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October 22, 2019

彼方の海王星 ジェームズ・グレイ 『アド・アストラ』

これももう明後日には終了かな… ワンハリに続いてブラッド・ピットが挑んだのはたぶん初めての宇宙SF。『アド・アストラ』、ご紹介します。

時はたぶん近未来。宇宙飛行士のロイはやはり宇宙開発に携わり、海王星への旅の途中行方が途絶えた父の消息の手がかりがつかめたという知らせを受ける。だがロイの父が行っているらしき実験は、太陽系全体のバランスを崩しかねない恐ろしいものであった。ロイは政府の命により父と交信して、彼の行動を止めようとするのだが…

冒頭から大惨事があったり、何度も突然主人公に死の危機がせまったりと、なかなかにホラー寄りの映画でございました。突然物陰からぶわっとなんかが飛び出すシーンもあったりして、そういうのが苦手な人にはおすすめできません。けれどそういうハプニングに際してもブラピがほとんど動じず冷静に冷静に物事に対処していくので、ビビリのわたしでもそれなりに安心して見ることができました。そういうクールな男が自分の知らぬ間に大きな陰謀に巻き込まれ、宇宙を舞台に探求の旅を続けていくあたりは『装甲騎兵ボトムズ』を、地球→月→火星→海王星と太陽系の端へ端へと向かっていく流れは『無限のリヴァイアス』を思い出しました(と、すぐまた一昔前のアニメに例える)。

このお話、名画『地獄の黙示録』の元にもなったコンラッドの小説『闇の奥』を踏襲してるようなところがあります。一応簡単に説明すると『闇の奥』は植民地が盛んだった時代にある船乗りがアフリカの奥地で名を成している男を訪ねていく…というお話。つまり舞台を宇宙から19世紀の未開の地域に差し替えてもそれなりにしっくりくる話なのです。男の実験が世界を危機に陥れるという一点を除いては。あと『闇の奥』とそのフォロワー的作品群は、結局何が言いたいのかわかりにくいシュールで難解なところが魅力的だったりするのですが、『アド・アストラ』は訪ねていく男がお父さんなので、やや人情的なお話になってしまった気がします。なんちゅうか『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』それに『ファーストマン』と最近の宇宙開発ものはどうも親子の情を絡めたがる傾向がありますね…

難点をあげるとすれば、ブラピが海王星にたどりつくのがなんか早すぎる(数ヶ月)ということ。だっておやっさんは16年前に行方知れずになったのに、ずっと放置状態だったわけですよ。そんだけで行けるのであればなんでこれまでいっぺんの救助隊も出さなかったの?という疑問が湧いてきます。ここはひとつ「最近開発された新技術で大幅に航行時間が短縮できるようになりました」みたいなエクスキューズがほしかったところです。

でもまあ、わたしこの映画嫌いになれないんすよね。冒頭の軌道エレベーターや、月面でのカーチェイス、荒涼とした火星基地、青みがかった海王星の風景…などなど印象的で個性的な絵がいろいろあったもんで。あと妙に冷めた雰囲気が好みでした。この雰囲気が好きか嫌いかで評価が別れそうです。

監督のジェームズ・グレイさんはどちらかといえばマフィアや暗黒街を舞台にした人間ドラマを得意とするアート畑の方で、カンヌやヴェネツィア映画祭などで活躍してこらた作家。だから批評家にはなかなか受けがよろしい。今回も公開前はそちら方面から絶賛されておりました。が、いざ封切られると一般観客からはけっこうなブーイングがw なんかこういうの面白いですよね~

ちなみに今週末から公開されるアン・リー御大の『ジェミニマン』もそんな感じとのこと。気になってきました… とりあえず『アド・アストラ』が気になりつつまだ観そびれている方は今日明日のうちに映画館へ急いでください。

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October 15, 2019

雨は夜更け過ぎに血糊へと変わるだろう チャン・イーモウ 『SHADOW 影武者』

長雨が続いてますね… そういえば一ヶ月ほど前こんな映画を観ました。中国映画界の巨匠チャン・イーモウが『三国志』の1エピソードを大胆に脚色。『SHADOW 影武者』ご紹介します。

たぶん今から1800年くらい前。小国の沛と隣国の炎は領地を巡り争っていた。沛の武将・都督は奪われた領土を取り返そうと血気にはやっていたが、戦いで受けた傷のため思うように動けずにいた。そこで都督は己に瓜二つの影武者に一計を与え、炎の将軍を亡き者にしようと企む。だがいつしか影武者は都督として振舞ううちに、主人の妻を恋い慕うようになってしまう。

元のお話は『三国志演義』の「荊州争奪戦」というパートだそうです。が、まったく思い出せません(…) ただ有名な武将が全然出てこず、メインのキャラクターは架空の人物ばかりなので、原型をとどめぬほどにアレンジされちゃってるのでは…と思います。

監督チャン・イーモウ氏は相当作風の幅が広い方で、『紅いコーリャン』といった痛々しい芸術作品も撮れば、『初恋の来た道』『あの子を探して』といったほのぼのした人情ドラマも手がけ、さらには『HERO』『グレートウォール』といったけれんみの強いアクション映画も作っております。今回の『影武者』は芸術系とアクション系をまぜこぜにしたようなスタイルでありました。

独特なのはカラー映画なのにかなりモノクロに近いような水墨画的な画面つくり。そして中国にも雨季的なものがあるのか知りませんが、ほぼお話のほとんどで雨が降り続いていること。そりゃお話も画面も暗くなろうというもの。そういえばこないだ同じように、異常な雨続きの世界で切ない恋模様が展開される映画を観たような… 『天○の子』とかいうタイトルだった気がします。

そうそう、自分がこの映画を観たいと思ったのは予告でやけに危なっかしい「傘」が出てきたからです。どんな傘かというと…下画像を御覧ください。雨が降り続く環境ということで「そうだ! 傘を武器にすれば!」と思いついたのかもしれませんが、どうにも隙間が多すぎて悪天候をしのぐのは難しそうです。というか扱ってる本人もうっかりすると身を切りそうです。そんなわけで現実的とはあまり言い難いのですが、他ではまず見ないパラソルアクションが痛快でございました。傘がこんだけ武器として扱われてる作品といったら、他は『キングスマン』くらいでしょうか。

当然ですが 都督と影武者は同じ役者が演じております(ダン・チャオさん)。いま中国で押しも押されぬトップスターなようで。わたしは『人魚姫』くらいでしか見たことないんですが、苦労性の役が多い感じですね。この映画でも二通りの痛々しい役を上手に演じ分けておられました。

あともう一点、この映画妙に覗き見をしてるカットが印象に残るんですよね。そんなにエッチなシーンがあるわけではないのですが、なにやらいけない気分にさせられました。

『SHADOW 影武者』は宣伝が小規模だったせいかマニアックだったせいか、全国公開だったにもかかわらず二週間くらいで公開が終了してしまいました。たぶんそのうちDVDか配信かあるんじゃないかな… 興味あったのに見そびれた方はそれまでお待ち下さい。

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October 10, 2019

ベル・エポックを君と ミシェル・オスロ 『ディリリとパリの時間旅行』

『キリクと魔女』『アズールとアスマール』などで人気の高いフランスのアニメ作家ミシェル・オスロ氏の最新作。本日は19世紀末のヨーロッパで元気な女の子が冒険を繰り広げる『ディリリとパリの時間旅行』について書きます。

パリの万国博覧会で故郷を紹介するためにニューカレドニアからやってきた少女ディリリは、会場で郵便配達の少年オレルと知り合う。パリについてもっと知りたいと願うディリリは、オレルに頼んで町の様々なところを訪れ、数多くの研究者・芸術家と出会う。折りしもそのころ世間では少女の誘拐事件が続いていた。さらわれた女の子たちを助けるため、ディリリとオレルは犯人グループの所在を突き止めようと奮闘する。

オスロ監督といえば民話や昔話のアニメ化をずっとてがけておられましたが、今回は近代と現代の境目あたりの、かなりわたしたちに近い時代のお話となっております。「時間旅行」とありますがタイムマシンが出てくるわけではありません。21世紀のわたしたちをいわゆる「ベル・エポック」の時代に連れて行ってくれる、というわけでこのような邦題がついたものと思われます。キュリー夫人からピカソにプルースト、ロダンにギュスターブ・エッフェルなど、わたしでさえ知ってるような歴史上の偉人が次々と登場。まさに「石を投げれば有名人に当たる」状態。歴史ファンにはたまらないものがあるかと思われます。パリ万博が舞台で黒人の女の子が地元の少年とレトロな乗り物で追跡劇を展開するあたり、おっさんのアニメファンとしては『ふしぎの海のナディア』第一話を思い出したりしました。

「ヨーロッパのアニメだなあ」と強く感じたのはヒロイン・ディリリの奇抜なヘアスタイル(下画像参照)。当時のニューカレドニアの平均的な髪型だったのでしょうか。まるで幅広のリーゼントのようです。ただ一生懸命ぴょこぴょこ動いているディリリちゃんを見ているうちにかわいく見えてきました。大人にもはっきりと意見を述べる一方、誠実に向き合ってくれる人にはドレスの両端をつまんでおじぎする姿が大変キュートでした。レジェンドたちと対面するたびに「研究者になる!」「芸術家になる!」「発明家になる!」と触発されまくるのですけど、「君なら全部なれるよ…」と励ましてやりたくなりました。

そんないたいけな少女を狙う誘拐集団の目的・手段がなかなかにエグくて、この辺は正直ひきました… けれど過酷な仕打ちをうけながらもまっすぐなこころをうしなわないディリリちゃん。ますます応援したくなるのでした。

これまでのミシェル・オスロのスタイルを踏襲しながらも、さらに作り込まれた美術も堪能させていただきました。華やかなパリの街がきめ細かく精密に書き込まれていて、実写なのか絵なのかわからない背景も多々ありました。たぶん絵だと思うんだけど… またクライマックスで夜の街を滑空する飛行船の描写も息を呑むほどに美しゅうございました。

『ディリリとパリの時間旅行』はかれこれ一月ほど前に見たのですが、まだ今月下旬まで恵比寿ガーデンプレイスで上映中。その後もぽつぽつと各劇場を回るようです。今年は小規模ながら、『ロングウェイ・ノース』『アヴリルと奇妙な世界』『ブレッドウィナー』と勇ましい少女を主人公とした欧州アニメの公開が続いております。『ロングウェイ・ノース』も見てきたので近々レビューいたします。

あとどうでもいい話ですが、この映画見た日台風が関東を直撃して、家まで帰るのにけっこう苦労しました(笑) みなさん、明日からの大型台風にどうぞお気をつけくださいー

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October 08, 2019

ふたりはプリブラ クウェンティン・タランティーノ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

90年代後半世界で大人気だったレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが初共演。しかも監督はクウェンティン・タランティーノときたらこれはもうお祭りです。またまたいまさらではありますが、本日はその『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をご紹介します。

1969年のハリウッド。かつてTVでスター俳優だったリック・ダルトンは映画界に進出したもののその後伸び悩み、脇役や悪役で糊口をしのぐ日々が続いていた。落ち込みがちな彼を友人兼専属スタントマンのクリフは隣でいつも励まして支え続けていた。ある日リックの隣の屋敷に新進気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーと、その妻で女優のシャロン・テートが引っ越してくる。そのことが後にリックとクリフに災難をもたらすことになるのだが…

タランティーノといえば犯罪者やガンマンがドンパチする映画がほとんどですが、今回は一応俳優という「カタギ」が主人公。とりあえず予告編からはいつものバイオレンス風味はあまり感じられず、当時のハリウッドの活気がありつつもややのんびりしたムードが伝わって来ました。

スティーブ・マックイーンやブルース・リーといった実在人物も何人か登場する本作品。しかし物語の中心となるリックとクリフは架空の人物です。タフガイ俳優としてならしたバート・レイノルズと、その専属スタントマンであったハル・ニーダムがモデルとなっているということです。しかしリックの「西部劇のTVで人気を博し、その後イタリアに進出してさらにブレイク」という経歴を考えると、わたしはどうしてもク○ント・イー○トウッドを思い浮かべてしまうんですよね… ちなみにイースト○ッドのイタリア進出第一弾となった『荒野の用心棒』は、この映画の舞台となった1969年の5年前に公開されています。また、少し前の映画秘宝でタランティーノは「あるベテラン俳優と仕事した時、『俺の専属スタントマンにも仕事をくれないか』と頼まれた」ことが本作品のアイデアとなったを語っています。レイノルズさんはタラちゃんの映画には出てないのでどの俳優さんだろう…と思っていろいろ検索してみたのですが、「よくわからない」という結論に達しました。すいません。

序盤から中盤にかけては全体的にまった~りした調子で進んでいきます。60年代の撮影所独特の空気が好きな人は幸せな気分にひたれると思いますけど、興味の無い人にはやや退屈かも。自分はやはりリックとクリフのちょっと奇妙な友情がツボにはまりました。リックは感情の浮き沈みが激しいし、クリフは何考えてんだかよくわからない不気味な一面があります。ただ皆が「あいつは薄気味悪い」とクリフを敬遠する中、リックだけは彼を信頼し、スタントの仕事をもらえるよう交渉したりします。クリフも自分が他人からどう思われようが全く気にしてない感じですが、リックの頼みとあらば些細なことでもいやな顔一つせずに応じます。そんな二人がリックの出演ドラマをピザ&ビールでわいわい言いながら楽しんで観るシーンには、なんとも幸せなものを感じました。

さて、鑑賞前にひとつひっかかったのは、この作品があの「シャロン・テート殺害事件」をモチーフにしているということです。概要を読んだだけでも陰鬱な気分になるかの事件ですが、先にも書いたように予告からはちょびっとしかその不穏な様子が感じられない。タランティーノ流のファンキーな調子で進んで行っても、最後はやはり暗い気持ちにさせられるのでは…と予想しておりました。以下は大体ネタバレなのでご承知ください。

 

 

というわけでばらしちゃいますと、完全に予想は裏切られました(笑) いやあ、タラちゃんが史実を無視してあの人をぶっ殺した『イングロリアス・バスターズ』の監督だったってことをすっかり忘れてた。悲劇どころか多少悪趣味ではありますが、クライマックスはひたすら楽しい20分間が続きます。たまにありますよね、こういう映画。8割がたのんびり話が続いてて、最後の2割で大爆発、みたいな。代表例をあげると『キートンの蒸気船』とか(わかりづらいか…)

ま、実際の可哀想な事件が消滅するわけではないのですが、なんだか慰められた気持ちになるというか。血しぶき飛び交う映画ばかり撮ってるタラちゃんにも、こういう優しい一面があるのですね。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は名前が長すぎたせいか、日本ではほどほどくらいの売上に落ち着き、明後日にはほとんどの劇場で公開終了してしまう模様。興味あるのに見そびれてる人はがんばって今日含む3日のうちに映画館でご覧ください。

 

 

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October 02, 2019

シスターズだけどブラザーズ ジャック・オーディアール 『ゴールデン・リバー』

これももう公開終わってるな… そもそもこちらに来るのが遅かったし… 作る映画がことごとく賞にノミネートされるフランスの名匠、ジャック・オーディアールが初めて挑んだ西部劇。『ゴールデン・リバー』ご紹介します。

1850年代のオレゴン州。ならず者たちの元締め「提督」の下で汚れ仕事を請け負うシスターズ兄弟は、何人ものガンマンを仕留めてきた凄腕の殺し屋コンビ。だが兄のイーライはいつ終わるともしれぬ殺し合いに倦み疲れていた。そんな彼らに次の仕事が入る。黄金をたやすく採取する方法を発明した化学者を捕えよというものだった。シスターズ兄弟は化学者の見張りであるジョン・モリスの情報をもとに追跡を始めるが。

最近の西部劇といえばスタンダードな勧善懲悪ものである『マグニフィセント・セブン』などが思い浮かびますが、監督がおフランスのアート系の方だけあって一筋縄ではいかない作りになっています。

まず主人公であるイーライが顔も行動も強面なのに、ちょっと乙女っぽい部分があるんですよね。女もののスカーフをくんくん嗅いでたりするので、誰か好きな人からもらったのかと思いきや、実際はそんな女性はおらず、単にロマンティックなシチュエーションにあこがれているだけだったという。あと当時はめずらしかったであろう歯磨き粉を雑貨で見つけて、口臭を良くするためにいそいそと塗り込んでいたりします。そしてヤクザな仕事にいやけがさして「もう引退して穏やかにお店でもやりたいなー」と考えてます。そういうところはオーディアール監督の前作『ディーパンの闘い』の主人公とも似ています。わたしもおっさんですけど自分の中に乙女的なところがあることを否定できないので、彼に思いっきり肩入れしながら観てました。イーライとわたしが違うのは、いざ修羅場になるとすごく強いということですね…(もちろんイーライの方が、です)

対して弟のチャーリーはそれこそ狂犬のような男。殺ることとヤることしか考えてないような。ちょっとヒーローというよりアウトロー的なキャラクターです。当然兄とも喧嘩が絶えませんが、それでも唯一の心許せる相手として大切に思ってることは間違いないようです。

その二人に絡むのが理想郷を夢見る化学者のワームと、お目付け役だったのにいつの間にか彼にひかれていくジョン・モリス。以後は大概ネタバレなのでご了承ください。

 

 

宣伝コピーが「決して出会ってはならない男たちが出会ってしまった…みたいなものだったので、わたくしてっきり黄金を巡って男たちが醜い争いを繰り広げる話を予想していました。ところがどすこい、4人はなりゆきでつい仲良くなってしまい、奇妙な共同生活を始めてしまいます。それまでがずっと殺伐としたムードだったので、この流れには大変心和みました。そのままめでたしめでたしになればよかったんですが、彼らの友情は予想とは違う方向で終わりを迎えます。このしんみりした物悲しいムード、おフランスだなあ…と思いました。ただどこまでもとことんやりきれない話ではなく、多少は救いも残してくれたのがありがたかったです。

ちなみにいま自分『レッド・デッド・リデンプション2』という西部劇のゲームをプレイしてるのですが、それとも似通ったところがいろいろあって楽しかったです。雄大な自然をバックに馬に乗って旅するのは見てる分には心癒されますけど、やっぱり実際にやってみると苦労もいっぱいあるわけですよ。野宿もしょっちゅうですし、変な虫に刺されたりもしますし、馬が具合悪くなることもあるし、おまけにいつ何時無法者に狙われるかもわからない。『ゴールデン・リバー』も『RDR2』もそういう西部の旅の苦労がよくわかる作品となっています。といってもやっぱりこっちは仮想現実にひたってるだけなので、「あー、やっぱり西部劇っていいわー」と思ってしまうんですがねw

4人を演じるジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメドらがみな幸薄い魅力を放っていたのも忘れがたいです。明後日にはホアキン氏が主演をつとめヴェネツィア金獅子賞に輝いた『ジョーカー』が公開。当初は「その企画、おもしろいんか?」と思ってましたが、受賞と各方面からの絶賛を見て手のひらを返しました。え、えーと、こちらも楽しみですね!!

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October 01, 2019

翔んでエルトン デクスター・フレッチャー 『ロケットマン』

あ、これもう公開おわってる… 英国を代表する偉大なるシンガーの半生をミュージカル仕立てで映画化。またまたいまさらではありますが『ロケットマン』、紹介いたします。

1950年代の英国。内気な少年レジナルドは類まれなる音楽の才能に恵まれ、王立音楽院の入学を認められる。成長してバンドを組んだ彼は、やがて「エルトン・ジョン」と改名し、作詞家バーニーとのコンビでヒット曲を連発。瞬く間に大スターとなる。だが彼は男性であるバーニーに報われぬ恋心をいだくゆえに、また両親から冷たい仕打ちをうけてきたゆえに成功しても孤独感を打ち消せずにいた。

皆さんおっしゃってるしわたしもあんまり月並みなことは書きたくないのですが、第一印象はやっぱり「『ボヘミアン・ラプソディ』とよく似てる」というものでした。ざっと共通点を列挙してみますと

・実の親とあまりうまくいってない

・ゲイ

・ゲイであることを隠そうとして苦労する

・ゲイなのに女性と結婚してうまくいかず離婚

・英国出身で米国に進出するやいなや大スターに

・そして成功したのち酒とドラッグに溺れる

・しかし親友の偽りない友情に救われる

・ジョン・リードがマネージャだったことがある

・そもそも監督がいっしょ(デクスター・フレッチャー)

…まあ2,3の点をのぞけばロックスターには定番の人生というものがあって、フレディもエルトンもついそのスタンダードにはまってしまったのかもしれません。

違う点もあげてみますと

・ミュージカル仕立てである

・バンドじゃなくてシンガーと作詞家のお話

・フレディとちがい、エルトンさんはバリバリの存命中

・エルトンさんはあまり美形ではない

ここがすごいと思うんですけど、カリスマミュージシャンってやっぱり見目麗しい人が多いですよね。そのルックスが人気をさらに後押しするわけですが、エルトンさんの場合は頭髪もうすいし背も高くないしわけわからんメガネとかつけてます。なのにクイーンも越えて世界でグレイテスト・ヒッツを飛ばしてきた(歴代4位)ということは、主に歌唱力と作曲の才能だけで頂点までのぼりつめたわけであって。それほどにその曲の美しさが人々の心をとらえてきたということなのでしょう。

ちなみにわたくしクイーンの曲はそれなりに知ってましたが、エルトンさんの曲は『YOUR SONG』と『Goodbye Yellow Brick Road 』 くらいしか知りませんでした。どっちかというとライブをドタキャンしたとか、『キングスマン:ゴールデンサークル』で客演してたとかそっちのイメージの方がつよくて。大変申し訳ございませんでした。ただ日本でこの映画がそんなにヒットしなかったのは、クイーンに比べるとわが国ではエルトンさんがそんなに浸透してなかったということなのかもしれませんね。

そんなエルトンさんを熱演してたのは『キングスマンGC』で共演し、『SING』で彼の歌を熱唱していたタロン・エジャトン君。近日日本公開の作品ではロビン・フッドを演じるということで、ますます英国を体現するような俳優になってきた感があります。

とりあえずビギナーには大変入りやすい映画だった『ロケットマン』。劇中で使われた名曲を、またじっくりと聞きこんでいこうかなと思います。

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