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March 26, 2020

2020年2月前半に観た映画(ミステリー特集) 『ナイブズ・アウト』『9人の翻訳家』『カイジFG』『バッドボーイズFL』

いやはや大変な状況になってきました。こんな時に映画の話でもないだろうとも思いますけど、書き残しておかないと忘れそうなので…

2月前半はたまたまミステリー映画が重なりました。まずはアメリカ代表から

 

☆『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

世界的ミステリー作家が突然の死を遂げた。「自殺」で落ち着きそうなところへ、謎の依頼人から呼ばれたという探偵が現れ、さらなる波乱が巻き起こる。

ニブチンのわたしでも早々に事件の真相が読めてしまったのですが、キャラの設定とか、ストーリーの見せ方とか、クライマックスの展開などがうまかったと思います。

特に印象に残ったのは作家の看護師のお嬢さん。正直者過ぎて嘘をつくとゲロを吐いてしまう特殊な性分。監督自ら「アガサ・クリスティーのオマージュ」というようにダニエル・クレイグがポアロでも全く違和感ありませんでしたが、このゲロ要素だけはアガサさんにない部分でした。

この映画を皮切りになぜか映画で女の子が吐く描写が流行りました。ミステリーですね。

 

☆『9人の翻訳家/囚われたベストセラー』

フランス代表。多言語同時出版を目指すべく、各国の翻訳家たちを缶詰にして同時進行で作業に当たらせたという、実際にあった話に着想を得た作品。その小説というのはダン・ブラウンの『インフェルノ』だったそうですけど、劇中で「金儲けのために人を人とも思わぬ所業」とめちゃくちゃDisられてました。

こちらは殺人事件より「誰が密封状態の施設から作品の内容を他所にもらしたか」というのがメインの謎となっています。監禁状態とはいえいろんな国の人たちがわちゃわちゃ共同作業してるのは楽しそうだな~~~と思いながら観ていました。それだけに裏切り者?のせいでだんだんムードがギスギスしていくのが辛うございました。

最大の悪役である出版社社長がもういいおじいさんなのに、無駄にキラキラしたイケメンなのが印象に残りました。調べたら『神々と男たち』では実在の高潔な神父さんを演じてましたね。

 

☆『カイジ/ファイナルゲーム』

日本代表。これはミステリーというよりサスペンスかな… ツイッターでの評判が最悪だったのでおっかなびっくりでの鑑賞でございました。ところが意外と普通に楽しめました。そりゃ「勝利を自慢したいあまり、イカサマのネタを大声で喧伝してしまう」とか、目が点になってしまうところも色々ありましたけど、それなりに逆転への伏線などは上手に張り巡らしてあったと思います。そしてなにより藤原カイジが十年経っても変わらずそのまんまだったのが大変うれしゅうございました。

 

で(こっからは重要なネタバレを含みます)、この3作、

 

 

 

どれも若者と老人の友情物語でもあるんですよね。この辺が和むところでありました。「老害が」「若造が」とかく異なる世代いうのは対立しがちなものですが、やっぱりそういうのよくないと思うのですよ。年が離れていてもお互い大事な存在になれるって素敵なことであります。うんうん。

 

そしてもう一本。これはミステリーというよりアク・ションですけど

☆『バッドボーイズ/フォー・ライフ』

マイケル・ベイ印の火薬てんこもり刑事ドラマシリーズ。実は1・2を観てないのにトマトの数字が良かったからという軽薄な理由で鑑賞にのぞみました。今回はベイが監督じゃなかったせいかけっこうしんみりする要素もあり。あとこれにも高齢者と若者たちの心温まるお話や、主人公を狙う暗殺者の正体は?という謎要素があったりしました。

一点だけ気になったのはウィル・スミスが一介の刑事なのに、やけに高級そうなマンションに住んでたことですね。決してうらやましいわけではあります。

 

 

次回は『この世界の さらにいくつもの 片隅に』『エクストリーム・ジョブ』『1917』『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』『野性の呼び声』などについて(気力が沸いた時に)書きます。

 

 

 

 

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March 06, 2020

2020年1月後半に観た映画 『人間失格(アニメ版)』『フォードvSフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』『ゴッホが見た未来』『キャッツ』

☆『HUMAN LOST 人間失格』

『蒼穹のファフナー』や『天地明察』で知られる冲方丁氏が、太宰治の名作を大胆に翻案したSFアニメ映画。どのくらい原典が活かされてるのか気になって鑑賞して来ました。まあぶっちゃけちゃうとやっぱり『人間失格』というより原作版『デビルマン』に近い作品でありました。

とりあえず主人公の大場葉蔵氏は「ダメ人間なのに女性に好かれる」「関わる女性がみな不幸になる」という点は共通しておりましたが、まだ大宰版に比べれば倫理的にまともな青年でありました。

ポリゴン・ピクチュアズ製作で、宮野真守が櫻井孝宏に操られ、ヒロインが花澤香菜。そんで人智を越えた怪物が文明を破壊しようとする…といった流れはアニメ版『GODZILLA』三部作の別ヴァージョンのようにも思えます。近未来のお話なのにやたら昭和的ムード、要素を大切にする世界観が独特で面白うございました。

 

☆『フォードvsフェラーリ』

「フェラーリ」と付いてるのでF1の話かと思い込んでいたら、1960年代のル・マン24時間耐久レースに材を取ったお話でした。あとフォードとフェラーリが激突するというより、フォード内部でマット・デイモン演じるエンジニアとクリスチャン・ベール演じるレーサーが、己の道を貫くために奮闘する話だったり

で、この武骨な男二人の絆が深く胸を打つ映画でした。今どきの洋画でどつきあった果てに「やるじゃねえか、お前」みたいな感じでお互いを認め合う番長漫画的なアレが見られたりします。あとからこのくだりを思い出すとなんとも微笑ましかったり、切なくなったりします。

レーサーのケン・マイルズという人はあちらではさぞ知られてるのかと思いきや、そんなにメジャーでもないみたいで。テスト走行で火だるまになりかけた直後に、また平然とマシンをかっ飛ばしてる肝っ玉の太さには唖然とさせられます。あと主人公よりと見せかけて色々足を引っ張ってくれるフォード会長が小憎らしゅうございました。

 

☆『ジョジョ・ラビット』

『フォード~』と同じく本年度アカデミー賞作品部門有力候補だった映画。第二次大戦末期のドイツ。気弱な少年ジョジョはイマジナリーフレンドのヒトラーに励まされて、第三帝国の繁栄のため自分にできることをしようと頑張るのですが…

ナチス・ドイツを題材にしてるわりに全体的に陽気なムード。その辺が不謹慎というか手ぬるく感じる人もおられるかもしれませんが、突き刺すところはグサッと突き刺してきます。あと残酷シーンが少ないおかげで年少者たちに戦争の悲惨さを伝える入門編としても使えると思います。

こちらも主人公ジョジョと親友ヨーキーの素朴な友情にほっこりさせられました。途中ジョジョがロボット状のコスチュームをまとうシーンがあるのですが、スカーレット・ヨハンソンとサム・ロックウェルが出てることからして、『アイアンマン2』へのオマージュだったのかもしれません。もしくはただの偶然です。

あの後ジョジョとヒロインが『火垂るの墓』のようになってしまわないか少し心配ですが、作品の雰囲気からしてたぶん大丈夫でしょう。

 

☆『永遠の門 ゴッホが見た未来』

『潜水服は町の夢を見る』などで知られるジュリアン・シュナーベル監督が「炎の画家」ゴッホを題材とした作品。序盤は南仏の美しい自然に心和むのですが、中盤あたりから多くの人に異常者扱いされるゴッホがどんどん気の毒になってきます。こういうのもよくある話しですが、時代に早すぎたゆえに作品の真価が理解されないという。今では美術史で燦然と輝いてるゴッホの絵も、当事は「醜い」「ヘンテコ」とさんざんな言われようでした。

フランス映画でフランスが舞台なのにみん英語しゃべってたのは気になりましたが、主演のウィレム・デフォーは本物のゴッホと見まがうばかりの熱演でした。さらにオスカー・アイザックにマッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリックの脇を固めるイケオジたちも豪華メンバーでした。

 

☆『キャッツ』

ミュージカルの鉄板とでも言うべき名作を『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』のトム・フーパーが映画化。キャストには名だたる名優がそろい、どう考えても間違いない布陣なのに、欧米の批評家からはホラーだのポルノだの近年まれに見る大酷評w いやー、映画ってこういうことがあるから面白いですよね。

ただ実際に観てみると箸にも棒にもひっかからない駄作ということはなかったです。例の猫人間のビジュアルも予告でさんざん見せられたせいか慣れちゃってましたし。一言で表わすなら「珍作」という言葉が最もふさわしい。まあ珍作としても平凡というかあんまり印象に残らないのがつらいところです。

それでもさすが人気の舞台だけあって歌曲にはいいものが色々ありました。特にメイン曲とも言える「メモリー」や手品猫をみんなで励ます歌は気に入りました。

 

次回は『ナイブズ・アウト』『カイジ ファイナルゲーム』『9人の翻訳家』『バッドボーイズ:フォーライフ』などを取り上げる予定。

 

 

 

 

 

 

 

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March 03, 2020

12月末から1月前半に観た映画について 『スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和TFG』『男はつらいよ50』『パラサイト』

どんどん更新が遅くなり、簡略化されていく当ブログ… いよいよ末期なのかもしれませんw

せめて記録だけでも残しておこうと、(まだ)書いてなかった昨年末と1月前半に観た映画についてネタバレ全開で語ります。

 

 

☆『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

言わずと知れた世界で最も有名な映画シリーズの第9作にしてひとまずの完結編。色々冒険した前作に対し、無難にまとめた内容だったせいか一部で酷評されておりますが、わたしはがんばってよく帳尻合わせたなあと感心しました。特にカイロ・レンに対しての決着のつけかたは、やや唐突に思えたダース・ベイダーの改心より自然に思えました。あと爆裂四散を覚悟してたR2-D2とC-3POが最後まで無事生き残ったことも良かったです。

ネットで新三部作世代がこの度の続三部作を叩いているのを読んでると、かつて新三部作が旧三部作世代にこきおろされてた構図とよく似てるんですよね。まさに歴史は繰り返すというか。正当な評価が下されるのはまた10年くらい経ってからのことかもしれません。

ただ一点、文句を言わせてもらえるならば、もっと玩具が欲しくなるような新メカ、新ロボを出していただきたかった。以上です。

 

☆『仮面ライダー 令和 ザ・ファーストジェネレーション』

昨年最後に観た映画。現在放映中の『仮面ライダーゼロワン』と、前作『仮面ライダージオウ』の橋渡し的劇場版。ゼロワン、ゼロゼロワン、アナザーゼロワン、Ⅰ型、アナザー1号と、「1」を冠したライダーの大行進という印象。だのに肝心の本家1号かもしくはTHE FIRST版1号が出てこなかったのが残念。相変わらず脚本に難点はあるものの、一時期ライダー映画が壊滅的にひどかったあたりと比べれば、ファンサービス含めだいぶちゃんとして来ました。

 

☆『男はつらいよ お帰り 寅さん』

今年最初に観た映画。国民的長寿映画シリーズの22年ぶりの続編…というよりは総集編+後日談的な作品。寅さんのその後についてははっきりとしたことは語られず、もしかして本当に帰ってくるのでは…という期待を抱きましたが、実際どうだったかというと(略)

わたしが観た回ではかなりお客さんが入っていて、過去の回想パートではどっかんどっかん笑いが起きるのに対し、新撮の現代パートではしんみりするような場面がほとんどだったりして。

『男はつらいよ』はなんというかダメなおっさんを心地よくさせるファンタジーのような映画で、若いころは特に興味もなかったのに、いまではすっかりストライクな世代になってしまいました。初期数作を除けば寅さんは基本的にプラトニックな人なので、それで何とか許されてるところはあると思います。ダメダメプラトニッカーとして満男君は立派に寅さんの系譜を継いでいましたが、あとはやはりもっと笑いが取れるようがんばってほしいですね。

もうひとつ今回改めて感じ入ったのは、お若いころの倍賞美津子さんや浅丘ルリ子さんって、本当に息をのむほどに美しかったんだなあと。そしてそうした在りし日の彼女らを見ていると、現在のおばあちゃんになった美津子さんやルリ子さんもなぜか愛おしくなってきたりしました。

 

☆『パラサイト 半地下の家族』

言わずと知れた本年度アカデミー賞作品賞受賞作。そして現在日本における韓国映画歴代1位の興行新記録を達成。何から何まで異例ずくめの怪作でございます。当初タイトルから性悪な一家が裕福な家族の弱みを握って、じわじわと苦しめていくような話かと予想していたのですが、寄生家族も根はそんなに酷い連中ではなく、上手に感情移入させるような作りになっておりました。

ポン・ジュノお得意のお笑いセンスは健在で中盤あたり完全にドリフのコントに近いものがありました。そのまま最後まで喜劇で突っ走ってほしかったのですが… まあそうでなかったからオスカーもパルムドールもゲットできたわけですよね。

とりわけ珍しい特色としては、映像に映らない「匂い」が重要なポイントとなっているところ。わたしが知らないだけかもしれませんが、ほかに「匂い」がテーマになってる映画って『パフューム ある人殺しの物語』くらいしか思いつきません。自分では気が付きにくい性質である反面(それがゆえに?)、そのことを揶揄されると人って深く傷つくものなんだなあ…と。自分もマメにお風呂に入るよう努めてはおりますが。

結末について

 

 

監督は「長男があの家を買える金額を手に入れるのはまず不可能」とおっしゃってましたが、この作品が世界で大旋風を巻き起こしているのを見ると、事件のことを本か映画にでもすれば余裕でひと財産築けるのでは?と思いました。親父の居場所は適当にごまかして。観客席からモールス信号でそのことを伝えたい衝動に駆られました。

 

 

次回は『人間失格 HUMAN LOST』『永遠の門 ゴッホが見た未来』『フォードVSフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』などについて書く予定です。

 

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