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September 23, 2019

脱獄囚の名は蝶々 マイケル・ノアー 『パピヨン』

脱獄映画の金字塔を、『パシフィック・リム』などのチャーリー・ハナム主演でリメイク。もうほとんど公開も終わってる『パピヨン』、ご紹介します。

1930年代、稼ぎをちょろまかしたことで元締めから警察に売られた金庫破りのパピヨン(あだ名)は、環境の劣悪なギニアの刑務所に送られる。そこで大金を隠し持っているという囚人ドガと知り合った彼は、荒くれたちから守る条件として脱獄に必要な金をせしめようとする。しかし鬼のような署長の目や、絶海の孤島という状況ゆえ脱獄は不可能に近く、パピヨンは想像を絶する苦闘を強いられる。

『パピヨン』といえば1973年に作られたスティ―ブ・マックイーン主演の映画が有名ですが、わたくし恥ずかしながらこの話が実話をもとにしてるということを知りませんでした… アンリ・シャリエールという方の手記を元にしているそうです。ただその人のwiki項目 を読むと色々映画とは異なるところもあるようで。特にクライマックスのシーンなどは「本当にそんなんでいけるのか!?」と思いましたがやっぱりその辺は脚色だったようです。というか、1973年版のあらすじを読んでみたら大体一緒だったので、アンリさんの伝記というより映画『パピヨン』の忠実なリメイクととらえた方が正しいでしょう。

批評では「1973年版には及ばない」という意見が多いようです。ですが自分はそっちを見てないので大変ハラハラしながら鑑賞していました。どちらかというと印象に残ったのは危険を冒して脱獄するパートより、それに失敗して何年も独房に入れられるくだりでした。無限のような時間閉じ込められ続けて、出られたとしても待っているのは強制労働という真っ暗闇としか言いようのない運命。この辺創作かもしれませんが、仮に自分がそんな状況に置かれたとしたら、とても正気を保っていられんだろうと思いました。けれどさすがはかつて大怪獣とバトルを繰り広げたチャーリー・ハナム。不屈の精神でもって地獄の監獄を耐え抜きます。彼をいじめぬく署長もにくったらしい人ではありますが、自分の決めたルールはちゃんと守るあたりは筋が通っております。

そして観てみてわかりましたけど、これはパピヨン個人の物語というより、パピヨンとドガの出会い、友情、そして別れのお話だったのですね… 最初はお互い利用することしか考えていなかった二人が、なんとなくかばいかばわれするうちに、ついには自由をなげうっても友を助けようとする姿に鼻水が垂れ流れました。

ドガを演じるのは先ごろ『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーを好演していたラミ・マレック。かつてはエジプトの王様とかやってたのにこの2作ですっかり「やつれ姿が似合う人」というイメージになってしまいました。

脱獄もの・刑務所ものはやっぱり名作が多いなあ…と改めて感じ入りました。そして男として一皮むけるためにはいっぺん脱獄くらい成功させたほうがいいのかもしれません。とりあえず体重は減らせそう…

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Comments

伍一くん☆
私も昔のオリジナルのほうは見てないのですが、なかなか素晴らしかったですよね。
二人の間に培われていく強い絆に胸を打たれました。
最後の島は案外暮らしやすそうでしたけど・・・

Posted by: ノルウェーまだ~む | September 24, 2019 10:15 PM

>ノルウェーまだ~むさん

行くパピヨン、残るドガ、お互いの決断を尊重しての別れが胸に迫りました
本当のドガさんは無事刑期を終え、安らかな余生を送られたとか。それはそれでよかったw

Posted by: SGA屋伍一 | October 01, 2019 10:31 PM

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