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July 31, 2019

国際的なる宇宙 F・ゲイリー・グレイ 『メン・イン・ブラック/インターナショナル』

あ、これもう公開終わってますね… 大人気シリーズ、久々の新作だったのになんでかあまり盛り上がらなかった『メン・イン・ブラック/インターナショナル』をご紹介します。

宇宙人の来訪や襲撃からひそかに地球を守り続けている秘密組織メン・イン・ブラック。幼いころエイリアンと遭遇したことがあるMは、なんとかその一員になろうと励み、ついに組織の本部に潜り込むことに成功する。その行動力を認められた彼女はMIBの研修生としてヨーロッパ支部に派遣される。そこでMはイケメンの英雄的エージェントHと組むことになるが、Hの話やそぶりには怪しいところが目立ち…

今回はおなじみのJ(ウィル・スミス)とK(トミー・リー・ジョ-ンズ)のコンビからキャストを一新。『マイティ・ソー/バトルロイヤル』での掛け合いが記憶に新しいクリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンが主役をつとめることになりました。男女コンビということで途中から恋愛モードに突入していくのかな?と思いきや、お互い憎からずは感じているようですが、基本的には同僚・バディとして活動していきます。その辺が今風だな~と感じました。

ただそれ以外はこれといって印象的だったり斬新だったりするところがなく、シリーズのお約束を一通りなぞっただけで終わってしまった『2』と同じ過ち?をたどることとなってしまいました。たしかにファンは「これこれ、いつものこの味」というのを期待しているかもしれませんが、世界興収がいまひとつ、日本興収がいまふたつだったことを考えるともう少し思い切ったアイデアが必要だったかな…とは思いました。こう書いてる間にもどんどん記憶が薄れていきます。年のせいか物覚えが悪くなる一方なので… あとこれは個人的な不満ですが、 例のパグ犬の彼の出番がもっとほしかったです。

でもまあいいところもそれなりにありました。まずMになつく松ぼっくりみたいなブサカワなエイリアン。ミニサイズながら要所要所で入れてくるツッコミが痛快でした。あとやっぱりなんといってもクリス・ヘムズワース。『アベンジャーズ/エンドゲーム』で突き出たおなかを急速にひっこめて従来通りの二枚目マッチョとして活躍してます。ただなんなのでしょう。これまでのキャリアのせいか、普通にイケメンなのに、そこに立っているだけで名状しがたいおかしみを漂わせております。こんな変わった俳優、そうそういるものではありません。「しばらく休みたい」宣言もしてましたが、『マイティ・ソー』4作目も早々と決まってしまったので再来年にはまたそのコメディアンぶりが拝めることでしょう。

こちらを蹴って?ウィル・スミスが出演した『アラジン』は期待通りにヒット街道を驀進中。宇宙人より魔神がうけるご時世なんでしょうか。近々こちらの感想も書きます。わたしが書くまでもないでしょうが…

Mibi

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July 29, 2019

恋はミステリオ ジョン・ワッツ 『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』

Misuterio 『アベンジャーズ/エンドゲーム』の感動も冷めやらぬ中、行きつく間もなく新作を送り出して来るマーベル・シネマティック・ユニバース。フェイズ3の幕を締めくくるのは次世代のヒーローの中心となるであろうあの少年。『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』、ご紹介します。

サノスによる大攻勢を生き残ったスパイダーマンことピーター・パーカー。師を失った悲しみが癒えない彼は、それをまぎらわすかのようにクラスメイトと共にヨーロッパ旅行に出かける。あわよくばその機会に思いを寄せるミシェルに告白しようと意気込んでいたピーターだったが、シールド長官フューリーの勧誘や異次元からの脅威「エレメンタルズ」の来襲でバカンスは大混乱に…

スパイダーマンのテーマといえば「大いなる力には大いなる責任が伴う」。ですが今回のピーターはどうにも目の前のミッションに消極的。それもそのはず。彼の「力」というのは本来クモ能力くらいなものなのに、MCUでは「アイアンマンの後継者」「次世代アベンジャーズのリーダー」「地球規模の衛星兵器の管理者」と高校生にドデカすぎる責任を負わせ過ぎなんですよ。もっと他にキャパシティの広い大人のヒーローはいないのか…とも思いますが、キャップもアイアンマンもいない中、MCUで最も人気のあるヒーローは彼しかいないので、興行的にそういう流れになってしまうのは仕方のないことやも。

原作では普通にアイアンマンもキャプテンアメリカもバリバリ活躍中なので、約60年の歴史を誇っていてもスパイダーマンは未だにヒーロー仲間では傍流的存在だったりします。また某メディア(笑)のバッシングのせいで世間からは「ちょっと胡散臭い奴」と思われてもおります。そんなコミックとの差異が面白くもあるのですが、もしかするとこれからは映画のスパイダーマンもそういう風になっていくかも…と予想するのは気が早いでしょうか。

今回のキーマンとなるのは「敵か味方か」というフレーズがよく似合う新キャラクター「ミステリオ」。コミックファンならばそんなん敵に決まってんだろ―ツ!と言いたいところですが、先の『キャプテン・マーベル』におけるスクラルの例もあるので「もしかしたらいいやつかも?」という可能性も捨てきれない。では実際どうだったかというと… あ、以降は9割方ネタバレで

 

 

 

 

順当に悪役でございました。演じてるジェイク・ギレンホールの魅力もあり自分もうっかりだまされるところでありました。そういえばジェイクさんの映画で『ナイトクロウラー』という作品がありましたが、あれも扇情的・作為的な映像で野望を実現しようとする男の話でした。今回のジェイク氏となんか重なります。あと最近ジェイクさんが小動物をかわいがってたり、小児科を慰問にいってたりと「このひと、いいひとだなあ」という画像がよく出回ってるんですが、「映画と本人は別」とわかってはいても、どうしても「もしかしたらだまされてるのか? それは君の見せかけの姿なのでは?」という思いがぬぐえないのでした。いやだわ… いつのまにぼくはこんな疑い深い大人になってしまったのかしら…

さて、偉そうに語っておりましたが、実はわたくしこの「ミステリオ」というキャラクター、邦訳本では見かけたことがございません。これまた歴史の長いヴィランではあるのですが、そんなにトップ人気な悪役でもないのですね。映画7作目にしてようやく登場したというのもそれを裏付けております。わたしがミステリオで特に思い出深いのは池上遼一氏が手掛けられた「ぼくらマガジン版」にて描かれた「にせスパイダーマン」というエピソード。「暗い・しんどい」と評判の?池上版の転換点となる痛切なストーリー。気になる方はぜひ手に取って…と言いたいところですが、現在中古版しかないのがこれまたつらいところです。

話を元に戻しまして。先日待望のMCUフェイズ4(2020-2021)のラインナップが発表されましたが、そこにスパイダーマンのタイトルはなく。今年3本もスクリーンに登場した反動か、少なくとも二年は姿が見られないわけで。『ファー・フロム・ホーム』が非常に気になる幕切れだったので、はやいとこ次の情報がほしいところです。

また、本作品で「嘘だった」とされた平行世界=マルチバースについては『ドクター・ストレンジ』続編で扱われることが確定いたしました。あるのかないのか、どっちなんじゃーい!!とツッコミたくもなりますが、今度こそ本当でありますように。そしてマーベル・シネマティック・ユニバースがさらなる拡大を続けていきますように。

『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』は世界で10億$、日本で『ホーム・カミング』にならぶ28億円の売上を達成したと本日のニュースで知りました。アメイジング二部作と並ぶ31億には届くでしょうか。がんばれ!

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July 16, 2019

殺し屋さんは休業中 南勝久・江口カン 『ザ・ファブル』

ヤングマガジン連載の一風変わったノワール(なのか?)漫画を、岡田准一主演で映画化。本日は現在好評公開中の『ザ・ファブル』、紹介いたします。

裏社会であまりにも凄腕のため「ファブル(寓話)」と恐れられていた一人の殺し屋がいた。ある時大仕事を片づけたそのファブル…佐藤に、彼のボスはサポート役の陽子と共にしばらくほとぼりをさますよう命じる。指定された大阪の街で佐藤はごくごく普通の生活を送ろうと決心するが、その噂を聞きつけたヤクザたちの抗争に巻き込まれ、否が応でもその腕を振るわざるを得なくなる。

米国映画で人気のジャンルのひとつに「なめてた相手が凄腕の殺し屋だった」というものがあります。『96時間』『ジョン・ウィック』『ザ・コンサルタント』『イコライザー』etc。この映画の予告を見て「いよいよその日本版が登場か!?」と意気込んだのですが、微妙に違いました。「凄腕だと思ってた殺し屋がその通りだった」的な作品でした。でもまあそんなことは小さいことで、期待通りのアクションを見せてくれればそれでよいのです。そこはジャニーズで最も格闘術が高い岡田准一(推定)、さすがの身のこなし・体裁きでございました。中でもとりわけ驚いたのは銃撃戦・肉弾戦よりも、ひょいひょいと壁をつたって3階分くらいロック(ウォール?)クライミングしていくシーン。いやあ、まるで忍者そのものでございました。

お話の方はどうかと申しますと、ちょっと『水戸黄門』とか『暴れん坊将軍』とか昔懐かしの時代劇に近いものがありました。身分を隠して市井に暮らす剣の達人が、貧しい親孝行の娘と知り合うが、その娘は悪徳商人に借金の方に売られそうになってしまう。その後の展開は言うまでもありませんね(笑) この映画はその悪徳商人もまた、別の悪人に娘共々さらわれてしまうところがややこしいのですが。

もうすでに大概ネタバレですけど、わたしが「いいなあ」と思ったのはファブル佐藤が最後までヒロインに自分の正体を明かさないところ。アメコミヒーローなんかはすごく軽率に自分が「○○マンだ」と告白してしまいますよね。そうしたい気持ちも大変よくわかるのですけど、やっぱりここは素知らぬ顔を通し続けるのがストイックで男らしいと思うのですがどうでしょう。

やや難点なのはユーモアセンスがちょっと独特というか、いわゆるクドカン的というか、福田雄一的なところ。波長の合わないギャグをえんえんと繰り出されるのってけっこうきついですからね。幸いわたしはまあまあ楽しめたのでよかったです。あと岡田君演じる佐藤の、特殊な環境にいたゆえ常人といちいち感覚が異なるキャラクターが見ていて興味深かったです。

『ザ・ファブル』は公開から4週目に入りましたが、いまだに売上6位に入るという健闘ぶり。なんか最近は邦画も恋愛ものとか感動ものより、アクションや渋い社会派作品の方が好調ですね。わたしゃほとんど見ませんけど、いろいろあった方がいいと思うので胸キュンキュンの恋愛映画クリエイターたちもがんばってください。

 

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July 10, 2019

オレゴンから哀 アンドリュー・ヘイ 『荒野にて』

ここんとこ殺伐としたブロックバスター的な映画ばかり紹介してましたが、今回は久しぶりにしっとりした叙情性溢れる作品を紹介します。現代アメリカを舞台に馬と少年の旅を描いた『荒野にて』、紹介します。

父と二人でオレゴンに住む少年チャーリーは、競馬の施設をうろついていたことがきっかけで、競走馬の世話をするバイトを始める。そのうちの一頭、リーン・オン・ピートと仲良くなったチャーリーは甲斐甲斐しく面倒を見るが、ある時雇い主がピートを屠殺場へ売ろうとしていることを知ってしまう。チャーリーはピートを救うためにトレーラーを盗み、果てしない荒野を旅することになるのだが…

この映画を観ようと思ったきっかけのひとつは、単に自分が「荒野系」の話が好きだからです。ジャック・ロンドンの諸作とか、映画『イントゥ・ザ・ワイルド』『私に出会うまでの6000キロ(原題 Wild)』とか。こちらは意外と荒野の場面少なかったですけど… あるいは誰も頼れないチャーリー少年の境遇を表しての邦題だったのか。ちなみに原題は単に劇中に登場するお馬さんの名前(Lean on Pete )であります。

もうひとつの鑑賞動機は普通にかわいそうな少年とお馬さんがどうなるか気になったから。一人と一匹で貧しいながらも生き抜いていこうとする姿は、まるで『フランダースの犬』そのもの。チャーリーとピートがネロとパトラッシュのようになりはしないかとハラハラしながら見守っておりました。

役名と同じ主演のチャーリー・プラマー君は本作の演技で高い評価を得ております。最初はぽややや~んとした年相応の顔をしているのですが、状況が苛酷になるにつれ引き締まった「男」の風貌へと変わっていきます。それがなんとも切のうございました。ただ可哀想ながらも作り手の優しさがちょこちょこ見え隠れするところもあり、後味は決して悪くはなかったです。

それにしても馬というのは一部の人たちを本当にひきつけるようで。『戦火の馬』の主人公も自分の命が危ないのに「うまーうまー」言うてたし。わたしが「馬好き」で思い出すのは『動物のお医者さん』の菅原教授。個人的にはあんまり魅力がわからない方でありましたが、『レッドデッドリデンプション2』というゲームでこまめに馬の面倒を見てるうちにちょっとかわいく思えてきたところです。ゲームと実際では労苦が全然違うでしょうけど… 

 

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July 08, 2019

火の鳥アメコミ編 サイモン・キンバーグ 『X-MEN ダークフェニックス』

Xmendp1 アメコミムービー隆盛のきっかけとなった映画X-MENシリーズ。約20年に渡ったその歴史が、昨年のディズニーによる20世紀FOXの買収でひとつの区切りを迎えることになりました。その最終作となる『X-MEN ダークフェニックス』紹介します。

80年代にアポカリプスを倒して以降、X-MENは正義のヒーローチームとして認められ、ミュータントの地位も向上していた。だがスペースシャトルが謎のエネルギー体に襲われる事件が起き、その救出に際しメンバーのジーン・グレイはエネルギー体に翻弄され危うく死にかける。なんとか生還したジーンだったがそれ以来ただでさえ不安定だったパワーの制御がますます困難に。そして信頼していたリーダー、プロフェッサーXの欺瞞に気付き始める。

2006年の『ファイナル・ディシジョン』までは現実の時間軸と並行して作られていた(ように思える)X-MENシリーズ。しかしそこで一旦行き詰ってしまったため、60年代、70年代、80年代それぞれの前日談が作られました。ここで1作目に追い付くのかな?と思ったら今度は律儀に90年代のエピソードを用意してきました。それはいいんですけど結局このシリーズは13年前からほとんど前に進まなかったという… まあスターウォーズもそういう時期があったし、こないだの猿の惑星・エイリアンもそうだったし、20世紀FOXのお家芸なのかもしれません。

ただ前日談に終始しても完成度が高ければ…というか、前後と整合性が取れていればよいのです。過去作をちゃんと復習して、忘れられたような要素とか心憎い形で拾ってくれたり、感動的に再アレンジしてくれたらオタクはもう大喜びなのです。先の『アベンジャーズ/エンドゲーム』がそのもっとも成功した例ですし、『ワイルドスピード/スカイミッション』『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』なども同様です。しかるにこの『ダークフェニックス』はどうだったかというと…これがつながるはずの『フューチャー&パスト』の結末とどう考えてもつながらそうな結末と相成りました。もう1作作ってそれで軌道修正するはずだったのか? それとも色々上から指示が入って迷走してしまったのか… その辺は憶測を巡らすしかありません。考えてみれば最近のX-MEN映画って『ローガン』といい『デッドプール』といい本家とつながってるのか微妙そうなものばかりでしたしね。頭を柔らかくして「それぞれ時間軸が別なんだろな」と考えてあげるべきなのかも。

なんだか愚痴っぽくなってしまいましたが、コミックファンとして興味深かったのはプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの裏面ぽいものが描かれていたということ。エグゼビア教授は原作では90年代中ごろまで一片の汚れもない清廉潔白な指導者だったのですが、新世紀に入る前後あたりからダークサイドが暴発したり過去の悪行がばらされたりして株が急暴落し始めます。『ダークフェニックス』はそこまでひどくはありませんでしたが、名誉を追い求めたり、人の記憶を勝手に操作してしまう教授をどこまで信じてよいのか?と観てるものをハラハラさせてくれます。ダークサイドといえば今回メインであるジーン・グレイもそうです。『ファイナル・ディシジョン』の例もありますし、コピーも「最強の敵」だし、闇落ちはもう確定的。マーベルのヒーローには後ろ暗い面も持ってる者も多いですけど、ことX-MENは世間から迫害されているという背景ゆえか善悪の境界をぶらぶらしている者ばかり。そういうハードなところが魅力でもあったがゆえにマーベルコミックでトップの人気作となったわけですが、映画では「暗い」「地味」という印象が先に立ってしまったのか、アベンジャーズにどうにも差を着けられてしまったのが辛いところです。

とにもかくにも、離れ離れだったX-MENやファンタスティック・フォーも、以降はマーベル・シネマティック・ユニバースに統合されることになります。今度こそキャラ多すぎで収拾つくのかと不安になる一方、剛腕ケビン・ファイギならきっと上手にまとめあげてくれるだろうという期待もあります。というか期待の方が全然大きい。彼らが真に合流するのはまだまだ4、5年先、というのが大方の予想ですが、夏に発表されるMCUフェイズ4のラインナップでそれは明らかにされるでしょう。本当にマーベル・ディズニーはじらすのがお得意ですよね。いい加減教えてくださいよおおおおおお(身もだえ)

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July 02, 2019

コリアン大霊界 キム・ヨンファ 『神と共に 第1章 罪と罰』

予告を見た時は「マトリックスのバッタモンみたいやな…」と思った(失礼)のですが、SNSでの熱意溢れる賛辞と「『新感染』を越える歴代2位の大ヒット!」という文句に惹かれて観てきてしまいました。『神と共に 第一章:罪と罰』、ご紹介します。

消防士ジャホンはビル火災で少女を救おうとして殉職。彼は三人の「使者」に誘われ冥界へと連れて行かれる。使者たちはジャホンに亡者が生前の罪に関して七つの法廷で裁かれ、潔白と証明されたものだけが生まれ変われると告げる。生前多くの命を救ったジャホンだけに、その無実はたやすく証明されると思われたが…

あの世めぐりの話というのも色々あります。古くはダンテの『神曲』。映画だと『地獄』『大霊界』『ビルとテッドの地獄旅行』『奇跡の輝き』、最近でも『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ!』などもありました。しかし韓国のあの世事情というのは全然知りませんでした。そんなお隣の風俗慣習について楽しく学ぶのに非常に役立つ映画でした。

で、観てみてわかりましたが、韓国のあの世というのはけっこう日本の言い伝えに近かったです。三途の川があったり、閻魔大王がいらしゃったり。違うのは殺人・怠惰・嘘・裏切り・不義・暴力・親不孝それぞれの罪を診断する七つの法廷があるということですね。なんでかキリスト教の「七つの大罪」と似通ってるところが面白いです。これらの罪というのは人間ならば誰でもひとつやふたつはやらかしてる些細なものもあるので、七つぜんぶをクリアするのは相当至難の業と言えましょう。とりあえず韓国映画の名作の主人公たちは一人残らず無間地獄行きかと思われます。

主人公のジャホンはいいやつなのですが、最初から最後までずーっとしょんぼりしてるため、いまひとつ華がないというか頼りない。日本の役者さんがやるとしたら濱田岳氏あたりが非常に似合いそうです。一方でジャホンの護衛となる3人の使者はめっぽうキャラ立ちせいております。リーダーでミステリアスなカンニム(演じるハ・ジョンウ氏は『チェイサー』の殺人鬼役が強烈でした)。血気盛んな青年ヘウォンメク。GJポーズがかわいらしい少女ドクチュン。この1+3のチーム構成は『西遊記』『三銃士』『桃太郎』『オズの魔法使い』といった古今東西の冒険ものの定番でありますね(『バビル二世』もか)。

清廉潔白かと思えたジャホンにも叩くと色々埃が出たり、思わぬ邪魔が入ったりで彼らの旅は困難を極めます。これ、絶対いいところで第二章に「つづく」となるパターンだよなーとおもっていたらけっこうキリのいいところで終わってくれてよかったです。

そんなわけで現在早くも第二章の『因と縁』が公開中。韓国が誇る筋肉スター、マン・ドンソク氏もキャストに加わるということで期待が膨らみます!

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