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August 08, 2019

玩具の神様 ジョシュ・クーリー 『トイストーリー4』

Ts 本年度最速と言われるほどに収益を稼いでおきながら、ネットでは賛否両論大激突となっているシリーズ最新作。本日はそんな『トイストーリー4』について語らせていただきます。9年前に書いた前作『3』の感想はこちら。

長年の友アンディと別れ、新たな所有者ボニーのオモチャとなったウッデイたち。だがボニーはほどなくしてウッデイに飽き、自分がゴミでこしらえたフォーキーに夢中になってしまう。それでもボニーのためと健気にフォーキーの世話に励むウッディ。そんなある時ボニー一家がバカンスに訪れたあるレジャー施設で、ウッディは離れ離れになった恋人のランプ、ポーと再会する。

すいません… 今回もまたのっけからネタバレ全開で。以下は「絶対に観ない」「すでに観た」という方だけごらんください。

 

 

思えば何から何まで完璧だった『トイストーリー3』。まださらに続けると聞いた時、「それはいるのか?」とわたしも思いました。ただ前作でたったひとつ不安になったことをあげるならば、それは「ボニーが大きくなった時、ウッディたちはまた同じ悲しみを経験するんだろうな…」ということ。でもまあ、それはまだ先のことだろうと予想していたら、本作の冒頭で早くもウッディに飽きているボニー。(現実世界では9年の歳月が流れていますが)まあ、なんと残酷なお話を思いつくのでしょう。ですが、子供というのは本来ああいう飽きっぽい生き物です。アンディのように何年も同じオモチャに愛情を注いでる方が少数派でしょう。わたしたちも胸に手をあてて思い出せば、買ってもらった当初はお気に入りだったのに数日で飽きてしまったオモチャを色々思い出せるのではないでしょうか。そしてこの『トイストーリー』は1作目から一貫して、様々な形で「子供の残酷性」をやんわり描いておりました。

それでもボニーのために、隙あらばゴミ箱に戻ろうとするフォーキーを諭すウッディ。1作目でお気にいりの地位を奪ったバズを陥れようとしてたころから比べると、驚くほどの成長ぶりです。そんな風に同じことを繰り返しているようで、決してマンネリには陥らないのが『トイストーリー』の真骨頂であります。ウッディは今回「いずれ手放されると知りつつ所有者の元に戻るべきか?」という「2」と同じ選択を迫られるわけですが、以前とは違う決定をくだします。

「おもちゃであるのならば、やはり自分から持ち主の元を離れるべきではない」「それはウッディらしくない。『トイストーリー』らしくない」という意見もよく聞きます。しかしこの度は『2』の時とは状況が違います。あの時はウッディはまだアンディに愛されてたからあえて「戻る」決断をしたのでしょうが、今回は別にボニーに必要とされてるわけではありません。見向きもされなくなっても、おもちゃであるならばそれに耐えていかねばならないのか? すでに同じ悲しみを味わっている彼に、わたしはとてもそんなことは言えません。そりゃウッディは確かにおもちゃかもしれませんが、1作目からずっと映画館で観続けているわたしからすればもう彼は映画のキャラクターというより24年来の親友であります(これまた一方的な友情ではありますが)。

とりあえずこれでウッディは「いつかは手放される」というオモチャの宿命から解き放たれたわけで。新たな門出に立った友達をわたしとしては心より祝福したい。残されたバズたちがちょっと心配ではありますが、ウッディの姿を見た仲間たちもしかるべき時にそれぞれ決断をくだすことでしょう。バズといえばこのシリーズはもともと「究極に面白いバディものを」という発想で作られた作品でしたが、バズとの出会いを始まりとし、別れで幕を閉じるとするならば1・2・3・4で見事に起・承・転・結に符号しておりました。

あととりわけ興味深かったのは、「おもちゃが誕生した瞬間」が見られたこと。新キャラクターのフォーキーはもともとは廃棄物でありましたが、ボニーがおもちゃとして作り上げた瞬間に自我が芽生え別の存在へと生まれ変わります。ここからこの世界ではメーカー製でなくとも、子供が遊ぶ対象として作られた時点でそれが「おもちゃ」となることがわかります。ただフォーキーは由来がゴミであるせいか、一生懸命ゴミ箱の中に戻ろうとするあたりに腹がよじれました。そんなフォーキーにウッディはオモチャとしての心得をこんこんと説きます。おもちゃというのはいつも子供たちに寄り添い、励まし、元気をくれる存在なんだと。こうなるとこの世界におけるオモチャは単なる物体の枠を越えてもはや守護天使といっていい存在にまで高められております。ただその愛情が必ずしも報われるわけではないあたり、あまりにも哀れな守護天使ではあります。

このフォーキーもそうですが、新キャラがいちいち魅力的すぎたり小ネタが充実しまくってるあたりも、「4」はまごうかたなき『トイストーリー』でした。特に忘れられないのはCMの演出が派手すぎたゆえに辛酸をなめることになったスタントレーサー、デューク・カブーン。変身ベルトを巻けば仮面ライダーになれると信じていたのに、現実はそう甘くなかったことを思い知らされた幼い日の記憶がよみがえります。射的ゲームの景品としてぶら下げられてた趣味の悪い色のウサギとヒヨコもシュールな漫才でにぎやかしてくれました。

大人たちはついあーでもない、こーでもないと議論してしまいがちですが、わたしが観た回でははじめてスクリーンでウッディやバズを観るお子様たちがおおはしゃぎで作品を楽しんでました。『トイストーリー』はおそらくこれからまだまだ子供たちに愛され続けるアニメとなるでしょう。おじさんも引き続き愛していきます。

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Comments

伍一くん☆
起承転結かぁ~なるほど上手い事言う!
そう言う意味ではこの4が終着点といっても良いわけですね~
私はなんとなくモヤッとしてしまった派ですけど、ウッディがいいならそれで良しとしましょう☆

Posted by: ノルウェーまだ~む | August 09, 2019 04:35 PM

>ノルウェーまだ~むさん

また数年後に「結」のさらにその先が作られそうですけどね…
しかし今度はウッディとバズのバディものではなく、まただいぶ違ったかたちのもにになるでしょうね(って気が早いか)
ウッディはよかったですけど、今度はバズがしあわせになれるか心配だなあ

Posted by: SGA屋伍一 | August 13, 2019 10:08 PM

おひさしぶりです~

守護天使・・・なるほどな~
だからあの結末がまどかマギカっぽく感じたのか(^_^;)

子どもに捨てられても、飽きられても、破壊されても、見返りのない愛を与え続ける上では確かに天使やもしれぬ。そんな気もする。

ボニーは女の子だからウッディは遅かれ早かれ飽きられちゃうだろ、っていうのは3で思ったんですよね(^_^;)
しかしまさかフォークに負けるとは・・・!
2とか見てると、本当に物の価値について考えさせられます(ーー;)

Posted by: ゴーダイ | August 17, 2019 12:23 PM

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