もしもビートルズが弾けたなら 『イエスタデイ』
新年も9日になってようやく再開です。だいぶ未レビューの映画をためこんでしまったので、今年はさくさくコンパクトに参ります。
で、今日紹介するのは『イエスタデイ』。『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイルの最新作であります。突然ビートルズ(その他にも少々)が存在しなくなった平行世界に迷い込んだ低迷ミュージシャンが、彼らのナンバーで世界的スターになるというお話。
少し前の日本だと男子が憧れる・なりたがるのは坂本龍馬だと思うんですけど、世界標準だとザ・ビートルズになるんですかね。そういえばチャゲアスのある曲にも「生まれ変わるときはビートルズだな」なんて曲がありました。
これがこずるい主人公だと「何の苦労もしなくてセレブになれてラッキー!!」とはしゃぎまくるわけですが、こちらの場合は生真面目な青年なので「パクリでこんなに大成功していいのだろうか…」と悩んじゃったりします。そこにどう決着をつけるかがお話のヤマ場の一つだったり。
ダニー・ ボイルの映画というのはお笑い交じりでもけっこう胸をキリキリ突き刺してくるところがあるのですが、恐らく彼のキャリアの中で最も優しい作品。普通なら悪役に回りそうなキャラでもどなたもこなたも目茶いい人ばっかり(悪徳プロデューサーのケイト・マッキノン除く)。最近疲れることの多い身としてはこの優しさが骨身に沁みました。
まあビートルズのシンプルなナンバーが果たして21世紀の現在に突然発表されて大うけするのかな?という疑問もあるわけですが、大画面で久しぶりにリヴァプール・サウンドの数々を浴びせられるとそんなことはどうでもよくなりますね。あと改めて和訳を見るとビートルズの歌詞ってけっこうわけわからんやつも多いな、と苦笑させられました。
わたしが好きな曲はもちろん超定番のレット・イット・ビー、ロング・アンド・ワインディング・ロード、ヘイ,ジュードなどなど。少し渋いあたりではハロー・グッバイ、涙の乗車券、プリーズ・ミスター・ポストマン、ひとりぼっちのあいつ、ストロベリー・フィールズ・フォーエバー、サムシング、ヒア・カムズ・ザ・サンなどもよいですね。
英国が舞台でインド系の青年が主人公というのも意欲的でありました。
最後に一番お気に入りの曲の動画リンクを張っておきますので、気が向いた人は聞いてみてください。Here There and Everywhere
Comments
まいどです。
SGAやんは覚えているかな?
10年ぐらい前に「モーニング」でかわぐちかいじの
「僕はビートルズ」という漫画やっていたこと
あの「ジパング」完結後に連載したのが
またまたタイムスリップ物なので
「ああ、かわぐちはこのジャンルに味しめた?」と
思ったものです。
「もしもボックス」的に用意された舞台背景は
誰もが考えちゃいますしできちゃうけど
その落としどころをどう表現するかで
価値が変わる・・・・・何気に難しいですね。
追伸
「このセカ」呉で観てきました。
すごくよかったですよ。
Posted by: まさとし | January 10, 2020 09:38 PM
>まさとしさん
『俺はビートルズ』、ありましたね。読んでないんだけどw あらすじを読むとかわぐち先生らしからぬのんびりしたお話のような?
そういえば最近なに書いてるんだろ、カイジ先生
「このセカ」長尺版、もう見られたんですね。うらやましい。こちらでは今月末から公開です
Posted by: SGA屋伍一 | January 14, 2020 10:11 PM
「ナイブズ・アウト」のコメントを書いたばかりなので、このインド系イギリス人の青年が嘘を付くとゲロを吐く体質じゃなくて良かったと思います。歌うたびにゲーゲー(心に嘘があるっしょ)。そして彼を彼女に変えたらすげえマニア映画になるかも。俺は見ないけど。
「ストロベリー・フィールド」のサビ、あんなしんみりしたメロディーで「苺の空間よ永遠に」とか歌ってるのかあ? 割とラリラリなのか、直訳してはいかんのか?
Posted by: ふじき78 | May 10, 2020 06:35 PM
>ふじき78さん
そういえば今日見た『盲目のメロディ』もインド青年のミュージシャンが嘘ついたことで苦しむ話でした
マジレスするとストロベリーフィールドはイチゴ空間じゃなくてイチゴ畑のことだと思います。ボケだったらすいません
Posted by: SGA屋伍一 | May 30, 2020 09:45 PM