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October 08, 2019

ふたりはプリブラ クウェンティン・タランティーノ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

90年代後半世界で大人気だったレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが初共演。しかも監督はクウェンティン・タランティーノときたらこれはもうお祭りです。またまたいまさらではありますが、本日はその『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をご紹介します。

1969年のハリウッド。かつてTVでスター俳優だったリック・ダルトンは映画界に進出したもののその後伸び悩み、脇役や悪役で糊口をしのぐ日々が続いていた。落ち込みがちな彼を友人兼専属スタントマンのクリフは隣でいつも励まして支え続けていた。ある日リックの隣の屋敷に新進気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーと、その妻で女優のシャロン・テートが引っ越してくる。そのことが後にリックとクリフに災難をもたらすことになるのだが…

タランティーノといえば犯罪者やガンマンがドンパチする映画がほとんどですが、今回は一応俳優という「カタギ」が主人公。とりあえず予告編からはいつものバイオレンス風味はあまり感じられず、当時のハリウッドの活気がありつつもややのんびりしたムードが伝わって来ました。

スティーブ・マックイーンやブルース・リーといった実在人物も何人か登場する本作品。しかし物語の中心となるリックとクリフは架空の人物です。タフガイ俳優としてならしたバート・レイノルズと、その専属スタントマンであったハル・ニーダムがモデルとなっているということです。しかしリックの「西部劇のTVで人気を博し、その後イタリアに進出してさらにブレイク」という経歴を考えると、わたしはどうしてもク○ント・イー○トウッドを思い浮かべてしまうんですよね… ちなみにイースト○ッドのイタリア進出第一弾となった『荒野の用心棒』は、この映画の舞台となった1969年の5年前に公開されています。また、少し前の映画秘宝でタランティーノは「あるベテラン俳優と仕事した時、『俺の専属スタントマンにも仕事をくれないか』と頼まれた」ことが本作品のアイデアとなったを語っています。レイノルズさんはタラちゃんの映画には出てないのでどの俳優さんだろう…と思っていろいろ検索してみたのですが、「よくわからない」という結論に達しました。すいません。

序盤から中盤にかけては全体的にまった~りした調子で進んでいきます。60年代の撮影所独特の空気が好きな人は幸せな気分にひたれると思いますけど、興味の無い人にはやや退屈かも。自分はやはりリックとクリフのちょっと奇妙な友情がツボにはまりました。リックは感情の浮き沈みが激しいし、クリフは何考えてんだかよくわからない不気味な一面があります。ただ皆が「あいつは薄気味悪い」とクリフを敬遠する中、リックだけは彼を信頼し、スタントの仕事をもらえるよう交渉したりします。クリフも自分が他人からどう思われようが全く気にしてない感じですが、リックの頼みとあらば些細なことでもいやな顔一つせずに応じます。そんな二人がリックの出演ドラマをピザ&ビールでわいわい言いながら楽しんで観るシーンには、なんとも幸せなものを感じました。

さて、鑑賞前にひとつひっかかったのは、この作品があの「シャロン・テート殺害事件」をモチーフにしているということです。概要を読んだだけでも陰鬱な気分になるかの事件ですが、先にも書いたように予告からはちょびっとしかその不穏な様子が感じられない。タランティーノ流のファンキーな調子で進んで行っても、最後はやはり暗い気持ちにさせられるのでは…と予想しておりました。以下は大体ネタバレなのでご承知ください。

 

 

というわけでばらしちゃいますと、完全に予想は裏切られました(笑) いやあ、タラちゃんが史実を無視してあの人をぶっ殺した『イングロリアス・バスターズ』の監督だったってことをすっかり忘れてた。悲劇どころか多少悪趣味ではありますが、クライマックスはひたすら楽しい20分間が続きます。たまにありますよね、こういう映画。8割がたのんびり話が続いてて、最後の2割で大爆発、みたいな。代表例をあげると『キートンの蒸気船』とか(わかりづらいか…)

ま、実際の可哀想な事件が消滅するわけではないのですが、なんだか慰められた気持ちになるというか。血しぶき飛び交う映画ばかり撮ってるタラちゃんにも、こういう優しい一面があるのですね。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は名前が長すぎたせいか、日本ではほどほどくらいの売上に落ち着き、明後日にはほとんどの劇場で公開終了してしまう模様。興味あるのに見そびれてる人はがんばって今日含む3日のうちに映画館でご覧ください。

 

 

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Comments

> 『俺の専属スタントマンにも仕事をくれないか』と頼まれた」こと

そんなに気前がいいなら、20人くらいで押し掛けて、「こいつらにも仕事をやってくれ」と頼んでみたい気がする。何か洋画の最後に出て来る「この映画で××人の雇用が生まれました」みたいな話だ。

あと、マーゴット・ロビーに会う機会があったら映画館の前の座席に足を乗っけないようにと言っておいてください。

Posted by: ふじき78 | October 08, 2019 01:17 PM

伍一くん☆
リックとクリフのふたりの関係性が実に良かったですよね~
ブラピのマイペースさが実にカッコよかったデス。
前半はダラダラしていて、60年代に興味のない若い世代にはちょっと退屈だったみたいですねぇ。
私も前半でタラちゃん焼きが回ったか?と思いましたが、最後にガツンとやられました!

Posted by: ノルウェーまだ~む | October 09, 2019 12:27 AM

SGAさんこんばんわ♪

前半のまったり感の中には往年の作品やヒットソングがひしめきあっていたので、60年代の時代背景を知ってる方にすれば懐かしさのオンパレードだったかなとも思いますね。・・ただ世代が全く違う自分は全然分からなかったので、代わりにブラピとディカプリオの掛け合いを楽しんでいた感じでした。やたら泣き虫なリックをなだめたりするクリフとか可笑しかったですしw

多少耐える鑑賞にもなりますが、その耐えた先にはタランティーノ流の痛快劇が待ってて、ヒッピー達は悲惨でしたがあの容赦の無さが逆にスカッとするものがあり面白かったです^^

Posted by: メビウス | October 09, 2019 09:33 PM

>ふじき78さん

レオくんには大勢の取り巻きがいるそうで、たぶんその人達もおこぼれで何らかの仕事をもらってると思われます
マーゴットさんはかわいいので椅子に足を乗せるくらいは許します

Posted by: SGA屋伍一 | October 10, 2019 10:02 PM

>ノルウェーまだ~むさん

ブラピの腹筋見事でしたね… わたしもあれくらい割りたい
タラちゃんは「10作でやめる」発言もあるそうですけど、まだまだがんばってほしいもの

Posted by: SGA屋伍一 | October 10, 2019 10:04 PM

>メビウスさん

音楽良かったですね! わたしもはっきりタイトルがわかるものが「ミセスロビンソン」くらいしかありませんでしたけど
この映画のクライマックスもそうでしたけど、今年は犬ががんばってる映画が多いですね。対して猫はあんまり出てこない…

Posted by: SGA屋伍一 | October 10, 2019 10:11 PM

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