ジャングル大帝ブック ジョン・ファブロー 『ライオン・キング』
ここのところ矢継ぎ早に過去の名作の実写化を連発してくるディズニースタジオ。この度はその最新作で劇団四季のミュージカルでも名高い『ライオン・キング』をご紹介します。
雄大な自然に恵まれたアフリカの大地。サバンナを治めるライオン・ムファサの息子として生まれたシンバは、両親の暖かい愛情のもとすくすくと育ち、自分もいつか父親のような立派な王になることを志す。だがその影で、王位継承に敗れたムファサの弟スカーは、権力を奪うべく姑息な策略を巡らしていた。
1990年代、「ディズニールネサンス」と言われた時代がありました。低迷していたディズニースタジオが『リトル・マーメイド』を皮切りにヒット作を連発し、手描きアニメの黄金時代を築いた期間のことです。特に『美女と野獣』と『アラジン』は日本でも一大ブームを巻き起こしました。『ライオン・キング』もそれに大いに貢献した1本です。
ただこの作品、わが国では「『ジャ○グル大帝』のパクリでは?」ということもよく言われています。でも『ジャン○ル~』の方は人間もバンバン出てきますし、王族争いとかもないので、仮にインスパイアを受けてるとしたらキャラクター造形などでしょう(マントヒヒは長老でハイエナは悪党だとか)。代わりに監督が原作としてあげたのがあの『ハムレット』。なるほど、『ハムレット』から暗い要素を大体抜き去ったらこんな風になる…かな?(それはもう『ハムレット』じゃない気もしますが…)。少し前おじさんと甥っ子が王位をめぐって激突する映画が何本かありましたが、あれらは『ライオン・キング』を経由した『ハムレット』の子孫なのかもしれません。
さて、この度の新作、ある一場面を除いては動物も背景もすべてCGで作られております。こうなるともはや「実写」というよりCGアニメに近い気がします。でも見た目は全然実写だしなあ… 公式でもそれを逆手にとって「超実写」なんて言っております。本当にCGの進化もいくところまでいってしまった感がありますね。
一方でかつての名作を次々と「実写化」していく流れには批判もあるようです。すでに完成されてるものをそのままそっくりリメイクするのに何の意味があるのか?という意見ですね。ただ自分は正直むかしのディズニーの画風がそんなに好きではなかったので、アニメの方は劇場ではスルーしちゃってたんですよね。今回は実写と見まがうほどにモフモフ感満載だったので張り切って映画館にいきました。そしたら自分だけかもしれませんが、はしゃいだりいきったりするシンバ君が十代くらいの男の子と重なって見えてきたりしたのでした。擬人化したイメージが下の落書きです(友人にみせたら「80年代感ただよう」と言われました)。
あと他のキャラクターではシンバの友人となるイボイノシシとミーアキャットの痛快なコンビや、悪役のスカーさんもおきにいりです。スカーさん、二年前に亡くなった飼い猫のモンさんとよれよれ具合が非常にそっくりだったもんですから… 好きな曲である「ライオンは寝ている」がけっこう長々とかかっていたのも高ポイントでした。
それにしても90年代手描きアニメでブイブイいわしていたディズニーが、00年代に入ってCGでしかアニメを作らなくなり、10年代ではかつての名作アニメをどんどん「実写化」していく流れにはあまりの移り変わりのはやさに呆然といたします。「あまり好きじゃなかった」身で言うのもなんですが、たまにでいいから手描きアニメの方も伝統をひきつぐために復活してほしいものです。欧州ではぽつぽつと個性豊かな手描きアニメが色々生まれておりますけど。
「あんまり日本ではあたらないだろう」というわたしの予想を覆して、『ライオン・キング』は現在50億越えのヒットを達成。まだ伸びそうです。劇団四季のミュージカルが浸透していたせいでしょうか。そんなわけで公開もまだ続きそうなので、モフモフや猫が好きな人はぜひごらんください。
Comments
伍一くん☆
笑っている人間シンバくん可愛いですね!なかなか良いところツイテいるのでは?
アニメもファンでしたけど、今見るとこんな変な絵柄だったっけ?と思ったりします(笑)そいういう意味でも超実写版はモフモフMAXでとーっても可愛くて気に入っています♪
Posted by: ノルウェーまだ~む | September 13, 2019 12:51 PM
>ノルウェーまだ~むさん
落書きほめてくださりありがとうございます! ひさしぶりにのっけたので勇気がいりました…
やっぱり実写の強みはモフモフですね。ダンボがいまいちうけなかったのは毛がなかったからかも
Posted by: SGA屋伍一 | September 17, 2019 09:55 PM