んで公演するまでになるのですが
まず主人公たちの躍動する姿がまことに力強く、美しく、こぎみよい。加えてダンスチームのメンバーが最初こそ珍妙に見えるのですが、彼らの事情を知るにつれどんどん愛おしくなっていきます。
ただねー 楽しいのは本当に前半までなのですよ。後半はダンスを楽しみたい思いと、北側の仲間の圧力とで板挟みになるギスが見ていてつろうてつろうてつろうて… こんだけ前半と後半のトーンが切り替わる映画は『ライフ・イズ・ビューティフル』以来のような気がします。
最強の人間兵器みたいに噂されてたギスの兄が、どんなモンスターかと思いきやいざ登場したら… この辺も微笑ましい反面なんとも痛切なエピソードでした。やっぱイデオロギーが全部悪いね…
次回は『AKIRA』、『新・喜劇王』、『レ・ミゼラブル』(2019)、『ピーナッツバター・ファルコン』について書く予定。
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