シュワちゃんのシュワ着駅 ティム・ミラー 『ターミネーター/ニュー・フェイト』
デデンデンデデン! デデンデンデン! 忘れたころにあのミュージックと共に帰ってくる、あのロボット… 本日はすっかり長寿シリーズとなってしまったシリーズ通産第6作『ターミネーター/ニュー・フェイト』について書きます。今回はもうのっけからバンバンネタバレしていきますのでご了承ください…
お話は第2作『ターミネーター2』の直後から始まります。スカイネットとの戦いを制し、のんびりバカンスを楽しんでいたコナー母子。しかしその平穏はもう一体残っていたシュワ型ターミネーターの急襲によりもろくも崩れ去ります。それからウン十年後。工場で働いている少女ダニーは新型のターミネーターにより弟ともども命を狙われる。彼女のピンチを救ったのは謎の女サイボーグ・グレースと、老いてなお凄腕の戦士として戦い続けていたサラ・コナーだった。
まずこの「ターミネーター表」をご覧ください。
普通シリーズというのはナンバリング順に進んで行くものですが、前作「新起動」から変に行きつ戻りつしてるのが「ターミネーター」の特色。それでも「歴史が変わって時間軸が分岐しちゃいました」とすれば一応説明がつくのがタイムトラベルものの恐ろしいところです。前にも申しましたが、わたしは「ジョン・コナーが未来でスカイネットを打ち倒し、カイル・リースを過去に送り込む」シーンをきちんとやることで、『ターミネーター』は円環的にきれいに完結する」と主張してきました。でも制作会社は基本的に継続させることばかり考えていて、きれいに終わらせることなんて頭にないんでしょうね… というかこれはそれこそ「完結」を望んでないスカイネットの陰謀なんじゃないかという気までしてきました。
まあそれでも新規まき直しで新しいファンがつけばよいのですが、実際は「新起動」より盛り上がらなかったのがつらいところです。全米でも日本でも初登場1位ではあったんですよね。しかしこれまたよくあることですが、制作費が莫大だとトップを取るだけではなく、遥か高みの売り上げ目標を達成しないと黒字にならないという。映画会社の皆さんもそろそろ気づいてほしい。「リブート」や「直近のことは忘れて途中からやりなおさせて♪」というシリーズは「こけて当たり前」ということにです。エイリアン、プレデター、ロボコップ、ゴーストバスターズ… つい先日は海の向こうからチャーリーズ・エンジェルの悲報も聞えて来ました。最近例外的に成功した例といえば猿の惑星とジュマンジくらいでしょうか。そう言いながら作られたら作られたでホイホイ観にいっちゃうのがボンクラ映画ファンの悲しいサガです。
で、肝心の『ニュー・フェイト』ですが、わたしは冒頭のあの人物のポコ死に思いっきりひきました。製作陣に特に聞いてほしいのですが、これ続編ものが一番やっちゃいけないことです。近々国会で正式に法案を出すべきだと思います。新型の二人羽折りターミネーターの「獲物を倒すまでねちっこくねちっこく追跡する」いかにもな描写や、グレースとダニーのまどかタン&ほむらタンのような関係はなかなかよかったですけど、最初のマイナスを挽回するまでにはいたりませんでした。『デッドプール』監督でもあるティム・ミラー氏は『デッドプール2』を観て、何を本当に観客が望んでいるのか、勉強してきたらいいんでないかなー
めずらしくそこそこdisってしまいました。まあでもまた新作ができたらたぶん行ってしまうでしょう。「今度こそ終わった」とか言われてますが、やっつけてもやっつけても復活してくるのがターミネーター。また忘れたころに帰ってくるでしょう。「忘れたころに…」といえば生みの親であるキャメロンの新作『アバター2』はいまのところ再来年末公開予定。本当に忘れてしまう前にたのむで…
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Comments
SGAさんこんばんわ♪
酷評な作品ほど応援したくなるSGAさんにしては珍しいdisり具合ですねw確かに自分も冒頭の彼の死には結構驚きました。でもそれによってなんか無理矢理違う未来へと繋げたようにも見えちゃいましたし、正統続編とも銘打った以上T2を再鑑賞すると凄い虚しい気持ちにもなっちゃいそうですね(汗
まあスカイネットにも似たリージョンとかいう存在もあまり明確に説明されていなかったので、次作に向けた見応えもまだあるとは思いたいのですが・・・新機動と同じで本作も道半ばで立ち消えちゃいそうな気もしますね。
Posted by: メビウス | December 12, 2019 08:52 PM
>メビウスさん
そういえばわたしターミネーター4のころは一生懸命かばってたりしてたっけなあ。いつの間にこんなに愚痴ばっかり言う醜いオヤジになってしまったのだろう。反省することしきりです。でもやっぱりほめるのがむずかしいw
そういやリージョンの正体って結局明らかになりませんでしたね。補完されるとしたらノベライズやコミカライズでかな…
Posted by: SGA屋伍一 | December 17, 2019 09:34 PM
強い人ばかりが出ていて、かっこ良かったですが、僕はT2しかまともに観ていません。
武力だけを共通言語にしたヒーローたちで、多作品で語られたであろう?スカイネットの戦争はよく分かりませんが、殲滅するジェノサイドなんでしょうかね。外交がないというのは、停戦も和睦もないということなので、最後の一人まで戦うということなんでしょうね。
不毛というか、リアルのAIのように可愛げのあるわけではない、新たな支配層としての人類もどきたる機械軍団でしょうね。人間同士の心理戦に持ち込めない相手なので、そうした心なき機械が最も恐れたのが、熱い心を持って、絶望して沈黙を守る人類を統合出来る大いなる存在で、だから狙われたのでしょう。
Posted by: 隆 | December 18, 2019 09:48 PM
>隆さん
私は一応全作観てますが、映画館で観るようになったのは3以降ですね
日本SFではAI,ロボットというと変わった友達のように描かれることが多いですが、基本欧米の人たちはどこか底知れぬ恐怖を抱いているように感じられます。この映画のシュワちゃんのような例外もありますが
Posted by: SGA屋伍一 | December 23, 2019 09:36 PM